JP2009287645A - 直動軸受 - Google Patents

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Takeki Shirai
武樹 白井
Kota Ozaki
浩太 尾崎
Ken Kosasa
憲 小佐々
Takeshi Iwakiri
剛 岩切
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Abstract

【課題】球体の摩耗や騒音の発生が抑制された実用的な直動軸受を提供すること。
【解決手段】筒体11、筒体の内側に嵌め合わされている、外周面に複数個の球体を収容可能な複数の球体循環溝12が互いに周方向に間隔をあけて形成されていて、各々の球体循環溝が、軸方向に伸び且つ底部に球体を内周面から部分的に突き出させる細長い開口部12cを持つ球体面突き出し溝12bを含む筒状の球体保持器13、および各々の球体循環溝に収容された複数個の球体14からなる直動軸受であって、各々の球体循環溝に、複数個の球体と、更に両面に凹部を持つ複数個の盤状のセパレータ15とが、嵌め合わされた状態で交互に収容され、そして球体の直径(D1)、セパレータの外周端面に外接する円の直径(D2)及び球体面突き出し溝の開口部の幅(W)が、0.6<D2/D1<0.9、および0.4<W/D2<0.9の関係を満足することを特徴とする直動軸受。
【選択図】図2

Description

本発明は、直動駆動される軸の支持に有利に用いることができる直動軸受に関する。
従来より、各種の産業機械において直動駆動される軸を支持するために直動軸受(例、リニアブッシュ)を用いることは知られている。
直動軸受は、通常、使用者が各種の産業機械に応じて予め用意した軸(各種の産業機械に応じて適切な長さに設定された軸、先端部が折り曲げられた軸、あるいは各種の部品や駆動装置等への取り付け部を備えた軸など)を支持するために用いられる。従って、直動軸受は、使用者の要望により軸と共に販売されることもあるが、殆どの場合は軸と別に(軸と組み合わされていない状態で)販売される。
直動軸受は、筒体、筒体の内側に嵌め合わされている、外周面に各々複数個の球体を収容可能な複数の球体循環溝が互いに周方向に間隔をあけて形成されていて、そして各々の球体循環溝が、軸方向に伸び且つ底部に前記球体を内周面から部分的に突き出させる細長い開口部を持つ球体面突き出し溝を含む筒状の球体保持器、および各々の球体循環溝に収容された複数個の球体から構成されている。支持対象の軸は、球体保持器の内部に挿入され、そして前記のように球体保持器の内周面から突き出された球体面によって支持される。このような直動軸受は、例えば、特許文献1に開示されている。
特許文献2には、球体を循環させる転送路を備えたボールねじ(第1図)、直線運動案内装置(第12図)、およびボールスプライン(第19図)が開示されている。そして、前記の転送路には、複数個の球体(ボール)と、両面に凹部を持つ複数個のセパレータ(スペーサ)とが、セパレータの各々の凹部に球体の一部分が嵌め合わされた状態で交互に収容されている。このため、各々のセパレータは、その両側の球体が転送路の内部にて転動すると、両者の球体に挟まれて支持された状態で転送路の内部を移動する。
通常、前記のようなボールねじは、ねじ軸とナットとが組み合わされた状態で、すなわち両者の間に球体が緊密に支持された状態で販売される。同様に、前記の直線運動案内装置もまた、軌道レールとスライド部材とが組み合わされた状態で、すなわち両者の間に球体が緊密に支持された状態で販売される。そしてボールスプラインもまた、軌道部材(スプライン軸)とスライド部材(外筒)とが組み合わされた状態で、すなわち両者の間に球体が緊密に支持された状態で販売される。
特開2007−155036号公報(段落番号[0002]、第12図) 特開2004−28192号公報(第1図、第12図及び第19図)
特許文献2のボールねじ、直線運動案内装置、そしてボールスプライン(以下、ボールねじ等と云う)は、転送路の内部に複数個の球体と複数個のセパレータとが交互に収容されているため、球体同士の衝突による球体の摩耗や騒音の発生が抑制される。
本発明の課題は、球体の摩耗や騒音の発生が抑制された実用的な直動軸受を提供することにある。
本発明者等は、前記の特許文献2のボールねじ等の場合と同様にして、直動軸受の球体保持器の球体循環溝に複数個の球体と複数個のセパレータとを交互に並べて収容することにより、直動軸受の球体同士の衝突による球体の摩耗や騒音の発生が低減されることを確認した。
しかしながら、作製した直動軸受は、通常であれば、前記のように両側の球体に挟まれて支持された状態で球体循環溝の内部を移動するはずのセパレータが、低い頻度ではあるものの、球体面突き出し溝の開口部を通って球体保持器の内側に脱落するという別の問題を有していることが判明した。このようなセパレータの脱落が発生する頻度は低いものの、一つのセパレータが脱落すると、残りのセパレータが次々に脱落し、これにより球体同士の衝突による球体の摩耗や騒音が増大するだけでなく、脱落したセパレータが各種の産業機械の故障の原因ともなり得る。また、一つのセパレータが脱落すると、残りのセパレータが、その両側の球体に挟まれて支持されることなく球体循環溝の内部で横倒しになり、この横倒しになったセパレータが球体面突き出し溝の開口部の端部に引っ掛かるなどして、直動軸受による軸の円滑な支持が妨げられたり、また極端な場合には直動軸受が故障することもある。このため、作製した直動軸受は実用的に満足できるものではなかった。
そして本発明者等は、直動軸受の球体、セパレータ及び球体面突き出し溝のサイズを厳密に管理することにより、球体の摩耗や騒音の発生が抑制され、そしてセパレータの脱落の発生も防止された実用的な直動軸受を実現することに成功した。
従って、本発明は、筒体、筒体の内側に嵌め合わされている、外周面に各々複数個の球体を収容可能な複数の球体循環溝が互いに周方向に間隔をあけて形成されていて、そして各々の球体循環溝が、軸方向に伸び且つ底部に前記球体を内周面から部分的に突き出させる細長い開口部を持つ球体面突き出し溝を含む筒状の球体保持器、および各々の球体循環溝に収容された複数個の球体からなる直動軸受であって、
前記の各々の球体循環溝に、前記の複数個の球体と、更に両面に凹部を持つ複数個の盤状のセパレータとが、セパレータの各々の凹部に球体の一部分が嵌め合わされた状態で交互に収容され、そして前記の球体突き出し溝の開口部の幅が、セパレータの外周端面に外接する円の直径よりも小さいことを特徴とする直動軸受にある。
本発明はまた、筒体、筒体の内側に嵌め合わされている、外周面に各々複数個の球体を収容可能な複数の球体循環溝が互いに周方向に間隔をあけて形成されていて、そして各々の球体循環溝が、軸方向に伸び且つ底部に前記球体を内周面から部分的に突き出させる細長い開口部を持つ球体面突き出し溝を含む筒状の球体保持器、および各々の球体循環溝に収容された複数個の球体からなる直動軸受であって、
前記の各々の球体循環溝に、前記の複数個の球体と、更に両面に凹部を持つ複数個の盤状のセパレータとが、セパレータの各々の凹部に球体の一部分が嵌め合わされた状態で交互に収容され、そして前記の球体、セパレータ及び球体面突き出し溝が下記の式(i)及び(ii)の関係を満足するサイズに設定されていることを特徴とする直動軸受にもある。
(i) 0.6<D2/D1<0.9
(ii) 0.4<W /D2<0.9
但し、上記の式(i)及び式(ii)において、D1は、球体の直径であり、D2は、セパレータの外周端面に外接する円の直径であり、そしてWは、球体面突き出し溝の開口部の幅である。
本発明の直動軸受の好ましい態様は、次の通りである。
(1)セパレータが円盤状の形状にある。
(2)球体循環溝の数が2〜10個の範囲内にある。
本発明の直動軸受は、球体循環溝に複数個の球体と複数個のセパレータとが交互に収容されているため、球体同士の衝突による球体の摩耗や騒音の発生が抑制されており、そして球体、セパレータ及び球体面突き出し溝、特に、球体面突き出し溝の開口部の幅が所定のサイズに設定されているため、例えば、直動軸受を取り扱う際、支持対象の軸の取り付けや取り外しの際、あるいはメンテナンスの際のセパレータの脱落も防止された実用的なものである。
次に、本発明の直動軸受を、添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の直動軸受の構成例を示す一部切り欠き側面図である。図2は、図1に記入した切断線II−II線に沿って切断した直動軸受10の断面図であり、そして図3は、図2の直動軸受10の図に丸印を記入した部分を拡大して示す図である。図4は、図1に示す球体保持器13の平面図であり、そして図5は、球体循環溝12に複数個の球体14と複数個のセパレータ15とを収容した状態を示す図である。図6は、図2に示すセパレータ15の正面図であり、そして図7は、図6に記入した切断線VII−VII線に沿って切断したセパレータ15の断面図である。なお、前記の図1〜図3においては、直動軸受10を、球体保持器13の内部に軸16が挿入され、この軸16を支持している状態で記入してある。
直動軸受10は、筒体11、筒体11の内側に嵌め合わされている、外周面に各々複数個の球体を収容可能な六個の球体循環溝12が互いに周方向に間隔をあけて形成されていて、そして各々の球体循環溝12が、軸方向に伸び且つ底部に前記球体を内周面から部分的に突き出させる細長い開口部12cを持つ球体面突き出し溝12bを含む筒状の球体保持器13、および各々の球体循環溝12に収容された複数個の球体14から構成されている。そして、この直動軸受10は、前記の各々の球体循環溝12に、前記の複数個の球体14と、更に両面に凹部15aを持つ複数個の盤状のセパレータ15とが、セパレータ15の各々の凹部15aに球体14の一部分が嵌め合わされた状態で交互に収容され、そして前記の球体14、セパレータ15及び球体面突き出し溝12bが下記の式(i)及び(ii)の関係を満足するサイズに設定されていることに大きな特徴がある。
(i) 0.6<D2/D1<0.9
(ii) 0.4<W /D2<0.9
[但し、上記の式(i)及び式(ii)において、D1は、球体14の直径であり、D2は、セパレータ15の外周端面に外接する円の直径であり、そしてWは、球体面突き出し溝12bの開口部12cの幅である(図3を参照)。]
筒体11の内周面には、各々軸方向に延びる複数の凹部11aと複数の凸部11bとが周方向に交互に形成されている。筒体11は、通常、鋼(例、ステンレススチール)に代表される金属材料から形成される。また、筒体11の加工が容易になり、そして筒体を軽量化できることから、筒体11を樹脂材料から形成することもできる。更にまた、例えば、直動軸受10が水中あるいは高温の環境下で使用される場合には、筒体11をセラミック材料から形成することもできる。
筒体11の内側には、筒状の球体保持器13が嵌め合わされている。球体保持器13の外周面には、各々軸方向に延びる複数の凹部13aと複数の凸部13bとが周方向に交互に形成されている。この球体保持器13の各々の凸部13bは、筒体11の各々の凹部11aに嵌め合わされ、そして筒体11の各々の凸部11bは、球体保持器の各々の凹部13aに嵌め合わされる。これにより、筒体11の内部での球体保持器13の周方向への回転が防止される。
図1に示すように、球体保持器13の軸方向の両外側には、筒体11の内周面に形成された環状の溝11cに嵌め合わされた止め輪17、17が配置されている。各々の止め輪17は、例えば、金属材料や樹脂材料などの弾性を示す材料から形成されており、周方向の一部分が切り欠かれたC字状の形状を有している。この止め輪17は、力を加えて外径が小さくなるように弾性変形させた状態で筒体11の端部の開口から内部に挿入される。そして、この止め輪17は、筒体11の溝11cに到達すると元の形状に復帰して、溝11cの内部に収容されて一時的に固定される。直動軸受10の球体保持器13は、その軸方向の両外側に配置された止め輪17、17によって、軸方向への移動が防止されている。球体保持器を、例えば、その両端部にて筒体の内周面に接着したり、あるいは筒体の内部に圧入したりするなどして、筒体の軸方向への移動を防止することもできる。
球体保持器13の外周面には、各々複数個の球体を収容可能な六個の球体循環溝12が互いに周方向に間隔をあけて形成されている。そして各々の球体循環溝12は、軸方向に伸び且つ底部に前記球体を内周面から部分的に突き出させる細長い開口部12cを持つ球体面突き出し溝12bを備えている。各々の球体循環溝12は、球体面突き出し溝12bと、その両端に接続している溝12a(以下、球体戻し溝12aと云う)から構成されている。
球体循環溝の数は2乃至10個の範囲内にあることが好ましい。球体循環溝の数が1個であると、球体保持器13の内部に挿入される支持対象の軸16を支持することができず、その一方で、球体循環溝の数が10個を超えると、球体保持器13の構成が複雑となり、また球体保持器13に球体循環溝が密集して形成されるために球体保持器13の強度が低下する傾向にある。支持対象の軸16を、各々の球体循環溝12の球体面突き出し溝12bの開口部12cから突き出された球体14の表面(球体面)によって安定に支持するため、球体循環溝の数は3乃至10個の範囲内にあることが更に好ましい。
球体保持器13は、例えば、金属材料や樹脂材料から形成される。樹脂材料の例としては、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン:登録商標)およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂が挙げられる。球体保持器13は、例えば、前記の樹脂材料を各種の成形法(例、射出成形法、圧縮成形法、あるいは注型法など)で成形して作製することができる。
そして、各々の球体循環溝12には、複数個の球体14と複数個の盤状のセパレータ15とが収容されている。球体14は、例えば、ステンレススチールに代表される鋼から形成される。そしてセパレータ15は、例えば、前記の球体保持器13の材料として例示した樹脂材料から形成される。
図6及び図7に示すように、セパレータ15の両面には凹部15aが備えられている。図6に示すように、盤状のセパレータ15としては、平面形状が円形に設定された円盤状のセパレータを用いることが好ましい。セパレータの平面形状は、例えば、多角形に設定されていてもよい。但し、平面形状が多角形に設定されていると、球体面突き出し溝12bの開口部12cの端部に盤状のセパレータの角部が引っ掛かり、球体14の円滑な転動が妨げられる場合がある。
そして、図5に示すように、球体保持器の球体循環溝12には、複数個の球体14と複数個の盤状のセパレータ15とが、セパレータ15の各々の凹部(図7:15a)に球体14の一部分が嵌め合わされた状態で交互に収容される。これにより、直動軸受10の球体同士の衝突による球体の摩耗や騒音の発生が低減される。また、各々のセパレータ15の周囲や凹部に潤滑用のグリースが長期に保持されるため、直動軸受の耐久性が向上し、また頻繁なメンテナンスも不要になる。
直動軸受10の球体保持器13の内部には、支持対象となる軸16が挿入される。直動軸受10のサイズは、支持対象の軸16の直径に対応するサイズに設定される。例えば、図1〜図3に示す直動軸受10は、直径が30mmの軸16を支持するために用いられる。この軸16の直径に応じて、直動軸受10の球体保持器13の内径は30.4mmに、筒体11の外径は45mmに、球体14の直径は3.97mmに、そしてセパレータの直径は3.18mmに設定されている。また、セパレータ15の周縁部における厚みは1.29mmに、そして凹部(図7:15a)の中央の位置における厚みは0.23mmに設定されている。なお、球体循環溝12の長さに応じて、互いに厚みの異なる二種類以上のセパレータを用いることもできる。
そして、この直動軸受10の球体保持器13の内部に挿入された軸16が長さ方向に移動すると、各々の球体循環溝12の球体面突き出し溝12bに収容されている複数個の球体14は、軸16と筒体11の内周面とに挟まれた状態で転動し、そして球体循環溝12の内部を循環移動する。これにより、支持対象の軸16は、各々の球体面突き出し溝12bの開口部12cから突き出された球体14の表面にて円滑且つ安定に支持される。そして、前記の複数個の球体14の循環移動に伴い、各々のセパレータ15もまた、図5に示すように、その両側の球体14に挟まれて支持された状態で球体循環溝12の内部を循環移動する。
ところが、本願発明者等の研究によると、球体循環溝の内部に、単純に複数個の球体と複数個のセパレータとを交互に収容して直動軸受を作製すると、通常であれば、図5に示すセパレータ15と同様に、常に両側の球体に挟まれて支持された状態で球体循環溝の内部を循環移動するはずのセパレータが、低い頻度ではあるものの、球体面突き出し溝の開口部を通って球体保持器の内側に脱落する場合があることが判明した。
このようなセパレータの脱落は、その発生頻度は低いものの、一つのセパレータが脱落すると、残りのセパレータが次々に脱落し、これにより球体同士の衝突による球体の摩耗や騒音が増大するだけでなく、脱落したセパレータが各種の産業機械の故障の原因ともなり得るため実用的には非常に大きな問題となる。また、一つのセパレータが脱落すると、残りのセパレータが、その両側の球体に挟まれて支持されることなく球体循環溝の内部で横倒しになり、この横倒しになったセパレータが球体面突き出し溝の開口部の端部に引っ掛かるなどして、直動軸受による軸の円滑な支持が妨げられたり、また極端な場合には直動軸受が故障することもある。
本発明者等は、このようなセパレータの脱落の原因を明らかにするため、脱落したセパレータの形状やサイズを測定したが、特に設計値と異なることはなく、また脱落せずに球体循環溝の内部に残っているセパレータの形状やサイズと比較しても特に有意差を確認することはできなかった。更に、脱落したセパレータに印を付け、これを再び球体保持器の内部に収容したところ、この印を付けたセパレータは脱落せずに、これとは別のセパレータが脱落する場合があることも判明した。
本発明者等が更に検討を進めた結果、セパレータの脱落は、球体循環溝の内部にて複数個の球体が特定の配置となったときに発生することが判明した。以下に、複数個の球体の配置とセパレータの脱落との関係について詳しく説明する。なお、後に説明するように、図1〜図3に示す本発明の直動軸受10では、セパレータ15の脱落を防止することを主な目的として、球体14、セパレータ15及び球体面突き出し溝12bのサイズが所定のサイズに設定されているが、複数個の球体14は、前記のようなセパレータの脱落を生じる直動軸受と同様の配置を取り得るため、以下では、本発明の直動軸受10の図面を用いて、前記の複数個の球体の配置とセパレータの脱落との関係について説明する。
図5に示すように、通常の場合、直動軸受の複数個の球体14は、球体循環溝12の内部にて一列に並んだ状態で整列配置しており、そして各々のセパレータは、その両側の球体14に挟まれて支持されているため脱落することはない。
ところが、この球体循環溝12のサイズは、球体14との摩擦を防止するため、球体14の直径よりも僅かに大きなサイズに設定されている。特に、球体戻し溝12aは、球体面突き出し溝12bの一方の端部に到達した球体を、他方の端部へと円滑に移動させるため、球体面突き出し溝12bよりも大きなサイズ(特に、深さ)に設定されている。このため、球体戻し溝12aに収容されている球体14は、溝12aの幅方向や深さ方向に僅かではあるが移動することができる。そして、各々の球体14が僅かに移動した結果、低い頻度ではあるものの、複数個の球体14が特定の配置になった場合、特に蛇行して配置された場合に、隣接する球体14と球体14との間にセパレータ15の厚みよりも大きな間隙が生じることが判明した。
図8は、球体戻し溝12aの内部において複数個の球体14が蛇行して配置された状態を示している。この図8では、複数個の球体が蛇行して配置された結果、隣接する球体と球体との間に間隙が生じることを示すため、球体戻し溝12aの内部に収容されている球体14と球体14との間に間隙18が生じた状態を示した。そして、前記のように球体戻し溝12aの内部にて複数個の球体14が蛇行して配置された結果、球体面突き出し溝の内部にて隣接する球体と球体との間に、前記と同様にセパレータの厚みよりも大きな間隙が生じると、直動軸受10が軸16を支持していない状態では、両者の球体の間のセパレータが球体面突き出し溝の開口部を通って球体保持器13の内側に脱落する。
なお、前記のように、特許文献2のボールねじは、ねじ軸とナットとが組み合わされた状態で、直線運動案内装置は、軌道レールとスライド部材とが組み合わされた状態で、そしてボールスプラインは、軌道部材(スプライン軸)とスライド部材(外筒)とが組み合わされた状態で販売され、通常、ねじ軸、軌道レール、そして軌道部材が取り外されることはない。従って、セパレータは、ねじ軸とナット、軌道レールとスライド部材、そして軌道部材とスライド部材との間に形成される空間(ボール転送路)の内部に収容され、この空間の外には移動できないようにされているため、前記のような脱落を生じることはない。このため、特許文献2のボールねじ等では、前記のように複数個の球体が蛇行して配置された場合であっても、実用上の問題を生じることはない。
しかしながら、直動軸受(例、リニアブッシュ)は、前記のように殆どの場合は軸と別に販売され、軸を支持していない状態で取り扱われる。このため、例えば、使用者が球体保持器に支持対象の軸を挿入したり、メンテナンスのために球体保持器から軸を取り外したりする際に直動軸受に衝撃が加わったり、球体保持器の内周面に付着した埃等を布で拭き取る際に、この布が球体面突き出し溝から突き出された球体面に接触して球体が移動されたり、あるいは前記の埃等の除去のために吹き付けた圧縮空気により球体が移動されたりすると、低い頻度であるものの、前記のように球体戻し溝の内部にて複数個の球体が特定の配置(例、蛇行した配置)となり、そしてセパレータが脱落する場合がある。すなわち、直動軸受の場合には、複数個の球体が蛇行して配置されると、セパレータが脱落するという(直動軸受に特有の)実用的に大きな問題を生じる。
また、図9は、球体面突き出し溝12bの内部での複数個の球体14の配置を示している。図9に示すように、軸16を支持した状態では、球体面突き出し溝12bの内部にて複数個の球体14が蛇行して配置されることはない。しかしながら、支持対象の軸16を取り外すと、球体面突き出し溝12bのサイズが球体14よりも僅かに大きなサイズに設定されているため、各々の球体14が僅かではあるが溝12bの深さ方向に移動できるようになる。
図10は、図3に示す球体面突き出し溝12bに収容された球体14の近傍の部位を拡大して示す図である。図10に実線で記入した球体14は、支持対象の軸16を球体保持器13から取り外すと、二点鎖線で示す位置まで移動する。直動軸受10では、この球体14の移動量Lは50μm程度と小さな値である。しかしながら、球体面突き出し溝12bの内部にて、各々の球体14が移動して、複数個の球体14が蛇行して配置されると、これにより隣接する球体と球体との間に生じる間隙に、前記の球体戻し溝12aの内部での複数個の球体の蛇行により生じる間隙が加わり、更にセパレータの脱落が発生し易くなる。すなわち、直動軸受は、前記のように支持対象の軸を取り外した状態で取り扱われることから、特にセパレータの脱落が発生し易い。
そして、本願発明者等は、直動軸受(例、リニアブッシュ)では、低い頻度ではあるもののセパレータが脱落して実用上の大きな問題を生じ易いという本願発明者等が新たに見出した知見に基づいて、このようなセパレータの脱落を防止することを主な目的として、前記の球体14、セパレータ15及び球体面突き出し溝12bのサイズを下記の式(i)及び(ii)の関係を満足するように厳密に管理することにより、実用的にも十分に満足できる直動軸受を得ることに成功した。
(i) 0.6<D2/D1<0.9
(ii) 0.4<W /D2<0.9
[但し、上記の式(i)及び式(ii)において、D1は、球体14の直径であり、D2は、セパレータ15の外周端面に外接する円の直径であり、そしてWは、球体面突き出し溝12bの開口部12cの幅である(図3を参照)。]
すなわち、上記の式(ii)に示すように、直動軸受10の球体面突き出し溝12bの開口部12cの幅を、セパレータの外周端面に外接する円の直径(図6及び図7に示すような円盤状のセパレータ15の場合には、このセパレータの直径)の0.4〜0.9倍の範囲内の幅に設定することにより、球体循環溝12の内部にて複数個の球体14が蛇行して、隣接する球体14と球体14との間に間隙が生じた場合であっても、両者の球体の間にあるセパレータ15が前記開口部12cを通過し難くなるため、セパレータ15の球体保持器13の内側への脱落を防止することができる。
上記の式(ii)のW /D2の値が0.9以上であると、球体循環溝12の内部で複数個の球体14が蛇行して、隣接する球体14と球体14の間に間隙が生じた場合に、両者の球体の間にあるセパレータ15が、球体面突き出し溝12bの開口部12cを通って球体保持器13の内側に脱落し易くなり、その一方で、W /D2の値が0.4以下であると、支持対象の軸16を支持する球体14が前記開口部12cから突き出るように、開口部12cの幅と球体14の直径とを精密に設定することが難しくなる。なお、図1〜図3に示す直動軸受10では、セパレータ15の直径(D2)は3.18mmに、そして開口部12cの幅(W)は1.84mmに設定されている。すなわち、前記のW /D2の値は0.58に設定されている。
また、上記の式(i)のD2/D1の値が0.9以上であると、セパレータ15のサイズが大きくなり過ぎ、セパレータ15が球体面突き出し溝12bの開口部12cの端部に引っ掛かったり、あるいは球体循環溝12の湾曲部分にてセパレータ15が溝の内壁面に接触して摩耗したりするなどの問題を生じ易くなり、その一方で、D2/D1の値が0.6以下であると、セパレータ15のサイズが小さくなり過ぎ、その両側の球体14でセパレータ15を挟んで安定に支持することが難しくなる。なお、図1〜図3に示す直動軸受10では、球体14の直径(D1)は3.97mmに、そしてセパレータ15の直径(D2)は3.18mmに設定されている。すなわち、前記のD2/D1の値は0.8に設定されている。
以上のように、本発明の直動軸受は、球体、セパレータ及び球体面突き出し溝のサイズ、特に、球体面突き出し溝の開口部の幅を所定の関係を満足するように厳密に管理することにより、通常の使用状態では球体を保持する機能を果たす球体面突き出し溝の開口部に、本願発明者等が新たに見出した、低頻度であるものの実用上は大きな問題となる直動軸受に特有のセパレータの脱落を防止するという別の機能が更に付加されていることに大きな特徴がある。
なお、従来のボールねじ、直線運動案内装置等では、直動軸受(例、リニアブッシュ)で支持する軸にあたるねじ軸やレールに転走溝が形成されているため、開口部分を狭くすること、すなわち保持器の保持部分を軸に接近させてボールを深く抱え込むことが困難である。そのため、軸を引き抜いた際にボールとセパレータの脱落を同時に防ぐような開口部(保持部分)を設けることは困難である。
本発明の直動軸受の構成例を示す一部切り欠き側面図である。 図1に記入した切断線II−II線に沿って切断した直動軸受10の断面図である。 図2の直動軸受10の図に丸印を記入した部分を拡大して示す図である。 図1に示す球体保持器13の平面図である。 球体循環溝12に複数個の球体14と複数個のセパレータ15とを収容した状態を示す図である。 図2に示すセパレータ15の正面図である。 図6に記入した切断線VII−VII線に沿って切断したセパレータ15の断面図である。 球体循環溝12の球体戻し溝12aの内部での複数個の球体14の配置の一例を示す図である。 球体循環溝12の球体面突き出し溝12bの内部での複数個の球体14の配置の一例を示す図である。 図3に示す球体面突き出し溝12bに収容された球体14の近傍の部位を拡大して示す図である。
符号の説明
10 直動軸受
11 筒体
11a 凹部
11b 凸部
11c 溝
12 球体循環溝
12a 球体戻し溝
12b 球体面突き出し溝
12c 開口部
13 筒状の球体保持器
13a 凹部
13b 凸部
14 球体
15 セパレータ
15a 凹部
16 軸
17 止め輪
18 間隙

Claims (4)

  1. 筒体、筒体の内側に嵌め合わされている、外周面に各々複数個の球体を収容可能な複数の球体循環溝が互いに周方向に間隔をあけて形成されていて、そして各々の球体循環溝が、軸方向に伸び且つ底部に前記球体を内周面から部分的に突き出させる細長い開口部を持つ球体面突き出し溝を含む筒状の球体保持器、および各々の球体循環溝に収容された複数個の球体からなる直動軸受であって、
    前記の各々の球体循環溝に、前記の複数個の球体と、更に両面に凹部を持つ複数個の盤状のセパレータとが、セパレータの各々の凹部に球体の一部分が嵌め合わされた状態で交互に収容され、そして前記の球体突き出し溝の開口部の幅が、セパレータの外周端面に外接する円の直径よりも小さいことを特徴とする直動軸受。
  2. 筒体、筒体の内側に嵌め合わされている、外周面に各々複数個の球体を収容可能な複数の球体循環溝が互いに周方向に間隔をあけて形成されていて、そして各々の球体循環溝が、軸方向に伸び且つ底部に前記球体を内周面から部分的に突き出させる細長い開口部を持つ球体面突き出し溝を含む筒状の球体保持器、および各々の球体循環溝に収容された複数個の球体からなる直動軸受であって、
    前記の各々の球体循環溝に、前記の複数個の球体と、更に両面に凹部を持つ複数個の盤状のセパレータとが、セパレータの各々の凹部に球体の一部分が嵌め合わされた状態で交互に収容され、そして前記の球体、セパレータ及び球体面突き出し溝が下記の式(i)及び(ii)の関係を満足するサイズに設定されていることを特徴とする直動軸受:
    (i) 0.6<D2/D1<0.9
    (ii) 0.4<W /D2<0.9
    [但し、D1:球体の直径、D2:セパレータの外周端面に外接する円の直径、そしてW:球体面突き出し溝の開口部の幅である]。
  3. セパレータが円盤状の形状にある請求項1もしくは2に記載の直動軸受。
  4. 球体循環溝の数が2〜10個の範囲内にある請求項1もしくは2に記載の直動軸受。
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