JP2009291962A - 多層構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アミノカルボン酸化合物(A1)及び/又はラクタム化合物(A2)、トリブロックポリエーテルジアミン化合物(B)、並びにジカルボン酸化合物(C)を重合して得られるポリエーテルポリアミドエラストマーと、ゴム成分に対してシリカが35重量部から100重量部含み架橋したジエン系ゴムとが積層された多層構造体を提供することである。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1には、接地部、意匠部、ベース部からなるアウトソールにおいて、前記ベース部の接地部側にはラバーが配置され、接着面側はポリアミドエラストマーが配置され、ラバーと熱可塑性エラストマーとが溶融一体化して接合された構造を有するアウトソールが開示されている。特許文献2には、ポリアミド系エラストマーを、加熱下で、加硫ゴム部材と接触させて得られる樹脂部材と加硫ゴム部材とが直接接合した樹脂/ゴム複合体が開示されている。しかしながら、これらのポリアミドエラストマーは、酸未変性ゴムに対する接着強度が充分高いとは言い難い。
H2N−R1−COOH (1)
[但し、R1は、炭化水素鎖を含む連結基を表わす。]
HOOC−(R3)m−COOH (4)
[但し、R3は、炭化水素鎖を含む連結基を表わし、mは0又は1である。]
本発明に用いられるポリエーテルポリアミドエラストマーは、ポリアミド形成性モノマー[即ち、アミノカルボン酸化合物(A1)及び/又はラクタム化合物(A2)]、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(B)(Yはポリオキシブチレンである)、及びジカルボン酸(C)を重合して得られるポリエーテルポリアミドエラストマーである。
次に、アミノカルボン酸化合物(A1)及びラクタム化合物(A2)について説明する。
本発明に使用するアミノカルボン酸化合物(A1)は、下記式(1)で表される化合物である。
H2N−R1−COOH (1)
本発明に使用するXYX型トリブロックポリエーテルジアミン(B)は、下記式(3)で表される化合物であり、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールなどの両末端にプロピレンオキシドを付加することによりポリプロピレングリコールとした後、このポリプロピレングリコールの末端にアンモニアなどを反応させることによって製造されるポリエーテルジアミンなどを用いることができる。
本発明に使用するジカルボン酸化合物(C)は、下記式(4)で表される化合物である。
HOOC−(R3)m−COOH (4)
ここで、R3は、炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数1〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜15の上記炭化水素基又は炭素数1〜15のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜12の上記炭化水素基又は炭素数2〜12のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数4〜10の上記炭化水素基又は炭素数4〜10のアルキレン基を示すものである。また、mは0又は1を示す。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造方法として、一例を挙げると、ポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン及びジカルボン酸の三成分を、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができ、さらにポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン及びジカルボン酸の三成分を同時に、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができる。なお、ポリアミド形成性モノマーとジカルボン酸の二成分を先に重合させ、ついで、XYX型トリブロックポリエーテルジアミンを重合させる方法も利用できる。
これらの使用量は、最終的に得られるエラストマーの相対粘度が1.2〜2.0(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)の範囲になるように適宜添加することが好ましい。
またポリエーテルポリアミドエラストマーはガスバリア性を有しているが他の樹脂と混合することにより、さらにガスバリア性を上げることができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーは、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形などの公知の成形方法により、シート状成形物を得ることができる。
本発明で使用するジエン系ゴムとしては、特に制限なく、公知のものを使用することができる。例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系単量体の重合体;アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ニトリルクロロプレンゴム、ニトリルイソプレンゴムなどのアクリロニトリル−ジエン共重合ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンクロロプレンゴム、スチレンイソプレンゴムなどのスチレン−ジエン共重合ゴム,エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などが挙げられる。この中で、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム,イソプレンゴムが好ましい。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
シリカの配合量はゴム成分に対して、好ましくは35〜100重量部、さらに好ましくは35〜90重量部、より好ましくは40〜80重量部、特に好ましくは40〜70重量部が好ましい。この範囲より小さい場合、接着強度の改善効果が不十分であり、この範囲を超える場合は、ゴムが硬くなりすぎるため、好ましくない。
カップリング剤としては、アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂初期縮合物や酸無水物、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等が好ましい。
ジエン系ゴムシートの製造方法としては、特に制限はなく、従来公知のロール、バンバリーミキサー等のゴム用混練装置を用いて、ジエン系ゴム及び上記添加剤を混合・混練し、得られた混合物を射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形などの公知の成形方法により、シート状成形物を得ることができる。
本発明の多層構造体は、上記ポリエーテルポリアミドエラストマーと上記架橋したジエン系ゴムとを積層した積層体である。
本発明の多層構造体は、ポリエーテルポリアミドエラストマーからなる層と、架橋したジエン系ゴム層を1層又は2層以上有する。各層の厚さは特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層体における全体の層数、用途などに応じて調節し得る。
また、積層体の層数は2層以上であるが、積層体における全体の層数は特に制限されず、いずれでもよい。積層体製造装置の機構から判断して、好ましくは7層以下、さらに好ましくは2層〜5層である。
カルボキシ基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸及びこれらカルボン酸の金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フマル酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等が挙げられる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーと架橋したジエン系ゴムとは、熱プレス成形や射出成形によって積層することができ、必要に応じて加圧してもよく、減圧雰囲気下で加圧成形してもよい。
成形温度としては、120〜250℃の範囲が好ましく、130〜230℃の範囲がさらに好ましく、130〜220℃の範囲が特に好ましい。
基材層は、X層及びY層のポリマーを除く、他のポリマー材料から得られるフィルム、シート、膜及び成形物など;天然・合成繊維、ガラス・セラミックスなどを原料とする無機繊維から得られる織物、編物、組み物及び不織布など;ガラス、金属、セラミックス、塗膜、紙など;皮革などを用いることができる。
接着層は、公知の各接着成分、接着性を有するシートやフィルムなどを用いることができ、本発明の特性を損なわないものを用いることが好ましい。
試薬特級品のm−クレゾールを溶媒として、5g/dm3の濃度で、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
重合物約1gに40ミリリットルのベンジルアルコールを加え、窒素ガス雰囲気で加熱溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてフェノールフタレインを加えて、N/20水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定した。
重合物約1gを40ミリリットルのフェノール/メタノール混合溶媒(容量比:9/1)に溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてチモールブルーを加えて、N/20塩酸で滴定した。
Tm及びTcは、株式会社島津製作所製示差走査熱量計DSC−50を用いて窒素雰囲気下で測定した。室温から230℃まで10℃/minの速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、230℃で10分保持したのち、−100℃まで10℃/minの速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に230℃まで10℃/minの速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度をTc、昇温セカンドランの吸熱ピーク温度をTmとした。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの組成は、重トリフロロ酢酸を溶媒として、4質量%の濃度で、日本電子株式会社製JNM−EX400WB型FT−NMRを用いて、室温で測定したプロトンNMRスペクトルから各成分の組成を求めた。
ASTM D2240に準拠してショアDを測定した。射出成形により成形した厚さ6mmのシートを用いて測定した。測定は、温度23℃で行った。
(i)引張り試験(引張り降伏点強さ及び引張り破断伸び):ASTM D638に記載のTypeIの試験片をASTM D638準拠して測定した。
(ii)曲げ試験(曲げ弾性率及び曲げ強度):試験片寸法6.35mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D790に準拠して測定した。
(iii)衝撃強さ(アイゾットノッチ付):試験片寸法12.7mm×12.7mm×63.5mmの試験片を用いてASTM D256に準拠し、23℃で測定した。
(iv)荷重たわみ温度:試験片寸法6.35mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D648に準拠し、荷重0.45MPaで測定した。
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸11.231kg、アジピン酸1.089kg、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製XTJ−542、アミン価:1.94meq/g)7.680kg、次亜リン酸ナトリウム1水和物6g及び耐熱剤(吉富製薬製トミノックス917)60gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを186リットル/時間で供給しながら、容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら3.5時間かけて室温から230℃まで昇温し、さらに容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら230℃で4時間重合を行い、重合体を得た。重合終了後、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明の重合体を紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約15kgのペレットを得た。得られたペレットは無色半透明強靭でゴム弾性に富む重合体であり、ηr=1.98であった。
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸13.248kg、アジピン酸1.092kg、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製XTJ−542、アミン価:1.94meq/g)5.256kg、イソホロンジアミン(Degussa社製 商品名:VESTAMIN IPD)0.404kg、次亜リン酸ナトリウム1水和物6g及び耐熱剤(吉富製薬製トミノックス917)60gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを186リットル/時間で供給しながら、容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら3.5時間かけて室温から230℃まで昇温し、さらに容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら230℃で4時間重合を行い、重合体を得た。重合終了後、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明の重合体を紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約15kgのペレットを得た。得られたペレットは無色半透明強靭でゴム弾性に富む重合体であり、ηr=1.99であった。
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産(株)製)12.897kg及びアジピン酸0.906kg(試薬特級)を仕込んだ。容器を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/時で供給しながら徐々に加熱した。攪拌は速度20rpmで行った。3時間かけて室温から240℃まで昇温し、230℃で4時間重合を行い、ナイロン12のオリゴマーを合成した。
このオリゴマーにポリテトラメチレングリコール(BASF社製、PolyTHF1000)6.197kg、テトラブチルジルコネート0.020kg及び酸化防止剤(吉富製薬製、商品名:トミノックス917)0.050kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/時で供給しながら徐々に加熱を行った。攪拌は速度20rpmで行った。3時間かけて室温から210℃まで昇温し、210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて50Paとし、2時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、230℃、約30Paで3時間重合を行い終了した。次に、攪拌を停止し、重合層内に窒素ガスを供給し圧力を常圧に戻した。次にポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約13kgのペレットを得た。
得られたポリマーはポリエーテルエステルアミドであり、ペレットは白色強靭でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr=2.01であった。
(1)ポリエーテルポリアミドエラストマー(PAE)シートの作製
前記製造例で得られたPAE1〜3のペレット約25gをスペーサー(150mm×150mm、厚み1.5mm)にセットした。次に、上記スペーザー、金属プレート及びテフロン(登録商標、以下同じ)シートを、金属プレート/テフロンシート/スペーサー/テフロンシート/金属プレートの層構成となるようにセットし、これをプレス成形機にセットし、加圧なしで1分間、190℃で予熱した後、10kg/cm2で1分間、190℃で加圧プレスした後に取り出し、2分間冷却し成形した。
表1に示すゴム配合成分のうち、架橋剤(硫黄含む)、加硫促進剤を除くゴムとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。
次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で架橋剤(硫黄含む)、加硫促進剤を混練し、二次混練物を得た。次に、得られた二次混合物をプレス機中で、160℃,10MPa、15分間(硫黄の場合は30分)の条件で硬化させ、150mm×150mm×2mmのゴムシートを作成した。
(3)積層体シートの作製
上記(1)、(2)で作製したPAEシート及びジエン系ゴムシートを表2に示す組合せで用い、PAE/ジエン系ゴム/PAEとなるように3層に重ねて、150mm×150mm及び厚み5mmのスペーサーにセットした。
次に、上記スペーサー、金属プレート層及びテフロンシートを、層構成が金属プレート/テフロンシート/スペーサー/テフロンシート/金属プレートとなるようにセットし、これをプレス成形機にセットした。次に温度条件を160℃とし、加圧なしで5分間、上記温度で予熱した後、10kg/cm2で5分間、同温で加圧プレスした後に取り出し、2分間冷却して成形した。上記サンプルを25mm幅で切り出し、試験用サンプルとしてT剥離試験に使用した。
剥離強度は、オリエンテック株式会社製、テンシロン2500を用い、引張速度50mm/分で行った。結果を表2に示す。
Claims (6)
- 下記式(1)で表わされるアミノカルボン酸化合物(A1)及び/又は下記式(2)で表わされるラクタム化合物(A2)、下記式(3)で表わされるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(B)、並びに下記式(4)で表わされるジカルボン酸化合物(C)を重合して得られるポリエーテルポリアミドエラストマーと、
ゴム成分に対してシリカが35重量部から100重量部含み架橋したジエン系ゴムとが積層された多層構造体。
H2N−R1−COOH (1)
[但し、R1は、炭化水素鎖を含む連結基を表わす。]
HOOC−(R3)m−COOH (4)
[但し、R3は、炭化水素鎖を含む連結基を表わし、mは0又は1である。]
- ジエン系ゴムにおいて、ゴム成分に対して架橋剤が0.1重量部から5.0重量部含むことを特徴とする請求項1記載の多層積層体。
- ポリエーテルポリアミドエラストマーのm−クレゾールを溶媒として5g/dm3濃度でオストワルド粘度計を用いて25℃で測定した相対粘度が2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層構造体。
- ポリエーテルポリアミドエラストマーの結晶化温度が138℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造体。
- ジエン系ゴムが、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロ二トリルブタジエンゴム,天然ゴム,イソプレンゴム,ブチルゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多層構造体。
- ジエン系ゴムを架橋したのちにポリエーテルポリアミドエラストマーと積層してなる請求項1〜5のいずれかに記載の多層構造体。
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