JP2009284574A - 2相駆動静電アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】 2相の電圧を印加することにより駆動する2相駆動静電アクチュエータを提供する。
【解決手段】 固定子基材とその表面に形成した帯線状の電極とを有する固定子と、前記電極の電位に応じた電荷が誘起される移動子基材を有する移動子と、前記電極に対して電圧を印加する電源部とを備える静電アクチュエータであって、前記固定子における前記帯線状の電極はA相とB相の2相の電極であって、それら2相の帯線状の電極は交互に平行となるように複数が配置され、それら複数の電極の各々における両側の電極間隔は非対称の所定間隔であり、前記電源部が前記A相の電極に印加するA相電圧の周期波形と、前記B相の電極に印加するB相電圧の周期波形とは、周期において一致し位相において差異を有するようにした静電アクチュエータ。
【選択図】 図1
【解決手段】 固定子基材とその表面に形成した帯線状の電極とを有する固定子と、前記電極の電位に応じた電荷が誘起される移動子基材を有する移動子と、前記電極に対して電圧を印加する電源部とを備える静電アクチュエータであって、前記固定子における前記帯線状の電極はA相とB相の2相の電極であって、それら2相の帯線状の電極は交互に平行となるように複数が配置され、それら複数の電極の各々における両側の電極間隔は非対称の所定間隔であり、前記電源部が前記A相の電極に印加するA相電圧の周期波形と、前記B相の電極に印加するB相電圧の周期波形とは、周期において一致し位相において差異を有するようにした静電アクチュエータ。
【選択図】 図1
Description
本発明は静電アクチュエータの技術分野に属する。特に、2相の電圧を印加することにより駆動を行う2相駆動静電アクチュエータに関する。
静電アクチュエータの形態として、フィルムを利用して薄型とした静電アクチュエータの発明が公知である。たとえば、図7に示す構成を有する静電アクチュエータの発明が公知である(特許文献1)。この静電アクチュエータは、図7に示すように、固定子(1)はガラスエポキシ基板(3)の表面にエッチングにより形成した帯状電極(4)(たとえば1.27mm間隔で100本)と、その上に塗布したエポキシ樹脂(5)と、そのエポキシ樹脂上に積層されたフィルム(6),(7)(たとえば0.1mm厚さのPETフィルム)とからなる。また、移動子(10)はフィルム状の絶縁体層(11)(たとえば0.1mm厚さのPETフィルム)および高抵抗体層(12)(たとえば0.1mm厚さのPETフィルムに帯電防止剤を塗布し表面抵抗が1012〜1016Ω/□)からなる。
特開平2−285978 この従来の静電アクチュエータにおいては、図8に示すように、固定子(1)を構成する絶縁体(2)に埋め込まれた第1の電極郡、第2の電極郡、第3の電極郡から成る3つの電極郡を備えている。図8(a)に示すように、(第1の電極郡,第2の電極郡,第3の電極郡)に対して(+V,−V,0)を印加すると、始めは電荷が存在していなかった高抵抗体層(12)内に電流が流れ、高抵抗体層(12)と絶縁体層(11)の境界に電荷が誘導され、図8(b)に示すように、平衡状態になる。この状態で移動子(10)は固定子(1)に吸引されている。
次に、図8(c)に示すように、(−V,+V,−V)を印加すると、各電極内の電荷は瞬時に移動するが、高抵抗体層(12)に誘導された電荷は抵抗値が高いためすぐには移動できない。電極の電荷と高抵抗体層(12)の電荷(鏡像電荷)は同符号となるので、反発力が発生し、移動子(10)は浮上する。また、電極4c1の−電荷と電極4b1の上の高抵抗体層(12)の+電荷(鏡像電荷)は吸引し、電極4c1の−電荷と電極4a1の上の高抵抗体層(12)の−電荷(鏡像電荷)は反発するので、移動子は左右方向の駆動力を受けて、右に移動する。1ピッチ移動すると、図8(d)に示すように、電極の電荷とその上の高抵抗体層(12)の電荷(鏡像電荷)とが異極性となるので、吸引力が働き、移動子(10)はそこで停止する。
すなわち、(第1の電極郡,第2の電極郡,第3の電極郡)に対して、(+V,−V,0)→(−V,+V,−V)→(0,+V,−V)→(−V,−V,+V)→(−V,0,+V)→(+V,−V,−V)→(+V,−V,0)を1周期として繰返し印加すると移動子は右に移動し続けることが可能である。
このように、従来の静電アクチュエータはその固定子(1)に3つの電極郡を備えており、それら3つの電極郡の各々に対して3相の電圧の各々を印加することによって移動子(10)を固定子(1)に対して移動する構成を有している。
すなわち、(第1の電極郡,第2の電極郡,第3の電極郡)に対して、(+V,−V,0)→(−V,+V,−V)→(0,+V,−V)→(−V,−V,+V)→(−V,0,+V)→(+V,−V,−V)→(+V,−V,0)を1周期として繰返し印加すると移動子は右に移動し続けることが可能である。
このように、従来の静電アクチュエータはその固定子(1)に3つの電極郡を備えており、それら3つの電極郡の各々に対して3相の電圧の各々を印加することによって移動子(10)を固定子(1)に対して移動する構成を有している。
ところで、固定子の各電極郡は干渉しないようにする(電気的に接続しないようにする)ことが必須である。固定子に2つの電極郡を形成するときには固定子の片面だけの使用でそれらの電極郡が干渉しないようにすることが可能である。しかし、固定子に3つの電極郡を形成するときには、固定子の片面だけの使用ではそれらの電極郡の干渉を避けることができないという問題がある。たとえば、スルーフォール等を形成して固定子の両面を使用する配線パターンを形成することによってそれらの電極郡の干渉を避ける必要性がある。
一方、従来は、静電アクチュエータを駆動するためには3つ以上の電極郡に対して3相以上の電圧を印加する必要性があると考えられており、2相で駆動する静電アクチュエータについては知られていなかった。たとえば、固定子に3相の電圧を印加し移動子に2相の電圧を印加する静電アクチュエータの発明が知られている(特許文献2)。また、固定子と移動子の双方に4相の電圧を印加して駆動する静電アクチュエータの発明が知られている(特許文献3)。
特開平6−78566
特開平8−98563 これら従来の静電アクチュエータに対して、2相で駆動する静電アクチュエータが実現されると、固定子における電極郡を片面配線パターンで済ますことができるだけでなく、電源部等の構成を簡略化することができる等の顕著なメリットがある。 本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、2相の電圧を印加することにより駆動する2相駆動静電アクチュエータを提供することにある。
一方、従来は、静電アクチュエータを駆動するためには3つ以上の電極郡に対して3相以上の電圧を印加する必要性があると考えられており、2相で駆動する静電アクチュエータについては知られていなかった。たとえば、固定子に3相の電圧を印加し移動子に2相の電圧を印加する静電アクチュエータの発明が知られている(特許文献2)。また、固定子と移動子の双方に4相の電圧を印加して駆動する静電アクチュエータの発明が知られている(特許文献3)。
本発明の請求項1に係る静電アクチュエータは、固定子基材とその表面に形成した帯線状の電極とを有する固定子と、前記電極の電位に応じた電荷が誘起される移動子基材を有する移動子と、前記電極に対して電圧を印加する電源部とを備える静電アクチュエータであって、前記固定子における前記帯線状の電極はA相とB相の2相の電極であって、それら2相の帯線状の電極は交互に平行となるように複数が配置され、それら複数の電極の各々における両側の電極間隔は非対称の所定間隔であり、前記電源部が前記A相の電極に印加するA相電圧の周期波形と、前記B相の電極に印加するB相電圧の周期波形とは、周期において一致し位相において差異を有するようにしたものである。
また、本発明の請求項2に係る静電アクチュエータは、請求項1に係る静電アクチュエータにおいて、前記非対称の所定間隔は1対2の比率を有する所定間隔であって、前記位相における差異は90度であるようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係る静電アクチュエータは、請求項1または2に係る静電アクチュエータにおいて、前記電源部を制御する制御部を備え、その制御部は前記A相電圧の周期波形に対して前記B相電圧の周期波形を進めるか遅らすかによって前記移動子の前記固定子に対する移動方向を切替える移動方向切替手段と、前記A相電圧の周期波形と前記B相電圧の周期波形の周期を変化することにより前記移動子の前記固定子に対する移動速度を調節する移動速度調節手段とを有するようにしたものである。
また、本発明の請求項2に係る静電アクチュエータは、請求項1に係る静電アクチュエータにおいて、前記非対称の所定間隔は1対2の比率を有する所定間隔であって、前記位相における差異は90度であるようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係る静電アクチュエータは、請求項1または2に係る静電アクチュエータにおいて、前記電源部を制御する制御部を備え、その制御部は前記A相電圧の周期波形に対して前記B相電圧の周期波形を進めるか遅らすかによって前記移動子の前記固定子に対する移動方向を切替える移動方向切替手段と、前記A相電圧の周期波形と前記B相電圧の周期波形の周期を変化することにより前記移動子の前記固定子に対する移動速度を調節する移動速度調節手段とを有するようにしたものである。
本発明の請求項1に係る静電アクチュエータによれば、固定子基材とその表面に形成した帯線状の電極とを有する固定子と、前記電極の電位に応じた電荷が誘起される移動子基材を有する移動子と、前記電極に対して電圧を印加する電源部とを備える静電アクチュエータであって、前記固定子における前記帯線状の電極はA相とB相の2相の電極であって、それら2相の帯線状の電極は交互に平行となるように複数が配置され、それら複数の電極の各々における両側の電極間隔は非対称の所定間隔であり、前記電源部が前記A相の電極に印加するA相電圧の周期波形と、前記B相の電極に印加するB相電圧の周期波形とは、周期において一致し位相において差異を有する。すなわち、その構成により駆動が可能である。したがって、2相の電圧を印加することにより駆動を行う2相駆動静電アクチュエータが提供される。
また、本発明の請求項2に係る静電アクチュエータによれば、請求項1に係る静電アクチュエータにおいて、前記非対称の所定間隔は1対2の比率を有する所定間隔であって、前記位相における差異は90度である。この構成の場合に高いエネルギー変換効率と高い駆動力とを得ることができる。
また、本発明の請求項3に係る静電アクチュエータによれば、請求項1または2に係る静電アクチュエータにおいて、前記電源部を制御する制御部を備え、その制御部の移動方向切替手段により前記A相電圧の周期波形に対して前記B相電圧の周期波形を進めるか遅らすかによって前記移動子の前記固定子に対する移動方向が切替えられ、移動速度調節手段により前記A相電圧の周期波形と前記B相電圧の周期波形の周期を変化することにより前記移動子の前記固定子に対する移動速度が調節される。したがって、固定子に対する移動子の移動方向と移動速度の制御を行うことができる。
また、本発明の請求項2に係る静電アクチュエータによれば、請求項1に係る静電アクチュエータにおいて、前記非対称の所定間隔は1対2の比率を有する所定間隔であって、前記位相における差異は90度である。この構成の場合に高いエネルギー変換効率と高い駆動力とを得ることができる。
また、本発明の請求項3に係る静電アクチュエータによれば、請求項1または2に係る静電アクチュエータにおいて、前記電源部を制御する制御部を備え、その制御部の移動方向切替手段により前記A相電圧の周期波形に対して前記B相電圧の周期波形を進めるか遅らすかによって前記移動子の前記固定子に対する移動方向が切替えられ、移動速度調節手段により前記A相電圧の周期波形と前記B相電圧の周期波形の周期を変化することにより前記移動子の前記固定子に対する移動速度が調節される。したがって、固定子に対する移動子の移動方向と移動速度の制御を行うことができる。
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明の静電アクチュエータにおける特徴的な構成は固定子における帯線状の電極のパターンにある。本発明の静電アクチュエータの固定子における電極のパターンの一例を図1に平面図として示す。図1において、100aはA相のリード線、100bはB相のリード線、101a,102a,103a,・・・はA相の電極、101b,102b,103b,・・・はB相の電極である。
A相のリード線100aは、図1に示す図配置において上下方向に延びる帯線状のリード線である。また、A相の電極101a,102a,103a,・・・の各々は、図1に示す図配置において左右方向に延びる帯線状の電極である。A相の電極101a,102a,103a,・・・の各々はそれらの一方の端部(左側の端部)においてA相のリード線100aにパターンが接続しており電気的に接続している。A相のリード線100aはA相の電極101a,102a,103a,・・・の各々に電圧を印加するための電気の通路となる共通の接続線である。A相のリード線100aは共通の接続線であるから大きな電力を供給できるようにリード線の幅(帯線幅)がA相の電極101a,102a,103a,・・・の各々の電極の幅(帯線幅)と比較して幅広となっている。
A相のリード線100aは、図1に示す図配置において上下方向に延びる帯線状のリード線である。また、A相の電極101a,102a,103a,・・・の各々は、図1に示す図配置において左右方向に延びる帯線状の電極である。A相の電極101a,102a,103a,・・・の各々はそれらの一方の端部(左側の端部)においてA相のリード線100aにパターンが接続しており電気的に接続している。A相のリード線100aはA相の電極101a,102a,103a,・・・の各々に電圧を印加するための電気の通路となる共通の接続線である。A相のリード線100aは共通の接続線であるから大きな電力を供給できるようにリード線の幅(帯線幅)がA相の電極101a,102a,103a,・・・の各々の電極の幅(帯線幅)と比較して幅広となっている。
同様に、B相のリード線100bは、図1に示す図配置において上下方向に延びる帯線状のリード線である。また、B相の電極101b,102b,103b,・・・の各々は、図1に示す図配置において左右方向に延びる帯線状の電極である。B相の電極101b,102b,103b,・・・の各々はそれらの一方の端部(右側の端部)においてB相のリード線100bにパターンが接続しており電気的に接続している。B相のリード線100bはB相の電極101b,102b,103b,・・・の各々に電圧を印加するための電気の通路となる共通の接続線である。B相のリード線100bは共通の接続線であるから大きな電力を供給できるようにリード線の幅(帯線幅)がB相の電極101b,102b,103b,・・・の各々の電極の幅(帯線幅)と比較して幅広となっている。
A相の電極101a,102a,103a,・・・の各々は、図1に一例を示すように、その他方の端部(右側の端部)がB相のリード線100bにそのパターンが接近するものの離れており電気的に切断されている。同様に、B相の電極101b,102b,103b,・・・の各々は、図1に一例を示すように、その他方の端部(左側の端部)がA相のリード線100aにそのパターンが接近するものの離れており電気的に切断されている。したがって、A相の電極パターンとB相の電極パターンとは干渉しない電極パターンとなっており、電気的に切断されている。このような干渉しない電極パターンを一平面内において実現できるのはA相とB相の2相の電極パターンの場合(または単相の電極パターンの場合)に限られる。
A相の電極101a,102a,103a,・・・の各々とB相の電極101b,102b,103b,・・・の各々は、図1に一例を示すように、交互に平行となるように配置されている。すなわち、A相の電極101a、B相の電極101b、A相の電極102a、B相の電極102b、A相の電極103a、B相の電極103b、・・・という順番に配置している。
また、図1に一例を示すように、それら複数の電極の各々における両側の電極間隔は非対称の所定間隔となっている。たとえば、B相の電極101bと、図1に示す図配置においてその上側のA相の電極101aとの電極間隔は、その下側のA相の電極102aとの電極間隔よりも狭くなっている。また、A相の電極102aと、図1に示す図配置においてその上側のB相の電極101bとの電極間隔は、その下側のB相の電極102bとの電極間隔よりも広くなっている。
このように電極間隔が非対称となるような電極パターンとすることによりA相とB相の2相の電圧印加によって移動子を固定子に対して移動させることが可能となる。特に、A相とB相の位相における差異が90度であるときに、その非対称の所定間隔が1対2の比率を有する所定間隔のときには、高いエネルギー変換効率と高い駆動力とを得ることができる。
なお、図1に示す一例においては、電極は直線の平行電極であるが、直線ではなく正弦波型、三角波型、等であってもよい。ここで平行とは数学的に完全な平行を意味せず、並行し交差しないことを意味している。
また、図1に一例を示すように、それら複数の電極の各々における両側の電極間隔は非対称の所定間隔となっている。たとえば、B相の電極101bと、図1に示す図配置においてその上側のA相の電極101aとの電極間隔は、その下側のA相の電極102aとの電極間隔よりも狭くなっている。また、A相の電極102aと、図1に示す図配置においてその上側のB相の電極101bとの電極間隔は、その下側のB相の電極102bとの電極間隔よりも広くなっている。
このように電極間隔が非対称となるような電極パターンとすることによりA相とB相の2相の電圧印加によって移動子を固定子に対して移動させることが可能となる。特に、A相とB相の位相における差異が90度であるときに、その非対称の所定間隔が1対2の比率を有する所定間隔のときには、高いエネルギー変換効率と高い駆動力とを得ることができる。
なお、図1に示す一例においては、電極は直線の平行電極であるが、直線ではなく正弦波型、三角波型、等であってもよい。ここで平行とは数学的に完全な平行を意味せず、並行し交差しないことを意味している。
本発明の静電アクチュエータの固定子は、上記の電極パターンを有する。このような電極パターンは、固定子基材の表面に形成される。すなわち固定子は、固定子基材と、その一方の表面に形成された電極とリード線を備える。また固定子は、それら電極とリード線の外面を電気的に絶縁するために固定子基材の表面、電極、リード線を被覆するように設けられた絶縁体(絶縁体層)を備えると好適である。また固定子は、移動子との接触面する面、たとえば絶縁体の表面または固定子基材の裏面には磨耗を防止するためのハードコート層を備えると好適である。また固定子と移動子との間で発生する摩擦力を軽減するために固定子と移動子との間に潤滑層を設けると、駆動の効率化、安定化、等において好適である。潤滑層としては流動体を使用することができる。
本発明の静電アクチュエータの固定子は、一例として上述の構成、すなわち固定子基材、電極とリード線、絶縁体、ハードコート層、潤滑層を順番に積層した構成とすることができる。次に、それらの構成の1つ1つについて説明する。
固定子基材はその表面に形成した電極の電極形状を保持するための基材となるフィルムである。固定子基材としては、電気的な絶縁性を有し、かつハンダ付における耐熱性を有するプラスチックフィルム、たとえばPI(PolyImide)フィルム、PET(PolyEthyleneTerephthalate)フィルム、PAI(PolyAmideImide)フィルム、等、あるいはプラスチックフィルムではない他の材料として、ガラス基板、ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、フッ素樹脂基板、コンポジット基板、等を使用することができる。
本発明の静電アクチュエータの固定子は、一例として上述の構成、すなわち固定子基材、電極とリード線、絶縁体、ハードコート層、潤滑層を順番に積層した構成とすることができる。次に、それらの構成の1つ1つについて説明する。
固定子基材はその表面に形成した電極の電極形状を保持するための基材となるフィルムである。固定子基材としては、電気的な絶縁性を有し、かつハンダ付における耐熱性を有するプラスチックフィルム、たとえばPI(PolyImide)フィルム、PET(PolyEthyleneTerephthalate)フィルム、PAI(PolyAmideImide)フィルム、等、あるいはプラスチックフィルムではない他の材料として、ガラス基板、ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、フッ素樹脂基板、コンポジット基板、等を使用することができる。
電極(リード線についても同様)は固定子基材の表面に形成された帯線状の電極である。電極はプリント回路を形成する周知の方法によって形成することができる。プリント回路の材料として銅箔とフィルムまたは基板を貼り合わせた銅貼フィルムが使用される。電極と固定子基材はその銅貼フィルムにおける銅箔の部分とフィルムの部分である。銅貼フィルムの銅箔面にエッチングレジストのパターンを形成してエッチングすることにより銅箔をパターン化することができる。帯線状の電極は、このパターン化した銅箔の部分として固定子基材の表面に形成される。
また、バックライトを透過させる等のために、電極として透明電極を必要とするときには、透明電極を形成する周知の方法によって電極を形成することができる。たとえば、ITO(酸化インジウム・スズ)を使用しスパッタリング、蒸着、等により基材に成膜しエッチングによりパターン化する、またはITOペーストをインキとし基材にスクリーン印刷して焼成する、等により透明電極を得ることができる。
また、バックライトを透過させる等のために、電極として透明電極を必要とするときには、透明電極を形成する周知の方法によって電極を形成することができる。たとえば、ITO(酸化インジウム・スズ)を使用しスパッタリング、蒸着、等により基材に成膜しエッチングによりパターン化する、またはITOペーストをインキとし基材にスクリーン印刷して焼成する、等により透明電極を得ることができる。
絶縁体は電極の露出している側の表面を被覆する絶縁体である。電極の固定子基材に貼り付いている側の表面は、当然ながら、固定子基材よって被覆されており電気的な絶縁性が確保されている。絶縁体はその表面に対して反対側となる固定子基材と電極の表面に密着して形成される。
絶縁体は電気的な絶縁性を得るためだけではなく、固定子の全体の剛性を高くして変形を小さくし、移動子基材に対面する固定子基材の表面の平坦性を確保する働きを有している。
ハードコート層は固定子基材と移動子基材との摩擦による磨耗から、保護するためのハードコート層である。ハードコート層は固定子基材と移動子基材とが対向する側の固定子基材の表面に形成する。このハードコート層は、固定子基材の厚さを極めて薄くしたときには(たとえば、20μm以下)、静電アクチュエータの耐久性において特に顕著な効果を示す構成要件となる。ハードコート層としては、周知のハードコート層を適用することができる。たとえば、フィルムに熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、等を塗布して硬化させ形成したハードコート層を適用することができる。
潤滑層は固定子と移動子との間で発生する摩擦力を軽減するために固定子と移動子とが対面する(接触する)面の間に設けた潤滑層である。潤滑層を設けることにより駆動の効率性、安定性、等を向上させることができる。潤滑層としては流動体を使用することができる。たとえば、シリコーンオイル、フッ素系液体(たとえば、フロリナート(商標))、等の不活性かつ電気絶縁性を有する液体を使用すると好適である。また、滑り抵抗ではなく、潤滑層と同様の作用効果を有する直径20μm程度のビーズを使用し転がり抵抗としてもよい。
絶縁体は電気的な絶縁性を得るためだけではなく、固定子の全体の剛性を高くして変形を小さくし、移動子基材に対面する固定子基材の表面の平坦性を確保する働きを有している。
ハードコート層は固定子基材と移動子基材との摩擦による磨耗から、保護するためのハードコート層である。ハードコート層は固定子基材と移動子基材とが対向する側の固定子基材の表面に形成する。このハードコート層は、固定子基材の厚さを極めて薄くしたときには(たとえば、20μm以下)、静電アクチュエータの耐久性において特に顕著な効果を示す構成要件となる。ハードコート層としては、周知のハードコート層を適用することができる。たとえば、フィルムに熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、等を塗布して硬化させ形成したハードコート層を適用することができる。
潤滑層は固定子と移動子との間で発生する摩擦力を軽減するために固定子と移動子とが対面する(接触する)面の間に設けた潤滑層である。潤滑層を設けることにより駆動の効率性、安定性、等を向上させることができる。潤滑層としては流動体を使用することができる。たとえば、シリコーンオイル、フッ素系液体(たとえば、フロリナート(商標))、等の不活性かつ電気絶縁性を有する液体を使用すると好適である。また、滑り抵抗ではなく、潤滑層と同様の作用効果を有する直径20μm程度のビーズを使用し転がり抵抗としてもよい。
本発明の静電アクチュエータは、上述の固定子とともに移動子を基本的な構成要素とする。また、当然ながら、静電アクチュエータは電圧印加により動作(移動)するアクチュエータであるから電源部を必用とし、その動作を制御するときには制御部を必要とする。 移動子はすくなくとも移動子基材を有するが、その移動の利用形態よって様々な態様の構成要素が付加される。たとえば、移動子の移動方向や移動範囲を規制する案内要素、移動子の移動を静電アクチュエータの駆動力として取り出すための伝達要素、移動子を保護するためのカバー、等を付加することができる。
移動子基材は、電極の電位に応じた電荷が誘起されるフィルムである。移動子基材は、その表面に誘起された電荷と電極の電位とによって決まる電気力(クーロン力)が作用して移動を行う。そのような作用を生じるために、移動子基材は、電位に応じた電荷が誘起される物性と、その電荷を一定の時間だけは保持する物性を有している。この物性は移動子基材の表面抵抗率が関係しており、表面抵抗率が約1012〜1015Ω/□程度が好適である。
移動子基材は、電極の電位に応じた電荷が誘起されるフィルムである。移動子基材は、その表面に誘起された電荷と電極の電位とによって決まる電気力(クーロン力)が作用して移動を行う。そのような作用を生じるために、移動子基材は、電位に応じた電荷が誘起される物性と、その電荷を一定の時間だけは保持する物性を有している。この物性は移動子基材の表面抵抗率が関係しており、表面抵抗率が約1012〜1015Ω/□程度が好適である。
移動子基材としては、PET(PolyEthyleneTerephthalate)フィルム、PP(PolyPropylene)フィルム、PS(PolyStyrene)フィルム、PVC(PolyVinylChloride)フィルム、PVDC(PolyVinyliDeneChloride)フィルム、PE(PolyEthylene)フィルム、PA(PolyAmide)フィルム、PI(PolyImide)フィルム、PLA(PolyLacticAcid:ポリチックフィルムを使用することができる。このようなプラスチックフィルムの表面物性は表面処理に大きく影響されることがある。したがって、上記のプラスチックフィルムであっても表面抵抗率を最適化する表面処理を必要性とすることがある。また、上記に限定されず、コーティング処理、等によって表面抵抗率を最適化することにより他の材料を使用することもできる。また、静電対策していないざら紙などに適当な表面処理をしてもよい。
次に、本発明の静電アクチュエータにおける電源部と制御部について説明する。本発明の静電アクチュエータにおける電源部と制御部の構成の一例をブロック図として図2に示す。図2(A)はブロック図、図2(B)と図2(C)は電源部の出力電圧波形の一例を示す。図2(A)において、1は制御部、2は電源部、11は移動方向切替手段、12は移動速度調節手段である。
制御部1は静電アクチュエータにおいて電源部を制御することにより移動子の移動制御を行う部分である。制御部1は移動方向切替手段11と移動速度調節手段12を備えている。
移動方向切替手段11は電源部2が電圧印加するA相電圧の周期波形に対して前記B相電圧の周期波形を進めるか遅らすかによって前記移動子の前記固定子に対する移動方向を切替える
移動速度調節手段12はA相電圧の周期波形とB相電圧の周期波形の周期を変化することにより移動子の固定子に対する移動速度を調節する。周期を短く、すなわち周波数を高くすると移動子の移動速度は速くなる。逆に、周期を長く、すなわち周波数を低くすると移動子の移動速度は遅くなる。
制御部1は静電アクチュエータにおいて電源部を制御することにより移動子の移動制御を行う部分である。制御部1は移動方向切替手段11と移動速度調節手段12を備えている。
移動方向切替手段11は電源部2が電圧印加するA相電圧の周期波形に対して前記B相電圧の周期波形を進めるか遅らすかによって前記移動子の前記固定子に対する移動方向を切替える
移動速度調節手段12はA相電圧の周期波形とB相電圧の周期波形の周期を変化することにより移動子の固定子に対する移動速度を調節する。周期を短く、すなわち周波数を高くすると移動子の移動速度は速くなる。逆に、周期を長く、すなわち周波数を低くすると移動子の移動速度は遅くなる。
電源部2は、制御部1の制御下において、A相とB相からなる2相の電圧を出力する。A相電圧の周期波形とB相電圧の周期波形は、通常は、正弦波または矩形波であるが、本発明においては、それらに限定されない。電源部の出力電圧波形が矩形波であるときの一例を図2(B)と図2(C)に示す。図2(B)と図2(C)に示す図配置おいて左右方向は時間経過を示す方向(時間軸)であり上下方向は電圧値の大小を示す方向(電圧軸)である。図2(B)に示す出力電圧波形においてはA相電圧の周期波形に対してB相電圧の周期波形は位相が90度だけ遅れている。一方、図2(C)に示す出力電圧波形においてはA相電圧の周期波形に対してB相電圧の周期波形は位相が90度だけ進んでいる。
図2(B)に示す出力電圧波形と図2(C)に示す出力電圧波形の切替えは移動方向切替手段11によって行われる。A相の電極101a,102a,103a,・・・の各々とB相の電極101b,102b,103b,・・・の各々は、図1に一例を示すように、交互の平行となるように配置されているが、移動子はそれらの電極の延びる方向に対して直角方向に移動する。図2(B)に示す出力電圧波形において移動子が移動する方向(たとえば図1に示す図配置において下方向)に対して図2(C)に示す出力電圧波形において移動子が移動する方向は反対方向(たとえば図1に示す図配置において上方向)になる。
図2(B)に示す出力電圧波形と図2(C)に示す出力電圧波形の切替えは移動方向切替手段11によって行われる。A相の電極101a,102a,103a,・・・の各々とB相の電極101b,102b,103b,・・・の各々は、図1に一例を示すように、交互の平行となるように配置されているが、移動子はそれらの電極の延びる方向に対して直角方向に移動する。図2(B)に示す出力電圧波形において移動子が移動する方向(たとえば図1に示す図配置において下方向)に対して図2(C)に示す出力電圧波形において移動子が移動する方向は反対方向(たとえば図1に示す図配置において上方向)になる。
電源部2は、図2(B)と図2(C)に示す一例において、接地電圧値Gに対して高い電圧値Hと低い電圧値Lの2つの電圧値のいずれかの電圧値を出力する。図2(B)においては接地電圧値Gに対して高い電圧値Hはプラスの電圧値であり低い電圧値Lはマイナスの電圧値である。このような電圧出力形態のときには、たとえば±350V〜±1000Vの電圧値が好適である。また、図2(C)においては接地電圧値Gに対して高い電圧値Hはプラスの電圧値であり低い電圧値Lは接地電圧値Gに等しい電圧値である。このような電圧出力形態のときには、たとえば700V〜2000Vの電圧値が好適である。また、図示しないが、接地電圧値Gに等しい電圧値を高い電圧値Hとし低い電圧値Lは接地電圧値Gに対してマイナスの電圧値とすることができる。このような電圧出力形態のときには、たとえば−700V〜−2000Vの電圧値が好適である。静電アクチュエータはキャパシターのような性質を有することを考慮すると、充電と放電とがバランスしていないと電荷が一方的に蓄積されて適正な動作を長時間に渡って維持し続けることができない理屈である。したがって、静電アクチュエータの構成や使用形態に適合するように図2(B)または図2(C)、あるいはそれらの中間の形態、その他の形態の電圧を出力するようにする。
以上、構成について説明した。次に、本発明の静電アクチュエータにおける動作について説明する。この動作の説明において、電源部2がA相のリード線100aとB相のリード線100bに印加する電圧波形を図3に示す。また、その図3に示す電圧波形が印加されたときの本発明の静電アクチュエータの動作を図4〜図6に示す。図4〜図6において3は移動子(または移動子基材)、4は固定子、101a,101b,102a,102b,・・・は電極上の電荷(白はプラス、黒はマイナス)、301a,301b,302a,302b,・・・は移動子3上の電荷(++はプラス、――はマイナス)である。
まず、ステップS1(初期状態)においては、図3のS1に示す時刻であって、A相のリード線100aとB相のリード線100bには電圧が印加されていない。したがって、図4に示すように、固定子4の電極101a,101b,102a,102b,・・・に電圧が印加されたことに起因して移動子3に誘起される電荷は発生していない。
次に、ステップS2(帯電)において、すなわち図3におけるS2の時刻において、A相のリード線100aにはHの電圧が印加され、B相のリード線100bにはLの電圧が印加される。このとき、固定子4の電気の良導体である電極101a,102a,103a,104aにはHの電圧が印加されたことにより図4に白い矩形で示すプラスの電荷が瞬時に生成し、それらの電極と対面する高抵抗体である移動子3の部位には固定子4のHの電圧に誘起されて一定時間経過後には図4に――で示すマイナスの電荷301a,302a,303aが生成される。同様に、固定子4の電気の良導体である電極101b,102b,103b,104bにはLの電圧が印加されたことにより図4に黒い矩形で示すマイナスの電荷が瞬時に生成し、それらの電極と対面する高抵抗体である移動子3の部位には固定子4のLの電圧に誘起されて一定時間経過後には図4に++で示すプラスの電荷301b,302b,303bが生成される。
まず、ステップS1(初期状態)においては、図3のS1に示す時刻であって、A相のリード線100aとB相のリード線100bには電圧が印加されていない。したがって、図4に示すように、固定子4の電極101a,101b,102a,102b,・・・に電圧が印加されたことに起因して移動子3に誘起される電荷は発生していない。
次に、ステップS2(帯電)において、すなわち図3におけるS2の時刻において、A相のリード線100aにはHの電圧が印加され、B相のリード線100bにはLの電圧が印加される。このとき、固定子4の電気の良導体である電極101a,102a,103a,104aにはHの電圧が印加されたことにより図4に白い矩形で示すプラスの電荷が瞬時に生成し、それらの電極と対面する高抵抗体である移動子3の部位には固定子4のHの電圧に誘起されて一定時間経過後には図4に――で示すマイナスの電荷301a,302a,303aが生成される。同様に、固定子4の電気の良導体である電極101b,102b,103b,104bにはLの電圧が印加されたことにより図4に黒い矩形で示すマイナスの電荷が瞬時に生成し、それらの電極と対面する高抵抗体である移動子3の部位には固定子4のLの電圧に誘起されて一定時間経過後には図4に++で示すプラスの電荷301b,302b,303bが生成される。
次に、ステップS3(移動開始)において、すなわち図3におけるS3の時刻において、A相のリード線100aにはHの電圧が印加され、B相のリード線100bにはHの電圧が印加される。このとき、固定子4の電極101a,102a,103a,104aにはステップS2に引き続いてHの電圧が印加されているから図4に白い矩形で示すプラスの電荷が生成したままであり、固定子4の電気の良導体である電極101b,102b,103b,104bにはHの電圧が印加されたことにより図4に白い矩形で示すプラスの電荷が瞬時に生成する。その一方で、高抵抗体である移動子3にステップS2において生成した電荷は一定時間経過後となるまではそのまま残っている。したがって、移動子3に生じたマイナスの電荷301a,302a,303aと固定子4の電極に生じたプラスの電荷101a,101b,102a,102b,・・・との間には引力が生じ、移動子3には図4に示す配置における右側へと自身を移動する力が働く。また、移動子3に生じたプラスの電荷301b,302b,303bと固定子4の電極に生じたプラスの電荷101a,101b,102a,102b,・・・との間には斥力が生じ、移動子3には図4に示す図配置における右側へと自身を移動する力が働く。それらの引力と斥力によって移動子3は図4に示す配置における右側へと移動を開始する。
次に、ステップS4(移動終了)において、すなわち図3におけるS4の時刻において、ステップS3における移動が進み引力と斥力とが釣合う位置で移動子3は移動を停止する(ここでは、その他の力たとえば摩擦力等については考慮しない)。
次に、ステップS4(移動終了)において、すなわち図3におけるS4の時刻において、ステップS3における移動が進み引力と斥力とが釣合う位置で移動子3は移動を停止する(ここでは、その他の力たとえば摩擦力等については考慮しない)。
次に、ステップS5(移動開始)において、すなわち図3におけるS5の時刻において、A相のリード線100aにはLの電圧が印加され、B相のリード線100bにはHの電圧が印加される。このとき、固定子4の電気の良導体である電極101a,102a,103a,104aにはLの電圧が印加されたことにより図5に黒い矩形で示すマイナスの電荷が瞬時に生成し、固定子4の電極101b,102b,103b,104bにはステップS2に引き続いてHの電圧が印加されているから図5に白い矩形で示すプラスの電荷が生成したままである。その一方で、高抵抗体である移動子3にステップS2において生成した電荷は一定時間経過後となるまではそのまま残っている。したがって、移動子3に生じたマイナスの電荷301a,302a,303aと固定子4の電極に生じたプラスの電荷101b,102b,103bとの間には引力が生じ、また、移動子3に生じたマイナスの電荷301a,302a,303aと固定子4の電極に生じたマイナスの電荷101a,102a,103aとの間には斥力が生じ、移動子3には図5に示す配置における右側へと自身を移動する力が働く。さらに、移動子3に生じたプラスの電荷301b,302b,303bと固定子4の電極に生じたプラスの電荷101b,102b,103bとの間には斥力が生じ、また、移動子3に生じたプラスの電荷301b,302b,303bと固定子4の電極に生じたマイナスの電荷102a,103a,104aとの間には引力が生じ、移動子3には図5に示す配置における右側へと自身を移動する力が働く。それらの引力と斥力によって移動子3は図5に示す図配置における右側へと移動を開始する。
次に、ステップS6(移動終了)において、すなわち図3におけるS6の時刻において、ステップS5における移動が進み引力と斥力とが釣合う位置で移動子3は移動を停止する。
次に、ステップS6(移動終了)において、すなわち図3におけるS6の時刻において、ステップS5における移動が進み引力と斥力とが釣合う位置で移動子3は移動を停止する。
次に、ステップS7(移動開始)において、すなわち図3におけるS7の時刻において、A相のリード線100aにはLの電圧が印加され、B相のリード線100bにはLの電圧が印加される。このとき、固定子4の電極101a,102a,103a,104aにはステップS2に引き続いてLの電圧が印加されているから図6に黒い矩形で示すマイナスの電荷が生成したままであり、固定子4の電気の良導体である電極101b,102b,103b,104bにはLの電圧が印加されたことにより図6に黒い矩形で示すマイナスの電荷が瞬時に生成する。その一方で、高抵抗体である移動子3にステップS2において生成した電荷は一定時間経過後となるまではそのまま残っている。したがって、移動子3に生じたマイナスの電荷301a,302a,303aと固定子4の電極に生じたマイナス電荷101b,102b,103bとの間には斥力が生じ、移動子3には図6に示す配置における右側へと自身を移動する力が働く。さらに、移動子3に生じたプラスの電荷301b,302b,303bと固定子4の電極に生じたマイナスの電荷102a,103a,104aとの間には引力が生じ、移動子3には図6に示す配置における右側へと自身を移動する力が働く。それらの引力と斥力によって移動子3は図6に示す図配置における右側へと移動を開始する。
次に、ステップS8(移動終了)において、すなわち図3におけるS8の時刻において、ステップS7における移動が進むと引力と斥力とが釣合う位置で移動子3は移動を停止する。
次に、ステップS8(移動終了)において、すなわち図3におけるS8の時刻において、ステップS7における移動が進むと引力と斥力とが釣合う位置で移動子3は移動を停止する。
次に、ステップS9(移動開始)において、すなわち図3におけるS9の時刻において、A相のリード線100aにはHの電圧が印加され、B相のリード線100bにはLの電圧が印加される。このとき、固定子4の電気の良導体である電極101a,102a,103a,104aにはHの電圧が印加されたことにより図6に白い矩形で示すプラスの電荷が瞬時に生成し、固定子4の電極101b,102b,103b,104bにはステップS7に引き続いてLの電圧が印加されているから図5に黒い矩形で示すマイナスの電荷が生成したままである。その一方で、高抵抗体である移動子3にステップS2において生成した電荷は一定時間経過後となるまではそのまま残っている。したがって、移動子3に生じたマイナスの電荷301a,302a,303aと固定子4の電極に生じたプラスの電荷102a,103a,104aとの間には引力が生じ、また、移動子3に生じたマイナスの電荷301a,302a,303aと固定子4の電極に生じたマイナスの電荷101b,102b,103bとの間には斥力が生じ、移動子3には図6に示す図配置における右側へと自身を移動する力が働く。さらに、移動子3に生じたプラスの電荷301b,302b,303bと固定子4の電極に生じたプラスの電荷102b,103b,104bとの間には斥力が生じ、また、移動子3に生じたプラスの電荷301b,302b,303bと固定子4の電極に生じたマイナスの電荷102b,103b,104bとの間には引力が生じ、移動子3には図6に示す配置における右側へと自身を移動する力が働く。それらの引力と斥力によって移動子3は図6に示す図配置における右側へと移動を開始する。
次のステップは、ステップS2(移動終了)における移動子3と固定子4の配置と同等の配置になる。すなわち図3におけるS2と同等の時刻において、ステップS9における移動が進み引力と斥力とが釣合う位置で移動子3は移動を停止する。この後は、上記のステップの繰り返しとなる。
次のステップは、ステップS2(移動終了)における移動子3と固定子4の配置と同等の配置になる。すなわち図3におけるS2と同等の時刻において、ステップS9における移動が進み引力と斥力とが釣合う位置で移動子3は移動を停止する。この後は、上記のステップの繰り返しとなる。
以上、固定子4に対して移動子3を、図4〜図6に示す図配置において右側へ移動する過程について説明した。図3に示す電圧波形においては、A相に対してB相の位相が遅れている電圧波形であった。反対の左側へ移動子3を移動するためには、すでに説明したように、制御部1の移動方向切替手段11によって電源部2を操作し、A相に対してB相の位相が進んでいる電圧波形とすればよい。また、移動速度を速くするときには、制御部1の移動速度調節手段12によって電源部を操作し、A相とB相の電圧波形の周期を短く(周波数を高く)すればよい。反対に、移動速度を遅くするときには、制御部1の移動速度調節手段12によって電源部を操作し、A相とB相の電圧波形の周期を長く(周波数を低く)すればよい。
1 制御部
2 電源部
11 移動方向切替手段
12 移動速度調節手段
100a A相のリード線
100b B相のリード線
101a,102a,103a,・・・ A相の電極
101b,102b,103b,・・・ B相の電極
2 電源部
11 移動方向切替手段
12 移動速度調節手段
100a A相のリード線
100b B相のリード線
101a,102a,103a,・・・ A相の電極
101b,102b,103b,・・・ B相の電極
Claims (3)
- 固定子基材とその表面に形成した帯線状の電極とを有する固定子と、前記電極の電位に応じた電荷が誘起される移動子基材を有する移動子と、前記電極に対して電圧を印加する電源部とを備える静電アクチュエータであって、
前記固定子における前記帯線状の電極はA相とB相の2相の電極であって、それら2相の帯線状の電極は交互に平行となるように複数が配置され、それら複数の電極の各々における両側の電極間隔は非対称の所定間隔であり、
前記電源部が前記A相の電極に印加するA相電圧の周期波形と、前記B相の電極に印加するB相電圧の周期波形とは、周期において一致し位相において差異を有する、
ことを特徴とする静電アクチュエータ。 - 請求項1に記載の静電アクチュエータにおいて、前記非対称の所定間隔は1対2の比率を有する所定間隔であって、前記位相における差異は90度であることを特徴とする静電アクチュエータ。
- 請求項1または2に記載の静電アクチュエータにおいて、前記電源部を制御する制御部を備え、その制御部は前記A相電圧の周期波形に対して前記B相電圧の周期波形を進めるか遅らすかによって前記移動子の前記固定子に対する移動方向を切替える移動方向切替手段と、前記A相電圧の周期波形と前記B相電圧の周期波形の周期を変化することにより前記移動子の前記固定子に対する移動速度を調節する移動速度調節手段とを有することを特徴とする静電アクチュエータ。
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Cited By (2)
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JP2011250624A (ja) * | 2010-05-28 | 2011-12-08 | Dainippon Printing Co Ltd | 静電アクチュエータ |
WO2015008559A1 (ja) * | 2013-07-19 | 2015-01-22 | 株式会社村田製作所 | 気流発生装置 |
-
2008
- 2008-05-19 JP JP2008131209A patent/JP2009284574A/ja not_active Withdrawn
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JP5874863B2 (ja) * | 2013-07-19 | 2016-03-02 | 株式会社村田製作所 | 気流発生装置 |
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