JP2005259364A - 燃料電池用の液体燃料カートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池システム1で使用される液体燃料カートリッジでは、燃料貯留室12内に貯留されている液体燃料を、燃料供給室25と圧力作用室26との圧力差によって開かれる燃料流路19を通して送出させ、この燃料流路19から燃料電池システム1側の燃料流路2に送出させて燃料電池あるいは改質器に送る。従って、システム1の起動時において、従来のようなポンプを用いずに液体燃料を送出して燃料電池を自起動させることができ、燃料電池システム1を小型の機器に搭載した場合でも、確実に起動させることができる。また、液体燃料を貯留するのには、大掛かりな燃料タンクを用いる必要がなく、機器の小型化をも促進できる。
【選択図】 図1
Description
例えば高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell, PEFC)は、低い温度で動作が可能で起動時間が短く、小型化も可能である。この高分子電解質型燃料電池は、高分子固体電解質膜を空気側電極と燃料側電極とで挟んだ構造のMEA(Membrane Electrode Assembly)を備え、空気側電極に空気(酸素)を供給し、燃料側電極にメタノール水溶液や改質した水素などの燃料を供給することにより、電気化学的反応が起こり電力が発生する(例えば特許文献1)。
このようなポンプは、燃料電池が動作していない起動時には、2次電池等に充電された電気エネルギによって駆動が開始され、駆動に伴って燃料電池が起動すると、この燃料電池からの電気エネルギで駆動されるようになる。また、燃料電池のシステム内の圧力を検出することにより、検出結果に基づいてポンプのオンオフ等が制御され、系内の圧力に応じた適切な量の液体燃料が供給されるようになっている。
このような本発明によれば、燃料流路と圧力導入部とが別々であるから、燃料流路側にポンプ等の任意な送液手段を設けることにより、より高い圧力で液体燃料が供給されるようになり、改質器での改質や燃料電池での発電が良好に行われるようになる。
なお、液体燃料の供給や停止は、前述したように差圧を利用して行われるので、このような送液手段としては、圧力に応じてオンオフするような高価なポンプ等である必要はなく、単により高圧で送液できる簡素なものでよい。
液体燃料が消費されると、燃料電池側や改質器側の圧力が低下するため、この圧力低下によって燃料流路を開放することで、燃料が確実に送られるようになる。
このような本発明によれば、液体燃料カートリッジの天地が逆さになっても、大気連通孔が封止膜によって封止されるので、燃料貯留室から液体燃料が漏れ出す心配がなく、姿勢が一定でない携帯機器等の燃料電池システムに液体燃料カートリッジが好適に用いられるようになる。
このような本発明によれば、空気進入防止手段が設けられているので、大気連通孔から燃料貯留室に入り込んだ空気が燃料供給室に進入することがなく、燃料供給室へ燃料貯留室からの圧力が確実に作用するようになり、圧力作用室の圧力との差分が確実に得られるようになる。
このような場合には、液体燃料が容積可変手段による加圧力で、より確実に送出されるようになる。
このような本発明によれば、閉塞手段が設けられているため、燃料電池システムから液体燃料カートリッジを取り外した際に、液体燃料の残留分が外部に流出するおそれがなく、取扱性が良好である。
このような本発明によれば、前述と略同様な構成により、ポンプ等を用いずに液体燃料が液体燃料カートリッジから燃料電池または改質器に送られるようになるから、システム全体の小型化が促進される。
さらに、液体燃料カートリッジとしては、燃料電池システム側の燃料供給室に燃料が送られる構造であればよく、液体燃料カートリッジの構造が簡素化される。
燃料電池システムにおいて、液体燃料が燃料電池で消費されるのに伴って順次供給されたのでは、この燃料電池システムが搭載された機器が稼働していると、していないとに関わらず、液体燃料が燃料電池で常時消費される可能性があり、液体燃料が無駄になるという心配がある。
これに対して本発明では、電力が不要な時に開閉手段で燃料流路を閉じることにより、液体燃料の供給が確実に停止され、液体燃料が無駄に消費される心配がない。
図1は、本実施形態に係る燃料電池システム1に着脱自在に取り付けられる液体燃料カートリッジ10の要部を示す断面図である。図2は、液体燃料カートリッジ10の別の要部を示す断面図である。
図1において、燃料電池システム1は、PDAや携帯電話などの携帯機器、あるいはパーソナルコンピュータ等、小型端末機器などに採用されるシステムであって、高分子電解質型燃料電池を備えている。また、高分子電解質型燃料電池が直接メタノール型燃料電池の場合には、改質器が不要であるが、液体燃料を改質するタイプでは、改質器が用いられる。
また、圧力作用室26内の圧力が低下するとは、ダイレクトメタノール型燃料電池の場合または改質器において反応が進み、それまで供給されていた液体燃料が消費された場合であり、この場合に液体燃料が送出される。そして、液体燃料が送出されて圧力が回復すると、前述の差圧が小さくなるため、コイルばね24のばね力により再び、薄膜弁23が弁座18と密着し、液体燃料の送出を止める。改質型燃料電池の場合は、それまで改質器内に存在した水素が消費された場合であり、この場合に液体燃料が送出される。この後、液体燃料が送出されて改質槽内の圧力が回復すると、前述の差圧が小さくなるため、液体燃料の送出を止める。燃料電池システム1の稼働中は、この動作が繰り返される。
(1)燃料電池システム1で使用される液体燃料カートリッジ10では、燃料貯留室12内に貯留されている液体燃料は、燃料供給室25と圧力作用室26との圧力差によって開かれる燃料流路19を通して送出され、この燃料流路19から燃料電池システム1側の燃料流路2に送出されて燃料電池あるいは改質器に送られるため、システム1の起動時において、従来のようなポンプを用いずに液体燃料を送出して燃料電池を自起動させることができ、燃料電池システム1を小型の機器に搭載した場合でも、確実に起動させることができる。
また、液体燃料を貯留するのには、大掛かりな燃料タンクを用いる必要がなく、機器の小型化をも促進できる。
しかも、液体燃料の供給や停止は、前述したように差圧を利用して行われるので、このようなポンプ5としては、圧力に応じてオンオフするような高価なポンプである必要はなく、単により高圧で送液できる簡素なものでよい。従って、ポンプ5のサイズも小さくなるから、小型化をより促進できるうえ、消費エネルギも小さいという効果がある。
また、この容積可変手段15により、液体燃料カートリッジ10の天地を逆さにしたり、様々な姿勢で用いたとしても、液体燃料を燃料貯留室12から燃料供給室25に確実に送出できる。さらに、燃料貯留室12内には空気が入り込む心配がなく、姿勢が一定しない携帯機器に液体燃料カートリッジ10を好適に用いることができる。
図3には、本発明の第2実施形態に係る液体燃料カートリッジ10として、コイルばね24が燃料供給室25内に配置され、薄膜弁23を弁座18から離間する方向に常時付勢している構成が示されている。
本実施形態でのコイルばね24は、液体燃料の消費が少なく、圧力作用室26内の圧力が燃料供給室25内の圧力よりも所定値以上下回った場合に、その圧力作用室26内の圧力に抗して薄膜弁23を弁座18から離間させ、液体燃料を送出させる。他の構成は、第1実施形態と同様である。
図4には、本発明の第3実施形態として、容積可変手段15の他の実施形態が示されている。
この容積可変手段15は、第1実施形態と同様な気密隔壁13と、この気密隔壁13で仕切られたケース11の内部空間部分に封入された圧縮気体28とで構成されている。このような構成では、第1実施形態で説明したケース11の大気連通孔11A(図2)は不要である。
このような本実施形態でも、第1実施形態での(5)の効果を同様に得ることができる。
図5には、本発明の第4実施形態に係る容積可変手段15が示されている。
容積可変手段15は、第3実施形態での気密隔壁13の代わりに、蛇腹状に膨らんだフィルム29をケース11の内面に取り付け、この内部に液体燃料を貯留した構成である。 このフィルム29では、図中状側の平坦面部29Aが所定の剛性を有し、ケース11の内面に沿って移動する。ケース11内の他の部分に封入されているのは、第3実施形態と同様、圧縮気体28である。ただし、圧縮気体28の代わりに、第1実施形態のようなコイルばね14(図2)を配置し、ケース11に大気連通孔11A(図2)を設けてもよい。
このような本実施形態でも、第1実施形態での(5)の効果を同様に得ることができる。
図6に示す第5実施形態の容積可変手段15は、ケース11の厚さ方向に移動可能な可動板30を板ばね31で付勢した構造に加え、全体が風船状に膨らんだ(弾性変形しているわけではない)フィルム29にて液密性を確保し、このフィルム29を可動板30に当接させて板ばね31のばね力に対抗させてある。なお、板ばね31の数は、複数(本実施形態では2つ)であるが、中央に1つだけ配置されていてもよい。また、板ばね31の代わりに、コイルばね14を用いても、勿論よい。さらに、板ばね31の代わりに圧縮気体28(図5)を使用し、可動板30を省いてもよい。
本実施形態でも、構成は異なるが、(5)の効果を同様に得ることができきる。
図7に示す第6実施形態の容積可変手段15は、複数(本実施形態では4つ)の小さな燃料貯留室12A,12B,12C,12Dを備えた構造である。各燃料貯留室12A〜12Dで用いられるコイルばね14A〜14Dは、ばね定数がそれぞれ異なっており、図示しない弁組立体(図中の下方側)に近い側から遠い側(上方側)に向かって、ばね定数がより大きく、ばね力の強いコイルばね14が用いられている。また、各燃料貯留室12A〜12Dの構造は、第5実施形態の燃料貯留室12において、板ばね31をコイルばね14に替えた構造と略同じである。
(8)すなわち、各燃料貯留室12A〜12Dでは、コイルばね14A〜14Dのばね定数が異なっているため、燃料貯留室12A〜12Dの容積の減少の順序をばね定数に応じて設定できる。従って、弁組立体から遠ざかるにつれてばね定数の大きなコイルばね14を用いることにより、燃料貯留室12D,12C,12B,12Aの順序でフィルム29を収縮させることができ、内部の液体燃料を奥側から絞り出すように確実に流出させることができる。
図8に示す第7実施形態の容積可変手段15では、各燃料貯留室12A〜12Dに対応させて検出手段32を設けた点が前記第6実施形態とは異なる。
各検出手段32は、リミットスイッチや各種のセンサ類で構成され、燃料貯留室12A〜12Dの増減に伴って可動する可動板30の位置を検出し、内部の液体燃料が略無くなっているか否かを検出する。この検出手段32のオン−オフ結果に基づいて、おおよその液体燃料の残量を検出することが可能である。
(9)可動板30の位置を検出する検出手段32が設けられているので、燃料貯留室12内にある液体燃料の残量を知ることができる。また、燃料供給が正常に行われているか等を随時確認でき、燃料電池システム1の使い勝手を向上させることができる。特に容積可変手段15の状態変化に基づいて検出手段32が稼働するから、液体燃料が明らかに存在しないのに検出されなければ、可動板30が何らかの理由で動かなくなるなど、容積可変手段15が正常に機能していないといえ、容積可変手段15の機能確認にも有効である。
図9に示す第8実施形態の容積可変手段15は、前記第5実施形態の変形例(図6)である。
つまり、可動板30は一対のコイルばね14(14E,14F)よって付勢されている点、および検出手段32が設けられている点が第5実施形態とは異なる。この際、コイルばね14E,14Fは、図示しない弁組立体(図中下方側)に近い方と離れた方とで互いに離間して設けられているとともに、ばね定数が異なっている。弁組立体よりも遠い方のコイルばね14Fのばね定数がより大きく、ばね力が大きい。
図10に示す第9実施形態の容積可変手段15は、可動板30の奥側(弁組立体から遠い側)をケース11の側面(大気連通孔11Aとは反対側)に回動自在に支持し、遠い側のコイルばね14F(図9)を省いた点が第8実施形態とは異なる。
本実施形態では、フィルム29の膨らみが可動板30によって規制されるため、液体燃料が貯留されている当初の状態では、側断面扇形に膨らむようになり、液体燃料の低減に伴って燃料貯留室12の遠い側の容積から小さくなり、やはり遠い側から絞り出されるように液体燃料が流出する。
従って、本実施形態でも、構成は異なるが、前記第6、第7実施形態と同様な効果を得ることができる。
図11、図12には、第10実施形態として、液体燃料カートリッジ10の変形例が示されている。
この液体燃料カートリッジ10の弁組立体16には、第1、第2実施形態(図1、図3)で説明したような燃料流路19は設けられていない。つまり、本実施形態では、圧力導入部27が燃料流路19を兼用している。このため、燃料供給室25内の液体燃料は、薄膜弁23が圧力差によって弁座18から離れると、当該薄膜弁23に設けられた供給孔23Aから圧力作用室26に流出し、ここから燃料貯留室12の圧力(水頭圧)Pcのみで圧力導入部27および燃料電池システム1側の圧力導入路3を通って改質器に送出される。すなわち、燃料電池システム1の改質器側でも、圧力導入路3が燃料流路2を兼用している。そして、この圧力導入路3に切換弁4が設けられている。
(10)弁組立体16には、弁座本体17を通る燃料流路19が存在しないので、その構造を簡略化できる。
このような本実施形態でも、第2実施形態と同様な効果を得ることができる。
すなわち、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (7)
- 液体燃料が貯留される燃料貯留室と、この燃料貯留室に対して燃料連通孔を介して仕切られた燃料供給室と、この燃料供給室に対して薄膜弁によって仕切られた圧力作用室とを備えているとともに、前記燃料供給室から外部の燃料電池側または液体燃料の改質器側に当該液体燃料を送出する燃料流路と、前記圧力作用室に前記燃料電池または前記改質器側から圧力を導入する圧力導入部とが設けられ、かつ前記薄膜弁は、前記燃料供給室と前記圧力作用室との圧力差により前記燃料流路を開閉可能に設けられていることを特徴とする燃料電池用の液体燃料カートリッジ。
- 請求項1に記載の燃料電池用の液体燃料カートリッジにおいて、前記燃料流路と前記圧力導入部とが独立して別々に設けられていることを特徴とする燃料電池用の液体燃料カートリッジ。
- 請求項1または請求項2に記載の燃料電池用の液体燃料カートリッジにおいて、前記薄膜弁は、前記圧力作用室の圧力が前記燃料供給室の圧力よりも所定値以上下回った場合に、前記燃料流路を開放することを特徴とする燃料電池用の液体燃料カートリッジ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料電池用の液体燃料カートリッジにおいて、前記燃料貯留室を形成する部分の一部には大気連通孔が設けられ、この大気連通孔に対応した位置には可撓性を有する封止膜が設けられ、この封止膜は、通常時には前記大気連通孔から離間して前記燃料貯留室を大気開放し、液体燃料の当接時には前記大気連通孔を封止することを特徴とする燃料電池用の液体燃料カートリッジ。
- 請求項4に記載の燃料電池用の液体燃料カートリッジにおいて、前記燃料供給室への空気の進入を防止する空気進入防止手段が設けられていることを特徴とする燃料電池用の液体燃料カートリッジ。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の燃料電池用の液体燃料カートリッジにおいて、前記燃料貯留室内の液体燃料を加圧し、かつ当該燃料貯留室からの液体燃料の送出量に応じて当該燃料貯留室の容積を縮小させる容積可変手段が設けられていることを特徴とする燃料電池用の液体燃料カートリッジ。
- 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の燃料電池用の液体燃料カートリッジにおいて、燃料電池システムへの取付け操作により前記燃料流路を外部に開放し、燃料電池システムからの取外し操作により前記燃料流路と外部とを遮断する閉塞手段が設けられていることを特徴とする燃料電池用の液体燃料カートリッジ。
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