JP2009291838A - レーザ溶接構造およびレーザ溶接方法 - Google Patents

レーザ溶接構造およびレーザ溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】装置の大型化および複雑化ならびに加工性の低下を招くことなく、CuまたはCu合金で形成された溶接対象を微少な範囲でレーザ溶接し、溶接時のクラックが低減されるレーザ溶接構造およびレーザ溶接方法を提供する。
【解決手段】レーザ光が照射されるリード30は、Niめっきからなるめっき層32を有している。リード30にめっき層32を設けることにより、リード本体31をCuまたはCu合金で形成する場合でも、レーザ光の反射率が低下し、リード30へのエネルギーの吸収率が増大する。また、Niめっきからなるめっき層32は、リード本体31よりも融点が低く、溶融時の種となる部分が容易に形成される。これにより、複雑な工程を経ることなく、レーザ光を用いてCuまたはCu合金からなるリード30と導電部材40とを溶接することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ溶接構造およびレーザ溶接方法に関し、特にCuまたはCu合金からなるリードと導電部材とをレーザ光で溶接するレーザ溶接構造およびレーザ溶接方法に関する。
レーザ光を利用したレーザ溶接は、数ms程度の短時間で溶接工程が完了するという利点がある。一方、レーザ光は銅(Cu)やCu合金に対する反射率が大きいため、CuやCu合金はレーザ光のエネルギーを吸収しにくい。また、CuやCu合金は、熱伝導率が高いため、レーザ光の照射によって溶融した部分が再凝固しやすく、凝固にともなうクラックが生じやすいという問題がある。
そこで、特許文献1では、重ね合わせた二つの部材の先端部分を溶接することが開示されている。また、特許文献2では、レーザ光に代えて電子ビームによりCuやCu合金を溶接することが開示されている。さらに、特許文献3では、めっき層を形成したCuからなる部材の先端を斜めに切除することにより、レーザ光による溶接の実現を図っている。特許文献4では、溶接の対象となる部材を薄板化あるいは折り曲げることにより、この部材に弾性力を付与している。
しかしながら、特許文献1の場合、溶接の対象となる部材は筒状であることを前提としている。そのため、例えば狭小な間隔で配置された半導体装置のリードと導電部材との溶接などに適用は困難である。また、特許文献1の場合、レーザ光の反射率の大きなCuやCu合金を用いることについては想定していない。特許文献2の場合、電子ビームによる溶接の際に、溶接の対象となる部材に電流が流れるおそれがある。そのため、例えば半導体装置のリードと導電部材とを電子ビームにより溶接する場合、半導体装置の素子破壊を招くおそれがある。また、電子ビームによる溶接は、溶接部分を真空状態にする必要があるため、装置の大型化や複雑化を招くという問題がある。さらに、特許文献3の場合、溶接の対象となる部材は、端部を板厚方向に対し斜めに切除する必要があり、量産性の低下を招くという問題がある。また、特許文献4の場合、溶接の対象となる部材は、端部を薄く加工する必要があったり、曲げ工程が必要であったりと、量産性の低下を招くという問題がある。
特開平11−104865号公報 特開2007−54854号公報 特開平11−5182号公報 特開2007−144436号公報
そこで、本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の大型化および複雑化ならびに加工性の低下を招くことなく、CuまたはCu合金で形成された溶接対象を微少な範囲でレーザ溶接し、溶接時のクラックが低減されるレーザ溶接構造およびレーザ溶接方法を提供することにある。
請求項1または8記載の発明では、レーザ光が照射されるリードに例えば無電解Ni−P(ニッケル−リン)または電気NiめっきなどNiを含む材料からなるNiめっき層を形成している。リードにこのようなNiめっき層を形成することにより、リードをCuまたはCu合金で形成する場合でも、レーザ光の反射率が低下すなわちエネルギーの吸収率が増大する。また、Niめっき層は、CuまたはCu合金よりも融点が低いため、溶融時の種となる部分が容易に形成される。したがって、装置の大型化および複雑化を招くことなく、CuまたはCu合金で形成されたリードおよび導電部材を微少な範囲でレーザ溶接することができる。
また、請求項1または8記載の発明では、溶接部は、先端が凸状の曲線形状に形成される。これにより、レーザ光の照射により溶融した部分が再凝固する際、結晶は中心へ向けて生成し、溶接部には圧縮方向の応力が加わる。さらに、先端が凸状の曲線形状の溶接部を形成することにより、リードの先端の形状に関わらずレーザ光による溶接が可能となる。したがって、量産性の低下を招くことなくCuまたはCu合金で形成されたリードおよび導電部材をレーザ光で溶接することができるとともに、溶接時の溶融部分の再凝固にともなうクラックの生成を低減することができる。
請求項2記載の発明では、導電部材の厚さt2は、リードの厚さt1の2倍以上に設定されている。リードと導電部材とを溶接するとき、導電部材に重ねられたリードにレーザ光が照射される。導電部材の厚さt2がリードの厚さt1の2倍より小さいとき、照射されたレーザ光によってリードだけでなく導電部材まで溶融するおそれがある。導電部材が溶融すると、溶接部の先端を凸状の曲線形状に形成することが困難になる。したがって、t2≧2×t1とすることにより、レーザ光によってリードと導電部材とを安定して溶接することができる。
請求項3記載の発明では、導電部材の幅w2は、リードの幅w1より大きく設定されている。リードと導電部材とを溶接するとき、導電部材に重ねられたリードにレーザ光が照射される。導電部材に対するリードの幅が大きくなると、適正な位置あわせが困難になるだけでなく、溶接部の先端を凸状の曲線形状に形成することが困難になる。溶接部の先端の形状が凸状の曲線形状でなくなると、溶接部において再凝固時にクラックが生じやすくなる。したがって、w2>w1とすることにより、レーザ光によってリードと導電部材とを安定して溶接することができる。
請求項4記載の発明では、リードの先端に面取り部を有している。リードの先端にレーザ光を照射することにより形成される溶接部の先端における形状は、リードの先端の形状によって変化する。リードの先端に面取り部を設けることにより、溶接部の先端は適正な凸状の曲線形状を形成しやすくなる。したがって、溶接部における再凝固時のクラックの生成を低減することができる。
請求項5または6記載の発明では、面取り部は角部を切除した形状または凸状の曲線形状である。このように面取り部を形成することにより、溶接部の先端はリード部の面取り部に沿って適正な凸状の曲線形状を形成する。したがって、溶接部における再凝固時のクラックの生成を低減することができる。また、請求項5の発明では、面取り部は角部を切除した形状であるので、例えばフレームと一体に形成されているリードをフレームから打ち抜くとき、リードの打ち抜きとともに面取り部が容易に形成される。したがって、工数の増大を招くことなく面取り部を形成することができる。
請求項7記載の発明では、Niめっき層はリードの先端面を含むリードの全体に設けられている。そのため、照射されたレーザ光によって溶融する部分は拡大する。したがって、溶接部の生成を促すことができる。
請求項9記載の発明では、レーザ光の照射範囲の直径はリードの幅の1/2以上である。そして、レーザ光の照射範囲には、リードの先端が含まれている。レーザ光をリードの先端を含む範囲に照射することにより、リードの先端から突出する溶接部が形成される。そして、レーザ光の照射範囲の直径をリードの幅の1/2以上とすることにより、レーザ光はリードの先端を含む広範囲に照射される。リードの幅がレーザ光の照射範囲の直径に対して大きくなると、溶接部の先端を適正な凸状の曲線形状に形成することが困難になる。溶接部の先端の形状が凸状の曲線形状でなくなると、溶接部において再凝固時にクラックが生じやすくなる。したがって、レーザ光の照射範囲の直径をリードの幅の1/2以上と設定することにより、レーザ光によってリードと導電部材とを安定して溶接することができる。
請求項10記載の発明では、レーザ光の照射時に照射部位へ不活性ガスを供給することにより、溶融した溶接部の表面張力が変化する。この表面張力は、照射部位へ供給される不活性ガスによって変化する。表面張力を変化させることにより、溶融した部分が再凝固するとき、中心側への結晶の成長が促される。したがって、再凝固時におけるクラックの生成を低減することができる。
請求項11記載の発明では、リードに照射するレーザ光の出力は徐々に低下させる。これにより、溶融した溶接部の温度変化は小さくなる。したがって、再凝固時におけるクラックの生成を低減することができる。
本発明の第1実施形態によるレーザ溶接構造を適用したレーザ溶接部を示す模式図であり、(A)は断面図、(B)は(A)の矢印A方向からの矢視図 本発明の第1実施形態によるレーザ溶接構造が適用されるモータを示す概略図 本発明の第1実施形態によるレーザ溶接構造が適用されるモールド集積回路装置を示す模式図 本発明の第1実施形態によるレーザ溶接構造のリードおよび導電部材を示す模式図であり、(A)は断面図、(B)は(A)の矢印A方向からの矢視図 本発明の第1実施形態によるレーザ溶接構造における溶接部の結晶を示す模式図 従来のレーザ溶接構造における溶接部の結晶を示す模式図 本発明の第2実施形態によるレーザ溶接構造のリードおよび導電部材の断面を示す模式図 本発明の第3実施形態によるレーザ溶接構造のリードおよび導電部材の平面視を示す模式図 本発明の第4実施形態によるレーザ溶接構造のリードおよび導電部材の平面視を示す模式図 本発明のその他の実施形態によるレーザ溶接構造を示す模式図 本発明のその他の実施形態によるレーザ溶接におけるレーザ光の出力変化を示す模式図
以下、本発明のレーザ溶接構造およびレーザ溶接方法の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態おいて実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるレーザ溶接構造を適用したレーザ溶接部を図1に示す。図1に示すレーザ溶接部10は、例えば図2に示すようにモータ11と一体に組み付けられているモールド集積回路装置12に適用される。モールド集積回路装置12は、図3に示すように樹脂パッケージ13に封止された処理部14および制御部15を有している。処理部14は、例えばマイクロコンピュータを構成するCPUやメモリなどの多ピンの集積回路チップ16が設けられている。制御部15は、例えばパワーMOSFETなどのパワー素子17が設けられている。処理部14の集積回路チップ16が搭載されている基板18と、制御部15のパワー素子17が設けられている基板19とは、例えばAu(金)などからなるボンディングワイヤ21によって電気的に接続されている。モールド集積回路装置12は、樹脂パッケージ13から外側へ突出する複数のリード22およびリード30を有している。リード22は、Auなどからなる細線のボンディングワイヤ23によって処理部14の基板18と電気的に接続されている。また、リード30は、Al(アルミニウム)などからなる太線ワイヤ24によって制御部15のパワー素子17と電気的に接続されている。リード22は、図2に示すようにモータ11に設けられている導電部材40と接続される。
次に、図1に基づいてレーザ溶接部10について詳細に説明する。レーザ溶接部10は、モールド集積回路装置12のリード30と、モータ11の導電部材40との接続部分に構成される。すなわち、レーザ溶接構造であるレーザ溶接部10は、リード30および導電部材40を構成要素として備えている。このリード30と導電部材40とは、溶接部50において接続されている。溶接部50は、リード30の先端から導電部材40側へ形成されている。溶接部50は、図1(B)に示すように先端51が円弧形状に形成されている。なお、本明細書中において溶接部50の先端51は、凸状の曲線形状として円弧形状を例示している。しかし、溶接部50の先端51は、真の円弧形状に限らず、凸状の曲線形状であれば他の類似する曲線形状でもよい。以下、本明細書中では、凸状の曲線形状として円弧形状を例に説明する。このように、溶接部50は、先端51部分すなわちリード30のモールド集積回路装置12とは反対側の端部が円弧形状に形成される。溶接部50は、図1(A)の下方、すなわち導電部材40側の一部が導電部材40に潜り込んで形成されている。このような溶接部50により、リード30と導電部材40とは電気的および機械的に接続されている。
リード30は、図4(A)に示すようにリード本体31およびめっき層32を有している。リード本体31は、Cu(銅)またはCu合金から薄板状に形成されている。めっき層32は、例えば無電解Ni−P(ニッケル−リン)めっきまたは電気NiめっきなどのNiを含む材料からなり、リード本体31の少なくとも厚さ方向の両端面および幅方向の両端面に設けられている。すなわち、めっき層32は、リード本体31の先端面33を除く各面に形成されている。一方、導電部材40は、導電部材本体41およびめっき層42を有している。導電部材本体41は、リード本体31と同様にCuまたはCu合金から薄板状に形成されている。めっき層42は、Sn(錫)めっきからなり、導電部材本体41の少なくとも厚さ方向の両端面および幅方向の両端面に設けられている。なお、導電部材40のめっき層42は、Snめっきに限らず、その他のめっきでもよい。
図2に示すようにレーザ溶接部10によりリード30と導電部材40とを溶接する場合、図4に示すようにめっき層42を有する導電部材40にめっき層32を有するリード30が重ねられる。導電部材40に重ねられたリード30には、レーザ照射装置60からレーザ光が照射される。レーザ照射装置60は、例えばYAGレーザなどを照射する。レーザ照射装置60から照射されるレーザ光は、図4(B)に示すようにリード30の先端面33を含む円形状の照射範囲61に照射される。リード30にレーザ光を照射することにより、リード30とともに導電部材40が溶融し、溶接部50が形成される。リード30および導電部材40の溶融によって形成される溶接部50は、図1に示すように先端51が円弧形状に形成される。
詳細には、リード30にレーザ照射装置60からレーザ光を照射すると、リード本体31に先立ってめっき層32が溶融する。これは、CuまたはCu合金からなるリード本体31に比較して、Niめっきからなるめっき層32はレーザ光の反射率が低くかつ融点が低いからである。このように、リード本体31に先立ってめっき層32が溶融することにより、リード30にはめっき層32によって溶融の種となる部分が生成する。リード本体31は、この溶融しためっき層32によっての溶融が促される。レーザ光の照射により溶融した部分は、さらに導電部材40のめっき層42および導電部材本体41を溶融しつつ導電部材本体41へ潜り込む。これにより、リード30と導電部材40とを接続する溶接部50が形成される。
次に、レーザ溶接部10を構成するリード30および導電部材40の寸法、ならびに照射されるレーザ光の照射条件を説明する。
めっき層32を含むリード30の板厚をt1とし、めっき層42を含む導電部材40の板厚をt2としたとき、t2≧2×t1であることが望ましい。これは、導電部材40の板厚t2が十分でないとき、リード30に照射されたレーザ光の出力が大きいと、導電部材40はリード30とは反対側の面まで溶融するおそれがある。そのため、導電部材40の板厚t2をリード30の板厚t1の2倍以上に設定することにより、レーザ光の出力に関わらず、導電部材40の溶融が回避される。また、めっき層32を含むリード30の幅をw1とし、めっき層42を含む導電部材40の幅をw2としたとき、w2>w1であることが望ましい。これは、導電部材40の幅w2が十分でないとき、リード30と導電部材40との位置あわせが困難になるだけでなく、溶接部50の先端51が適正な円弧形状になりにくいからである。そのため、導電部材40の幅w2をリード30の幅w1より大きく設定することにより、リード30と導電部材40との位置あわせが容易になるとともに、溶接部50の先端形状を適正な円弧形状とすることができる。
レーザ光の照射範囲61は、リード30の先端面33を含む円形状の範囲に設定されている。これとともに、レーザ光の照射範囲61の径dは、リード30の幅w1の1/2以上に設定されている。すなわち、d≧w1/2である。但し、レーザ光の照射範囲61は、リード30の幅w1を超えることは望ましくない。したがって、w1>d≧w1/2であることが望ましい。このように、レーザ光の照射範囲61をリード30の先端面33を含む径dと設定することにより、溶接部50の先端51は適正な円弧形状となる。言い換えると、リード30の先端面33よりもモールド集積回路装置12側へ大きくずれた位置にレーザ光を照射したり、レーザ光の照射範囲61の径dがリード30の幅w1に対し極端に小さくなると、溶接部50の先端51は適正な円弧形状とならない。
以上のような条件を満たすようにレーザ光は照射される。なお、第1実施形態における各部の寸法の具体例は次の通りである。リード30の板厚t1および幅w1は、それぞれt1=0.25mm、w1=0.6mmである。導電部材40の板厚t2および幅w2は、それぞれt2=0.5mm、w2=0.8mmである。レーザ光は、リード30の先端面33から0.15mmの位置に径d=0.3mmの範囲で照射される。また、リード30のめっき層32の厚さは3μmから7μmであり、導電部材40のめっき層42の厚さは0.8μmから1.5μmである。めっき層32およびめっき層42の厚さは、上記の例に関わらず、任意の範囲で形成することができる。また、リード30や導電部材40の板厚および幅、ならびにレーザ光の照射位置などについても、上述の条件を満たす範囲で任意に寸法を変更可能である。
上記のような条件を満たすようにレーザ光を照射することにより、図1に示すように溶接部50の先端51は適正な円弧形状を形成する。このように溶接部50をリード30から突出するとともに先端51の形状を円弧形状にすることにより、図5に示すように溶接部50の内部の結晶52は中心側へ収縮する方向へ成長する。すなわち、レーザ光の照射によって溶融しためっき層32、リード本体31、めっき層42および導電部材本体41の混合物からなる溶接部50は、レーザ光の照射を停止することにより再び結晶化して凝固する。この凝固時に生成する結晶52は、溶接部50の先端51の形状を円弧状にすることにより、中心側へ向けて成長する。これにより、溶接部50には、再凝固時に中心側へ収縮する応力が加わる。その結果、溶接部50の再凝固時におけるクラックの生成が低減される。
一方、図6に示すようにリード130と導電部材140とを重ねた後、リード130の先端から離れた部分にレーザ光を照射する従来例の場合、溶接部150の再凝固時に生成する結晶151は、レーザ光の照射の停止によって照射面へ向けて成長する。そのため、溶接部150には、外向きの収縮応力が加わる。その結果、溶接部150の再凝固時にクラック152の生成を招く。
以上説明したように、第1実施形態では、レーザ光が照射されるリード30にNiめっきからなるめっき層32を形成している。リード30にめっき層32を形成することにより、リード本体31をCuまたはCu合金で形成する場合でも、レーザ光の反射率が低下し、リード30へのエネルギーの吸収率が増大する。また、Niめっきからなるめっき層32は、リード本体31よりも融点が低いため、溶融時の種となる部分が容易に形成される。したがって、電子ビームによる溶接などのように装置の大型化および複雑化を招くことなく、レーザ光を用いてリード30と導電部材40とを溶接することができる。
第1実施形態では、リード30と導電部材40とをレーザ溶接することにより、微少な範囲での溶接が可能である。そのため、モータ11とモールド集積回路装置12との一体化のように、微少な間隔でリード30が配列されているモールド集積回路装置12とモータ11の導電部材40との溶接を確実に実施することができる。
第1実施形態では、溶接部50は、先端51が円弧形状に形成されている。これにより、レーザ光の照射により溶融した溶接部50が再凝固する際、溶接部50の結晶は中心へ向けて生成し、溶接部50には圧縮方向の応力が加わる。したがって、溶接時の溶融部分の再凝固にともなうクラックの生成を低減することができる。また、リード30の先端に溶接部50を形成し、溶接部50の先端51を円弧形状とすることにより、リード30の先端を斜めに切断する必要がない。したがって、量産性の低下を招くことなくCuまたはCu合金で形成されたリード30と導電部材40とをレーザ光で溶接することができる。
第1実施形態では、リード30はNiめっきからなるめっき層32を有している。リード30は、導電部材40との反対側において太線ワイヤ24によってパワー素子17と接続されている。Niめっきからなるめっき層32は、Alからなる太線ワイヤ24との親和性も高い。したがって、リードにめっき層32を形成することにより、溶接部50によって導電部材40と接続することができるとともに、パワー素子17と接続する太線ワイヤ24との接続性も向上することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるレーザ溶接構造を図7に示す。
第2実施形態では、レーザ溶接構造は、図7に示すようにリード30の先端面33にもめっき層32が設けられている。すなわち、めっき層32は、リード30の厚さ方向の両端面および幅方向の両端面だけでなく、先端面33にも設けられている。このように、めっき層32をリード30の先端面33にも設けることにより、融点が低いめっき層32が拡大する。これにより、レーザ光の照射時に融点の低いめっき層32において、溶融の種となる部分の形成が容易になる。したがって、溶接部50の生成を促すことができる。
第2実施形態のようにリード30の先端面33にめっき層32を設ける場合、リード30を図示しないフレームから打ち抜いた後、めっき層32を形成することが望ましい。この場合、リード30は、先端面33を除く各面にめっき層32を形成しておいてもよい。
(第3、第4実施形態)
本発明の第3、第4実施形態によるレーザ溶接構造をそれぞれ図8または図9に示す。
第3実施形態では、図8に示すようにリード30は、面取り部34を有している。面取り部34は、リード30の先端面33における角部を切除して形成されている。すなわち、リード30の先端は、レーザ光の照射範囲61の周囲が平面状に切除されている。図8では、レーザ光の照射によって形成される溶接部50を破線で示している。
第4実施形態では、図9に示すようにリード30は、面取り部35を有している。面取り部35は、リード30の円弧形状の先端面33として設けられている。すなわち、リード30の先端は、レーザ光の照射範囲61を含めて円弧形状に形成されている。図9では、レーザ光の照射によって形成される溶接部50を破線で示している。
このように、第3実施形態ではリード30に角部を切除した面取り部34を設け、第4実施形態ではリード30の先端に円弧形状の面取り部35を設けている。このように面取り部34および面取り部35を設けることにより、レーザ光の照射時に溶融した溶接部50の先端51はリード30の先端面33の形状に近似する。その結果、溶接部50の先端51は、より適正な円弧形状を形成しやすくなる。したがって、溶接部50におけるクラックの生成を低減することができる。また、面取り部34、35を簡単な形状とすることにより、図示しないフレームからのリード30の打ち抜きと同時に面取り部34、35を形成することができる。
(その他の実施形態)
図10に示すように、レーザ照射装置60をガス供給ノズル63に収容し、レーザ光を照射するとき、ガス供給ノズル63からレーザ光の照射部分へ不活性ガスを供給してもよい。不活性ガスとしては、N(窒素)やAr(アルゴン)などを適用可能である。溶接部50となるレーザ光の照射部分へ不活性ガスを供給することにより、溶融した溶接部50の表面張力が変化する。この表面張力は、溶接部50へ供給される不活性ガスによって変化する。表面張力を変化させることにより、溶接部50が再凝固するとき、中心側への結晶の成長が促される。したがって、溶接部50の再凝固時におけるクラックの生成を低減することができる。
また、図11(B)に示すように、レーザ光の出力は、溶接部50を溶融した後、徐々に低下させてもよい。図11(A)に示す通常のレーザ光照射時に比較して、図11(B)に示すように溶接部50へ照射したレーザ光の出力を徐々に低下させることにより、溶融した溶接部50の温度の低下も緩やかになる。そのため、溶融した溶接部50が再凝固するとき、結晶はゆっくりと中心側へ成長する。したがって、溶接部50の再凝固時において溶接部50には中心側への応力が発生し、クラックの生成を低減することができる。
上記の複数の実施形態で説明したレーザ溶接部10の適用先は一例であり、モータ11とモールド集積回路装置12との溶接に限らず、その他のCu合金のリードと導電部材との溶接に適用することができる。
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
図面中、10はレーザ溶接部(レーザ溶接構造)、30はリード、32はめっき層(Niめっき層)、33は先端面、34、35は面取り部、40は導電部材、42はめっき層、50は溶接部、51は先端を示す。

Claims (11)

  1. Niめっき層を有するCuまたはCu合金からなるリードと、
    前記リードと接続され、CuまたはCu合金からなる導電部材と、
    前記リードと前記導電部材との間をレーザ溶接により接続し、先端側が凸状の曲線形状に形成されている溶接部と、
    を備えることを特徴とするレーザ溶接構造。
  2. 前記リードの厚さをt1とし、前記導電部材の厚さをt2としたとき、t2≧2×t1であることを特徴とする請求項1記載のレーザ溶接構造。
  3. 前記リードの幅をw1とし、前記導電部材の幅をw2としたとき、w2>w1であることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ溶接構造。
  4. 前記リードは、先端に面取り部を有することを特徴とする請求項1、2または3記載のレーザ溶接構造。
  5. 前記面取り部は、前記リードの角部を切除して形成されていることを特徴とする請求項4記載のレーザ溶接構造。
  6. 前記面取り部は、前記リードの端部で凸状の曲線形状に形成されていることを特徴とする請求項4記載のレーザ溶接構造。
  7. 前記Niめっき層は、前記リードの厚さ方向の両端面、前記リードの幅方向の両端面、および先端側の端面を覆っていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載のレーザ溶接構造。
  8. CuまたはCu合金からなる導電部材に、Niめっき層が形成されたCuまたはCu合金からなるリードを重ねる工程と、
    前記導電部材に重ねられた前記リードの前記導電部材と反対側の端面において前記リードの先端にレーザ光を照射し、前記リードから突出して先端が凸状の曲線形状の溶接部を形成する工程と、
    を含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
  9. 前記溶接部を形成する工程において照射されるレーザ光の照射範囲は、前記リードの先端を含み直径が前記リードの幅の1/2以上であることを特徴とする請求項8記載のレーザ溶接方法。
  10. 前記溶接部を形成する工程において、レーザ光の照射部位に不活性ガスを供給することを特徴とする請求項8または9記載のレーザ溶接方法。
  11. 前記溶接部を形成する工程において、前記溶接部の形成後、前記リードに照射するレーザ光の出力を徐々に低下させることを特徴とする請求項8、9または10記載のレーザ溶接方法。
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