JP2009292726A - ヒドラゾン類の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】医薬品製造中間体として有用なヒドラゾン体の工業的に有利な製造法の提供。
【解決手段】L−ラムノースジエチルメルカプタールをタングステン酸及びリンオキソ酸の存在下、過酸化水素と反応させ、ジアルキルスルホニルメタン誘導体を得る。これにヒドラジン類を反応させて式(4)のヒドラゾン誘導体を製造する。
(式中、R3は水素原子又は水酸基を示す。R4,R5は水素原子、アルキル基、アリール基を示す。)
【選択図】なし
【解決手段】L−ラムノースジエチルメルカプタールをタングステン酸及びリンオキソ酸の存在下、過酸化水素と反応させ、ジアルキルスルホニルメタン誘導体を得る。これにヒドラジン類を反応させて式(4)のヒドラゾン誘導体を製造する。
(式中、R3は水素原子又は水酸基を示す。R4,R5は水素原子、アルキル基、アリール基を示す。)
【選択図】なし
Description
本発明は、塩酸サプロプテリン等の医薬品の製造中間体として重要なジアルキルスルホニルメタン誘導体及びヒドラゾン類の製造法に関する。
塩酸サプロプテリン(L−テトラヒドロビオプテリン塩酸塩)は、異型高フェニルアラニン血症の治療薬として広く用いられている。塩酸サプロプテリンは、下記式のようにL−ラムノースからL−ラムノースジエチルメルカプタール(REM)、5−デオキシ−L−アラビノース(5−DA)を経由してヒドラゾン体を得、このヒドラゾン体をアセチル化した後、これに6−ヒドロキシ−2,4,5−トリアミノピリミジンを反応させ、アセチル基を脱離させた後、不斉還元することにより製造されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)。
このようにヒドラゾン体は塩酸サプロプテリン製造工程における重要な中間体である。
従来、ヒドラゾン体の製造方法としては、L−ラムノースから5−DAを経由してフェニルヒドラゾン体を得る方法の他に、L−アラビノースから5−DAを経由してフェニルヒドラゾン体を得る方法(特許文献3参照)、酒石酸からフェニルヒドラゾン体を得る方法(非特許文献2、3参照)、R−リボースからフェニルヒドラゾン体を得る方法(特許文献4参照)等が知られている。
従来、ヒドラゾン体の製造方法としては、L−ラムノースから5−DAを経由してフェニルヒドラゾン体を得る方法の他に、L−アラビノースから5−DAを経由してフェニルヒドラゾン体を得る方法(特許文献3参照)、酒石酸からフェニルヒドラゾン体を得る方法(非特許文献2、3参照)、R−リボースからフェニルヒドラゾン体を得る方法(特許文献4参照)等が知られている。
しかしながら、酒石酸又はR−リボースからフェニルヒドラゾン体を得る方法では、工程が長く収率が悪いこと、及びその工程中に低温反応工程やシリカゲル精製工程が含まれており、工業的製造方法としては適切ではない。また、L−ラムノースやL−アラビノースから5−DAを経由してフェニルヒドラゾン体を得る方法についても、収率が低いことや、またその後の処理が煩雑であるといった問題があった。
このように、いずれの製造方法においても、収率および作業効率に問題があることから、工業的に有利なフェニルヒドラゾン体の製造方法の開発が求められていた。
特開昭59−186986号公報
特開昭60−169493号公報
欧州特許出願公開第0165595号明細書
欧州特許出願公開第0385336号明細書
Helv. Chim. Acta 68(6)1639-1643(1985)
J.Org.Chem. 62,4007-4014,(1997)
J.Org.Chem.61,8698-8700,(1996)
このように、いずれの製造方法においても、収率および作業効率に問題があることから、工業的に有利なフェニルヒドラゾン体の製造方法の開発が求められていた。
本発明の目的は、前記重要中間体であるヒドラゾン体の工業的に有利な製造法を提供することにある。
本発明者は、L−ラムノースからフェニルヒドラゾン体を得る方法について種々検討したところ、REMの酸化工程では、反応の進行とともに生成物の分解が生じ、反応収率が向上しないことが明らかになった。また、還元剤の投入時間や溶媒の濃縮など、煩雑で多段階の処理を要すことが問題であった。
さらに、REM酸化体の脱炭素工程では、生成する5−DAが共存する無機塩類に不安定であることから、品質と収率の低下が危惧された。また、煩雑な濾過作業や抽出作業があるため、作業時間が長時間に及ぶという作業効率の問題があった。
さらに、REM酸化体の脱炭素工程では、生成する5−DAが共存する無機塩類に不安定であることから、品質と収率の低下が危惧された。また、煩雑な濾過作業や抽出作業があるため、作業時間が長時間に及ぶという作業効率の問題があった。
本発明者は、工業的に有利な方法を見出すべく鋭意研究を行なった結果、REMの酸化によって得られるREM酸化脱水体を5−DAに導くことなく、これにヒドラジン類を直接反応させたところ、収率良くヒドラゾン体が得られることを見出した。さらに、タングステン酸若しくはその塩及びリンオキソ酸の存在下、REMの酸化剤として過酸化水素を用いて酸化を行なえば、定量的にREM酸化脱水体が得られることを見出した。また、REMの酸化剤として一定の条件下でモノ過硫酸塩を用いて酸化を行なえば、より有利にREM酸化脱水体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式(2)
(式中、R1及びR2は同一又は異なってアルキル基を示し、R3は水素原子又は水酸基を示す)
で表されるジアルキルスルホニルメタン誘導体に、一般式(3)
で表されるジアルキルスルホニルメタン誘導体に、一般式(3)
(式中、R4及びR5は同一又は異なって、水素原子、アルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を示す)
で表されるヒドラジン類を反応させることを特徴とする一般式(4)
で表されるヒドラジン類を反応させることを特徴とする一般式(4)
(式中、R3、R4及びR5は前記と同じ)
で表されるヒドラゾン類の製造法を提供するものである。
で表されるヒドラゾン類の製造法を提供するものである。
また、本発明は、一般式(2)で表されるジアルキルスルホニルメタン誘導体が、次の一般式(1)
(式中、R1及びR2は同一又は異なってアルキル基を示し、R3は水素原子又は水酸基を示す)
で表される化合物に、タングステン酸若しくはその塩及びリンオキソ酸の存在下過酸化水素を反応させるか、0℃以上20℃未満で10〜140時間若しくは20℃〜100℃でモノ過硫酸塩を反応させるか、又は過酸を反応させることにより得られるものである上記のヒドラゾン類(4)の製造法を提供するものである。
で表される化合物に、タングステン酸若しくはその塩及びリンオキソ酸の存在下過酸化水素を反応させるか、0℃以上20℃未満で10〜140時間若しくは20℃〜100℃でモノ過硫酸塩を反応させるか、又は過酸を反応させることにより得られるものである上記のヒドラゾン類(4)の製造法を提供するものである。
更に本発明は、次の一般式(1)
(式中、R1及びR2は同一又は異なってアルキル基を示し、R3は水素原子又は水酸基を示す)
で表される化合物に、タングステン酸若しくはその塩及びリンオキソ酸の存在下過酸化水素を反応させるか、又は0℃以上20℃未満で10〜140時間若しくは20℃〜100℃でモノ過硫酸塩を反応させることを特徴とする一般式(2)
で表される化合物に、タングステン酸若しくはその塩及びリンオキソ酸の存在下過酸化水素を反応させるか、又は0℃以上20℃未満で10〜140時間若しくは20℃〜100℃でモノ過硫酸塩を反応させることを特徴とする一般式(2)
(式中、R1及びR2は同一又は異なってアルキル基を示し、R3は水素原子又は水酸基を示す)
で表されるジアルキルスルホニルメタン誘導体の製造法をも提供するものである。
で表されるジアルキルスルホニルメタン誘導体の製造法をも提供するものである。
本発明によれば、従来よりも少ない工程で、後処理も簡便で操作性が良く、高収率でヒドラゾン類(4)が得られる。
本発明方法は、下記の反応式で表される。
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は前記と同じ)
この反応式から判るように、本発明方法において化合物(2)は重要な製造中間体である。
この反応式から判るように、本発明方法において化合物(2)は重要な製造中間体である。
原料である1,1−ビスアルキルスルファニル化合物(1)は、例えば、L−ラムノースに、氷冷下、塩酸水溶液中でエタンチオール2モル当量を加え、20時間氷冷下作用させた後、析出した結晶をろ取し、得られた結晶を氷水及びn−ヘキサンで洗浄、乾燥することによって製造することができる。ここで、R1及びR2で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられるが、炭素数1〜5のアルキル基、特にエチル基が好ましい。
化合物(1)に、タングステン酸若しくはタングステン酸塩及びリンオキソ酸の存在下過酸化水素を反応させることにより、化合物(2)が得られる。
タングステン酸塩としては、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム等のタングステン酸アルカリ金属塩が挙げられるが、タングステン酸ナトリウムが好ましい。また、リンオキソ酸としては、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスフィン酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等が挙げられる。これら触媒の使用量は、特に限定されないが、化合物(1)1モルに対し、夫々0.001〜0.07モル用いることが好ましく、特に0.01〜0.03モル用いることが好ましい。
また、過酸化水素としては過酸化水素水を用い、これは、化合物(1)1モルに対し、4〜5モル用いることが好ましく、特に4.1〜4.5モル用いることが好ましい。
タングステン酸塩としては、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム等のタングステン酸アルカリ金属塩が挙げられるが、タングステン酸ナトリウムが好ましい。また、リンオキソ酸としては、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスフィン酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等が挙げられる。これら触媒の使用量は、特に限定されないが、化合物(1)1モルに対し、夫々0.001〜0.07モル用いることが好ましく、特に0.01〜0.03モル用いることが好ましい。
また、過酸化水素としては過酸化水素水を用い、これは、化合物(1)1モルに対し、4〜5モル用いることが好ましく、特に4.1〜4.5モル用いることが好ましい。
反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール等の低級アルコール類を用いることができるが、水が特に好ましい。反応溶媒の使用量は、化合物(1)に対して4〜15倍、特に4倍が好ましい。また、反応温度は、好ましくは20〜60℃であり、特に好ましくは30〜40℃であり、反応時間は、好ましくは4〜48時間であり、特に好ましくは、8〜22時間である。
反応後は、そのまま次の反応を行ってもよいが、次の反応のため過剰の過酸化水素をチオ硫酸ナトリウム等の還元剤で失活させておくことが好ましい。また、化合物(2)は単離することなく、次の反応を行ってもよい。
反応後は、そのまま次の反応を行ってもよいが、次の反応のため過剰の過酸化水素をチオ硫酸ナトリウム等の還元剤で失活させておくことが好ましい。また、化合物(2)は単離することなく、次の反応を行ってもよい。
また、化合物(1)に0℃以上20℃未満で10〜140時間又は20℃〜100℃でモノ過硫酸塩を反応させることによっても化合物(2)が得られる。モノ過硫酸塩としては、モノ過硫酸カリウム(KHSO5)、モノ過硫酸ナトリウム(NaHSO5)等のモノ過硫酸アルカリ金属塩が挙げられる。モノ過硫酸塩としては、混合物も使用でき,例えばデュポン社からOXONEの商品名で販売されている2KHSO5・KHSO4・K2SO4の組成の混合物を使用することができる。モノ過硫酸塩は、化合物(1)に対してOXONE(=2KHSO5・KHSO4・K2SO4)として2〜3.5モル当量、さらに2〜3モル当量、特に2.2〜2.4モル当量使用するのが好ましい。 反応溶媒としては、水又は低級アルコールが好ましく、特に水が好ましい。ここで低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の炭素数1〜5のアルコールが挙げられる。反応溶媒の使用量は、化合物(1)に対して5〜30倍容量、特に7.5〜15倍容量が好ましい。反応時間は0℃以上20℃未満の場合は、反応を完結させる観点から、10時間以上が必要であり、10〜140時間、さらに15〜50時間、特に20〜30時間が好ましい。一方、20℃〜100℃で反応を行なう場合、反応は通常50時間以内で完結する。好ましい反応温度は、30〜40℃であり、その場合の反応時間は10〜30時間、特に15〜25時間が好ましい。
さらに、化合物(1)に過酸を反応させることによっても化合物(2)が得られる。ここで用いる過酸としては、過酢酸、過プロピオン酸、過安息香酸等が挙げられる。過酸は化合物(1)1モルに対して6モル使用するのが好ましい。反応溶媒としては、水又は低級アルコールが好ましく、特に水が好ましい。反応時間は10〜30時間、特に15〜20時間が好ましい。
さらに、化合物(1)に過酸を反応させることによっても化合物(2)が得られる。ここで用いる過酸としては、過酢酸、過プロピオン酸、過安息香酸等が挙げられる。過酸は化合物(1)1モルに対して6モル使用するのが好ましい。反応溶媒としては、水又は低級アルコールが好ましく、特に水が好ましい。反応時間は10〜30時間、特に15〜20時間が好ましい。
このようにして得られたジアルキルスルホニルメタン誘導体(2)に、ヒドラジン類(3)を反応させ一般式(4)で表されるヒドラゾン類を製造する。
ヒドラジン類(3)のR4及びR5は同一又は異なって、水素原子、アルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を示すが、ここでアルキル基としては、炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖の低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。アリール基としては、炭素数6〜14のアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。該アリール基の置換基としては、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基等が挙げられる。R4及びR5における基としては特に水素原子又はフェニル基が好ましい。ヒドラジン類(3)としては、ヒドラジン、1,1−ジメチルジアゾン、フェニルヒドラジン等が挙げられ、特にフェニルヒドラジンが好ましい。
ヒドラジン類(3)のR4及びR5は同一又は異なって、水素原子、アルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を示すが、ここでアルキル基としては、炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖の低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。アリール基としては、炭素数6〜14のアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。該アリール基の置換基としては、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基等が挙げられる。R4及びR5における基としては特に水素原子又はフェニル基が好ましい。ヒドラジン類(3)としては、ヒドラジン、1,1−ジメチルジアゾン、フェニルヒドラジン等が挙げられ、特にフェニルヒドラジンが好ましい。
ヒドラジン類(3)は化合物(1)1モルに対し、1.0〜2.0モル用いることが好ましく、特に1.1〜1.5モル用いることが好ましい。
この反応は、水、酢酸エチル、クロロホルム、トルエン等の溶媒中で行なうことができるが、水、酢酸エチル溶媒中で行なうのが好ましい。反応は、pH3.0〜11.0で行なわれ、特にpH5.0〜9.0が好ましい。
この反応温度は、好ましくは0〜50℃であり、特に好ましくは、10〜30℃であり、反応時間は、好ましくは1〜30時間であり、特に好ましくは、5〜24時間である。
反応終了後、反応液の水層を有機溶媒で抽出すれば、容易にかつ定量的にヒドラゾン類(4)が得られる。
この反応は、水、酢酸エチル、クロロホルム、トルエン等の溶媒中で行なうことができるが、水、酢酸エチル溶媒中で行なうのが好ましい。反応は、pH3.0〜11.0で行なわれ、特にpH5.0〜9.0が好ましい。
この反応温度は、好ましくは0〜50℃であり、特に好ましくは、10〜30℃であり、反応時間は、好ましくは1〜30時間であり、特に好ましくは、5〜24時間である。
反応終了後、反応液の水層を有機溶媒で抽出すれば、容易にかつ定量的にヒドラゾン類(4)が得られる。
かくして得られたヒドラゾン類(4)は、前記公知の方法に従い、塩酸サプロプテリンへと導くことができる。
次に実施例等を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
以下の実施例等の反応式を以下に示す
以下の実施例等の反応式を以下に示す
実施例1(酸化)
REM 100.0g(369.8mmol)、タングステン酸ナトリウム・2水和物1.220g(3.698mmol、1mol%)、フェニルホスホン酸0.614g(3.883mmol、1.05mol%)および水400mLを反応容器に入れ、外温0℃で攪拌した。35%過酸化水素水147.3g(1516mmol)を内温20℃以下で滴下した。外温40℃で21.5時間反応し、REM酸化脱水体を得た。
REM 100.0g(369.8mmol)、タングステン酸ナトリウム・2水和物1.220g(3.698mmol、1mol%)、フェニルホスホン酸0.614g(3.883mmol、1.05mol%)および水400mLを反応容器に入れ、外温0℃で攪拌した。35%過酸化水素水147.3g(1516mmol)を内温20℃以下で滴下した。外温40℃で21.5時間反応し、REM酸化脱水体を得た。
実施例2(ヒドラゾン化)
外温10℃でチオ硫酸ナトリウム・5水和物9.179g(36.98mmol)を加えて30分間攪拌し、過剰の過酸化水素を失活させた。これに、酢酸エチル500mLおよびフェニルヒドラジン59.99g(554.7mmol)を加え、酢酸でpHを5.3に調整し、外温20℃で23時間反応した。
反応後、食塩50gを加え溶解後、反応液を分液し、得られた水層を酢酸エチル200mLで抽出した。分液後、水層を酢酸エチル100mLで抽出・分液した。得られた有機層を合わせて、無水硫酸マグネシウム25gで乾燥し、濾過後、5−DAヒドラゾン体−酢酸エチル溶液を得た。
HPLCを用いて5−DAヒドラゾン体を定量したところ、REMから5−DAヒドラゾン体の収率は100%であった。
外温10℃でチオ硫酸ナトリウム・5水和物9.179g(36.98mmol)を加えて30分間攪拌し、過剰の過酸化水素を失活させた。これに、酢酸エチル500mLおよびフェニルヒドラジン59.99g(554.7mmol)を加え、酢酸でpHを5.3に調整し、外温20℃で23時間反応した。
反応後、食塩50gを加え溶解後、反応液を分液し、得られた水層を酢酸エチル200mLで抽出した。分液後、水層を酢酸エチル100mLで抽出・分液した。得られた有機層を合わせて、無水硫酸マグネシウム25gで乾燥し、濾過後、5−DAヒドラゾン体−酢酸エチル溶液を得た。
HPLCを用いて5−DAヒドラゾン体を定量したところ、REMから5−DAヒドラゾン体の収率は100%であった。
参考例1(アセチル化)
外温0℃で5−DAヒドラゾン体−酢酸エチル溶液にDMAP 15.82g(129.5mmol)を加え溶解させた後、無水酢酸188.8g(1849mmol)を滴下し、外温10℃で16時間反応した。水250mLを加え20分間攪拌して静置後、分液し、有機層に20%水酸化ナトリウム水溶液をpH7.1になるまで加えた。静置後分液し、有機層を無水硫酸ナトリウム70gで乾燥後濾過した。外温40℃で液量が500mLになるまで減圧濃縮し、5−DAヒドラゾンアセチル体−酢酸エチル溶液を得た。
外温0℃で5−DAヒドラゾン体−酢酸エチル溶液にDMAP 15.82g(129.5mmol)を加え溶解させた後、無水酢酸188.8g(1849mmol)を滴下し、外温10℃で16時間反応した。水250mLを加え20分間攪拌して静置後、分液し、有機層に20%水酸化ナトリウム水溶液をpH7.1になるまで加えた。静置後分液し、有機層を無水硫酸ナトリウム70gで乾燥後濾過した。外温40℃で液量が500mLになるまで減圧濃縮し、5−DAヒドラゾンアセチル体−酢酸エチル溶液を得た。
参考例2(閉環)
5−DAヒドラゾンアセチル体−酢酸エチル溶液にTAUフリー体46.96g(332.8mmol)、メタノール500mL、および水500mLを加えた後、内温50〜55℃で6時間反応し、閉環体反応液を得た。
5−DAヒドラゾンアセチル体−酢酸エチル溶液にTAUフリー体46.96g(332.8mmol)、メタノール500mL、および水500mLを加えた後、内温50〜55℃で6時間反応し、閉環体反応液を得た。
参考例3(酸化)
外温10℃で、閉環体反応液に35%過酸化水素水136.6g(1406mmol)を滴下し62時間反応した。析出した結晶を濾取し、水とメタノールで結晶を洗浄し、閉環酸化体を得た。
外温10℃で、閉環体反応液に35%過酸化水素水136.6g(1406mmol)を滴下し62時間反応した。析出した結晶を濾取し、水とメタノールで結晶を洗浄し、閉環酸化体を得た。
参考例4(脱アセチル化)
閉環酸化体を3mol/L塩酸500mLに懸濁し、内温50〜55℃で2.5時間反応した。反応液を活性炭で脱色後、28%アンモニア水で中和した。析出した結晶を濾取し粗ビオプテリンを得た。
得られた粗ビオプテリンを6%アンモニア水に溶解し、活性炭で再度脱色した後、濃塩酸で中和した。析出した結晶を濾取・乾燥し、ビオプテリン29.73gを得た。HPLCで定量したところ、含量は83.5%であった。REMからビオプテリンまでの収率は28%であった。
閉環酸化体を3mol/L塩酸500mLに懸濁し、内温50〜55℃で2.5時間反応した。反応液を活性炭で脱色後、28%アンモニア水で中和した。析出した結晶を濾取し粗ビオプテリンを得た。
得られた粗ビオプテリンを6%アンモニア水に溶解し、活性炭で再度脱色した後、濃塩酸で中和した。析出した結晶を濾取・乾燥し、ビオプテリン29.73gを得た。HPLCで定量したところ、含量は83.5%であった。REMからビオプテリンまでの収率は28%であった。
実施例3(モノ過硫酸塩を用いた酸化)
(酸化)
REM 100.0g (369.8mmol) と水750mLを加えて、氷冷下攪拌しOxone523.0g (850.5mmol) を内温14.9〜22.5℃で少しずつ加えた。外温30℃で139時間40分攪拌した。氷冷下28%アンモニア水で中和し、REM酸化脱水体水溶液を得た。
(単離)
外温5℃で、REM 200.0g(739.6mmol)を水3Lに懸濁させ、Oxone1046g(1701mmol)を内温20℃以下で加え、外温10℃で19時間反応した。反応後、酢酸エチルで水層からREM酸化脱水体がなくなるまで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過後、減圧で濃縮乾固し、REM酸化脱水体を収量225.9g、収率97%で得た。
REM 100.0g (369.8mmol) と水750mLを加えて、氷冷下攪拌しOxone523.0g (850.5mmol) を内温14.9〜22.5℃で少しずつ加えた。外温30℃で139時間40分攪拌した。氷冷下28%アンモニア水で中和し、REM酸化脱水体水溶液を得た。
(単離)
外温5℃で、REM 200.0g(739.6mmol)を水3Lに懸濁させ、Oxone1046g(1701mmol)を内温20℃以下で加え、外温10℃で19時間反応した。反応後、酢酸エチルで水層からREM酸化脱水体がなくなるまで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過後、減圧で濃縮乾固し、REM酸化脱水体を収量225.9g、収率97%で得た。
REM酸化脱水体の1H−NMR
1H−NMR(300MHz, DMSO−d6−D2O)δ・(ppm)=1.18 (d,3H、J=6.0Hz), 1.24(d,3H,J=6.6Hz), 1.28 (t, 12H, J = 7.5Hz), 3.35〜3.60 (m, 9H), 3.71 (m, 1H), 3.78 (dq, 1H, J=2.1, 6.0Hz), 3.89(quint, 1H, J=6.6Hz), 4.17 (m, 1H), 4.40〜4.53 (m, 3H), 5.20 (d, 1H, J = 9.6Hz), 5.25 (d, 1H, J=1.5Hz).
1H−NMR(300MHz, DMSO−d6−D2O)δ・(ppm)=1.18 (d,3H、J=6.0Hz), 1.24(d,3H,J=6.6Hz), 1.28 (t, 12H, J = 7.5Hz), 3.35〜3.60 (m, 9H), 3.71 (m, 1H), 3.78 (dq, 1H, J=2.1, 6.0Hz), 3.89(quint, 1H, J=6.6Hz), 4.17 (m, 1H), 4.40〜4.53 (m, 3H), 5.20 (d, 1H, J = 9.6Hz), 5.25 (d, 1H, J=1.5Hz).
実施例4(過酢酸法)
32%過酢酸(希酢酸溶液)3.55g及び水1mLをフラスコに加え、外温10℃で攪
拌し、反応液にREM1gを分割投入した。反応液を外温30℃で終夜攪拌し、21時間
後にTLCで反応終了を確認した。反応液を氷冷し、ハイドロサルファイトナトリウム0.35gをゆっくり添加し、反応液中の過酸化物の消失をKI/デンプン紙にて確認した。反応液を外温50℃で減圧濃縮して、REM酸化脱水体として2.337gを得た。
32%過酢酸(希酢酸溶液)3.55g及び水1mLをフラスコに加え、外温10℃で攪
拌し、反応液にREM1gを分割投入した。反応液を外温30℃で終夜攪拌し、21時間
後にTLCで反応終了を確認した。反応液を氷冷し、ハイドロサルファイトナトリウム0.35gをゆっくり添加し、反応液中の過酸化物の消失をKI/デンプン紙にて確認した。反応液を外温50℃で減圧濃縮して、REM酸化脱水体として2.337gを得た。
比較例1(過酸化水素法)
REM1.5kgに酢酸8.25Lを加え、外温15℃で攪拌した後35%過酸化水素水1185.64gを内温30℃以下で約8時間かけて滴下した。反応液を終夜攪拌した後、濃塩酸18.04gを加え、反応液を外温40℃に加温した後、再度35%過酸化水素
水1778.39gを約30分かけて滴下した。反応液を外温40℃で約9時間攪拌した後、外温10℃で冷却し、反応液に酢酸ナトリウム60.02gを溶かした水溶液750mLを投入した後、終夜攪拌した。反応液を外温0℃で冷却し、ハイドロサルファイトナトリウム525.27gを溶かした水溶液3Lを、酸化還元電位436mVとなるまで滴下し、外温5℃で終夜攪拌した。反応液を外温60℃で、内温の上昇が止まるまで減圧濃縮した。濃縮残渣を次工程に用いた。濃縮残渣のTLCから複数のスポットが確認された。
懸濁反応液に内温25℃以下を保つように28%アンモニア水を滴下し、反応液のpHを9〜10になるように調整した。懸濁反応液を外温10℃で滴下終了から15.5時間撹拌した後、反応終点をTLCにて確認した。反応液をろ過し、残渣を酢酸エチル(1000mL)及び水(200mL)で続けて練り洗いをし、残渣に目的物(5−DA)の残存がないかTLCで確認した。ろ液を分液し、水層を酢酸エチル(1000mL)で2回洗浄した後、有機層をあわせ、水(200ml)を加え再度抽出した。水層をあわせ、5−DAを含む水溶液を得た。
REM1.5kgに酢酸8.25Lを加え、外温15℃で攪拌した後35%過酸化水素水1185.64gを内温30℃以下で約8時間かけて滴下した。反応液を終夜攪拌した後、濃塩酸18.04gを加え、反応液を外温40℃に加温した後、再度35%過酸化水素
水1778.39gを約30分かけて滴下した。反応液を外温40℃で約9時間攪拌した後、外温10℃で冷却し、反応液に酢酸ナトリウム60.02gを溶かした水溶液750mLを投入した後、終夜攪拌した。反応液を外温0℃で冷却し、ハイドロサルファイトナトリウム525.27gを溶かした水溶液3Lを、酸化還元電位436mVとなるまで滴下し、外温5℃で終夜攪拌した。反応液を外温60℃で、内温の上昇が止まるまで減圧濃縮した。濃縮残渣を次工程に用いた。濃縮残渣のTLCから複数のスポットが確認された。
懸濁反応液に内温25℃以下を保つように28%アンモニア水を滴下し、反応液のpHを9〜10になるように調整した。懸濁反応液を外温10℃で滴下終了から15.5時間撹拌した後、反応終点をTLCにて確認した。反応液をろ過し、残渣を酢酸エチル(1000mL)及び水(200mL)で続けて練り洗いをし、残渣に目的物(5−DA)の残存がないかTLCで確認した。ろ液を分液し、水層を酢酸エチル(1000mL)で2回洗浄した後、有機層をあわせ、水(200ml)を加え再度抽出した。水層をあわせ、5−DAを含む水溶液を得た。
2000mLの4頚フラスコに、前項で合成した5−DAを含む水溶液(897g)を加え、アルゴン気流下、外温10℃に冷却した。反応液のpHが5〜6になるように酢酸を加え、次いでフェニルヒドラジン(16.00g,0.148モル)を投入した。反応液を外温10℃、1時間撹拌した後、反応終点をTLCにて確認した。橙色懸濁反応液のpHが7付近になるように20%水酸化ナトリウム水溶液を加え、次いで酢酸エチル(200mL)及び食塩(225g)を加えた。反応液を分液し、水層に酢酸エチル(200mL)を加え、再度抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム(40g)を加え、脱水・ろ過し、ヒドラゾン体を含む酢酸エチル溶液(500mL)を得た。
その結果、ヒドラゾン体までの収率は45〜75%であった。
その結果、ヒドラゾン体までの収率は45〜75%であった。
実施例と比較例との対比から明らかなように、本発明方法によれば、工程が短縮され、かつ収率も極めて高い。
Claims (3)
- 一般式(2)
で表されるジアルキルスルホニルメタン誘導体に、一般式(3)
で表されるヒドラジン類を反応させることを特徴とする一般式(4)
で表されるヒドラゾン類の製造法。 - 一般式(2)で表されるジアルキルスルホニルメタン誘導体が、次の一般式(1)
で表される化合物に、タングステン酸若しくはその塩及びリンオキソ酸の存在下過酸化水素を反応させるか、0℃以上20℃未満で10〜140時間若しくは20℃〜100℃でモノ過硫酸塩を反応させるか、又は過酸を反応させることにより得られるものである請求項1記載のヒドラゾン類の製造法。 - 次の一般式(1)
で表される化合物に、タングステン酸若しくはその塩及びリンオキソ酸の存在下過酸化水素を反応させるか、又は0℃以上20℃未満で10〜140時間若しくは20℃〜100℃でモノ過硫酸塩を反応させることを特徴とする一般式(2)
で表されるジアルキルスルホニルメタン誘導体の製造法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006249156A JP2009292726A (ja) | 2006-09-14 | 2006-09-14 | ヒドラゾン類の製造法 |
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