JP2009291720A - 触媒組成物および触媒組成物の製造方法 - Google Patents

触媒組成物および触媒組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温下または酸化還元変動下、長期にわたって優れた触媒活性を発現することのでき、さらには、コストパフォーマンスに優れる、触媒組成物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】触媒組成物において、セリウム、ジルコニウムおよび/または希土類元素(セリウムを除く。)を含む耐熱性酸化物にPdを固溶および/または担持し、さらに、アルカリ土類金属を担持する。そして、この触媒組成物におけるPdの含有量を、0.3〜0.8重量%に調節する。
【選択図】なし

Description

本発明は、触媒組成物およびその製造方法に関し、詳しくは、排ガス浄化用触媒に好適に用いられる触媒組成物およびその製造方法に関する。
自動車などの内燃機関から排出される排気ガスには、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)などが含まれている。これらを浄化するための触媒として、活性成分である貴金属元素が、セリウム複合酸化物、ジルコニウム複合酸化物またはペロプスカイト複合酸化物などの耐熱性酸化物に、固溶および/または担持されている排ガス浄化用触媒が種々提案されている。
例えば、化学式:(Ce,Zr)O2で表わされる酸化物からなる粒子(粉末)に、最終製品としての排ガス浄化用触媒において担持量が1重量%となるように、白金を担持させて調製された排ガス浄化用触媒が提案されている(特許文献1参照)。
特開2006−346587号公報
しかし、特許文献1に記載の排ガス浄化用触媒では、高温下、酸化還元変動下や長期使用時などにおいて、白金が合体することにより粒成長を起こし、白金の有効表面積が減少することによって、触媒活性が低下するという不具合がある。
また、白金などの貴金属は、一般的に高価であるため、コストパフォーマンスの向上が望まれる。
本発明の目的は、高温下または酸化還元変動下、長期にわたって優れた触媒活性を発現することのでき、さらには、コストパフォーマンスに優れる、触媒組成物およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の触媒組成物は、セリウム、ジルコニウムおよび/または希土類元素(セリウムを除く。)を含む耐熱性酸化物にPdが固溶および/または担持され、さらに、アルカリ土類金属が担持されており、Pdの含有量が、0.3〜0.8重量%であることを特徴としている。
また、本発明の触媒組成物の製造方法は、Pdを含有し、セリウム、ジルコニウムおよび/または希土類元素(セリウムを除く。)を含む耐熱性酸化物を有する触媒組成物の製造方法であって、セリウムの塩、ジルコニウムの塩および/または希土類元素の塩を混合して混合塩水溶液を調製する工程と、前記混合塩水溶液に中和剤を加えて共沈物を得る工程と、前記共沈物を、400〜1200℃で1次焼成して前駆体酸化物を得る工程と、前記前駆体酸化物とPd塩とを、前記耐熱性酸化物においてPdの含有量が0.3〜0.8重量%となる量で混合し、300〜800℃で2次焼成する工程と、2次焼成された前記前駆体酸化物とアルカリ土類金属塩とを混合し、400〜1200℃で最終焼成することにより、前記耐熱性酸化物を得る工程とを備えることを特徴としている。
本発明の触媒組成物の製造方法によれば、0.3〜0.8重量%となる含有量でPdが含有され、セリウム、ジルコニウムおよび/または希土類元素(セリウムを除く。)を含む耐熱性酸化物が得られるので、本発明の触媒組成物を製造することができる。
そして、本発明の触媒組成物によれば、耐熱性酸化物に固溶および/または担持されるPdの含有量、すなわち、触媒組成物に含有されるPdの含有量が、0.3〜0.8重量%であるので、優れたコストパフォーマンスで、長期にわたって、Pdの粒成長による触媒活性低下を防いで、高い触媒活性を保持することができる。
その結果、本発明の触媒組成物を使用すれば、高温下または酸化還元変動下、長期にわたって優れた触媒活性を発現することができる。
本発明の触媒組成物は、セリウム、ジルコニウムおよび/または希土類元素(セリウムを除く。)を含む耐熱性酸化物を含んでおり、例えば、上記した耐熱性酸化物からなる粒子を含む粒子の集合体として形成されている。
本発明の触媒組成物において、耐熱性酸化物は、セリウムと、ジルコニウムおよび希土類元素(セリウムを除く。)の少なくとも一方とを、必須成分として含んでおり、好ましくは、セリウム、ジルコニウムおよび希土類元素(セリウムを除く。)を含んでいる。
上記耐熱性酸化物において、希土類元素(セリウムを除く。)としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)などが挙げられる。希土類元素として、好ましくは、Y、La、Pr、Ndが挙げられる。これら希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用することもできる。
また、上記耐熱性酸化物において、セリウムの原子割合は、セリウム、ジルコニウムおよび希土類元素の総和を100とした場合に、例えば、10〜80であり、好ましくは、20〜70である。
また、上記耐熱性酸化物において、ジルコニウムの原子割合は、セリウム、ジルコニウムおよび希土類元素の総和を100とした場合に、例えば、10〜90であり、好ましくは、30〜80である。
また、上記耐熱性酸化物において、希土類元素の原子割合は、セリウム、ジルコニウムおよび希土類元素の総和を100とした場合に、例えば、0〜20、好ましくは、0〜10である。
また、上記耐熱性酸化物の比表面積(BET比表面積)は、固溶および/または担持されるPdの量(Pdの含有量)により異なるが、例えば、120〜20m2/gであり、好ましくは、100〜20m2/gである。
また、本発明の触媒組成物において、上記耐熱性酸化物には、さらに、アルカリ土類金属が担持されている。
アルカリ土類金属としては、例えば、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)などが挙げられる。アルカリ土類金属として、好ましくは、Mg、Ca、Sr、Baが挙げられ、さらに好ましくは、Baが挙げられる。これらアルカリ土類金属は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用することもできる。
また、上記耐熱性酸化物において、アルカリ土類金属は、例えば、セリウム、ジルコニウムおよび/または希土類元素の原子割合の総和100に対して、アルカリ土類金属の原子割合が、1〜30となる量、好ましくは、2〜15となる量で担持されている。アルカリ土類金属が上記した範囲で担持されていれば、Pdの粒成長を効果的に抑制することができる。
アルカリ土類金属は、アルカリ土類金属の塩として上記耐熱性酸化物に担持されていてもよく、また、上記耐熱性酸化物の構成元素、すなわち、セリウム、ジルコニウムおよび/または希土類元素、さらには、後述するPdと複合酸化物を形成し、その複合酸化物として耐熱性酸化物に担持されていてもよい。
そして、上記耐熱性酸化物には、Pdが固溶および/または担持、つまり含有されている。上記耐熱性酸化物にPdが固溶されているとは、Pdが上記耐熱性酸化物の結晶格子中に配位することにより、上記耐熱性酸化物とPdとが固溶体を形成していることである。
一方、耐熱性酸化物にPdが担持されているとは、Pdが耐熱性酸化物に固溶することなく、その表面に保持されていることであり、例えば、Pdが、耐熱性酸化物に吸着担持および/または物理的担持されていることである。なお、吸着担持とは、後述する耐熱性酸化物の製造方法において、前駆体酸化物をパラジウム塩水溶液に分散させたときに、前駆体酸化物が自発的にPdを保持することである。また、物理的担持とは、前駆体酸化物をパラジウム塩水溶液に分散させた後、分散液を加熱(例えば、後述する蒸発乾固や2次焼成など)することにより、前駆体酸化物に強制的にPdを保持させることである。
例えば、上記耐熱性酸化物が、上記したアルカリ土類金属を含む複合酸化物を担持している場合、Pdが固溶および/または担持されると、そのアルカリ土類金属を含む複合酸化物は、一般式:Ba(Ce,Pd)O3、Ba(Ce,Zr,Pd)O3、Ba(Zr,Y,Pd)O3、Ba(Ce,Zr,Y,Pd)O3、PdO/BaCeO3、PdO/Ba(Ce,Zr)O3、PdO/Ba(Zr,Y)O3、PdO/Ba(Ce,Zr,Y)O3などで表わされる。
上記耐熱性酸化物にPdが固溶される場合、上記耐熱性酸化物およびアルカリ土類金属を含む複合酸化物に対する、Pdの固溶率は、例えば、5〜95%であり、好ましくは、30〜95である。
なお、Pdの固溶率(単位:%)は、例えば、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)により測定することができる。具体的には、上記耐熱性酸化物からなる粒子を、例えば、PdOが不溶、かつ、上記耐熱性酸化物が可溶である溶液に浸漬し、この溶液を濾過し、濾液をICP発光分光分析法により測定する。これにより、濾液に含有されるPdの含有量を算出し、得られた算出値から、Pdの固溶率を算出する。
一方、上記耐熱性酸化物にPdが担持される場合、上記耐熱性酸化物に対するPdの担持量は、例えば、上記耐熱性酸化物に含有されるPdの全量が上記耐熱性酸化物に担持される場合、後述するPdの含有量であり、また、例えば、上記耐熱性酸化物に含有されるPdの一部が固溶され、残りが担持される場合、後述するPdの含有量と上記したPdの固溶率から算出されるPdの固溶量との差である。
そして、上記耐熱性酸化物に固溶および/または担持されるPdの含有量、すなわち、本発明の触媒組成物に含有されるPdの含有量は、0.3〜0.8重量%である。Pdの含有量が、0.3重量%未満では、排気ガスなどを十分に浄化できないという不具合がある。また、Pdの含有量が、0.8重量%を超えると、高温下、酸化還元変動下や長期使用時などにおいて、Pdが合体することによりPdの粒子サイズが大きくなり、Pdの有効表面積が減少することによって、触媒活性が低下するという不具合がある。さらに、Pdの使用量が増えることから、コストパフォーマンスが低下するという不具合もある。
そして、上記耐熱性酸化物は、特に制限されることなく、酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによって、製造することができる。
共沈法では、例えば、上記した各元素の塩(パラジウム塩およびアルカリ土類金属塩を除く)を上記した化学量論比で含む混合塩水溶液を調製し、この混合塩水溶液に中和剤を加えて共沈させた後、得られた共沈物を乾燥後、熱処理する。
各元素の塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、りん酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。また、混合塩水溶液は、例えば、各元素の塩を、上記した化学量論比となるような割合で水に加えて、攪拌混合することにより調製することができる。
その後、この混合塩水溶液に、中和剤を加えて共沈させる。中和剤としては、例えば、アンモニア、例えば、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類などの有機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウムなどの無機塩基が挙げられる。中和剤として、好ましくは、水酸化アンモニウム塩が挙げられ、さらに好ましくは、水酸化アンモニウム水溶液が挙げられる。なお、中和剤は、その中和剤を加えた後の溶液のpHが6〜10程度となるように加える。
そして、得られた共沈物を、必要により水洗し、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、熱処理(1次焼成)することにより、セリウム、ジルコニウムおよび/または希土類元素を含む前駆体酸化物を得る。
1次焼成するときの焼成温度および焼成時間は、前駆体酸化物のBET比表面積により異なり、例えば、BET比表面積100m2/gの前駆体酸化物を得るには、400〜600℃で0.5〜5時間である。また、例えば、BET比表面積70m2/gの前駆体酸化物を得るには、500〜900℃で0.5〜5時間である。さらに、例えば、BET比表面積30m2/gの前駆体酸化物を得るには、800〜1200℃で0.5〜5時間である。
次いで、得られた前駆体酸化物を、パラジウム塩水溶液に、後述する耐熱性酸化物の粒子において、Pdの含有量が0.3〜0.8重量%となる量で分散させ、この分散液を蒸発乾固する。
その後、例えば、300〜800℃、好ましくは、400〜600℃で熱処理(2次焼成)することにより、パラジウム塩水溶液に含有されるPdの全量を前駆体酸化物に担持させる。
パラジウム塩は、上記と同様の塩が挙げられ、上記と同様に調製することができる。また、実用的には、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸水溶液、塩化物水溶液などが挙げられる。具体的には、硝酸パラジウム水溶液、ジニトロジアンミンパラジウム硝酸水溶液、4価パラジウムアンミン硝酸水溶液などが挙げられる。
次いで、Pdが担持された前駆体酸化物にアルカリ土類金属を担持させる。
アルカリ土類金属は、特に制限されることなく、アルカリ土類金属を酸化物に担持するための適宜の方法、例えば、吸着担持法、含浸法、共沈法、アルコキシド法などによって、前駆体酸化物に担持させることができる。
吸着担持法では、例えば、Pd担持前駆体酸化物を、アルカリ土類金属塩水溶液に添加してスラリーを調製し、このスラリーを濾過する。
アルカリ土類金属塩は、上記と同様の塩が挙げられ、上記と同様に調製することができる。また、実用的には、酢酸塩水溶液、硝酸塩水溶液などが挙げられる。具体的には、バリウム塩水溶液として、例えば、酢酸バリウム水溶液、硝酸バリウム水溶液などが挙げられる。
そして、得られた濾過ケーキを、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、例えば、400℃〜1200℃、好ましくは、600℃〜1100℃で熱処理(最終焼成)することにより、Pdが担持された前駆体酸化物にアルカリ土類金属を担持させる。こうして、Pdが固溶および/または担持され、さらにアルカリ土類金属が担持された耐熱性酸化物からなる粒子を得る。
なお、上記の方法においては、構成する元素全て(パラジウムおよびアルカリ土類金属を含む。)の水溶液を調製して、これに中和剤を加えて共沈させた後、得られた共沈物を乾燥後、熱処理(最終焼成)することもできる。
また、クエン酸錯体法では、例えば、クエン酸と上記した各元素の塩(パラジウム塩およびアルカリ土類金属塩を除く)とを、上記した各元素(パラジウム塩およびアルカリ土類金属塩を除く)に対し化学量論比よりやや過剰のクエン酸水溶液を加えてクエン酸混合塩水溶液を調製し、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、上記した各元素(パラジウム塩およびアルカリ土類金属塩を除く)のクエン酸錯体を形成させた後、得られたクエン酸錯体を仮焼成後、熱処理する。
各元素の塩としては、上記と同様の塩が挙げられ、また、クエン酸混合塩水溶液は、例えば、上記と同様に混合塩水溶液を調製して、その混合塩水溶液に、クエン酸の水溶液を加えることにより、調製することができる。
その後、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させる。乾固は、形成されるクエン酸錯体が分解しない温度、例えば、室温〜150℃程度で、水分を除去する。これによって、上記した各元素(パラジウム塩およびアルカリ土類金属塩を除く)のクエン酸錯体を形成させることができる。その後、形成されたクエン酸錯体を仮焼成する。仮焼成は、例えば、真空または不活性雰囲気下において、250〜350℃で加熱する。
そして、例えば、400〜1000℃で熱処理(1次焼成)することにより、前駆体酸化物を得る。
次いで、得られた前駆体酸化物を、共沈法と同様に、パラジウム塩水溶液に分散させ、この分散液を蒸発乾固する。そして、例えば、300〜800℃、好ましくは、400〜600℃で熱処理(2次焼成)することにより、パラジウム塩水溶液に含有されるPdの全量を前駆体酸化物に担持させる。
そして、Pdが担持された前駆体酸化物に、共沈法と同様に、アルカリ土類金属を担持させ、その後、例えば、400℃〜1200℃、好ましくは、600℃〜1100℃で熱処理(最終焼成)することにより、Pdが固溶および/または担持され、さらにアルカリ土類金属が担持された上記耐熱性酸化物からなる粒子を得る。
また、アルコキシド法では、例えば、上記した各元素(パラジウム塩およびアルカリ土類金属塩を除く)のアルコキシドを、上記した化学量論比で含む混合アルコキシド溶液を調製し、この混合アルコキシド溶液に、水を加えて加水分解することにより、沈殿物を得る。
各元素のアルコキシドとしては、例えば、各元素と、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどのアルコキシとから形成される(モノ、ジ、トリ)アルコラートや、下記一般式(1)で示される各元素の(モノ、ジ、トリ)アルコキシアルコラートなどが挙げられる。
E[OCH(R1)−(CH2i−OR2j (1)
(式中、Eは、各元素を示し、R1は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、iは、1〜3の整数、jは、2〜4の整数を示す。)
アルコキシアルコラートは、より具体的には、例えば、メトキシエチレート、メトキシプロピレート、メトキシブチレート、エトキシエチレート、エトキシプロピレート、プロポキシエチレート、ブトキシエチレートなどが挙げられる。
そして、混合アルコキシド溶液は、例えば、各元素のアルコキシドを、上記した化学量論比となるように有機溶媒に加えて、攪拌混合することにより調製することができる。
有機溶媒としては、各元素のアルコキシドを溶解できれば、特に制限されないが、例えば、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などが挙げられる。好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
そして、得られた沈殿物を、蒸発乾固し、その後、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、例えば、400〜1000℃で熱処理(1次焼成)することにより、前駆体酸化物を得る。
次いで、得られた前駆体酸化物を、共沈法と同様に、パラジウム塩水溶液に分散させ、この分散液を蒸発乾固する。そして、例えば、300〜800℃、好ましくは、400〜600℃で熱処理(2次焼成)することにより、パラジウム塩水溶液に含有されるPdの全量を前駆体酸化物に担持させる。
そして、Pdが担持された前駆体酸化物に、共沈法と同様に、アルカリ土類金属を担持させ、その後、例えば、400℃〜1200℃、好ましくは、600℃〜1100℃で熱処理(最終焼成)することにより、Pdが固溶および/または担持され、さらにアルカリ土類金属が担持された上記耐熱性酸化物からなる粒子を得る。
また、アルコキシド法において、例えば、混合アルコキシド溶液と、パラジウムの有機金属塩とを、上記した化学量論比となるように含む均一混合溶液を調製し、これに水を加えて沈殿させた後、得られた沈殿物を乾燥させて、熱処理(例えば、400〜800℃)することにより、Pdが担持された前駆体酸化物を得ることもできる。
パラジウムの有機金属塩としては、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩などから形成されるパラジウムのカルボン酸塩、例えば、下記一般式(2)で示されるβ−ジケトン化合物またはβ−ケトエステル化合物、および/または、下記一般式(3)で示されるβ−ジカルボン酸エステル化合物から形成されるパラジウムの金属キレート錯体などが挙げられる。
3COCHR5COR4 (2)
(式中、R3は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基またはアリール基を示し、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリール基または炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、R5は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
7CH(COR62 (3)
(式中、R6は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、R7は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
上記一般式(2)および上記一般式(3)中、R3、R4およびR6の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、t−アミル、t−ヘキシルなどが挙げられる。また、R5およびR7の炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどが挙げられる。
上記一般式(2)中、R3およびR4の炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチルなどが挙げられる。また、R3およびR4のアリール基としては、例えば、フェニルが挙げられる。また、R3の炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシなどが挙げられる。
β−ジケトン化合物は、より具体的には、例えば、2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1−トリフルオロメチル−1,3−ブタンジオン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、ジピバロイルメタンなどが挙げられる。
また、β−ケトエステル化合物は、より具体的には、例えば、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテートなどが挙げられる。
また、β−ジカルボン酸エステル化合物は、より具体的には、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルなどが挙げられる。
上記によって得られる耐熱性酸化物からなる粒子は、そのBET比表面積が、例えば、20〜120m2/gであり、好ましくは、30〜100m2/gである。
この耐熱性酸化物からなる粒子は、そのまま、触媒組成物として用いることもできるが、通常、触媒担体上に担持させるなど、公知の方法により、触媒組成物として調製される。
触媒担体としては、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の触媒担体が挙げられる。触媒担体上に担持させるには、例えば、まず、上記により得られた耐熱性酸化物の粒子(粉末)に、水を加えてスラリーとした後、これを触媒担体上にコーティングし、乾燥させ、その後、300〜800℃、好ましくは、300〜600℃で熱処理する。
そして、このようにして得られる本発明の触媒組成物では、耐熱性酸化物に固溶および/または担持されるPdの含有量、すなわち、触媒組成物に含有されるPdの含有量が、0.3〜0.8重量%であるので、優れたコストパフォーマンスで、長期使用においても、Pdの粒成長が効果的に抑制され、Pdの複合酸化物に対する分散状態が、良好に保持される。
その結果、本発明の触媒組成物を使用すれば、高温下または酸化還元変動下、長期にわたって優れた排ガス浄化性能を発現することができる。
本発明の触媒組成物は、優れた排ガス浄化性能を長期にわたって実現することができるので、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関やボイラなどから排出される排気ガスを浄化するための排気ガス浄化用触媒として、有効に使用することができる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
実施例1(粒子A Pd含有量:0.3重量% BET比表面積100m2/g)
硝酸セリウム Ce換算で0.050モル
オキシ硝酸ジルコニウム Zr換算で0.045モル
硝酸イットリウム Y換算で0.005モル
上記の成分を、丸底フラスコに加え、脱イオン水500mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合塩水溶液を調製した。次いで、この混合塩水溶液に、10重量%の水酸化アンモニウム水溶液を室温で徐々に滴下して、混合塩水溶液中に共沈物を生じさせた。次いで、共沈物が生じた混合塩水溶液を60分間攪拌し、その後、この水溶液を濾過することにより共沈物を得た。
続いて、この共沈物を脱イオン水で十分洗浄し、110℃で真空乾燥させ、共沈物を粉砕して粒子とし、この粒子を、大気雰囲気、600℃で1時間焼成(1次焼成)することにより、セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムからなる複合酸化物(前駆体酸化物)の粒子を得た。なお、この前駆体酸化物のBET比表面積は100m2/gであった。
次に、この粒子50gを、丸底フラスコに加え、脱イオン水500mLを加えて10分間攪拌することにより、脱イオン水中に分散させてスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを、硝酸パラジウム水溶液に、後述する粒子Aにおいて、Pdの含有量が0.3重量%となる量で添加した。
その後、スラリー(前駆体酸化物)を添加した溶液を、蒸発乾固し、大気雰囲気、500℃で1時間焼成することにより(2次焼成)、硝酸パラジウム水溶液に含有されるPdの全量が担持された前駆体酸化物の粒子を得た。なお、硝酸パラジウム水溶液に含有されるPdの全量のうち、前駆体酸化物に対して吸着担持された割合(Pdの担持効率)は、100%であった。
次いで、酢酸バリウムを、丸底フラスコに加え、脱イオン水100mLを加えて溶解させた。次いで、Pdが担持された前駆体酸化物の粒子50gを、酢酸バリウム水溶液中に添加してスラリーを調製した。なお、酢酸バリウム水溶液の濃度は、後述する粒子Aにおいて、セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムの原子割合の総和100に対して、バリウムの原子割合が、5となるように調節した。
次いで、このスラリーを、真空乾燥させて、水分を除去することにより、Pdが担持された前駆体酸化物に、さらにバリウムを担持させた。
そして、大気雰囲気中、1000℃で3時間焼成(最終焼成)することにより、Pdが固溶および/または担持され、Baが担持された、Ce、ZrおよびYを含む複合酸化物粒子Aを得た(Pd含有量:0.3重量% BET比表面積100m2/g)。
なお、粒子Aを、X線回折解析に供したところ、粒子Aは、一般式:(Ce,Zr,Y,Pd)O2で表わされる複合酸化物を主成分として含み、副成分として、一般式:Ba(Ce,Pd)O3で表わされる複合酸化物を含んでいることが確認された。その結果、粒子Aでは、(Ce,Zr,Y,Pd)O2に、Ba(Ce,Pd)O3が担持されていることが確認された。
また、粒子Aを、室温に維持したフッ化水素水溶液(HF/H2O=1/10)中に12時間浸漬させ、この液を濾過し、濾液をICP発光分光分析法により測定した。その結果、パラジウムの固溶率が70%であることが確認された。
実施例2(粒子B Pd含有量:0.6重量% BET比表面積100m2/g)
セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムからなる複合酸化物の粒子(前駆体酸化物)のスラリーを、硝酸パラジウム水溶液に、後述する粒子Bにおいて、Pdの含有量が0.6重量%となる量で添加する以外は、実施例1と同様の方法により、粒子Bを得た(Pd含有量:0.6重量% BET比表面積100m2/g)。なお、実施例2において、前駆体酸化物に対するPdの担持効率は、100%だった。
実施例3(粒子C Pd含有量:0.8重量% BET比表面積100m2/g)
セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムからなる複合酸化物の粒子(前駆体酸化物)のスラリーを、硝酸パラジウム水溶液に、後述する粒子Cにおいて、Pdの含有量が0.8重量%となる量で添加する以外は、実施例1と同様の方法により、粒子Cを得た(Pd含有量:0.8重量% BET比表面積:100m2/g)。なお、実施例3において、前駆体酸化物に対するPdの担持効率は、99%だった。
実施例4(粒子D Pd含有量:0.3重量% BET比表面積70m2/g)
実施例1と同様の成分を、丸底フラスコに加え、脱イオン水500mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合塩水溶液を調製した。次いで、この混合塩水溶液に、10重量%の水酸化アンモニウム水溶液を室温で徐々に滴下して、混合塩水溶液中に共沈物を生じさせた。次いで、共沈物が生じた混合塩水溶液を60分間攪拌し、その後、この水溶液を濾過することにより共沈物を得た。
続いて、この共沈物を脱イオン水で十分洗浄し、110℃で真空乾燥させ、共沈物を粉砕して粒子とし、この粒子を、大気雰囲気、1000℃で1時間焼成(1次焼成)することにより、セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムからなる複合酸化物(前駆体酸化物)の粒子を得た。なお、この前駆体酸化物のBET比表面積は70m2/gであった。
次に、この粒子50gを、丸底フラスコに加え、脱イオン水500mLを加えて10分間攪拌することにより、脱イオン水中に分散させてスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを、硝酸パラジウム水溶液に、後述する粒子Dにおいて、Pdの含有量が0.3重量%となる量で添加した。
その後、スラリー(前駆体酸化物)を添加した溶液を、蒸発乾固し、大気雰囲気、500℃で1時間焼成することにより(2次焼成)、硝酸パラジウム水溶液に含有されるPdの全量が担持された前駆体酸化物の粒子を得た。なお、硝酸パラジウム水溶液に含有されるPdの全量のうち、前駆体酸化物に対して吸着担持された割合(Pdの担持効率)は、100%であった。
次いで、酢酸バリウムを、丸底フラスコに加え、脱イオン水100mLを加えて溶解させた。次いで、Pdが担持された前駆体酸化物の粒子50gを、酢酸バリウム水溶液中に添加してスラリーを調製した。なお、酢酸バリウム水溶液の濃度は、後述する粒子Aにおいて、セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムの原子割合の総和100に対して、バリウムの原子割合が、10となるように調節した。
次いで、このスラリーを、真空乾燥させて、水分を除去することにより、Pdが担持された前駆体酸化物に、さらにバリウムを担持させた。
そして、大気雰囲気中、1000℃で3時間焼成(最終焼成)することにより、Pdが固溶および/または担持され、Baが担持された、Ce、ZrおよびYを含む複合酸化物粒子Dを得た(Pd含有量:0.3重量% BET比表面積70m2/g)。
なお、粒子Dを、X線回折解析に供したところ、粒子Dは、一般式:(Ce,Zr,Y,Pd)O2で表わされる複合酸化物を主成分として含み、副成分として、一般式:Ba(Ce,Pd)O3で表わされる複合酸化物を含んでいることが確認された。その結果、粒子Dでは、(Ce,Zr,Y,Pd)O2に、Ba(Ce,Pd)O3が担持されていることが確認された。
また、粒子Dを、室温に維持したフッ化水素水溶液(HF/H2O=1/10)中に12時間浸漬させ、この液を濾過し、濾液をICP発光分光分析法により測定した。その結果、パラジウムの固溶率が80%であることが確認された。
実施例5(粒子E Pd含有量:0.6重量% BET比表面積70m2/g)
セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムからなる複合酸化物の粒子(前駆体酸化物)のスラリーを、硝酸パラジウム水溶液に、後述する粒子Eにおいて、Pdの含有量が0.6重量%となる量で添加する以外は、実施例4と同様の方法により、粒子Eを得た(Pd含有量:0.6重量% BET比表面積70m2/g)。なお、実施例5において、前駆体酸化物に対するPdの担持効率は、100%だった。
実施例6(粒子F Pd含有量:0.8重量% BET比表面積70m2/g)
セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムからなる複合酸化物の粒子(前駆体酸化物)のスラリーを、硝酸パラジウム水溶液に、後述する粒子Fにおいて、Pdの含有量が0.8重量%となる量で添加する以外は、実施例4と同様の方法により、粒子Fを得た(Pd含有量:0.8重量% BET比表面積70m2/g)。なお、実施例6において、前駆体酸化物に対するPdの担持効率は、89%だった。
比較例1(粒子G Pd含有量:1.1重量% BET比表面積100m2/g)
セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムからなる複合酸化物の粒子(前駆体酸化物)のスラリーを、硝酸パラジウム水溶液に、後述する粒子Gにおいて、Pdの含有量が1.1重量%となる量で添加する以外は、実施例1と同様の方法により、粒子Gを得た(Pd含有量:1.1重量% BET比表面積100m2/g)。なお、比較例1において、前駆体酸化物に対するPdの担持効率は、91%だった。
比較例2(粒子H Pd含有量:1.6重量% BET比表面積100m2/g)
セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムからなる複合酸化物の粒子(前駆体酸化物)のスラリーを、硝酸パラジウム水溶液に、後述する粒子Hにおいて、Pdの含有量が1.6重量%となる量で添加する以外は、実施例1と同様の方法により、粒子Hを得た(Pd含有量:1.6重量% BET比表面積100m2/g)。なお、比較例2において、前駆体酸化物に対するPdの担持効率は、68%だった。
比較例3(粒子I Pd含有量:2.6重量% BET比表面積100m2/g)
セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムからなる複合酸化物の粒子(前駆体酸化物)のスラリーを、硝酸パラジウム水溶液に、後述する粒子Iにおいて、Pdの含有量が2.6重量%となる量で添加する以外は、実施例1と同様の方法により、粒子Iを得た(Pd含有量:2.6重量% BET比表面積100m2/g)。なお、比較例3において、前駆体酸化物に対するPdの担持効率は、42%だった。
比較例4(粒子J Pd含有量:1.2重量% BET比表面積70m2/g)
セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムからなる複合酸化物の粒子(前駆体酸化物)のスラリーを、硝酸パラジウム水溶液に、後述する粒子Jにおいて、Pdの含有量が1.2重量%となる量で添加する以外は、実施例4と同様の方法により、粒子Jを得た(Pd含有量:1.2重量% BET比表面積70m2/g)。なお、比較例4において、前駆体酸化物に対するPdの担持効率は、68%だった。
比較例5(粒子K Pt含有量:0.5重量% BET比表面積90m2/g)
硝酸セリウム Ce換算で0.050モル
オキシ硝酸ジルコニウム Zr換算で0.045モル
硝酸イットリウム Y換算で0.005モル
上記の成分を、丸底フラスコに加え、脱イオン水500mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合塩水溶液を調製した。次いで、この混合塩水溶液に、10重量%の水酸化アンモニウム水溶液を室温で徐々に滴下して、混合塩水溶液中に共沈物を生じさせた。次いで、共沈物が生じた混合塩水溶液を60分間攪拌し、その後、この水溶液を濾過することにより共沈物を得た。
続いて、この共沈物を脱イオン水で十分洗浄し、110℃で真空乾燥させ、共沈物を粉砕して粒子とし、この粒子を、大気雰囲気、700℃で1時間焼成(1次焼成)することにより、セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムからなる複合酸化物(前駆体酸化物)の粒子を得た。なお、この前駆体酸化物のBET比表面積は90m2/gであった。
次に、この粒子50gを、丸底フラスコに加え、脱イオン水500mLを加えて10分間攪拌することにより、脱イオン水中に分散させてスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液に、後述する粒子Kにおいて、Ptの含有量が0.5重量%となる量で添加した。
その後、スラリー(前駆体酸化物)を添加した溶液を、蒸発乾固し、大気雰囲気、500℃で1時間焼成することにより(2次焼成)、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液に含有されるPtの全量が担持された前駆体酸化物の粒子を得た。なお、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液に含有されるPt全量のうち、前駆体酸化物に対して吸着担持された割合(Ptの担持効率)は、95%であった。
次いで、酢酸バリウムを、丸底フラスコに加え、脱イオン水100mLを加えて溶解させた。次いで、Ptが担持された前駆体酸化物の粒子50gを、酢酸バリウム水溶液中に添加してスラリーを調製した。なお、酢酸バリウム水溶液の濃度は、後述する粒子Kにおいて、セリウム、ジルコニウムおよびイットリウムの原子割合の総和100に対して、バリウムの原子割合が、10となるように調節した。
次いで、このスラリーを、真空乾燥させて、水分を除去することにより、Ptが担持された前駆体酸化物に、さらにバリウムを担持させた。
そして、大気雰囲気中、1000℃で3時間焼成(最終焼成)することにより、Ptが固溶および/または担持され、Baが担持された、Ce、ZrおよびYを含む複合酸化物粒子Kを得た(Pt含有量:0.5重量% BET比表面積90m2/g)。
試験例1(Pdの担持効率の評価)
各実施例および比較例1〜4において、前駆体酸化物のスラリーが添加された溶液を60℃で120分間放置した後、この溶液の上澄みを採取し、ICP発光分光分析法により測定することによって溶液中に残存するPdの量を算出した。得られた算出値から、Pdの担持効率(%)を算出した。結果を図1に示す。すなわち、図1に示すグラフは、BET比表面積100m2/gおよび70m2/gの複合酸化物粒子A〜Jに関して、Pdの含有量を変化させたときの、担持効率の変化を表わしている。
試験例2(活性評価)
1)耐久試験
不活性雰囲気3分、酸化雰囲気3分、不活性雰囲気3分および還元雰囲気3分の計12分を1サイクルとし、このサイクルを250サイクル、合計50時間繰り返して、各実施例および各比較例で得られた粒子を、酸化雰囲気と還元雰囲気とに交互に暴露した後、還元雰囲気のまま室温まで冷却した。
不活性雰囲気、酸化雰囲気および還元雰囲気は、ストイキ状態、リーン状態およびリッチ状態の混合気を燃焼させた場合に排出される排気ガス雰囲気に、それぞれ相当する。
なお、各雰囲気は、高温水蒸気を含む表1に示した組成のガスを、300×10-33/hrの流量で供給することによって調製した。また、雰囲気温度は、約1050℃に維持した。
Figure 2009291720
2)Pdの粒子サイズの測定(実施例1〜3および比較例1〜3)
耐久試験後の実施例1〜3および比較例1〜3の粒子におけるPdの粒子サイズ(粒径)を、COパルス法により測定した。結果を図2に示す。すなわち、図2に示すグラフは、BET比表面積100m2/gの複合酸化物粒子A〜C、G〜Iに関して、Pdの含有量を変化させたときの、Pdの粒子サイズの変化を表わしている。
3)20%浄化温度(実施例1〜3および比較例1〜3,5)
耐久試験後の実施例1〜3および比較例1〜3,5の粒子(粉末)を、0.5mm〜1.0mmのサイズのペレットに成型して試験片を調製した。表2に示すモデルガス組成を用いて、このモデルガスの燃焼によって排出される排気ガスの温度を、室温から450℃まで、20℃/分の割合で上昇させつつ、モデルガスを各試験片に供給し、排ガス中のHC、NOxおよびCOが、20%浄化されるときの温度(20%浄化温度:℃)を測定した。結果を表3および図3に示す。なお、図3に示すグラフは、表3に示される結果のうち、実施例1〜3および比較例1〜3の結果を表わしている。すなわち、図3に示すグラフは、BET比表面積100m2/gの複合酸化物粒子A〜C、G〜Iに関して、Pdの含有量を変化させたときの、HC、NOxおよびCOそれぞれの20%浄化温度の変化を表わしている。
Figure 2009291720
Figure 2009291720
4)考察
図2に示すように、実施例1〜3の粒子では、耐久試験後のPdの粒子サイズが、それぞれ8nm、9nmおよび10nmであった。一方、比較例1〜3の粒子では、耐久試験後のPdの粒子サイズが、それぞれ18nm、25nmおよび30nmであった。これにより、Pdの含有量が0.3〜0.8重量%である複合酸化物粒子では、長期使用においても、パラジウムの粒成長が効果的に抑制され、パラジウムの複合酸化物に対する分散状態が、良好に保持されることが確認された。
また、表3に示すように、実施例2の粒子(Pd含有量:0.6重量%)では、耐久試験後のHC、NOxおよびCOの20%浄化温度が、それぞれ260℃、263℃および248℃であった。一方、実施例2とほぼ同量の貴金属を含有する比較例5の粒子(Pt含有量:0.5重量%)では、耐久試験後のHC、NOxおよびCOの20%浄化温度が、それぞれ293℃、310℃および280℃であった。
さらに、表3および図3に示すように、実施例1の粒子(Pd含有量:0.3重量%)では、耐久試験後のHC、NOxおよびCOの20%浄化温度が、それぞれ269℃、272℃および259℃であり、少ないPd含有量で十分優れた排ガス浄化性能を発現している。
表3および図3により、含有される貴金属がPdであり、かつ、その含有量が0.3〜0.8重量%である複合酸化物粒子では、優れたコストパフォーマンスで、長期使用においても、パラジウムの粒成長が効果的に抑制され、パラジウムの複合酸化物に対する分散状態が、良好に保持されることが確認された。
BET比表面積100m2/gおよび70m2/gの複合酸化物粒子A〜Jに関して、Pdの含有量を変化させたときの、担持効率の変化を示すグラフである。 BET比表面積100m2/gの複合酸化物粒子A〜C、G〜Iに関して、Pdの含有量を変化させたときの、Pdの粒子サイズの変化を示すグラフである。 BET比表面積100m2/gの複合酸化物粒子A〜C、G〜Iに関して、Pdの含有量を変化させたときの、HC、NOxおよびCOそれぞれの20%浄化温度の変化を示すグラフである。

Claims (2)

  1. セリウム、ジルコニウムおよび/または希土類元素(セリウムを除く。)を含む耐熱性酸化物にPdが固溶および/または担持され、
    さらに、アルカリ土類金属が担持されており、
    Pdの含有量が、0.3〜0.8重量%であることを特徴とする、触媒組成物。
  2. Pdを含有し、セリウム、ジルコニウムおよび/または希土類元素(セリウムを除く。)を含む耐熱性酸化物を有する触媒組成物の製造方法であって、
    セリウムの塩、ジルコニウムの塩および/または希土類元素の塩を混合して混合塩水溶液を調製する工程と、
    前記混合塩水溶液に中和剤を加えて共沈物を得る工程と、
    前記共沈物を、400〜1200℃で1次焼成して前駆体酸化物を得る工程と、
    前記前駆体酸化物とPd塩とを、前記耐熱性酸化物においてPdの含有量が0.3〜0.8重量%となる量で混合し、300〜800℃で2次焼成する工程と、
    2次焼成された前記前駆体酸化物とアルカリ土類金属塩とを混合し、400〜1200℃で最終焼成することにより、前記耐熱性酸化物を得る工程と
    を備えることを特徴とする、触媒組成物の製造方法。
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