JP2009284130A - フィルタ回路および半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロセスばらつき、温度・電圧変動に依存することなく一定のカットオフ周波数を保持する、小型化・低消費電流化に適したフィルタ回路を提供する。
【解決手段】可変電流源を備えた基準コンデンサを用いて被比較電圧を生成し、被比較電圧と基準電圧を比較器によって比較し、電位差をロジック回路によってデジタル信号に変換する。変換されたデジタル信号によって、可変容量回路のスイッチを切り替える。またデジタル信号は可変電流源にも入力され可変電流源の電流値を変える。この動作を繰り返すことにより、フィルタのカットオフ周波数を決定することで、カットオフ周波数が一定に保持されるフィルタ回路を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、フィルタ回路に関し、さらに詳しくは、半導体製造プロセスのばらつき、温度・電圧の変動に依存することなく、一定のカットオフ周波数を保持するフィルタ回路および半導体装置に関する。
半導体チップ上に形成された、従来のフィルタ回路におけるカットオフ周波数を調整する例として、図5に示されたフィルタ回路がある。図5を参照しながら、従来例のフィルタ回路について、構成および動作を説明する。
図5のフィルタ回路は、フィルタ(主フィルタ)31、フィルタ(基準フィルタ)32、基準信号源33、比較器34、可変電流源35、およびコンデンサ36を含む。フィルタ31およびフィルタ32は、gm−Cフィルタによって構成され、両フィルタ31、32のgm−C値は互いに等しい。フィルタ32、基準信号源33、比較器34、および可変電流源35は、フィルタ31のカットオフ周波数を調整するように動作する。
基準信号源33から基準信号が出力され、この基準信号は一方は比較器34、他方はフィルタ32に入力され、フィルタ32に入力された基準信号はフィルタ32を通過する時に位相遅延を生じる。比較器34では、基準信号源33から直接入力された基準信号とフィルタ32を通過して位相遅延が生じた基準信号の位相差を比較し、その比較結果が電流として比較器34から出力される。比較器13から出力された電流はコンデンサ36によって電圧値に変換され、可変電流源35に入力される。可変電流源35では、コンデンサ36の電圧値に応じて電流が切り替えられ、フィルタ32では、可変電流源35からの電流に応じて、フィルタ32の位相遅延特性が調整され、その結果フィルタ32のカットオフ周波数が、精度よく調整される。
フィルタ31は、フィルタ32のgm−C値に大略等しいgm−C値を有する。このため、フィルタ31では、可変電流源35からの電流に応じて、フィルタ31の位相遅延特性がフィルタ32と同様な特性に調整され、その結果フィルタ32のカットオフ周波数が、フィルタ32と同等な値に精度よく調整される。
しかし、このようなフィルタ回路では、主フィルタ以外に同等の基準フィルタが必要になり、半導体チップ面積が増加し、チップのコストが増大する。また、基準フィルタの分だけ消費電流が増加し、消費電力が増大する。
本発明は、半導体製造プロセスのばらつき、周囲温度の変動、および電源電圧の変動に依存することなく、所定のカットオフ周波数を保持し、チップ面積の小型化および低消費電力化に適したフィルタ回路および半導体装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明のフィルタ回路は、フィルタに可変容量回路を具備し、被比較電圧生成素子として使用するための可変容量回路を構成するコンデンサと同一構成の第1のコンデンサと第1のコンデンサに電流を蓄積するための可変電流源とスイッチ、被比較電圧と比較させるための基準電圧生成用の電流源と抵抗、比較器とロジック回路とを備える構成とした。
また、本発明のフィルタ回路は、コンデンサを含み、前記コンデンサに流れる電流信号に基づいて被比較電圧を生成する被比較回路と、所定の基準電圧を生成する基準回路と、被比較電圧を基準電圧と比較し、比較結果に基づいて、補正信号を生成する比較補正回路と、可変コンデンサ、入力端子、および出力端子を含むフィルタと、を有し、前記比較補正回路は、補正信号に基づいて、被比較電圧が基準電圧と大略等しくなるように電流信号を制御するとともに、前記可変コンデンサの容量値を制御し、前記フィルタは、入力端子へ入力された信号を、前記可変コンデンサの容量値に基づく周波数特性により帯域制限し、帯域制限された信号を出力端子から出力する。
さらに、本発明の半導体装置は、コンデンサを含み、前記コンデンサに流れる電流信号に基づいて被比較電圧を生成する被比較回路と、所定の基準電圧を生成する基準回路と、被比較電圧を基準電圧と比較し、比較結果に基づいて、補正信号を生成する比較補正回路と、可変コンデンサ、入力端子、および出力端子を含むフィルタと、を有し、前記比較補正回路は、補正信号に基づいて、被比較電圧が基準電圧と大略等しくなるように電流信号を制御するとともに、前記可変コンデンサの容量値を制御し、前記フィルタは、入力端子へ入力された信号を、前記可変コンデンサの容量値に基づく周波数特性により帯域制限し、帯域制限された信号を出力端子から出力し、少なくとも前記コンデンサおよび前記可変コンデンサは、1つの半導体チップ、または少なくとも2つの半導体チップ含む1つのモジュールのいずれかにより形成されている。
本発明のフィルタ回路および半導体装置によれば、基準フィルタよりも半導体チップ面積が小さく消費電力が小さいロジック回路を用いることにより、フィルタ回路全体についてチップ面積を小型化および低消費電力化し、チップコストを低減するとともに、半導体製造プロセスのばらつき、周囲温度の変動、および電源電圧の変動に依存せず、カットオフ周波数を精度よく制御し、所定値に保持することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態に関するいくつかの例について、図面を参照しながら説明する。図面において、実質的に同一の構成、動作、および効果を表す要素については、同一の符号を付す。また、以下において記述される数字は、すべて本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。さらに、ハイ/ローにより表される論理レベルまたはオン/オフにより表されるスイッチング状態は、本発明を具体的に説明するために例示するものであり、例示された論理レベルまたはスイッチング状態が異なる組み合わせで、同等な結果を得ることも可能である。また、構成要素間の接続関係は、本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。さらに、以下の実施の形態は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを用いて構成されるが、ハードウェアを用いる構成は、ソフトウェアを用いても構成可能であり、ソフトウェアを用いる構成は、ハードウェアを用いても構成可能である。
(実施の形態)
図1は、実施の形態におけるフィルタ回路40の回路図である。図1において、フィルタ回路40は、フィルタ1、ロジック回路2、比較器3、電流源4、抵抗5、可変電流源6、スイッチ7、コンデンサ8、および直流電圧供給端子42を含む。フィルタ1は、無線システムにおける無線信号SIAを帯域制限し、帯域制限された無線信号SIBを生成する。ロジック回路2は、比較器3における比較結果を表す比較結果電圧S3に基づいて、デジタル信号S2を生成する。フィルタ1は、デジタル信号S2に基づいて、フィルタ1に内蔵されている可変容量回路9(図2を参照して後述する)の容量値を変化させる。ロジック回路2は補正回路とも呼ばれ、デジタル信号S2は補正信号とも呼ばれる。比較器3および補正回路は、比較補正回路を構成する。
直流電圧供給端子42には、直流電源からの直流電圧EDCが供給される。スイッチ7は、端子71、端子72、および端子73を有する3端子スイッチであり、端子71を端子72または端子73のいずれか一方に接続する。端子73は接地される。可変電流源6の一方の端子は直流電圧供給端子42に接続され、可変電流源6の他方の端子はスイッチ7の端子72に接続され、スイッチ7の端子71はコンデンサ8の一方の端子および比較器3の被比較端子RCに接続され、コンデンサ8の他方の端子は接地される。また、電流源4の一方の端子は直流電圧供給端子42に接続され、電流源4の他方の端子は抵抗5の一方の端子および比較器3の基準端子REFに接続され、抵抗5の他方の端子は接地される。
可変電流源6は、直流電圧供給端子42における所定の直流電圧EDCに基づいて電流S6を生成し、被比較端子RCに被比較電圧Vrcを生成する。電流S6は、電流信号とも呼ばれる。さらに可変電流源6は、デジタル信号S2に基づいて、電流S6の大きさを変化させ、それゆえに被比較電圧Vrcを変化させる。電流源4は、直流電圧供給端子42における所定の直流電圧EDCに基づいて所定の電流S4を生成し、基準端子REFに所定の基準電圧Vrefを生成する。可変電流源6、スイッチ7、およびコンデンサ8は、被比較回路43を構成し、電流源4および抵抗5は基準回路44を構成する。このように、被比較回路43は、デジタル信号S2に基づいて被比較電圧S7を生成し、基準回路44は、所定の基準電圧S4を生成する。比較器3は、被比較電圧S7および基準電圧S4を比較し、比較結果電圧S3を生成する。ロジック回路2は、比較結果電圧S3に基づいて制御される。
図2は、図1のフィルタ1の一例を示す詳細な回路図である。フィルタ1は、入力端子P1A、可変容量回路9、抵抗10、抵抗11、オペアンプ12、および出力端子P1Bを含む。フィルタ1は、無線信号SIAを入力端子P1Aへ入力し、帯域制限された無線信号SIBを出力端子P1Bから出力する。オペアンプ12は、抵抗11を介して無線信号SIAを反転入力端子に入力し、非反転入力端子を接地する。さらにオペアンプ12は、可変容量回路9および抵抗10による並列回路を、反転入力端子と出力端子P1Bとの間に接続し、出力端子P1Bから帯域制限された無線信号SIBを出力する。可変容量回路9、抵抗10、および抵抗11は、フィルタ1のカットオフ周波数および減衰特性を含む周波数特性を決定する素子である。可変容量回路9は、容量値が変化可能なコンデンサであり、図1のロジック回路2によって生成されたデジタル信号S2によって容量値が変化する。可変容量回路9は、可変コンデンサとも呼ばれる。
図3は、図2の可変容量回路9の一例を示す詳細な回路図である。可変容量回路9は、スイッチ13とコンデンサ14の直列回路、スイッチ15とコンデンサ16の直列回路、スイッチ17とコンデンサ18の直列回路、およびスイッチ19とコンデンサ20の直列回路、からなる4個の直列回路を互いに並列接続した回路である。可変容量回路9は、スイッチ13、スイッチ15、スイッチ17、およびスイッチ19のオン/オフを、デジタル信号S2によって制御することにより、それぞれコンデンサ14、コンデンサ16、コンデンサ18、およびコンデンサ20の動作状態/非動作状態を切り替えて、容量値を変化させる。コンデンサ14、16、18、20は、スイッチ13、15、17、19によりそれぞれ選択されるため、選択用コンデンサとも呼ばれる。なお、可変容量回路9において、直列回路は4個としたが、4個以外の複数個であってもよい。なお、可変容量回路9において、並列接続される回路は必ずスイッチを含んでいたが、コンデンサだけの回路が少なくとも1個、並列接続されていてもよい。
図4は、実施の形態におけるフィルタ回路40を利用する無線通信システム41の一例を示すブロック図である。無線通信システム41は、アンテナ21、フィルタ22、アンプ23、ミキサ24、フィルタ25、可変利得アンプ26、A/Dコンバータ27、PLL28、DC制御回路29、およびベースバンドIC30を含む。フィルタ22は、アンテナ21で受信した無線信号を帯域制限し、アンプ23は帯域制限された信号を増幅し、ミキサ24は増幅された信号とPLL28からの発振信号とを混合し、フィルタ25は混合された信号を帯域制限し、所望の信号を抽出する。可変利得アンプ26は、次段のA/Dコンバータ27の入力特性に合うように、抽出された信号の利得および直流レベルを調整し、DC制御回路29は直流レベルを調整するための制御信号を可変利得アンプ26へ出力する。A/Dコンバータ27は、調整された信号をアナログ/デジタル変換し、ベースバンドIC30はアナログ/デジタル変換された信号のベースバンド処理を行う。フィルタ22およびフィルタ25にフィルタ回路40が使用される。無線通信システム41は、通信モジュール、通信機器、移動体端末、および移動体通信システム内に、フィルタ回路40を含むその少なくとも一部が含まれる。
次にフィルタ回路40のカットオフ周波数を調整する動作を説明する。
スイッチ7が所定の期間Tだけオンしている間に、可変電流源6からの電流S6がコンデンサ8に流れ、コンデンサ8は充電され、被比較端子RCにおいて被比較電圧Vrcが生じる。期間Tは、充電期間Tとも呼ばれる。コンデンサ8の容量値をC、電流S6の電流値をI、可変電流源6の両端電圧をV、および可変電流源6の電流値Iを決定する内部等価抵抗の値をRとすると、被比較電圧Vrcは、コンデンサ8に流れる電流Iを充電期間Tの間、積分した値に比例し、コンデンサ8の容量値Cに反比例する。
Figure 2009284130
Figure 2009284130
スイッチ7は、充電期間Tの間オン状態の後、オフ状態になる。オフ状態では、スイッチ7の端子71は端子73に接続され、コンデンサ8の両端は接地される。すなわちコンデンサ8は所定の期間Tの間に放電され、その後再びスイッチ7はオン状態となる。期間Tは、放電期間Tとも呼ばれる。このように充電期間Tの間、スイッチ7はオンされ、コンデンサ8は充電され、その後放電期間Tの間、スイッチ7はオフされ、コンデンサ8は放電される。コンデンサ8において、このような充電状態および放電状態が繰り返される。それゆえに被比較電圧Vrcは、充電期間Tごとに0ボルトから上昇し、先行する充電期間Tにおけるコンデンサ8の状態に影響されない。なお、端子73は直接に接地されるとしたが、放電を緩和するため、適切な値を有する抵抗を介して接地してもよい。
一方、電流源4からの電流S4が抵抗5に流れ、基準端子REFにおいて所定の基準電圧Vrefが生じる。抵抗5の抵抗値をRref、電流S4の電流値をI、電流源4の両端電圧をV、および電流源4の電流値Iを決定する内部等価抵抗の値をRとすると、基準電圧Vrefは次式のように表される。
Figure 2009284130
Figure 2009284130
以上のように生成された被比較電圧Vrcおよび基準電圧Vrefは、比較器3において互いに比較される。基準電圧Vrefは、基本的には不変の所定値を有する。半導体チップ製造プロセスのばらつき、周囲温度の変動、および電源電圧EDCの変動により、電流値Iは変動するが、電流値Iも同様に変動するため、比較結果電圧S3はこれらのばらつきや変動の影響を実質的に受けない。
比較器3において、被比較電圧Vrcが基準電圧Vref未満の場合、比較結果電圧S3はハイレベルとなり、被比較電圧Vrcが基準電圧Vref以上の場合、比較結果電圧S3はローレベルとなる。ロジック回路2は、比較結果電圧S3に基づいて、たとえば5ビットのデジタル信号S2を生成する。たとえば、比較結果電圧S3がハイレベルの場合、デジタル信号S2が1だけ減算され、比較結果電圧S3がローレベルの場合、デジタル信号S2が1だけ加算される。
ここで、フィルタ回路40は、さらに制御部(図示されていない)を有し、制御部はスイッチ7のオン/オフを制御する制御信号を生成する。制御信号は、充電期間Tにおいてハイレベルとなり、放電期間Tを含む充電期間T以外の期間においてローレベルとなる。この制御信号はロジック回路2にも入力される。ロジック回路2は、この制御信号の立ち下がりのタイミングにおいて比較結果電圧S3をラッチするラッチ回路(図示されていない)を含む。ロジック回路2は、ラッチ回路においてラッチされた比較結果電圧S3に基づいて、5ビットのデジタル信号S2を生成する。比較結果電圧S3は、各充電期間T内では変動する可能性があるが、各充電期間Tの終了時点におけるレベルに基づいてデジタル信号S2が生成されるので、デジタル信号S2は各充電期間T内における比較結果電圧S3の途中経過に影響されない。また、このように構成することにより、直前の充電期間Tにおける比較結果電圧S3の最終結果に基づいて、続く充電期間Tの電流S6が制御される。このため、ロジック回路2、可変電流源6、および比較器3を含むループ状の制御経路において、比較結果電圧S3が被比較電圧Vrcに直ちに影響することによる不安定さを取り除くことができる。
次に、可変電流源6において、デジタル信号S2が1だけ小さくなると、電流S6の電流値Iは所定の差電流値DIだけ大きくなり、デジタル信号S2が1だけ大きくなると、電流S6の電流値Iは差電流値DIだけ小さくなる。その結果、被比較電圧Vrcは、式1から理解されるように、デジタル信号S2が1だけ小さくなると、差電流値DIを充電期間Tの間、積分した値に比例した分だけ大きくなり、デジタル信号S2が1だけ大きくなると、この積分した値に比例した分だけ小さくなる。このようにして、被比較電圧Vrcは基準電圧Vrefのレベルに収束する。
フィルタ回路40では、フィルタ1のカットオフ周波数fcを制御するために、可変容量回路9の容量値を制御する。図2に示す抵抗10および抵抗11によって定まる抵抗値をR、および可変容量回路9の容量値をCとすると、フィルタ1のカットオフ周波数fcは式5で表される。
Figure 2009284130
ここで抵抗値Rは所定の値を有するから、カットオフ周波数fcは、容量値Cに反比例して変化する。図3に示す可変容量回路9において、デジタル信号S2が小さくなると、スイッチ13、15、17、19のうちのオンされるスイッチの数が減少し、可変容量回路9の容量値が減少するので、カットオフ周波数fcは高くなる。反対に、デジタル信号S2が大きくなると、スイッチ13、15、17、19のうちのオンされるスイッチの数が増加し、可変容量回路9の容量値が増加するので、カットオフ周波数fcは低くなる。なお、各コンデンサ14、16、18、20の容量値に重み付けを行うことにより、可変容量回路9の容量値の最小変化幅を小さく保ちながら最大変化幅を大きくするとも可能である。たとえば、各コンデンサ14、16、18、20の容量値を、所定値CPDにそれぞれ2倍、4倍、8倍、16倍を乗算した容量値に設定し、各コンデンサ14、16、18、20にさらに並列に容量値CPDを有するコンデンサを接続する。これにより、可変容量回路9の容量値を、容量値CPDの1倍から31倍まで1倍刻みに設定することができる。
なお、可変容量回路9は、少なくとも1個の可変容量ダイオード、およびデジタル信号S2に基づいて可変容量ダイオードに加える逆バイアス電圧を生成する逆バイアス電圧生成回路により構成されてもよい。この場合、デジタル信号S2が小さくなると、逆バイアス電圧は増加し、可変容量ダイオードの容量値は減少する。反対に、デジタル信号S2が大きくなると、逆バイアス電圧は減少し、可変容量ダイオードの容量値は増加する。なお、可変容量回路9はデコーダ(図示されていない)を含み、各スイッチ13、15、17、19は、デコーダを介してデジタル信号S2を復号した信号に基づいて、制御されてもよい。
次に、コンデンサ8の容量値Cが、半導体チップ製造プロセスのばらつき、または周囲温度の変動により、容量値ΔCだけ変化する場合について、フィルタ回路40の動作を説明する。この場合、上述した説明により被比較電圧Vrcが基準電圧Vrefのレベルに収束した段階において、式1は式6のように表され、電流値Iは電流値ΔIだけ変化する(簡単のため、式1のI(t)は充電期間Tにおいて大略一定としている)。ここで、電流値Iに対する電流値ΔIの割合は、容量値Cに対する容量値ΔCの割合に、大略等しい。
Figure 2009284130
すなわち、容量値Cがプロセスのばらつきまたは周囲温度の変動により大きくなる場合、電流値Iは増加し、電流値Iを増加させるためにデジタル信号S2は小さくなり、オンされるスイッチ13、15、17、19の数は減少する。各コンデンサ14、16、18、20がコンデンサ8と同一の半導体チップ内に形成されている場合、プロセスのばらつきまたは周囲温度の変動により、容量値Cが受ける変化の割合と、各コンデンサ14、16、18、20が受ける変化の割合とは、大略等しい。したがって、各コンデンサ14、16、18、20の容量値は、容量値Cが大きくなる割合と大略等しい割合で大きくなり、オンされるスイッチ13、15、17、19の数は、この割合の逆数に等しい割合で減少する。それゆえに、可変容量回路9の容量値は、実質的に変化しない。
逆に、容量値Cがプロセスのばらつきまたは周囲温度の変動により小さくなる場合、電流値Iは減少し、電流値Iを減少させるためにデジタル信号S2は大きくなり、オンされるスイッチ13、15、17、19の数は増加する。各コンデンサ14、16、18、20の容量値は、容量値Cが小さくなる割合と大略等しい割合で小さくなり、オンされるスイッチ13、15、17、19の数は、この割合の逆数に等しい割合で増加する。それゆえに、可変容量回路9の容量値は、実質的に変化しない。なお、各コンデンサ14、16、18、20はコンデンサ8と同一の半導体チップ内に形成されるとしたが、別個の半導体チップに形成され、この別個の半導体チップが1つのモジュール内に形成されてもよい。本発明の半導体装置は、1つの半導体チップ、または少なくとも2つの半導体チップを含む1つのモジュールのいずれかにより形成される。本発明のフィルタ回路40は、この1つの半導体チップに形成されるか、またはこの少なくとも2つの半導体チップに分割されて形成される。なお、各コンデンサ14、16、18、20は、コンデンサ8と比較して、材料、構造、および製造プロセスにおいて、できるだけ同等であることが望ましい。
以上のように本発明のフィルタ回路および半導体装置によれば、基準フィルタよりも半導体チップ面積が小さく消費電力が小さいロジック回路を用いることにより、フィルタ回路全体についてチップ面積を小型化および低消費電力化し、チップコストを低減するとともに、半導体製造プロセスのばらつき、周囲温度の変動、および電源電圧の変動に依存せず、カットオフ周波数を精度よく制御し、所定値に保持することが可能となる。
以上、実施の形態におけるこれまでの説明は、すべて本発明を具体化した一例であって、本発明はこれらの例に限定されず、本発明の技術を用いて当業者が容易に構成可能な種々の例に展開可能である。
本発明は、フィルタ回路および半導体装置に利用できる。
本発明の実施の形態におけるフィルタ回路の回路図 本発明の実施の形態におけるフィルタの詳細な回路図 本発明の実施の形態における可変容量回路の詳細な回路図 本発明の実施の形態におけるフィルタ回路を用いた無線通信システムのブロック図 従来例のフィルタ回路の回路図
符号の説明
1 フィルタ
2 ロジック回路
3 比較器
4 電流源
5 抵抗
6 可変電流源
7 スイッチ
8 コンデンサ
9 可変容量回路
10 抵抗
11 抵抗
12 オペアンプ
13、15、17、19 スイッチ
14、16、18、20 コンデンサ
21 アンテナ
22 フィルタ
23 アンプ
24 ミキサ
25 フィルタ
26 可変利得アンプ
27 A/Dコンバータ
28 PLL
29 DC制御回路
30 ベースバンドIC
40 フィルタ回路
41 無線通信システム
42 直流電圧供給端子
43 被比較回路
44 基準回路
71、72、73 スイッチの端子

Claims (25)

  1. 電流源および抵抗から生成される基準電圧と、可変電流源およびスイッチ、第1のコンデンサから生成される被比較電圧を比較器により、その比較結果として出力される電圧からロジック回路のビット数が決定され、ビット数に応じて可変容量回路の容量値が決定され、可変容量回路を包含するフィルタのカットオフ周波数が決定されることを特徴とするフィルタ回路。
  2. 前記可変電流源に設けられた前記スイッチはクロック信号により制御され、前記スイッチがオンした時に前記第1のコンデンサに電流が供給されることにより、前記第1のコンデンサによって積分された電圧を被比較電圧として前記比較器により比較結果として電圧を出力することを特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。
  3. 前記比較器の比較結果の電圧に応じたデジタル信号を出力しそのデジタル信号により前記フィルタのカットオフ周波数を可変することを特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。
  4. 前記比較器により出力された電圧を前記ロジック回路に入力し、前記比較器から出力された電圧に応じた出力ビットを制御する前記ロジック回路を有することを特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。
  5. 前記比較器は、基準電圧と被比較電圧を比較した電圧を2値の信号により出力することを特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。
  6. 前記可変電流源は前記ロジック回路で決定されたビット数を入力することによって、電流値が可変することを特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。
  7. 前記フィルタに内蔵されている可変容量回路は固定のコンデンサおよび前記コンデンサのn倍(nは正の数字)の容量値で決定され、前記n値を可変することによって所望の容量値にすることができることを特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。
  8. 前記n値の最大値をnmaxとした場合に、1/nmaxのm倍(mは正の数字)の容量値を有することを特徴とする請求項7記載のフィルタ回路。
  9. 前記1/nmaxのm倍の容量値は1/nmaxの容量値により構成されていることを特徴とする請求項8記載のフィルタ回路。
  10. 前記フィルタ回路でプロセスばらつきによって、前記第1のコンデンサおよび前記フィルタ回路を構成する前記可変容量回路の容量値が変化する場合において、前記比較器により出力された電圧を元に前記ロジック回路によって制御された出力ビットにより前記第2のコンデンサの値を切り替えることにより、プロセスばらつきに依存しないで、一定のカットオフ周波数を保持することを特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。
  11. 前記フィルタ回路が温度によって、前記フィルタ回路のカットオフ周波数が変動する場合において、前記比較器により出力された電圧を元に前記ロジック回路によって制御された出力ビットにより前記第2のコンデンサの値を切り替えることにより、温度変動に依存しないで、一定のカットオフ周波数を保持することを特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。
  12. 前記可変電流源の電流値は温度によって変化する前記第1のコンデンサの容量値の温度特性を補正するような温度特性を有することを特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。
  13. 前記フィルタ回路を用いたことを特徴とする通信モジュール。
  14. 前記フィルタ回路を用いたことを特徴とする通信機器。
  15. 前記フィルタ回路を用いたことを特徴とする移動体端末。
  16. 前記フィルタ回路と他の移動体装置を組み合わせて用いたことを特徴とする移動体通信システム。
  17. コンデンサを含み、前記コンデンサに流れる電流信号に基づいて被比較電圧を生成する被比較回路と、
    所定の基準電圧を生成する基準回路と、
    被比較電圧を基準電圧と比較し、比較結果に基づいて、補正信号を生成する比較補正回路と、
    可変コンデンサ、入力端子、および出力端子を含むフィルタと、を有し、
    前記比較補正回路は、補正信号に基づいて、被比較電圧が基準電圧と大略等しくなるように電流信号を制御するとともに、前記可変コンデンサの容量値を制御し、
    前記フィルタは、入力端子へ入力された信号を、前記可変コンデンサの容量値に基づく周波数特性により帯域制限し、帯域制限された信号を出力端子から出力する、フィルタ回路。
  18. 前記比較補正回路は、
    被比較電圧を基準電圧と比較し、比較結果電圧を生成する比較器と、
    比較結果電圧に基づいて、補正信号を生成する補正回路と、を含む、請求項17に記載のフィルタ回路。
  19. 前記基準回路は、電流源および前記電流源からの電流が流れる抵抗を含み、前記抵抗両端の電圧に基づいて、基準電圧を生成する、請求項17に記載のフィルタ回路。
  20. 前記被比較回路は、電流信号を生成する可変電流源を含む、請求項17に記載のフィルタ回路。
  21. 前記被比較回路は、スイッチを含み、
    前記スイッチは、所定期間の間オンすることにより、前記可変電流源からの電流信号を前記コンデンサへ流す、請求項20に記載のフィルタ回路。
  22. 前記コンデンサは、電流信号を積分して被比較電圧を生成する、請求項17に記載のフィルタ回路。
  23. 前記比較補正回路は、前記コンデンサに流れる電流信号が増加する場合、前記可変コンデンサの容量値を減少させるように制御し、他方、前記コンデンサに流れる電流信号が減少する場合、前記可変コンデンサの容量値を増加させるように制御する、請求項17に記載のフィルタ回路。
  24. 前記可変コンデンサは、スイッチと、前記スイッチにより選択される選択用コンデンサとの直列接続回路が、少なくとも2つ並列接続された回路を含む、請求項17に記載のフィルタ回路。
  25. コンデンサを含み、前記コンデンサに流れる電流信号に基づいて被比較電圧を生成する被比較回路と、
    所定の基準電圧を生成する基準回路と、
    被比較電圧を基準電圧と比較し、比較結果に基づいて、補正信号を生成する比較補正回路と、
    可変コンデンサ、入力端子、および出力端子を含むフィルタと、を有し、
    前記比較補正回路は、補正信号に基づいて、被比較電圧が基準電圧と大略等しくなるように電流信号を制御するとともに、前記可変コンデンサの容量値を制御し、
    前記フィルタは、入力端子へ入力された信号を、前記可変コンデンサの容量値に基づく周波数特性により帯域制限し、帯域制限された信号を出力端子から出力し、
    少なくとも前記コンデンサおよび前記可変コンデンサは、1つの半導体チップ、または少なくとも2つの半導体チップ含む1つのモジュールのいずれかにより形成された、半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019161382A (ja) * 2018-03-12 2019-09-19 ローム株式会社 増幅回路並びに増幅回路に関わる半導体装置及びドライバ装置

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