JP2009288145A - 薄膜密着強度の評価方法および評価装置 - Google Patents

薄膜密着強度の評価方法および評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の方法では評価を行うことが難しかった薄膜の密着強度の評価を定性的、定量的に行うことを可能とする薄膜密着強度評価方法および評価装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る薄膜密着強度の評価方法は、基体上に形成された薄膜の面方向の端縁部もしくはその近傍に超音波振動針を当接させて、超音波振動を印加する工程と、前記超音波振動の印加後に、前記薄膜の端縁部における剥離の発生を検知する工程と、前記剥離の発生量によって、前記薄膜の基体への密着強度を評価する工程とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜密着強度の評価方法および評価装置に関し、さらに詳細には、基体上に形成された薄膜に超音波振動を印加して剥離状態を検知することにより当該薄膜の密着強度を評価する評価方法および評価装置に関する。
めっき法、スパッタ法、あるいは真空蒸着法によって基体(例えば基板等)上に成膜した薄膜の密着強度を評価する方法として、引き剥がし法が挙げられる。引き剥がし法には、(1)テープ試験方法(図11参照)、(2)はんだ付け試験方法(図12参照)(JIS/H8504めっきの密着性試験方法参照)がある。また、それ以外の方法として、接触針による(3)引掻き試験方法(図13参照)がある。
ここで、上記の方法の概要と課題は以下の通りである。
(1)の方法は、基板101上に形成された薄膜102の表面に粘着テープ103を貼着し、矢印方向に引き剥がすことにより、薄膜102の密着強度を評価する方法である。この方法では、粘着テープの密着力は幅10[mm]あたり3〜5[N]と比較的弱く、それ以上の密着力をもつ薄膜の評価には適さないうえ、粘着テープの粘着成分が被評価対象の薄膜上に残渣として残ることがある。また、粘着テープ引き剥がし時に静電気が発生し、被評価対象の薄膜によっては発生した静電気により損傷を受ける場合がある。
(2)の方法は、基体201の表面に形成されためっき膜202に対して、L型金具203をハンダ付けにより固定し、L型金具203を保持器204によって矢印方向に引っ張ることにより、めっき膜202の密着強度を評価する方法である。この方法では、当該ハンダ付け部が200[℃]以上に加熱されるため、薄膜(めっき膜)自身も熱変化を起こし密着力が変化する場合がある。また、実際の製品そのもので評価は行えず、製品とは別に製作したテストパターン等が必要となる。
また、(1)、(2)の方法は粘着テープの密着力、ハンダの密着力を基準とした定性評価しかできないという課題もある。
(3)の方法は、加重付加装置305に連結された接触針303により、試料ステージ304上に固定された試験片301表面の薄膜302を引っ掻き、膜剥離を観察して薄膜302の密着強度を評価する方法である。この方法では、例えばAu(金)等からなる柔らかい薄膜では接触針による変形が大きく、膜剥離が起きる前に膜が削り取られることも多く、密着力評価が正しくできない場合がある。
さらに、(1)、(2)、(3)の方法は共に、ある程度の面積を持った薄膜評価の方法であり、数十[μm]サイズでパターン形成された薄膜を評価する場合には適さない。
このような背景の下、薄膜の密着力測定方法として、特許文献1に記載の方法が提案されている。これによれば、被測定薄膜に微細なアイランドパターンを蝕刻した後、超音波水洗を行い、アイランドパターンの欠落数を確認することで密着力の測定を行うものである。
特開昭62−49239号公報
本発明は、従来の方法では評価を行うことが難しかった薄膜の密着強度の評価を定性的、定量的に行うことを可能とする薄膜密着強度評価方法および評価装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
この薄膜密着強度の評価方法は、基体上に形成された薄膜の面方向の端縁部もしくはその近傍に超音波振動針を当接させて、超音波振動を印加する工程と、前記超音波振動の印加後に、前記薄膜の端縁部における剥離の発生を検知する工程と、前記剥離の発生量によって、前記薄膜の基体への密着強度を評価する工程と、を備えることを要件とする。
これによれば、薄膜の端縁部に超音波振動を印加し、当該端縁部に生じ得る剥離の発生量を検知することによって、薄膜の密着強度を評価することが可能となる。
また、前記超音波振動を印加する工程を、前記薄膜の端縁部もしくはその近傍に対して線もしくは面で当接可能な振動伝達部材を、該薄膜の端縁部もしくはその近傍と前記超音波振動針との間に介在させて実施することを要件とする。
これによれば、薄膜が小さい、薄い等の理由で超音波振動針を端縁部に当接せることが困難である場合、あるいは、柔らかい材質の薄膜を試験する場合等において、線もしくは面で当接可能な振動伝達部材を介在させることによって、薄膜に対して超音波振動を印加することが可能となる。
また、前記剥離の発生を検知する工程は、所定幅の線状に形成される前記薄膜の長手方向の両端部に抵抗測定端子を接続して、前記超音波振動を印加する工程の前後において該薄膜の電気抵抗を測定し、得られた抵抗値の比較によって剥離の発生量を検知することを要件とする。
これによれば、超音波振動の印加前後で被測定対象の薄膜の電気抵抗を測定し、得られた抵抗値の比較によって剥離の発生量を検知することが可能となり、特に、薄膜に生じている剥離を目視で検知することが困難な場合に有効である。
また、前記薄膜は、面直方向の厚さが数μm〜数十μmであることを要件とする。
従来の方法では厚さが数μm〜数十μm程度の薄膜の密着強度の評価が難しかったため、本評価方法は、当該薄膜の密着強度評価を可能とする点で非常に有効である。
また、前記超音波振動を印加する工程の後で、且つ、前記剥離の発生を検知する工程の前に、剥離を加速させる処理を実施する工程を備えることを要件とする。
これによれば、剥離を加速させる処理を実施する工程を追加することによって、薄膜における密着力不足箇所を顕在化させて判定を容易にすることが可能となる。
また、基体上に製品用として形成される製品用薄膜と同一工程によって、該製品用薄膜と同一材質、同一厚さの評価用薄膜を該基体上に形成し、前記評価用薄膜に対して請求項1〜5のいずれか一項記載の薄膜密着強度の評価方法を実施することにより、前記製品用薄膜の密着強度を評価することを要件とする。
これによれば、製品用薄膜と同一の成膜工程によって、同一材質、同一厚さで、同一基体上に別に形成される評価用薄膜の密着強度の評価を行うことによって、本来の被測定対象である製品用薄膜の密着強度を評価することが可能となる。
この薄膜密着強度の評価装置は、上面に薄膜が形成された基体を固定するステージと超音波発振器と超音波振動針とを有し、前記薄膜の面方向の端縁部もしくはその近傍に超音波振動を印加する超音波振動印加手段と、前記薄膜の端縁部における剥離の発生を検知する剥離検知手段と、を備え、前記剥離検知手段は、少なくとも前記薄膜の端縁部の画像を取得する手段、もしくは前記薄膜の電気抵抗を測定する手段の一方を有することを要件とする。
このように、一連のシステムとして、薄膜密着強度の評価装置を構成することが可能であり、これまで困難であった、評価工程の自動化も可能となる。
本発明によれば、従来では評価が難しかったパターン形成された薄膜の密着強度の評価を行うことが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本発明の第一の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価方法を説明するための説明図である。図2は、本発明の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価装置10の構成例を示す概略図である。図3は、薄膜2の剥離発生を検知する工程の例を説明するための説明図である。図4は、本発明の第二の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価方法を説明するための説明図であり、図4(a)は、薄膜2と超音波振動針13との間に振動伝達部材6を介在させた状態の概略図であり、図4(b)は、超音波振動針13の先端部13aの拡大図である。図5は、本発明の第三の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価方法を説明するための説明図である。図6(a)は、評価用薄膜3の第1実施例を示す概略図であり、図6(b)は、その変形例である。図7(a)は、評価用薄膜3の第2実施例を示す概略図であり、図7(b)は、その変形例である。図8は、評価用薄膜3の第3実施例を示す概略図である。図9は、本発明の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価方法による評価例を示す実験データである。図10は、薄膜2の端縁部2aにおいて剥離が発生した例を示す顕微鏡写真である。
被膜を対象とする密着強度評価方法について、様々な技術が開示されており、例えば、特開平06−2135号公報に開示されている被膜の密着強度評価方法もその一つである。しかし、当該密着強度評価方法は硬質被膜を被測定対象とする技術であって、振動子を接触させるなどして剥離有無の検知を行うこととしている。
これに対し、パターン化された薄膜を被測定対象とする場合に、上記の評価方法、すなわち、パターン内部やパターン化されていない薄膜に超音波振動を印加しても正確な評価を行うことはできない。特に、軟らかい金属薄膜の場合、パターン内部に印加した超音波振動がパターンエッジ(薄膜の端縁部)まで伝わりにくく、硬質被膜の場合のような作用を得ることができないからである。
以下に開示する、薄膜密着強度の評価方法は、被測定対象が基体上に形成された薄膜のように、従来の方法では評価を行うことが難しかった薄膜の密着強度の評価を行うことを可能とする方法である。
図1を用いて、第一の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価方法について説明する。ここで、基体上に形成された薄膜として、例えば、磁気ヘッド製造、半導体製造、プリント基板製造等の工程において、基板等に形成されたパターン(金属薄膜)が挙げられる。このような薄膜は、材質がAu(金)、Cu(銅)等の比較的軟らかい金属材料からなり、且つ、面直方向の厚さが数[μm]〜数十[μm]程度と非常に薄いため、金属材料ではあるものの非常に軟らかい(変形し易い)という特徴を有する。
なお、本方法における被測定対象の薄膜を、金属材料、あるいは導電性材料に限定するものではない。
ここで、本実施の形態に係る評価方法を実施するための装置構成を図2に示す。
この薄膜密着強度の評価装置10において、符号11は、被測定対象すなわち基体(ここでは基板)1上面に薄膜2が形成された試料9を固定するステージである。本実施の形態では、試料9の位置合せを行う必要があるため、少なくともXY方向において可動可能なステージを採用している(なお、下記の超音波振動印加手段12を可動としてもよい)。
符号12は、試料9に超音波振動を印加する超音波振動印加手段であり、超音波発振器14により発生させた超音波振動を超音波振動針13から試料9に印加する。なお、加重調整器15を設けて、加重調整を行っている。
符号17は、薄膜2の電気抵抗を測定する手段であり、抵抗測定ユニット18と抵抗測定プローブ19とを有する。本実施の形態では、薄膜2の剥離検知手段16として、当該電気抵抗測定手段17を採用している。
符号20は、薄膜2の画像を取得する手段であり、顕微鏡21と、画像撮影装置22と、画像認識ユニット23とを有する。本実施の形態では、当該画像取得手段20は、超音波振動針13を薄膜2の所定位置(ここでは端縁部)に当接させる際の位置合せ用として採用している。なお、当該画像取得手段20を、薄膜2の剥離検知手段16として兼用する装置構成も可能である。
なお、この評価装置10は、パーソナルコンピュータ等からなる制御装置(不図示)によって制御が可能であり、さらに、薄膜2(もしくは基体1)上に剥離検知パターンを設けると共に、装置構成としてパターン認識機能や抵抗測定機能を設けることによって、従来技術では困難であった一連の評価工程の自動化も可能である。
続いて、第一の実施の形態に係る評価方法の手順を説明する。
最初に、被測定対象である試料9、すなわち基体(基板)1上に形成された薄膜2を前述の評価装置10のステージ11上に固定する。このとき、画像取得手段20によって、試料9と超音波振動針13との相互の位置把握を行い、ステージ11を可動させて所定の位置となるように位置合せを行う。
次いで、薄膜2の面方向の端縁部2aに超音波振動針13を当接させて、超音波発振器14で発生させた超音波振動を印加する。
ここで、端縁部2aに超音波振動を印加する理由は、周囲からの支えがあるパターン内部2cとは異なり、薄膜2の密着力が最も評価しやすい箇所であるためである。すなわち、周囲からの支えが無いもしくは少ない端縁部2aに超音波振動を印加することによって、軟らかい薄膜の正確な密着強度評価が可能となる。
したがって、上記観点から、薄膜2の端縁部2aに対する、薄膜2上の近傍部である2bもしくは基体1上の近傍部である1aにおいて、超音波振動の印加を行っても、薄膜2の端縁部2aに直接超音波振動を印加した場合と同様の作用を生じさせることが可能となる場合も有り得る。
超音波振動針13を通じて薄膜2に印加する超音波は、当該薄膜2の厚さ等に応じて、超音波の出力、印加時間が所定の範囲内で適宜設定可能である。なお、超音波の周波数は可変である必要はないが、評価する薄膜密着力に合わせて適切なものを選定する。例えば、数十[kHz]〜1[MHz]程度の周波数の超音波が実用的である。
超音波振動針13の先端形状は、球状、楔状、円柱状、四角柱等、薄膜2の端縁部2aに接触可能な形状、サイズに形成する。ここで、当該先端部13aの形状(先端面)は一点接触とならないように微小な凹凸、あるいはメッシュ状の溝がある形状が好適である。
また、超音波振動針13の材質は超音波振動を伝達でき、ある程度の強度があれば特に限定はされないが、例えば、セラミック、W(タングステン)、Ti(チタン)等で形成することが好適である。なお、直径は薄膜2の厚さ等に応じて適切なものを採用するが、一例として、数十〜数百[μm]程度である。
次いで、前記超音波振動の印加後に、薄膜2の端縁部2aにおける膜の剥離の発生を検知する。この剥離の発生量によって、薄膜2の基体1への密着強度が評価される。
定性的な密着強度の評価は、所定の条件で超音波振動を印加し、超音波振動針13を接触した部分の膜剥離の有無により行う。なお、剥離の有無は顕微鏡21による目視判定で行うが、画像撮影装置(撮像カメラ)22と画像認識装置23を加えた構成により自動判定で行ってもよい。
一方、定量的な密着強度の評価は、例えば剥離発生率の超音波出力依存性を測定して行うことが可能である。
また、剥離の発生量を検知する別の方法として、被評価対象の薄膜2が所定幅の線状に形成される場合に、当該薄膜2の長手方向の両端部に抵抗測定端子4および5を接続して(図3参照)、超音波振動を印加する工程の前後において当該薄膜2の電気抵抗を測定し、得られた抵抗値の比較によって剥離の発生量を検知する。例えば、抵抗値に変化が生じている場合には、薄膜2の状態が変化、すなわち剥離が発生している状態と判断し得る。
続いて、第二の実施の形態に係る評価方法の手順を説明する。
基本的な工程および評価装置の構成は、前記第一の実施の形態と同様である。被測定対象である基体1上の薄膜2に対して、超音波振動を印加する工程に相違点があり、より具体的には、本実施の形態では、薄膜2の端縁部2a(または近傍部2bもしくは1a)に対して線もしくは面で当接可能な振動伝達部材6を、当該端縁部2a(または近傍部2bもしくは1a)と超音波振動針13との間に介在させて超音波振動の印加を行う(図4(a)参照)。
これによれば、超音波振動針13の先端部13aの形状と比較して、被測定対象の薄膜(例えば配線パターン)2が小さい、または薄い等の理由で当該超音波振動針13を端縁部2aに当接せることが困難である場合、あるいは、柔らかい材質の薄膜を試験する場合等において、線もしくは面で当接可能な振動伝達部材6を介在させることによって、被測定対象の薄膜2に対して超音波振動を印加することが可能となる。
なお、振動伝達部材6として、例えば細い線材を用いることが考えられる。特に、軟らかい材料からなる薄膜2に対しては、軟らかく細い線材(例えばAu線)を介在させて超音波振動を印加することが好適である。なお、本実施の形態では、超音波振動針13の先端部13aを、細い線材を保持し易い溝形状としている。
続いて、第三の実施の形態に係る評価方法の手順を説明する。
基本的な工程および評価装置の構成は、前記第一の実施の形態、第二の実施の形態と同様であるが、それらとの相違点として、被測定対象である製品用薄膜2の密着強度を評価するに当たり、当該薄膜2に直接超音波を印加することによって膜の剥離を検知して評価を行うのではなく、当該薄膜2と同一の成膜工程によって、同一材質、同一厚さの評価用の薄膜3を同一基体上に別に形成しておき、この評価用薄膜3に対して、前記第一の実施の形態、第二の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価方法を実施することによって、評価用薄膜3の密着強度の評価を行い、その結果から、本来の被測定対象である製品用薄膜2の密着強度を評価するという方法である。
前記第一の実施の形態、第二の実施の形態においても、薄膜2の用途等によっては、実際の製品として機能する当該薄膜2を用いて直接、評価試験を行い、試験後に、製品として使用することも可能ではある。しかし、本実施の形態によれば、製品用の薄膜2に対して直接、評価試験を行わないため、当該製品用薄膜2に剥離が生じる恐れが一切なく、その結果、評価試験後に製品として使用した場合であっても、剥離発生に起因した不良品発生を防止することが可能である。
ここで形状についての実施例を以下に示す。
先ず、評価用薄膜3の第1実施例を図5に示す。評価用薄膜3を、超音波振動針13の先端部13aの大きさと同等、もしくはそれよりも小さい矩形パターンまたはラインパターンを複数並べて形成する。矩形パターンの例を図6(a)に、ラインパターンの例を図6(b)に示す。
これによれば、評価用薄膜3の端縁部3aに超音波振動針13を確実に接触させることが可能となる。もちろん、製品用薄膜2を上記パターンのように形成しても構わない。
次いで、評価用薄膜3の第2実施例を図7に示す。本実施例は、前述の図3の方法と同様に、薄膜(ここでは評価用薄膜3)が導体の場合に、剥離の判定を電気的に行う方法であって、線幅の狭い、ライン状の剥離検知パターンを設けることにより、剥離を電気抵抗の変化として検知することを可能とするものである。
特に、超音波振動針13の先端部13aの形状に対して、薄膜2の厚さが薄く、剥離検知パターンに超音波振動を印加することが困難な場合には、ラインパターンを折り返す形状(図7(a)参照)や、螺旋状(図7(b)参照)に形成する例が考えられる。これにより、剥離検知パターンに対する超音波振動針13の位置合わせマージンが向上する。ただし、当該ラインパターン間隔は、超音波振動印加時の変形等によってライン間ショートを引き起こさない幅とする。
次いで、評価用薄膜3の第3実施例を図8に示す。本実施例は、製品用薄膜2の外周に評価用薄膜3を設ける構成である。これによれば、評価用薄膜3が製品に対し問題となる場合は配置せず、評価を必要とするときにのみ、パターニングマスクを追加して、評価用薄膜3を形成し、評価を行うことも可能である。
なお、図8は、図7同様に剥離の判定を電気的に行う例を示しているが、目視もしくは画像処理による剥離検知としても構わない。
なお、前記第一の実施の形態〜第三の実施の形態の変形例として、それぞれの超音波振動印加工程後で、且つ、剥離の発生を検知する工程の前に、剥離を加速させる処理を実施する工程を実施してもよい。
剥離を加速させる処理工程の例としては、半導体製造に関する分野で公知である、
・水槽に入れて超音波を印加する工程または超音波を印加した水流を当てる工程
・高圧水処理(High Pressure Scrubber処理等)工程
・ブラシスクラバー処理工程
・液体二酸化炭素スノー(エコスノー)処理工程
等の適用が考えられる。上記工程を追加することによって、薄膜2における密着力不足箇所を顕在化させて判定を容易にすることが可能となる。
続いて、本実施の形態に係る薄膜密着強度の評価方法を用いて実施した評価例として、基板上に形成された薄膜の評価結果(実験データ)を図9に示す。
当該薄膜は、Auからなり、真空蒸着法によってアルミナ上にTi(密着層)0.1[μm]を介して1[μm]の厚さに成膜されたものである。パターンサイズは一辺60[μm]の正方形である。
ここでは、上記第二の実施の形態に係る評価方法を採用しており、線幅30[μm]の細い線材(Au線材)を振動伝達部材として超音波振動針との間に介材させて、薄膜の端縁部に周波数63[kHz]の超音波振動を、30[msec]印加した。その条件の下で、超音波の出力条件を変化させて、薄膜における剥離発生率を測定したものが図9である。このように、薄膜の密着強度の定量的評価が可能である。
また、薄膜の端縁部において剥離が発生している場合の顕微鏡写真を図10に示す。図中、破線で囲まれた部分が剥離発生箇所である。
以上説明した通り、本発明に係る薄膜密着強度の評価方法および評価装置によれば、従来では評価が難しかったパターン形成された薄膜の密着強度の評価を行うことが可能となり、定性評価だけでなく、超音波条件の依存性を評価することによる定量評価を行うことも可能となる。
本発明の第一の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価方法を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価装置の構成例を示す概略図である。 薄膜の剥離発生を検知する工程の例を説明するための説明図である。 本発明の第二の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価方法を説明するための説明図である。 本発明の第三の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価方法を説明するための説明図である。 評価用薄膜の第1実施例を示す概略図である。 評価用薄膜の第2実施例を示す概略図である。 評価用薄膜の第3実施例を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係る薄膜密着強度の評価方法による評価例を示すデータである。 薄膜において剥離が発生した例を示す顕微鏡写真である。 従来の実施形態に係る薄膜密着強度の評価方法を実施するための装置の例を示す概略図である。 従来の実施形態に係る薄膜密着強度の評価方法を実施するための装置の他の例を示す概略図である。 従来の実施形態に係る薄膜密着強度の評価方法を実施するための装置の他の例を示す概略図である。
符号の説明
1 基体
2 薄膜(製品用薄膜)
3 評価用薄膜
4、5 抵抗測定端子
6 振動伝達部材
9 試料
10 薄膜密着強度の評価装置
11 ステージ
12 超音波振動印加手段
13 超音波振動針
14 超音波発振器
15 加重調整器
16 剥離検知手段
17 電気抵抗測定手段
18 抵抗測定ユニット
19 抵抗測定プローブ
20 画像取得手段
21 顕微鏡
22 画像撮影装置
23 画像認識ユニット

Claims (7)

  1. 基体上に形成された薄膜の面方向の端縁部もしくはその近傍に超音波振動針を当接させて、超音波振動を印加する工程と、
    前記超音波振動の印加後に、前記薄膜の端縁部における剥離の発生を検知する工程と、
    前記剥離の発生量によって、前記薄膜の基体への密着強度を評価する工程と、を備えること
    を特徴とする薄膜密着強度の評価方法。
  2. 前記超音波振動を印加する工程を、前記薄膜の端縁部もしくはその近傍に対して線もしくは面で当接可能な振動伝達部材を、該薄膜の端縁部もしくはその近傍と前記超音波振動針との間に介在させて実施すること
    を特徴とする請求項1に記載の薄膜密着強度の評価方法。
  3. 前記剥離の発生を検知する工程は、
    所定幅の線状に形成される前記薄膜の長手方向の両端部に抵抗測定端子を接続して、前記超音波振動を印加する工程の前後において該薄膜の電気抵抗を測定し、得られた抵抗値の比較によって剥離の発生量を検知すること
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の薄膜密着強度の評価方法。
  4. 前記薄膜は、面直方向の厚さが数μm〜数十μmであること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の薄膜密着強度の評価方法。
  5. 前記超音波振動を印加する工程の後で、且つ、前記剥離の発生を検知する工程の前に、剥離を加速させる処理を実施する工程を備えること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の薄膜密着強度の評価方法。
  6. 基体上に製品用として形成される製品用薄膜と同一工程によって、該製品用薄膜と同一材質、同一厚さの評価用薄膜を該基体上に形成し、
    前記評価用薄膜に対して請求項1〜5のいずれか一項記載の薄膜密着強度の評価方法を実施することにより、前記製品用薄膜の密着強度を評価すること
    を特徴とする薄膜密着強度の評価方法。
  7. 上面に薄膜が形成された基体を固定するステージと
    超音波発振器と超音波振動針とを有し、前記薄膜の面方向の端縁部もしくはその近傍に超音波振動を印加する超音波振動印加手段と、
    前記薄膜の端縁部における剥離の発生を検知する剥離検知手段と、を備え、
    前記剥離検知手段は、少なくとも前記薄膜の端縁部の画像を取得する手段、もしくは前記薄膜の電気抵抗を測定する手段の一方を有すること
    を特徴とする薄膜密着強度の評価装置。
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