JP2009291220A - ニーダの混捏子とニーダ並びに製パン機 - Google Patents

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Abstract

【課題】混捏子にて押圧された生地塊がポット内周面の全領域からも直接大きな押圧力を受けることができるニーダの混捏子とニーダを得る。
【解決手段】第1羽根部(21)と第2羽根部(22)とを備えた混捏子(2)であって、第1羽根部(21)と第2羽根部(22)のいずれも底面周縁形状は略半楕円であり、第1羽根部(21)の側面に形成された第1傾斜面(25)と、第2羽根部(22)の側面に形成された第2傾斜面(26)と、第2羽根部(22)の回転方向背面に形成された立設面(28)とを有してなり、「第2羽根部(22)の底面に対して直交し」かつ「回転軸を含む」平面で断面したとき、第2羽根部(22)の回転方向前方から回転方向後方にかけての一部の領域における第2傾斜面(26)の断面形状は、第2羽根部(22)の底面側に湾曲した曲線であり、この曲線の曲率は、回転方向前方から回転方向後方にかけて漸次小さくなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、パン生地や、うどん・そば等のめん生地、菓子生地、餅等の生地材料を混ぜて捏ねると共に、搗き固めるのに好適なニーダの混捏子とこの混捏子を備えるニーダ並びに製パン機に関するものである。
パン生地や、うどん・そば等のめん生地、菓子生地、餅といった混捏物は、所定の材料を混ぜて捏ね、搗き固める工程を経て作られる。
これらの工程は、たとえば、パン生地を直捏ね法で作る場合、まず、小麦粉、水、イースト、砂糖、塩、ショートニング等の材料を混ぜ合わせた後に、この混ぜ合わせた材料を、捏ねる、たたむ等という動作を繰り返すことからなる。これらの工程を適切かつ充分に行って初めて、水和、すなわち、グルテンの生成と結合が促進される。
ところが、上記工程を手捏ね、つまり人の手で行うことは、多大な労力を要し、また、実際上困難である。そのため近年では、家庭のみならず、大量生産するパン工場においても、人の手ではなく、電気的、機械的な動力を利用したニーダによって上記工程が行われている。
ニーダは、混捏物を作製する装置であって、このニーダが備えるポット内に、混捏子が回転自在に配置される。そして、ポット底面の直交方向の回転軸を中心に、混捏子が駆動手段によって回転することで、ポット内に投入された材料を混ぜ合わせ捏ねることができる。
これまでにも、このようなニーダやニーダに用いられる混捏子に関する提案がなされている。
たとえば、本願発明者は、手捏ねの場合における「捏ね」と同様の作用を繰り返すことで、捏ね工程におけるグルテン結合を促進させることができる混捏子を提案した(たとえば、特許文献1,2参照)。
この特許文献1,2に記載されたニーダの混捏子は、ポット内底面の直径よりやや小径の円盤を有する。この円盤は、その上の所定位置に中心部の所定高さ部位から円盤周縁に至る放物線放射状の突起部を有する。この突起部は、その回転方向後端の端面を絶壁状の立設面とする。また、混捏子は、ポット内周面に設けられた突出部との相互作用による圧接効果を高めるために、立設面より回転方向の前方が、立設面に対して90°以下の放物線状面または円弧状面となっている。
しかしながら、特許文献1,2に記載されたニーダの混捏子は、いずれもポット内底面の直径よりやや小径の円盤状の基板からなっている。そのため、この混捏子とポット内底面との間隙に材料や生地が侵入し、この侵入生地等が除去できないという問題があった。
また、生地の転がりは、円盤の回転による遠心力と転がり摩擦で行われ、その転がり摩擦は生地の水和の進展によって増大する。そのため、転がり摩擦力が遠心力に打ち勝つと、生地は円盤に付着して円盤と一体的に回転し、良好な混捏が行われなくなる。したがって、このニーダを用いるときは、生地塊の径を、混捏子の円盤の半径以内に押さえなければならないという問題もあった。
そこで本願発明者は、ポット内底面と混捏子間に生地等が侵入することを可及的に防止し、また、たとえ生地等が侵入しても、これを直ちに除去することができる小型軽量の混捏子を提案した(たとえば、特許文献3参照)。この混捏子は、生地塊の径を混捏子の羽根の長さまたはポット内底面の半径よりも大きくすることができる。
図20は、特許文献3に記載された混捏子の実施の形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
特許文献3に記載された混捏子は、回転軸の軸心及び回転軸を通る直径方向の線を挟んで、一方の羽根の長さが他方の羽根の長さより長い長短1対の略半楕円状の羽根を備えている。これらの羽根は、その直線部を接して形成され、いずれの羽根も回転軸の軸心から一側(回転方向前方)が他側(回転方向後方)より短く形成されている。また、これらの羽根は、前記一方の羽根の一側と、前記他方の羽根の他側が同じ長さで、その底部周縁が同一円弧で連なる。さらに、両方の羽根は、図20(b)に示されるように、その底部周縁から頂面にかけての側面部が、前記一側から他側にかけて漸次急峻となる放物線上の傾斜面を有しており、前記一方の羽根の他側の回転方向背面(後端部)には、深い絶壁状の立設面が形成されている。また、前記他方の羽根の一側端は、一方の羽根の前記立設面底部と連なり、かつ、他側の回転方向背面(後端部)には浅い絶壁状の立設面が形成されている。
この混捏子によれば、一方の羽根の傾斜面により、材料や生地塊を移動させつつ上昇させ、深い絶壁状の立設面領域において落下させて、材料や生地塊の混合及び混捏が行われる。しかも、この混捏子では、生地が混捏子とポット内底面間に侵入付着したとしても、当該侵入生地は、他方の羽根の一側から一方の羽根の他側に渡る底部周縁によりポット内周面方向に掻き出される。また、掻き出されずに残った侵入生地は、混捏子の回転につれて一方の羽根の立設面から落下する生地塊との接着により直ちに除去される。
また、混捏子の絶壁状立設面の背面領域(後方領域)では、混捏時において生地塊と混捏子との間に減圧空気層ができるため、前記背面領域では減圧空気層によってより強力に生地を回転させる力が働くと同時に、生地がポット底面や混捏子に付着することを防止する作用も生じる。したがって、ポット底部の半径以上の大きな生地塊を混捏する場合でも、生地の混捏子への付着が低減されるため、生地が混捏子と一体的に回転することもなくなる。これにより、混捏が行われなくなるという現象を防止することができる。
しかしながら、特許文献3に記載された混捏子は、特許文献1,2に記載された混捏子と同様、ポット内周面に設けられた突出部の側面からの圧接効果を期待したものである。つまり、特許文献1乃至3のいずれの混捏子においても、混捏子の側面形状は、図20(b)に示されるように、絶壁状立設面より回転方向前方が急激に下降する放物線状または円弧状の急斜面となっている。したがって、混捏子は、この急斜面により前記突出部の方向に、換言すれば、絶壁状立設面に対してほぼ直角な方向に生地塊を押圧しようとするものである。
ここで生地塊が、突出部の存在しない領域で混捏子により押圧された場合には、当該生地塊がポット内周面から受ける圧力はあまり大きくはない。また、このポット内周面における突出部の存在は、ニーダ使用後のポット内クリーニングを困難なものとする。
したがって、できればポット内周面の突出部を無くし、混捏子にて押圧された生地塊が、ポット内周面の全領域において、当該ポット内周面から直接大きな押圧力を受けられることが望ましい。換言すれば、生地塊を直接ポット内側面に向けて押圧するような混捏子の形状が望ましい。
なお、この他にも、混捏子への生地の付着を低減し、生地に対して連続的に圧縮を与えて混捏するとした混捏子が提案されている(たとえば、特許文献4参照)。
この特許文献4に記載された混捏子は、側面が回転中心軸を含む面で断面したときに、側面上の一点から回転中心軸までの距離が底部から頂面に向かうにつれて減少し、または、一定であるように形成されている。また、回転中心軸に直交する面で断面したときに、側面上の一点から回転中心軸までの距離が一回転する中で常に増加するように形成されている。
しかしながら、特許文献4に記載された混捏子は、底部から頂面に向かう側面が底部全周に渡って絶壁状になっているため、生地材料をすくい上げることによる混捏効果が大きいとはいえない。
また、生地塊となった段階における理想的な混捏としては、生地塊の底部に混捏子の周縁部を楔状に食い込ませ、生地塊を混捏子の側面上に乗せた上で、この生地塊を回転させながら移動させて、混捏子の回転方向後端部の絶壁状立設面の領域にて落下させる、というのがよい。この一連の流れによって、生地塊に対するいわゆる「手捏ね」の「捏ねる」と「たたむ」効果を高めることができるからである。しかし、特許文献4に記載された混捏子は、底部から頂面に向かう側面が底面全周にわたって絶壁状になっているため、上記一連の流れによるところのこの「手捏ね」効果も大きいとはいえない。
特開昭62−126928号公報 特公平5−78375号公報 実公平5−38828号公報 WO2003/073860号公報
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解消するためになされたもので、生地材料が極めて効率的に混捏され、そして、押圧された生地塊がポット内周面の全領域からも直接大きな押圧力を受けることができるニーダの混捏子と、この混捏子を用いたニーダ並びに製パン機を提供することを目的とする。
本発明にかかるニーダの混捏子は、ポット内の底部に配置された回転軸を中心に回転駆動されてポット内の材料を混捏する混捏子であって、第1羽根部と第2羽根部とを有してなり、第1羽根部と第2羽根部とが接合したような形状に形成され、第1羽根部と第2羽根部のいずれも、底面周縁形状は略半楕円であり、第1羽根部の底面直線部の長さは、第2羽根部の底面直線部の長さより短く、第1羽根部と第2羽根部とは、それぞれの底面直線部が回転軸の軸心とこの軸心を通る直線を挟むように接し、かつ、「第1羽根部の底面曲線部の回転方向後端」と「第2羽根部の底面曲線部の回転方向前端」とが円弧状に連なるように接していて、第1羽根部の側面には第1傾斜面が形成され、第2羽根部の側面には第2傾斜面が形成され、第2羽根部の回転方向背面には第1傾斜面の回転方向前端と連なる立設面が形成され、「第2羽根部の底面に対して直交し」かつ「回転軸を含む」平面で断面したとき、第2羽根部の回転方向前方から回転方向後方にかけての一部の領域における第2傾斜面の断面形状は、第2羽根部の底面側に湾曲した曲線であり、この曲線の曲率は、回転方向前方から回転方向後方にかけて漸次小さくなっていることを特徴とする。
また、本発明にかかるニーダの混捏子は、「第1羽根部の底面に対して直交し」かつ「回転軸を含む」平面で断面したとき、第1羽根部の回転方向前方から回転方向後方にかけての一部の領域における第1傾斜面の断面形状は、第1羽根部の底面側に湾曲した曲線であり、曲線の曲率は、回転方向前方から回転方向後方にかけて漸次小さくなっていることを特徴とする。
また、本発明にかかるニーダの混捏子は、第1羽根部の回転方向後端における第1傾斜面の断面形状は、直線若しくは第1羽根部の底面と反対側に湾曲した曲線であることを特徴とする。
また、本発明にかかるニーダは、ポットと、このポット内の材料を混捏する混捏子と、この混捏子をポット内の底部で回転駆動させる駆動手段とを有してなるニーダであって、混捏子は、本発明にかかるニーダの混捏子であることを特徴とする。
また、本発明にかかる製パン機は、パンの材料を混捏する際に用いられる混捏用ポットと、混捏されたパンの生地魂を焼き上げる際に用いられる焼き用ポットと、を設置することができる製パン機であって、混捏用ポット内に取付けられてパンの材料を混捏する混捏子は、本発明にかかるニーダの混捏子であることを特徴とする。
また、本発明にかかる製パン機は、パンの材料を混捏する際に用いられる混捏用ポットと、混捏されたパンの生地魂を焼き上げる際に用いられる焼き用ポットと、を設置することができる製パン機であって、混捏用ポット内に取付けられてパンの材料を混捏する混捏子は、本発明にかかるニーダの混捏子であることを特徴とする。
また、本発明にかかる製パン機は、混捏用ポットと焼き用ポットとが入れ替え可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明にかかる製パン機は、混捏用ポットと焼き用ポットとが併設可能に構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、ポット内の生地材料をすくい上げ、かつ、ポット内周面に向けて跳ね上げるように放り出すことができるため、混捏子で押圧された生地材料に対して、ポット内周面の全領域からも直接大きな押圧力を与えることができ、ポット内周面の全域を効果的に用い、材料の混捏を効果的に行うことができる。
また、本発明によれば、生地を切断することなく混捏できるので、混捏により形成された粘着性と弾性とを適度に兼ね備えた良好なグルテンを切り離すことがない。切断による摩擦が無いため、生地に局部的な発熱が生ずることが無く、発熱による悪影響を生地に与えることも無い。
さらに、本発明によれば、混捏子に設けた立設面とポット底面との間の空間の作用により、たとえ生地塊の径が大きくても、生地の混捏子への付着が著しく軽減される。また、この空間により生地が折込まれるので、より良好な混捏が行われる。
以下、図面を参照しながら、本発明にかかるニーダの混捏子とニーダの実施の形態について説明する。
まず、本発明にかかるニーダの混捏子(以下、単に「混捏子」という。)の実施の形態について説明する。
混捏子は、混捏物を製造するニーダが備えるポット内に回転自在に配置され、ポット底面に直交する方向を回転軸方向として回転駆動されて、ポット内の材料を混捏するものである。
なお、以下の説明においては、混捏子の形状の理解を容易にするために、あたかも2つの羽根部を別個に作製して、これらを接合して混捏子が作製されるかのような説明を行っている。しかし、混捏子の実際の作製にあたっては、たとえば、アルミニウムのブロックを切削加工、プレス加工、その他の作製方法により、2つの羽根部を一体的に作製するのがよい。また、最終的に、混捏子の表面をテフロン(登録商標)処理するとよい。
また、以下の説明において、「長さ」とは、回転軸方向と直交方向の距離をいい、「高さ」とは、回転軸方向の距離をいう。
図1は、本発明にかかる混捏子の実施の形態を示す斜視図である。矢印は、混捏子2の回転方向を示す。符号Oは、回転軸の軸心を示す。
図4は、混捏子2の底面図である。混捏子2の底面24には、混捏子2を回転駆動させる駆動手段の回転駆動軸(ニーダに設けられている)と連結可能な軸穴30が形成されている。
図1に戻る。
混捏子2は、羽根部21と羽根部22とが接合したような形状に形成されている。
符号23は、傾斜面26の上縁と立設面28の上縁とに周縁が連接する、混捏子2の頂面を示す。傾斜面26と立設面28については、後述する。頂面23は、略半楕円に形成されている。頂面23の面積は、羽根部22の底面の面積よりも小さい。
羽根部21は、略半円錐状に形成されていて、その側面には、傾斜面25が形成されている。傾斜面25は、混捏子2の頂面23側から底面24側にかけて、羽根部21の頂点付近から羽根部21の底面外縁に向かう放射状に形成されている。
羽根部22の側面には、傾斜面26が形成されている。傾斜面26は、混捏子2の頂面23側から底面24側にかけて、頂面23の周縁(略半楕円の曲線部)から羽根部22の底面外縁に向かう放射状に形成されている。
図6は、混捏子2の背面図であり、図8は混捏子2の左側面図である。
図6,8に示すように、羽根部21の回転方向背面には、立設面27が形成されていて、羽根部21の回転方向後端21bと羽根部22の回転方向前端22aとの間に段差が形成されている。
図5は、混捏子2の正面図であり、図7は混捏子2の右側面図である。
図5,7に示すように、羽根部22の回転方向背面には、立設面28が形成されていて、羽根部22の回転方向後端22bと混捏子2の底面24との間に段差が形成されている。
なお、図1に示すように、傾斜面25の回転方向前端21aは、立設面28と連なり、傾斜面26の回転方向前端22aは、立設面27と連なる。
また、図6,7に示すように、羽根部22の底面24と傾斜面26との間には、立設面27の外縁と、傾斜面26の下縁と、羽根部22の底面24と、立設面28の外縁とに連接する立設面29が形成されている。立設面29の高さは、回転方向前方から回転方向後方にかけて漸次高くなっている。
なお、立設面27,28,29は、いずれも、混捏子2の底面24と略直交する方向に絶壁状に設けられている。
以下、羽根部21と羽根部22の底面形状について説明する。
図2(a)は、羽根部21の底面周縁形状を示す図である。図中の矢印は、混捏子2の回転方向を示す。
実線で示す羽根部21の底面周縁形状は、底面直線部31と底面曲線部131とで囲まれた略半楕円である。
符号31aは、底面曲線部131の回転方向前端(底面直線部31の回転方向前端でもある)を示す。また、符号31bは、底面曲線部131の回転方向後端(底面直線部31の回転方向後端でもある)を示す。
点線で示す楕円S1は、羽根部21の底面周縁形状の決定に用いた楕円であり、符号P1は楕円S1の中心点を示し、符号231は楕円S1の短軸を示す。
楕円S1のアスペクト比(長軸:短軸)は、11:10である。
符号αは、楕円S1の短軸231に対する底面直線部31の傾き(回転面内における)を示す。なお、本実施の形態では、α≒15°である。
図2(b)は、羽根部22の底面周縁形状を示す図である。図中の矢印は、混捏子2の回転方向を示す。
実線で示す羽根部22の底面周縁形状は、底面直線部32と底面曲線部132とで囲まれた略半楕円である。
符号32aは、底面曲線部132の回転方向前端(底面直線部32の回転方向前端でもある)を示す。また、符号32bは、底面曲線部132の回転方向後端(底面直線部32の回転方向後端でもある)を示す。
点線で示す楕円S2は、羽根部22の底面周縁形状の決定に用いた楕円であり、符号P2は楕円S2の中心点を示し、符号232は楕円S2の長軸を示す。
楕円S2のアスペクト比は、17:14である。
符号βは、楕円S2の長軸232に対する底面直線部32の傾き(回転面内における)を示す。なお、本実施の形態では、β≒25°である。
楕円S1の長軸の長さは、楕円S2の長軸の長さの1/2としている。また、前述のアスペクト比から明らかなように、楕円S1は、楕円S2に比べて、より円に近い形状としてある。
なお、楕円S1と楕円S2のアスペクト比は、適宜変更可能である。また、アスペクト比が1:1の円も楕円の一種として捉えてもよい。
図2(c)は、羽根部21と羽根部22とが接合された状態での各羽根部の底面の様子を示す図である。
羽根部21の底面直線部31の長さは、羽根部22の底面直線部32の長さよりも短い。
また、羽根部21と羽根部22のいずれも、底面直線部(31,32)の回転方向前端(31a,32a)から回転軸の軸心Oまでの長さは、底面直線部(31,32)の回転方向後端(31b、32b)から回転軸の軸心Oまでの長さよりも短い。
さらに、羽根部21の底面直線部31の回転方向後端31bから回転軸の軸心Oまでの長さと、羽根部22の底面直線部32の回転方向前端32aから回転軸の軸心Oまでの長さとは等しい。
羽根部21と羽根部22は、底面直線部31と底面直線部32とが、回転軸の軸心O(不図示)と軸心Oを通る直線を挟んで接するように接合している。また、羽根部21と羽根部22は、底面曲線部131の回転方向後端31bと底面曲線部132の回転方向前端32aとが、円弧状に連なるように接合している。
図2(a)に示すように、羽根部21の底面曲線部131は、回転方向前方において、楕円S1の内側(中心点P1側)に変位されている。この構成により、図2(c)に示すように、羽根部21の底面曲線部131の回転方向前端31aにおける、底面曲線部131と底面直線部32との角度γを大きくすることができる。
この角度γを大きくすることで、混捏子2をポット内で回転させたとき、底面曲線部131と底面直線部32とで囲まれる領域での材料の滞留を防止する効果を高めることができる。
なお、図2(c)に示すように、底面曲線部131と底面直線部32とで囲まれる領域に、円弧状の連続部20を設けることで、立設面28の底部と傾斜面25とが円弧状に連なるように接合して、前述の材料の滞留防止効果をさらに高めるようにしてもよい。
また、図2(a)に示すように、羽根部21の底面直線部31は、中心点P1から変位されている。この構成により、底面曲線部131の回転方向後端31b(すなわち、底面曲線部132の回転方向前端31a)において、底面曲線部131と底面曲線部132とが、よりスムーズな円弧状に連なるように混捏子2を形成することができる。
さらに、図2(b)に示すように、羽根部22の底面曲線部132は、回転方向後方において、楕円S2の内側(中心点P2側)に変位されている。この構成により、混捏子2と生地魂との間の摩擦を低減することができ、生地魂に対する押圧力を高める効果を期待できる。
これまで説明した、楕円S1と楕円S2の大きさやアスペクト比、回転軸の軸心Oの位置などは、軸心Oから混捏子2の底面周縁までの長さが、混捏子2の回転につれて漸次長くなるように設定されている。すなわち、混捏子2の平面図である図3において、軸心Oから羽根部22の回転方向後端の外縁28aまでの長さL1、軸心Oから羽根部22の回転方向前端の外縁(羽根部21の回転方向後端の外縁でもある)27aまでの長さL2、羽根部22の短手方向の長さL3、羽根部21の短手方向の長さL4との間に、「L1>L2」「L3>L4」の関係が成立するように楕円S1の大きさなどが設定されている。
長さL1〜L4の間の関係をこのように設定することで、混捏子2とポット内底面間に生地が侵入し付着したとしても、この生地は、徐々に回転幅が増大する混捏子2の回転に連れて、その底面外周によって効率良く掻き出される効果がより高まり、直ちに除去することができる。
なお、長さL1は、ポット内底面の半径より若干短めに設定されている。
実験をしたところ、長さL1は、長さL2の2.0〜3.5倍が望ましく、ここでは、長さL1は長さL2の約2.5倍に設定されている。
また、長さL3は、長さL4の1.0〜2.5倍が望ましく、ここでは、長さL3は長さL4の約2倍に設定されている。
さらに、混捏子2の高さは、L1の0.3〜0.7倍が望ましく、傾斜面26の傾斜角度δは、20°〜60°が望ましい。
なお、上記の各倍率などは、標準的なものであるが、実際の生地魂の動きなどを観察して、適宜、調整をするとよい。概して、L1が短くなるに従って、これらの倍率などを大きくするとよい。
次に、羽根部21と羽根部22の側面の形状について説明する。
羽根部21と羽根部22のいずれにおいても、羽根部(21,22)の底面に直交し、かつ、回転軸を含む平面で断面したとき、羽根部(21、22)の回転方向前方から回転方向後方にかけての一部の領域における傾斜面(25、26)の断面形状は、羽根部(21、22)の底面側に湾曲した曲線である。また、この曲線の曲率は、回転方向前方から回転方向後方にかけて漸次小さくなっている。
この傾斜面の形状について、図9,10を参照しながら、傾斜面26を例に説明する。
図9は、混捏子2の平面図であり、図中の矢印は、混捏子2の回転方向を示す。図10は、前述の傾斜面26の断面形状を説明するための図であり、(a)は図9のA−A線、(b)は同図B−B線、(c)は同図C−C線、のそれぞれに沿う縦断面図である。
図10に示すように、傾斜面26の断面形状は、概して羽根部22の底面方向に湾曲していて、混捏子2の回転方向前方から回転方向後方にかけて、その曲率は次第に小さくなっている。
このように、羽根部22の傾斜面26の断面形状は、回転方向前方では窪んだ湾曲状で、回転方向後方にかけて、この窪みの深さが漸次浅くなっている。
なお、羽根部22の回転方向後端における傾斜面26の断面形状は、曲線26Cに示されるように、ほぼ直線としているが、これに代えて、たとえば、羽根部26の底面と反対側(混捏子2の上面側)に湾曲した曲線となるように傾斜面26を形成してもよい。
一方、羽根部21の傾斜面25の断面形状も、傾斜面26の断面形状と同様に、羽根部21の底面側に湾曲した曲線となるように形成され、かつ、混捏子2の回転方向前方から回転方向後方にかけて、その曲率は次第に小さくなっている。また、羽根部21の回転方向後端における傾斜面25の断面形状は、本実施の形態においては、若干、羽根部21の底面と反対側に湾曲した曲線になっているが、ほぼ直線となるように形成してもよい。
以上説明した傾斜面の断面形状を採用することで、混捏子2の回転に伴って傾斜面に乗り上げた材料や生地魂を、傾斜面に沿って回転方向後方にガイドすることができる。特に、羽根部22の傾斜面26は、前述した、回転方向前方から回転方向後方にかけて高くなっている立設面29との相乗効果で、傾斜面26に沿って回転方向後方にガイドされた生地魂などを、ポット内壁(周面)の上方に向けて勢いよく放り投げることができる。その結果、生地魂に対して、ポット内壁の全領域から直接、大きな押圧力を加えることができる。
次に、立設面27の形成位置について説明する。
これまで説明した実施の形態では、羽根部21の回転方向背面に設けられた立設面27は、図1などに示すように、混捏子2の回転平面内において、立設面27の外縁27aと回転軸の軸心Oを通る直線と、立設面28の外縁28aと回転軸の軸心Oを通る直線とが、略平行となるように形成されていた。
これに対して、図11には、立設面27の外縁27aが、立設面28に沿って回転軸の軸心Oを通る直線上より、羽根部22側に位置するように、立設面27が形成されている例を示している。
一方、図12には、立設面27の外縁27aが、立設面28に沿って回転軸の軸心Oを通る直線上より、羽根部21側に位置するように、立設面27が形成されている例を示している。
立設面28に対する立設面27の形成位置の違いは、生地魂に対して立設面27による落下効果を、遅い段階で与えるか(図11)、早い段階で与えるか(図12)、の違いである。したがって、立設面28に対する立設面27の形成位置は、材料の料や質などに応じて適宜最適化を図るようにするとよい。
なお、立設面27の存在は、この部分への生地材料の付着とクリーニング洗浄を困難にさせる、という問題を生じさせうる。そこで、本発明にかかる混捏子においては、図13に示すように、立設面27を設けないようにしてもよい。この構成によれば、前述の立設面27を有する混捏子に比べて、立設面27における生地魂の落下が無くなる分、混捏効果は減じられるが、生地魂の混捏子上での転動による混捏効果は増大する。
次に、本発明にかかるニーダの実施の形態について説明する。
図14は、本発明にかかるニーダの実施の形態を示す斜視図である。
ニーダ10は、ニーダ本体1と、混捏子2と、ポット3と、を有してなる。
ニーダ本体1は、混捏子2を回転させる駆動手段(不図示)や、利用者が混捏子2の回転開始・中断・再開・終了などを指示するボタンや、混捏子2の回転時間を設定するダイヤルなどを有してなる。
混捏子2は、ポット内の材料を混捏する部材であり、先に説明した本発明にかかる混捏子を用いる。
ポット3は、材料が投入される混捏用の容器である。なお、ポット3の内周面には、従来のニーダのポットが備える突出部は存在しない。
ここで、ニーダ10は、約400〜600gの生地量を想定している。そのため、ポット3の内径は、たとえば23.0cm、高さは15.0cm、混捏子2の長手方向長さは12.5cm、高さは3.1cmとなっている。
なお、ニーダ10における生地量やポットの大きさは、上述した値に限定せず、適宜最適化するとよい。
また、ポット3は、略円筒形状としてもよく、あるいは、底部領域が上方に行くに従い次第にその径を大きくするような形状としてもよい。
混捏子2は、ポット3中央部に設けられた回転駆動軸を受け入れる凹部を有し、この凹部に回転駆動軸を差込み、駆動手段により図中の矢印方向に回転駆動される。
なお、本実施の形態では、混捏子2を回転駆動することで、ポット3内の材料を混捏するように構成されているが、混捏子2を回転させることなくポット3を回転させる構成でもよいし、あるいは、混捏子2とポット3の両方を回転させる構成でもよい。混捏子2とポット3の両方を回転させる場合には、互いに逆方向へ回転させる、あるいは、同方向に異なる速度で回転させるように構成してもよい。
また、混捏子2あるいはポット3の回転速度は、一定でもよいし、あるいは、ガス抜き時や、材料粉と水とが次第に混ざり合っていく状態変化などに応じて間欠制御若しくは変動させるように構成してもよい。さらには、ニーダ10に、生地の混捏状態を監視するセンサを設けた上で、センサで監視した混捏状態に合わせた速度制御を行う手段を備えるようにしてもよい。
以下、ポット3内に投入された材料が、混捏子2の回転に伴って混捏される様子について説明する。
ポット3内に投入された材料は、混捏子2の回転に伴い、羽根部21の底面外周縁及び傾斜面25によりすくい上げられ、傾斜面25上を移動しながら頂面23方向に上昇し、立設面27にて重力により落下する。第1立設面27より落下した材料は、羽根部22の底面外周縁及び傾斜面26によりすくい上げられ、傾斜面26上を移動しながら頂面23方向に上昇し、立設面28にて重力により落下する。同時に、傾斜面25,26および立設面29により、ポット内周面方向に押圧される。
以上の動きが繰り返されることで、ポット3内の材料が混合され、紛体状から次第に団子状にまとまり、さらに混捏される。
ここで、生地が混捏子2とポット3内底面間に侵入付着すると、侵入生地は、羽根部21の回転方向前端部21aから羽根部22の回転方向後端部22bに至る底面外周縁により、ポット内周面方向に掻き出される。
さらに、掻き出されずに残った混捏子2とポット3内底面間の侵入生地は、羽根部22の立設面28において落下してくる「混捏子2の回転につれて次第に形成される生地塊」と接着し、直ちに除去される。
混捏子2の回転につれて次第に形成される生地塊は、その下部領域が混捏子2の底面外周縁により楔状に食い込まれることにより、先ずはその下部領域が押圧される。次に、生地塊は、混捏子2の側面(傾斜面25,26)に乗り上げ、回転しながらその側面により押圧される。その後、生地塊は、回転方向後端部の絶壁状の立設面にて落下する。この動きが、羽根部21から羽根部22へ、羽根部22から羽根部21へ、再び、羽根部21から羽根部22へと繰り返される。
生地塊は、混捏子2の遠心力、及び、混捏子2の側面からの押圧力により、ポット3内周面方向に押し付けられると同時に、ポット3内周面からも応力としての押圧力を受ける。
また、生地塊は、通常、混捏子2を被う程度の大きさとなる。そのため、混捏子2の立設面28とポット3底面との間に形成される空間は減圧状態になり、かつ、生地塊には混捏子2とは逆の回転が与えられる。その結果、この領域の生地塊はこの空間に吸い込まれ、転倒するように折込まれる。
このように、生地塊に対して、いわゆる「手捏ね」、すなわち、生地塊を切断することなく、かつ、生地塊表面に対する摩擦の無い「捏ね」が繰り返される。
前述のとおり、本発明の混捏子は、極めて優れた混捏効果を有しているので、従来のニーダでは生地魂の作製が困難とされた「そば生地」であっても、良好な生地魂を、短時間に、かつ、容易に作製することができる。
なお、生地塊に対する混捏子2からの押圧力を更に高め、また、ポット3内周面からの生地塊に対する押圧力をより高めるためには、立設面29や混捏子2の高さを調節する(より高くする)とよい。また、羽根部22の回転方向後端部22bの側面傾斜角度δ(図5参照)を更に大きくするとよい。さらに、傾斜面26の断面形状を、直線あるいは外側(混捏子2の上面方向)に突出するように湾曲した曲線状にしてもよい。
また、近年、「捏ね」から「焼き」までを全自動で行うことができる各種製パン機(ホームベーカリーなど)が普及してきた。これらの製パン機は、手間をかけずにパンを焼くことができて便利である。
しかし、従来の製パン機には、適切な羽根(混捏子)が使用されていないために良好なニーディング(捏ね)が行われにくく、充分な弾性と粘着力を有するグルテンが形成されないという欠点もある。適量かつ良好なグルテンができないと、弾力性のあるふっくらとしたパンはできない。また、従来の製パン機は、ポット内に羽根を残したまま生地を焼くので、焼きあがったパンの底部には羽根による大きな穴ができ、見栄えが悪く、食欲を失うことにもなる。
そこで、まず、本発明の混捏子で生地魂を作製し、その後、ポットごと、焼き用ポットと入れ替えるとよい。あるいは、単一の製パン機が「本発明の混捏子を備えた混捏用ポット」と「焼き用ポット」の両方を備えるように構成してもよい。
以下、本発明にかかる製パン機の実施の形態について説明する。
図15と図16は、本発明にかかる製パン機の実施の形態を示す模式図であり、製パン機の部分的な断面図である。
製パン機100の内部には、パン材料を入れるポットが配置される焼成室101が設けられている。ここで、ポットには、パン材料を混捏する際に用いる混捏用ポット210と、混捏されたパン材料を加熱する際に用いる焼き用ポット220の2種類があり、いずれの形状も有底円筒体である。
混捏用ポット210と焼き用ポット220のいずれも、焼成室101内に着脱可能に配置される。図15は、混捏用ポット210が配置された状態、図16は、焼き用ポット220が配置された状態を示す。
焼成室101は、開閉自在な蓋102で覆われている。蓋102には、蓋102の開閉用の取っ手103と、製パン機100の利用者が焼成室101内の製パン状態を目視するために覗きこむ覗き窓104が設けられている。
図17は、混捏用ポットの構成を説明するための模式図である。
混捏用ポット210の内底面には、パン材料の混捏用の混捏子300が配置される。混捏用ポット210の底面中央部には、従動軸211が設けられている。従動軸211の一端は、混捏子300の底面に設けられた凹部に差込まれ、従動軸211の他端は、混捏用ポット210の外底面に設けられた従動コネクタ212に取付けられている。
従動コネクタ212は、凹部を有している。混捏用ポット210を、図示しない手段により焼成室101内に固定したとき、製パン機100内の駆動コネクタ105に取付けられた駆動軸106の一端が従動コネクタ212の凹部に嵌め込まれる。
混捏子300は、従動軸211、従動コネクタ212、駆動コネクタ105、駆動軸106、大プーリ107、ベルト108、小プーリ109、モータ軸110、を介してモータ111により回転駆動される。
なお、混捏子300として、前述の本発明にかかる混捏子を用いる。
図18は、焼き用ポットの構成を説明するための模式図である。
焼き用ポット220の内面には、混捏用ポット210に設けられている従動軸211のような突起物は、設けられていない。
焼き用ポット220は、図示しない手段により、焼成室101内に固定されると、製パン機100内の加熱手段であるヒータ112により加熱される。
なお、図17,図18に示した混捏用ポットと焼き用ポットの形状は、ポットの上方から下方にかけて略同一径の中空円筒状であるが、いずれのポットの形状もこれに限らず、たとえば、ポットの下方領域は底面から上方にいくに従い漸次径が大きくなり、上方領域は同一径の中空円筒状に形成したものでもよい。
モータ111とヒータ112は、製パン機100内の制御手段である制御回路113の命令により動作し、パン材料の混捏工程、熟成工程、ガス抜き工程、仕上げ発酵工程、焼き工程などの製パン工程を行う。
製パン機100の上面には、製パン機100の利用者が製パン機を動作させる際に使用する各種ボタンやタイマーなどが設けられた制御パネル114が配置されている。制御回路113は、制御パネル114からの信号などに基づいてモータ111やヒータ112を動作させる命令を発行する。
以下、製パン機100による製パン工程について説明する。
(混捏工程について)
混捏工程では、水和を効率的に行わせるために、材料を2回に分けて混捏するところの、いわゆる中種法が採用される。
なお、1回目の混捏と2回目の混捏の間には、所定の休止時間が設けられる。
(熟成工程 その1)
次に、混捏用ポット210内を所定の発酵温度に保持しながら、所定時間、混捏物を熟成させる。
(ガス抜き工程 その1)
次に、熟成工程(その1)で膨らんだ生地をつぶし、生地中のガスを除去するために、若干の時間、混捏子300を回転させる。
(熟成工程 その2)
次に、混捏用ポット210内を所定の発酵温度に保持しながら、所定時間、混捏物を熟成させる。
(ガス抜き工程 その2)
次に、熟成工程(その2)で膨らんだ生地をつぶし、生地中のガスを除去するために、若干の時間、混捏子300を回転させる。
(生地魂の入れ替え)
次に、ガス抜き工程の終了後、混捏用ポット210を焼成室101から取り出して、焼き用ポット220を焼成室101に設置して、ポットを入れ替える。また、混捏用ポット210内の生地魂を焼き用ポット220に入れ替える。生地魂の入れ替えは、人手で行う。ポットの入れ替えと生地魂の入れ替えの順序は、いずれを先にしてもよい。
なお、ガス抜き工程の終了を製パン機100の利用者に報知する報知手段を製パン機100に設けてもよい。
(仕上げ発酵工程)
次に、少しだけ温めた焼き用ポット220内に生地魂を所定時間放置して、仕上げの発酵をさせる。
(焼き工程)
次に、焼き用ポット220内を所定の第1温度に設定して、所定時間、生地を焼く。その後、焼き用ポット220内の温度を第1温度より高い第2温度に上げて、さらに所定時間、生地を焼く。
以上説明した工程を経ることで、製パン機100は、パンの材料の混捏からパンの焼き上げまで行うことができる。
ここで、製パン機100がパンの材料を混捏する際に用いる混捏子300は、本発明にかかる混捏子であるため、前述のとおり、生地の良好な混捏が可能であり、充分な弾性と粘着力を有するグルテンが形成され、ふっくらとしたパンを作製することができる。
また、焼き用ポット220の内面には突起物が存在せず、また、ポット内に混捏子を取付けることもないため、前述の従来の製パン機のように、焼き上がったパンの底部に大きな穴が形成されることもない。
なお、以上説明した製パン機は、混捏用ポットと焼き用ポットとが入れ替え可能に構成されたものであったが、本発明にかかる製パン機はこれに限らず、たとえば、図19に示すように、混捏用ポットと焼き用ポットとが併設可能に構成されたものであってもよい。
製パン機100bは、混捏用ポット210が設置される混捏・熟成室101aと、焼き用ポット220が設置される焼成室101bとを有してなる。空間101aは、開閉自在な蓋102aで覆われている。焼成室101bは、開閉自在な蓋102bで覆われている。
混捏子300は、図15に示した実施の形態と同様、従動軸、従動コネクタ212a、駆動コネクタ105a、駆動軸106a、大プーリ107a、ベルト108a、小プーリ109a、モータ軸110aを介してモータ111aにより回転駆動される。
一方、焼き用ポット220は、ヒータ112bにより加熱される。
なお、モータ111aとヒータ112a,112bは、制御回路113cが発行する命令に応じて動作する。なお、制御回路113cは、製パン機100bの制御パネル(図示省略)からの信号などに基づいて命令を発行する。
この両ポット併設型の製パン機100bの製パン工程は、前述の製パン工程とほぼ同様である。ただし、生地魂の入れ替え工程でのポットの交換は不要である。
本発明にかかるニーダの混捏子の実施の形態を示す斜視図である。 上記混捏子の底面周縁形状を説明するための模式図であり、(a)は第1羽根部の底面周縁形状、(b)は第2羽根部の底面周縁形状、(c)は第1羽根部と第2羽根部を接合した状態の底面周縁形状である。 上記混捏子の平面図である。 上記混捏子の底面図である。 上記混捏子の正面図である。 上記混捏子の背面図である。 上記混捏子の右側面図である。 上記混捏子の左側面図である。 回転軸を含む平面で断面したときの上記混捏子の傾斜面の断面形状を説明するための平面図である。 図9に示す(a)A−A線に沿う縦断面図、(b)B−Bに沿う縦断面図、(c)C−C線に沿う縦断面図である。 本発明にかかるニーダの混捏子の別の実施の形態を示す平面図である。 本発明にかかるニーダの混捏子のさらに別の実施の形態を示す平面図である。 本発明にかかるニーダの混捏子のさらに別の実施の形態を示す平面図である。 本発明にかかるニーダの実施の形態を示す斜視図である。 本発明にかかる製パン機の実施の形態を示す部分断面図である。 上記製パン機の別の部分断面図である。 上記製パン機に設置される混捏用ポットの構成を説明するための模式図である。 上記製パン機に設置される焼き用ポットの構成を説明するための模式図である。 本発明にかかる製パン機の別の形態を示す部分断面図である。 従来のニーダの混捏子の実施の形態を示す、(a)は平面図、(b)は(a)の平面図中のA−A線断面図である。
符号の説明
1 ニーダ本体
2 混捏子
3 ポット
10 ニーダ
20 連続部
21 第1羽根部
22 第2羽根部
23 頂面
24 底面
25 第1傾斜面
26 第2傾斜面
27 第1立設面
28 第2立設面
29 第3立設面
100 製パン機
210 混捏用ポット
220 焼き用ポット
300 混捏子

Claims (7)

  1. ポット内の底部に配置された回転軸を中心に回転駆動されてポット内の材料を混捏する混捏子であって、
    第1羽根部と第2羽根部とを有してなり、
    上記第1羽根部と第2羽根部とが接合したような形状に形成され、
    上記第1羽根部と第2羽根部のいずれも、底面周縁形状は略半楕円であり、
    上記第1羽根部の底面直線部の長さは、上記第2羽根部の底面直線部の長さより短く、
    上記第1羽根部と第2羽根部とは、それぞれの底面直線部が上記回転軸の軸心とこの軸心を通る直線を挟むように接し、かつ、「第1羽根部の底面曲線部の回転方向後端」と「第2羽根部の底面曲線部の回転方向前端」とが円弧状に連なるように接していて、
    上記第1羽根部の側面には、第1傾斜面が形成され、
    上記第2羽根部の側面には、第2傾斜面が形成され、
    上記第2羽根部の回転方向背面には、上記第1傾斜面の回転方向前端と連なる立設面が形成され、
    「第2羽根部の底面に対して直交し」かつ「回転軸を含む」平面で断面したとき、第2羽根部の回転方向前方から回転方向後方にかけての一部の領域における第2傾斜面の断面形状は、第2羽根部の底面側に湾曲した曲線であり、この曲線の曲率は、回転方向前方から回転方向後方にかけて漸次小さくなっていることを特徴とするニーダの混捏子。
  2. 「第1羽根部の底面に対して直交し」かつ「回転軸を含む」平面で断面したとき、第1羽根部の回転方向前方から回転方向後方にかけての一部の領域における第1傾斜面の断面形状は、第1羽根部の底面側に湾曲した曲線であり、この曲線の曲率は、回転方向前方から回転方向後方にかけて漸次小さくなっている請求項1記載のニーダの混捏子。
  3. 第1羽根部の回転方向後端における第1傾斜面の断面形状は、直線若しくは第1羽根部の底面と反対側に湾曲した曲線である請求項2記載のニーダの混捏子。
  4. ポットと、このポット内の材料を混捏する混捏子と、この混捏子をポット内の底部で回転駆動させる駆動手段とを有してなるニーダであって、
    上記混捏子は、請求項1記載のニーダの混捏子であることを特徴とするニーダ。
  5. パンの材料を混捏する際に用いられる混捏用ポットと、混捏されたパンの生地魂を焼き上げる際に用いられる焼き用ポットと、を設置することができる製パン機であって、
    上記混捏用ポット内に取付けられてパンの材料を混捏する混捏子は、請求項1記載のニーダの混捏子であることを特徴とする製パン機。
  6. 混捏用ポットと焼き用ポットとが入れ替え可能に構成されている請求項5記載の製パン機。
  7. 混捏用ポットと焼き用ポットとが併設可能に構成されている請求項5記載の製パン機。
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