JP2009291838A - レーザ溶接構造およびレーザ溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーザ光が照射されるリード30は、Niめっきからなるめっき層32を有している。リード30にめっき層32を設けることにより、リード本体31をCuまたはCu合金で形成する場合でも、レーザ光の反射率が低下し、リード30へのエネルギーの吸収率が増大する。また、Niめっきからなるめっき層32は、リード本体31よりも融点が低く、溶融時の種となる部分が容易に形成される。これにより、複雑な工程を経ることなく、レーザ光を用いてCuまたはCu合金からなるリード30と導電部材40とを溶接することができる。
【選択図】図1
Description
請求項7記載の発明では、Niめっき層はリードの先端面を含むリードの全体に設けられている。そのため、照射されたレーザ光によって溶融する部分は拡大する。したがって、溶接部の生成を促すことができる。
請求項11記載の発明では、リードに照射するレーザ光の出力は徐々に低下させる。これにより、溶融した溶接部の温度変化は小さくなる。したがって、再凝固時におけるクラックの生成を低減することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるレーザ溶接構造を適用したレーザ溶接部を図1に示す。図1に示すレーザ溶接部10は、例えば図2に示すようにモータ11と一体に組み付けられているモールド集積回路装置12に適用される。モールド集積回路装置12は、図3に示すように樹脂パッケージ13に封止された処理部14および制御部15を有している。処理部14は、例えばマイクロコンピュータを構成するCPUやメモリなどの多ピンの集積回路チップ16が設けられている。制御部15は、例えばパワーMOSFETなどのパワー素子17が設けられている。処理部14の集積回路チップ16が搭載されている基板18と、制御部15のパワー素子17が設けられている基板19とは、例えばAu(金)などからなるボンディングワイヤ21によって電気的に接続されている。モールド集積回路装置12は、樹脂パッケージ13から外側へ突出する複数のリード22およびリード30を有している。リード22は、Auなどからなる細線のボンディングワイヤ23によって処理部14の基板18と電気的に接続されている。また、リード30は、Al(アルミニウム)などからなる太線ワイヤ24によって制御部15のパワー素子17と電気的に接続されている。リード22は、図2に示すようにモータ11に設けられている導電部材40と接続される。
めっき層32を含むリード30の板厚をt1とし、めっき層42を含む導電部材40の板厚をt2としたとき、t2≧2×t1であることが望ましい。これは、導電部材40の板厚t2が十分でないとき、リード30に照射されたレーザ光の出力が大きいと、導電部材40はリード30とは反対側の面まで溶融するおそれがある。そのため、導電部材40の板厚t2をリード30の板厚t1の2倍以上に設定することにより、レーザ光の出力に関わらず、導電部材40の溶融が回避される。また、めっき層32を含むリード30の幅をw1とし、めっき層42を含む導電部材40の幅をw2としたとき、w2>w1であることが望ましい。これは、導電部材40の幅w2が十分でないとき、リード30と導電部材40との位置あわせが困難になるだけでなく、溶接部50の先端51が適正な円弧形状になりにくいからである。そのため、導電部材40の幅w2をリード30の幅w1より大きく設定することにより、リード30と導電部材40との位置あわせが容易になるとともに、溶接部50の先端形状を適正な円弧形状とすることができる。
第1実施形態では、リード30と導電部材40とをレーザ溶接することにより、微少な範囲での溶接が可能である。そのため、モータ11とモールド集積回路装置12との一体化のように、微少な間隔でリード30が配列されているモールド集積回路装置12とモータ11の導電部材40との溶接を確実に実施することができる。
本発明の第2実施形態によるレーザ溶接構造を図7に示す。
第2実施形態では、レーザ溶接構造は、図7に示すようにリード30の先端面33にもめっき層32が設けられている。すなわち、めっき層32は、リード30の厚さ方向の両端面および幅方向の両端面だけでなく、先端面33にも設けられている。このように、めっき層32をリード30の先端面33にも設けることにより、融点が低いめっき層32が拡大する。これにより、レーザ光の照射時に融点の低いめっき層32において、溶融の種となる部分の形成が容易になる。したがって、溶接部50の生成を促すことができる。
第2実施形態のようにリード30の先端面33にめっき層32を設ける場合、リード30を図示しないフレームから打ち抜いた後、めっき層32を形成することが望ましい。この場合、リード30は、先端面33を除く各面にめっき層32を形成しておいてもよい。
本発明の第3、第4実施形態によるレーザ溶接構造をそれぞれ図8または図9に示す。
第3実施形態では、図8に示すようにリード30は、面取り部34を有している。面取り部34は、リード30の先端面33における角部を切除して形成されている。すなわち、リード30の先端は、レーザ光の照射範囲61の周囲が平面状に切除されている。図8では、レーザ光の照射によって形成される溶接部50を破線で示している。
第4実施形態では、図9に示すようにリード30は、面取り部35を有している。面取り部35は、リード30の円弧形状の先端面33として設けられている。すなわち、リード30の先端は、レーザ光の照射範囲61を含めて円弧形状に形成されている。図9では、レーザ光の照射によって形成される溶接部50を破線で示している。
図10に示すように、レーザ照射装置60をガス供給ノズル63に収容し、レーザ光を照射するとき、ガス供給ノズル63からレーザ光の照射部分へ不活性ガスを供給してもよい。不活性ガスとしては、N2(窒素)やAr(アルゴン)などを適用可能である。溶接部50となるレーザ光の照射部分へ不活性ガスを供給することにより、溶融した溶接部50の表面張力が変化する。この表面張力は、溶接部50へ供給される不活性ガスによって変化する。表面張力を変化させることにより、溶接部50が再凝固するとき、中心側への結晶の成長が促される。したがって、溶接部50の再凝固時におけるクラックの生成を低減することができる。
上記の複数の実施形態で説明したレーザ溶接部10の適用先は一例であり、モータ11とモールド集積回路装置12との溶接に限らず、その他のCu合金のリードと導電部材との溶接に適用することができる。
Claims (11)
- Niめっき層を有するCuまたはCu合金からなるリードと、
前記リードと接続され、CuまたはCu合金からなる導電部材と、
前記リードと前記導電部材との間をレーザ溶接により接続し、先端側が凸状の曲線形状に形成されている溶接部と、
を備えることを特徴とするレーザ溶接構造。 - 前記リードの厚さをt1とし、前記導電部材の厚さをt2としたとき、t2≧2×t1であることを特徴とする請求項1記載のレーザ溶接構造。
- 前記リードの幅をw1とし、前記導電部材の幅をw2としたとき、w2>w1であることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ溶接構造。
- 前記リードは、先端に面取り部を有することを特徴とする請求項1、2または3記載のレーザ溶接構造。
- 前記面取り部は、前記リードの角部を切除して形成されていることを特徴とする請求項4記載のレーザ溶接構造。
- 前記面取り部は、前記リードの端部で凸状の曲線形状に形成されていることを特徴とする請求項4記載のレーザ溶接構造。
- 前記Niめっき層は、前記リードの厚さ方向の両端面、前記リードの幅方向の両端面、および先端側の端面を覆っていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載のレーザ溶接構造。
- CuまたはCu合金からなる導電部材に、Niめっき層が形成されたCuまたはCu合金からなるリードを重ねる工程と、
前記導電部材に重ねられた前記リードの前記導電部材と反対側の端面において前記リードの先端にレーザ光を照射し、前記リードから突出して先端が凸状の曲線形状の溶接部を形成する工程と、
を含むことを特徴とするレーザ溶接方法。 - 前記溶接部を形成する工程において照射されるレーザ光の照射範囲は、前記リードの先端を含み直径が前記リードの幅の1/2以上であることを特徴とする請求項8記載のレーザ溶接方法。
- 前記溶接部を形成する工程において、レーザ光の照射部位に不活性ガスを供給することを特徴とする請求項8または9記載のレーザ溶接方法。
- 前記溶接部を形成する工程において、前記溶接部の形成後、前記リードに照射するレーザ光の出力を徐々に低下させることを特徴とする請求項8、9または10記載のレーザ溶接方法。
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