第1の発明のリレー制御装置は、交流電源と、負荷と、前記負荷と前記交流電源の電流経路を導通または遮断するリレーと、前記交流電源を直流電源に変換する第一の直流電源回路と、前記第一の直流電源回路の出力電圧を前記第一の直流電源回路の出力電圧より低い電圧に変換する第二の直流電源回路と、前記第二の直流電源回路より電力供給を受けて前記リレーの導通、遮断を制御する制御手段とを備え、前記第一の直流電源回路は複数の出力電圧を有し、前記リレーの駆動電力は前記制御手段の制御信号に応じて前記第一の直流電源回路より供給され、前記制御手段は前記リレーを導通するときは、前記第一の直流電源回路の出力電圧を前記リレーの感動電流を供給できる感動電圧以上に設定し、前記リレーの導通開始から所定時間経過後に前記第一の直流電源回路の出力電圧を前記リレーの保持電流を供給できる保持電圧以上に設定するよう構成したものであり、制御手段がリレーの導通時間に応じて、リレーのコイルに電流を供給する第一の直流電源回路の出力電圧を切り替えることができるので、感動電流を供給できる感動電圧以上の電圧から保持電流を供給できる保持電圧以上の電圧に出力電圧を切り替えるタイミングを、第一の直流電源回路を構成するコンデンサの容量やリレーのコイルの抵抗値などの影響に関係なく設定でき、第一の直流電源回路の構成部品であるコンデンサの経年劣化の影響を受けなくなり、リレー制御装置の長期保証ができる。また、リレーの導通時間が長い場合は、第一の直流
電源回路の出力電圧をリレーの感動電圧より小さくし、保持電圧より大きくすることができるので、第二の直流電源回路への出力電圧も低下し、リレー制御装置の消費電力を小さくすることができる。
第2の発明のリレー制御装置は、上記第1の発明において、制御手段は、リレーが遮断しているとき、第一の直流電源回路の出力電圧を前記リレーの感動電流を供給できる感動電圧より低い値に設定し、リレーを導通する前に前記第一の直流電源回路の出力電圧を感動電圧以上に設定するようにしたものであり、第二の直流電源回路に出力する出力電圧が低くなるので、第二の直流電源回路の消費電力が低下し、リレー制御装置を動かしていないときの電力、すなわち待機電力を低減することができる。
第3の発明のリレー制御装置は、上記第2の発明において、制御手段は、リレーを遮断しているとき、第一の直流電源回路の出力電圧を前記リレーの保持電流を供給できる保持電圧より低い値に設定するようにしたものであり、リレーを遮断しているとき、外来ノイズなどの影響で制御手段がリレーを導通する制御信号を出力しても、リレーのコイルに電流が供給されずリレーの接点が接続することがないので、リレー制御装置を動かしていないときに間違ってリレーの接点が接続し負荷が導通することがない安全なリレー制御装置を提供できる。また、第二の直流電源回路に出力する電圧が低くなるので、第二の直流電源回路の消費電力が低下し、リレー制御装置の待機電力を低減することができる。
第4の発明のリレー制御装置は、上記第1の発明において、第一の直流電源回路の出力電圧を検知する電圧検知手段を備え、制御手段は、リレーを導通するとき、前記電圧検知手段により検知した電圧が前記リレーの感動電圧以下の場合は、リレーの導通を開始しないよう制御するようにしたものであり、リレーを導通する際に感動電流が供給できない状態になるのを防止でき、感動電流より小さい電流でリレーを導通したことによりリレーの接点に不良が発生することを防止することができる。
第5の発明のリレー制御装置は、上記第1の発明において、交流電源の零電圧に同期した信号を発生する零電圧同期信号発生手段と、前記零電圧同期信号発生手段の出力からの時間を測定するタイマー手段と、前記零電圧同期信号発生手段の出力信号からリレーを導通または遮断するまでのタイミング時間を設定するタイミング設定手段とを備え、制御手段は、前記タイミング設定手段が設定したタイミング時間と前記タイマー手段の出力からリレーを導通または遮断し、前記タイミング設定手段は前記タイミング時間を交流電源の位相の正負が交互になるよう変更するようにしたものであり、リレーの接点に流れる電流の平均値をほぼ零にすることになり、リレー接点の金属の転移を抑え、リレー接点の耐久性を向上することができる。
第6の発明のリレー制御装置は、上記第1の発明において、複数の負荷と、前記複数の負荷と交流電源のそれぞれの電流経路を導通または遮断するための複数のリレーとを備え、制御手段は、前記複数のリレーのいずれか一つを導通するとき、その他のリレーが導通状態であるか遮断状態であるかにかかわらず、第一の直流電源回路の出力電圧を前記リレーの感動電流を供給できる感動電圧以上に設定し、その後、所定時間経過後に第一の直流電源回路の出力電圧を前記リレーの保持電流を供給できる保持電圧以上の設定するようにしたものであり、リレーごとにリレーのコイルに供給する電流を最適にするための回路を追加する必要がなく、回路構成部品を少なくすることができる。また、リレーを導通するときは、まず、第一の直流電源回路の出力電圧をリレーの感動電流を供給できる感動電圧以上に切り替え、リレーを導通してから所定時間経過後に、第一の直流電源回路の出力電圧をリレーの保持電流を供給できる保持電圧以上に切り替えるので、リレーの数に関係なく確実にリレーの動作保証範囲でリレーを動作させることができ、リレー制御装置の信頼性を向上することができる。
第7の発明のリレー制御装置は、上記第6の発明において、感動電流が異なる二つ以上のリレーを備え、制御手段は、リレーを導通するとき、前記異なる感動電流のうち、最も大きな感動電流を供給できる感動電圧になるように第一の直流電源回路の出力電圧を設定するようにしたものであり、第一の直流電源回路の出力電圧の設定値を少なくすることができ、リレー制御装置の構成部品を少なくすることができ、リレー制御を簡単にすることができる。また、複数のリレーの感動電流のうち最も大きな感動電流以上を流すことができるようにするので、同時に感動電流が異なるリレーを導通してもリレーの感動電流が足りず、リレーの接点が不安定な状態で接続することがなくなり、リレーの接点の溶着などのリレーの不良を抑えることができる。
第8の発明のリレー制御装置は、上記第7の発明において、保持電流が異なる二つ以上のリレーを備え、制御手段はもリレーを導通するとき、前記異なる感動電流のうち、最も大きい感動電流を供給できる感動電圧になるように第一の直流電源回路の出力電圧を設定し、リレーを導通してから所定時間経過後に、前記異なる保持電流のうち、最も大きい保持電流を供給できる保持電圧になるように第一の直流電源回路の出力電圧を設定するようにしたものであり、第一の直流電源回路の出力電圧の設定値を少なくすることができ、リレー制御装置の構成部品を少なくすることができ、リレー制御を簡単にすることができる。また、複数のリレーの保持電流のうち最も大きな保持電流以上を流すことができるようにするので、同時に保持電流が異なるリレーを導通してもリレーの保持電流が足りず、リレーの接点の接続を保持できず負荷の導通をできなくなるのを防止できる。また、リレーの保持電流が足りずに、リレーの接点の接続を保持できなくなり、その結果、リレーの接点が離れ、リレーの接点間でアークが発生し、このアークによりリレーの接点が溶着するのを抑えることができる。
第9の発明のリレー制御装置は、上記第1の発明において、リレー近傍の温度を検知する温度検知手段を備え、制御手段は、前記温度検知手段の出力に応じて第一の直流電源回路の出力電圧を変更するようにしたものであり、リレーのコイルの抵抗値が周囲温度により変化しても、この周囲温度の変化を検知して第一の直流電源回路の出力電圧を変更するので、リレーの感動電流や保持電流を確実に供給することができ、リレーの接点を接続できなくなるのを防止することができ、リレーの接点の接続を保持できずに接点が離れ負荷が導通しなくなるのを防止することができる。
第10の発明の調理機器は、上記第1〜9のいずれか1つの発明に記載のリレー制御装置を備えたものであり、リレーを長期にわたって使用できるので、製品寿命の長い調理機器を提供できる。また、調理機器などは加熱するので、通常使用でもリレー制御装置の周囲温度が高くなるので、電解コンデンサの経年変化がAV機器などにくらべ早いことが想定できるが、第一の直流電源回路の出力電圧を制御手段によって設定することにより、この出力電圧の切り替えができるので、リレーの感動電流が流れる期間と装置の消費電力を考慮しながら電解コンデンサの容量を設定する必要がなくなり、電解コンデンサの経年劣化のみを考慮して設定することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるリレー制御装置の一部ブロック化した回路図を示し、図2は、本実施の形態のリレー制御装置を搭載した調理機器の断面図を示すものである。なお、図2では電気的な接続状態は省略している。
図1に示すように、交流電源1は、日本各地で一般的に使用されている60Hz100Vまたは50Hz100Vの商用電源である。ヒータ2は負荷を構成するもので、ニクロム線を用いた管状のミラクロンヒータで構成し、近赤外線を発生させる。このヒータは100V印加時、約400Wになる。なお、本実施の形態では、ニクロム線を用いたヒータを使用しているが、ハロゲンヒータを用いても構わないし、アルゴンヒータを用いても構わない。リレー接点(リレー)3は、ヒータ2と直列接続し、このリレー接点3をオンオフすることで、ヒータ2と交流電源1の電流経路を導通、遮断する。
第一の直流電源回路4は、交流電源1を直流電源に変換するもので、ダイオード5とコンデンサ6からなる半波整流平滑回路7と、半波整流平滑回路7から電力供給を受けて約12Vの直流電圧を出力するスイッチング電源8とで構成している。半波整流平滑回路7はダイオード5とコンデンサ6を用いて交流電源1を半波整流平滑し、約141Vの直流電圧に変換している。ただし、これは一例で、ダイオードブリッジを用いて交流電源1を全波整流平滑してもかまわない。
スイッチング電源8は、図示していないが、MOSFETなどのパワー半導体素子とこのパワー半導体を所定の電流値の範囲内でオンオフ制御する制御回路で構成されたパワー半導体内蔵制御回路9とコイル10と平滑用のコンデンサ11とコンデンサ11の電圧が所定の設定値になるようにパワー半導体内蔵制御回路9をフィードバック制御するため出力電圧検知回路12で構成している。
パワー半導体内蔵回路9は内蔵されたMOSFETを所定の電流値の範囲内でオンオフ制御することにより、コイル11を介してコンデンサ12を充電している。
出力電圧検知回路12は、図示していないが、フォトカプラと約12Vのツェナーダイオードと約7Vのツェナーダイオードで構成し、この2つのツェナーダイオードを切り替えることでフィードバック制御する出力電圧を切り替えている。
たとえば、約12Vの出力電圧を設定するときは、フォトカプラとツェナーダイオードを直列接続する。コンデンサ11の電圧が12Vを超えてくると、12V用のツェナーダイオードが通電しフォトカプラがオンしてパワー半導体内蔵制御回路9に出力電圧が12Vを超えたことを送信する。パワー半導体内蔵制御回路9はこの信号を受けると、内蔵されたMOSFETのスイッチング動作をオフする。コンデンサ11の電力供給が停止し、電圧が降下し、12Vより低くなると12V用のツェナーダイオードは通電しなくなり、フォトカプラがオフしてパワー半導体内蔵制御回路9に出力電圧が12Vより低くなったこと送信する。パワー半導体内蔵制御回路9はこの信号を受けると、内蔵されたMOSFETのスイッチング動作を開始し、コイル10を介してコンデンサ11を充電する。
7Vの出力電圧に設定する場合は、フォトカプラと7V用のツェナーダイオードを直列接続することで、同様の動作をすることができる。なお、本実施の形態の出力電圧検知回路12は、請求項4に示している電圧検知手段とは異なるものである。この電圧検知手段については、後で説明する。
つまり、本実施の形態では、半波整流平滑回路7の出力電圧約141Vをスイッチング電源8が約12Vの直流電圧に降圧している。
リレーコイル(リレー)13は、一方の端子に第一の直流電源回路4の出力端子を接続している。本実施の形態では、リレーコイル13の電圧定格は直流電圧12Vである。また、感動電流を流すことができる直流電圧(感動電圧)は10Vであり、保持電流を流すことができる直流電圧(保持電圧)は5Vである。
第二の直流電源回路14は、図示していないが、NPNトランジスタとツェナーダイオードを用いたエミッタフォロア回路で構成し、スイッチング電源8の出力電圧、すなわち第一の直流電源回路4の出力電圧約12Vを第一の直流電源回路4の出力電圧より低い電圧約5Vに変換するようにしている。
制御手段15は、マイクロコンピュータ16、リレーコイル13を通電する駆動回路17、第一の直流電源回路4の出力電圧を設定する出力電圧設定手段18などで構成している。この制御手段15は第二の直流電源回路14から約5Vの直流電圧を供給されることで動作する。マイクロコンピュータ16は、リレーコイル13を通電または遮断するハイまたはロー信号を駆動回路17に出力する。
本実施の形態のリレー制御装置のマイクロコンピュータ16は、出力電圧設定手段18にハイまたはローを出力して、第一の直流電源回路4を構成する出力電圧検知回路12の検知電圧の設定値を切り替える。本実施の形態では、マイクロコンピュータ13は第一の直流電源回路4の出力電圧を約12Vに設定するときには出力電圧設定手段18にロー信号を出力し、第一の直流電源回路4の出力電圧を約7Vに設定するときには出力電圧設定手段18にハイ信号を出力する。
本実施の形態のリレー制御装置では、マイクロコンピュータ16に内蔵されたタイマーを用いて、リレーコイル13の通電開始からの時間を計測し、所定時間経過後に出力電圧設定手段18への出力信号を切り替えている。
駆動回路17は、トランジスタなどで構成し、トランジスタをオンし、スイッチング電源8の出力電圧12Vをリレーコイル13に供給することにより、リレーコイル13に電流を流し、このコイルに発生する電磁力でリレー接点3を駆動する。
一般的に、リレーはリレーコイル13に定格電圧を印加すると感動電流以上の電流を流すことができるので、リレーコイルの定格電圧が12Vであるリレーを用いれば、確実にリレー接点3を接続できる。
なお、感動電流というのは、リレー接点3を動かして確実に接続できるリレーコイル13の電流値を示すもので、リレーの仕様を示すものであり、一般的に使用される用語である。
出力電圧設定手段18は、トランジスタなどで構成し、トランジスタをオンオフすることで出力電圧検知回路12の検知電圧の設定値を切り替える。本実施の形態のリレー制御装置では、出力電圧設定手段18を構成するトランジスタがオンしたときは、出力電圧検知回路12の検知電圧は7Vとなり、トランジスタがオフしたときは、出力電圧検知回路12の検知電圧は12Vとなる。
つぎに、図2に示すように、調理機器本体21は、表面をメッキ処理された金属板を箱状に形成することで構成している。加熱室22は、アルミ板で一方向のみを開放した箱状に形成することで構成し、加熱室22の内部にヒータ(ミラクロンヒータ)2を天面側と底面側に配置し、この2つのヒータは電気的に直列接続している。
扉23はガラスと金属板で構成し、加熱室22内部の調理物の状態を目視できるようにしている。取手24は樹脂で形成し、ヒータ2が加熱することで扉23の温度が上昇しても使用者がつかんで扉23を開閉できるようにしている。
制御基板25は、図1に示したリレー制御装置を実装したもので、図1に示したリレー制御装置の要部回路構成のうち、ヒータ2を除く部分の回路を搭載し、ヒータ2を制御している他、加熱室22内部の温度を検知するサーミスタや、タクトスイッチなどのスイッチや、LEDなどを搭載し、使用者が押すことで調理機器としての所定のシーケンスを動作させている。
操作パネル26は、制御基板25上に配置したスイッチの意味を表示し、使用者が所望のメニューや時間をスイッチで設定できるようにしている。また、制御基板25上に配置したLEDの意味を表示し、使用者が残り時間や現在の状態を認識できるようにしている。
焼き網27は、金属で形成し、図示していないが、焼き網27の四隅にあたるところに引っ掛けを設けており、その引っ掛けに焼き網27を引っ掛けることで所定の位置に配置できるようになっている。脚28は樹脂で形成し、調理機器本体21の四隅に配置している。
上記構成において、本実施の形態のリレー制御装置を搭載した調理機器について、図3を参照しながら動作、作用を説明する。図3は、図1に示したリレー制御装置の各部の動作波形を示すタイムグチャートを示している。(a)は駆動回路16のオンオフ状態を示し、(b)はヒータ2およびリレー接点3の電流波形を示し、(c)は第一の直流電源回路4の出力電圧波形を示し、(d)は出力電圧設定手段17のオンオフ状態を示し、(e)は交流電源1の電圧波形を示している。
まず、使用者が、図2の加熱室22内の焼き網27の上にパン、お餅などの調理物を置く。このとき、図1のリレー制御装置は、すでに交流電源1に接続している。制御手段15を構成するマイクロコンピュータ16は、出力電圧設定手段18にハイ信号を出力している。出力電圧設定手段18を構成するトランジスタは、このハイ信号を受けてオン状態となっている。このトランジスタがオン状態のときは、出力電圧検知回路12の検知電圧の設定値が7Vとなり、第一の直流電源回路4の出力電圧は7Vになるように制御されている。
上記の状態のときに、操作パネル26の表示に従って、所望のスイッチを押すと、操作パネル26を介して制御基板25上のスイッチが押され、そのスイッチに対応した加熱を開始する。
例えば、操作パネル26のスイッチが押されると、図3の時刻t0で、制御手段15を構成するマイクロコンピュータ16が出力電圧設定手段18にロー信号を出力する。出力電圧設定手段18を構成するトランジスタは、このロー信号をうけてオフすると、第一の直流電源回路4を構成する出力電圧検知回路12の検知電圧の設定値が12Vとなり、出力電圧が12Vになるように第一の直流電源回路4が制御される。
7Vの出力電圧から12Vの出力電圧になるまでの時間は第一の直流電源回路4の出力電流の供給能力で決まる。本実施の形態では、出力電圧が7Vから12Vになるまでの時間がおよそ30msかかるものとしている。
時刻t1は出力電圧設定手段18のトランジスタがオフしてから40ms経過している。時刻t1では制御手段15を構成するマイクロコンピュータ16が駆動回路17にハイ信号を出力する。同時にマイクロコンピュータ16は内蔵されたタイマーを用いて、時間測定を開始する。
駆動回路17を構成するトランジスタがオンすると、リレーコイル13が通電される。このとき、リレーコイル13の電流供給は第一の直流電源回路4から供給される。第一の直流電源回路4は出力電圧が12Vになるように制御しているので、リレーコイル13に電流が流れても電圧降下することがない。
リレーコイル13が通電すると、コイルの電磁力によりリレー接点3が駆動する。なお、リレー接点3は動くことで、接点を接続、開放をするものなので、リレー接点3が接続し、ヒータ2が導通状態になるまで時間がかかる。本実施の形態では、約7ms後の時刻t2で、各リレーの接点が接続し、ヒータ2の電流経路が導通状態になる。
時刻t3では、時刻t1から170ms経過している。マイクロコンピュータ16はこの経過時間を内蔵されたタイマーで計測しており、170ms経過したことを計測すると、出力電圧設定手段18にハイ信号を出力する。
出力電圧設定手段18を構成するトランジスタは、このハイ信号をうけてオンすると、第一の直流電源回路4を構成する出力電圧検知回路12の検知電圧の設定値が7Vとなり、出力電圧が7Vになるように第一の直流電源回路4が制御される。
第一の直流電源回路4の出力電圧が12Vから7Vに低下するまでの間、パワー半導体内蔵制御回路9はスイッチング動作を行わない。つまり、12Vの出力電圧から7Vの出力電圧になるまでの時間は第一の直流電源回路4を構成するコンデンサ11の容量とリレーコイル13の抵抗値で決まる。本実施の形態では、出力電圧が12Vから7Vになるまでの時間がおよそ25msかかるものとしている。本実施の形態では、リレーコイル13の保持電流を流すことができる直流電圧は5Vなので、第一の直流電源回路4の出力電圧を7Vにすれば、保持電流以上の電流を供給することができる。同時に、第二の直流電源回路14への出力電圧が7Vとなるので、第二の直流電源回路14の損失を抑えることができ、負荷(ヒータ2)の電力を除いたリレー制御装置の消費電力を低減することができる。
以上のように、本実施の形態のリレー制御装置においては、制御手段15は、リレーを導通するときは、第一の直流電源回路4の出力電圧をリレーの感動電流を供給できる感動電圧以上に設定し、リレーの導通開始から所定時間経過後に第一の直流電源回路4の出力電圧をリレーの保持電流を供給できる保持電圧以上に設定するよう構成したので、制御手段4がリレーの導通時間に応じて、リレーコイル13に電流を供給する第一の直流電源回路4の出力電圧を切り替えることができるので、第一の直流電源回路4を構成するコンデンサ11の容量を大きくしても、確実に所定のタイミングで電源電圧を切り替えることができ、リレーコイル13の消費電流と制御手段15に電力供給する第二の直流電源回路14の損失を抑えることができる。また、リレーコイル13の消費電流を減らすためにリレーコイル13に電流制限抵抗を直列接続することがあるが、その必要もなくなる。さらに、この電流制限抵抗を直列接続した場合、リレーコイル起動時の電流を確保するためにコンデンサをリレーコイルに並列接続することがあるが、このコンデンサも必要なくなる。
また、本実施の形態のリレー制御装置では、図3に示したように、リレーを動作させる前の状態においては、第一の直流電源回路4の出力電圧を感動電圧より低く、保持電圧より高い7Vにしている。7Vにすることにより、12Vのときよりも第二の直流電源回路14の損失が減り、消費電力が低減できる。いわゆる待機電力を低減することができる。
また、本実施の形態の調理機器においては、上述のリレー制御装置を備えたので、リレーを長期にわたって使用できるため、製品寿命の長い調理機器を提供できる。また、調理機器などは加熱するので、通常使用でもリレー制御装置の周囲温度が高くなるので、電解
コンデンサの経年変化がAV機器などにくらべ早いことが想定できるが、第一の直流電源回路4の出力電圧を制御手段15によって設定することにより、この出力電圧の切り替えができるので、リレーの感動電流が流れる期間と装置の消費電力を考慮しながら電解コンデンサの容量を設定する必要がなくなり、電解コンデンサの経年劣化のみを考慮して設定することができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるリレー制御装置の一部ブロック化した回路図を示し、図5は、本実施の形態のリレー制御装置を搭載した調理機器としての炊飯器の断面図を示すものである。なお、図5では図面を簡潔にするために、電気的接続のためのリード線や、部品を固定するためのネジは省略している。
図4に示すように、第一のヒータ41は負荷を構成するもので、シーズヒータで構成している。一般的に、シーズヒータは、ニクロム線などの発熱体を金属パイプの中に電気絶縁体を充填しながら封入した構成となっている。本実施の形態では、このシーズヒータをアルミで鋳込んだ一般的に鋳込みヒータといわれるヒータになっている。この鋳込みヒータは100V印加時、約400Wになる。第二のヒータ42は、負荷を構成するもので、シーズヒータで構成している。このシーズヒータは100V印加時、約70Wになる。
第一のリレー接点43は、第一のヒータ41と直列接続し、第一のリレー接点43をオンオフすることで、第一のヒータ41と交流電源1の電流経路を導通、遮断する。第二のリレー接点44は、第二のヒータ42と直列接続し、第二のリレー接点44をオンオフすることで、第二のヒータ42と交流電源1の電流経路を導通、遮断する。
第一の直流電源回路45は、ダイオード5とコンデンサ6からなる半波整流平滑回路7と、半波整流平滑回路7から電力供給を受けて約12Vの直流電圧を出力するスイッチング電源46とで構成している。
スイッチング電源46は、図示していないが、MOSFETなどのパワー半導体素子とこのパワー半導体を所定の電流値の範囲内でオンオフ制御する制御回路で構成されたパワー半導体内蔵制御回路9とコイル10と平滑用のコンデンサ11とコンデンサ11の電圧が所定の設定値になるようにパワー半導体内蔵制御回路9をフィードバック制御するため出力電圧検知回路47で構成している。
パワー半導体内蔵回路9は内蔵されたMOSFETを所定の電流値の範囲内でオンオフ制御することにより、コイル11を介してコンデンサ12を充電している。出力電圧検知回路47は、図示していないが、フォトカプラと約12Vのツェナーダイオードと約7Vのツェナーダイオードと約4Vのツェナーダイオードで構成し、この3つのツェナーダイオードを切り替えることで、フィードバック制御する出力電圧を切り替えている。
たとえば、約12Vの出力電圧を設定するときはフォトカプラとツェナーダイオードを直列接続する。コンデンサ11の電圧が12Vを超えてくると12V用のツェナーダイオードが通電し、フォトカプラがオンしてパワー半導体内蔵制御回路9に出力電圧が12Vを超えたことを送信する。パワー半導体内蔵制御回路9はこの信号を受けると、内蔵されたMOSFETのスイッチング動作をオフする。コンデンサ11の電力供給が停止し、電圧が降下し、12Vより低くなると12V用のツェナーダイオードは通電しなくなり、フォトカプラがオフしてパワー半導体内蔵制御回路9に出力電圧が12Vより低くなったこと送信する。パワー半導体内蔵制御回路9はこの信号を受けると、内蔵されたMOSFETのスイッチング動作を開始しコイル10を介してコンデンサ11を充電する。
7Vの出力電圧に設定する場合は、フォトカプラと7V用のツェナーダイオードを直列接続することで同様の動作をすることができる。4Vの出力電圧を設定する場合は、フォトカプラと4V用のツェナーダイオードを直列接続することで同様の動作をすることができる。なお、本実施の形態の出力電圧検知回路47は、請求項4に示している電圧検知手段とは異なるものである。この電圧検知手段については、後で説明する。
つまり、本実施の形態では、半波整流平滑回路7の出力電圧約141Vをスイッチング電源46が約12Vの直流電圧に降圧している。
第一のリレーコイル48は、一方の端子には第一の直流電源回路45の出力端子を接続している。本実施の形態では、第一のリレーコイル48の電圧定格は直流電圧12Vである。また、感動電流を流すことのできる直流電圧(感動電圧)は10Vである。また、保持電流を流すことのできる直流電圧(保持電圧)は5Vである。
第二のリレーコイル49は、一方の端子に第一の直流電源回路45の出力端子を接続している。本実施の形態では、第二のリレーコイル49の電圧定格は直流電圧12Vである。また、感動電流を流すことのできる直流電圧(感動電圧)は11Vである。また、保持電流を流すことのできる直流電圧(保持電圧)は6Vである。
制御手段50は、マイクロコンピュータ51、第一のリレーコイル48を通電する第一の駆動回路52、第二のリレーコイル49を通電する第二の駆動回路53、第一の直流電源回路45の出力電圧を設定する出力電圧設定手段54などで構成している。制御手段50は第二の直流電源回路14から約5Vの直流電圧を供給されることで動作する。
マイクロコンピュータ51は、第一のリレーコイル48と第二のリレーコイル49を通電または遮断するハイまたはロー信号を第一の駆動回路52と第二の駆動回路53に出力する。また、マイクロコンピュータ51は、出力電圧設定手段54に信号を出力して、第一の直流電源回路45を構成する出力電圧検知回路47の検知電圧の設定値を切り替える。
第一の駆動回路52と第二の駆動回路53は、トランジスタなどで構成され、トランジスタをオンし、スイッチング電源46の出力電圧12Vを第一のリレーコイル48または第二のリレーコイル49に供給することにより、第一のリレーコイル48または第二のリレーコイル49に電流を流し、このコイルに発生する電磁力で第一のリレー接点43または第二のリレー接点44を駆動する。
出力電圧設定手段54は、2つのトランジスタ55、56などで構成している。この2つのトランジスタ55、56のオンオフの組み合わせによって、出力電圧検知回路47の検知電圧の設定値が切り替えられる。本実施の形態のリレー制御装置では、トランジスタ55、56ともにオフの状態のときには、出力電圧検知回路47の検知電圧の設定値は12Vとなる。トランジスタ55のみがオン状態のときには、出力電圧検知回路47の検知電圧の設定値は7Vとなる。トランジスタ56のみがオン状態のときには、出力電圧検知回路47の検知電圧の設定値は4Vとなる。
零電圧同期信号発生手段57は、交流電源1の零電圧に同期した信号を発生させるもので、2つの抵抗を直列接続して構成した抵抗分圧回路58と、抵抗分圧回路58により分圧された電圧をベース端子に入力しオンオフするトランジスタ59と、トランジスタ59のコレクタ端子に一方の端子を接続し、他方の端子を第二の直流電源回路14の出力端子に接続した抵抗60で構成している。以上の構成にすることにより、零電圧同期信号発生手段57は交流電源1の電圧が零電圧近傍になると、ハイ信号からロー信号に切り替わる
か、ロー信号からハイ信号に切り替わる。本実施の形態のリレー制御装置においては、マイクロコンピュータ51が零電圧同期信号発生手段57のロー信号からハイ信号の切り替わりを検知し、マイクロコンピュータ57のタイマーにより構成したタイマー手段61により、時間を測定し始める。
タイミング設定手段62は、零電圧同期信号発生手段57の出力信号からリレーを導通または遮断するまでのタイミング時間を設定するもので、マイクロコンピュータ51のROMに予め記憶されている複数のタイミング時間を順番に切り替えていくものである。本実施の形態のリレー制御装置では、このタイミング時間をTs1、Ts2、Ts3、Ts4としている。本実施の形態では、交流電源1の電源周波数ごとにTs1とTs2とTs3とTs4は90度ずつ位相がずれた時間が設定されている。つまり、交流電源1の電源周波数が50Hzの場合は、Ts1=0ms、Ts2=5ms、Ts3=10ms、Ts4=15msとなっている。タイミング設定手段62は、交流電源1の電圧位相が交互に切り替わるように、Ts1からTs4のタイミング時間を変更していく。
本実施の形態のリレー制御装置では、タイマー手段61とは別に設けられたマイクロコンピュータ51に内蔵されたタイマーを用いて、第一のリレーコイル48または第二のリレーコイル49の通電開始からの時間を計測し、所定時間経過後に出力電圧設定手段18への出力信号を切り替えている。
つぎに、図5に示すように、炊飯器本体71は、その上面を覆うように蓋72を開閉自在に設置している。炊飯器本体71と蓋72はステンレス製のヒンジ軸73で機械的に接続し、ヒンジ軸73を回転軸として蓋72は開閉される。炊飯器本体71の収納部74は、その底部に第一のヒータ41を配設する。第一のヒータ41は、図4で説明したように、アルミ鋳込みヒータである。
鍋75は、アルミニウムなどの金属によって形成している。鍋75には、その表面にフッ素コートがされている。鍋75は上端開口部に外側にせり出したフランジを有する。鍋75は第一のヒータ41の上面に接触した状態で載置されることにより、収納部74に着脱自在に収納される。使用者は鍋75に米や水などの被加熱物を入れて調理を行う。
蓋加熱板76はステンレスなどの金属で形成し、ゴム製のパッキン77を介して蓋72に着脱自在に設置している。蓋加熱板76の略中央部に蒸気を外部に逃がすための穴を設けている。蓋72の蓋加熱板76と対抗する面にアルミニウム製の放熱板78を組み込み、放熱板78に第二のヒータ42を図示していないがアルミテープによって接触した状態で取り付けている。蓋72の略中央部に蒸気口79を着脱可能な状態で取り付けており、蓋加熱板76の穴と蒸気口79を介して、鍋75内で発生した蒸気を外部に排出するようにしている。
第一の回路基板80は、スイッチ、LCD、マイクロコンピュータ51などで構成している。操作パネル81は炊飯器本体71にはめ込まれており、各スイッチの意味をしるした文字が印刷されている。使用者がその部分を押すことで第一の回路基板80に搭載されたスイッチが押される構成となっている。
第二の回路基板82は、第一のリレー43の他に、図示しないが、第二のリレー44や第一の直流電源回路45や第二の直流電源回路14などを搭載している。
巻き取り式の電源コード収納部83は、第二の回路基板82にリード線を介して電気的に接続している。電源コード収納部83はストッパーとばねを用いて電源コードを巻き取ることを可能にしている。
温度検知手段84は、サーミスタで構成し、鍋75の底部の略中心に配置している。サーミスタは温度で抵抗値が変わるので、このサーミスタと所定の抵抗値を有する抵抗で分圧回路を構成し、所定の電圧をこの分圧回路の両端に供給することで、サーミスタの抵抗値をアナログ電圧に変換できる。図4に示したマイクロコンピュータ51は、内蔵されたAD変換器を用いてこのアナログ電圧から温度を推定する。
第一の回路基板80と第二の回路基板82は、図示しないが、リード線で電気的に接続しており、マイクロコンピュータ51と第一の駆動回路52、第二の駆動回路53により、第一のリレーコイル48、第二のリレーコイル49を通電制御し、第一のリレー接点43、第二のリレー接点44を接続し第一のヒータ41、第二のヒータ42を導通して第一のヒータ41、第二のヒータ42を発熱させ、この発熱により鍋75と蓋加熱板76を加熱するようにしている。
このように、本実施の形態の炊飯器は、第一のヒータ41の発熱により鍋75を加熱し、鍋75内の調理物を加熱調理する。ここで、調理物は、炊飯前の米と水又は炊き上がったご飯等である。
上記構成において、本実施の形態のリレー制御装置を搭載した炊飯器について、図6および図7を参照しながら動作、作用を説明する。図6は、図4に示したリレー制御装置の各部の動作波形を示すタイムチャートの一部(前半)を示している。(a)は第一の駆動回路48のオンオフ状態を示し、(b)は第一のヒータ41および第一のリレー接点43の電流波形を示し、(c)は第二の駆動回路49のオンオフ状態を示し、(d)は第二のヒータ42および第二のリレー接点44の電流波形を示し、(e)は第一の直流電源回路45の出力電圧波形を示し、(f)は出力電圧設定手段54を構成するトランジスタ55のオンオフ状態を示し、(g)は出力設定手段54を構成するトランジスタ56のオンオフ状態を示し、(h)は交流電源1の電圧波形を示し、(i)は零電圧同期信号発生手段57の出力信号を示している。図7は、図6のタイムチャートの続き(後半)を示すものであり、(a)〜(i)は図6と同じである。
まず、使用者が図5の鍋75にお米と水を入れる。このとき、図4のリレー制御装置は、すでに交流電源1に接続している。制御手段50を構成するマイクロコンピュータ51は出力電圧設定手段54を構成するトランジスタ55にハイ信号を出力し、トランジスタ56にロー信号を出力している。トランジスタ55は、このハイ信号を受けてオン状態となり、出力電圧検知回路47を構成する4Vのツェナーダイオードが接続され、検知電圧の設定値が4Vとなり、第一の直流電源回路45の出力電圧は4Vになるように制御されている。
第一の直流電源回路45の出力電圧が4Vのとき、第二の直流電源回路14の出力電圧は約3.3Vとなっている。これは第二の直流電源回路14の回路構成がエミッタフォロア回路のため、エミッタフォロア回路を構成するトランジスタのベース−エミッタ間の電圧降下が0.7Vほど発生するためである。本実施の形態のマイクロコンピュータ51の動作保証範囲は2.3Vから5.5Vなので、第二の直流電源回路14の出力電圧が約3.3Vでも、マイクロコンピュータ51は正常に動作することができる。
第一の直流電源回路45の出力電圧が4Vのときは、出力電圧が7Vのときと12Vのときに比べ、制御手段50に印加される電圧が低いので、消費電流が同じであっても、制御手段50の消費電力を低減することができる。さらに、第一の直流電源回路45がスイッチング電源46で構成されているので、約141Vの直流電圧から約4Vの直流電圧への変換効率が電源トランスに比べ高くなり、リレー制御装置の消費電力を低減することが
できる。
上記の状態のときに、図5の操作パネル81の表示に従って、所望のスイッチを押すと、操作パネル81を介して第一の回路基板80上のスイッチが押され、そのスイッチに対応した炊飯シーケンスを開始する。
例えば、操作パネル81のスイッチが押されると、図6の時刻t0で、制御手段50を構成するマイクロコンピュータ51が出力電圧設定手段54を構成するトランジスタ55にロー信号を出力する。
トランジスタ55は、このロー信号を受けてオフすると、出力電圧検知回路47を構成する12Vのツェナーダイオードが接続され、検知電圧の設定値が12Vとなり、出力電圧が12Vになるように第一の直流電源回路45が制御される。
4Vの出力電圧から12Vの出力電圧になるまでの時間は第一の直流電源回路45の出力電流の供給能力で決まる。本実施の形態では、出力電圧が4Vから12Vになるまでの時間がおよそ25msかかるものとしている。
時刻t1はトランジスタ55がオフしてから40ms経過している。時刻t1で零電圧同期信号発生手段57からマイクロコンピュータ51にハイ信号を出力する。マイクロコンピュータ51内部のタイマー手段61はこのハイ信号のエッジをトリガにして、タイミング設定手段62が設定した設定時間になるまで時間を計測する。タイミング設定手段62は、図4で説明したように、マイクロコンピュータ51に内蔵されたROM内に予め記憶された4つの設定時間Ts1、Ts2、Ts3、Ts4から任意の設定時間を設定できる。本実施の形態では、第一のリレーと第二のリレーが存在するが、タイミング設定手段62はリレーごとに設定時間を設定でき、炊飯シーケンス開始時にタイミング設定手段62は2つのリレーともにTs1(0ms)を設定している。
時刻t1ではタイミング設定手段62が設定した設定時間Ts1が0msのため、零電圧同期信号発生手段57のハイ信号が出力されると、すぐに制御手段50を構成するマイクロコンピュータ51が第一の駆動回路52にハイ信号を出力する。第一の駆動回路52にハイ信号を出力すると、タイミング設定手段62は第一の駆動回路52にハイ信号を送る設定時間をTs3(10ms)に変更する。同時にマイクロコンピュータ51は内蔵されたタイマーを用いて、時間測定を開始する。
第一の駆動回路52を構成するトランジスタがオンすると、第一のリレーコイル48が通電される。このとき、第一のリレーコイル48の電流供給は第一の直流電源回路45から供給される。第一の直流電源回路45は出力電圧が12Vになるように制御しているので、第一のリレーコイル48に電流が流れても電圧降下することが殆どない。
第一のリレーコイル48が通電するとコイルの電磁力により第一のリレー接点43が駆動する。なお、第一のリレー接点43は動くことで、接点を接続、開放をするものなので、第一のリレー接点43が接続し、第一のヒータ41が導通状態になるまで時間がかかる。本実施の形態では、約7ms後の時刻t2で、第一のリレー接点43が接続し、第一のヒータ41の電流経路が導通状態になり、第一のヒータ41が発熱し、図5の鍋75の底面を加熱する。
時刻t3では、時刻t1から90ms経過している。マイクロコンピュータ51はこの経過時間を内蔵されたタイマーで計測しており、90ms経過したことを計測すると、出力電圧設定手段54を構成するトランジスタ56にハイ信号を出力する。
トランジスタ56は、このハイ信号を受けてオンすると、出力電圧検知回路47を構成する7Vのツェナーダイオードが接続されて検知電圧の設定値が7Vとなり、出力電圧が7Vになるように第一の直流電源回路45が制御される。
第一の直流電源回路45の出力電圧が12Vから7Vに低下するまでの間、パワー半導体内蔵制御回路9はスイッチング動作を行わない。つまり、12Vの出力電圧から7Vの出力電圧になるまでの時間は第一の直流電源回路45を構成するコンデンサ11の容量と第一のリレーコイル48の抵抗値で決まる。本実施の形態では、出力電圧が12Vから7Vになるまでの時間がおよそ15msかかるものとしている。本実施の形態では、第一のリレーコイル48の保持電流を流すことができる直流電圧は5Vなので、第一の直流電源回路45の出力電圧を7Vにすれば、保持電流以上の電流を供給することができる。同時に、第二の直流電源回路14への出力電圧が7Vとなるので、第二の直流電源回路14の損失を抑えることができ、負荷(第一のヒータ41)の電力を除いたリレー制御装置の消費電力を低減することができる。
時刻t4では、たとえば、図5の鍋75内部の被調理物の水分が蒸発し始め、蓋加熱板76に蒸気がつき一部が結露しはじめている。そこで、蓋加熱板76を加熱する第二のヒータ42を導通するために、マイクロコンピュータ51は出力電圧設定手段54を構成するトランジスタ56にロー信号を出力する。トランジスタ56がロー信号を受けてオフすると、出力電圧検知回路47を構成する12Vのツェナーダイオードが接続され、検知電圧の設定値が12Vとなり、出力電圧が12Vになるように第一の直流電源回路45が制御される。
7Vの出力電圧から12Vの出力電圧になるまでの時間は第一の直流電源回路45の出力電流の供給能力と第一のリレーコイル48の抵抗値と第一の直流電源回路45を構成するコンデンサ11で決まる。本実施の形態では、出力電圧が7Vから12Vになるまでの時間がおよそ15msかかるものとしている。
時刻t5ではトランジスタ56がオフしてから40ms経過している。時刻t5で零電圧同期信号発生手段57からマイクロコンピュータ51にハイ信号を出力する。マイクロコンピュータ51内部のタイマー手段61はこのハイ信号のエッジをトリガにして、タイミング設定手段62が設定した設定時間になるまで時間を計測する。タイミング設定手段62は、図4で説明したように、マイクロコンピュータ51に内蔵されたROM内に予め記憶された4つの設定時間Ts1、Ts2、Ts3、Ts4から任意の設定時間を設定できる。本実施の形態では、第一のリレーと第二のリレーが存在するが、タイミング設定手段62はリレーごとに設定時間を設定でき、炊飯シーケンス開始時にタイミング設定手段62は2つのリレーともにTs1(0ms)を設定している。第二のリレーをオンするのは、時刻t5のタイミングでははじめてなので、設定時間はTs1(0ms)が設定されている。
時刻t5ではタイミング設定手段62が設定した設定時間Ts1が0msのため、零電圧同期信号発生手段57のハイ信号が出力されると、すぐにマイクロコンピュータ51が第二の駆動回路53にハイ信号を出力する。第二の駆動回路53にハイ信号を出力すると、タイミング設定手段62は第二の駆動回路53にハイ信号を送る設定時間をTs3(10ms)に変更する。同時にマイクロコンピュータ51は内蔵されたタイマーを用いて、時間測定を開始する。
第二の駆動回路53を構成するトランジスタがオンすると、第二のリレーコイル49が通電される。このとき、第二のリレーコイル49の電流供給は第一の直流電源回路45か
ら供給される。第一の直流電源回路45は出力電圧が12Vになるように制御しているので、第二のリレーコイル49と第一のリレーコイル48に電流が流れても電圧降下はほとんどしない。
第二のリレーコイル49が通電するとコイルの電磁力により第二のリレー接点44が駆動する。なお、第二のリレー接点44は動くことで、接点を接続、開放をするものなので、第二のリレー接点44が接続し、第一のヒータ42が導通状態になるまで時間がかかる。本実施の形態では、約5〜6ms後の時刻t6で、第二のリレー接点44が接続し、第二のヒータ42の電流経路が導通状態になり、第二のヒータ42が発熱し、図5の蓋放熱板78を介して蓋加熱板76を加熱する。
時刻t7では、時刻t5から110ms経過している。マイクロコンピュータ51はこの経過時間を内蔵されたタイマーで計測しており、90ms経過したことを計測すると、出力電圧設定手段54を構成するトランジスタ56にハイ信号を出力する。
トランジスタ56は、このハイ信号を受けてオンすると、出力電圧検知回路47を構成する7Vのツェナーダイオードが接続されて検知電圧の設定値が7Vとなり、出力電圧が7Vになるように第一の直流電源回路45が制御される。
第一の直流電源回路45の出力電圧が12Vから7Vに低下するまでの間、パワー半導体内蔵制御回路9はスイッチング動作を行わない。つまり、12Vの出力電圧から7Vの出力電圧になるまでの時間は第一の直流電源回路45を構成するコンデンサ11の容量と第一のリレーコイル48と第二のリレーコイル49の合成抵抗値で決まる。本実施の形態では、出力電圧が12Vから7Vになるまでの時間がおよそ15msかかるものとしている。
本実施の形態では、第一のリレーコイル48および第二のリレーコイル49の保持電流を流すことができる直流電圧は5Vなので、第一の直流電源回路45の出力電圧を7Vにすれば、保持電流以上の電流を供給することができる。同時に、第二の直流電源回路14への出力電圧が7Vとなるので、第二の直流電源回路14の損失を抑えることができ、負荷(第一のヒータ41、第二のヒータ42)の電力を除いたリレー制御装置の消費電力を低減することができる。
しばらく、第一のヒータ41が発熱すると鍋75の底面が加熱され、底面の温度が上昇する。図5の温度検知手段84が鍋75の底面温度が高くなったことを検知すると、マイクロコンピュータ51は第一のヒータ41を停止する動作をする。
つぎに、図7の時刻t8で零電圧同期信号発生手段57がハイ信号を出力すると、マイクロコンピュータ51に内蔵されたタイマー手段61が時間の計測を開始する。
時刻t9で、タイマー手段61の計測時間が設定時間Ts3(10ms)に達すると、マイクロコンピュータ51は第一の駆動回路52にロー信号を出力する。第一の駆動回路52を構成するトランジスタはロー信号を受けるとオフ状態になり、第一のリレーコイル48の通電を停止する。第一のリレーコイル48に電流が流れなくなるので、コイルの電磁力がなくなり、第一のリレー接点43を駆動する力がなくなり、第一のリレー接点43は開放状態となる。第一のリレー接点43が開放状態となると、第一のヒータ41の電流経路が遮断され、第一のヒータ41に電流が流れなくなり、第一のヒータ41は発熱を停止する。
鍋75の底面温度が低下し、温度検知手段84がそれを検知すると、再び第一のヒータ
41を発熱し鍋75を加熱する必要がある。
時刻t10では、第一のリレーコイル48に感動電流以上の電流を流すために、第一の直流電源回路45の出力電圧を12Vにする制御をする。マイクロコンピュータ51は出力電圧設定手段54を構成するトランジスタ56にロー信号を出力する。トランジスタ56がロー信号を受けてオフすると、出力電圧検知回路47を構成する12Vのツェナーダイオードが接続され、検知電圧の設定値が12Vとなり、出力電圧が12Vになるように第一の直流電源回路45が制御される。
7Vの出力電圧から12Vの出力電圧になるまでの時間は第一の直流電源回路45の出力電流の供給能力と第二のリレーコイル49の抵抗値と第一の直流電源回路45を構成するコンデンサ11で決まる。本実施の形態では、出力電圧が7Vから12Vになるまでの時間がおよそ15msかかるものとしている。
時刻t11ではトランジスタ56がオフしてから40ms経過している。時刻t11で零電圧同期信号発生手段57からマイクロコンピュータ51にハイ信号を出力する。マイクロコンピュータ51内部のタイマー手段61はこのハイ信号のエッジをトリガにして、時間の計測を開始する。
時刻t12で、タイマー手段61の計測時間がタイミング設定手段62が設定した設定時間Ts3(10ms)に達すると、マイクロコンピュータ51は第一の駆動回路52にハイ信号を出力する。第一の駆動回路52にハイ信号を出力すると、タイミング設定手段62は第一の駆動回路52にハイ信号を送る設定時間をTs2(5ms)に変更する。同時に、マイクロコンピュータ51は内蔵されたタイマーを用いて、時間測定を開始する。
第一の駆動回路52を構成するトランジスタがオンすると、第一のリレーコイル48が通電される。このとき、第一のリレーコイル48の電流供給は第一の直流電源回路45から供給される。第一の直流電源回路45は出力電圧が12Vになるように制御しているので、第一のリレーコイル48と第二のリレーコイル49に電流が流れても電圧降下はほとんどしない。
第一のリレーコイル48が通電するとコイルの電磁力により第一のリレー接点43が接続し、第一のヒータ41が導通状態になる。本実施の形態では、約7ms後の時刻t13で、第一のリレー接点43が接続し、第一のヒータ41の電流経路が導通状態になり、第一のヒータ41が発熱し、鍋75を加熱する。
時刻t14では、時刻t12から90ms経過している。マイクロコンピュータ51はこの経過時間を内蔵されたタイマーで計測しており、90ms経過したことを計測すると、出力電圧設定手段54を構成するトランジスタ56にハイ信号を出力する。
トランジスタ56は、このハイ信号を受けてオンすると、出力電圧検知回路47を構成する7Vのツェナーダイオードが接続されて検知電圧の設定値が7Vとなり、出力電圧が7Vになるように第一の直流電源回路45が制御される。
第一の直流電源回路45の出力電圧が12Vから7Vに低下するまでの間、パワー半導体内蔵制御回路9はスイッチング動作を行わない。つまり、12Vの出力電圧から7Vの出力電圧になるまでの時間は第一の直流電源回路45を構成するコンデンサ11の容量と第一のリレーコイル48と第二のリレーコイル49の抵抗値で決まる。本実施の形態では、出力電圧が12Vから7Vになるまでの時間がおよそ15msかかるものとしている。本実施の形態では、第一のリレーコイル48および第二のリレーコイル49の保持電流を
流すことができる直流電圧は5Vなので、第一の直流電源回路45の出力電圧を7Vにすれば、保持電流以上の電流を供給することができる。同時に、第二の直流電源回路14への出力電圧が7Vとなるので、第二の直流電源回路14の損失を抑えることができ、負荷(第一のヒータ41)の電力を除いたリレー制御装置の消費電力を低減することができる。
その後、蓋加熱板76の温度が高くなると、マイクロコンピュータ51は第二のヒータ76を停止する動作をおこなう。
時刻t15では、時刻t8で零電圧同期信号発生手段57がハイ信号を出力すると、マイクロコンピュータ51に内蔵されたタイマー手段61が時間の計測を開始する。
時刻t16で、タイマー手段61の計測時間が設定時間Ts3(10ms)に達すると、マイクロコンピュータ51は第二の駆動回路53にロー信号を出力する。第二の駆動回路53を構成するトランジスタはロー信号を受けるとオフ状態になり、第二のリレーコイル49の通電を停止する。第二のリレーコイル49に電流が流れなくなるので、コイルの電磁力がなくなり、第二のリレー接点44を駆動する力がなくなり、第二のリレー接点44は開放状態となる。第二のリレー接点44が開放状態となると、第二のヒータ42の電流経路が遮断され、第二のヒータ42に電流が流れなくなり、第二のヒータ42は発熱を停止する。
以上のように、本実施の形態のリレー制御装置においては、リレーが複数になっても、第一のリレーコイル48と第二のリレーコイル49に電流供給する第一の直流電源回路45の出力電圧を制御手段50により制御することにより、各リレーコイルに感動電流を供給できる感動電圧と、リレーコイルに保持電流を供給できる保持電圧を、所望のタイミングで切り替えることができるので、リレーコイルの消費電流と制御手段50に電力供給する第二の直流電源回路14の損失を抑えることができる。また、リレーコイルの消費電流を減らすためにリレーコイルに電流制限抵抗を直列接続することがあるが、その必要もなくなる。さらに、この電流制限抵抗を直列接続した場合、リレーコイル起動時の電流を確保するためにコンデンサをリレーコイルに並列接続することがあるが、このコンデンサも必要なくなる。
また、制御手段50は、タイミング設定手段62が設定したタイミング時間とタイマー手段61の出力からリレーを導通または遮断し、タイミング設定手段62はタイミング時間を交流電源1の位相の正負が交互になるよう変更するようにしたので、リレーの接点に流れる電流の平均値をほぼ零にすることになり、リレー接点の金属の転移を抑え、リレー接点の耐久性を長くすることができる。
また、すべてのリレーをオフしているときは、リレーに電流供給する第一の直流電源回路の出力電圧を保持電圧より小さくすることで、外来ノイズなどの影響でリレーにオン信号が出力されても、リレーコイルに十分な電磁力が発生せず、リレー接点が接続しないようにすることができる。
また、本実施の形態のリレー制御装置では、第一のリレーコイル48と第二のリレーコイル49の感動電流と保持電圧を同じにしたが、感動電流と保持電流が異なるリレーを用いてもかまわない。この場合は、感動電流が必要な時は感動電流が大きい方のリレーにあわせて出力電圧を設定すればよいし、保持電流が必要な時は保持電流が大きい方のリレーにあわせて出力電圧を設定すればよい。このようにすることで、リレーを駆動するときの第一の直流電源回路45の出力電圧の設定値を二つにすることができるので、リレーと感動電流または保持電流の組み合わせを間違えることがなく駆動することができる。
また、本実施の形態のリレー制御装置では、図示しなかったが、第一の直流電源回路45の出力電圧を検知する電圧検知手段を出力電圧検知回路47とは別に設け、この電圧検知手段の検知電圧によってリレーのオンを禁止したり、解除したりしてもかまわない。電圧検知手段で第一の直流電源回路45の出力電圧を検知すれば、図3、図6、図7に示したような第一の直流電源回路45の出力電圧の立ち上がり時において、第一の直流電源回路45の出力電圧がリレーコイルの感動電流以上を流すことができる電圧かどうかを判定し、最短でリレーを駆動することができる。電圧検知手段を抵抗分圧回路で構成し、マイクロコンピュータに内蔵されたAD変換器で入力するようにすれば、マイクロコンピュータが第一の直流電源回路45が設定した電圧を出力しているかどうか判定でき、第一の直流電源回路45の故障も早期に発見することができるようになる。
また、図5の温度検知手段84を利用して、リレーが実装された第二の回路基板82の温度を推定し、リレーコイルの抵抗値を推定することで、制御手段50により第一の直流電源回路45の出力電圧を調整するようにしてもよい。温度によってリレーコイルの抵抗値が変化するのでリレーコイルに供給する電流を一定にしようとすると、第一の直流電源回路45の出力電圧を調整する必要があるが、温度検知手段を利用することで必要最小限の電流を供給することができ、リレーコイル通電時の消費電力を最小限にすることができる。
また、本実施の形態の調理機器としての炊飯器においては、上述のリレー制御装置を備えたので、リレーを長期にわたって使用できるため、製品寿命の長い調理機器を提供できる。
なお、本実施の形態では、負荷をヒータにして説明したが、たとえばパンを製造するホームベーカリなどにおいて生地を攪拌するためのモータを負荷にして、このモータをリレーでオンオフしても構わない。