JP2009288023A - 温度センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温度によって電気特性が変化する感温素子21を有する感温体2と、感温体2の一対の電極線24にそれぞれ接続された一対の信号線を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピンと、感温体2を覆うように先端部に配設されたカバーとを有する温度センサである。感温体2は、感温素子21と、感温素子21を電極線24の一部と共に封止する内側保護層22と、内側保護層22の外側を電極線24の一部と共に覆う外側保護層23とを有する。感温素子21の後端位置212は、温度センサの長手方向における感温体2の全体の長さの中点よりも先端側にある。感温素子21の後端位置212は、感温体2の最大径部よりも先端側にあることが好ましい。電極線24が外側保護層23により被覆されている長さである電極線シール長さが0.7mm以上であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
該温度センサは、一対の電極を設けたサーミスタ素子と、上記一対の電極にそれぞれ接合した一対の電極線にそれぞれ接続された一対の信号線を内蔵するシースピンと、上記サーミスタ素子を覆うように先端部に配設されたカバーとを有する。
そこで、サーミスタ素子を、電極線との接合部を含めて、ガラスによって封止した温度センサがある(特許文献1〜4参照)。
特に、例えば1000℃以上という高温環境下におかれる温度センサにおいて、カバー内に封入された空気は、カバーの内壁面を酸化することにより、酸素濃度が低い還元ガスとなることがある。また、サーミスタ素子は酸化物半導体で構成されており、格子内の酸素欠陥ができると抵抗値が変化する。従って、還元ガスがサーミスタ素子に達すると、サーミスタ素子が還元されて酸素の格子欠陥が発生し、その電気的特性が変化するおそれがある。
上記感温体は、上記感温素子と、該感温素子を上記電極線の一部と共に封止する内側保護層と、該内側保護層の外側を上記電極線の一部と共に覆う外側保護層とを有し、
上記感温素子の後端位置は、上記温度センサの長手方向における上記感温体の全体の長さの中点よりも先端側にあることを特徴とする温度センサにある(請求項1)。
上記温度センサは、上記感温体における感温素子の位置を適当な位置に定めることにより、熱応答性及び電極線シール性を得ることができる。
つまり、上記感温素子を感温体の中心部でなく、電極線のない先端側に配置することにより、感温体の先端から感温素子までの距離が短くなり、外部から感温素子への熱伝導性が向上する。そして、感温素子の受熱性が向上することにより、感温素子の温度上昇が促進され、温度センサの熱応答性を向上させることができる。
上記温度センサにおいて、上記感温素子を上記感温体の先端側に配置させているため、電極線と外側保護層との接触距離は長くなる。そのため、電極線と外側保護層との境界へのガスの侵入を抑制することができ、ガスが感温素子にまで侵入することによる感温素子の電気的特性の変化を防ぐことができ、感温素子の耐久性を確保することができる。また、電極線と外側保護層との接触距離を長くすることにより、外側保護層による引張強度が向上し、電極線を引っ張った場合の割れ強度が向上する。
上記感温素子は、例えば、サーミスタ材よりなるものとすることができる。また、内側保護層は、結晶化ガラスにサーミスタ材を添加してなるものであることが好ましい。また、外側保護層は、結晶化ガラスにイットリア(Y2O3)を添加してなるものであることが好ましい。
ここで、上記最大径部とは、上記温度センサの長手方向に垂直な平面で切った感温体の断面の直径が最も大きい値となる部位であり、最も外力がかかり易い部位である。また、上記断面が円とならない場合には、その断面における最も長い対角長さが最も長くなる部位が最大径部である。
そのため、感温素子を上記最大径部に存在させないことにより、感温素子に応力がかかることを防ぎ、最大径部の強度を高めることができ、感温体の圧壊強度を向上させることができる。ここで、圧壊強度とは、上記感温体の上下方向を板等で挟み圧力を負荷して破壊させた強度をさす。
カバー内における還元ガスが感温素子まで侵入すると抵抗値が変化するが、上記電極線シール長さを0.7mm以上とした場合には、外気を確実に遮断でき、抵抗値の変化を抑制することができる。
この場合には、特に、上述の熱伝導性、及び電極線シール性を向上させることができる。
|k1−k3|<|k1−k2|、|k2−k4|<|k2−k3|
が成り立つことが好ましい(請求項5)。
この場合には、内側保護層の熱膨張係数k3を感温素子の熱膨張係数k1に近付け、外側保護層の熱膨張係数k4を電極線の熱膨張係数k2に近付けている。そのため、感温素子を直接覆う内側保護層と感温素子との間に発生する熱応力を抑制することが可能となる。また、内側保護層を覆うと共に電極線の外周に密着させる外側保護層と電極線との間に隙間が発生することを抑制することができる。
つまり、大きな温度変化を伴う感温素子における熱応力の作用を抑制し、感温素子の電気的特性の変化を防ぐことができる。また、電極線と外側保護層との間における隙間の発生を抑制することにより、より一層電極線シール性を向上させることができる。
この場合には、内側保護層の熱膨張係数k3を感温素子の熱膨張係数k1に充分に近付け、外側保護層の熱膨張係数k4を電極線の熱膨張係数k2に充分に近付けることができる。そのため、感温素子を直接覆う内側保護層と感温素子との間に発生する熱応力を効果的に抑制することができる。また、電極線の外周に密着させる外側保護層と電極線との間に隙間が発生することを効果的に抑制することができる。その結果、感温素子の電気的特性の変化を一層抑制して、耐久性に優れた温度センサを得ることができる。
この場合には、少なくとも室温から850℃の温度範囲における温度変化に伴ってカバーの熱膨張が生じても、外側保護層がカバーに対して接触した状態を保つことができ、カバーと感温体との間の優れた熱伝達性を確保することができる。その結果、測定精度に優れた温度センサを得ることができる。また、この場合、カバーに対して外側保護層が相対的に振動することを防ぐことができ、感温体に衝撃が加わることを防いで、その電気的特性の変化を抑制することができる。
この場合には、少なくとも室温から1000℃の温度範囲における温度変化に伴ってカバーの熱膨張が生じても、外側保護層がカバーに対して接触した状態を保つことができ、カバーと感温体との間の優れた熱伝達性を確保することができる。その結果、測定精度及び耐久性に一層優れた温度センサを得ることができる。
この場合には、上記外側保護層をカバーに密着させておいても、少なくとも室温から850℃の温度範囲において外側保護層が変質することを防ぐことができる。そのため、耐久性に優れた温度センサを得ることができる。
この場合には、上記外側保護層をカバーに密着させておいても、少なくとも室温から1000℃の温度範囲において外側保護層が変質することを防ぐことができる。そのため、耐久性に優れた温度センサを得ることができる。
この場合には、感温素子への電極線の接合を容易に行うことができ、製造容易な温度センサを得ることができる。そして、この場合においては、一般に感温素子と電極線との間の固定力が低下しやすいが、本発明の温度センサは内側保護層及び外側保護層を有するため、接合部を補強することができる。そして、この内側保護層と外側保護層との熱膨張係数を上記のごとく調整することにより、耐久性に優れた温度センサを得ることができる。
この場合には、外側保護層とカバーとを、充填材を介して接触させることとなり、温度センサの外部と感温体との間の優れた熱伝達性を確保することができる。また、カバー内における感温体の相対的な振動を防ぎ、感温体に損傷を与えることを防ぐことができる。
この場合には、少なくとも室温から850℃の温度範囲における温度変化に伴ってカバーや充填材の熱膨張が生じても、外側保護層が充填材を介してカバーに対して接触した状態を保つことができ、カバーと感温体との間の優れた熱伝達性を確保することができる。その結果、測定精度に優れた温度センサを得ることができる。また、この場合、カバーに対して感温体が相対的に振動することを防ぐことができ、感温体に衝撃が加わることを防いで、感温素子の電気的特性の変化を抑制することができる。
この場合には、少なくとも室温から1000℃の温度範囲における温度変化に伴ってカバーや充填材の熱膨張が生じても、外側保護層が充填材を介してカバーに対して接触した状態を保つことができ、カバーと感温素子との間の優れた熱伝達性を確保することができる。その結果、測定精度に優れた温度センサを得ることができる。また、この場合、カバーに対して外側保護層が相対的に振動することを防ぐことができ、感温素子に衝撃が加わることを防いで、その電気的特性の変化を抑制することができる。
この場合には、上記外側保護層を充填材に密着させておいても、室温から850℃の温度範囲において外側保護層が変質することを防ぐことができる。そのため、耐久性に優れた温度センサを得ることができる。
この場合には、上記外側保護層を充填材に密着させておいても、室温から1000℃の温度範囲において外側保護層が変質することを防ぐことができる。そのため、耐久性に優れた温度センサを得ることができる。
本発明の実施例にかかる温度センサについて、図1及び図2を用いて説明する。
本例の温度センサ1は、図1、2に示すように、温度によって電気特性が変化する感温素子21を有する感温体2と、該感温体2の一対の電極線24にそれぞれ接続された一対の信号線31を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピン3と、上記感温体2を覆うように先端部に配設されたカバー4とを有する。
上記感温体2は、上記感温素子21と、該感温素子21を上記電極線24の一部と共に封止する内側保護層22及び外側保護層23とを有する。
上記電極線24は、感温素子21の外表面に接合されている。感温素子21は、略直方体形状を有し、互いに平行な一対の面に、一対の電極が形成されており、それらの電極にそれぞれ電極線24が接合されている。図1(a)は、感温体の最大径部における断面図を示し、図1(b)は、図1(a)におけるAA矢視断面図を示す。
また、上記電極線24が上記外側保護層23により被覆されている長さである電極線シール長さdが1.0mmである。
また、電極線24のサイズは、φ0.25×4.5mmである。
なお、上述した各部の寸法は一例であって、本発明はこれに限られるものではない。
ここで、上記結晶化ガラスの組成は、例えば、SiO2:54重量%、CaO:24重量%、MgO:17重量%、Al2O3:5重量%とすることができる。また、内側保護層51に添加するサーミスタ材の組成は、Cr2O3:8.8mol%、Mn2O3:8.8mol%、Y2O3:82.4mol%とすることができる。
|k1−k3|<|k1−k2|、|k2−k4|<|k2−k3|
が成り立つ。
また、熱膨張係数k1、k2、k3、k4は、|k1−k3|≦5×10−7/℃、|k2−k4|≦4×10−7/℃を満たす。
また、ガードチューブ5の外周にはリブ6が配されている。そして、リブ6は、ガードチューブ5を介してシースピン3を保持している。
また、第1延設部62の外周には、シースピン3、ガードチューブ5及び外部リード71の一部を保護する保護チューブ72の一端が溶接固定されている。
また、第2延設部63において、リブ6がガードチューブ5に対して全周溶接されている。
ガードチューブ5、シースピン3、及びカバー4は、ステンレス鋼またはNi基耐熱合金からなる。更に、リブ6、保護チューブ72も、ステンレス鋼または基耐熱合金からなる。
また、ガードチューブ5の厚みは、シースピン3の外管部の厚みよりも大きくしてあり、ガードチューブ5は、シースピン3の外管部よりも剛性が高い。
また、外側保護層23は、室温から850℃(好ましくは1000℃)の温度範囲においてカバー4と化学反応を生じない。
上記感温素子21の後端位置212は、上記温度センサ1の長手方向における上記感温体2の全体の長さの中点Oよりも先端側にある。
つまり、上記感温素子21を感温体2の中心部でなく、電極線24のない先端側に配置することにより、感温体2の先端201から感温素子21までの距離が短くなり、外部から感温素子21への熱伝導性が向上する。そして、感温素子21の受熱性が向上することにより、感温素子21の温度上昇が促進され、温度センサ1の熱応答性を向上させることができる。なお、図3に示すように、温度センサは排気管内に突き出して取り付けられる。この場合、一般的に先端201側がより高温に晒されるため、先端201からの熱伝導をいかに早く感温素子21に伝えるかが応答性を向上させることになる。
|k1−k3|<|k1−k2|、|k2−k4|<|k2−k3|
が成り立つ。そのため、感温素子21を直接覆う内側保護層22と感温素子21との間に発生する熱応力を抑制することが可能となる。また、内側保護層22を覆うと共に電極線24の外周に密着させる外側保護層23と電極線24との間に隙間が発生することを抑制することができる。
つまり、大きな温度変化を伴う感温素子21における熱応力の作用を抑制し、感温素子21の電気的特性の変化を防ぐことができる。また、電極線24と外側保護層23との間における隙間の発生を抑制することにより、より一層電極線シール性を向上させることができる。
以上のごとく、本例によれば、応答性及びシール性に優れた温度センサを提供することができる。
本例では、上記実施例1の温度センサの作用効果の確認を行った。
まず、上記実施例1の温度センサについて、63%応答時間を測定して熱応答性の評価を行った。また、比較のために、図9に示すような、感温素子91の後端位置912が、温度センサの長手方向における感温体9の全体の長さの中点O´よりも後端側にある感温体9に変更した温度センサを用意し、この温度センサについても、熱応答性の評価を行った。感温体9の感温素子91、電極線94、内側保護層92の材料、及び外側保護層93の材料は、感温体2に用いたものと同一のものを用いた。
また、上記電極線94が上記外側保護層93により被覆されている長さである電極線シール長さd´が1.0mmである。
なお、比較品としての温度センサ9は、感温素子91が感温体9の最大径部に掛かった状態となっている。なお、上記感温体2の最大径部における径e´はφ1.8mmである。
これらの結果から、本発明にかかる温度センサ1は、応答性に優れていることが分かる。
電極線シール性の評価は、感温素子の抵抗値変化率を測定することにより行う。抵抗値変化率は、1000℃の還元雰囲気(水素5%、窒素95%)に実施例1の温度センサ1を構成する感温体2を10時間放置した後に、感温素子21の抵抗値が、初期値に対してどの程度変化したかにより測定した。なお、上記還元雰囲気は、実際の温度センサの使用時におけるカバー内の雰囲気よりも厳しい条件に作り出した雰囲気である。
図7は、横軸に電極線シール長さ(mm)をとり、縦軸に抵抗値変化率(%)をとった。そして、図7における○は実測値の最大値と最小値を示し、●は平均値を示す。
実施例1の温度センサ1を構成する感温体2を板に挟んで押圧し、その押圧力を徐々に増やしてゆき、感温体2が割れる時点の押圧力を圧壊強度として測定した。また、上記比較品として用意した温度センサを構成する感温体9についても、同様の方法で、素子圧壊強度の測定を行った。結果を図8に示す。なお、上記感温体2、及び感温体9の最大径部における外側保護層の厚みは0.3mmである。
図8は、縦軸に圧壊強度(N)をとった。図8において、○は本発明品の結果を示し、●は比較品の結果を示す。
2 感温体
21 感温素子
22 内側保護層
23 外側保護層
24 電極線
212 感温素子の後端位置
Claims (16)
- 温度によって電気特性が変化する感温素子を有する感温体と、該感温体の一対の電極線にそれぞれ接続された一対の信号線を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピンと、上記感温体を覆うように先端部に配設されたカバーとを有する温度センサであって、
上記感温体は、上記感温素子と、該感温素子を上記電極線の一部と共に封止する内側保護層と、該内側保護層の外側を上記電極線の一部と共に覆う外側保護層とを有し、
上記感温素子の後端位置は、上記温度センサの長手方向における上記感温体の全体の長さの中点よりも先端側にあることを特徴とする温度センサ。 - 請求項1において、上記感温素子の後端位置は、上記感温体の最大径部よりも先端側にあることを特徴とする温度センサ。
- 請求項1又は2において、上記電極線が上記外側保護層により被覆されている長さである電極線シール長さが0.7mm以上であることを特徴とする温度センサ。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記感温素子の先端の位置が、上記感温体の先端から上記温度センサの長手方向における上記感温体の全体の長さの30%の位置よりも先端側にあることを特徴とする温度センサ。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、上記感温素子の熱膨張係数をk1、上記電極線の熱膨張係数をk2、上記内側保護層の熱膨張係数をk3、上記外側保護層の熱膨張係数をk4としたとき、
|k1−k3|<|k1−k2|、|k2−k4|<|k2−k3|
が成り立つことを特徴とする温度センサ。 - 請求項5において、上記熱膨張係数k1、k2、k3、k4は、|k1−k3|≦5×10−7/℃、|k2−k4|≦4×10−7/℃を満たすことを特徴とする温度センサ。
- 請求項1〜6のいずれか一項において、上記外側保護層は、室温から850℃の温度範囲において上記カバーの内側面に常に接触していることを特徴とする温度センサ。
- 請求項1〜6のいずれか一項において、上記外側保護層は、室温から1000℃の温度範囲において上記カバーの内側面に常に接触していることを特徴とする温度センサ。
- 請求項1〜8のいずれか一項において、上記外側保護層は、室温から850℃の温度範囲において上記カバーと化学反応を生じないことを特徴とする温度センサ。
- 請求項1〜8のいずれか一項において、上記外側保護層は、室温から1000℃の温度範囲において上記カバーと化学反応を生じないことを特徴とする温度センサ。
- 請求項1〜10のいずれか一項において、上記電極線は、上記感温素子の外表面に接合されていることを特徴とする温度センサ。
- 請求項1〜11のいずれか一項において、上記カバーと上記外側保護層との間には、充填材が介在していることを特徴とする温度センサ。
- 請求項12において、室温から850℃の温度範囲において、上記外側保護層は上記充填材に常に接触していると共に、上記充填材は上記カバーに常に接触していることを特徴とする温度センサ。
- 請求項12において、室温から1000℃の温度範囲において、上記外側保護層は上記充填材に常に接触していると共に、上記充填材は上記カバーに常に接触していることを特徴とする温度センサ。
- 請求項12〜14のいずれか一項において、上記外側保護層は、室温から850℃の温度範囲において上記充填材と化学反応を生じないことを特徴とする温度センサ。
- 請求項12〜14のいずれか一項において、上記外側保護層は、室温から1000℃の温度範囲において上記充填材と化学反応を生じないことを特徴とする温度センサ。
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