JP2009283357A - 基板間接続用コネクタ構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンタクトに必要な接触力を確保し、且つコネクタに必要な嵌合保持力を容易に調整することができるコネクタ構造を提供する。
【解決手段】一対のコネクタ(プラグ1、リセプタクル5)双方に補強金具4及び8が具わり、コネクタの嵌合の際、この補強金具4及び8の係合と、双方に具わるコンタクト(プラグコンタクト3及びリセプタクルコンタクト7)の係合とによって、嵌合保持力を生じさせるコネクタ構造である。補強金具4及び8の係合力は、一方の補強金具8の板厚方向の圧潰によって生じた凹部81bの底面に、他方の補強金具4の係合片42aが弾接することで生じ、コンタクト同士の係合力は、一方のコンタクト3の板厚方向の圧潰によって生じた凹部31dの底面に、他方のコンタクト7の接触片72が弾接することで生じるものである。
【選択図】図10

Description

本発明は、コンタクトの接触力と補強金具の係合力との協働によってコンタクトに必要な接触力と、コネクタに必要な嵌合保持力とを具えたコネクタ構造、及びこれら接触力と、嵌合保持力との調整方法に関するものである。
近年電子機器の小型化によって回路基板間接続用コネクタも小型化、低背化が進められている。小型化によってコネクタのコンタクト素材は薄板化、副挟化し、金属板状帯の屈曲部で生じるバネ弾性力も低下してきている。そのため、対応するコンタクト間で生じる接触力は低下し、接続の信頼性を揺るがしかねない。
また、コンタクト素材の薄板化、副挟化は、コンタクトの接続部と、回路基板の接続端子との半田接続面積の減少を伴い、コンタクトと回路基板間の接続力の低下を招くおそれをも有している。
前者の問題を解決する技術として、例えば特許文献1記載の技術のように、必要な嵌合力を得るためにコンタクトに屈曲部(内壁接触部)を設けて、この内壁接触部がハウジングの内壁に弾性的に接触することでコネクタの嵌合保持力の強化を図ったものや、特許文献2記載の技術のように、コンタクトにロック爪を具え、ハウジングにこのロック爪に対応した係止突部を設けることでコネクタの嵌合保持力の強化を図ったものが提案されている。
また、コネクタと回路基板間の接続力を補強する技術(後者の問題を解決する技術)として特許文献3記載の技術が提案されている。この提案によればハウジングにコネクタと回路基板間の接続強度を補強する補強金具を設けて、接続強度の低下を補うものである。補強金具は回路基板に半田で接続される接続部と、この接続部から連なり合成樹脂性のハウジングのスリットに保持される固定部とを一体的に具えていて、このハウジングに固定された補強金具の接続部が回路基板に半田で固定されることでコネクタと回路基板との接続強度の補強を図るものである。
特開2007−305513号公報 特開平9−259979号公報 実開平5−23429号公報
しかし、市場の要求に即座に応えるためには、コネクタは、組み込まれる機器の仕様によってその極数を容易に変え得るだけの構造の適応性を具えていることが望まれるのだが、上述した提案技術は、展開し得る極数の適応範囲に制限が置かれるものである。すなわち、極数の少ない範囲からある一定の多極の範囲までは予定する効果を奏しても、この想定する範囲を超えた多極コネクタに適用した場合には期待した効果は得られないものである。
すなわち、特許文献1記載の提案又は特許文献2記載の提案は、その提案技術を少極コネクタに適用することを想定して、そのコンタクト同士の接触部の弾接力の弱さに起因する嵌合保持力の補強をその技術課題としている。そのために想定を超えた多極コネクタに上述した技術を適用した場合には、コネクタ全体が奏する嵌合保持力は過大なものとなり、そのため挿抜作業性が著しく低下し、そのままでは商品価値を有しないものである。
また特許文献3記載の提案も、その提案技術は、コネクタと回路基板間の接続強度の低下を補うことはできても、低下したコネクタの嵌合保持力を補強することはできない。
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、コンタクトの少極のものから多極のものまで複数のバリエーションに対応する際に、コネクタの基本的構造を変えることなく具体的構造の変更のみで、コンタクトに必要な接触力を確保し、且つコネクタに必要な嵌合保持力を容易に調整することができるコネクタ構造を提供すること、及びそのコンタクトの接触力と、コネクタの嵌合保持力の調整方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。(1)絶縁部材から成るハウジング1、及び、このハウジング1に固定されたコンタクト1、及び、回路基板1に半田接続するように、このハウジング1に固定された、補強金具1を有するコネクタ1と、前記コネクタ1に嵌合する絶縁部材から成るハウジング2、及び、嵌合の際、対応する前記コンタクト1に電気的機械的に接続するように、このハウジング2に固定されたコンタクト2、及び、回路基板2に半田接続するように、このハウジング2に固定された補強金具2を有するコネクタ2と、を具えたコネクタ構造であって、前記コンタクト1は、嵌合の際、前記コンタクト2と接触する接触部1と、この接触部1の端から連なり前記ハウジング1に固定される固定部1と、を略U字状の屈曲部に形成し、前記固定部1の端から屈曲して連なる前記回路基板1に半田接続される接続部1を一体的に具え、前記コンタクト2は、嵌合の際、前記コンタクト1と接触する接触部2と、この接触部2から、前記コンタクト1の略U字状の屈曲部に沿うようにして湾曲した弾性変位可能な連結部2と、この連結部2の端から屈曲して連なる前記ハウジング2に固定される固定部2と、この固定部2の端から屈曲して連なる前記回路基板2に半田接続される接続部2と、を一体的に具え、前記接触部1は、平板状で起端部から先端部に亘り厚み方向に圧潰された凹部1を具え、前記接触部2は、嵌合の際、前記凹部1の底面に弾接する突起部2を具え、前記補強片1は、前記回路基板1に半田接続される接続部1と、この接続部1から連なる前記ハウジング1に固定される固定部1と、嵌合の際、補強金具2に係合する係合部1と、を一体的に具え、前記補強金具2は、前記回路基板2に半田接続される接続部2と、この接続部2から連なる前記ハウジング2に固定される固定部2と、嵌合の際、前記係合部1に係合する係合部2と、を一体的に具え、前記係合部1は、前記係合部2に弾接する突起部1を具え、前記係合部2は、平板状で起端部から先端部に亘り厚み方向に圧潰された凹部2を具え、挿入時、前記凹部1と前記突起部2とが嵌め合い、前記突起部1と前記凹部2とが嵌め合うことを特徴とするコネクタ構造である。(2)前記凹部1の圧潰量の増減と、前記凹部2の圧潰量の増減と、によって、コンタクト1及びコンタクト2の接触力と、コネクタ1及びコネクタ2の嵌合保持力と、を調整する方法である。
本発明(1)は、一対のコネクタ双方に補強金具が具わり、コネクタの嵌合の際、この補強金具同士の係合と、双方に具わるコンタクト同士の係合とによって、嵌合保持力を生じさせるコネクタ構造である。補強金具同士の係合力は、一方の補強金具の板厚方向の圧潰によって生じた凹部の底面に、他方の補強金具の係合片が弾接することで生じ、コンタクト同士の係合力は、一方のコンタクトの板厚方向の圧潰によって生じた凹部の底面に、他方のコンタクトの接触片が弾接することで生じるものである。
この圧潰は、補強金具及びコンタクトの所定の場所にその板厚方向に具わるものである。圧潰は成形プレス機で加圧して形成し得るが、圧潰方法はこの方法に限定されるものではない。この圧潰によってできた凹形状に係る相手側部分は、変形によりバネ弾性力を蓄えてこの圧潰面に弾接する。
本発明(2)は、コンタクトの圧潰量と、補強金具の圧潰量とをそれぞれ個別に制御することで、コンタクトの接触力と、コネクタの嵌合保持力とをそれぞれ適切な値に調整する方法である。上述したように、圧潰面での係合は、相手側部分のバネ弾性によるものだから、弾接力の強弱は、圧潰面の高低位すなわち圧潰量の増減によって決定されるものである。
圧潰量を多くすれば圧潰面は低位となって係合片の変位は小さくなるので、弾接力は小さくなる。逆に、圧潰量を少なくすれば圧潰面は高位となるので、弾接力は大きくなる。このように金属板面の圧潰という容易な加工だけで、バネ弾性に起因する弾接力を無段階に制御でき、且つ必要なコンタクトの接触力の調整と、これとは独立してコネクタの嵌合保持力の調整を行ないうるものである。
本発明のコネクタ構造は、コンタクトの少極のものから多極のものまで複数のバリエーションに対応する際に、コネクタの基本構造を変えることなく具体的構造の変更のみで、コンタクトに必要な接触力を確保し、且つコネクタに必要な嵌合保持力を容易に調整することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態によるコネクタ構造は、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとから成るBtoB(ボードトゥボード)コネクタ構造である。
コネクタ構造について図1から図3を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態による回路基板に実装されたリセプタクルコネクタと、プラグコネクタとが嵌合した状態の外観斜視図である。なお、プラグ側の回路基板はコネクタ構造を隠すので省略する。図2は、同じく図1に示すプラグコネクタとリセプタクルコネクタとの嵌合を解いた状態の外観斜視図である。なお、図1同様プラグ側の回路基板は省略する。図3は、同じく図1又は図2に示すプラグコネクタ及びリセプタクルコネクタを180度反転させた状態の外観斜視図である。なお、回路基板は両者とも省略する。
図1及び図2に示すように、BtoBコネクタ構造は、図示しない回路基板P1に実装されたプラグコネクタ1と、回路基板P2に実装されたリセプタクルコネクタ5とから成る。プラグコネクタ1は、絶縁性の合成樹脂から成るプラグハウジング2と、プラグハウジング2に固定された導電性の帯状体金属から成るプラグコンタクト3と、回路基板との接続力を補強すると共に、コネクタの嵌合力を補強するための補強金具4とから成る。このプラグコネクタ1に嵌合するリセプタクルコネクタ5は、絶縁性の合成樹脂から成るリセプタクルハウジング6と、リセプタクルハウジング6に固定され、プラグコンタクト3と電気的機械的接続をするリセプタクルコンタクト7と、回路基板との接続力を補強すると共に、補強金具4に係り合ってコネクタの嵌合力を補強するための補強金具8とから成る。
<プラグ>
プラグコネクタ1について、説明中の指示方向は、図3の指示に従う。プラグハウジング2は、前後方向に伸びた矩形状で、底面に底壁20と、底壁20の前後端に立設する端壁21、22及び底壁20の左右に立設する側壁23、24を具え、これら底壁20、端壁21、22及び側壁23、24で囲われた窪み状の凹部25を中央に形成する。端壁21、22の下面には、補強金具4、4を固定するためのスリット21a、22aを具え、左右側面には、補強金具4、4をガイドするための上下方向に伸びる溝21b、21b及び22b、22bを具える。側壁23、24は、前後方向に伸びる矩形状で、上面から外側面及び内側面にかけてプラグコンタクト3を固定するための溝26、27を複数個等ピッチで前後方向に具える。
プラグハウジング2にプラグコンタクト3を固定した際、左右側壁23、24に具わる溝26、27に、プラグコンタクト3の対応する部分が嵌り込むため、左右側壁23、24の上面及び外側面にプラグコンタクト3が突出することはない。また、プラグハウジング2に補強金具4、4を装着した際、端壁21、22に具わるスリット21a、22aに、補強金具4、4の対応する部分が圧入されて固定される。
プラグコンタクト3及び補強金具4、4を固定したプラグコネクタ1は、左右側壁23、24の下端から外向きに、補強金具4、4の先端及びプラグコンタクト3の先端が図示しない回路基板P1面と平行に伸び、実装時には、この部分が回路基板P1に接続する。また、プラグハウジング2の中央部に形成された凹部25は、プラグコネクタ1がリセプタクルコネクタ5に嵌合した際、リセプタクルコネクタ5の対応する凸部が嵌り込むところである。
<リセプタクル>
次に、リセプタクルコネクタ5について説明する。説明中の指示方向は、図2の指示に従う。リセプタクルハウジング6は、前後方向に伸びた矩形状で、底面に底壁60と、底壁60の前後端に立設する端壁61、62と、底壁60の左右に立設する側壁63、64を具え、これら底壁60、端壁61、62及び側壁63、64で囲われた窪み状の凹部65を中央に形成し、更にこの凹部65の中に前後方向に伸びた平面視矩形状の凸部66を具える。
リセプタクルハウジング6の側壁63、64は、断面略矩形状で、前後端には、補強金具8、8を固定するためのスリット61a、62aを側壁63、64の端部に具え、前後方向に亘っては、リセプタクルコンタクト7を固定するための溝67、68を側壁63、64の外周面に等ピッチで具える。
リセプタクルハウジング6にリセプタクルコンタクト7を固定した際、左右側壁63、64に具わる溝67、68に、リセプタクルコンタクト7の対応する部分が嵌り込み固定され、リセプタクルコンタクト7の内側に向かう先端は、中央部に具わる凸部66に形成されたガイド66aに囲われている。また、リセプタクルハウジング6に補強金具8、8を固定した際、側壁63、64に具わるスリット61a、62aに、補強金具8、8の対応する部分が嵌り込むため、補強金具8、8が側壁63、64の外周面から張出すことはない。
リセプタクルコンタクト7及び補強金具8、8を固定したリセプタクルコネクタ5は、左右側壁63、64の下端から外向きに、補強金具8、8の先端及びリセプタクルコンタクト7の先端が回路基板P2面と平行に伸びている。実装時には、この部分が回路基板P2に接続する。また、中央部に形成された凹部65は、プラグコネクタ1が嵌り込む部分であり、凹部65の中に具わる凸部66は、プラグコネクタ1の中央に具わる窪み状の凹部25が嵌り込むところである。このようにプラグコネクタ1がリセプタクルコネクタ5に嵌合したときに、対応するプラグコンタクト3と、リセプタクルコンタクト7とが電気的機械的接続状態をとることで、回路基板P1及びP2間に電気的接続状態が生まれる。また対応する補強金具4、4と、補強金具8、8とが機械的に係り合うことで嵌合力の補強が図られている。
次に、コンタクトについて図4から図6を参照して説明する。図4は、本発明の実施の形態によるプラグコンタクトの外観斜視図である。図5は、同じくリセプタクルコンタクトの外観斜視図である。図6は、同じくプラグコンタクトとリセプタクルコンタクトとが嵌合した状態の外観斜視図である。
<プラグコンタクト>
プラグコンタクト3は、基材の銅合金にニッケルめっきをし、表面に金めっきを施した金属の帯状体から成り、打抜き加工や曲げ加工によって必要な形状を具えている。プラグコンタクト3は、プラグハウジング2の側壁23、24のプラグコンタクト3を固定するための溝26、27に固定される固定部30と、固定部30から一方に連なる接触部31と、他方に連なる接続部32とから成る。
プラグコンタクト3の固定部30は、プラグハウジング2の側壁23、24に形成された溝26、27に圧入されるストレート部30aと、このストレート部30aの幅方向の断面から外方向に臨み、プラグコンタクト3を固定するための張出し片30b、30bとを具える。ストレート部30aは、一端に90度の屈曲部を形成し、ここから水平方向に伸びて接続部32に連なる。接続部32は、半田を介してそのストレート部32aで図示しない回路基板P1に接続する。そして、他端に180度の湾曲部を形成して、ここに固定部を画定し、ここより先で接触部31に連なる。接触部31は、垂直に立つ板面31bから成り、板面31bには、板厚方向の圧潰によって形成された凹部31dを具える。先端はテーパを具える切断面で終わっている。凹部31dの底面にリセプタクルコンタクト7の接触部72が弾接して電気的導通が生じる。
<リセプタクルコンタクト>
リセプタクルコンタクト7は、基材の銅合金にニッケルめっきをし、表面に金めっきを施した金属の帯状体から成り、打抜き加工や曲げ加工によって必要な形状を具えている。リセプタクルコンタクト7は、リセプタクルハウジング6の側壁63、64のリセプタクルコンタクト7を固定するための溝67、68に固定される固定部70と、固定部70から一方に連なる連結部71と、更にその先に連なる接触部72、及び他方に連なる接続部73とから成る。
リセプタクルコンタクト7の固定部70は、リセプタクルハウジング6の側壁63、64に形成された溝67、68に圧入されるストレート部70bと、このストレート部70bの幅方向の断面から外方向に臨み、リセプタクルコンタクト7を固定するための張出し片70d、70dとを具える。ストレート部70bは、プラグコンタクト3との反接触方向に90度の屈曲部を形成し、ここから水平方向に伸びて接続部73に連なる。接続部73は、半田を介してそのストレート部73aで回路基板P2に接続する。一方、プラグコンタクト3との接触方向に180度の湾曲部を形成して、ここに固定部70を画定する。そして、ここより先で更に90度屈曲して連結部71に連なる。連結部71は、水平方向に伸びるストレート部71aから成り、先端は90度屈曲して垂直に立ち上がり、接触部72に連なる。接触部72は、垂直に伸びるストレート部72aと、これに続く、くの字状の屈曲部72bとからなる。
<コンタクトの嵌合状態>
次に、図6を参照してプラグコネクタ1のリセプタクルコネクタ7への挿入について説明する。プラグコネクタ1をリセプタクルコネクタ7に挿入していくと、最初に、プラグコンタクト3の接触部31から固定部30に連なる曲率を持った部分に、リセプタクルコンタクト7の接触部72の接触点72d、72dが当接する。更に挿入を続けると、この当接部分の接触圧は次第に強くなるが、このときプラグコンタクト3の接触部31は固定されて動けないために、リセプタクルコンタクト7の接触部72が変位することとなる。変位は弾性的で挿入方向と直交する方向に変位し、この方向に弾性力を作用させ、この弾性力と、当接面の摩擦力との合成力として、挿入方向に挿入力を発生させる。この挿入力は、弾性変位量が最大となる位置、すなわちプラグコンタクト3に具わる接触部31の凸部31eを通過するときに最大となる。この位置から更に挿入を続けると、リセプタクルコンタクト7の接触部72の屈曲部72bに2個具わる接触点72d、72dは、プラグコンタクト3の接触部31に板厚方向の圧潰によって形成された凹部31dの底面と弾接するようになる。この凹部31dの底面は、凸部31eの表面に対して図4に示すように段差tがあり、この段差tを通過する際には、リセプタクルコンタクト7の接触部72の弾性変位量を急激に減少させ、挿入力の急変として感得される。このときの挿入力の急激な減少は、挿入時のクリック感として感じられるものである。本発明の実施形態では、プラグコンタクト3の凹部31dは、挿入方向に長く伸びていて、長い有効嵌合長を実現している。
<補強金具>
次に、図7〜図9を参照して補強金具の説明をする。図7はプラグ補強金具の斜視図である。図8はリセプタクル補強金具の斜視図である。図9はプラグ補強金具とリセプタクル補強金具との嵌合状態の斜視図である。
プラグ補強金具4、4は、プラグハウジング2の前後端壁21、22に形成されたスリット21a、22aに装着されて、プラグコネクタ1と図示しない回路基板P1との接続強度を補強すると共に、プラグコネクタ1と、リセプタクルコネクタ5との嵌合力を補強するものである。プラグ補強金具4、4は、金属の帯状体の打抜き加工でその形状が得られ、中央部にプラグハウジング2の端壁21、22に具わるスリット21a、22aに固定される、一辺から切溝を形成した固定部40と、固定部40の上側面から外向きに水平に伸びる連結部41、41と、連結部41、41から更に外方向に水平に伸びる接続部43、43と、連結部41、41と接続部43、43との繋ぎ部から垂下する片状の係合部42、42とから成る。
固定部40は、プラグ補強金具4をプラグハウジング2に圧入によって固定する部分である。固定部40は、一対の固定片40a、40aを具え、固定片40aは、その切断面から外向きに2個の凸状の突起40b及び40cを具える。プラグハウジング2に固定される固定片40a、40aが隙間を隔てて一対具わり、その隙間にプラグハウジング2の端壁21、22に形成されたスリット21a、22a内に形成された図示しない固定台を挟み込む状態で、スリット21a、22aの側壁に対して外向きに突起40b及び40cで押圧を掛けて固定するものである。プラグ補強金具4、4は、プラグハウジング2に強固に固定されている。
係合部42、42は、リセプタクル補強金具8、8の対応する箇所に係合し、プラグコネクタ1と、リセプタクルコネクタ5との嵌合力を補強する部分である。係合部42、42は、連結部41、41と接続部43、43との繋ぎ部から垂下する係合片42a、42aと、その先端外向きに凸状の突起42b、42bとを具える。係合片42a、42aは、弾性的に変位可能で、先端の突起42b、42bで、リセプタクル補強金具8、8の対応する部分と係合して嵌合力を補強する。
接続部43、43は、図示しない回路基板P1に半田を介して接続する部分ある。接続部43、43は、図示しない回路基板P1に平行な接続片43a、43aを具えている。接続片43a、43aと図示しない回路基板P1の接続端子とが半田で固定されて機械的接続状態が生まれ接続力の補強をおこなう。
次に、図8を参照してリセプタクル補強金具8、8について説明する。リセプタクル補強金具8、8は、リセプタクルハウジング6の前後端壁61、62に形成されたスリット61a、62aに装着されて、リセプタクルコネクタ5と図示しない回路基板P2との接続力を補強すると共に、プラグコネクタ1と、リセプタクルコネクタ5との嵌合力を補強するものである。リセプタクル補強金具8、8は、金属の帯状体の打抜き加工と曲げ加工でその形状が得られ、リセプタクルハウジング6の端壁61、62に形成されたスリット61a、62aに固定される固定部80と、その先から180度曲げ戻し、そこから垂直に伸びる片状の係合部81と、固定部80の反対側の端部から外向きに90度屈曲して水平に伸びる片状の接続部82とから成る。
固定部80は、平板状で両側面に外向きに凸状の突起80b、80bを具え、リセプタクルハウジング6の側壁63、64の端部に具わる補強金具8、8を受け入れるスリット61a、62aに圧入されて図示しない係合片に係合して固定される。
係合部81は、平板状の係合片81aを有し、中央部に板厚方向の圧潰によって形成された窪み状の凹部81bを具える。この圧潰によって形成された凹部81bにプラグ補強金具4の係合部42に具わる凸状の突起42bが係合してプラグコネクタ1と、リセプタクルコネクタ5との嵌合力が補強される。
接続部82は、固定部80の端部から水平方向に伸びる平板状の接触片82aから成る。接続部82は、図示しない回路基板P2に半田を介して固定される部分である。
次に、図9を参照してプラグ補強金具4と、リセプタクル補強金具8との係合状態について説明する。プラグ補強金具4、4の係合片42a、42aは、対応するリセプタクル補強金具8、8の係合片81a、81aに弾接し、係合片81a、81aの板厚方向の圧潰によって形成された凹部81b、81bに係合片42a、42aの係合突起42b、42bが嵌ることで、プラグ補強金具4はリセプタクル補強金具8に係合する。係合力は、係合片81a、81aに対する係合片42a、42aの弾接力によって得られるので、リセプタクル補強金具8の凹部81b、81bの圧潰量の増減によって容易に調整できるものである。
次に図1のコネクタの嵌合状態の補強金具の係合状態及びコンタクトの接触状態について図10を参照して説明する。図10は、図1のコネクタの嵌合状態の断面図である。(a)は補強金具の係合状態であり、(b)はコンタクトの接触状態である。
プラグ補強金具4、4は、固定部40で、プラグハウジング1の端壁21、22に圧入によって固定され、接続部43、43で、回路基板P1に半田によって固定されている。一方、リセプタクル補強金具8、8は、リセプタクルハウジング6の側壁63、64の端部に圧入によって固定され、接続部82、82で、回路基板P2に半田によって固定されている。そして、プラグ補強金具4の係合部42、42と、リセプタクル補強金具8の係合部81、81とが嵌り合って、プラグ補強金具4は、リセプタクル補強金具8に係合している。すなわち、プラグ補強金具4及びリセプタクル補強金具8は、それぞれ回路基板P1及びP2との接続力を補強すると共に、これらが協働してプラグコネクタ1と、リセプタクルコネクタ5との嵌合力をも同時に補強し、回路基板P1及びP2間の安定した電気的接続状態を補強するものである。
したがって、プラグ補強金具4及びリセプタクル補強金具8は、プラグコンタクト3及びリセプタクルコンタクト7が多極で、プラグコンタクト3及びリセプタクルコンタクト7の接触力でコネクタ全体の必要な嵌合保持力が確保されている場合には、圧潰量を多くしてその係合力を小さくすることで対応し、プラグコンタクト3及びリセプタクルコンタクト7が少極で、プラグコンタクト3及びリセプタクルコンタクト7の接触力でコネクタ全体の必要な嵌合保持力が確保されていない場合には、圧潰量を少なくしてその係合力を大きくすることで対応する。
<作用、効果>
プラグコンタクト3と、リセプタクルコンタクト7間の電気的接続状態に必要な接触力は、接触片の圧潰量の増減によって調整する。このようにして調整した結果プラグコンタクト3及びリセプタクルコンタクト7が少極の場合には、その接触力の総和がコネクタとして必要な嵌合保持力に対して不足する場合がある。つまり、コネクタとして要求される最適嵌合保持力は、コネクタの使用環境や使用目的によって決まるものなので、接触力の総和として得られた嵌合保持力がそれに相応しない場合が生じ得る。
本発明は、懸かる事情の下で安定した電気的接続を得るために必要な接触力の確保と、使用環境や使用目的から求められる嵌合保持力の確保とを、コネクタの基本的構造すなわちコンタクトの形状や接触部の曲率等の微妙な弾性設計が要求される部分に変更を加えることなく、具体的構造すなわち接触片の圧潰量の増減と、補強金具の圧潰量の増減のみで可能にすることができるコネクタ構造に関するものである。
すなわち、コンタクトが少極の場合には、コンタクトの接触片の圧潰量を小さくしてコンタクトの接触力を大きくする。このとき接触力の総和としての嵌合保持力が、要求される嵌合保持力に対してまだ小さいものであるときは、補強金具の圧潰量を小さくして係合力の増加を図って要求値を満たす。一方コンタクトが多極の場合には、コンタクトの接触片の圧潰量を必要接触力が得られる限度内で大きくしてコンタクトの接触力を小さくする。この時接触力の総和としての嵌合保持力が、要求される嵌合保持力に対してほぼ満足できるときは、補強金具の圧潰量を大きくして係合力の減少を図って対応するのである。
このように、本発明のコネクタ構造は、コンタクトの少極のものから多極のものまで複数のバリエーションに対応する際に、コネクタの基本的構造を変えることなく具体的構造の変更のみで、コンタクトに必要な接触力を確保し、且つコネクタに必要な嵌合保持力を容易に調整することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の態様で実施可能である。
本発明の実施形態による回路基板に実装されたリセプタクルコネクタと、プラグコネクタとが嵌合した状態の外観斜視図である。 同じく図1に示すプラグコネクタとリセプタクルコネクタとの嵌合を解いた状態の外観斜視図である。 同じく図1又は図2に示すプラグコネクタ及びリセプタクルコネクタを180度反転させた状態の外観斜視図である。 同じくプラグコンタクトの外観斜視図である。 同じくリセプタクルコンタクトの外観斜視図である。 同じくプラグコンタクトとリセプタクルコンタクトとが嵌合した状態の外観斜視図である。 同じくプラグ補強金具の外観斜視図である。 同じくリセプタクル補強金具の外観斜視図である。 同じくプラグ補強金具とリセプタクル補強金具との係合状態の外観斜視図である。 図1のコネクタの嵌合状態の断面図である。(a)は補強金具の係合状態であり、(b)はコンタクトの接触状態である。
符号の説明
1 プラグコネクタ
2 プラグハウジング
3 プラグコンタクト
4 プラグ補強金具
5 リセプタクルコネクタ
6 リセプタクルハウジング
7 リセプタクルコンタクト
8 リセプタクル補強金具
20 底壁
21、22 端壁
23、24 側壁
25 凹部
30 固定部
31 接触部
32 接続部
40 固定部
41 連結部
42 係合部
43 接続部
60 底壁
61、62 端壁
63、64 側壁
65 凹部
66 凸部
67、68 溝
70 固定部
71 連結部
72 接触部
73 接続部
80 固定部
81 係合部
82 接続部
P1、P2 回路基板

Claims (2)

  1. 絶縁部材から成るハウジング1、及び、このハウジング1に固定されたコンタクト1、及び、回路基板1に半田接続するように、このハウジング1に固定された、補強金具1を有するコネクタ1と、
    前記コネクタ1に嵌合する絶縁部材から成るハウジング2、及び、嵌合の際、対応する前記コンタクト1に電気的機械的に接続するように、このハウジング2に固定されたコンタクト2、及び、回路基板2に半田接続するように、このハウジング2に固定された補強金具2を有するコネクタ2と、を具えたコネクタ構造であって、
    前記コンタクト1は、嵌合の際、前記コンタクト2と接触する接触部1と、
    この接触部1の端から連なり前記ハウジング1に固定される固定部1と、を略U字状の屈曲部に形成し、前記固定部1の端から屈曲して連なる前記回路基板1に半田接続される接続部1を一体的に具え、
    前記コンタクト2は、嵌合の際、前記コンタクト1と接触する接触部2と、
    この接触部2から、前記コンタクト1の略U字状の屈曲部に沿うようにして湾曲した弾性変位可能な連結部2と、
    この連結部2の端から屈曲して連なる前記ハウジング2に固定される固定部2と、
    この固定部2の端から屈曲して連なる前記回路基板2に半田接続される接続部2と、を一体的に具え、
    前記接触部1は、平板状で起端部から先端部に亘り厚み方向に圧潰された凹部1を具え、
    前記接触部2は、嵌合の際、前記凹部1の底面に弾接する突起部2を具え、
    前記補強片1は、前記回路基板1に半田接続される接続部1と、
    この接続部1から連なる前記ハウジング1に固定される固定部1と、
    嵌合の際、補強金具2に係合する係合部1と、を一体的に具え、
    前記補強金具2は、前記回路基板2に半田接続される接続部2と、
    この接続部2から連なる前記ハウジング2に固定される固定部2と、
    嵌合の際、前記係合部1に係合する係合部2と、を一体的に具え、
    前記係合部1は、前記係合部2に弾接する突起部1を具え、
    前記係合部2は、平板状で起端部から先端部に亘り厚み方向に圧潰された凹部2を具え、
    挿入時、前記凹部1と前記突起部2とが嵌め合い、前記突起部1と前記凹部2とが嵌め合うことを特徴とするコネクタ構造。
  2. 前記凹部1の圧潰量の増減と、前記凹部2の圧潰量の増減と、によって、
    コンタクト1及びコンタクト2の接触力と、
    コネクタ1及びコネクタ2の嵌合保持力と、を調整する方法。
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