JP3263421B2 - 移動体の無接触給電設備のピックアップユニットおよびこのピックアップユニットを備えた移動体 - Google Patents

移動体の無接触給電設備のピックアップユニットおよびこのピックアップユニットを備えた移動体

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JP3263421B2 JP01054992A JP1054992A JP3263421B2 JP 3263421 B2 JP3263421 B2 JP 3263421B2 JP 01054992 A JP01054992 A JP 01054992A JP 1054992 A JP1054992 A JP 1054992A JP 3263421 B2 JP3263421 B2 JP 3263421B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、移動体の無接触給電設
備、特にレール軌道に案内されて荷を搬送する自走搬送
台車の無接触給電設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の移動体およびその給電装置を、図
7および図8に基づいて説明する。移動体としての搬送
用車体Vは、駆動トロリー1A、従動トロリー1B、および
これらトロリー1A,1Bにて支持される物品搬送用キャリ
ア1Cから構成され、この車体Vを移動自在に案内する案
内レールBとが設けられている。
【0003】駆動トロリー1Aは、案内レールBの上部に
係合する走行用車輪2、案内レールBの下部に両横側か
ら接触する振れ止めローラ3、および集電子ユニットD
を備え、走行用車輪2が減速機付電動モータ4にて駆動
される。また従動トロリー1Bは、案内レールBの上部に
係合する走行用車輪5、および案内レールBの下部に両
横側から接触する振れ止めローラ6を備えている。
【0004】案内レールBは、その上部に車輪案内部
7、その下部にローラ案内部8を備え、横一側部に連結
される支持枠9によって、天井などから吊り下げ状態に
支持され、また案内レールBの支持枠9が取り付けられ
た側部とは他方の側部に、通電レールユニットUが取り
付けられている。
【0005】この通電レールユニットUは、電力を3相
交流にて車体Vに供給し、かつ走行制御用信号を車体V
に伝達するために設けられたものであって、4本の通電
レールLを備え、各通電レールLを並列状態に支持する
レール支持枠10が案内レールBに設けた上下一対の係止
部11に係止された状態でビス止めされている。
【0006】通電レールLは、図8(b) に拡大して示す
ように、銅などの導電材にて形成されるレール本体12
と、合成樹脂などの非導電材にて形成されるホルダー13
とからなり、ホルダー13には、レール本体12の両横側部
から集電子側に突設される一対の防護壁部が備えられ、
またレール本体12の集電子接触面が、レール横巾方向中
央側ほど奥側に位置する凹入面に形成されている。
【0007】集電子ユニットDは、図7に示すように、
各通電レールLのそれぞれに一対の集電子14を備え、1
つの通電レールLに対する一対の集電子14が、車体Vの
前後方向に間隔を隔てて位置され、車体前方の4つの集
電子14が、1つのユニットにまとめられ、同様に車体後
方の4つの集電子14が1つのユニットにまとめられてい
る。
【0008】上記構成により、移動体の車体Vは、案内
レールBの通電レールユニットUの通電レールLから集
電子14を介して給電され、給電された減速機付電動モー
タ4にて走行用車輪2が駆動され、案内レールBに案内
されて移動する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の移動体の給電設備では、通電レールLのレール本体
12と集電子14は互いの接触により磨耗するため、メンテ
ナンスが不可欠でおり、またゴミがでるという問題があ
った。さらに通電レールLの導電材(レール本体12)が
露出するため、感電する危険があり、さらにスパークが
発生するため、防爆エリアでは使用できないという問題
があった。
【0010】このような問題を解決するため、図9に示
すような、無接触の給電設備が提案されている。図9の
無接触の給電設備は、移動体の充電ステーションに固定
した1次コア21と、このステーションに停止した移動体
22の下部に垂設した2次コア23がギャップ長gで対向し
て磁路を設け、電力を伝達するように構成されている。
すなわち、充電ステーションに設けられた1次側コア21
に巻かれたコイル24に交流電流が通電されると、2次側
コア23に巻かれたコイル25に起電力が発生し、このコイ
ル25に発生した交流電流は交流−直流変換部26を介して
バッテリ27へ供給され、バッテリ27が充電される。この
バッテリ27を駆動電源として移動体22は走行用車輪28を
駆動して走行する。
【0011】しかし、このような構成では、一旦充電ス
テーションで停止しないと、充電されないため、作業効
率が悪く、また1次コア21を走行路に沿って敷設すれば
このような問題は解決されるが、製作が困難であり、コ
スト的に不可能であった。さらに、ギャップ長gの変化
により1次側のインダクタンスが大きく変化するため、
1次側電流値が大きく変化し、2次側電圧値が大きく変
化することから、過電流、過電圧が発生し、保護装置が
動作して給電できないことがあった。
【0012】本発明は上記問題を解決するものであり、
無接触で、安全に、かつ安定して給電できる移動体の無
接触給電設備、特にそのピックアップユニットおよびこ
のピックアップユニットを備えた移動体を提供すること
を目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
本発明の移動体の無接触給電設備のピックアップユニッ
トは、移動体が走行するレール軌道に沿って張設され高
周波電流を流す誘導線路より、起電力が誘起されるピッ
クアップユニットであって、断面がコ字状の磁性部材
と、前記磁性部材の一側面に渡って巻回されたコイル
と、前記コイルに接触しないようにコイルに対向して
記磁性部材に取り付けられた、磁界遮断部材で形成され
た板状の取付け部材により構成されたことを特徴とす
るものである。また本発明の移動体は、上記移動体の無
接触給電設備のピックアップユニットを備え、誘導線路
が張設されたレール軌道に沿って走行することを特徴と
するものである。
【0014】
【作用】上記ピックアップユニットの構成によれば、
字状の磁性部材に巻かれたコイルには、誘導線路に発生
する磁束により起電力が誘起されることにより移動体へ
無接触で給電される。またピックアップユニットは板状
の取付け部材によりピックアップユニットのコイルが接
触しないように移動体へ取り付けられるとともに、板状
の取付け部材を形成する磁界遮断部材により移動体への
磁界の影響が遮断される。また上記移動体の構成によれ
ば、ピックアップユニットによってレール軌道に沿って
張設された誘導線路より移動体へ無接触で給電される。
移動体はこの無接触給電によりレール軌道に沿って走行
することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。なお、従来例の図7および図8と同一の構成に
は同一の符号を付して説明を省略する。
【0016】図1は本発明の移動体の無接触給電設備の
側面図、図2は本発明の移動体の無接触給電設備の移動
体の一部断面正面図である。本発明の移動体の無接触給
電設備は、案内レールBでは、従来例の通電レールユニ
ットUに替えて誘導線路ユニットXを設け、車体Vで
は、従来例の集電子ユニットDに替えてピックアップユ
ニットPを設け、さらに電源装置Mを設けて構成されて
いる。
【0017】誘導線路ユニットXは、案内レールBの横
一側部に案内レールBに沿って、所定間隔置きにハンガ
ー31が垂直に突設されたブラケット32が取り付けられ、
各ハンガー31の先端には案内レールBに沿って樹脂製の
ダクト33が張設され、ダクト33には、電源装置Mに接続
された1本の誘導線路34が敷設されて構成されている。
この構成によりハンガー31は案内レールBの横一側部に
水平に突設される。また誘導線路34は、絶縁した細い素
線を集めて形成した撚線(以下、リッツ線と呼ぶ)を絶
縁体、たとえば樹脂材によりカバーして構成され、また
始端と終端が電源装置Mに接続され、ループ状に敷設さ
れている。
【0018】ピックアップユニットPは、図3に示すよ
うに、断面がコ字状でその先端にその開口部35Bに向い
てそれぞれ対向する凸部35Aを有し横方向(図2におい
て案内レールBに沿う方向)に長い、磁性部材であるフ
ェライト35に、その側部35Eに渡って、たとえば数10タ
ーンの上記リッツ線を巻いてピックアップコイル36を形
成し、フェライト35の側部35Eに、磁界遮断部材で形成
された板状の取付け部材38をその水平突起部38Aにより
ピックアップコイル36に接触しないようにピックアップ
コイル36に対向させて取付けて構成されている。また取
付け部材38は、磁界遮断部材で形成された止め金具(図
示せず)により、ピックアップコイル36が誘導線路34に
沿い、かつコ字状のフェライト35の開口部35Bが案内レ
ールBの横一側部に対向し、その中心Qに誘導線路34を
位置するように、矢印で示すように上下方向に移動させ
て調整し、車体Vの案内レールB側の側面に固定してい
る。この取付けにより、ハンガー31はコ字状のフェライ
ト35の開口部35Bの中心に位置する。誘導線路34に通電
(交流)されると、ピックアップコイル36に起電力が発
生する。
【0019】電源装置Mと車体(移動体)Vの回路構成
を図4の回路図にしたがって説明する。電源装置Mは、
AC200 V3相の交流電源41と、コンバータ42と、正弦
波共振インバータ43と、過電流保護用のトランジスタ44
およびダイオード45とを備えている。コンバータ42は全
波整流用のダイオード46と、フィルタを構成するコイル
47とコンデンサ48と抵抗49とこの抵抗49を短絡するトラ
ンジスタ50とから構成され、正弦波共振インバータ43
は、図中に示すように交互に発振される矩形波信号によ
り駆動されるトランジスタ51,52と、電流制限用のコイ
ル53と、トランジスタ51,52に接続される電流供給用の
コイル54と、誘導線路34と並列共振回路を形成するコン
デンサ55とから構成されている。なお、トランジスタ制
御装置は省略している。
【0020】また車体Vは、ピックアップコイル36に並
列に、このピックアップコイル36と誘導線路34の周波数
に共振する共振回路を構成するコンデンサ56を設け、こ
の共振回路のコンデンサ56に並列に整流用のダイオード
57を接続し、このダイオード57に出力を所定電圧に制御
する安定化電源回路58を接続し、この安定化電源回路58
に負荷、たとえばインバータ63を介してモータ4を接続
して構成している。安定化電源回路58は、電流制限用の
コイル59と出力調整用トランジスタ60と、フィルタを構
成するダイオード61およびコンデンサ62から構成されて
いる。なお、トランジスタ制御装置は省略している。
【0021】上記電源装置Mと誘導線路34と車体Vの回
路構成による作用を説明する。まず、交流電源41から出
力されるAC200 V3相の交流はコンバータ42により直
流に変換され、正弦波共振インバータ43により高周波、
たとえば10kHz の正弦波に変換されて誘導線路34に供給
される。この誘導線路34に発生する磁束により、誘導線
路34の周波数に共振する案内レールB上に位置する車体
Vのピックアップコイル36に大きな起電力が発生し、こ
の起電力により発生した交流電流はダイオード57で整流
され、安定化電源回路58により所定の電圧に整圧されて
インバータ63を介して減速機付電動モータ4に供給さ
れ、移動体の車体Vは、給電されたこのモータ4により
走行用車輪2が駆動され、案内レールBに案内されて移
動する。
【0022】このように、無接触で車体Vに給電するこ
とができ、よって従来のような通電レールLの磨耗、ゴ
ミの発生を無くすことができ、メンテナンスフリーを実
現することができる。またコ字状のフェライト35の開口
部が案内レールBの横一側部に対向し、その中心Qに誘
導線路34を位置するように調整して、固定されることか
ら、図5に示すように、ピックアップコイル36は誘導線
路34で発生する磁束密度が最も大きい位置に位置し、最
も大きい起電力が誘起され、効率よく給電できる。また
フェライト35およびピックアップコイル36は案内レール
Bのカーブ部でも誘導線路34に接触することはなく、車
体Vはカーブ部をスムーズに曲がることができる。
【0023】また、断面がコ字状のフェライト35に、側
面に渡って、リッツ線を巻いてピックアップコイル36を
形成することにより、フェライト35の上部35C、下部35
Dによってリッツ線が保持されることでリッツ線が巻き
やすくなり、作業能率を上げることができる。さらにフ
ェライト35の先端の凸部35Aに磁路が形成されることに
より、より高い起電力を発生することができる。
【0024】また誘導線路34の長さはピックアップコイ
ル36の長さに比較して格段に長いため、たとえば誘導線
路34の長さ100 mに対してピックアップコイル36の長さ
10〜15cmであるため、誘導線路34の1次側インダクタ
ンスはほぼ一定となり、また電源装置Mのコンデンサ55
と誘導線路34は共振回路を構成していることから、誘導
線路34にほぼ一定の大きな電流値で、高周波で正弦波の
1次側電流を流すことができ、またピックアップコイル
36の2次側が共振回路となることで、図6に示すよう
に、共振周波数fo で2次側に大きな電圧v(図中では
1000〜2000V)が発生し、誘導線路34とピックアップコ
イル36間のギャップ長が変化しても、誘導線路34の周波
数が多少変動しても、さらに2次側の共振周波数が誘導
線路34の周波数から多少変動しても、周波数f1 〜f2
の範囲では所定値(図中では300 V)以上の2次側電圧
を発生することができ、よって大きな電力を安定して供
給することができる。したがって、ギャップ長の調整を
ラフに行え、作業性がよくなり製作を容易にすることが
できる。また1次側にコアが不要となることで、容易に
低コストで線路を敷設することができる。
【0025】さらに誘導線路34とピックアップコイル36
に絶縁体でカバーされたリッツ線を使用することによ
り、導電部の露出がなくなり、安全性を高めることがで
き、またスパークがでなくなることから、火災などの危
険がなくなり、また防爆エリアでも使用することが可能
となる。さらに、誘導線路34には正弦波が給電されるこ
とにより、高調波が発生せず、ラジオノイズの発生を無
くすことができる。
【0026】なお、本実施例では、フェライト35の側部
35Eにコイルを巻いているが、フェライト35の上部35
C、あるいは下部35Dにコイルを巻くようにしてもよ
い。また、ダクト33に2本以上の誘導線路34を敷設し
て、パワーアップを図ることができる。
【0027】また、本実施例では、左右方向に移動する
車体Vについて記載しているが、レール軌道に沿って上
下方向に移動する車体(移動体)にも、同様に適用で
き、同様の効果を期待することができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明のピックアッ
プユニットによれば、コ字状の磁性部材に巻かれたコイ
ルには、誘導線路に発生する磁束により起電力が誘起さ
れることにより移動体へ無接触で給電できる。さらに、
ピックアップユニットを板状の取付け部材によりピック
アップユニットのコイルが接触しないように移動体へ取
り付けることができるとともに、板状の取付け部材を形
成する磁界遮断部材により、移動体への磁界の影響を遮
断することができる。また本発明の移動体によれば、移
動体はピックアップユニットによってレール軌道に沿っ
て張設された誘導線路より無接触で給電されることによ
り、レール軌道に沿って走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における移動体の無接触給電
設備の側面図である。
【図2】同移動体の無接触給電設備の一部断面正面図で
ある。
【図3】同移動体の無接触給電設備のピックアップコイ
ルの平面図、正面図、側面図である。
【図4】同移動体の無接触給電設備の回路構成図であ
る。
【図5】同移動体の無接触給電設備のピックアップコイ
ルの起電力発生を示す説明図である。
【図6】同移動体の無接触給電設備の2次側周波数−起
電力特性図である。
【図7】従来の移動体および給電装置の側面図である。
【図8】従来の移動体および給電装置の一部断面正面図
である。
【図9】従来の移動体の無接触給電設備の構成図であ
る。
【符号の説明】
V 搬送用車体 B 案内レール X 誘導線路ユニット P ピックアップユニット M 電源装置 34 誘導線路 35 フェライト 36 ピックアップコイル 38 取付け部材 43 正弦波共振インバータ 56 ピックアップコイルと共振回路を形成するコンデ
ンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−131687(JP,A) 特開 昭53−124813(JP,A) 実開 昭63−149101(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60L 1/00 - 15/42 B65G 1/00 - 69/28 H01F 1/00 - 41/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動体が走行するレール軌道に沿って張
    設され高周波電流を流す誘導線路より、起電力が誘起さ
    れるピックアップユニットであって、 断面がコ字状の磁性部材と、 前記磁性部材の一側面に渡って巻回されたコイルと、 前記コイルに接触しないようにコイルに対向して前記磁
    性部材に取り付けられた、磁界遮断部材で形成された板
    状の取付け部材により構成されたことを特徴とする
    動体の無接触給電設備のピックアップユニット。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のピックアップユニット
    を備え、誘導線路が張設されたレール軌道に沿って走行
    することを特徴とする移動体。
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