JP2009283292A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池において、アノード極に供給される燃料濃度を適正な濃度に維持しつつ、排燃料を循環して利用できるようにする。
【解決手段】この発明の燃料電池システムは、陰イオンを伝導する電解質と、該電解質の両側に配置された一対の電極であるアノード極とカソード極とを有し、液体の燃料の供給を受けて発電するアルカリ型の燃料電池を備える。また、燃料電池システムには、アノード極に燃料を循環して供給する燃料供給部と、燃料供給部に供給する燃料を貯留する燃料貯留部とが配置されている。更に、燃料貯留部と燃料供給部とを接続する燃料通路と形成されている。また、この燃料電池システムには、燃料貯留部の壁面の一部を構成し、かつ、その移動により燃料貯留部の容積を変化させる壁部とが備えられている。
【選択図】図1

Description

この発明は燃料電池システムに関する。更に具体的には、液体燃料の供給を受けて発電するアルカリ型燃料電池を有する燃料電池システムに関するものである。
従来、燃料電池としては、アルカリ型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型などが知られている。例えば、特許文献1にはアルカリ型燃料電池が開示されている。この燃料電池は、水酸化物イオンを伝導体とする電解質膜を用いた燃料電池であり、アノード極には燃料としてヒドラジンやアンモニア等が用いられる。アノード極及びカソード極に反応剤が供給されると、カソード極では水酸化物イオンが生成され、水酸化物イオンは電解質膜を通過してアノード極側に移動する。アノード極では水酸化物イオンと燃料中の水素とが反応して水が生成される。
特開2006−244961号公報
ところで、このような燃料電池の運転に際し、アノード極から排出される排燃料中には未反応の燃料が含まれる。このため燃料利用率の向上を図るべく、排燃料を外部に排出せず循環させてアノード極に供給できる構成を有する燃料電池が知られている。しかし、アルカリ型燃料電池においてはアノード極で水が生成され、排燃料として未反応の燃料と共に排出される。従って、アルカリ型燃料電池の場合、排燃料の循環利用が続くと生成水によって次第に燃料濃度が低下することが考えられる。燃料濃度がある程度低くなるとアノード極での反応は停滞しはじめ、燃料電池の出力が低下する事態を生じ得る。
これに対し、例えば燃料濃度の低下に備えて予め高濃度の燃料を充填しておくことが考えられる。しかし、燃料濃度が過剰に高くなると、電極触媒がその燃料により被毒され、高い触媒の活性を維持できないことが考えられる。従って、アノード極に供給される燃料濃度は適正な濃度範囲に維持されることが望ましい。
従って、この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、アノード極に供給される燃料濃度を適正な濃度に維持しつつ、排燃料を有効に利用することができるよう改良された燃料電池システムを提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池システムであって、
陰イオンを伝導する電解質と、該電解質の両側に配置された一対の電極であるアノード極とカソード極とを有し、液体の燃料の供給を受けて発電するアルカリ型の燃料電池と、
前記アノード極に燃料を供給する燃料供給部と、
前記燃料供給部に供給する燃料を貯留する燃料貯留部と、
前記燃料貯留部と前記燃料供給部とを接続する燃料通路と、
前記燃料貯留部の壁面の一部を構成し、かつ、その移動により前記燃料貯留部の容積を変化させる壁部と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記燃料通路に、前記燃料通路を開閉する噴出弁を、更に備えることを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、前記噴出弁の開閉を制御する噴出弁制御手段を、更に備え、
前記噴出弁制御手段は、前記壁部が移動する際に、前記噴出弁を開弁するように制御することを特徴とする。
第4の発明は、第1から第3のいずれか1の発明において、前記壁部の移動を制御する壁部制御手段を、更に備え、
前記壁部制御手段は、前記燃料貯留部の容積が小さくなるように前記壁部を移動させることを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明において、
前記燃料供給部の燃料濃度を検知する燃料濃度検知手段と、
前記燃料濃度検知手段により検知された燃料濃度が、第1基準濃度よりも低いか否かを判別する第1燃料濃度判別手段と、を更に備え、
前記壁部制御手段は、前記燃料濃度が、前記第1基準濃度よりも低いと判別された場合に、前記壁部を移動させることを特徴とする。
第6の発明は、第5の発明において、燃料濃度が、前記第1基準濃度より高い濃度である第2基準濃度よりも高いか否かを判別する第2燃料濃度判別手段を更に備え、
前記壁部制御手段は、燃料濃度が前記第2基準濃度より高いと判別された場合に、前記壁部の移動を停止することを特徴とする。
第7の発明は、第1から第6のいずれか1の発明において、
前記燃料貯留部は、前記燃料供給部に接して配置され、
前記壁部は、前記燃料貯留部と前記燃料供給部との境界面を構成することを特徴とする。
第8の発明は、第7の発明において、前記燃料電池は、発電に使用された燃料体積に対して排出される排燃料の体積が増加するものであることを特徴とする。
第9の発明は、第7または第8の発明において、前記燃料は、メタノール又はメタノール水溶液であることを特徴とする。
第10の発明は、第1から第6のいずれか1の発明において、前記壁部は、前記燃料貯留部と前記燃料供給部との境界面とは異なる一壁面を構成することを特徴とする。
第11の発明は、第10の発明において、前記燃料電池は、発電に使用された燃料体積に対して排出される排燃料の体積が減少するものであることを特徴とする。
第12の発明は、第10または第11の発明において、前記燃料は、アンモニア、エタノール、及びエチレングリコールからなる群のうちいずれか1の燃料又はその水溶液であることを特徴とする。
第13の発明は、燃料電池システムであって、
陰イオンを伝導する電解質と、該電解質の両側に配置された一対の電極であるアノード極とカソード極とを有し、液体の燃料の供給を受けて発電するアルカリ型の燃料電池と、 前記アノード極に燃料を供給する燃料供給部と、
前記燃料供給部に供給する燃料を貯留する燃料貯留部と、
前記燃料貯留部と前記燃料供給部との境界面と、前記燃料貯留部内を、前記燃料供給部から直列に接続する複数の空間に仕切る面と、をそれぞれ構成する複数の壁部と、
前記複数の壁部のそれぞれに配置され、前記燃料貯留部側の空間から前記燃料供給部側の空間に、燃料を噴出させるための噴出弁と、
を備えることを特徴とする。
第14の発明は、第13の発明において、
前記噴出弁の開閉を制御する噴出弁制御手段と、
前記燃料供給部の燃料濃度を検知する燃料濃度検知手段と、
前記燃料濃度検知手段により検知された燃料濃度が、第1基準濃度よりも低いか否かを判別する燃料濃度判別手段と、を更に備え、
前記噴出弁制御手段は、前記燃料濃度が、前記第1基準濃度よりも低いと判別された場合に、前記複数の噴出弁の中で閉弁状態にある噴出弁のうち、前記燃料供給部側に最も近い壁部に配置された噴出弁を開弁することを特徴とする。
第1の発明によれば、壁面の移動により燃料貯留部の容積を変化させることができる。これにより、燃料の使用により変化する燃料貯留部内の燃料体積に応じて燃料貯留部の容積を変化させることができ、燃料貯留部内を適正な圧力に維持することができる。
第2の発明によれば、燃料通路に配置された噴出弁により、燃料貯留部と燃料供給部とを、流通あるいは非流通状態とすることができる。これにより燃料貯留部から燃料供給部への燃料の流通を、より確実に調整することができる。
第3の発明によれば、壁部が移動する際に噴出弁を開放し、燃料通路を開放することができる。従って、壁部の移動時に燃料貯留部と燃料供給部との間で燃料が流通できる通路を確保することができ、壁部移動による燃料の供給を確実に行なうことができる。
第4の発明によれば、燃料貯留部が小さくなるように壁部が移動する。これにより、燃料貯留部内の燃料を燃料供給部に噴出することができると共に、その燃料の供給により減少する燃料体積に応じて燃料貯留部の容積を変化させることができる。これにより燃料貯留部を適正な圧力に維持することができる。
第5の発明によれば、燃料供給部内の燃料濃度が、所定の第1基準濃度よりも低いと判断された場合に、壁部を移動することができる。この移動により燃料貯留部の燃料を燃料供給部に供給することができるため、燃料供給部内の燃料濃度を適切な濃度範囲に維持することができる。
第6の発明によれば、燃料供給部内の燃料濃度が、所定の第2基準濃度より高いと判断された場合に、壁部の移動を停止することができる。これにより燃料供給部内の燃料濃度がある程度高くなった段階で、燃料貯留部からの燃料の供給を停止することができ、燃料供給部内の燃料濃度をより適正な範囲に維持することができる。
第7の発明によれば、移動する壁部が、燃料供給部と燃料貯留部との境界面を構成する。これにより、燃料貯留部から燃料供給部への燃料供給に応じて、燃料供給部と燃料貯留部との容積比率を変化させることができるため、燃料貯留部と燃料供給部とを適正な圧力範囲に維持することができる。
特に、発電に使用された燃料体積に対して排出される排燃料の体積が増加する場合がある。この場合、燃料電池の運転が続くと排燃料により次第に燃料供給部内の体積が増加する。この点、第8の発明によれば、排燃料の体積が増加するものである場合に、移動する壁部を燃料供給部との境界面を構成する構造とすることができる。これにより、燃料を燃料供給部に供給する際に燃料貯留部内の容積比率を小さくすると、燃料供給部の容積比率を大きくすることができる。従って、燃料供給部の燃料体積が燃料供給や排燃料により増加しても、燃料供給部の容積を大きくすることができるため、燃料供給部の圧力の増大を抑制することができる。また同時に、燃料供給部への燃料供給により燃料の体積が減少しても、燃料貯留部の容積を小さくすることができるため、燃料貯留部内を適正な圧力範囲に維持することができる。
また、第9の発明によれば、このような壁部が境界面を構成する構造において、燃料をメタノール又はその水溶液とすることができる。排燃料が使用する燃料の体積に対して増加するか否かは、温度や湿度、その他燃料電池の使用環境等によって異なるものであるが、理論的にはメタノールは、その使用により排燃料が増大するものである。従って、壁部が境界面を構成する構造とすることで、燃料供給部と燃料貯蔵部とを共に適正な圧力に維持することができると考えられる。
第10の発明によれば、移動する壁部が、燃料貯留部の、燃料供給部との境界面とは異なる一壁面を構成する。これにより燃料供給部の容積を変化させることなく、燃料貯留部の容積を小さくすることができる。これにより燃料の使用によりその体積が減少しても、燃料貯留部内を適切な濃度範囲に維持することができる。
特に、第11の発明によれば、発電に使用された燃料体積に対して排出される排燃料の体積が減少する場合に、燃料供給部の容積を変化させることなく、燃料貯留部の容積を変化させる構造とすることができる。従って、燃料供給部内の燃料の体積がある程度減少しても、燃料供給部内の圧力低下を抑制することができる。
また、第12の発明によれば、このような壁部が境界面を構成する構造において、燃料をアンモニア、エタノール及びエチレングリコールのいずれか、あるいはその水溶液とすることができる。排燃料が使用する燃料の体積に対して減少するか否かは、温度や湿度、その他燃料電池の使用環境等によって異なるものであるが、理論的にはこれらの燃料は、その使用により排燃料の体積が減少するものである。従って、これらの燃料を用いる場合に、燃料供給に際して、燃料供給部の容積が変化しない構造とすることで、燃料供給部や燃料貯蔵部の圧力低下を効果的に抑制することができると考えられる。
また、第13の発明によれば、燃料貯留部と燃料供給部との境界面と、燃料貯留部内を燃料供給部から直列に接続する複数の空間に仕切る面とをそれぞれ構成する複数の壁部が形成され、その壁部のそれぞれには燃料を噴出させるための噴出弁が取り付けられている。これにより、燃料供給部の燃料濃度に応じて、燃料貯留部内の複数の噴出弁を次第に開放することができ、燃料供給部内の燃料濃度を適正な範囲に維持することができる。
第14の発明によれば、燃料供給部の燃料濃度が第1基準濃度よりも低いと判別された場合に、燃料供給部側に最も近い壁部に配置された噴出弁を開弁することができる。これにより、燃料貯留部側の高濃度の燃料を、必要に応じて燃料供給部側に確実に供給することができ、燃料濃度を適正な範囲に維持することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1の燃料電池システムについて説明するための模式図である。図1に示す燃料電池システムは、アルカリ型燃料電池2を有している。燃料電池2はアニオン交換膜10(電解質)を有している。アニオン交換膜10の両側にはアノード触媒層12とカソード触媒層14とが形成されている。アノード触媒層12とカソード触媒層14の外側(即ち、アニオン交換膜10側の面とは反対側)には、それぞれ拡散層16、18が配置され、アニオン交換膜10とアノード触媒層12とカソード触媒層14とは、拡散層16、18により挟持されている。
アノード触媒層12側の拡散層16の外側には集電板20が配置され、集電板20の外側には燃料を流通させるための燃料流路22が形成されている。カソード触媒層14側の拡散層18の外側には集電板24が配置され、集電板24の外側には酸素(空気)を流通させるための酸素流路26が形成されている。集電板20、24には外部回路28が接続している。
このように構成される燃料電池2のアニオン交換膜10は、カソード触媒層14で生成される水酸化物イオンをアノード触媒層12側に移動させることができる媒体である。アニオン交換膜10としては、例えば、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ビリジウム基、4級イミダゾリウム基などのアニオン交換基を有する固体高分子膜を用いることができる。また、固体高分子の膜としては、例えば、炭化水素系及びフッ素系樹脂などがあげられる。
また、燃料電池2のアノード触媒層12及びカソード触媒層14は触媒粒子を撥水剤や水等の混合液に溶かしてアニオン交換膜10に塗布することで形成されている。触媒粒子は、後述する各触媒層12、14での反応を触媒する機能を有するものであれば特に限定されるものではない。具体的な触媒粒子としては、例えば、鉄(Fe)、白金(Pt)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)により形成されたもの、これらの金属のいずれかをカーボン等の担体に担持させたもの、あるいはこれらの金属原子を中心金属とする有機金属錯体、あるいは、このような有機金属錯体を担体に担持させたもの等が挙げられる。
図1を参照して、燃料流路22の燃料導入口30と燃料排出口32には、それぞれ燃料循環系40(燃料供給部)が接続している。燃料循環系40は、燃料混合部42と燃料導入口30とを接続し、燃料流路22に燃料を流入させる流路44と、燃料混合部42と燃料排出口32とを接続し、燃料流路22から排出される排燃料を燃料混合部42方向に流通させる流路46とにより構成される。燃料混合部42内には流通する燃料の濃度に応じた出力を発する濃度センサ48が取り付けられている。
燃料循環系40の燃料混合部42に接して、燃料タンク50(燃料貯留部)が配置されている。燃料タンク50には高濃度の燃料が充填されている。燃料混合部42と燃料タンク50との境界面は隔壁(壁部)52によって構成されている。即ち、燃料混合部42と燃料タンク50とは、互いに隔壁52によって仕切られた空間となっている。隔壁52は移動可能な壁面であり、具体的な構成については後述する。隔壁52には燃料噴出弁54(噴出弁)が設けられている。燃料噴出弁54は開閉可能であり、具体的な構成については後述する。
隔壁52には2本のシャフト56が接続している。シャフト56は燃料タンク50内を貫通し、燃料タンク50の隔壁52とは反対側の壁面(即ち、図1における左側の壁部。以下、実施の形態において「背面」とする。)を貫通して、外部に突出している。この背面の貫通部分においてシャフト56周囲は防水布58で覆われ、燃料タンク50内の燃料が漏出しないように密閉されている。シャフト56は、図1の左右方向に移動可能であり、シャフト56の移動に連動して隔壁52が移動する。シャフト56内には、燃料噴出弁54に接続する配線60が貫通している。
一方、酸素流路26の空気導入口、空気排出口には、それぞれ、空気供給路64、空気排出路66が接続している。また、この燃料電池システムは制御装置68を有している。制御装置68は、例えば濃度センサ48に接続され、濃度センサ48の出力を受けて、燃料循環系40内の燃料濃度を検出する。一方、制御装置68は、配線60やシャフト56に接続している。制御信号68は必要な制御信号を発することで、燃料噴出弁54の開閉や隔壁52の移動を制御する。
図2は、この発明の実施の形態1の燃料電池システムに用いられる燃料噴出弁54の構成を説明するための模式図である。図2(a)〜(c)に示されるように、隔壁52は中央付近の一部において、スライド板70とスライド板70を挟む一対の板72を有している。一対の板72は同一形状を有し、同じ位置に、燃料通路となる開口部74を有している。燃料噴出弁54は、一対の板72の図2(b)に示される面が、隔壁52の燃料タンク50側の面と、燃料混合部42側の面と同じ面をそれぞれ構成するように配置され、隔壁52に組み込まれている。
図2(b)及び図2(c)に示されるように、スライド板70は、一対の板72の間でスライド可能に配置され、制御装置68からの制御信号が配線60を介して伝達されることによりスライド移動する。このスライドにより一対の板72に設けられた開口部74が開閉する。開口部74の開閉によって、燃料混合部42と燃料タンク50との間の燃料流通の可/不可の状態が切り替えられる。
図3は、この発明の実施の形態1の燃料電池システムに用いられる隔壁52の構成を説明するための模式図である。図3は、シャフト56が接続された側(即ち、背面側)から隔壁52を斜視した状態を表している。図3に示されるように、隔壁52は、その外周部、即ち、燃料タンク50の内壁面50aと接する部分に、シール部76を有している。シール部76は、制御装置68からの制御信号によって伸張可能に構成され、隔壁52停止時に燃料タンク内壁面50aに隔壁52を密着させる機能を有している。
図4は、この発明の実施の形態1の燃料電池システムにおいて隔壁52が移動する際の状態を説明するための模式図である。図4では、隔壁52が停止した状態から、燃料タンク50の背面側に移動して、再び停止する際の動作を表している。図4の「停止時」に示されるように、隔壁52が停止している状態においては、シール部76が内壁面50a側に伸張し、内壁面50aとシール部76とが密着した状態となっている。これにより隔壁52は燃料タンク50と燃料循環系40とを互いに隔離している。
一方、図4の「移動時」に示されるように、隔壁52が移動する際にはシール部76が収縮し内壁面50aから離れた状態となる。これにより隔壁52は燃料タンク50内を円滑に移動することができる。更に、図4の「再停止」に示されるように、隔壁52の移動が停止する場合には、シール部76が再び伸長し内壁面50aに密着する。これにより、燃料タンク50と燃料循環系40とが互いに隔離され仕切られた状態となる。
ところで、アノード触媒層12に燃料が供給されると、アノード触媒層12の機能により分解されて水素原子が取り出され、アニオン交換膜10を通過した水酸化物イオン(OH)と反応して水(HO)が生成される。生成された水の一部はアニオン交換膜10から拡散しカソード触媒層14に移動し、カソード触媒層14での水酸化物イオンの生成反応に用いられる。具体的に、例えば、メタノールを燃料として使用する場合、燃料電池2全体では、次式(1)に示すような反応が起きる。
CHOH+3/2O→2HO+CO ・・・・(1)
式(1)から判るように、燃料流路22から排出される排燃料には、反応に使用されなかった燃料の他に生成水が含まれている。従って排燃料中の燃料濃度は低くなっている。具体的に、メタノールを燃料として用いる場合、理論的には、1[mol]のメタノールの消費に対して、2[mol]の水が排出されることとなる。1[mol]のメタノールの体積は24.6[ml](32/1.3=24.6)である。また、2[mol]の水の体積は36[ml](18×2/1=36)である。従って、理論的には、メタノールを1[mol]消費した場合、排燃料の体積は11.4[ml](36-24.6=11.4)増加することとなる。
この発明の実施の形態1では、このような燃料循環系40内における燃料濃度の低下や体積の変化による圧力の変化を抑えるため、以下に説明するような制御を行なう。図5は、この発明の実施の形態1において、燃料タンク50から燃料混合部42に燃料を供給する際の動作を説明するための模式図である。
初期の段階において、燃料タンク50には100[%]の燃料、もしくはそれに近い高濃度の燃料水溶液(以下、実施の形態において「高濃度燃料」と称する)が圧縮されて貯留されている。一方、燃料混合系40内には発電に適した濃度の燃料水溶液が所定の燃料供給圧で充填されている。燃料電池2の運転中、燃料循環系40内の燃料濃度が適正な発電を行なうことができる濃度以上の状態では、図5(a)に示されるように、燃料噴出弁54が閉弁された状態にあり、燃料タンク50と燃料混合部42との間は、隔壁52によって互いに隔離されている。
一方、燃料濃度が適正な発電を行なうことができる濃度の限界付近にまで低下した場合、図5(b)に示されるように燃料噴出弁54が開放される。即ち、スライド板70がスライドして開口部74が開口する。同時に、隔壁52が燃料タンク50の背面側への移動を開始する。即ち、シール部76が収縮した状態とされ、シャフト56によって背面側に隔壁52が動かされる。
ここで燃料タンク50内には、高濃度燃料が圧縮されて貯留されている。つまり燃料タンク50内の圧力は燃料混合部42よりも高くなっている。従って燃料噴出弁54が開放されると、燃料タンク50内の高濃度燃料が燃料混合部42側に噴出する。噴出された燃料は燃料混合部42内で循環利用されている燃料と混合する。これにより燃料循環系40内の燃料濃度が次第に高くなる。燃料濃度が、適正な発電を続けることができる程度にまで高くなると、図5(c)に示されるように、燃料噴出弁54は閉じられ、隔壁52の移動が止められる。
これにより、燃料循環系40内の燃料濃度がアノード触媒層12での発電を停滞させる程度にまで低下させる程に低下する前に、高濃度燃料を補充することができ、燃料濃度を発電に適した範囲内に維持することができる。
また、このように隔壁52を燃料タンク50の背面側に移動することで、燃料混合部42と燃料タンク50との容積比率が変化する。具体的には、隔壁52の移動が繰り返されると、燃料混合部42の容積比率が大きく、燃料タンク50の容積比率が小さくなる。従って、燃料タンク50内の高濃度燃料が燃料混合部42に供給されると同時に、燃料タンク50の容積が小さくなるため、燃料タンク50内の高濃度燃料の減少による圧力低下が抑制される。
一方、メタノールを燃料として用いる場合には上記のように排燃料の体積が消費される燃料に対して大きくなると考えられる。従って、高濃度燃料の供給と相俟って、燃料の循環利用が進むに連れて循環する燃料の体積が大きくなる。しかし、燃料タンク50からの高濃度燃料供給の際、隔壁52の移動によって燃料混合部52の容積比率が大きくなっている。従って供給された燃料に対して排燃料の体積が増大しても、燃料循環系40内の圧力(燃料供給圧)の過度な上昇が抑制される。これにより燃料循環系40内の過度な圧力増加を抑制しつつ、燃料タンク50内の圧力を高く維持することができ、両者を適度な圧力に制御することができる。
なお隔壁52の移動による燃料タンク50及び燃料循環系40内の圧力の変化は、開口部74の大きさや隔壁52の移動速度、燃料タンク50と燃料循環系40との圧力等によって異なるものとなる。従って、膜壁52の移動により燃料循環系40内の燃料濃度が適度に上昇し、かつ、燃料循環系40及び燃料タンク50内が適度な圧力範囲に維持されるように、開口部74の大きさや隔壁52の大きさ、燃料タンク50内の圧縮圧力等の関係を決定すればよい。
図6は、この発明の実施の形態1において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図6のルーチンは、燃料電池2の運転中、一定時間ごとに繰り返し実行されるものである。
図6のルーチンにおいて、まず、エンプティーランプ(図示せず)が消灯となっているか否かが判別される(S100)。エンプティーランプは、後述する処理において燃料タンク50の燃料が全て使用され燃料循環系40内の燃料濃度が低下した時に点灯され、燃料不足を警告する警告灯である。ステップS100においてエンプティーランプが消灯となっていることが認められない場合には、今回の処理は終了する。
一方、ステップS100において、エンプティーランプが消灯となっていることが認められると、次に、移動フラグがOFFとなっているか否かが判別される(S102)。移動フラグは、後述する処理により、隔壁52の移動中ONとされるフラグである。
ステップS102において移動フラグがOFFであることが認められた場合、次に、燃料循環系40内の燃料濃度が検出される(S104)。燃料濃度は、制御装置68が受信する濃度センサ48の出力信号に基づいて検出される。
次に、燃料濃度が第1基準濃度Aより小さいか否かが判定される(S106)。ここで、第1基準濃度Aは燃料循環系40内の濃度が、燃料タンク50内の高濃度燃料の供給が必要なほど低下しているか否かを判断するために設定された基準値であり、燃料電池2の性能等に基づいて予め決定され、制御装置68に記憶された値である。ステップS106において、燃料濃度<第1基準濃度Aの条件成立が認められない場合には、今回、高濃度燃料を供給しなくても、燃料濃度は適正な濃度範囲にあり発電が支障なく維持されるものと考えられる。従って、今回の処理は終了する。
一方、ステップS106において、燃料濃度<第1基準濃度Aの条件成立が認められた場合、燃料循環系40内の燃料濃度が低くなり、高濃度の燃料の補給が必要な状態になっていると推測される。この場合、次に、燃料噴出弁54が開放される(S108)。燃料噴出弁54は、制御装置68からの制御信号が配線60を介して伝達されて、スライド板70が開口部74を開口するように移動することにより、開放される。この結果、燃料タンク50と燃料混合部42との開口部74による連通が確保され、燃料タンク50と燃料混合部42との圧力差によって、燃料タンク50内の高濃度燃料が燃料混合部42側へ流入し始める。
次に、隔壁52の移動が開始される(S110)。具体的に、制御装置68からの制御信号によって、シール部76が収縮すると共に、シャフト56を介して隔壁52が背面側に移動する。その結果、燃料混合部42側の容積が次第に大きくなり、燃料タンク50の容積が小さくなる。これにより、高濃度燃料の流入や排燃料の循環による燃料循環系40内の圧力上昇が抑制されると共に、燃料噴出による燃料タンク50内の圧力低下が抑制される。
次に、隔壁52が移動中であることを示す移動フラグがONとされる(S112)。次に、濃度センサ48の出力に基づき、燃料濃度が再び検出される(S114)。次に、検出された燃料濃度が第2基準濃度Bよりも高いか否かが判別される(S116)。第2基準濃度Bは第1基準濃度Aよりも高い値であり、燃料循環系40内の燃料濃度が燃料供給不要な程度に高くなったことを判断するために設定された基準値であり、燃料電池2の性能等を考慮して予め決定され、制御装置68に記憶されている。
ステップS116において燃料濃度>第2基準濃度Bの条件成立が認められると、次に、隔壁52の移動が止められる(S118)。隔壁52は、制御装置68からの制御信号により、シール部76が伸張すると共にシャフト56の移動が止められることで停止する。次に燃料噴出弁54が閉じられる(S120)。燃料噴射弁54は、制御装置68からの制御信号によりスライド板70が開口部74を閉じるように動かされることで閉弁される。次に、隔壁52の移動中を示す移動フラグがOFFとされる(S122)。その後、今回の処理が終了する。
一方、ステップS116において、燃料濃度>第2基準濃度Bの条件成立が認められない場合、次に、隔壁52が、燃料タンク50の背面付近に設定された所定の停止位置(以下「エンドライン」)にまで移動したか否かが判別される(S124)。隔壁52がエンドラインにまで移動したか否かは、隔壁52の移動距離に基づいて制御装置68において判別される。
ステップS124において、隔壁52がエンドラインに移動したことが認められた場合、次に、再び濃度センサ48の出力に基づいて燃料濃度が検出される(S126)。次に、検出された燃料濃度が第3基準濃度Cより低いか否かが判別される(S128)。第3基準濃度Cは、第1基準濃度Aよりも低い値(例えば、3%程度)であり、燃料濃度がこれ以上低くなると、アノード触媒層12での反応が停滞する場合があることを判断するために設定された基準値であり、予め決定され制御装置68に記憶されている。
ステップS128において、燃料濃度<第3基準濃度Cの条件成立が認められた場合、エンプティーランプが点灯され(S130)、燃料タンク50内の高濃度燃料の不足を意味する警告が表示される。その後、今回の処理が終了する。
一方、ステップS124において隔壁52のエンドラインへの到達が認められない場合、及びステップS128において燃料濃度<第3基準濃度Cの条件成立が認められない場合は、そのまま今回の処理が終了する。この場合、次回の処理において、ステップS102で移動フラグ=OFFの条件成立が認められず、続くステップS114において燃料濃度が検出され、燃料濃度>第2基準濃度Bの条件が成立するか否かが判別される(S116)。ここで、隔壁52の移動と高濃度燃料の噴出により燃料循環系40内の燃料濃度が高くなっており、燃料濃度>第2基準濃度Bの条件成立が認められれば、続く、隔壁52の停止(S118)、燃料噴出弁54の閉弁(S120)、移動フラグOFF(122)の処理が実行された後、この処理が終了する。
このように図6のルーチンによれば、隔壁52がエンドラインまで移動した後、燃料濃度が第3基準濃度Cより低くなってエンプティーランプが点灯されるまで、ステップS100〜S128に説明する処理が繰り返し実行される。すなわち、燃料タンク50の高濃度燃料をほぼ使い切ることが認められるまで、燃料循環系40内の燃料濃度が第1基準濃度より低くなる度に燃料噴出弁54の開弁と隔壁52の移動による高濃度燃料の供給が繰り返され、燃料濃度の低下に応じた高濃度燃料の供給が行なわれることとなる。
以上説明したように、この発明の実施の形態1によれば、燃料濃度が低くなった時に隔壁52に設けられた燃料噴出弁54を開弁すると共に、隔壁52を移動することで、燃料タンク50内の高濃度燃料を燃料循環系40に供給することができる。これにより、燃料循環系40内の燃料濃度を適正な濃度に維持することができる。また、このとき、燃料循環系40と燃料タンク50の容積の比率が、隔壁52の移動により変動する。これにより、燃料循環系40内の燃料の圧力上昇や燃料タンク50内の圧力低下などを抑えて、燃料循環系40と燃料タンク50とを適正な圧力に維持することができる。
なお、実施の形態1においては、燃料電池2が、アニオン交換膜10とアノード極(12、16、20及び22)及びカソード極(14、18、24及び26)を含む1のセルを有する場合を図示して説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、通常の燃料電池同様に、アニオン交換膜とアノード極及びカソード極からなるセルがセパレータ等を介して複数積層されたものであってもよい。これは、全実施の形態において同様である。
また、実施の形態1においては、燃料循環系40内を燃料が循環して燃料流路22に燃料が供給される場合について説明した。しかし、この発明においては、燃料を循環させるものに限るものではない。従って例えば、燃料循環系40に代えて、アノード極に供給する燃料と、アノード触媒層12において生成される生成水等を含む排燃料とを、共に滞留させる燃料供給部をアノード極に接するように配置したものを用いてもよい。これについても、全実施の形態において同様である。
また、実施の形態1においては、開口部74を有する一対の板72の間にl枚のスライド板70を挟み、このスライド板70をスライド移動させることで燃料噴出弁54の開閉が制御される構造について説明した。しかし、この発明において燃料噴出弁はその開閉を制御できるものであればよく、他の構造を有するものであってもよい。これは、全実施の形態において同様である。
例えば、図7は、実施の形態1の他の燃料電池システムにおいて用いられる燃料噴出弁を説明するための模式図である。図7に示す燃料噴出弁154は、電磁弁である。隔壁52を貫通するように燃料を噴出するためのノズル154aが取り付けられており、制御装置68から発信された制御信号によってノズル154aが開閉される。これによりノズル154a部が燃料通路となって、燃料タンク50側から燃料混合部42へ高濃度燃料が供給される。このような燃料噴出弁154を用いても、燃料の供給が必要なタイミングで電磁弁154を開弁するよう制御することができ、必要な場合に燃料タンク50から燃料混合部42に高濃度燃料を噴出させることができる。
また、実施の形態1では燃料タンク50と燃料循環系40との境界面である隔壁52に燃料噴射弁54を有する場合について説明した。しかし、この発明においてはこれに限るものではなく、隔壁52に単に燃料通路を設けたものであってもよい。このようにしても、燃料循環系40内の燃料濃度が低くなった時点で隔壁52を移動させることにより、その移動による燃料循環系40と燃料タンク50との圧力差を変化させることができ、燃料タンク50内の高濃度燃料を燃料循環系40に多く噴出させることができる。但し、燃料噴出弁が配置された場合と異なり、燃料通路により燃料タンク50と燃料循環系40との連通が常に確保された状態となることを考慮して、両者の初期の圧力を適切な値に設定する必要がある。これは、実施の形態2及び3においても同様である。
また、実施の形態1において、隔壁52は、制御信号に応じて伸縮するシール部76を有し、これにより隔壁52停止の状態においては、隔壁52を燃料タンク50の内壁面50aに密着させることができる。しかし、この発明において、隔壁52の構造はこれに限るものではなく、例えば、隔壁52周囲に空気圧の変動によって伸縮する浮き部を取り付け、空気圧を制御することで、隔壁52の移動時と停止時の状態を制御するようにしてもよい。また、必ずしもこのようなシール部を有するものでなくてもよい。これは、実施の形態2及び3においても同様である。
また、実施の形態1において、隔壁52を、燃料タンク50内を貫通するシャフト56によって移動させる場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、隔壁52の燃料タンク50内の移動を外部から制御できるものであれば、隔壁52は他の構造を有するものであってもよい。具体的な他の構造としては、例えば、隔壁52を磁気により移動する材料とし、燃料タンク50の外部に磁性体を配置し、この磁性体の移動により隔壁52を連動して移動させる構造とすることも考えられる。これは実施の形態2及び3においても同様である。
また、この実施の形態1では燃料としてメタノールを供給する場合について説明した。しかしこの発明はこれに限るものではなく、他の燃料を用いる場合にも適用することができる。特に、この実施の形態1のシステムは、燃料電池2の運転が長くなるなり隔壁52が移動するに連れて、燃料混合部42の容積比率が大きくなる構造を有している。従って、排燃料の体積が消費される燃料よりも大きくなる場合に特に有効である。しかしながら、燃料循環系40内の圧力低下が許容範囲内に抑えられるものであれば、排燃料の体積が消費燃料の体積より小さくなるような燃料を用いる場合にも適用することができる。
また、メタノールを燃料として用いる場合、燃料電池2全体では上記(1)式のように反応し、理論的には1[mol]のメタノールに対し、2[mol]の水が生成される。しかし、実際にアノード触媒層12側にどの程度生成水が残留し排出されるか等は、燃料電池運転時の温度や湿度、負荷等の様々な条件によって異なるものとなる。従って、排燃料の体積の増加量又は減少量の判断を燃料の種類のみで画一的に決定することは難しく、燃料電池の使用環境等を考慮して予測し、このシステムを適用する場合の燃料を決定することが望ましい。
また、この実施の形態1では燃料循環系40内の燃料濃度を検出し、燃料濃度が所定の第1基準濃度Aよりも低い場合に燃料噴出弁54を開弁し、隔壁52を移動する場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではない。例えば、燃料電池2の運転開始後、一定時間経過ごとに、燃料噴出弁54を開弁して隔壁52を移動させたり、あるいは、出力をモニターして、出力に基づいて燃料濃度の低下をある程度予測し、それにより燃料噴出弁54を開弁して隔壁52を移動させたりするようにしてもよい。このことは全実施の形態において同様である。
また、実施の形態1では、隔壁52がエンドラインに達した後、燃料濃度が第3基準濃度Cよりも低くなったときにエンプティーランプを点灯する場合について説明したが、隔壁52がエンドラインに達した時点でエンプティーランプを点灯したりすることもできる。このことは全実施の形態において同様である。
実施の形態2.
図8は、この発明の実施の形態2における燃料電池システムについて説明するための模式図である。図8に示す燃料電池システムは、燃料タンク50と燃料混合部42との間の隔壁80が固定されて移動しない点、及び、燃料タンク50の背面と隔壁80との間に、移動壁部82(壁部)を有する点を除き、図1の燃料電池システムと同様の構成を有している。
具体的に、図8の燃料電池システムにおいて、燃料混合部42と燃料タンク50との間は、隔壁80によって仕切られている。隔壁80には、図2の燃料噴出弁54が組み付けられている。燃料混合部42と燃料タンク50とは、燃料噴出弁54が開弁している時のみ、その開口部74によって連通状態となり、燃料噴出弁54が閉弁している状態においては互いに隔離されている。
隔壁80と燃料タンク50との間に、燃料タンク50の背面とほぼ平行に移動壁部82が配置されている。図示を省略するが、移動壁部82は図3の隔壁52と同様にその外周に伸縮するシール部を有する。移動壁部82にはシャフト84が接続している。シャフト84は、燃料タンク50背面を貫通し外部に突出している。この背面の貫通部分においてシャフト84周囲は防水布86で覆われ、燃料タンク50内部の燃料が漏出しないように密閉されている。
移動壁部82は、初期の状態において燃料タンク50背面に近接して配置され、燃料電池2運転中、燃料循環系40内の燃料濃度低下に応じて、燃料噴出弁54が開弁すると共に、シャフト84により燃料タンク50背面側から隔壁80側に次第に移動する。移動に際しては、実施の形態1の隔壁52の移動の場合と同様に、移動壁部82のシール部が収縮した状態となり、移動が停止するとシール部は伸張し、移動壁部82は燃料タンク内壁面52aに密着する。燃料タンク50内の高濃度燃料は隔壁80と移動壁部82との間の空間に貯留されることとなる。即ち、移動壁部82の隔壁80側への移動により、燃料タンク50の容積は次第に小さくなる。
ところで、この燃料電池システムにおいては燃料としてエタノールが用いられる。つまり燃料タンク50には、高濃度エタノール水溶液(あるいは100%エタノール)が充填されている。エタノールがアノード触媒層12に供給されると、カソード極触媒層14において生成された水酸化物イオンと反応して水が生成される。一方、生成された水の一部はアニオン交換膜10から拡散しカソード触媒層14に移動し、カソード触媒層14での水酸化物イオンの生成反応に用いられる。具体的に、例えば、エタノールを燃料として使用する場合、燃料電池2全体では、次式(2)に示すような反応が起きる。
CHCHOH+3O → 3HO+2CO ・・・・(2)
式(2)より、1[mol]のエタノールの消費により、3[mol]の水が生成されることがわかる。ここで、1[mol]のエタノールの体積は57.5[ml](46/0.8=57.5)である。また、3[mol]の水の体積は、54[ml](18×3/1=54)である。従って、燃料をエタノールとする場合、エタノール1[mol]につき3.5[ml](54-57.5=-3.5)の体積が減少することとなる。
ここで、燃料タンク50から高濃度燃料を燃料循環系40側に供給すると、燃料循環系40内を循環する燃料の体積は増加する。しかし上記のように燃料の消費に伴い体積が減少する場合には、燃料の消費に伴う体積の減少により高濃度燃料供給による体積の増加をある程度相殺することができるため、燃料循環系40内の体積増加が少ない。この場合、実施の形態1のように燃料混合部42と燃料タンク50の比率を変化させ、燃料混合部42の容積が次第に大きくなる構造とすると、燃料循環系40の燃料圧力が小さくなることも考えられる。
このため実施の形態2では、隔壁80は固定された境界面とし、燃料混合部42の容積は変化しないものとしている。このような構造によって、燃料循環系40内の圧力を適正な範囲に維持することができる。また、移動壁部82を次第に隔壁80側に移動させることにより、燃料タンク50の高濃度燃料を貯留する空間の容積は次第に小さくなる。従って、燃料混合部42側への高濃度燃料の噴出により高濃度燃料の体積が減少しても、その分、燃料タンク50の容積を小さくすることができ、燃料タンク50内の圧力を高く維持することができる。
この燃料電池システムは、実施の形態1の燃料電池システムと同様の制御を行なう。即ち、燃料循環系40内の燃料濃度が第1基準濃度Aより低くなると、移動壁部82の移動が始められ、燃料噴出弁54が開弁される。移動壁部82の移動と燃料噴出弁54の開放は、燃料濃度が第2基準濃度Bより高くなるまで続けられ、その間、燃料タンク50から燃料混合部42に高濃度燃料が供給される。
また、移動壁部82の移動のエンドラインは隔壁80近傍に設定され、移動壁部82がこのエンドラインまで移動したことが確認された後、燃料循環系40内の燃料濃度が第3基準濃度Cより低くなったこととが確認されると、エンプティーランプが点灯される。具体的な制御は図6のルーチンに従って実行される。
なお、この実施の形態2では燃料としてエタノールを用いる場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、他の燃料を用いる場合にも適用することができる。
例えば、燃料としてエチレングリコールを使用する場合、燃料電池全体としては、下記の式(3)の反応が起きる。
+5/2O→3HO+2CO ・・・・(3)
従って、1[mol]のエチレングリコールの消費で3[mol]の水が生成される。エチレングリコールの1[mol]の体積は約61[ml]、3[mol]の水の体積は54[ml]である。1[mol]のエタノールの消費に対して、排燃料の体積は理論的には、6.9[ml]減少する。
また、燃料としてアンモニアを使用する場合、燃料電池全体としては、次式(4)の反応が起きる。
NH+3/4OH→3/2HO+1/2N ・・・・(4)
従って、1[mol]のアンモニアを消費すると、1.5[mol]の水が生成されることとなる。
例えば、温度25度において、濃度1[mol/L]のアンモニア水溶液1[L]中のアンモニアを1[mol]消費したとする。この場合、体積は、およそ1000[ml]から927.6[ml](1000/1.078=927.6)となる。この場合体積は72.4[ml]減少する。一方、1[mol]のアンモニア消費時には、1.5[mol]の水が生成される。1.5[mol]の水の体積は27[ml](18×1.5/1=54)である。結果、体積は、45.4[ml](27-72.4=-45.4)減少することとなる。同様に、アンモニア水溶液を変化させ、8.775[mol/l]もアンモニア水溶液114[ml]中のアンモニアを1[mol]消費すると、体積は46.2[ml]となり、67.7[ml]減少する。従って、全体での体積は、40.7[ml](27-67.7=-40.7)減少することとなる。
実施の形態2によれば、燃料循環系40への燃料供給によっても燃料混合部42の容積は変化せず、燃料タンク50の容積のみが小さくなる。従って、上記エチレングリコールやアンモニアの場合のように、消費された燃料の体積に対して排燃料の体積が減少すると推測される場合には、実施の形態2のシステムは特に有効である。しかしながら、この発明は、排燃料が減少する場合に限らず、排燃料が増加するようなものであっても、燃料循環系40内の圧力変化を許容範囲に維持できるものであれば、実施の形態2に示す例を適用することができる。この場合にも、燃料タンク50内の燃料供給による圧力減少を抑えることができるため、有効である。これは実施の形態3に於いても同様である。
また、実際の燃料電池2の運転において、アノード触媒層12側にどの程度生成水が残留し排出されるか等は、燃料電池運転時の温度や湿度、負荷等の様々な条件によって異なるものとなる。従って、排燃料の体積の増加量又は減少量の判断は、燃料の種類のみで理論的に画一的に決定することは難しく、燃料電池の使用環境等を考慮して予測し、このシステムを適用する燃料を決定することが望ましい。これは実施の形態3においても同様である。
なお、実施の形態2において、移動壁部82を燃料タンク50背面及び隔壁80にほぼ平行に配置して、背面側から隔壁80側に移動させる場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、移動壁部82は、燃料タンク50内の容積を変化させるようにできるものであればよい。従って、燃料混合部42と燃料タンク50との境界面以外の壁面付近に移動壁部を配置するものでもよい。これは実施の形態3においても同様である。
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3における隔壁90の移動について説明するための模式図である。実施の形態3のシステムは、燃料タンク50の内壁面50aの内側に一定の間隔で平行に配置された突出部50bを有し、隔壁90(壁部)はその外周部の伸縮するシール材を有しない点を除き、図1のシステムと同様の構成を有している。
実施の形態3のシステムにおいても、隔壁90には、スライド板70の移動により開閉する燃料噴出弁54が取り付けられている。図9の「停止時」に示されるように、燃料循環系40内の燃料濃度が適正な濃度範囲にある場合には隔壁90は停止している。このとき、隔壁90は突出部50bが形成された位置にあって、突出部50bと隔壁90の外周部とが密着した状態となっている。この状態では燃料噴出弁54も閉弁されているため、燃料タンク50側の空間と燃料混合部42側の空間とは互いに隔離された状態となる。
燃料循環系40内の燃料濃度が低くなると、図9の「移動時」に示されるように、燃料噴出弁54が開弁し、隔壁90は燃料タンク50背面側に移動する。このとき隔壁90は、突出部50bが形成されていない内径の大きい部分を移動することとなるため、円滑に移動することができる。ここで、隔壁90の移動距離は一定に設定されている。隣接する突出部50b間の距離は、隔壁90の一回の移動距離に合致している。これにより隔壁90は、ある突出部50bに密着した停止状態から、背面方向に隣接する突出部50bの位置まで移動し、図9の「再停止」に示されるように、再び、突出部50bに密着した停止状態となる。なお、このような隔壁90の移動は、実施の形態1、2と同様に隔壁90に取り付けられたシャフト(図示せず)等を介して行なうことができる。
図10は、この発明の実施の形態3においてシステムが実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図10のルーチンにおいて、まずエンプティーランプが消灯となっていることが確認されると(S300)、次に濃度センサ48の出力に基づいて燃料濃度が検出される(S302)。その後、検出された燃料濃度が第1基準濃度Aより小さいか否かが判別される(S304)。ステップS304において、燃料濃度<第1基準濃度Aの条件成立が認められない場合、この段階では高濃度の燃料を供給する必要がないと推測されるため、今回の処理が終了する。
一方、燃料濃度<第1基準濃度Aの条件成立が認められると、次に、燃料噴出弁54が開弁される(S306)。燃料噴出弁54は、図2と同様に、スライド板70が制御信号に従って移動することで開かれる。
次に、隔壁90の移動が実行される(S308)。ここで隔壁90の移動距離は一定に定められ、制御装置68に記憶されている。この移動により隔壁90は、現在密着している突出部50bから、背面側の隣に配置された突出部50bまで移動した後、停止する。ステップS306〜S308の処理により燃料噴出弁54が開弁した状態で隔壁90の移動している間、燃料タンク50と燃料混合部42との圧力差によって、高濃度燃料が燃料噴出弁54から燃料混合部42側に吐出される。隔壁90の移動が終了すると、次に、燃料噴出弁54が閉弁される(S310)。即ち、スライド板70が移動し開口部74を塞ぐ位置に戻される。
その後は、図6のルーチンのS124〜S130と同様の処理が行なわれる(ステップS312〜S318)。つまり、隔壁90がエンドラインまで移動した後、燃料循環系40の燃料濃度が第3基準濃度Cより低くなったことが認められてエンプティーランプが点灯されるまで、燃料噴出弁54の開弁と隔壁90の移動による燃料タンク50からの燃料供給の処理が繰り返される。
以上説明したように、実施の形態3においては、隔壁90を一定の間隔で移動させることで、燃料濃度が低下した場合に、燃料タンク50から燃料循環系40内に高濃度燃料を供給することができる。これにより、燃料循環系40内の燃料濃度を過度に高くすることなく、かつ燃料濃度の低下を抑制することができる。
また、実施の形態3においては、隔壁90の移動距離と、燃料タンク50の内壁面50aに形成された突出部50b間の間隔を一致させ、隔壁90を突出部50bから次の突出部50bに移動する。これにより、隔壁90停止時(燃料噴出弁54閉弁時)の燃料混合部42と燃料タンク50とを確実に仕切ると共に、円滑な隔壁90の移動を確保することができる。また、移動距離を一定に定めているため、簡単な制御により燃料濃度の低下を抑制することができる。
なお、実施の形態3では、燃料タンク50と燃料混合部42との境界面の隔壁90を移動する場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、実施の形態2に説明したように、燃料タンク50背面側に移動壁部を配置し、一定の距離を定めてこの壁部を移動させる場合にも適用することができる。
また、実施の形態3では、隔壁90の移動距離は常に一定である場合について説明した。しかし、この発明においては、移動距離が常に一定の場合に限るものではなく、例えば、毎回、あるいは複数回ごとに、異なる距離を移動するように移動距離を予め設定したものであってもよい。これによって例えば、次第に増加する燃料循環系40内の燃料の体積に応じて、燃料濃度をより適正な濃度に調整するようにすることができる。
また、実施の形態3では、燃料タンク50内部に突出部50bを設けて、この突出部50bから次の突出部50bまでの距離を一回の移動距離に一致させる場合について説明した。しかしながら、この発明はこれに限るものではなく、その移動距離を予め設定しておくものであればよい。従って、例えば、実施の形態1のシステムのような伸縮するシール部76を有する隔壁52を用いることもできる。
実施の形態4.
図11は、この発明の実施の形態4の燃料電池システムを説明するための模式図である。実施の形態4の燃料電池システムは、移動する隔壁52に替えて、燃料タンク50内に複数の隔壁92a〜92d(壁部)が形成されている点を除き、実施の形態1のシステムと同様の構成を有している。
具体的に、実施の形態4の燃料電池システムは、燃料タンク50と燃料混合部42との境界面を構成する隔壁92aと、燃料タンク50背面とほぼ平行に配置され、燃料タンク50内を燃料混合部42に直列に接続する複数の空間に仕切る面を構成する複数の隔壁92b〜92dを有している。隔壁92a〜92dのそれぞれには燃料噴出弁94a〜94dが組み付けられている。各燃料噴出弁94a〜94dは、燃料噴出弁54と同様の構成を有している。
この実施の形態4においては、図11に示されるように、燃料循環系40の燃料濃度が所定値以下に低下すると、閉弁されている燃料噴出弁94a〜94dのうち、燃料循環系40に最も近い位置にある燃料噴出弁94bが開放される。つまり、燃料電池2の初期の段階においては、全ての燃料噴出弁94a〜94dが閉弁されており、燃料濃度の低下が認められる度に、燃料循環系40に近い側から順に(即ち境界面を構成する隔壁92aから背面側に順に)燃料噴出弁94a〜94dが開放されていく。
これにより、燃料タンク50に貯留された高濃度燃料のうち、燃料噴出弁94bが開放されている隔壁92bに背面側で隣接する隔壁92cまでの、燃料循環系40側の空間の高濃度燃料が、燃料循環系40との圧力差によって燃料循環系40側に次第に供給されることとなる。これにより燃料循環系40内の燃料濃度の低下を抑制することができる。
図12は、この発明の実施の形態4において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図12のルーチンにおいて、まず図6のルーチンと同様に、エンプティーランプが消灯していることが認められると(S400)、燃料濃度が検出され(S402)、その後、燃料濃度<第1基準濃度Aの条件成立が認められるか否かが判別される(S404)。
燃料濃度<第1基準濃度Aの条件の成立が認められると、次に、開弁されるべき燃料噴出弁94bが特定される(ステップS406)。ここで、開弁されるべき燃料噴出弁94bは、まだ開弁されていない燃料噴出弁のうち燃料循環系40に最も近い燃料噴出弁94bとなる。開弁すべき燃料噴出弁94は初期の状態では境界面である隔壁92aの燃料噴出弁94aに設定され制御装置68に記憶されており、その後、後述する処理に従って書き換えられ制御装置68に記憶されている。
次に、特定された燃料噴出弁94bが開かれる(ステップS408)。次に、開弁された燃料噴出弁94bが、燃料タンク50の背面に最も近い燃料噴出弁94dであるか否かが判別される(S410)。制御装置68は、ステップS406において特定された燃料噴出弁94bを記憶しており、これにより、その燃料噴出弁94bが最背面側の燃料噴出弁94dであるか否かが判別される。
ステップS410において、今回開弁された燃料噴出弁94bが、最背面側の燃料噴出弁94dであることが認められない場合には、次回に燃料タンク50からの高濃度燃料供給時に開弁すべき燃料噴出弁94cが制御装置68に記憶される(S412)。次回に開弁される燃料噴出弁94cは、今回開弁された燃料噴出弁94bが設置された隔壁92bの、背面側の隣の隔壁92cに取り付けられた燃料噴出弁94cである。その後、今回の処理は終了する。
一方、ステップS410において、今回開弁された燃料噴出弁が最背面側の燃料噴出弁94dであると判別された場合、次に燃料濃度が検出される(S412)。次に、燃料濃度<第3基準値Cの条件成立が認められるか否かが判別される(S414)。ここで、燃料濃度<第3基準値Cの条件成立が認められない場合、今回の処理が終了する。一方、燃料濃度<第3基準値Cの条件成立が認められると、エンプティーランプが点灯され(S416)、今回の処理が終了する。
以上説明したように、実施の形態4においては、燃料タンク50内に移動する隔壁に替えて複数の隔壁92a〜92dを設け、燃料濃度が低下した場合に順次、燃料タンク50内の高濃度燃料を燃料混合部42に噴出できるようにしている。これにより、燃料循環系40内の燃料量濃度を適正な範囲に維持して燃料を循環させることができる。
なお、図11では4つの隔壁92a〜92dが形成されている場合を図示して説明した。しかしこの発明において複数の隔壁の数はこれに限るものではなく、燃料タンク50内を複数の空間に仕切る2以上の隔壁が形成されているものであればよい。
なお、実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に限定されるものではない。また、実施の形態において説明する構造や、方法におけるステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
この発明の実施の形態1の燃料電池システムについて説明するための模式図である。 この発明の実施の形態1の燃料電池システムに用いられる燃料噴出弁について説明するための模式図である。 この発明の実施の形態1の燃料電池システムにおいて用いられる隔壁について説明するための模式図である。 この発明の実施の形態1の燃料電池システムにおいて用いられる隔壁について説明するための模式図である。 この発明の実施の形態1の燃料電池システムにおける隔壁の移動時の状態について説明するための模式図である。 この発明の実施の形態1において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態1の他の燃料電池システムとして用いられる燃料噴出弁について説明するための模式図である。 この発明の実施の形態2の燃料電池システムについて説明するための模式図である。 この発明の実施の形態3の燃料電池システムにおいて用いられる隔壁について説明するための模式図である。 この発明の実施の形態3において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態4の燃料電池システムにおいて用いられる隔壁について説明するための模式図である。 この発明の実施の形態4において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。
符号の説明
2 燃料電池
10 アニオン交換膜
12 アノード触媒層
14 カソード触媒層
16、18 拡散層
20 集電板
22 燃料流路
24 集電板
26 酸素流路
28 外部回路
30 燃料導入口
32 燃料排出口
40 燃料循環系
42 燃料混合部
44、46 流路
48 濃度センサ
50 燃料タンク
50a 内壁面
50b 突出部
52、80、90、92a〜92d 隔壁
82 移動壁部
54、154、94a〜94d 燃料噴出弁
154a ノズル
56、84 シャフト
58、86 防水布
60 配線
64 空気供給路
66 空気排出路
68 制御装置
70 スライド板
72 板
74 開口部
76 シール部

Claims (14)

  1. 陰イオンを伝導する電解質と、該電解質の両側に配置された一対の電極であるアノード極とカソード極とを有し、液体の燃料の供給を受けて発電するアルカリ型の燃料電池と、
    前記アノード極に燃料を供給する燃料供給部と、
    前記燃料供給部に供給する燃料を貯留する燃料貯留部と、
    前記燃料貯留部と前記燃料供給部とを接続する燃料通路と、
    前記燃料貯留部の壁面の一部を構成し、かつ、その移動により前記燃料貯留部の容積を変化させる壁部と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料通路に、前記燃料通路を開閉する噴出弁を、更に備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記噴出弁の開閉を制御する噴出弁制御手段を、更に備え、
    前記噴出弁制御手段は、前記壁部が移動する際に、前記噴出弁を開弁するように制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記壁部の移動を制御する壁部制御手段を、更に備え、
    前記壁部制御手段は、前記燃料貯留部の容積が小さくなるように前記壁部を移動させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料供給部の燃料濃度を検知する燃料濃度検知手段と、
    前記燃料濃度検知手段により検知された燃料濃度が、第1基準濃度よりも低いか否かを判別する第1燃料濃度判別手段と、を更に備え、
    前記壁部制御手段は、前記燃料濃度が、前記第1基準濃度よりも低いと判別された場合に、前記壁部を移動させることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 燃料濃度が、前記第1基準濃度より高い濃度である第2基準濃度よりも高いか否かを判別する第2燃料濃度判別手段を更に備え、
    前記壁部制御手段は、燃料濃度が前記第2基準濃度より高いと判別された場合に、前記壁部の移動を停止することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料貯留部は、前記燃料供給部に接して配置され、
    前記壁部は、前記燃料貯留部と前記燃料供給部との境界面を構成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  8. 前記燃料電池は、発電に使用された燃料体積に対して排出される排燃料の体積が増加するものであることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料は、メタノール又はメタノール水溶液であることを特徴とする請求項7または8に記載の燃料電池システム。
  10. 前記壁部は、前記燃料貯留部と前記燃料供給部との境界面とは異なる一壁面を構成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  11. 前記燃料電池は、発電に使用された燃料体積に対して排出される排燃料の体積が減少するものであることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。
  12. 前記燃料は、アンモニア、エタノール、及びエチレングリコールからなる群のうちいずれか1の燃料又はその水溶液であることを特徴とする請求項10または11に記載の燃料電池システム。
  13. 陰イオンを伝導する電解質と、該電解質の両側に配置された一対の電極であるアノード極とカソード極とを有し、液体の燃料の供給を受けて発電するアルカリ型の燃料電池と、 前記アノード極に燃料を供給する燃料供給部と、
    前記燃料供給部に供給する燃料を貯留する燃料貯留部と、
    前記燃料貯留部と前記燃料供給部との境界面と、前記燃料貯留部内を、前記燃料供給部から直列に接続する複数の空間に仕切る面と、をそれぞれ構成する複数の壁部と、
    前記複数の壁部のそれぞれに配置され、前記燃料貯留部側の空間から前記燃料供給部側の空間に、燃料を噴出させるための噴出弁と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  14. 前記噴出弁の開閉を制御する噴出弁制御手段と、
    前記燃料供給部の燃料濃度を検知する燃料濃度検知手段と、
    前記燃料濃度検知手段により検知された燃料濃度が、第1基準濃度よりも低いか否かを判別する燃料濃度判別手段と、を更に備え、
    前記噴出弁制御手段は、前記燃料濃度が、前記第1基準濃度よりも低いと判別された場合に、前記複数の噴出弁の中で閉弁状態にある噴出弁のうち、前記燃料供給部側に最も近い壁部に配置された噴出弁を開弁することを特徴とする請求項13に記載の燃料電池システム。
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