JP2009284695A - 移動体用絶縁式給電装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電磁誘導を利用して地上の一次側コイル1からこれに対向する二次側コイル2を介して移動体20のバッテリー41を充電する給電装置であって、一次側コイル1はE字形断面をもつ3突極形磁性体の磁極に三相巻線を施したもので三相の磁極を移動体の移動軌跡に対して垂直の方向に配置したものを各相毎に移動軌跡に沿って適切な間隔を空け等しいピッチで複数個配置する。
さらに、移動体20に搭載される二次側コイル2も一次側と同様の3突極型磁性体の磁極に三相巻線を施したもので磁極の移動体移動方向の長さが一次側コイル1の磁極の移動方向ピッチに等しくなっている。
【選択図】 図1
Description
特許文献1には、無人工場等において、フロアやレールなどの固定体に沿って走行する走行台車に給電する方法が開示されている。移動体にコイルを巻いた鉄心を設け、移動体が停止する位置にコイルを巻いた鉄心を配置し、固定体のコイルに通電することにより移動体に電力を供給するものである。
開示方法では、移動体は給電装置と非接触で充電することができるが、移動体を給電場所に停止させて給電する必要がある。
開示技術では、給電区間に移動体が存在する間は一次側コイルに通電するため、移動体が給電区間に対して小さいときには、漏れ磁束により大きな損失が発生する。また、周囲の導体に渦電流を発生させて過熱するなどの悪影響を及ぼす可能性がある。
リニアモーター駆動の搬送装置では、駆動用リニアモーターの一次側コイルが走行方向に並べられた櫛歯状コアにY結線された三相誘導コイルが一部重なって1相ずつシフトするように形成されている。開示発明は、この一次側コイルをそのまま転用して制御回路用のバッテリー充電を行う。一次側コイルは移動体を駆動する容量を持っているので、制御用電源としては一次側コイルの一部を利用するだけで十分である。
移動体側に設けられた下向きコ字形の二次鉄心の対向面は、軌道側の隣り合わせた2個の一次鉄心を覆う大きさとなっている。
開示装置によれば、機械的に非接触で効率的な給電が可能となる。
しかし、移動体が軌道に沿って移動する間に一次鉄心と二次鉄心が対向して重なる面積が変動するので、移動中に励磁電流の大きさが変化する。
さらに、移動体に搭載される二次側コイルも一次側コイルと同様の3突極形磁性体の磁極に三相巻線を施したもので磁極の移動体移動方向の長さが一次側コイルの磁極の移動方向ピッチに等しくなっている。
なお、本発明の非接触給電装置は、三相交流式の磁気回路を使用するため、出力電力KVAを鉄芯体積m3で割った出力容量比が増大する。
さらに、一次側コイルは二次側コイルが磁極に対向する位置に存在するときのみ通電するので、対向コイルが不在で空間に放散する漏れ磁束の発生を抑制して効率よい運転が可能である。
移動体の移動方向が水平方向である場合は、一次側コイルと二次側コイルの上下面に磁気シールドを施すことにより、周囲への漏れ磁束を遮断して安全を確保することができる。
また、コイル表面に樹脂カバーを施して密封したものは、たとえば水際でバッテリー充電する場合など、水が掛かっても悪影響を受ける心配がない。
GTOなどの半導体スイッチを利用しようとしても遮断すべき電流に見合う周波数の遮断信号を必要とする型式のものでは、遮断すべき一次側コイルの入力電源の周波数が400Hz程度と高い場合には追従することができない。このため、機械的な電磁開閉器を採用して、電源電流の周波数によらず電路を開閉するようにした。
そこで、電磁開閉器に並列に抵抗器を接続して、電磁開閉器の解放時にはサージ電流を並列した抵抗器に流すことにより接点間のスパークを防止して、電子開閉器の寿命を延ばすことができる。
一次側コイルに流す交流は高周波である方が磁気飽和を生じ難く、コア鉄芯の断面積を小さくすることが可能となるため、装置の小型化・軽量化に適している。したがって、インバータを用いて50Hzや60Hzの交流をたとえば400Hzなど可能な限り高周波化して利用して効率化することが望ましい。
インバータ出力が一次側コイルを介して移動体のバッテリーを充電している場合は、インバータには充電電流に見合う電流が流れている。一方、バッテリー充電が終了して充電電流がなくなったときには、インバータには最小限の電流しか流れない状態になる。
本発明の給電装置では、インバータの整流器回路出力電圧と電流から計算される直流出力電力に基づいてバッテリー充電の完了を検知すると、一次側コイルへの電源供給を電磁開閉器で遮断することにより、バッテリーの過充電により生じる劣化や損耗を防ぐことができる。
このようなユニット化により、設計、製造、施工工程を簡単化して、費用効果の高い製品とすることができる。
さらに、バッテリーを動力とする自走式台車のバッテリー充電を電気的に絶縁状態を保ったまま行う非接触給電装置を提供することができる。
図1は本実施例の非接触給電装置の主要部の概念を説明する斜視図、図2は平面図、図3は側面断面図、図4は本実施例における充電走行中の二次側コイル鎖交磁束を説明する図面、図5は給電装置を複数備えた給電ユニットを複数配設して構成したシステムを表すブロック図、図6は給電ユニットの回路構成を示すブロック図である。
本実施例の非接触給電装置は、充電ステーションで走行しながらバッテリー駆動式自走台車のバッテリーを充電する装置であって、電磁誘導を利用して給電側の一次側コイル1からこれに対向する自走台車側の二次側コイル2にエネルギー伝達してバッテリーを充電するものである。
本実施例の非接触給電装置は、背面をヨーク12,22で接続した3個の磁極11,21にそれぞれ三相交流の1相の巻線13,23を巻回して三相巻線を施したコイルを使用する。これにより、単相巻線と比較して出力容量比(出力電力KVAを鉄芯体積m3で割った値)が高く効率の良い装置となる。
自走台車に搭載される二次側コイル2は、給電側の一次側コイル1の各相に対応する位置に配置した3個の磁極u,v,wを備えたもので、磁極21の自走台車移動方向の長さD2が一次側コイルの磁極11の移動方向ピッチPに等しくなっている。
給電装置の前には自走台車用の案内レールや案内ガードを設けて、自走台車走行中に、一次側磁極U,V,Wと二次側磁極u,v,wの間に数mmから十数mmの空隙Gを保つようにして、安定にエネルギー伝達を行えるようにする。
一次側コイル1と二次側コイル2は、上面と下面に磁気シールド14,24を配置して、周囲への漏れ磁束を遮断する。
また、磁極11,21の前面を含み周囲全体を樹脂15,25で覆って防水と防音をする。
すなわち、二次側コイル2が給電ユニット10に進入し、最初の一次側コイル(1)の磁極11に鎖交し始める時点(X=0)では、二次側鎖交磁束は0%であり、二次側コイルの磁極21が最初の一次側コイル(1)の磁極11を完全にカバーする位置(X=D1)まで進むと100%になる。ここで、Xは二次側コイル2の中心位置の座標を表す。また、一次側コイル1の磁極11の移動方向長さをD1とする。
磁極21の後端が最初の一次側コイル(1)の磁極11の後端から離れようとするときには、磁極21の先端が2番目の一次側コイル(2)の磁極11後端に達して、その後は二次側コイル2が移動するにつれて最初の一次側コイル(1)との鎖交磁束量が減少する分だけ2番目の一次側コイル(2)との鎖交磁束量が増加するため、二次側コイル2の磁極21に鎖交する磁束量は変わらない。
自走台車がさらに移動して、二次側コイル2の磁極21が最後の一次側コイル(n)の磁極11との重なりが減少し始めると、距離D1にわたって二次側コイル2の鎖交磁束も減少して、磁極21が一次側コイル1の磁極11から外れる位置(X=L+D2)で0%となって、二次側出力は停止する。
また、D2=D1+dであるから、二次側コイル2の磁極21の鎖交磁束が100%となる給電ユニット10の有効極長L2は、
L2=L+D2−2×D1=D1×(n−1)+d×n
となる。
たとえば、一次側コイルの磁極数nを6個、磁極長さD1を220mm、磁極ピッチPを340mmとすると、有効極長L2は1820mmとなり、給電中の自走台車の移動速度を0.5m/sと仮定すると、給電可能な時間は3.6秒となる。この時間で充電が完了しない場合は、給電ユニット10を自走台車の軌道に沿って必要数設置して充電時間を確保するようにすればよい。また、給電ユニット10を構成する一次側コイルの数を増減したり、自走台車の移動速度を調整したりすることにより充電時間を調整することもできる。
走行エリアを走行していたバッテリー自走台車20は、適宜のタイミングで充電ステーション30に戻って、搭載しているバッテリー41を充電する。充電ステーション30には、たとえば4基の給電ユニット10が並んでいて、その前にガイドレールが設けられている。
バッテリー自走台車20は、ガイドレールに案内されて給電ユニット10の前を所定速度で移動する間、給電ユニット10の一次側コイルの磁極と自走台車20の二次側コイル2の磁極の間隙を、たとえば7mm±3mmなど、適当な値に保持して、確実にエネルギー伝達するようになっている。
本実施例では、バッテリー走行台車20は、48V(12V×4直列)のバッテリー41により走行する。
一次電源装置31は、インバータ32と無効電力抑制回路35と給電制御装置39で構成され、給電ユニット10に対して1式設備される。
コイル間のエネルギー交換は周波数が高いほど効率が高く小型化ができるが、市販の汎用インバータで比較的容易に使えることを前提とすると、本実施例の条件を満たそうとすると現状では400Hz程度が適当である。したがって技術の高度化に伴いさらに高周波に変換するようにしてもよいことはいうまでもない。
無効電力抑制回路35は、n個の一次側コイル1ごとに設けられるスイッチ回路33とスイッチ回路33と並列に接続された電流抑制抵抗器34で構成され、1基のインバータ32から出力される最大三相400V/400Hzの電源を必要な一次側コイル1に分配する。
各一次側コイル1の磁極がそれぞれ二次側コイル2の磁極と交絡するかしないかを検出した結果を示す検出信号は、給電制御装置39に伝達される。
給電制御装置39は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)やボードコンピュータなどを使って構成し、インバータ32と無効電力抑制回路35の操作を行う。なお、給電制御装置39は100Vの単相交流により駆動される。
また、両磁極が交絡していないときには、スイッチ回路33をオフにして、充電しない一次側コイルに無駄な電力を供給しないようにすると共に、スイッチ回路33の端子間に並列接続された電流抑制抵抗器34に電流を通してスイッチ回路33の端子間電圧を抑制しサージが発生しないようにして、スイッチ回路の寿命を確保する。
さらに具体的には、インバータ32の整流回路36の出力が平滑回路37で直流化した位置における直流電圧信号と、その部分を流れる直流電流信号を入力し、両者から計算される直流電力が所定の値を超えたときに自走台車20のバッテリー41の充電が完了したと判定して、インバータ32の作動を停止させる。
本実施例におけるバッテリー充電終了判定方法により、運動する自走台車20と情報交換することなく、地上に固定された一次電源装置31内部の信号交換だけで自走台車20上のバッテリー41の状態を推定してインバータ32の合理的な運転を行うことができる。
電流電圧制限回路46は、またバッテリー41の充電完了状態を判断して、二次側系統を強制遮断する機能を備えてもよい。
2 二次側コイル
10 給電ユニット
20 バッテリー自走台車
11,21 磁極
12,22 ヨーク
13,23 巻線
14,24 磁気シールド
15,25 樹脂
26 搭載ユニット
30 充電ステーション
31 一次電源装置
32 インバータ
33 スイッチ回路
34 電流抑制抵抗器
35 無効電力抑制回路
36 整流回路
37 平滑回路
38 逆変換回路
39 給電制御装置
41 バッテリー
42 三相磁極
43 整流回路
44 チョッパ回路
45 直流リアクトル
46 電流電圧制限回路
Claims (6)
- 電磁誘導を利用して地上の一次側コイルから該一次側コイルに対向する二次側コイルを介して移動体のバッテリーを充電する給電装置であって、前記一次側コイルはE字形断面をもつ3突極形磁性体の磁極に三相巻線を施したもので該3突極の磁極を前記移動体の移動軌跡に垂直に配置したものを各相毎に前記移動軌跡に沿って等しいピッチでかつ適切な間隔で複数個配置し、前記移動体に搭載される前記二次側コイルは一次側コイルと同様の3突極形磁性体の磁極に三相巻線を施し該磁極の移動体移動方向の長さは前記一次側コイルの磁極の移動方向ピッチに等しく、前記一次側コイルはスイッチを介して三相交流電源に接続され、該一次側コイルの磁極と前記二次側コイルの磁極の重なり状態を検出する重なりセンサを備えて、該重なりセンサが両磁極の重なりを検出すると前記スイッチを投入して前記一次側コイルに通電させ、両磁極が離れていることを検出すると前記スイッチを開放して前記一次側コイルの電源との接続を遮断する非接触給電装置。
- 前記一次側コイルおよび二次側コイルは移動方向に平行な側面に磁気シールドを施すことを特徴とする請求項1記載の非接触給電装置。
- 前記一次側コイルおよび二次側コイルは全表面に樹脂カバーを施して密封することを特徴とする請求項1または2記載の非接触給電装置。
- 前記スイッチは、電磁開閉器と抵抗器を並列に接続したものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の非接触給電装置。
- 前記三相交流電源は、外部の三相交流供給線に接続される整流回路、該整流回路の直流出力を平滑化する平滑回路、該平滑回路の出力を交流にする逆変換回路を備えたインバータであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の非接触給電装置。
- 前記整流回路の直流出力を取り込んで該直流出力が所定の値より大きいときに前記バッテリー充電の終了と判定する制御装置を備えることを特徴とする請求項5記載の非接触給電装置。
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