上記の構成では、穀粒排出箇所の選択の自由度を高めるために、穀粒排出装置に、縦オーガで揚送した穀粒を横方向に搬送する横オーガ、横オーガによる穀粒の搬送方向の変更を可能にする旋回モータ、及び、横オーガの排出口から排出する穀粒の排出高さの変更を可能にする油圧シリンダ、などを備えることから、穀粒排出装置が部品点数の多い構造が複雑で大掛かりなものとなっている。そのため、穀粒排出装置を装備する上において手間やコストがかかる上に穀粒排出装置の重量が嵩むようになっていた。
更に、穀粒の排出を行わない作業走行時や移動走行時などにおいては、縦オーガの上端部から水平方向に延出する横オーガを予め設定した格納位置にて固定保持する必要があり、そのためには、横オーガの延出端側を格納位置にて支持する支持部材を機体に立設装備する必要があることから、穀粒排出装置を装備する上において更に手間やコストがかかるようになっていた。
本発明の目的は、穀粒排出装置の構成の簡素化などを図りながら、穀粒タンクに貯留した穀粒の穀粒排出装置による機外への排出を良好に行えるようにすることにある。
本発明の課題解決手段は、穀粒タンクに貯留した穀粒を前記穀粒タンクの後部から機外に排出する穀粒排出装置を備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記穀粒排出装置に、前記穀粒タンクの後方において前記穀粒タンク内の穀粒を揚送して上部の排出口から排出する揚送コンベヤと、前記排出口から排出された穀粒を機体外方に流下案内する排出シュートとを備え、
前記排出シュートを、前記揚送コンベヤの排出口側において、その上部側を支点にした上下揺動による傾斜角度の変更が可能となるように構成し、
前記穀粒タンクの前方からの前記排出シュートの上下揺動操作を可能にする機械連係式の操作機構を備え、
前記揚送コンベヤの排出口側を機体の横側に設定するとともに、前記排出シュートが横向きの支軸を支点にして上下揺動するように構成し、
前記操作機構に、前記穀粒タンクの前後両端部にわたる前後向きの回動軸と、前記回動軸の前端部に備えた操作レバーと、前記回動軸の後端部に備えた排出シュート用の操作アームとを備え、前記操作機構を、前記回動軸を介して前記操作レバーと前記操作アームとが一体揺動するように構成した。
この手段によると、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出する場合には、その所定位置に排出シュートが向かうように排出シュートの傾斜角度を変更した後、穀粒タンク内の穀粒を揚送コンベヤによって揚送することにより、その揚送した穀粒を上部の排出口から排出することができ、排出した穀粒を排出シュートによって機体外方の所定位置に流下案内することができる。つまり、揚送コンベヤからの穀粒を横方向に搬送する横オーガ、横オーガを旋回駆動する旋回モータ、及び、横オーガを起伏方向に揺動駆動する油圧シリンダ、などを備えることなく、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出することができる。
又、穀粒の排出を行わずに作業走行や移動走行などを行う場合には、例えば、排出シュートが揚送コンベヤに沿うように排出シュートの傾斜角度を変更することにより、排出シュートの揚送コンベヤから外方への張り出しを抑制することができる。これにより、横オーガを採用した場合に装備する必要があった横オーガを格納位置にて支持するための支持構造を不要にすることができる。
その上、排出シュートの傾斜角度を変更するための排出シュートの上下揺動操作は、操作機構によって、穀粒タンクの前方から行なうことができる。そして、コンバインにおいては、穀粒タンクの前方位置に搭乗運転部を配備することが一般的であることから、排出シュートの上下揺動操作を搭乗運転部から行うことができる。
従って、穀粒排出装置の構成の簡素化、軽量化、及びコストの削減などを図りながら、穀粒タンクに貯留した穀粒の穀粒排出装置による機外の所定位置への排出を、搭乗運転部からの操作によって良好に行うことができる。
この手段によると、操作レバーを揺動操作すると、回動軸を介して排出シュート用の操作アームが操作レバーと一体揺動して、排出シュートを上下揺動させるようになる。
従って、前後向きの回動軸と操作レバーと排出シュート用の操作アームとからなる簡単で安価な構成によって、排出シュートの上下揺動操作を搭乗運転部から良好に行うことができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記支軸と前記回動軸とを同一軸心上に配備した。
この手段によると、操作レバーを揺動操作して排出シュートを上下揺動させる際には、操作レバーと操作アームと排出シュートとが同一軸心を支点にして拗れのない状態で円滑に揺動する。
従って、操作レバーの揺動操作によって排出シュートを上下揺動させる際の操作性を向上させることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記回動軸に前記支軸を一体形成した。
この手段によると、部品点数の削減による構成の簡素化及びコストの削減を図ることができる。その上、操作レバー及び操作アームの揺動支点となる回動軸と、排出シュートの支軸とを、簡単かつ確実に同一軸心上に位置させることができ、操作レバーによる排出シュートの上下揺動操作を、拗れのない状態で円滑に行うことができる。
従って、構成の簡素化及びコストの削減を図りながら、操作レバーによる排出シュートの上下揺動操作を円滑に行うことができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記操作機構を、単一部材の屈曲形成によって前記操作レバーと前記操作アームと前記回動軸とを備えるように構成した。
この手段によると、部品点数の削減による構成の簡素化及びコストの削減を図ることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記回動軸が前記穀粒タンクを前後方向に貫通するように構成した。
この手段によると、操作レバーと操作アームとにわたる回動軸の長さを最短にすることができる。
従って、操作機構の構成の簡素化を図ることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記操作レバーが機体の外方に食み出さないように構成した。
この手段によると、走行時などにおいて操作レバーが他物に接触して損傷する不都合の発生を効果的に防止することができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記排出シュートを上方に揺動付勢する付勢手段を備えた。
この手段によると、排出シュートを上方に揺動操作する際の操作力を軽減することができる。又、排出シュートを下方に揺動操作する際に排出シュートが急激に下降揺動する不都合の発生を防止することができる。
従って、操作レバーの揺動操作によって排出シュートを上下揺動させる際の操作性を向上させることができる。
本発明の課題解決手段の一つとして、穀粒タンクに貯留した穀粒を前記穀粒タンクの後部から機外に排出する穀粒排出装置を備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記穀粒排出装置に、前記穀粒タンクの後方において前記穀粒タンク内の穀粒を揚送して上部の排出口から排出する揚送コンベヤと、前記排出口から排出された穀粒を機体外方に流下案内する排出シュートとを備え、
前記排出シュートを、前記揚送コンベヤの排出口側において、その上部側を支点にした上下揺動による傾斜角度の変更が可能となるように構成し、
前記穀粒タンクの前方からの前記排出シュートの上下揺動操作を可能にする機械連係式の操作機構を備え、
前記排出シュートの任意の傾斜角度での固定保持を可能にするロック機構を備え、
前記ロック機構を、前記揚送コンベヤと前記排出シュートとのいずれか一方に、前記揚送コンベヤの穀粒搬送方向又は前記排出シュートの穀粒案内方向に所定間隔をあけた状態で配備した傾斜角度設定用の複数の被係合部と、前記揚送コンベヤと前記排出シュートとのいずれか他方に、前記複数の被係合部との択一的な係合が可能となるように前記排出シュートと同方向に揺動可能に配備した突っ張り部材とから構成し、
前記穀粒タンクの前方からの前記ロック機構の操作を可能にする機械連係式のロック用操作機構を備えた。
この手段によると、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出する場合には、その所定位置に排出シュートが向かうように排出シュートの傾斜角度を変更した後、穀粒タンク内の穀粒を揚送コンベヤによって揚送することにより、その揚送した穀粒を上部の排出口から排出することができ、排出した穀粒を排出シュートによって機体外方の所定位置に流下案内することができる。つまり、揚送コンベヤからの穀粒を横方向に搬送する横オーガ、横オーガを旋回駆動する旋回モータ、及び、横オーガを起伏方向に揺動駆動する油圧シリンダ、などを備えることなく、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出することができる。
又、穀粒の排出を行わずに作業走行や移動走行などを行う場合には、例えば、排出シュートが揚送コンベヤに沿うように排出シュートの傾斜角度を変更することにより、排出シュートの揚送コンベヤから外方への張り出しを抑制することができる。これにより、横オーガを採用した場合に装備する必要があった横オーガを格納位置にて支持するための支持構造を不要にすることができる。
その上、排出シュートの傾斜角度を変更するための排出シュートの上下揺動操作は、操作機構によって、穀粒タンクの前方から行なうことができる。そして、コンバインにおいては、穀粒タンクの前方位置に搭乗運転部を配備することが一般的であることから、排出シュートの上下揺動操作を搭乗運転部から行うことができる。
従って、穀粒排出装置の構成の簡素化、軽量化、及びコストの削減などを図りながら、穀粒タンクに貯留した穀粒の穀粒排出装置による機外の所定位置への排出を、搭乗運転部からの操作によって良好に行うことができる。
この手段によると、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出する場合には、その所定位置に排出シュートが向かうように排出シュートの傾斜角度を変更した後、ロック機構により、そのときの傾斜角度で排出シュートを固定保持することができる。
従って、穀粒タンクに貯留した穀粒の穀粒排出装置による機外の所定位置への排出を更に簡単かつ良好に行うことができる。
この手段によると、ロック機構を、傾斜角度設定用の複数の被係合部と突っ張り部材とから簡単で安価に構成することができる。
その上、ロック機構の操作は、ロック用操作機構によって穀粒タンクの前方から行なうことができる。そして、コンバインにおいては、穀粒タンクの前方位置に搭乗運転部を配備することが一般的であることから、ロック機構の操作を搭乗運転部から行うことができる。
従って、ロック機構の構成の簡素化及びコストの削減などを図りながら、ロック機構による任意の傾斜角度での排出シュートの固定操作及び固定解除操作を、搭乗運転部からの操作によって良好に行うことができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記揚送コンベヤの排出口側を機体の横側に設定するとともに、前記排出シュートが横向きの支軸を支点にして上下揺動するように構成し、
前記突っ張り部材を前記揚送コンベヤに備え、
前記ロック用操作機構に、前記穀粒タンクの前端部から前記突っ張り部材にわたる前後向きのロック用回動軸と、前記回動軸の前端部に備えたロック用操作レバーとを備え、前記ロック用操作機構を、前記ロック用回動軸を介して前記ロック用操作レバーと前記突っ張り部材とが一体揺動するように構成した。
この手段によると、ロック用操作レバーを揺動操作すると、ロック用回動軸を介して突っ張り部材がロック用操作レバーと一体揺動して、いずれかの被係合部に係合する状態と係合を解除する状態とに切り換わるようになる。
従って、前後向きのロック用回動軸とロック用操作レバーとからなる簡単で安価な構成によって、ロック機構による任意の傾斜角度での排出シュートの固定操作及び固定解除操作を、搭乗運転部からの操作によって良好に行うことができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記突っ張り部材と前記ロック用回動軸と前記ロック用操作レバーとを単一部材の屈曲形成によって一体形成した。
この手段によると、部品点数の削減による構成の簡素化及びコストの削減を図ることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記ロック用操作機構を、前記穀粒タンクの前方に位置する搭乗運転部に備えたロック用操作レバーと、前記ロック用操作レバーを前記突っ張り部材に連係するロック用連係ワイヤとから構成した。
この手段によると、ロック用操作レバーを揺動操作すると、ロック用連係ワイヤを介して突っ張り部材が揺動し、これにより、突っ張り部材を、いずれかの被係合部に対して係合する状態と係合を解除する状態とに切り換えることができる。又、ロック用連係ワイヤを採用することにより、ロック用操作機構の配索の自由度が高くなり、これにより、穀粒タンクを作業位置とメンテナンス位置とにわたって揺動可能に構成した場合においても、ロック用操作レバーを搭乗運転部に配備することができる。
従って、ロック用操作機構をロック用操作レバーとロック用連係ワイヤとから簡単で安価に構成しながら、ロック機構による任意の傾斜角度での排出シュートの固定操作及び固定解除操作を、搭乗運転部から良好に行うことができる上に、脱穀装置及び穀粒タンクなどに対するメンテナンス性を向上させることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記ロック用操作レバーが機体の外方に食み出さないように構成した。
この手段によると、走行時などにおいてロック用操作レバーが他物に接触して損傷する不都合の発生を効果的に防止することができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記ロック機構に、前記突っ張り部材を上方に揺動付勢する付勢手段を備えた。
この手段によると、ロック用操作レバーの揺動操作により、突っ張り部材を上下揺動させて、いずれかの被係合部に対して係合する状態と係合を解除する状態とに切り換える際の操作力を軽減することができる。
従って、ロック用操作レバーの揺動操作により、排出シュートを任意の傾斜角度において固定及び固定解除する際の操作性を向上させることができる。
本発明の課題解決手段の一つとして、穀粒タンクに貯留した穀粒を前記穀粒タンクの後部から機外に排出する穀粒排出装置を備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記穀粒排出装置に、前記穀粒タンクの後方において前記穀粒タンク内の穀粒を揚送して上部の排出口から排出する揚送コンベヤと、前記排出口から排出された穀粒を機体外方に流下案内する排出シュートとを備え、
前記排出シュートを、前記揚送コンベヤの排出口側において、その上部側を支点にした上下揺動による傾斜角度の変更が可能となるように構成し、
前記穀粒タンクの前方からの前記排出シュートの上下揺動操作を可能にする機械連係式の操作機構を備え、
少なくとも前記排出シュートの上部側を、底板と前記底板から立ち上がる一対の側板とからなる溝型に形成し、
前記穀粒排出装置に、前記揚送コンベヤの上部から前記排出シュートにわたって前記排出シュートの上部側を上方から覆うカバー体を備え、
前記カバー体を前記揚送コンベヤの上部に上下揺動可能に取り付けた。
この手段によると、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出する場合には、その所定位置に排出シュートが向かうように排出シュートの傾斜角度を変更した後、穀粒タンク内の穀粒を揚送コンベヤによって揚送することにより、その揚送した穀粒を上部の排出口から排出することができ、排出した穀粒を排出シュートによって機体外方の所定位置に流下案内することができる。つまり、揚送コンベヤからの穀粒を横方向に搬送する横オーガ、横オーガを旋回駆動する旋回モータ、及び、横オーガを起伏方向に揺動駆動する油圧シリンダ、などを備えることなく、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出することができる。
又、穀粒の排出を行わずに作業走行や移動走行などを行う場合には、例えば、排出シュートが揚送コンベヤに沿うように排出シュートの傾斜角度を変更することにより、排出シュートの揚送コンベヤから外方への張り出しを抑制することができる。これにより、横オーガを採用した場合に装備する必要があった横オーガを格納位置にて支持するための支持構造を不要にすることができる。
その上、排出シュートの傾斜角度を変更するための排出シュートの上下揺動操作は、操作機構によって、穀粒タンクの前方から行なうことができる。そして、コンバインにおいては、穀粒タンクの前方位置に搭乗運転部を配備することが一般的であることから、排出シュートの上下揺動操作を搭乗運転部から行うことができる。
従って、穀粒排出装置の構成の簡素化、軽量化、及びコストの削減などを図りながら、穀粒タンクに貯留した穀粒の穀粒排出装置による機外の所定位置への排出を、搭乗運転部からの操作によって良好に行うことができる。
この手段によると、排出シュートの上部側などにおいて穀粒の詰まりが生じた場合には、カバー体を外すことにより、詰まった穀粒を排出シュートの開放部分から差し入れた手で排出シュートの下方に向けて容易に掻き流すことができる。
又、排出シュートの上部側などを溝型に形成したことによって生じ易くなる、穀粒が排出口から排出シュートに向けて流動する際に排出シュートの上部から穀粒が飛び出す不都合を、カバー体によって防止することができる。
従って、排出シュートでの穀粒の詰まりに対する対処を簡単かつ迅速に行える上に、排出シュートの上部から穀粒が飛び出すことによる穀粒回収率の低下を防止することができる。
この手段によると、排出シュートの上下揺動操作に伴ってカバー体を排出シュートと同方向に揺動させることができる。これにより、排出シュートの上下揺動操作によって排出シュートとカバー体との間に隙間が形成され、この隙間から穀粒が漏れ出す虞を未然に回避することができる。
従って、排出シュートとカバー体との隙間から穀粒が漏れ出すことによる穀粒回収率の低下を防止することができる。
本発明の課題解決手段の一つとして、穀粒タンクに貯留した穀粒を前記穀粒タンクの後部から機外に排出する穀粒排出装置を備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記穀粒排出装置に、前記穀粒タンクの後方において前記穀粒タンク内の穀粒を揚送して上部の排出口から排出する揚送コンベヤと、前記排出口から排出された穀粒を機体外方に流下案内する排出シュートとを備え、
前記排出シュートを、前記揚送コンベヤの排出口側において、その上部側を支点にした上下揺動による傾斜角度の変更が可能となるように構成し、
前記穀粒タンクの前方からの前記排出シュートの上下揺動操作を可能にする機械連係式の操作機構を備え、
前記排出シュートに、前記排出シュートの穀粒案内方向上手側を構成する上手側シュート部と、前記排出シュートの穀粒案内方向下手側を構成する下手側シュート部とを備え、
前記下手側シュート部を、前記上手側シュート部に対して穀粒案内方向に摺動可能に嵌合し、
前記下手側シュート部の前記上手側シュート部に対する任意の摺動位置での固定保持を可能にするシュート長さ調節用のロック機構を備え、
前記シュート長さ調節用のロック機構を、前記上手側シュート部と前記下手側シュート部とのいずれか一方に、所定間隔をあけて形成した複数の凹部が前記排出シュートの穀粒案内方向に並ぶように配備した鋸刃状の揺動アームと、前記上手側シュート部と前記下手側シュート部とのいずれか他方に、前記複数の凹部と択一的に係合するように配備した係合部とから構成した。
この手段によると、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出する場合には、その所定位置に排出シュートが向かうように排出シュートの傾斜角度を変更した後、穀粒タンク内の穀粒を揚送コンベヤによって揚送することにより、その揚送した穀粒を上部の排出口から排出することができ、排出した穀粒を排出シュートによって機体外方の所定位置に流下案内することができる。つまり、揚送コンベヤからの穀粒を横方向に搬送する横オーガ、横オーガを旋回駆動する旋回モータ、及び、横オーガを起伏方向に揺動駆動する油圧シリンダ、などを備えることなく、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出することができる。
又、穀粒の排出を行わずに作業走行や移動走行などを行う場合には、例えば、排出シュートが揚送コンベヤに沿うように排出シュートの傾斜角度を変更することにより、排出シュートの揚送コンベヤから外方への張り出しを抑制することができる。これにより、横オーガを採用した場合に装備する必要があった横オーガを格納位置にて支持するための支持構造を不要にすることができる。
その上、排出シュートの傾斜角度を変更するための排出シュートの上下揺動操作は、操作機構によって、穀粒タンクの前方から行なうことができる。そして、コンバインにおいては、穀粒タンクの前方位置に搭乗運転部を配備することが一般的であることから、排出シュートの上下揺動操作を搭乗運転部から行うことができる。
従って、穀粒排出装置の構成の簡素化、軽量化、及びコストの削減などを図りながら、穀粒タンクに貯留した穀粒の穀粒排出装置による機外の所定位置への排出を、搭乗運転部からの操作によって良好に行うことができる。
この手段によると、排出シュートの傾斜角度の変更に加えて排出シュートの穀粒排出方向での長さを変更することができる。これにより、穀粒排出位置の調整をより細かく行えるようになり、排出シュートによる穀粒の排出位置を、穀粒排出箇所に対するより適切な位置に容易に設定変更することができる。
従って、排出シュートによる穀粒の排出を穀粒の排出箇所に適した良好な状態で行うことができる。
この手段によると、シュート長さ調節用のロック機構を、鋸刃状の揺動アームと係合部とから簡単かつ安価に構成することができる。
従って、シュート長さ調節用のロック機構の構成の簡素化及びコストの削減などを図ることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記シュート長さ調節用のロック機構に、前記揺動アームを係合付勢する付勢手段を備えた。
この手段によると、付勢手段により、鋸刃状の揺動アームを係合部に対する係合状態に簡単かつ確実に維持することができる。
従って、排出シュートの長さ調節を簡単かつ確実に行うことができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記下手側シュート部を、底板と前記底板から立ち上がる一対の側板とからなる溝型に形成し、
前記下手側シュート部の穀粒案内方向上手側端部に、前記一対の側板にわたってそれらの上部側を連結する上手側連結杆を備え、
前記上手側連結杆が前記係合部を兼ねるように構成した。
この手段によると、排出シュートを溝型に形成することにより、排出シュートにおいて穀粒の詰まりが生じた場合には、その詰まりを目視で早期に発見することが可能になる。又、詰まった穀粒を排出シュートの開放部分から差し入れた手で排出シュートの下方に向けて容易に掻き流すことができる。
そして、排出シュートを溝型に形成したことによって生じ易くなる排出シュートの変形を、上手側連結杆によって抑制することができる。又、この上手側連結杆がシュート長さ調節用のロック機構の係合部を兼ねることにより、シュート長さ調節用のロック機構における部品点数の削減を図ることができる。
従って、排出シュートでの穀粒の詰まりに対する対処を簡単かつ迅速に行える上に、排出シュートの変形を抑制しながら、部品点数の削減による構成の簡素化及びコストの削減などを図ることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記下手側シュート部を、底板と前記底板から立ち上がる一対の側板とからなる溝型に形成し、
前記下手側シュート部の穀粒案内方向下手側端部に、前記一対の側板にわたってそれらの上部側を連結する下手側連結杆を備えた。
この手段によると、排出シュートを溝型に形成することにより、排出シュートにおいて穀粒の詰まりが生じた場合には、その詰まりを目視で早期に発見することが可能になる。又、詰まった穀粒を排出シュートの開放部分から差し入れた手で排出シュートの下方に向けて容易に掻き流すことができる。
そして、排出シュートを溝型に形成したことによって生じ易くなる排出シュートの変形を、下手側連結杆によって抑制することができる。又、上手側シュート部に対して下手側シュート部を摺動させる際には、その下手側連結杆を把持部として利用することができ、これにより、下手側シュート部の摺動操作が行い易くなる。
従って、排出シュートでの穀粒の詰まりに対する対処を簡単かつ迅速に行える上に、排出シュートの変形を抑制しながら、排出シュートの長さを調節する際の操作性を向上させることができる。
本発明の課題解決手段の一つとして、穀粒タンクに貯留した穀粒を前記穀粒タンクの後部から機外に排出する穀粒排出装置を備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記穀粒排出装置に、前記穀粒タンクの後方において前記穀粒タンク内の穀粒を揚送して上部の排出口から排出する揚送コンベヤと、前記排出口から排出された穀粒を機体外方に流下案内する排出シュートとを備え、
前記排出シュートを、前記揚送コンベヤの排出口側において、その上部側を支点にした上下揺動による傾斜角度の変更が可能となるように構成し、
前記穀粒タンクの前方からの前記排出シュートの上下揺動操作を可能にする機械連係式の操作機構を備え、
前記排出シュートに、前記排出シュートの穀粒案内方向上手側を構成する上手側シュート部と、前記排出シュートの穀粒案内方向下手側を構成する下手側シュート部とを備え、
前記下手側シュート部を、前記上手側シュート部に対して穀粒案内方向に摺動可能に嵌合し、
前記下手側シュート部の前記上手側シュート部に対する任意の摺動位置での固定保持を可能にするシュート長さ調節用のロック機構を備え、
前記下手側シュート部を、底板と前記底板から立ち上がる一対の側板とからなる溝型に形成し、
前記下手側シュート部の穀粒案内方向下手側端部に、前記一対の側板にわたってそれらの上部側を連結する下手側連結杆を備えたコンバインの穀粒排出構造。
この手段によると、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出する場合には、その所定位置に排出シュートが向かうように排出シュートの傾斜角度を変更した後、穀粒タンク内の穀粒を揚送コンベヤによって揚送することにより、その揚送した穀粒を上部の排出口から排出することができ、排出した穀粒を排出シュートによって機体外方の所定位置に流下案内することができる。つまり、揚送コンベヤからの穀粒を横方向に搬送する横オーガ、横オーガを旋回駆動する旋回モータ、及び、横オーガを起伏方向に揺動駆動する油圧シリンダ、などを備えることなく、穀粒タンク内の穀粒を機外の所定位置に排出することができる。
又、穀粒の排出を行わずに作業走行や移動走行などを行う場合には、例えば、排出シュートが揚送コンベヤに沿うように排出シュートの傾斜角度を変更することにより、排出シュートの揚送コンベヤから外方への張り出しを抑制することができる。これにより、横オーガを採用した場合に装備する必要があった横オーガを格納位置にて支持するための支持構造を不要にすることができる。
その上、排出シュートの傾斜角度を変更するための排出シュートの上下揺動操作は、操作機構によって、穀粒タンクの前方から行なうことができる。そして、コンバインにおいては、穀粒タンクの前方位置に搭乗運転部を配備することが一般的であることから、排出シュートの上下揺動操作を搭乗運転部から行うことができる。
従って、穀粒排出装置の構成の簡素化、軽量化、及びコストの削減などを図りながら、穀粒タンクに貯留した穀粒の穀粒排出装置による機外の所定位置への排出を、搭乗運転部からの操作によって良好に行うことができる。
この手段によると、排出シュートの傾斜角度の変更に加えて排出シュートの穀粒排出方向での長さを変更することができる。これにより、穀粒排出位置の調整をより細かく行えるようになり、排出シュートによる穀粒の排出位置を、穀粒排出箇所に対するより適切な位置に容易に設定変更することができる。
従って、排出シュートによる穀粒の排出を穀粒の排出箇所に適した良好な状態で行うことができる。
この手段によると、排出シュートを溝型に形成することにより、排出シュートにおいて穀粒の詰まりが生じた場合には、その詰まりを目視で早期に発見することが可能になる。又、詰まった穀粒を排出シュートの開放部分から差し入れた手で排出シュートの下方に向けて容易に掻き流すことができる。
そして、排出シュートを溝型に形成したことによって生じ易くなる排出シュートの変形を、下手側連結杆によって抑制することができる。又、上手側シュート部に対して下手側シュート部を摺動させる際には、その下手側連結杆を把持部として利用することができ、これにより、下手側シュート部の摺動操作が行い易くなる。
従って、排出シュートでの穀粒の詰まりに対する対処を簡単かつ迅速に行える上に、排出シュートの変形を抑制しながら、排出シュートの長さを調節する際の操作性を向上させることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記穀粒タンクの後方に備えた縦向きの軸心を支点にして、前記穀粒タンクが脱穀装置に隣接する作業位置と前記脱穀装置から機体横外方に離れるメンテナンス位置とにわたって揺動し、かつ、前記揚送コンベヤ及び前記排出シュートが前記穀粒タンクと一体で動くように構成した。
この手段によると、穀粒タンクをメンテナンス位置に揺動させることにより、作業位置では隣接していた脱穀装置と穀粒タンクとの間に広い空間を確保することができる。これにより、脱穀装置及び穀粒タンクなどに対するメンテナンスが行い易くなる。
又、穀粒タンクを揺動させる際には揚送コンベヤ及び排出シュートが穀粒タンクと一体で動くことから、穀粒タンクを揺動させる際に、穀粒タンクに対して揚送コンベヤ又は排出シュートを分離させる必要がなく、又、穀粒タンクの揺動で穀粒タンクが揚送コンベヤ又は排出シュートに接触する虞を未然に回避することができる。
従って、穀粒タンクが揚送コンベヤ又は排出シュートに接触して損傷する不都合の発生を防止しながら、穀粒タンクを作業位置とメンテナンス位置とにわたって揺動させる際の操作性の向上を図ることができ、脱穀装置及び穀粒タンクなどに対するメンテナンス性を向上させることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記排出シュートを、前記揚送コンベヤの前記排出口の下方に配備し、
前記揚送コンベヤに、前記排出口からの穀粒を前記排出シュートに案内する排出ガイドを備え、
前記排出ガイドを、その前記排出シュートに対する開口部の開口面積を変更可能に構成した。
この手段によると、揚送コンベヤの排出口から排出される穀粒を、排出ガイドによって、排出口の下方に配備した排出シュートに確実に案内することができる。
又、穀粒タンクから搬出される穀粒の濡れ具合などに応じて排出ガイドにおける開口部の開口面積を変更することができる。これにより、例えば、穀粒タンクの穀粒が濡れ気味であるほど、開口部の開口面積を大きくすることにより、穀粒の濡れに起因して、排出ガイドの開口部において穀粒がブリッジ状に堆積して穀粒の排出を阻害する不都合の発生を防止することができる。
従って、穀粒タンクの穀粒を排出する際の作業効率の向上を図ることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記排出ガイドに、前記揚送コンベヤに固定した固定部と、前記固定部に前記揚送コンベヤの穀粒排出方向に位置変更可能に外嵌連結した可動部とを備え、前記排出ガイドを、前記固定部に対する前記可動部の連結位置の変更により前記開口部の開口面積を変更するように構成した。
この手段によると、固定部に対する可動部の連結位置を穀粒排出方向に変更するだけの簡単な操作によって、穀粒の濡れ具合などに応じて開口部の開口面積を変更することができる。
従って、開口部の開口面積を変更する際に要する手間の軽減を図りながら、穀粒の濡れに起因して、排出ガイドの開口部において穀粒がブリッジ状に堆積して穀粒の排出を阻害する不都合の発生を防止することができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記排出ガイドに、前記揚送コンベヤに固定した固定部と、前記固定部に前記揚送コンベヤの穀粒排出方向に揺動可能に外嵌連結した可動部とを備え、前記排出ガイドを、前記排出口から穀粒を排出する排出状態においては、前記可動部が前記排出口からの穀粒の押圧を受けて揺動することにより前記開口部の開口面積が前記排出口からの穀粒排出量に応じて変化し、前記排出口から穀粒を排出しない排出停止状態においては、前記可動部が前記排出口からの穀粒の押圧を受けないことにより前記開口部の開口面積が最小になるように構成した。
この手段によると、可動部が排出口からの穀粒の押圧を受けて揺動することにより、開口部の開口面積を自動的に変更することができる。
従って、開口部の開口面積を変更する手間を要することなく、穀粒の濡れに起因して、排出ガイドの開口部において穀粒がブリッジ状に堆積して穀粒の排出を阻害する不都合の発生を防止することができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記排出ガイドに、前記開口部の開口面積を狭める方向に前記可動部を揺動付勢する付勢手段を備えた。
この手段によると、可動部が排出口からの穀粒の押圧を受けて、開口部の開口面積が不必要に大きくなることを防止することができる。
従って、開口部の開口面積が不必要に大きくなることに起因した開口部からの穀粒の漏れ出しを阻止することができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記開口部の開口面積を最小にした状態においては前記可動部が機体の外方に食み出さないように構成した。
この手段によると、穀粒タンクからの穀粒の排出を行わない場合には、開口部の開口面積を最小にすることにより、作業走行や移動走行などにおいて、排出ガイドが他物に接触して損傷する不都合の発生を防止することができる。
〔第1実施形態〕
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るコンバインの穀粒排出構造を、コンバインの一例である自脱型コンバインに適用した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜3に示すように、本実施形態で例示する自脱型コンバインは、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して機体フレーム1を構成している。機体フレーム1の下部には左右一対のクローラ2を装備している。機体フレーム1における右半部の前側には、エンジン3を搭載するとともに搭乗運転部4を形成している。機体フレーム1における左側の前端部には、作業走行時に機体の前方に位置する収穫対象の作物穀稈を刈り取って後方に搬送する刈取搬送装置5を、左右向きの支軸(図示せず)を支点にした昇降揺動操作が可能となるように連結装備している。機体フレーム1の左半部には、刈取搬送装置5が搬送した刈取穀稈を受け取って後方に搬送しながら刈取穀稈の着粒部に脱穀処理を施し、この脱穀処理で得た処理物に選別処理を施す脱穀装置6を搭載している。脱穀装置6における上側の後部には、脱穀処理後の脱粒穀稈を脱穀装置6の挟持搬送機構7から受け取って脱穀装置6の上部後方に搬送する脱粒穀稈搬送装置8を配備している。脱穀装置6における下側の後端部には、脱粒穀稈搬送装置8が搬送した脱粒穀稈の細断排出を可能にする細断装置9を連結装備している。機体フレーム1における右半部の後側には、脱穀装置6からスクリュ揚送式の供給コンベヤ10を介して揚送搬出した穀粒を貯留する板金製の穀粒タンク11を搭載している。穀粒タンク11には、穀粒タンク11に貯留した穀粒の機外への排出を可能にする穀粒排出装置12を装備している。
図4に示すように、細断装置9は、機体フレーム1の右後端部に立設した第1支柱13に、この第1支柱13に備えた上下一対の縦向きの支軸14を介して、それらの支軸14を支点にした横方向への揺動操作が可能となるように連結している。これにより、脱粒穀稈搬送装置8が搬送した脱粒穀稈の細断排出が可能となるように脱粒穀稈搬送装置8の下方に位置して脱穀装置6の後端に連接する作業位置と、その遊端側ほど脱穀装置6の後端から穀粒タンク側に大きく離れて脱穀装置6の後端との間を大きく開放するメンテナンス位置とにわたる、縦軸心回りの揺動操作が可能となるように構成している。
図示は省略するが、脱穀装置6の左後端部と細断装置9の遊端部には、細断装置9の作業位置での固定保持を可能にするロック機構の構成部品をそれぞれ装備している。又、第1支柱13には、細断装置9の当接により、細断装置9の所定のメンテナンス位置から穀粒タンク側への揺動を阻止するストッパを装備している。
図1〜7及び図13に示すように、穀粒タンク11は、その左上端部の前後中間位置に、供給コンベヤ10の上端部に形成した穀粒排出口10Aに連通する穀粒受入口11Aを形成している。又、その左右の側板11B,11Cの下部側に、穀粒タンク11に貯留した穀粒を左右中央側の底部に形成した穀粒搬出部11Dに流下案内する傾斜部11Ba,11Caを備えている。そして、その穀粒搬出部11Dの後端に、穀粒タンク11に貯留した穀粒の穀粒タンク外への取り出しを可能にする穀粒取出口11Eを形成している。
図1〜10に示すように、穀粒排出装置12は、穀粒搬出部11Dに位置して穀粒タンク内の穀粒を穀粒取出口11Eからタンク外に搬出する搬出スクリュ15、搬出スクリュ15が搬出した穀粒を揚送して上部の排出口16Aから排出する揚送コンベヤ16、及び、その排出口16Aから排出された穀粒を機体の右外方に流下案内する排出シュート17、などを備えて構成している。
搬出スクリュ15は、そのスクリュ軸15Aの前端部が穀粒タンク11の前端から前方に突出する状態となり、かつ、搬出スクリュ15の後端部が、穀粒タンク11の穀粒取出口11Eを通って、穀粒タンク11の底部後端に連接した穀粒排出ケース18の内部に位置する状態となるように、穀粒タンク11の穀粒搬出部11Dに前後向きに配備している。そして、スクリュ軸15Aの前端部には、エンジン3から穀粒排出装置12への伝動を断続するベルトテンション式の排出クラッチ19を連結している。スクリュ軸15Aの後端部には、ベベルギア(図示せず)を搬出スクリュ15と一体回転する状態で連結している。
揚送コンベヤ16は、穀粒排出ケース18の上端部に上下向きに連通接続した円筒状のコンベヤケース21、コンベヤケース21の上端に形成した開口21Aを閉塞する蓋体22、及び、コンベヤケース21の内部に回転可能に備えた揚送スクリュ23、などによってスクリュ搬送式に構成するとともに、穀粒タンク11の後部に穀粒排出ケース18を介して連接装備している。
揚送スクリュ23は、その下端部がコンベヤケース21から下方に延出して穀粒排出ケース18の内部に位置するように構成している。そして、そのスクリュ軸23Aの下端部には、搬出スクリュ15のスクリュ軸15Aに連結したベベルギアと噛み合い連動するベベルギア(図示せず)を揚送スクリュ23と一体回転する状態に連結している。揚送スクリュ23の上部には、揚送スクリュ23と一体回転することにより、揚送スクリュ23が揚送コンベヤ16の上部まで揚送した穀粒を排出口16Aから水平方向に放擲する放擲板23Bを装備している。
穀粒排出ケース18は、2つのベベルギアを噛み合い連動可能に支持した状態で収納するギア収納空間と、穀粒タンク11の内部とコンベヤケース21の内部とを穀粒の搬出が可能な状態に連通する連通空間とを備えたL字型に形成している。
コンベヤケース21の上部には、その上部の右側部分に形成した排出口16Aから放出された穀粒を、コンベヤケース21の右外側下方に向けて案内する排出ガイド27を着脱可能にボルト連結している。そして、コンベヤケース21における排出ガイド27の真下位置に、排出ガイド27が案内した穀粒を機体の右外方に流下案内するように排出シュート17を配備している。
上記の構成から、穀粒排出装置12は、排出クラッチ19の断続操作によって作動状態と停止状態とに切り換えることができる。そして、作動状態では、排出クラッチ19を介したエンジン3からの動力によって搬出スクリュ15が回転し、搬出スクリュ15と揚送スクリュ23とがベベルギアを介して連動する。これにより、穀粒タンク11に貯留した穀粒を搬出スクリュ15によって穀粒取出口11Eから搬出して穀粒排出ケース18の連通空間に送り込むことができる。又、その連通空間に送り込んだ穀粒を揚送スクリュ23によって揚送コンベヤ16の上部に揚送することができ、その上部に揚送した穀粒を放擲板23Bによって排出口16Aから水平方向に放擲することができる。そして、放擲した穀粒を排出ガイド27によって下方の排出シュート17に向けて案内することができ、その案内された穀粒を排出シュート17によって機体の右外側下方に位置するトラックの荷台などの所定の穀粒排出箇所に流下案内することができる。
つまり、穀粒タンク11に貯留した穀粒を、排出シュート17を備える簡単で安価な構成の穀粒排出装置12によって機体右外側下方の穀粒排出箇所に良好に排出することができる。
図9及び図10に示すように、コンベヤケース21は、その上部における排出口16Aを形成しない左側部分の内面に、その左側部分における放擲板23Bの放擲作用を受けた穀粒との摺接による摩耗を抑制する補強板38を接合装備している。補強板38は、強度の高い高張力鋼又は超高張力鋼などを採用して、コンベヤケース21の内面に沿った半円弧状で、排出口16Aに対向する上側領域と揚送スクリュ23における上側のスクリュ羽根の1ピッチ分に重合する下側領域とを備える縦長に形成している。そして、複数の皿ビス39により着脱可能にコンベヤケース21の内面に取り付けている。又、補強板38の各皿ビス挿通孔38aには、皿ビス39の頭部側端面が補強板38の内面よりも揚送スクリュ23から離れるように、皿ビス39の頭部を補強板38に沈み込ませる皿ザグリ38bを形成している。
これにより、放擲板23Bの放擲作用を受けた穀粒との摺接による摩耗に対するコンベヤケース21の耐久性を向上させることができる。又、補強板38に摩耗が生じた場合には補強板38を簡単に交換することができる。その上、穀粒との摺接による各皿ビス頭部の摩耗を効果的に抑制することができ、皿ビス頭部の摩耗に起因して補強板38の交換が困難になる不都合の発生を防止することができる。
ちなみに、コンベヤケース21における上部の補強構造としては、コンベヤケース21の上部における左側部分の内面又は外面に、補強板38を、溶接によって接合装備するようにしてもよい。又、コンベヤケース21の上部における左側部分の外面に、補強板38を、着脱可能に接合装備するようにしてもよい。
図1〜3、図6、図7、図9及び図10に示すように、揚送コンベヤ16は、その上端が穀粒タンク11の上端よりも上方に位置するように構成している。そして、その上端に備えた蓋体22をコンベヤケース21の上端に着脱可能にボルト連結している。又、その蓋体22の裏面に、揚送スクリュ23のスクリュ軸23Aの上端部を抜き差し可能な状態で相対回転可能に支持する軸支部22Aを備えている。更に、スクリュ軸23Aの下端部とベベルギアとの連結を、それらの一体回転を可能にしながらベベルギアに対するスクリュ軸23Aの上方からの係脱を許容する嵌合(例えばスプライン嵌合)で行うように構成している。穀粒排出ケース18の上端部には、揚送スクリュ23の下端部を受け止め支持する支持部(図示せず)を備えている。
上記の構成から、搬出スクリュ15と揚送スクリュ23とをベベルギアを介して連動連結する構造を採用しながらも、コンベヤケース21の上端から蓋体22を取り外すことにより、揚送スクリュ23の真上に位置する開口21Aを開放することができる。そして、この開口21Aから揚送スクリュ23を引き上げることにより、スクリュ軸23Aの下端部とベベルギアとの嵌合を解除することができ、コンベヤケース21から揚送スクリュ23を抜き出すことができる。これにより、コンベヤケース21や揚送スクリュ23に対する清掃、揚送スクリュ23の交換、あるいは、前述した補強板38の交換、などのメンテナンスを行い易くすることができる。
又、メンテナンス後は、開口21Aから揚送スクリュ23を挿入してスクリュ軸23Aの下端部をベベルギアに嵌合することにより、揚送スクリュ23を搬出スクリュ15に連動連結することができる。その後、スクリュ軸23Aの上端部に蓋体22の軸支部22Aを嵌合し、蓋体22をコンベヤケース21の上端にボルト連結することにより、コンベヤケース21の内部に揚送スクリュ23を駆動可能な適正状態で配備することができる。
その上、揚送コンベヤ16の上端が穀粒タンク11の上端よりも上方に位置することにより、コンベヤケース21に対して揚送スクリュ23を抜き差しする際に揚送スクリュ23が穀粒タンク11の上部に不測に接触して揚送スクリュ23及び穀粒タンク11が損傷する不都合を招き難くすることができる。
図1〜12に示すように、穀粒排出ケース18の底部には、揚送スクリュ23の回転中心と同心上に位置する状態で底部から下方に向けて延出する円筒状の支軸部18Aを一体形成している。支軸部18Aは、機体フレーム1の右後端部に備えた軸支部1Aに相対回転可能に内嵌した状態で、その軸支部1Aによって下方から受け止め支持されている。
穀粒排出ケース18及びコンベヤケース21は、穀粒排出ケース18の上部において左右向きに突出形成した左右の第1連結部18Bと、コンベヤケース21の下部において穀粒排出ケース18の各第1連結部18Bと対向する状態に配備した左右の第2連結部21Dとをボルト連結することにより、穀粒排出ケース18とコンベヤケース21とを、穀粒排出ケース18からのコンベヤケース21の抜け出しを阻止した連通接続状態で相対回転不能に連結することができる。
コンベヤケース21の各第2連結部21Dは、コンベヤケース21の下端部において左右向きに突設した左右一対の第1板体21Daと、各第1板体21Daの延出端に垂下姿勢で溶接した第2板体21Dbとから構成している。
コンベヤケース21は、その上下中間側の所定位置を、機体フレーム1の右後端部に立設した第2支柱24に、この第2支柱24の上端部に備えたホルダ25を介して、揚送スクリュ23のスクリュ軸23Aを支点にした相対回転が可能な状態で連結している。コンベヤケース21の上部は、穀粒タンク11に固定具26を介して相対回転不能に連結している。コンベヤケース21の下端部は、穀粒タンク11に連結した穀粒排出ケース18に上下方向での抜き差しが可能となるように連結している。
上記の構成から、穀粒排出装置12の揚送コンベヤ16を、揚送スクリュ23の回転中心と穀粒排出ケース18の支軸部18Aの中心とを通る縦向きの軸心Xを支点にした回動が可能な状態で機体フレーム1に立設することができ、その揚送コンベヤ16を支点にして穀粒タンク11と穀粒排出装置12とを一体揺動させることができる。
これにより、穀粒タンク11を、その後方に備えた縦向きの軸心X(揚送コンベヤ16)を支点にして、脱穀装置6の右側端に隣接して供給コンベヤ10の穀粒排出口10Aと穀粒タンク11の穀粒受入口11Aとが連通接合する作業位置と、供給コンベヤ10の穀粒排出口10Aと穀粒タンク11の穀粒受入口11Aとの連通接合を解除して脱穀装置6から機体の右外方に離れるメンテナンス位置とにわたって揺動変位させることができる(図2参照)。そして、穀粒タンク11をメンテナンス位置に揺動変位させることにより、作業位置では隣接していた脱穀装置6と穀粒タンク11との間に広い空間を確保しながら脱穀装置6の右側部及び穀粒タンク11の左側部などを開放することができる。その結果、脱穀装置6及び穀粒タンク11などに対するメンテナンスを行い易くすることができる。
図示は省略するが、穀粒タンク11は、第1ロック機構及び第2ロック機構による作業位置での固定保持が可能となるように構成している。第1ロック機構は、機体フレーム1の所定位置に穿設した係合孔、及び、この係合孔に対する係合方向にバネ付勢した状態で穀粒タンク11の前下部に備えた下向きL字型の係合ピン、などによって穀粒タンク11の下部側に対して作用するように構成している。第2ロック機構は、脱穀装置6の前上部に備えた係止ピン、及び、穀粒タンク11の前上部に揺動可能に備えた係合フック、などによって穀粒タンク11の上部側に対して作用するように構成している。係合フックは、穀粒タンク11の前下部に備えたロック解除レバーに連係ロッドを介して連係している。
図1、図2及び図6に示すように、排出クラッチ19は、その伝動ベルト19Aをテンションアーム19Bの揺動操作によって緊張状態と弛緩状態とに切り換えることにより、エンジン3からの動力を穀粒排出装置12に伝達する伝動状態と、その伝動を遮断する遮断状態とに切り換わるように構成している。テンションアーム19Bは、搭乗運転部4において運転座席35の左後方箇所に配備した排出クラッチレバー36に連係機構37を介して連係している。
上記の構成から、穀粒タンク11をメンテナンス位置に揺動操作する際には、排出クラッチレバー36を操作して排出クラッチ19を遮断状態に切り換え、この切り換えで弛緩した伝動ベルト19Aを、スクリュ軸15Aと一体回転する排出クラッチ19の出力プーリ19Cから外した後、第1ロック機構及び第2ロック機構による穀粒タンク11の作業位置での固定保持を解除することにより、穀粒タンク11のメンテナンス位置への揺動操作を可能にすることができる。
図4及び図5に示すように、第2支柱24には、穀粒タンク11の機体右外方への揺動操作時に、コンベヤケース21の右側部(機体外側部分)に配備した第2連結部21Dの第1板体21Daとの当接により、穀粒タンク11の機体右外方への揺動範囲を制限する鋼板製のストッパ20を上下向きに装備している。
又、揚送コンベヤ16と第2支柱24とにわたって、穀粒タンク11の第1メンテナンス位置及び第2メンテナンス位置での位置保持を可能にする保持機構60を装備している。第1メンテナンス位置は、穀粒タンク11の脱穀装置6からの離間距離が最大になる位置に設定している。つまり、揚送コンベヤ16の右側部に備えた第2連結部21Dの第2板体21Dbがストッパ20に当接したときに得られる穀粒タンク11の位置を第1メンテナンス位置に設定している。第2メンテナンス位置は、所定のメンテナンス位置に揺動操作した細断装置9と排出シュート17との干渉を避けるために、穀粒タンク11の脱穀装置6からの離間距離が第1メンテナンス位置よりも短い距離になるように設定している。
保持機構60は、上下向きの挿通孔61aを形成するボス61Aを備えた第1部材61、揚送コンベヤ16を支点にした穀粒タンク11の揺動操作によって第1部材61の挿通孔61aに対向する第1挿通孔62aと第2挿通孔62bとを穿設した第2部材62、及び、第1部材61と第2部材62との対向した挿通孔61a,62a,62bに挿通する挿通ピン63、などにより構成している。
第1部材61は、穀粒排出ケース18に対してコンベヤケース21を抜け止めするための穀粒排出ケース側の左右の第1連結部18Bとコンベヤケース側の左右の第2連結部21Dとのボルト連結とともに揚送コンベヤ16にボルト連結することにより、揚送コンベヤ16に装備している。第2部材62は、前述したストッパ20の上端部から右方向に延出する状態でストッパ20に一体形成している。そして、揚送コンベヤ16の右側部に備えた第2連結部21Dの第2板体21Dbがストッパ20に当接した状態では、第1部材61の挿通孔61aが第2部材62の第1挿通孔62aに対向するように構成している。
上記の構成から、例えば、脱穀装置6の穀粒タンク側や穀粒タンク11などに対するメンテナンスを行う必要があり、かつ、脱穀装置6の細断装置側や細断装置9などに対するメンテナンスを行う必要がない場合には、保持機構60によって穀粒タンク11を第1メンテナンス位置に位置保持することにより、脱穀装置6と穀粒タンク11との間を最大限に大きく開放した状態を維持することができ、脱穀装置6の穀粒タンク側や穀粒タンク11などに対するメンテナンスを行い易くすることができる。
又、脱穀装置6の穀粒タンク側や穀粒タンク11などに対するメンテナンスとともに、脱穀装置6の細断装置側や細断装置9などに対するメンテナンスを行う必要がある場合には、穀粒タンク11を第2メンテナンス位置に位置保持することにより、脱穀装置6の穀粒タンク側や穀粒タンク11などに対するメンテナンスを行うことができるとともに、脱穀装置6の細断装置側や細断装置9などに対するメンテナンスを行うために、細断装置9をメンテナンス位置に揺動変位させた際に、穀粒タンク側の排出シュート17に細断装置9が接触する虞を未然に回避することができる。
図7、図9及び図10に示すように、揚送コンベヤ16の排出口16Aは、コンベヤケース21の上部に備えた枠部材21Bによって、コンベヤケース21の直径と同幅で縦長の矩形状に形成している。又、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において機体の真右方向を向くように設定している。そして、この枠部材21Bに、排出口16Aからの穀粒を排出シュート17に案内する排出ガイド27を、枠部材21Bに排出ガイド27を外嵌した状態で着脱可能にボルト連結している。
排出ガイド27は、コンベヤケース21の枠部材21Bにボルト連結した固定部28、及び、固定部28に揚送コンベヤ16の穀粒排出方向に位置変更可能に外嵌連結した可動部29、などにより構成している。固定部28は、その前後の各側板部分に上下一対の螺合部28aを備えている。可動部29は、その前後の各側板部分に螺合部28aに対応する左右向きの長孔29aを形成している。そして、それらの螺合部28a及び長孔29aを使用した蝶ボルト30によるボルト連結により、長孔29aの範囲内において固定部28に対する可動部29の連結位置を変更することができ、排出ガイド27における開口部27Aの開口面積を変更することができるように構成している。
各螺合部28aは、固定部28の前後の各側板部分に上下一対ずつ穿設したボルト挿通孔、及び、各ボルト挿通孔に対応させた状態で固定部28の内面側に溶接したナットによって構成している。
これにより、穀粒タンク11から搬出される穀粒の濡れ具合などに応じて排出ガイド27における開口部27Aの開口面積を変更することができる。そして、例えば、穀粒タンク11の穀粒が濡れ気味であるほど、開口部27Aの開口面積が大きくなるように固定部28に対する可動部29の連結位置を変更することにより、穀粒の濡れに起因して、排出ガイド27の開口部27Aにおいて穀粒がブリッジ状に堆積して穀粒の排出を阻害する不都合の発生を防止することができる。
図11に示すように、排出ガイド27としては、コンベヤケース21の枠部材21Bにボルト連結した固定部31、固定部28に蝶番32を介して揚送コンベヤ16の穀粒排出方向に揺動可能に外嵌連結した可動部33、及び、開口部27Aの開口面積を狭める方向に可動部33を揺動付勢する付勢手段34としての引っ張りバネ34、などを備えて、揚送コンベヤ16の排出口16Aから穀粒を排出する排出状態においては、可動部33が排出口16Aからの穀粒の押圧を受けて揺動することにより、開口部27Aの開口面積が排出口16Aからの穀粒排出量に応じて変化し、又、排出口16Aから穀粒を排出しない排出停止状態においては、可動部33が排出口16Aからの穀粒の押圧を受けないことにより、開口部27Aの開口面積が最小になるように構成したものであってもよい。
図2、図3及び図7に示すように、排出ガイド27は、前述した摺動式と揺動式とにかかわらず、その開口部27Aの開口面積を最小にした状態においては、可動部29,33が機体の右端部から右外方に食み出さないように構成している。つまり、摺動式の排出ガイド27においては、穀粒タンク11の穀粒を排出しない走行時には、開口部27Aの開口面積が最小になるように固定部28に対する可動部29の連結位置を変更することにより、又、揺動式の排出ガイド27においては、穀粒タンク11の穀粒を排出しない走行時には、引っ張りバネ34の作用によって開口部27Aの開口面積が最小になることにより、走行時に排出ガイド27が他物に接触する不都合を招き難くすることができる。
図6〜10に示すように、コンベヤケース21は、枠部材21Bの真下位置に円弧状の補強板21Eを介して排出シュート用の支持部材21Cを溶接装備している。そして、この支持部材21Cに、排出シュート17の基端部である穀粒案内方向上手側の端部を、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において前後向きになる横向きの支軸40を介して、この支軸40を支点にした排出シュート17の上下揺動が可能となるように連結している。
このように、コンベヤケース21における排出シュート17の支持部を補強板21Eによって補強したことにより、排出シュート17を他物に接触させた場合にコンベヤケース21が変形する不都合の発生を防止することができる。これにより、コンベヤケース21の変形により、コンベヤケース21や揚送コンベヤ16の全体を交換する必要が生じる虞を効果的に抑制することができる。
図1〜4及び図6〜12に示すように、排出シュート17は、排出シュート17の穀粒案内方向上手側を構成する上手側シュート部17Aと、排出シュート17の穀粒案内方向下手側を構成する下手側シュート部17Bとを備えている。各シュート部17A,17Bは、底板17aと底板17aから平行に立ち上がる一対の側板17bとを備える溝型で、かつ、上手側シュート部17Aに対して下手側シュート部17Bが穀粒案内方向に摺動可能な内接状態で嵌合するように構成している。
上手側シュート部17Aは、揚送コンベヤ16の排出口側である右側部に、その右側部に底板17aが面する右向き姿勢で、横向きの支軸40を支点にした上下揺動が可能な状態で配備している。又、その一対の側板17bの上端部を内側に屈曲させることにより、下手側シュート部17Bの一対の側板17bを穀粒案内方向に摺動案内する一対の案内溝17cを形成している。下手側シュート部17Bは、その穀粒案内方向の上手側端部と下手側端部とに、一対の側板17bにわたってそれらの上部側を連結する保形用の上手側連結杆17dと下手側連結杆17eとを備えている。そして、下手側連結杆17eは、上手側シュート部17Aに対して下手側シュート部17Bを摺動させる際の把持部として使用することができるようになっている。
排出シュート17には、上手側シュート部17Aに対して下手側シュート部17Bを任意の摺動位置に固定保持するシュート長さ調節用のロック機構90を備えている。ロック機構90は、上手側シュート部17Aの前側の側板17bにおける穀粒案内方向上手側端部に、前後向きの支軸91を介して揺動可能に連結した揺動アーム92を備えている。揺動アーム92は、排出シュート17の底板17aに対向する端縁に、複数の凹部92aを、排出シュート17の穀粒案内方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えた鋸刃状に形成している。そして、それらの凹部92aが択一的に下手側シュート部17Bの上手側連結杆17dに係合することにより、下手側シュート部17Bを上手側シュート部17Aに対する任意の摺動位置に固定保持するように構成している。
支軸91には、揺動アーム92を下手側シュート部17Bの上手側連結杆17dに向けて係合付勢する付勢手段93としての捻りバネ93を外嵌装備している。揺動アーム92の遊端には、捻りバネ93の付勢に抗した揺動アーム92の係合解除方向への揺動操作を行い易くするL字状の操作杆92Aを溶接している。揺動アーム92の各凹部92aは、穀粒案内方向下手側の縁部により下手側シュート部17Bの上手側連結杆17dを受け止め、穀粒案内方向上手側の傾斜縁部により、凹部92aからの上手側連結杆17dの上方への離脱を許容する形状に形成している。
つまり、下手側シュート部17Bの上手側連結杆17d、鋸刃状の揺動アーム92、及び捻りバネ93、などにより、シュート長さ調節用のロック機構90を構成している。又、下手側シュート部17Bの上手側連結杆17dが、揺動アーム92に形成した複数の凹部92aと択一的に係合する係合部を兼ねるように構成している。
そして、上記の構成から、排出シュート17の長さを長くする場合には、先ず、下手側シュート部17Bの下手側連結杆17eと揺動アーム92の操作杆92Aとを把持し、捻りバネ93の付勢に抗して揺動アーム92を係合解除方向に揺動させて、下手側シュート部17Bの上手側連結杆17dと揺動アーム92の凹部92aとの係合を解除する。次に、上手側シュート部17Aに対して下手側シュート部17Bを任意の摺動位置まで穀粒案内方向下手側に摺動させた後、捻りバネ93の付勢によって、そのときの摺動位置に対応する揺動アーム92の凹部92aを下手側シュート部17Bの上手側連結杆17dに係合させる。
逆に、排出シュート17の長さを短くする場合には、下手側シュート部17Bの下手側連結杆17eを把持して、捻りバネ93の付勢に抗して、上手側シュート部17Aに対して下手側シュート部17Bを任意の摺動位置まで穀粒案内方向上手側に摺動させた後、捻りバネ93の付勢によって、そのときの摺動位置に対応する揺動アーム92の凹部92aを下手側シュート部17Bの上手側連結杆17dに係合させる。
これにより、排出シュート17の長さを任意の長さに簡単に調節することができる。
尚、上手側シュート部17Aにおける揺動アーム92の支持部には補強板17fを溶接している。そして、この補強板17fが、下手側シュート部17Bとの当接により、上手側シュート部17Aに対する下手側シュート部17Bの穀粒案内方向上手側への摺動を制限するストッパとして機能するように構成している。
図1〜3、図6、図7、図9及び図10に示すように、穀粒排出装置12は、揚送コンベヤ16の上部から排出シュート17にわたって排出シュート17の穀粒案内方向上手側である上部側を上方から覆うカバー体51を開閉可能に備えている。カバー体51は、板金製でU字状に屈曲形成した保形部材51Aに、透明で可撓性を有する樹脂シート51Bの一側縁部をボルト止めして構成している。そして、排出ガイド27に左右一対の蝶番52を介して上下揺動可能に連結し、かつ、排出ガイド27と保形部材51Aとにわたってトグルバネ53を架設することにより、排出シュート17の上下揺動を許容するとともに、排出シュート17の上部側を上方から覆う閉状態と、排出シュート17の上部側を開放する開状態とに切り換え保持可能に構成している。
上記の構成から、カバー体51を軽量で安価に構成しながらも、排出シュート17の穀粒案内方向上手側での穀粒の漏れ出しを防止することができる。又、カバー体51の開閉状態にかかわらず、排出シュート17の穀粒案内方向上手側での穀粒の流動状態を容易に視認することができる。これにより、排出シュート17の穀粒案内方向上手側において穀粒の詰まりが生じた場合には、カバー体51を開状態に切り換え保持することにより、穀粒の詰まりに対する適切な処置を容易に行うことができる。
尚、カバー体51としては、板金材などを採用して剛性を有するように構成したものであってもよい。
図3及び図6〜10に示すように、穀粒排出装置12には、支軸40を支点にして上下揺動する排出シュート17を任意の傾斜角度に固定保持するシュート角度調節用のロック機構41を備えている。ロック機構41は、排出シュート17における上手側シュート部17Aの底板17aに排出シュート17の穀粒案内方向に沿って上下向きに装備した受止部材42、揚送コンベヤ16のコンベヤケース21に排出シュート17と同方向に上下揺動可能に装備した突っ張り部材43、及び、突っ張り部材43を受止部材42が位置する上方に揺動付勢する付勢手段44としての捻りバネ44によって構成している。
受止部材42には、排出シュート17の穀粒案内方向に所定間隔をあけた傾斜角度設定用の3つの被係合部としての凹部42a〜42cを備えた案内溝42Aを排出シュート17の穀粒案内方向に沿って上下向きに形成している。突っ張り部材43は、その遊端部に受止部材42の各凹部42a〜42cに択一的に係入する係合部43aを屈曲形成している。そして、突っ張り部材43の操作と捩りバネ44の作用によって、突っ張り部材43の係合部43aが受止部材42の各凹部42a〜42cに択一的に係入することにより、その係入状態を維持して排出シュート17を任意の傾斜角度で受け止め支持するように構成している。
穀粒排出装置12は、排出シュート17を揚送コンベヤ16に沿う垂下姿勢で揚送コンベヤ16に最接近させた格納位置に保持する保持機構48を備えている。保持機構48は、コンベヤケース21の前部側に横向きに備えた筒状の係合部49、及び、排出シュート17における上手側シュート部17Aの底板17aに備えた弾性変形可能な挟持具50によって、排出シュート17の格納位置への到達に伴って係合部49に挟持具50が挟持嵌合することにより、ロック機構41に備えた捩りバネ44などの作用に抗した排出シュート17の格納位置での固定保持が可能となるように構成している。そして、排出シュート17は、格納位置に位置させた状態では機体の右端部から右外方に食み出さないように構成している。
上記の構成から、排出シュート17の傾斜角度を、保持機構48により排出シュート17を格納位置に保持した格納用の第1角度と、突っ張り部材43の係合部43aを受止部材42における最下位の凹部42aに係入して排出シュート17の排出位置を機体に最も接近させた穀粒排出用の第2角度と、突っ張り部材43の係合部43aを受止部材42における上下中間位置の凹部42bに係入して排出シュート17の排出位置を第2角度よりも機体から右外方に離間させた穀粒排出用の第3角度と、突っ張り部材43の係合部43aを受止部材42における最上位の凹部42cに係入して排出シュート17の排出位置を機体から最も離間させた穀粒排出用の第4角度との4段階に変更することができる。
つまり、排出シュート17の穀粒排出方向での長さ調節に加えて排出シュート17の傾斜角度を変更することにより、排出シュート17の高さ方向での排出位置の変更をより細かく行える上に、排出シュート17の機体横方向での排出位置の変更が可能になることから、排出シュート17の排出位置を穀粒の排出箇所に対するより適切な位置に容易に設定変更することができる。その結果、穀粒の排出箇所にかかわらず排出シュート17による穀粒の排出を良好に行うことができる。
そして、排出シュート17を格納位置に切り換えた状態では、保持機構48によって排出シュート17を格納位置に安定した状態で保持することができ、これにより、走行中の機体の振動などに起因して排出シュート17が不測に格納位置から排出位置に切り換わって他物に接触する不都合の発生を確実に防止することができる。
又、排出シュート17の傾斜角度を変更することにより、排出シュート17で流下案内される穀粒の流下速度を調節することができる。これにより、穀粒の水分量などによって変化する流動性に応じて排出シュート17の傾斜角度を変更することにより、穀粒の流下速度を適切な速度に調節することが可能になる。その結果、流動性の低下に起因した排出シュート17での穀粒詰まりの発生などを未然に回避し易くなり、排出シュート17での穀粒詰まりによる作業効率の低下を防止することができる。
更に、排出シュート17の下手側シュート部17Bに上下の連結杆17d,17eを備えたことにより、これらの連結杆17d,17eを排出シュート17の傾斜角度を変更する際の把持部に利用することができる。これにより、排出シュート17の傾斜角度を変更する際の操作性を向上させることができる。
図1〜3及び図6〜10に示すように、穀粒タンク11の上部には、穀粒タンク11の前方からの排出シュート17の上下揺動操作を可能にする機械連係式の操作機構95を備えている。操作機構95は、穀粒タンク11の上部を前後方向に貫通する前後向きの回動軸96、回動軸96の前端部に着脱可能に連結した操作レバー97、及び、回動軸96の後端部に備えた排出シュート用の操作アーム98、などにより、回動軸96を介して操作レバー97と操作アーム98とが一体揺動するように構成している。
穀粒タンク11には、回動軸96を回動可能に支持する前後一対の軸支部99を備えている。操作機構95の回動軸96と操作アーム98及び排出シュート17の支軸40は、単一の丸棒鋼材により、回動軸96と支軸40とが同一軸心上に位置し、かつ、操作アーム98が支軸40の後端から排出シュート17の底板17aに向けて延出する状態に一体形成している。支軸40には、操作アーム98を介して排出シュート17を上方に揺動付勢する付勢手段100としての捩りバネ100を外嵌している。操作レバー97は、その揺動操作において機体の右端部から右外方に食み出さない姿勢で回動軸96の前端部に着脱可能にピン連結している。
穀粒タンク11の上部における排出シュート用の操作機構95の下方には、穀粒タンク11の前方からのシュート角度調節用のロック機構41の操作を可能にする機械連係式のロック用操作機構101を備えている。ロック用操作機構101は、穀粒タンク11の上部を前後方向に貫通する前後向きのロック用回動軸102、及び、ロック用回動軸102の前端部に着脱可能に連結したロック用操作レバー103、などにより、ロック用回動軸102を介してロック用操作レバー103とロック機構41の突っ張り部材43とが一体揺動するように構成している。
穀粒タンク11には、ロック用回動軸102を回動可能に支持する前後一対の軸支部104を備えている。ロック用回動軸102とロック機構41の突っ張り部材43とは、単一の丸棒鋼材の屈曲形成によって一体形成している。ロック用操作レバー103は、その揺動操作において機体の右端部から右外方に食み出さない姿勢でロック用回動軸102の前端部に着脱可能にピン連結している。
上記の構成から、穀粒タンク11の前方に位置する搭乗運転部4に居ながらも、穀粒タンク11の前端部に位置する操作レバー97及びロック用操作レバー103を操作することにより、排出シュート17の傾斜角度を変更して任意の傾斜角度に固定保持することができる。又、排出シュート用の捩りバネ100及び突っ張り部材用の捩りバネ44の作用により、排出シュート17の傾斜角度の変更操作に要する労力を軽減することができる。更に、操作レバー97及びロック用操作レバー103が機体の右端部から右外方に食み出すことに起因した他物との接触を防止することができる。
図1、図3、図6、図7及び図10に示すように、排出シュート17の遊端部には、可撓性を有する透明の樹脂シートからなる補助シュート46を穀粒案内方向視での形状がU字状になる状態でボルト連結している。そして、補助シュート46の遊端部には、その遊端部の前後両端に形成した丸孔46aに挿通して遊端部の横幅を変更するバンド47を装備してある。
上記の構成から、例えば、穀粒の排出対象がトラックの荷台などである場合には、バンド47を緩めることにより、補助シュート46の穀粒排出端での間口を大きく広げた状態にすることができる。これにより、穀粒をトラックの荷台などの広い領域に拡散させた状態で排出することができる。
又、穀粒の排出対象が籾袋などである場合には、バンド47を締めることにより、補助シュート46の穀粒排出端での間口を小さく窄めた円筒状にすることができる。これにより、穀粒を籾袋などの狭い領域に集中させた状態で排出することができる。
つまり、可撓性を有する補助シュート46とバンド47とを用いた簡単な構成でありながら、補助シュート46の穀粒排出端での間口を穀粒の排出対象などに適した大きさに容易に変更することができ、穀粒の排出対象などに適した穀粒の排出を良好に行うことができる。
図13に示すように、穀粒タンク11における搬出スクリュ15の真上には、穀粒タンク内の穀粒を搬出スクリュ15の左右に流下案内する断面形状が逆V字状の流下案内板80を、搬出スクリュ15に沿う前後向き姿勢で配備している。流下案内板80は、搬出スクリュ15の駆動に連動して、その上端部に備えた支軸80Aを支点にして左右揺動するように、その支軸80Aを偏心カム式の連動機構(図示せず)を介して搬出スクリュ15に連動連結している。
流下案内板80の左右の案内部80Bには、それらの前後方向の複数箇所に上下一対ずつ備えた螺合部80aを使用して、左右の補助案内板81を着脱可能にボルト連結している。そして、各案内部80Bに対する各補助案内板81の取り付け位置や取り付け向きを変更することにより、流下案内板80による穀粒の流下案内長さを、穀粒タンク11の形状や穀粒の水分量などに応じて変更できるように構成している。
具体的には、流下案内板80は、その左側の流下案内長さが穀粒タンク11の左側の形状に応じて最長になるように、左側の案内部80Bにおける下側の螺合部80aのみを使用して、左側の補助案内板81を、その表面を上側にし、かつ、屈曲箇所を下側にした最長状態でボルト連結している。又、その右側の流下案内長さが穀粒タンク11の右側の形状に応じて最短になるように、右側の案内部80Bにおける上下両方の螺合部80aを使用して、右側の補助案内板81を、その裏面を上側にし、かつ、屈曲箇所を上側にした最短状態でボルト連結している。そして、左側の流下案内長さは、穀粒の水分量が多い場合には、左側の案内部80Bにおける上下両方の螺合部80aを使用して、左側の補助案内板81を、その表面を上側にし、かつ、屈曲箇所を下側にした中間長さ状態でボルト連結することにより、穀粒の水分量が多いことに起因した穀粒タンク11の下部での穀粒詰まりの発生を防止することができる。
〔第2実施形態〕
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るコンバインの穀粒排出構造を、コンバインの一例である自脱型コンバインに適用した第2実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、この第2実施形態は、上記第1実施形態と排出シュート17の構成が異なるだけであることから、排出シュート17の構成についてのみ説明する。
図14及び図15に示すように、排出シュート17は、排出シュート17の穀粒案内方向上手側を構成する上手側シュート部17Aと、排出シュート17の穀粒案内方向下手側を構成する下手側シュート部17Bとを備えている。
上手側シュート部17Aは、揚送コンベヤ16の排出口側である右側部に、その右側部に底板17aが面する右向き姿勢で、横向きの支軸40を支点にした上下揺動が可能な状態で配備している。上手側シュート部17Aの遊端部には、一対の側板17bにわたってそれらの上端部を連結する保形用の連結杆17gを備えている。
下手側シュート部17Bは、その各側板17bの一端部を上手側シュート部17Aにおける各側板17bの遊端部に横向きで一対の支軸17Cを介して連結することにより、上手側シュート部17Aに対して上下揺動可能に構成している。そして、上手側シュート部17Aに対する一対の支軸17Cを支点にした下降揺動により、上手側シュート部17Aの穀粒案内方向下手側に連接する作用位置に切り換わり、かつ、上手側シュート部17Aに対する一対の支軸17Cを支点にした上昇揺動により、上手側シュート部17Aに対して上方から覆い重なる状態で外嵌する非作用位置に切り換わるように構成している。
つまり、上手側シュート部17Aに対する下手側シュート部17Bの上下揺動により、下手側シュート部17Bを作用位置と非作用位置とに切り換えることによって、排出シュート17の穀粒案内方向での長さを、上手側シュート部17Aの穀粒案内方向の長さに設定する短尺状態と、上手側シュート部17Aの穀粒案内方向の長さに下手側シュート部17Bの穀粒案内方向の長さを加えた長さに設定する長尺状態とに、2段階に切り換え調節可能に構成している。
上記の構成から、トラックの荷台などの高所に対して穀粒を排出する場合には、排出シュート17を短尺状態に切り換えておくことにより、排出シュート17を荷台の周囲に立設したアオリなどに接触させ難くしながら、トラックの荷台などへの穀粒の排出を効率良く行うことができる。しかも、この短尺状態では、下手側シュート部17Bが上手側シュート部17Aに対して上方から覆い重なる状態で外嵌することにより、下手側シュート部17Bを上手側シュート部17Aの上下又は前後に隣接させる場合に比較して、上手側シュート部17Aの周辺に下手側シュート部17Bの収納空間を確保する必要がなく、又、短尺状態での排出シュート17をコンパクトにすることができる。その結果、コンバイン全体としての大型化を招くことなく、短尺状態に切り換えた排出シュート17の他物との接触を回避し易くすることができる。
一方、排出シュート17からの穀粒を籾袋などに詰め込む袋取りを行う場合には、排出シュート17を長尺状態に切り換えておくことにより、排出シュート17の案内終端部を手元高さ位置に位置させることができる。これにより、排出シュート17からの穀粒の袋取りを無理なく簡便に行えるようになり、袋取りに要する労力を軽減させることができる。しかも、この長尺状態では、排出シュート17がその全長にわたって溝型になることから、袋取りの最中に排出シュート17において穀粒の詰まりが生じた場合には、その詰まりを目視で早期に発見することができ、又、詰まった穀粒を排出シュート17の開放部分から差し入れた手で排出シュート17の下方に向けて容易に掻き流すことができる。
排出シュート17には、下手側シュート部17Bを非作用位置に保持するロック機構17Dを備えている。ロック機構17Dは、上手側シュート部17Aに上下揺動可能に備えたフック部材17h、下手側シュート部17Bに横向きに備えた係合ピン17i、及び、フック部材17hを係合ピン17iに係合付勢する捻りバネ17kにより構成している。
上手側シュート部17Aには、下手側シュート部17Bの作用位置への切り換えに伴って、下手側シュート部17Bの穀粒案内方向上手側端部を受け止めることにより、下手側シュート部17Bを作用位置に保持するストッパ(図示せず)を備えている。そして、このストッパにて下手側シュート部17Bを受け止めることにより、作用位置において下手側シュート部17Bが上手側シュート部17Aと一直線上に並ぶ状態を安定的に維持するように構成している。
下手側シュート部17Bには、排出シュート17の排出幅を、トラックの荷台などに対する通常排出用の幅広状態と、袋取り用の幅狭状態とに切り換える案内板17Fを備えている。案内板17Fは、下手側シュート部17Bの底板17aにおける遊端部の幅方向中間側箇所に立設した支軸17Gを支点にして揺動する状態に、その一端部を支軸17Gに外嵌している。又、その垂直姿勢から後方への揺動を、下手側シュート部17Bにおける底板17aの幅方向中間側箇所に立設した受止ピン17Hにより阻止している。そして、これらにより、下手側シュート部17Bの非作用位置と作用位置との揺動切り換えに伴って支軸17Gを支点にして自重で揺動変位し、この揺動変位により、下手側シュート部17Bの非作用位置においては、一対の側板17bの間において側板17bに沿って垂下する垂下姿勢を維持して一対の側板17bの離間距離を排出シュート17の排出幅に設定する幅広状態となり、又、下手側シュート部17Bの作用位置においては、その遊端が前側の側板17bに当接して前側の側板17bから後側の側板17bに向けて後側の側板側ほど下方に位置する状態に傾斜する傾斜姿勢を維持して、一対の側板17bの離間距離よりも短い長さ(後側の側板17bと案内板17Fの揺動機端部との離間距離)を排出シュート17の排出幅に設定する幅狭状態となるように構成している。
上記の構成から、下手側シュート部17Bを非作用位置に切り換えて、排出シュート17をトラックの荷台などへの穀粒の排出に適した短尺状態に切り換えた場合には、排出シュート17の排出幅として、トラックの荷台などに対する通常排出用の幅広状態を自動的に得ることができる。又、下手側シュート部17Bを作用位置に切り換えて、排出シュート17を穀粒の袋取りに適した長尺状態に切り換えた場合には、排出シュート17の排出幅として袋取り用の幅狭状態を自動的に得ることができる。
つまり、下手側シュート部17Bを非作用位置と作用位置とに切り換えるだけで、排出シュート17の穀粒案内方向の長さとともに排出シュート17の排出幅を穀粒の排出箇所に適した長さに変更することができる。これにより、穀粒をトラックの荷台などに排出する際の作業効率の向上を図りながら、穀粒を袋取りする際の作業の容易化を図ることができる。
〔別実施形態〕
〔1〕コンバインとしては、刈取穀稈の全体を脱穀装置6の内部に投入する全稈投入型に構成したものであってもよい。又、搭乗運転部4をキャビンで覆うように構成したものであってもよい。
〔2〕穀粒排出装置12としては、穀粒タンク11に貯留した穀粒を穀粒取出口11Eからタンク外に搬出する搬出スクリュ15を穀粒タンク11の底部に備える構成に代えて、穀粒タンク11の底部を、穀粒タンク11に貯留した穀粒を穀粒取出口11Eからタンク外に流下案内する傾斜面を備えるように構成したもの、あるいは、穀粒タンク11の底部を振動させることで、穀粒タンク11に貯留した穀粒を穀粒取出口11Eからタンク外に流動案内するように構成したものであってもよい。
〔3〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の上部後側に排出口16Aを形成し、揚送コンベヤ16の排出口側となる後部側に、排出シュート17を、その底板17aが揚送コンベヤ16の後部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において左右向きになる横向きの支軸40を支点にした上下揺動による傾斜角度の変更が可能となるように構成したものであってもよい。
〔4〕穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16の上部後側に排出口16Aを形成し、揚送コンベヤ16の排出口側となる後部側に、排出シュート17を、その側板17bが揚送コンベヤ16の後部に面する状態で、穀粒タンク11が作業位置に位置する状態において前後向きになる横向きの支軸40を支点にした上下揺動による傾斜角度の変更が可能となるように構成したものであってもよい。
〔5〕図16に示すように、穀粒排出装置12としては、揚送コンベヤ16における円筒状のコンベヤケース21を、第2支柱24などにより支持する下側ケース部21Fと、この下側ケース部21Fに相対回転可能に内嵌した上側ケース部21Gとから構成し、上側ケース部21Gに、排出ガイド27及び排出シュート17を装備して、排出シュート17を、揚送スクリュ23の回転中心を通る縦向きの軸心Xを支点にした揺動操作が可能となるように構成してもよい。
又、図示は省略するが、この構成においては、例えば、搭乗運転部4に備えた操作レバーの操作による排出シュート17の縦向きの軸心Xを支点にした揺動操作が可能となるように、操作レバーと排出シュート17とを連係ワイヤなどを介して操作連係するように構成してもよい。
〔6〕揚送コンベヤ16としてバケットコンベヤを採用してもよい。
〔7〕排出シュート17を長さ調節不能に構成してもよい。又、排出シュート17の穀粒案内方向での長さ調節段数としては種々の変更が可能であり、例えば2段階や4段階以上に長さ調節可能に構成してもよい。更に、排出シュート17を丸パイプ状又は角パイプ状などに形成してもよい。
〔8〕排出シュート用の操作機構95としては、搭乗運転部4に備えた操作レバー97と、操作レバー97を排出シュート17に連係する連係ワイヤとから、連係ワイヤが穀粒タンク11を迂回するように構成したものであってもよい。
〔9〕排出シュート用の操作機構95を、前後向きの回動軸96と、回動軸96の前端部に備えた操作レバー97と、回動軸96の後端部に備えた排出シュート用の操作アーム98とから構成する場合には、回動軸96が、穀粒タンク11の上方又は横外方を通るように構成してもよい。
〔10〕図17に示すように、排出シュート用の操作機構95としては、単一の丸棒鋼材又は丸パイプ材の屈曲形成により回動軸96と操作アーム98とを一体形成し、排出シュート17の支軸40を、回動軸96及び操作アーム98と一体形成しないように構成したものであってもよい。
この構成においては、排出シュート17の支軸40と操作機構95の回動軸96とを同一軸心上に配備するように構成してもよく、又、同一軸心上に配備しないように構成してもよい。
〔11〕排出シュート用の操作機構95としては、単一の丸棒鋼材又は丸パイプ材の屈曲形成により回動軸96と操作レバー97とを一体形成し、回動軸96の後端部に操作アーム98を着脱可能に連結するように構成したものであってもよい。又、回動軸96に操作レバー97と操作アーム98とを着脱可能に連結するように構成したものであってもよい。更に、単一の丸棒鋼材又は丸パイプ材の屈曲形成により、回動軸96と操作レバー97と操作アーム98とを一体形成するように構成したものであってもよい。
〔12〕操作レバー97としては、排出シュート17を格納位置に位置させた場合に、機体の外端から外方に食み出さないように構成したものであってもよい。
〔13〕排出シュート17を上方に揺動付勢する付勢手段100として、引っ張りバネや圧縮バネを採用してもよい。
〔14〕シュート角度調節用のロック機構41としては、揚送コンベヤ16に、傾斜角度設定用の複数の被係合部42a〜42cを、揚送コンベヤ16の穀粒搬送方向に所定間隔をあけた状態で配備し、かつ、排出シュート17に、排出シュート17と同方向に揺動することによって複数の被係合部42a〜42cに択一的に係合する突っ張り部材43を配備することにより構成したものであってもよい。
〔15〕シュート角度調節用のロック機構41としては、操作レバー97に択一的に係合可能な状態で穀粒タンク11の前端部又は搭乗運転部4に配備した複数の被係凹部などにより構成したものであってもよい。
〔16〕ロック用操作機構101としては、搭乗運転部4に備えたロック用操作レバー103と、ロック用操作レバー103を突っ張り部材43に連係するロック用連係ワイヤとから、ロック用連係ワイヤが穀粒タンク11を迂回するように構成したものであってもよい。
〔17〕ロック用操作機構101を、前後向きのロック用回動軸102と、ロック用回動軸102の前端部に備えたロック用操作レバー103とから構成する場合には、ロック用回動軸102が穀粒タンク11の横外方を通るように構成してもよい。
〔18〕ロック用操作機構101としては、単一の丸棒鋼材又は丸パイプ材の屈曲形成によりロック用回動軸102とロック用操作レバー103とを一体形成し、ロック用回動軸102の後端部に突っ張り部材43を着脱可能に連結するように構成したものであってもよい。又、ロック用回動軸102に突っ張り部材43とロック用操作レバー103とを着脱可能に連結するように構成したものであってもよい。更に、単一の丸棒鋼材又は丸パイプ材の屈曲形成により、突っ張り部材43とロック用回動軸102とロック用操作レバー103とを一体形成するように構成したものであってもよい。
〔19〕ロック用操作レバー103としては、排出シュート17を格納位置に位置させた場合に、機体の外端から外方に食み出さないように構成したものであってもよい。
〔20〕突っ張り部材43を上方に揺動付勢する付勢手段44として、引っ張りバネや圧縮バネを採用してもよい。
〔21〕排出ガイド27を、揚送コンベヤ16に固定した固定部31と、固定部31に揚送コンベヤ16の穀粒排出方向に揺動可能に外嵌連結した可動部33とから構成する場合には、排出口16Aから穀粒を排出しない排出停止状態においては、可動部33の自重によって開口部27Aの開口面積が最小になるように構成してもよい。
〔22〕開口部27Aの開口面積を狭める方向に可動部33を揺動付勢する付勢手段34として、捻りバネや圧縮バネを採用してもよい。
〔23〕シュート長さ調節用のロック機構90としては、下手側シュート部17Bに、複数の凹部92aと択一的に係合する専用の係合部17dを装備したものであってもよい。
〔24〕シュート長さ調節用のロック機構90としては、上手側シュート部17Aに外嵌した下手側シュート部17Bに、所定間隔をあけて形成した複数の凹部92aが排出シュート17の穀粒案内方向に並ぶように配備した鋸刃状の揺動アーム92を備え、かつ、上手側シュート部17Aに、複数の凹部92aと択一的に係合する係合部17dを配備することにより構成したものであってもよい。
〔25〕揺動アーム92を係合付勢する付勢手段93として、引っ張りバネや圧縮バネを採用してもよい。