以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[第1の実施例]
<カラー画像形成装置の概略断面図>
図1に、本実施例に係る電子写真方式のカラー画像形成装置の一例を示す。図1は、中間転写体としての中間転写ベルト27を採用したタンデム方式のカラー画像形成装置の概略断面図である。
本実施例に係るカラー画像形成装置における画像形成部の動作を説明する。
まず、入力画像データ(入力された画像信号)より変換された露光時間に基づいて点灯させる露光光により、感光体上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成し、続いてこの単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成する。その後、形成された多色トナー像を記録媒体としての記録紙11(記録媒体上)へ転写し、記録紙11上に多色トナー像を定着させる。
画像形成部は、給紙部21a、21b、感光ドラム22Y〜22K、注入帯電器23Y〜23K、トナーカートリッジ25Y〜25K、現像器26Y〜26K、中間転写ベルト27、転写ローラ28及び定着部30によって構成されている。なお、例えば、「感光ドラム22Y〜22K」は、「感光ドラム22Y、22M、22C、22K」を省略して表記したものである。
像担持体としての感光ドラム22Y、22M、22C、22Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像色分並置したステーション毎に設けられる。感光ドラム22Y〜22Kは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して形成され、不図示の駆動モータの駆動力が伝達されて回転する。駆動モータは、感光ドラム22Y〜22Kを画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させる。
一次帯電手段としての注入帯電器23Y、23M、23C、23Kは、ステーション毎に備えられ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の感光ドラム22Y〜22Kの表面を一様に帯電する。各注入帯電器23Y〜23Kには、スリーブ23YS、23MS、23CS、23KSが備えられている。
露光手段としてのスキャナ部24Y、24M、24C、24Kからの入力画像データに基づく露光光は、感光ドラム22Y〜22Kへ送られ、感光ドラム22Y〜22Kの表面を選択的に露光する。これにより、感光ドラム22Y〜22K表面上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
現像手段としての現像器26Y、26M、26C、26Kは、ステーション毎に備えられる。各現像器26Y〜26Kはそれぞれ、現像材としてのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを用いて感光ドラム22Y〜22K表面上に形成された静電潜像を単色トナー像として可視化する。各現像器26Y〜26Kには、現像器26Y〜26Kに各色トナーを供給するトナーカートリッジ25Y、25M、25C、25Kが備えられる。また、各現像器26Y〜26Kには、スリーブ26YS、26MS、26CS、26KSが設けられている。各現像器26Y〜26Kは着脱可能にカラー画像形成装置に取り付けられている。
中間転写体としての中間転写ベルト27は、感光ドラム22Y〜22Kに接触しており、画像形成時に感光ドラム22Y〜22Kの回転に伴って時計周り方向に回転する。各感光ドラム22Y〜22Kの表面に形成された単色トナー像が、中間転写ベルト27上に重畳転写されて、多色トナー像が形成される。
その後、中間転写ベルト27に転写手段としての転写ローラ28が接触して、給紙部21a、21bから搬送されてきた記録紙11を狭持搬送し、記録紙11に中間転写ベルト27上の多色トナー像を転写する。転写ローラ28は、中間転写ベルト27に対して当接(28aの位置)及び離間(28bの位置)が可能である。転写ローラ28は、記録紙11上に多色トナー像を転写している間は28aの位置で記録紙11に当接し、画像形成処理後は28bの位置に離間する。
定着手段としての定着部30は、記録紙11を搬送しながら、記録紙11上に転写された多色トナー像を溶融定着させるものである。定着部30は、記録紙11を加熱する定着ローラ31と、記録紙11を定着ローラ31に圧接させるための加圧ローラ32を備えている。定着ローラ31と加圧ローラ32は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ33、34が内蔵されている。多色トナー像を保持した記録紙11は、定着ローラ31と加圧ローラ32により搬送されるとともに、熱及び圧力を加えられ、トナーが記録紙11表面に定着される。
多色トナー像定着後の記録紙11は、その後不図示の排出ローラによって不図示の排紙トレーに排出されて画像形成動作を終了する。
クリーニング手段としてのクリーナ29は、中間転写ベルト27上に残ったトナーをクリーニングするものである。中間転写ベルト27上に形成された4色の多色トナー像を記録紙11に転写した後の廃トナーは、クリーナ29のクリーナ容器に蓄えられる。
<カラー画像形成装置の機能ブロック図>
次に、本実施例における信号処理の構成を、図2Aを用いて説明する。図2Aは、本実施例に係るカラー画像形成装置における信号処理構成を示すブロック図である。
例えば、不図示のホストコンピュータよりプリント命令が発せられると、ホストコンピュータ上のドライバ201からは印刷データとしてのページ記述言語が送出され、カラー画像形成装置内のコントローラ211へ入力される。なお、ビットマップイメージを出力する場合にはこのページ記述言語にビットマップデータが含まれる。カラー画像形成装置が不図示の画像読取部と操作部を備え、プリント命令がこの操作部から発せられ、印刷データとして画像情報が画像読取部から送出される構成であってもよい。
また、プリント時にはユーザが文書画像、グラフィック画像、写真画像等の画像の属性を指定するか、あるいはアプリケーション等から自動的に判別するなどして、ドライバ201でプリントされる印刷データの属性が決定される。そして、属性情報213として中間調処理手段としての中間調処理部207へ入力される。
コントローラ211内にはデコーダ202、バンドメモリA 203、バンドメモリB 204、色変換処理部205、γ補正部206、中間調処理部207が配置される。入力された印刷データ(例えばページ記述言語)はデコーダ202で解釈され、RGB各8ビットの画像データに変換される。RGBの画像データはバンドメモリへ入力される。バンドメモリはバンドメモリA 203、バンドメモリB 204の2つのメモリから構成されており、1つのメモリは数ライン分の画像データを格納可能である。
まず、先頭の所定ライン分の画像領域がバンドメモリA 203へ展開され、次の所定ライン数分の画像領域がバンドメモリB 204へ展開されている間に、バンドメモリA 203からはRGBの画像データが出力される。さらに次の所定ライン数分の画像領域がバンドメモリA 203に展開されている間にバンドメモリB 204からはRGBの画像データが出力される。このように2つのバンドメモリに交互に画像データが展開、出力される構成となっている。
バンドメモリA 203及びバンドメモリB 204から出力されたRGB画像データは、パラレルに色変換処理部205へと入力される。色変換処理部205に入力されたRGB画像データは、所定の色変換処理及びUCR(Under Color Removal:下色除去)処理が施され、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の画像信号へと変換される。本実施例のカラー画像形成装置は上述したようにY、M、C、K各色1画面ずつ形成する。そのため、色変換処理部205からは面順次、すなわちYの1画面分のデータ、Mの1画面分のデータ、Cの1画面分のデータ、Kの1画面分のデータ、の順に画像信号が時間差をおいて出力される。さらに、色変換処理部205からは現在出力している色を通知する色指定信号214がエンジン212へ送られる。
色変換処理部205から出力された各色の画像信号は、γ補正部206によって出力濃度曲線が最適となるように補正をかけられ、中間調処理部207で組織的ディザ法等によって中間調処理が行われる。
エンジン212内には情報付加処理部208、PWM(Pulse Width Modulation)処理部209、レーザ駆動部210が配置される。供給元であるコントローラ211から供給される、中間調処理部207で中間調処理が施された画像信号には、情報付加処理部208にて追跡情報が付加される。その後PWM処理部209でパルス幅変調をかけられ、D/A(デジタルアナログ)変換された後にレーザ駆動部210へと入力され、記録紙11上に印刷される。
<中間調処理の説明>
次に本実施例における中間調処理部207での中間調処理について説明する。本実施例では、画像形成装置の固有IDなどを予め定められた追跡情報として付加するものとする。
中間調処理部207では、ディザA、ディザBの2種類のディザテーブル(異なる複数の中間調処理)を格納している。ディザAは文書やグラフィック画像用のディザ、ディザBは写真画像用のディザである。中間調処理部207では、入力される属性情報213に基づいて、属性情報213が文書、グラフィック画像を示していればディザAを、属性情報213が写真画像を示していればディザBを選択し、選択されたディザテーブルを用いて中間調処理を行う。また、中間調処理部207からは図2Bに示すハーフトーン情報215がエンジン212へ送られる。言い換えればハーフトーン情報215はエンジン212により取得される。ハーフトーン情報215は、画像信号のどこから中間調処理を開始したかを示す中間調処理基準位置301と、ディザA、ディザBどちらを選択したかを示すディザ種類情報302とを有している。後述にて詳しく説明するが、この中間調処理基準位置301は、付加信号の網点に対する相対位置を決定する為の位置情報として機能する。
図3、図4、図5はサンプルの入力データに対してディザAを用いて中間調処理を行った結果の網点の状態を示す図である。図3、図4、図5の順に濃度が高くなるときの網点の様子を示している。また、ディザAに対する、ディザの最小矩形の主走査方向、副走査方向のサイズをそれぞれDxA、DyAとする。図3、図4、図5に示されるように、もともとの画像信号の濃度に応じて、どのような大きさ/成長方向の網点が形成されるかは異なってくる。しかし、1以上の網点がどのようなパターン/周期で規則的に繰り返されるかは図3乃至5において一定であり、このことを本実施例では、中間調処理周期と呼ぶ。
図6、図7、図8はサンプルの入力データに対してディザBを用いて中間調処理を行った結果の網点の状態を示す図である。図6、図7、図8の順に濃度が高くなるときの網点の様子を示している。また、ディザBに対する、ディザの最小矩形の主走査方向、副走査方向のサイズをそれぞれDxB、DyBとする。
図3〜図8の1マスは画像形成装置の1画素を表しており、斜線で示した部分に網点が形成される。また、図の太線で囲まれた矩形はディザの主走査方向、副走査方向の繰り返しの最小矩形を表している。
<付加信号の付加方法>
次に、本実施例における追跡情報を示す付加信号の付加方法について説明する。なお、ここで追跡情報と付加信号との関係を定義する。追記情報と付加信号との関係について、追跡情報とは付加信号をある特定のパターンで付加することにより形成されるものであり、例えば、画像形成装置の固有IDを表している。一方、付加信号とは、追跡情報を形成する為の画素(1画素以上からなる)に相当する。
情報付加処理部208で行われる追跡情報の付加は、イエローの画素データに操作を加えることによって行う。すなわち、イエローの画素データに一定の規則にしたがった付加信号のパターンを配置することにより行う。ここでは25bitの追跡情報を表すことを考える。
付加信号は、図9のp(0,0)〜p(4,4)で示すような、各格子点上に付加され得る。このp(0,0)〜p(4,4)で示す各格子点の位置を付加候補ポジションと呼ぶ。後述にて詳しく説明するが、このp(0,0)〜p(4,4)の各々には、実際には具体的なカウンタ値(i、j)が対応することとなり、留意する点としてP(M、N)のM、Nはカウンタ値を示すものではない。各付加候補ポジションはX方向にTx、Y方向にTyの間隔で配置される。この付加信号が付加される基本的な間隔Tx、Tyを付加周期と呼ぶ。この付加周期は、予め定められたものであり、付加信号により形成される/され得る付加ドットの最小間隔にも該当する。
また、各付加候補ポジションには1ビットの情報が割り当てられ、ビットの値が1の場合は付加信号が付加され、0の場合は付加信号が付加されない。なお、付加信号が付加された付加候補ポジションを付加ポジションということとする。追跡情報に応じて、付加候補ポジションp(0,0)〜p(4,4)のそれぞれのビット値q(0,0)〜q(4,4)の組み合わせを決める。なお、ビット値q(0,0)〜q(4,4)の各々がオン(ON)に対応するかオフ(OFF)に対応するかについては、表1に示す通りとなる。また、このビット値の組み合わせに基づいて構成される付加候補ポジションp(0,0)〜p(4,4)に対する付加信号のON、OFFのパターンを、付加パターンと呼ぶ。なお、図9の303は付加候補ポジションの開始位置(p(0,0))を示す。
図10に、追跡情報に基づく付加パターンの一例を示す。図10において、格子点p(0,0)〜p(4,4)は付加候補ポジションを示しており、各格子点のうちビット値が1、すなわち、付加信号を付加する格子点の箇所を黒丸で示している。すなわち、黒丸で示した箇所、例えばp(0,0)、p(0,2)、p(0,4)等は付加ポジションである。画像形成時には、図10に示す付加パターンが画像全体に繰り返される。図10における、各付加候補ポジションp(0,0)〜p(4,4)におけるビット値q(0,0)〜q(4,4)は、表1に示すような25bitの情報を表すことになる。
図11は、図10に示した付加パターン(付加候補ポジションp(0,0)〜p(4,4)に対する付加信号のON、OFFのパターン)を画像全体に繰り返した様子を表したものである。図11の格子点P(0,0)〜P(M,N)は付加候補ポジションp(0,0)〜p(4,4)を画像全体に展開した付加候補ポジションを示している。また、各格子点のうち黒丸で示した位置に付加信号を付加する様子を表している。なお、P(M,N)は画像終端の付加候補ポジションである。また、付加信号が付加された付加候補ポジションは、付加候補ポジションp(0,0)〜p(4,4)についての場合と同様に付加ポジション(例えば、P(5,0)、P(5,2)、P(5,4)等)とする。
また、図11において、太線枠で囲った部分が、図10で示した付加パターンに対応しており、この付加パターンを主走査方向及び副走査方向に周期的に展開した様子を示している。すなわち、太枠で囲った部分は、付加パターンの最小単位である。なお、実際にA4サイズの記録紙の一面に数百の付加パターンが繰り返し形成される。
ここで、図11における、各付加候補ポジションP(0,0)〜P(M,N)におけるビットの値をQ(0、0)〜Q(M、N)で表す。このとき、ビット値Q(i、j)は次式で表される。
Q(i、j)=q(MOD(i,5)、MOD(j,5))
ただし、MOD(a,b)はa/bの剰余を表す。
<情報付加処理部208の説明>
次に情報付加処理部208の動作について説明する。
図12Aは、情報付加処理部208のブロック図である。
ROM222には追跡情報として例えば画像形成装置の個別IDが記憶されている。CPU221は画像形成時にROM222より個別IDを受信し、RAM223へ格納する。格納された個別IDデータは、各ビットの位置を所定の規則に従う入れ替えを行なうことによりスクランブルが施され、さらに所定の規則(暗号化規則)に従い暗号化され、さらに各付加候補ポジションに割り当てられるためのON,OFF情報へ変換される。この予め定められた追跡情報を示す信号を付加パターン信号229と呼ぶ。付加パターン信号229はCPU221より付加信号生成部225へ入力される。また、CPU221は、色変換処理部205から色指定信号214を受信し、付加信号生成部225に通知する。
また、ROM222には予め付加位置パラメータ230が各ディザの種類に対応して記憶されている。後述で詳細に説明するが、この付加位置パラメータ230により、中間調処理周期と実際に形成される付加ドットの最小間隔との公倍数に従う画像領域内で、付加信号が網点と重ならないようにする為の、網点と付加信号との相対位置を間接的に設定できる。網点と付加信号との相対位置について、例えば図14と、図16の各々における、網点と付加信号との相対位置は異なっている。図16に示されるように、なるべく網点と全ての付加ドット(付加候補ポジション)が重ならないようにした相対位置の設定が望ましい。CPU221は中間調処理部207よりハーフトーン情報215を受け取り、ディザ種類情報302で選択されたディザに対応する付加位置パラメータ230を付加候補ポジション計算部224(位置情報取得手段)に通知する。付加候補ポジション計算部224は、各ディザに対して最適な付加候補ポジションを示す付加候補ポジション信号231を、付加位置パラメータ230より計算して、付加信号生成部225に通知する。付加候補ポジション計算部224の詳細な動作については後述する。
また、ROM222には、後述の図10における黒丸の部分に対応して付加される不図示の付加ドット形状データが記憶されている。なお本実施例では、付加ドットは1画素から成る形状であるとする。
主走査カウンタ226は画像信号の主走査方向のクロック信号VCLKに従ってカウント動作を行い、付加信号生成部225へ主走査方向のカウント数を通知する。また、副走査カウンタ227は副走査方向のクロック信号LCLKに従ってカウント動作を行い、付加信号生成部225へ副走査方向のカウント数を通知する。
付加信号生成部225は、付加候補ポジション信号231で示す各付加候補ポジションと付加パターン信号229で示すON、OFF情報と付加ドット形状データとに従い、カウント数が付加信号を付加するべき値になったら不図示の付加指定信号をONにする。そして、付加信号生成部225により発生させた付加信号232を付加信号付加処理部228へ入力する。これは、CPU221から通知される色指定信号214がイエローを指定しているときにのみ行なう。
付加信号付加処理部228(信号付加手段)は、付加指定信号がONの場合には、入力された画像信号に付加信号生成部225から入力された付加信号232を重畳し、付加信号232の重畳された画像信号を出力する。
<情報付加処理の流れ>
次に、画像形成における情報付加処理部208の情報付加処理の流れについて図12Bに示す。なお、図12Bのフローチャートは、エンジン212がコントローラ211から画像信号を受信するコントローラ211からのTOP信号の通知に応じて実行される。言い換えれば、記録紙11の1面分の画像形成を行なう毎に実行される。
情報付加処理が開始されると(ステップ400)、コントローラ211は主走査方向の画像サイズW(単位は画素数)及び副走査方向の画像サイズL(単位は画素数)をCPU221へ通知する。また、CPU221はWを主走査カウンタ226へ、Lを副走査カウンタ227へそれぞれ通知する(ステップ401)。次にCPU221は、色指定信号214がイエローかどうかを判定する(ステップ402)。ステップ402が真の場合はステップ403へ進み、偽の場合はステップ413へ進んで情報付加処理を終了する。ステップ403では、CPU221はディザ種類情報302を格納する変数Xを初期化(初期値はX=ディザ情報なし)して、値をRAM223に格納する。次に副走査カウンタ227は、副走査カウンタ値iをゼロに初期化する(ステップ404)。次に主走査カウンタ226は、主走査カウンタ値jをゼロに初期化する(ステップ405)。次に、CPU221及び付加候補ポジション計算部224は、付加候補ポジション更新処理を実行する(ステップ406)。なお、付加候補ポジション更新処理(ステップ406)の詳細は後述する。
次に付加信号生成部225は、付加信号生成を行なう(ステップ407)。次に、付加信号を画像信号に付加する付加信号付加処理部228は、付加信号232を画像信号に重畳し、付加信号232の重畳された画像信号を出力する(ステップ408)。
次に主走査カウンタ226において、主走査方向のクロック信号VCLKに従って、主走査カウンタ値jに1を加算する(ステップ409)。次に、jとWを比較する(ステップ410)。ステップ410が真の場合はステップ406へ進み、偽の場合はステップ411へ進む。ステップ411では、副走査方向のクロック信号LCLKに従って、副走査カウンタ値iに1を加算する。次に、iとLを比較する(ステップ412)。ステップ412が真の場合はステップ405へ進み、偽の場合はステップ413へ進んで情報付加処理を終了する。
〜付加候補ポジション更新処理の流れ〜
次に、付加候補ポジション更新処理(ステップ406)の流れを図12Cに示す。
付加候補ポジション更新処理が開始されると(ステップ4061)、CPU221はハーフトーン情報215内のディザ種類情報302と変数Xを比較する(ステップ4062)。なお変数Xは、画像形成開始後初めて付加候補ポジション更新処理(ステップ406)が実行される場合は「X=ディザ情報なし」であり(図12B、ステップ403)、それ以外の場合は「X=ディザA」または「X=ディザB」である。ステップ4062が真の場合はステップ4063へ進み、偽の場合はステップ4067へ進んで付加候補ポジション更新処理を終了する。ステップ4063では、CPU221は、変数Xの値をディザ種類情報302の値に上書きする。次に、付加候補ポジション計算部224は、CPU221から送られた付加位置パラメータ230を受信(取得)する(ステップ4064)。次に、付加候補ポジション計算部224は、付加候補ポジションを計算する(ステップ4065)。次に、付加候補ポジション計算部224は付加信号生成部225へ付加候補ポジション信号231を送信して(ステップ4066)、付加候補ポジション更新処理を終了する(ステップ4067)。
なお本実施例では、付加候補ポジション更新処理(ステップ406)が、画像信号の伝送速度に対して高速に実行されるとする。
<付加候補ポジション計算部224の動作説明>
〜ディザAを指定した場合について〜
次に、付加候補ポジション計算部224の動作について説明する。最初に、ハーフトーン情報215のディザ種類情報302がディザAを指定した場合について説明する。
まず、ディザAの網点と付加候補ポジションの位置関係について説明する。ここでは、例として以下の条件(a)〜(f)が成り立つとして設計を行った場合について説明する。また、以下では、主走査方向をX方向、副走査方向をY方向と表記する。
(a) 付加候補ポジションの許容位置誤差を±1とする。これは、付加候補ポジションを、ディザの網点と重ならないような位置に変更する場合に、付加候補ポジションの位置を大幅に変更すると、追跡情報を解析する解析装置が付加信号を正確に判別できず、結果として付加パターンを正確に識別できなくなるからである。言い換えれば、付加候補ポジションを基準にある程度の誤差範囲であれば、追跡情報を解析する解析装置は追跡情報を認識できるようになっている。なお、追跡情報を解析する解析装置としては、例えば複写機や、スキャナに接続されたコンピュータをあげることができる。
(b) 付加パターンは、図10に示されるような、5×5の周期を持つパターンであるとする。
(c) Tx=16、Ty=16(付加周期)とする。
(d) 網点と付加ドット(付加信号によって生成されるドット)が重ならない場合或いは追跡情報の解析装置が解析する上で許容される許容範囲で重なっている場合は、印刷物上の付加ドットを認識できるとする。
(e) 網点と付加ドットの繋がり方の違いによる濃度変化は、許容できるものとする。
(f) 白紙の場合や図3〜図5に示す濃度で付加ドットを認識できればよいとする。言い換えればベタ画像ではなく、中間濃度の画像を前提にしている。
ディザAの中間調処理周期と付加候補ポジションの付加周期は、X方向については整数倍であるものの(DxA=8、Tx=16)、Y方向については整数倍とならないため(DyA=6、Ty=16)、各付加候補ポジションと網点の位置関係が変化する。なお、付加候補ポジションと網点の位置関係は、最大で、TxとDxA及びTyとDyAそれぞれの最小公倍数の周期で、周期的に変化する。すなわち、ここでは、X方向に対しては16画素(TxとDxAの最小公倍数)、Y方向に対しては48画素(TyとDyAの最小公倍数)が最小単位となるため、この範囲で網点と付加候補ポジションの位置関係を考えれば十分である。
図13は、X方向に16画素、Y方向に48画素のサイズの画像において、図5に示す濃度におけるディザAの網点の様子を表したものである。301は中間調処理基準位置を示す。
図14は、図13に示すディザの網点と付加候補ポジションの位置関係が変動する一例を示したものである。図14の301は中間調処理基準位置を示す。なお、図13及び図14の1マスは画像形成装置の1画素を表しており、斜線で示した部分に網点が形成される。図14では、中間調処理基準位置301に対してaの位置を基準として付加候補ポジションを配置した様子を示しており、a、b、cで示す網掛けの部分がそれぞれ付加候補ポジションを示している。なお、303は付加候補ポジションの開始位置P(0,0)(又はp(0,0))を示す。また、aは付加候補ポジションのP(0,0)(又はp(0,0))に、bは付加候補ポジションのP(1,0)(又はp(1,0))、cは付加候補ポジションのP(2,0)(又はp(2,0))に対応する。以降の図面でも、同様の表記方法で画素、網点、及び付加候補ポジションを図示する。図14で示すように、各網点と各付加候補ポジションa、b、cの位置関係は変化しており、特に付加候補ポジションcの場合は、網点と付加候補ポジションが重なってしまう。このため、付加候補ポジションcに付加ドットを付加しても、これを認識することができなくなってしまう或いはその認識ができない可能性が高くなってしまう。
そこで、例えば、図15に示すような位置に付加候補ポジションを配置することを考える。この図15では、中間調処理周期及び付加ドットの最小間隔との公倍数に従う画像領域内で、付加信号が網点と重ならないようにする為に、網点と付加候補ポジションとの関係が適切化されている。図15のような付加候補ポジションの配置を行なうことで、実際に付加される付加ドットと網点との相対関係を良好にできるのである。
図15の303は、付加候補ポジションの開始位置P(0,0)(又はp(0,0))を示す。図15は、中間調処理基準位置301からX方向に+3、Y方向に+2だけ移動した位置から、付加候補ポジションを配置している。このときの、網点と付加候補ポジションの位置関係を図16に示す。なお、付加候補ポジション開始位置について、図16の左上、すなわち、中間調処理基準位置301からの主走査方向の位置をSx、副走査方向の位置をSyとする。
図16からわかるように、網点と付加候補ポジションの位置関係は変化しているものの、網点と付加候補ポジションが重ならないように配置されている。つまり、ディザAの場合、付加候補ポジションの開始位置303(P(0,0)(又はp(0,0)))を適切化することによって、網点と付加候補ポジションの位置関係を改善することができる(条件(a)〜(f)が成り立つ場合)。ここで一点補足すると、上述の(f)で述べたように、付加信号が網点と重ならないようにする為に、網点と付加候補ポジションとの相対位置は、ある濃度までを前提としている。図6乃至8で説明したように、ある程度濃度が高くなっても、そのディザにおける画像の成長方向を加味し、網点と付加候補ポジションの相対位置関係が設定されているので、ある程度、濃度が高くなる場合まで対応することができる。
図17に、中間調処理周期及び付加信号により形成される付加ドットの最小間隔の最小公倍数に従う画像領域(図16)を広範囲に展開した様子を示す。図17における図16の画像領域単位を第1画像領域、第2画像領域、・・第N画像領域などと呼ぶこともある。図17に示すように、X方向に対しては16画素、Y方向に対しては48画素の周期で、網点と付加候補ポジションの位置関係が周期的に変化している様子がわかる。また、すべての付加候補ポジションが網点(ある一定の濃度までに対応する網点)と重ならないように配置されている。つまり、付加パターンによらず、網点と付加ドットを認識することができる配置となっている。
この時、図16の最小公倍数値に従う画像領域内で、網点と付加ドットが重ならない/許容範囲内でしか重ならないことが保証されている。このため、図16で示す16画素×48画素の範囲内で、付加候補ポジションの開始位置303からなされた付加信号の付加制御処理を、b、cと継続して行なうことが可能となる。なお、Y方向に48画素の範囲内でa、b、cと付加制御処理を継続して行っているが、ディザAの場合は、付加ドットの最小間隔(ディザAの場合は付加周期Ty)で、a、b、cと付加制御処理を最小公倍数に従う次画像領域で繰り返し行っているともいえる。
このように、網点と付加候補ポジションとの関係が適切化されている。従って、X方向に連続する次の図16相当の画像領域(図16が第1画像領域に対して次を第2画像領域と呼ぶ)に対しても、この第2画像領域の範囲内で、図16のbの付加候補ポジションを決める付加制御処理と同様の処理を繰り返し継続して行なえる。また、X方向のみではなく、Y方向においても、第1画像領域のa、b、cの付加候補ポジションを決める付加制御処理と同様の付加制御処理を48画素の周期で繰り返し行なうことができる。なお、ここでの付加信号232の付加制御処理とは、図12Aで説明した、付加候補ポジション計算部224(付加制御手段)、付加信号生成部225(付加制御手段)による処理の一部或いは全てを総称したものとなる。より具体的には図12Cで説明したフローチャートの処理の一部或いは全てに相当する。
また、一例として、上に説明した付加制御処理を行なうことによって、図10で示す付加パターンを、図17で示す付加候補ポジションに付加ドットを付加した付加ポジションの様子を図18に示す。図18において、黒く塗りつぶしてあるマスは、付加ドット(付加信号によって生成されるドット)を示しており、網点と重ならない位置に配置されている。以上、図5で示す濃度の場合における、網点と付加候補ポジション又は付加ポジションの位置関係について説明した。また、図5よりも濃度が低い場合(例えば、図3や図4)であっても、網点と付加候補ポジション又は付加ポジションの位置が重なることはない。
次に、上記の配置を実現するための付加候補ポジション計算部224の動作について説明する。なお、以下の説明では、中間調処理基準位置301の座標は(Hy,Hx)=(0,0)であるとして説明する。しかし、(Hy,Hx)=(0,0)である場合は一例であり、これに限定されるものではない。本実施例によれば、例えばページ途中でディザの種類が変わったとしても、Hy、Hxの値、すなわち中間調処理基準位置301がコントローラから通知されているので、この座標(Hy,Hx)を基準として付加ドットを適切な位置に付加することができる。この場合、中間調処理基準位置301を、中間調処理周期と付加ドットの最小間隔との公倍数に従う画像領域内で、付加信号が網点と重ならないようにする為の、網点と付加信号との相対位置を決定する為の位置情報として考えることができる。Hy、Hxの両方が零でない場合には、このHy、Hxが網点と付加ドットの相対位置を決める上で重要となってくる。このことが後述のP(i,j)の式中に示されている。
また以下の説明では、中間調処理基準位置301と付加候補ポジションの開始位置303とを別々に説明する。しかし、コントローラ211から、中間調処理基準位置301に付加候補ポジションの開始位置303を加算した情報を通知させ、エンジン212に取得させるようにしても良い。
ハーフトーン情報215のディザ種類情報302がディザAの場合は、付加信号と網点との相対位置を決定する為の位置情報である付加位置パラメータ230は以下のSx、Sy、Tx、Tyの4つであり、それぞれROM222に記録されている。また、付加パターン信号229は表1のqで表されるものとする。この付加位置パラメータ230であるSx、Sy、Tx、Tyを次のように仮定して、図12A中に示す(1)〜(4)の処理の順に説明する。
[ディザA]
中間調処理基準位置301 Hx(=0)、Hy(=0)
付加候補ポジションの開始位置303 Sx(=3)、Sy(=2)
付加周期 Tx(=16)、Ty(=16)
(1)CPU221は、ROM222から付加位置パラメータ230(Sx、Sy、Tx、Ty)を読み出し、付加候補ポジション計算部224に通知する。
(2)付加候補ポジション計算部224は、付加位置パラメータ230から、各付加候補ポジション P(0,0)〜P(M,N)を以下の式で計算する。
P(i,j)=(i×Ty+Sy+Hy,j×Tx+Sx+Hx)
ここで、付加候補ポジションP(i,j)の値のうち、1つめの要素(i×Ty+Sy+Hy)が副走査方向のカウンタ値、2つめの要素(j×Tx+Sx+Hx)が主走査方向のカウンタ値に対応している。
具体的に計算すると、
P(0,0)=(0×16+2+0,0×16+3+0)=(2,3)
P(0,1)=(0×16+2+0,1×16+3+0)=(2,19)
P(0,2)=(0×16+2+0,2×16+3+0)=(2,35)
・・・
P(1,0)=(1×16+2+0,0×16+3+0)=(18,3)
P(1,1)=(1×16+2+0,1×16+3+0)=(18,19)
・・・
P(M,N)=(M×16+2+0(y座標),N×16+3+0(x座標))
(3)付加候補ポジション計算部224は、(2)で計算した各付加候補ポジションを付加候補ポジション信号231として付加信号生成部225に通知する。
(4)付加信号生成部225は、主走査カウンタ226及び副走査カウンタ227のカウンタ値が付加候補ポジション信号231に対応する値と判断されるときに、かつ、対応する付加パターン信号229が1の場合に、付加信号を1にする。それ以外の場合は0とする。ここで、付加候補ポジションP(i,j)に対応する付加パターン信号229は前述のようにQ(i,j)、すなわちq(MOD(i,5)、MOD(j,5))の値を参照する。
付加信号232のデフォルト値は0とする。
主走査カウンタ226及び副走査カウンタ227が動作し、主走査カウンタ226のカウンタ値=2、副走査カウンタ227のカウンタ値=3のときに、付加候補ポジションP(0,0)に到達する。ここで、付加候補ポジションP(0,0)に対応するビット値Q(0,0)を確認する。対応するビット値はQ(0,0)=1(ON状態)であるから、付加信号232を1にする。すなわち、付加候補ポジションP(0,0)は付加ポジションである。カウンタの値が変化したら、付加信号232を0に戻す。
さらに、主走査カウンタ226又は副走査カウンタ227が動作し、それぞれのカウンタの値が、主走査カウンタ226のカウンタ値=2、副走査カウンタ227のカウンタ値=19のときに、付加候補ポジションP(0,1)に到達する。ここで、付加候補ポジションP(0,1)に対応するビット値Q(0,1)を確認する。対応するビット値はQ(0,1)=0(OFF状態)であるから、付加信号232を0のままとする。すなわち、付加候補ポジションP(0,1)は付加ポジションではない。
以降、画像終端の付加候補ポジションP(M,N)に到達するまで同様の動作を繰り返す。以上の手順により、ディザAに対する付加信号232を生成する。付加信号生成部225により生成された付加信号232は、付加信号付加処理部228で画像信号に付加される。
以上のように、中間調処理周期と付加ドットの最小間隔との最小公倍数に従う画像領域で、中間調処理による網点と付加信号とが重ならないようにする為の初期位置を決め、それに基づき同様の付加制御処理を繰り返すので、画像形成装置の負荷を軽減できる。より具体的には、X方向、Y方向で隣接する次の前記最小公倍数に従う画像領域でも、同様の処理を繰り返し行なえ、従来のように、不規則な網点と付加ドットの関係をその都度解析する負荷などを軽減できる。
〜ディザBを指定した場合について〜
次に、ハーフトーン情報215のディザ種類情報302がディザBを指定した場合について説明する。
まず、ディザBの網点と付加候補ポジションの位置関係について説明する。ここでは、ディザAと同様の条件(a)〜(e)が成り立つとして設計を行った場合について説明する。またさらに条件(f)として、以下を設ける。
(f) 白紙の場合や図6〜図8に示す濃度で付加ドット(付加信号によって生成されるドット)を認識できればよいとする。
ディザBの中間調処理周期と付加候補ポジションの付加周期は、Y方向については整数倍であるものの(DyB=4、Ty=16)、X方向については整数倍とならないため(DxB=6、Tx=16)、各付加候補ポジションと網点の位置関係が変化する。なお、付加候補ポジションと網点の位置関係は、ディザAと同様に、最大で、TxとDxB及びTyとDyBの最小公倍数の周期で、周期的に変化する。ここでは、X方向に対しては48画素(TxとDxBの最小公倍数)、Y方向に対しては16画素(TyとDyBの最小公倍数)が最小単位となるため、この範囲で網点と付加候補ポジションの位置関係を考えれば十分である。図19は、X方向に48画素、Y方向に16画素のサイズの画像において、図8に示す濃度におけるディザBの網点の様子を表したものである。301は中間調処理基準位置である。
図20は、図19に示すディザの網点と付加候補ポジションの位置関係が変動する一例を示したものである。図20では、中間調処理基準位置301に対してaの位置を基準として付加候補ポジションを配置した様子を示しており、a、b、cで示す網掛けの部分が各付加候補ポジションを示している。すなわち、aは付加候補ポジションP(0,0)(又はp(0,0))に、bは付加候補ポジションP(0,1)(又はp(0,1))に、cは付加候補ポジションP(0,2)(又はp(0,2))にそれぞれ対応している。また、303は付加候補ポジションの開始位置を示す。
図20で示すように、各網点と付加候補ポジションa、b、cの位置関係は変化しており、特に付加候補ポジションcの場合は、網点と付加候補ポジションが重なってしまう。このため、付加候補ポジションcに付加ドットを付加しても、これを認識することができなくなってしまう。さらに、ディザBの場合、ディザAの場合と異なり、付加候補ポジションの開始位置303(P(0,0))をどこに移動させても、3つの付加候補ポジションのいずれかが網点と重なってしまう。そこで、図21のa、b、dに示す位置に付加候補ポジションを配置することを考える。すなわち、図21に示すように付加候補ポジションをcからdに1画素分だけ移動させる。このとき、条件(a)から、移動量は付加候補ポジションの許容位置誤差以内とする。このように、付加候補ポジション計算部224は、付加候補ポジションがcのように網点と重なってしまう特定の位置の付加候補ポジションである場合には、特定の位置cから移動させた位置dに付加候補ポジションを設定する。このとき、付加候補ポジション計算部224は、付加候補ポジションがcのような特定の位置の付加候補ポジションであるか否かを判定しているともいえる。
このときの網点と付加候補ポジションの位置関係を図22に示す。図22から次のようなことがわかる。すなわち、許容値αの範囲内で付加候補ポジションを移動させることによって(図中、網掛け部分cから黒く塗りつぶしたdへ)、網点と付加候補ポジションの位置関係は変化しているものの、網点と付加候補ポジションが重ならないように配置されている。
図23に、中間調処理周期及び付加信号232により形成される付加ドットの最小間隔の最小公倍数に従う画像領域(図22)を広範囲に展開した様子を示す。図23における図22の画像領域単位を第1画像領域、第2画像領域、・・第N画像領域などと呼ぶこともある。図23に示すように、X方向に対しては48画素、Y方向に対しては16画素の周期で、網点と付加候補ポジションの位置関係が周期的に変化している様子がわかる。また、すべての付加候補ポジションが網点(ある一定の濃度までに対応する網点)と重ならないように配置されている。つまり、付加パターンによらず、網点と付加ドットを認識することができる配置となっている。
この時、図22の最小公倍数値に従う画像領域内で、網点と付加ドットが重ならない/許容範囲内でしか重ならないことが保証されている。このため、図22で示す48画素×16画素の範囲内で、付加候補ポジションの開始位置303からなされた付加信号の付加制御処理を、b、dと継続して行なうことが可能となる。なお、X方向に48画素の範囲内でa、b、dと付加制御処理を継続して行っているが、cをdに移動させているため、ディザBの場合はディザAの場合と異なり、付加ドットの最小間隔で、a、b、dと付加制御処理を単純に繰り返し行っている、とはいえない。ディザBの場合は、X方向に中間調処理周期と付加ドットの最小間隔との最小公倍数である48画素の周期で付加制御処理を繰り返し行なうことで、網点と重ならないように付加候補ポジションを配置することになる。
このように、ディザBの場合でも、網点と付加候補ポジションとの関係が適切化されている。従って、Y方向に連続する次の図22相当の画像領域(図22が第1画像領域に対して次を第2画像領域と呼ぶ)に対しても、この第2画像領域の範囲内で、図22のbの付加候補ポジションを決める付加制御処理と同様の処理を継続して行なえる。また、Y方向のみではなく、X方向においても、第1画像領域のa、b、dの付加候補ポジションを決める付加制御処理と同様の付加制御処理を48画素の周期で繰り返し行なうことができる。なお、ここでの付加信号232の付加制御処理とは、図12Aで説明した、付加候補ポジション計算部224(付加制御手段)、付加信号生成部225(付加制御手段)による処理の一部或いは全てを総称したものとなる。より具体的には図12Cで説明したフローチャートの処理の一部或いは全てに相当する。
また、一例として、上に説明した付加制御処理を行なうことによって、図10で示す付加パターンを図23で示す付加候補ポジションに付加した付加ポジションの様子を図24に示す。図23において、黒く塗りつぶしてあるマスは、付加ドット(付加信号によって生成されるドット)を示しており、網点と重ならない位置に配置されている。また、図8よりも濃度が低い場合(例えば、図6や図7)であっても、網点と付加候補ポジション又は付加ポジションの位置が重なることはない。
このように、付加候補ポジションの開始位置303(P(0,0))を適切化することだけでは、付加ドットを十分に認識することができない場合であっても、次のようにして適切化することができる。すなわち、付加候補ポジションを「c→d」のように、付加候補ポジションのずれの許容値(α)の範囲内で付加候補ポジションを移動させることにより、必要以上に付加ドットサイズを大きくしなくても、適切化することができる。
次に、上記の配置を実現するための付加候補ポジション計算部224の動作について説明する。ディザBの場合は、付加信号と網点との相対位置を決定する為の位置情報である付加位置パラメータ230はSx、Sy、Tx、Ty、ΔPx、ΔPyの6つであり、それぞれROM222に記録されている。また、付加パターン信号229は表1のqで表されるものとする。この付加位置パラメータ230であるSx、Sy、Tx、Ty、ΔPx、ΔPyを次のように仮定して、図12A中に示す(1)〜(4)の処理の順に説明する。
[ディザB]
中間調処理基準位置301 Hx(=0)、Hy(=0)
付加候補ポジションの開始位置303 Sx(=2)、Sy(=2)
付加周期 Tx(=16)、Ty(=16)
付加候補ポジション移動量 ΔPx(0)=0、ΔPy(0)=0
ΔPx(1)=0、ΔPy(1)=0
ΔPx(2)=1、ΔPy(2)=0
ここで、{ΔPx(0)、ΔPx(1)、ΔPx(2)}はそれぞれ付加候補ポジションa、b、cの主走査方向(X方向)の移動量を表している。また、{ΔPy(0)、ΔPy(1)、ΔPy(2)}はそれぞれ付加候補ポジションa、b、cの副走査方向(Y方向)の移動量を表している(付加候補ポジションa、b、cについては、図21を参照)。
(1)CPU221は、ROM222から付加位置パラメータ230(Sx、Sy、Tx、Ty、ΔPx、ΔPy)を読み出し、付加候補ポジション計算部224に通知する。そして、この通知をもとに、付加候補ポジション計算部224により位置情報取得が行われる。
(2)付加候補ポジション計算部224は、付加位置パラメータ230から、各付加候補ポジションP(0,0)〜P(M,N)を以下の式で計算する。
P(i,j)=(i×Ty+Sy+ΔPy(MOD(i,3)+Hy),j×Tx+Sx+ΔPx(MOD(i,3))+Hx)
ここで、付加候補ポジションP(i,j)の値のうち、1つめの要素(i×Ty+Sy+ΔPy(MOD(i,3))+Hy)が副走査方向のカウンタ値に対応している。そして、2つめの要素(j×Tx+Sx+ΔPx(MOD(i,3))+Hx)が主走査方向のカウンタ値に対応している。
具体的に計算すると、
P(0,0)=(0×16+2+0+0,0×16+2+0+0)=(2,2)
P(0,1)=(0×16+2+0+0,1×16+2+0+0)=(2,18)
P(0,2)=(0×16+2+0+0,2×16+2+1+0)=(2,35)
P(0,3)=(0×16+2+0+0,3×16+2+0+0)=(2,50)
P(0,4)=(0×16+2+0+0,4×16+2+0+0)=(2,66)
P(0,5)=(0×16+2+0+0,5×16+2+1+0)=(2,83)
・・・
P(1,0)=(1×16+2+0+0,0×16+2+0+0)=(18,2)
P(1,1)=(1×16+2+0+0,1×16+2+0+0)=(18,18)
・・・
P(M,N)=(M×16+2+ΔPy(MOD(M,3)+0(x座標),N×16+2+ΔPx(MOD(N,3)+0(y座標))
となる。
(3)付加候補ポジション計算部224は、(2)で計算した各付加候補ポジションを付加候補ポジション信号231として付加信号生成部225に通知する。
(4)付加信号生成部225は、主走査カウンタ226及び副走査カウンタ227のカウンタ値が付加候補ポジション信号231に対応する値と判断されるときに、かつ、対応する付加パターン信号229が1の場合に、付加信号を1にする。それ以外の場合は0とする。ここで、付加候補ポジションP(i,j)に対応する付加パターン信号は前述のようにQ(i,j)、すなわちq(MOD(i,5),MOD(j,5))の値を参照する。
付加信号のデフォルト値は0とする。
主走査カウンタ226及び副走査カウンタ227が動作し、主走査カウンタ226のカウンタ値=2、副走査カウンタ227のカウンタ値=2のときに、付加候補ポジションP(0,0)に到達する。ここで、付加候補ポジションP(0,0)に対応するビット値Q(0,0)を確認する。対応するビット値はQ(0,0)=1(ON状態)であるから、付加信号を1にする。すなわち、付加候補ポジションP(0,0)は付加ポジションとなる。カウンタの値が変化したら、付加信号を0に戻す。
さらに、主走査カウンタ226又は副走査カウンタ227が動作し、それぞれのカウンタの値が主走査カウンタ226のカウンタ値=2、副走査カウンタ227のカウンタ値=18のときに、付加候補ポジションP(0,1)に到達する。ここで、付加候補ポジションP(0,1)に対応するビット値Q(0,1)を確認する。対応するビット値はQ(0,1)=0(OFF状態)であるから、付加信号を0のままとする。すなわち、付加候補ポジションP(0,1)は付加ポジションではない。
以降、画像終端の付加候補ポジションP(M,N)に到達するまで同様の動作を繰り返す。
以上のように、中間調処理周期と付加ドットの最小間隔との最小公倍数に従う画像領域で、中間調処理による網点と付加信号とが重ならないようにする為の初期位置を決め、それに基づき同様の付加制御処理を繰り返すので、画像形成装置の負荷を軽減できる。より具体的には、X方向、Y方向で隣接する次の前記最小公倍数に従う画像領域でも、同様の処理を繰り返し行なえ、従来のように、不規則な網点と付加ドットの関係をその都度解析する負荷などを軽減できる。
以上の構成により、本実施例の処理を行なうことができる。なお、本実施例では付加ドットは1画素からなる形状であるとしたが、複数の画素からなる形状であってもよい。また、本実施例では6つの条件(a)〜(f)が成り立つとして説明をしたが、これに限定しなくとも、網点の形状に応じて、付加ドットの形状や付加候補ポジションの移動量を最適に設定することにより、本発明を効果的に実施することができる。
また、背景技術で記載した特許文献2では、網点の周期と、付加周期の差異を特に意識しておらず、網点と付加周期との関係が多種多様となっている。そして、そのような状況下で、まず網点(画像データ)と付加周期との関係を解析し、さらに、どこをオフドット化するかを特定しなければならない。また、画像データを常に参照して先に説明した解析及び特定処理を行なう必要があり、非常に処理負荷を増大させてしまう。また、この解析にあたりそれ様のメモリを確保しなければならずコストアップにも繋がってしまう。
一方、上述の各実施例では、説明してきた通り、付加位置パラメータ230を取得できるようにすれば、あとはP(i,j)、Q(i,j)を計算すればよいので、処理負荷を軽減することができる。
[第2の実施例]
第1の実施例では、説明を簡略化するために、ドット形状データが1画素の場合を例に説明を行なってきた。しかし、第1の実施例と同様の効果を得るという観点で、ドット形状データが1画素の場合に限定されることはない。
ドット形状データとは、上述の如く、図10における黒丸の部分に対応して付加される1以上の付加ドットであるが、例えば、ドット形状データが3ドットでも良い。
この場合には、図10の黒丸の部分には3ドット相当の付加信号が付加される。より具体的には、後述の図12Bのステップ407で生成される付加信号を基準にし、その基準の付加信号の周辺画素に残りの2ドット分の付加信号が割り当てされステップS407で同時に生成される。
なお、先の黒丸の部分に付加される付加信号が3ドットの場合にでも、設計段階において、追跡情報を解析する解析装置が追跡情報を解析する上で、許容できる付加ドット(3ドット)の網点に対する重なりの程度を決めておけばよい。この許容範囲とは、追跡情報を解析する解析装置が追跡情報を解析するが所定割合以上で付加ドットを認識できることを目安に決定すればよい。そして、決定された許容範囲でしか網点と付加ドットが重ならないように付加位置パラメータ230であるTx、Ty、Sx、Sy、ΔPx、ΔPyを決定する。またこの付加位置パラメータ230は、ディザA、ディザBなどのディザの種類毎に決定される。そして、これら決定された付加位置パラメータ230は、第1の実施例と同様に予め定められたパラメータとしてROM222に記憶されており、図2Bで説明したコントローラ211からの通知に応じて指定されたディザの種類に対応して読込まれる。そして、当該読込まれた付加位置パラメータ230に基づき、中間調処理周期と付加周期との公倍数の画像領域内において、付加候補ポジションに基づき付加される付加信号が中間調処理による網点と重ならないよう各付加信号の網点に対する相対位置が設定される。
[第3の実施例]
上の各実施例では、信号付加手段により付加周期に基づき付加される付加信号が中間調処理による網点と重ならないようにする上で、中間調処理周期と付加周期(付加ドットの最小間隔に相当)との最小公倍数を取上げて説明してきた。より具体的には、X方向、Y方向の各々について、ディザ周期Dxと付加周期Txの最小公倍数、及びディザ周期Dyと付加周期Tyの付加周期の最小公倍数で規定される画像領域について説明してきた。しかし、上の各実施例と同様の効果を得るという観点で、これに限定されることはない。
例えば、図13乃至図16に示したような領域を、最小公倍数の2倍の周期に基づき想定しても良い。これでも、この想定される領域が繰り返し用いられることで、一定のメモリ消費量抑制の効果、また一定の処理負荷軽減の効果がある。また、上の各実施例と同様に、処理負荷軽減の効果をも得ることができる。このように、各実施例において、付加制御処理を、中間調処理周期と付加周期(付加ドットの最小間隔に相当)との公倍数に従う画像領域で継続、又は繰り返し行うようにしても良い。
[第4の実施例]
上述の各実施例では、付加候補ポジションを用いた例を説明してきたが、これに限定されるものではない。例えば、図11に示したような付加パターンが、X方向、Y方向の双方において中間調処理周期の整数倍(公倍数)であれば、付加候補ポジションを用いなくとも良い。言い換えれば、付加候補ポジションを用いなくとも上述の各実施例と同様の効果を得ることができる。
この場合には、まず、各ディザパターンに対応した、最初に付加する付加パターンを構成する複数の付加ドットの座標をROM222に記憶しておく。この記憶される座標が上述の実施例で説明した付加位置パラメータ230に相当する。なお、このとき、ディザの種類毎に対応して記憶されている付加される各付加信号(付加ドット)の座標は、各網点と各付加ドットとの相対位置関係において、各付加ドットが網点と重ならないような位置として設定されている。即ち、この各付加信号の座標値が、網点と付加ドットが極力重ならないような相対位置になるよう設定されているのである。
そして、この座標が、付加候補ポジション計算部224により取得され、当該取得された位置情報(座標)が付加信号生成部225に通知される。付加信号生成部225は、図12Bのステップ410、411の処理と同様に順次インクリメントされる主走査カウンタ226、副走査カウンタ227が、付加ドットを付加すべきカウンタ値に合致した時に付加信号を付加する付加制御を行なう。
そして、最初の画像領域において1つ目の付加パターンを付加した後、この各付加ドットの座標のX座標、及び/又はY座標に付加パターンの周期を加算し、加算後の座標を用いて、同様の付加制御処理を次の画像領域に対して行なう。なお、この時の画像領域も、中間調処理周期と、付加信号により形成される付加ドットの最小間隔と、の公倍数に従うものとなっている。
このように、付加信号が網点と重ならないようにする為の網点と付加信号との相対位置を決定する為の位置情報を取得し、当該取得された位置情報(付加パターンの座標)に基づく、最初の画像領域における付加信号の付加制御処理をまず実行する。そして、次に、取得された位置情報から導き出される座標に基づき、隣り合う同サイズの画像領域においても、同様の付加制御処理を継続、或いは繰り返し行なうことができ、付加ドットに係る処理の負荷を軽減できる。
[他の実施の形態]
以上、様々な実施例を詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。例えば、プリンタ、ファクシミリ、PC、サーバとクライアントとを含むコンピュータシステムなどの如くである。
本発明は、前述した実施例の各機能を実現するソフトウェアプログラムを、システム若しくは装置に対して直接又は遠隔から供給し、そのシステム等に含まれるコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
従って、本発明の機能・処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、上記機能・処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
プログラムを供給するためのコンピュータ可読の記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、記録媒体としては、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
また、プログラムは、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページからダウンロードしてもよい。すなわち、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードしてもよいのである。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明の構成要件となる場合がある。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布してもよい。この場合、所定条件をクリアしたユーザにのみ、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報で暗号化されたプログラムを復号して実行し、プログラムをコンピュータにインストールしてもよい。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施例の機能が実現されてもよい。なお、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行ってもよい。もちろん、この場合も、前述した実施例の機能が実現され得る。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれてもよい。そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行ってもよい。このようにして、前述した実施例の機能が実現されることもある。