JP2009284800A - 脱穀装置の唐箕 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】選別風を送風する唐箕6が、原動側の動力が入力される回転軸60と、その回転軸60に対して半径方向に離れて位置する翼片61と、それらの回転軸60と翼片61とを連結して回転動力を伝達する翼片支持機構62とを備え、その翼片支持機構62が、回転軸60と一つの翼片61とに対する回転動力伝達用の連結箇所を、回転軸60の軸線方向での一カ所のみに設けたものである。
【選択図】図5
Description
[1] 原動側の動力が伝えられる回転軸に対して、半径方向に所定間隔を隔てて位置させた複数枚の翼片を、回転軸の軸線方向における2箇所で連結固定した構造のもの(特許文献1参照)。
しかしながら、上記の回転軸は、動力伝達系の途中にあって、脱穀選別部やフィードチェーンなどに動力を伝達するための中継軸として使用されることも多いため、回転軸が駆動力を受けて捻れたり、回転軸の端部に掛けられている伝動ベルトの張力により、駆動軸が僅かではあるが屈曲したりすることがあった。
このように、回転軸に捻れや屈曲が生じると、回転軸軸線方向で離れた2位置において連結される翼片と支持アームとの連結箇所に、繰り返し大きな外力が付与されることになる。このため、装置全体の軽量化の要望などから前記回転軸や翼片の薄肉化を図るほど、その連結箇所での破損を生じる可能性が高くなる傾向がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、請求項1に記載のように、脱穀装置の選別回収部に対して風選処理用の選別風を送風する唐箕を備えた脱穀装置の唐箕であって、
前記唐箕は、原動側の動力が入力される回転軸と、その回転軸に対して半径方向に離れて位置する翼片と、それらの回転軸と翼片とを連結して回転動力を伝達する翼片支持機構とを備えているとともに、
前記翼片支持機構は、前記回転軸と一つの翼片とに対する回転動力伝達用の連結箇所を、前記回転軸の軸線方向での一カ所のみに設けてあることを特徴とする。
上記のように、解決手段1にかかる本発明の脱穀装置の唐箕では、原動側の動力が入力される回転軸に対して半径方向に離れて位置する翼片を連結するための翼片支持機構として、前記回転軸と一つの翼片とに対する回転動力伝達用の連結箇所が、回転軸の軸線方向での一カ所のみであるように構成している。
したがって、駆動負荷などによって回転軸に捻れや曲がりが生じたとしても、その回転軸と翼片との間における回転動力伝達用の連結箇所は、回転軸の軸線方向での一カ所のみであるため、その捻れや曲がりが翼片側に伝えられることを回避できる。つまり、回転軸に捻れや曲がりが生じたとき、その回転軸の軸線上の複数箇所で回転軸側と翼片側とが連結されていれば、その連結点箇所間で、捻れ角や曲がりの程度に差が生じることから、その差分に応じた外力が各連結点に作用し、長期の使用のうちには連結点箇所の破損に繋がる虞があるが、本発明では、連結点箇所が一カ所のみであるため、このような差分に応じた外力が生じること自体を回避できる。
本発明の脱穀装置の唐箕における第2の解決手段は、請求項2の記載のように、翼片支持機構は、回転軸に対する回転動力伝達用の一つの連結部を備えるとともに、その連結部から前記回転軸の軸線方向に離れた箇所において、翼片を支持する複数の支え部を備えていることを特徴とする。
上記のように、解決手段2にかかる本発明のコンバインでは、前記解決手段1にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、上記の翼片支持機構によれば、回転軸から翼片への動力伝達用の連結部は一カ所であるが、翼片を支持する支え部は、連結部から前記回転軸の軸線方向に離れた箇所において回転軸の複数箇所に備えられるので、翼片の姿勢を回転軸の軸線方向での長いスパンで支持して安定的に維持し得る利点がある。
本発明の脱穀装置の唐箕における第3の解決手段は、請求項3の記載のように、翼片支持機構は、回転軸に外嵌する筒状嵌合体と、その筒状嵌合体を前記回転軸に対して回り止め状態に固定する固定連結体と、前記筒状嵌合体から延出して翼片に連結されたアームとを備え、前記筒状嵌合体と固定連結体とで回転動力伝達用の連結部を構成し、前記筒状嵌合体とアームとで支え部を構成した点に特徴がある。
上記のように、解決手段3にかかる本発明の脱穀装置の唐箕では、前記解決手段1及び2にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、上記の翼片支持機構によれば、回転軸から翼片への動力伝達用の連結部は一カ所でありながら、翼片を支持する支え部が複数箇所である構成を、筒状嵌合体や、その筒状嵌合体を回り止めする手段や、アームを利用して構造簡単に構成することができる利点がある。
本発明の脱穀装置の唐箕における第4の解決手段では、請求項4の記載のように、翼片支持機構は、固定連結体の両側に筒状嵌合体を備え、その筒状嵌合体の内周面と回転軸外周面との間に、筒状嵌合体と回転軸との間における所定範囲内の相対変位を許容する間隙を形成してある点に特徴がある。
上記のように構成された解決手段4にかかる本発明の脱穀装置の唐箕では、前記解決手段1、2、または3にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、筒状嵌合体の内周面と回転軸外周面との間に、筒状嵌合体と回転軸との間における所定範囲内の相対変位を許容する間隙を形成したとこにより、回転軸に捻れや曲がりが生じても、その捻れや曲がりを筒状嵌合体側には伝達せず、前記間隙内における回転軸と筒状嵌合体との相対変位として吸収することができる。
したがって、前記回転軸の捻れや曲がりによる影響が筒状嵌合体側に及ぶことを避け得るとともに、その回転軸の捻れや曲がりによる影響を受けない筒状嵌合体によって、かつ、筒状嵌合体側の複数の支え部によって、翼片を簡単な構造で適正な姿勢に支持することができる利点がある。
〔コンバインの全体構成〕
まず、本発明を適用したコンバイン全体の構造について説明する。
図1には自脱形コンバインの全体側面が、図2にはその全体平面が示されている。このコンバインは、角パイプ材などによって枠状に形成した機体フレーム1を備え、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置2を装備している。機体フレーム1の前方及び左前部には昇降揺動可能に連結した刈取搬送装置3が設けられ、機体フレーム1の左後部に脱穀装置4を搭載し、機体フレーム1の右後部に穀粒貯留装置5を搭載し、さらに、機体フレーム1の右前部に設けた原動部7、原動部7の上方側に形成した搭乗運転部8などを備えている。
クローラ式走行装置2、及び機体フレーム1上の各種装置に対する伝動系は次のように構成されている。
図3に示すように、機体フレーム1上に搭載された原動部7にエンジン70を備え、そのエンジン70の出力軸70aの軸心方向が左右向きになる姿勢で配置されている。そのエンジン70から左右の各クローラ式走行装置2への伝動は、機体の左右中央部に向けて突出するエンジン70の出力軸70aの左端部から、左右の各クローラ式走行装置2の駆動輪2Bにわたる走行用の伝動系を介して行われる。
走行用の伝動系は、ベルト式の伝動装置15、主変速装置として備えた静油圧式無段変速装置16、及び、ミッションケース17に副変速装置として内装したギヤ式変速装置(図示せず)、などによって構成されている。
尚、この刈取搬送装置3における刈取速度を、前記静油圧式無段変速装置16による無段階での変速のみならず、圃場の条件や茎稈の倒伏状況などに応じて大きく変化させたい場合には、ミッションケース17内に装備させた専用のギヤ変速機構で構成された刈取変速機構36による高低2段の変速操作を、シフトギヤのシフト操作で行えるように構成してある。
このように揺動変位するグレンタンク51の底部に備えられたスクリューコンベヤ55や前記穀粒排出用オーガ52に対する入力部53は、グレンタンク51の前記縦軸心y周りでの揺動を許容するための係脱構造を備えている。
前記伝動軸57に伝えられた動力は、その伝動軸57に対して軸端側を係脱される入力伝動軸58に伝えられ、かつ、その入力伝動軸58のベベルギヤ58aと前記スクリューコンベヤ55の軸端側に設けられたベベルギヤ55aを介して前記スクリューコンベヤ55や前記穀粒排出用オーガ52に伝達されるように構成されている。
前記入力伝動軸58は、グレンタンク51側に支持されていて、前記伝動軸57に対して抜き差し可能な凹入係合部58bを備えていて、伝動軸57からの回転動力は伝達されながら、軸線方向での抜き差しは可能に構成されているので、前記縦軸心y周りでのグレンタンク51の揺動に伴なう係脱を許容することができる。
図中の符号59は、伝動軸57を入力伝動軸58側へ押しつけ付勢するための押圧用スプリングである。
図4に示すように、脱穀装置4は、脱穀室ケース40の左外側部にフィードチェーン41を備えているとともに、脱穀室ケース40内部でその上部に扱胴42が設けられ、その下部に選別回収部4Aを備えている。
脱穀室ケース40内では、扱胴42が前後向きの軸心a1回りで回転駆動可能に支持され、扱胴42の下部側を下方から所定間隔を隔てて覆うように受け網43が敷設されている。
揺動選別枠44は、その前端部が左右一対の揺動アームを介して脱穀室ケース40に支持されている。揺動選別枠44の後端部は、偏心カム式の駆動機構45を介して脱穀室ケース40に支持されている。
前記唐箕6の構成について詳述する。
唐箕6には、エンジン70からの動力が、脱穀クラッチ18とベルト伝動式の伝動機構72とを介して伝達されている。前記駆動機構45には、唐箕6に伝達した動力が、脱穀装置4の左側部に配備したベルト伝動式の伝動機構73,74を介して伝達される。この動力により、駆動機構45は揺動選別枠44を前後方向に揺動駆動する。この揺動駆動により、揺動選別枠44は脱穀処理物に対して篩い選別処理を施すように構成されている。
回転軸60の軸線方向での中央位置に、回転軸60に対して密に嵌合する短筒状の固定連結体63が、図6(a),(b),(c)に示すように、締め付けボルト64を介して軸線移動、及び相対回転を阻止された状態に取付られている。そして、その短筒状の固定連結体63の両側に、回転軸60の外径よりもやや大きい内径を有した筒状嵌合体65を位置させ、回転軸60の外周面との間に微少間隙sを有した状態で、筒状嵌合体65を前記固定連結体63の両端部に溶接固定している。
前記筒状嵌合体65の前記固定連結体63と接合される側とは反対側の端部に、その筒状嵌合体65と翼片61とを連結する平板状のアーム66を溶接して一体化してある。このアーム66は、図6(a)に示すように、側面視で十字状に形成してあって、その中央部分に前記筒状嵌合体65が挿通され、平板部材の前記翼片61との連結箇所を平板部分に対して直交する方向に部分的に折り曲げて形成してある。そして、この折り曲げ部分66aを翼片61の裏面に当てつけた状態で着脱自在にボルト連結してある。
また、前記回転軸60の外周面と、その回転軸60の外径よりもやや大きい内径を有した筒状嵌合体65の内周面との間に形成される微少間隙sが、回転軸60の捻れや曲がりによる、回転軸60と筒状嵌合体65との相対変位を許容するための間隙sを構成している。
このように固定連結体63自体も軸線方向のある程度の長さを有し、締め付けボルト64同士もある程度の間隔をもって設けられている。したがって、回転軸60に捻れや曲がりが生じた場合に、厳密に云えば、ごく微少な捻れや曲がりが生じる可能性ないとは云えないが、この長さ及び間隔の範囲内で生じる捻れ量や曲がり量は、翼片支持機構62の強度に影響を与えるほどの歪みとして検出される量ではなく、無視できる程度のものである。
したがって、本発明では、このように無視できる程度のものであれば、ある程度の軸線方向長さやボルト間隔を備えたものであっても、回転軸60との連結箇所としては軸線方向で「1カ所」として定義する。
機体フレーム1は、図7乃至図10に示すように、前後方向に長い角パイプ状の左右一対のメインフレーム10,10と、そのメインフレーム10,10に対して左右方向に横切る方向で交差する状態で搭載設置された多数の横向きフレーム11と、横向きフレーム11の機体外側端側に搭載設置される前後向きの側部フレーム12とを備えて格子枠状に形成されている。また、前記左右のメインフレーム10,10同士の間にわたって、前後一対のアーチ型フレーム13,13が架設連結されている。
図11に示すように、本発明の唐箕6における翼片支持機構62としては、最良の実施形態で示したように、回転軸60の軸線方向での一カ所にのみ翼片支持機構62を設けたものに限らず、翼片61を回転軸60の軸線方向で複数に分割して、その翼片61の数だけの翼片支持機構62を用いて、個々の翼片61を個々の翼片支持機構62で支持するようにしてもよい。
最良の実施形態においては、固定連結体63と筒状嵌合体65とをそれぞれ別部材で構成して、溶接して一体化したものを用いた例を示したが、このような構造に限らず、両者を嵌合構造にして、嵌合状態でボルト止めすることによって連結するとか、固定連結体63と筒状嵌合体65とを突き合わせ端部で互いに係合して回転動力が伝わるようにするとともに、筒状嵌合体65の内周側にある程度の弾性変形が可能な軟質材を装着して、回転軸60の外周面と筒状嵌合体65の内周面との間に間隙sに相当する、相対変位可能な部分を設けるようにしてもよい。
固定連結体63と筒状嵌合体65とをそれぞれ別部材で構成するのではなく、固定連結体63と筒状嵌合体65とを、それぞれの内径を異ならせた一体物で形成してもよい。
固定連結体63と筒状嵌合体65との内径を同一径に形成して、回転軸60側の外径を、前記固定連結体63と筒状嵌合体65とに対応する部位で異ならせて、その筒状嵌合体65の内周面と回転軸60の外周面との間に間隙sを形成するようにしてもよい。
唐箕6の回転軸60は、入力用プーリ60Aと出力用プーリ60Bとを両端側に振り分けて設けたものに限らず、入力用プーリ60Aと出力用プーリ60Bとを回転軸60の一端側に設けたものであってもよい。また、入力用プーリ60Aのみを備えて出力用プーリ60Bを備えていない構造であってもよい。
4 脱穀装置
5 穀粒貯留装置
6 唐箕
60 回転軸
61 翼片
62 翼片支持機構
63 固定連結体
65 筒状嵌合体
s 微少間隙
A 連結部
B 支え部
Claims (4)
- 脱穀装置の選別回収部に対して風選処理用の選別風を送風する唐箕を備えた脱穀装置の唐箕であって、
前記唐箕は、原動側の動力が入力される回転軸と、その回転軸に対して半径方向に離れて位置する翼片と、それらの回転軸と翼片とを連結して回転動力を伝達する翼片支持機構とを備えているとともに、
前記翼片支持機構は、前記回転軸と一つの翼片とに対する回転動力伝達用の連結箇所を、前記回転軸の軸線方向での一カ所のみに設けてあることを特徴とする脱穀装置の唐箕。 - 翼片支持機構は、回転軸に対する回転動力伝達用の一つの連結部を備えるとともに、その連結部から前記回転軸の軸線方向に離れた箇所において、翼片を支持する複数の支え部を備えている請求項1記載の脱穀装置の唐箕。
- 翼片支持機構は、回転軸に外嵌する筒状嵌合体と、その筒状嵌合体を前記回転軸に対して回り止め状態に固定する固定連結体と、前記筒状嵌合体から延出して翼片に連結されたアームとを備え、前記筒状嵌合体と固定連結体とで回転動力伝達用の連結部を構成し、前記筒状嵌合体とアームとで支え部を構成した請求項2記載の脱穀装置の唐箕。
- 翼片支持機構は、固定連結体の両側に筒状嵌合体を備え、その筒状嵌合体の内周面と回転軸外周面との間に、筒状嵌合体と回転軸との間における所定範囲内の相対変位を許容する間隙を形成してある請求項3記載の脱穀装置の唐箕。
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