JP2009283188A - 固体酸化物形燃料電池およびその起動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体酸化物形燃料電池は,酸素イオン伝導性固体電解質体と,その両側に配置される燃料室および空気室と,を有する複数の燃料電池セルが積層され,燃料ガスと酸化剤ガス中の酸素との反応により電力を発生する発電スタックと,起動時に,前記燃料室に水蒸気を供給してパージする気化器と,前記発電スタックと前記気化器を加熱する加熱手段と,前記水蒸気でのパージ後に,前記燃料室に燃料ガスを供給するガス供給手段と,を具備する。
【選択図】図1
Description
上記に鑑み,本発明は,簡便な手法で燃料極の酸化を防止可能な固体酸化物形燃料電池およびその起動方法を提供することを目的とする。
図1は,本発明の一実施形態に係る固体酸化物形燃料電池100を表す斜視図である。固体酸化物形燃料電池100は,発電スタック110,気化器120,改質器130,熱交換器140,燃焼器150(150a,150b),起動用バーナ160,燃料ガス供給部191,水供給部192,制御部193を有する。
固体酸化物形燃料電池100の起動手順を説明する。図3は,この起動手順の一例を表すフロー図である。
起動用バーナ160が点火され,発電スタック110の加熱が開始される。このとき,気化器120の部材122は,発電スタック110よりも発電スタック110に近接して配置されることから,発電スタック110よりも速やかに加熱される。即ち,起動用バーナ160の点火直後に水蒸気を発電スタック110に供給可能となる。
気化器120,特に,部材122が所定の温度に達したら,水供給部192から気化器120に水が投入され,水蒸気が発生する。この水蒸気は,改質器130および発電スタック110(燃焼室)に供給され,その中に存在していた空気を追い出す。即ち,気化器120からの水蒸気によるガス置換がなされる。この結果,燃料電池セル111の燃料極47と改質器130の改質触媒の酸化が防止される。例えば,627℃における水蒸気雰囲気下における酸素分圧は,10−7.8atmであり,事実上問題ない程度まで,Niの酸化速度が低減される。
改質器130,燃焼器150がそれぞれ,動作温度(改質触媒,燃焼触媒での反応可能温度)に達したら,燃料ガス供給部191から改質器130に燃料ガスを供給する。この結果,改質器130で燃料ガスが効率的に改質される。また,改質器130で改質された燃料ガスが発電スタック110に供給されることで,燃焼極47での炭素の析出が防止される。この時点では,発電スタック110の温度が十分とは限らず,必ずしも発電は開始されない。一方,燃焼器150が動作温度に達していることから,燃焼器150で燃料ガスが燃焼し,発電スタック110がさらに加熱される。余った燃料ガスは燃焼器150で消費され,固体酸化物形燃料電池100からの未燃ガスの排出が防止される。
なお,燃料ガスとほぼ並行して,発電スタック110の空気室側に空気が供給される。
発電スタック110が起動用バーナ160,燃焼器150の双方によって加熱され,さらに温度が上昇する。この結果,発電スタック110での発電が可能となる。
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態では,改質器130,燃焼器150aを発電スタック110と一体的に構成していた。この結果,改質器130,燃焼器150aを介して,発電スタック110が起動用バーナ160に保持されている。これに対して,改質器130,燃焼器150aを発電スタック110と別体としても良い。この場合,発電スタック110と起動用バーナ160が直接対向することになる。
(実施例1)
起動用バーナ160の点火直前に,発電スタック110における燃料極47側に外部の装置にて気化させた水蒸気を3L/min投入した。その際,キャリアーガスとしてN2ガス0.5L/minを投入した。起動用バーナ160による加熱を継続し,改質器130(改質触媒層)が400℃,燃焼器150(燃焼触媒層)が200℃,最下段の燃料電池セル111が150℃のすべての目標温度に到達した時点で,空気極45側へ15L/minの空気を投入し,燃料極47側への窒素の供給を停止させ,3L/minの水蒸気と1L/minのメタン(燃料ガス)の投入を開始させた。発電スタック110の温度が稼動温度(750℃)に到達するまで,起動用バーナ160と燃焼器150により,加熱を行った。
改質器130が600℃,燃焼器150が400℃,最下段の燃料電池セル111が350℃のすべての目標温度に到達した時点で,空気極45側への空気を投入し,燃料極47側への窒素の供給停止,水蒸気とメタンの投入を開始させた。その他の点では,実施例1と同様である。
起動用バーナ160の点火直後に,発電スタック110の側面に配置された気化器120に水2.0mL/minを投入する。その後,気化器120に水を継続して投入する。気化器120の一部(部材122)が起動用バーナ160の燃焼プレート162の近傍にあるため,起動用バーナ160の点火直後に,投入された水は水蒸気となり発電スタック110内へ投入される。その他の点では,実施例2と同様である。
起動用バーナ160の点火前に,気化器120に水50mLを投入し,その後,水の供給を停止する。その他の点では,実施例3と同様である。
起動用バーナ160による加熱を行い,改質器130が400℃,燃焼器150が200℃,最下段の燃料電池セル111が150℃のすべての目標温度に到達した時点で,空気極45側に15L/minの空気を投入し,燃料極47側へ2mlの水と1L/minのメタンの投入を開始させた。発電スタック110の温度が稼動温度(750℃)に到達するまで,起動用バーナ160と燃焼器150により,加熱を行った。
改質器130が600℃,燃焼器150が400℃,最下段の燃料電池セル111が350℃のすべての目標温度に到達した時点で,空気極側への空気を投入し,燃料極47側への水蒸気とメタンの投入を開始させた。その他の点では,比較例1と同様である。
図4に,実施例1〜4,比較例1,2の実験結果を示す。
実施例1では,燃料極47の酸化が防止されたが,未燃ガスが排出された。また,実施例2〜4では,燃料極47の酸化および未燃ガスの排出の双方が防止された。特に,実施例3,及び実施例4では,起動用バーナ160からの熱で水を気化したが,問題なく作動できており,また、実施例4では初期に投入された水のみで水蒸気を発生させたことで,実施例3に対し起動時間が短くなっており,加熱効率が良好であった。
110 発電スタック
111 燃料電池セル
112,113 エンドプレート
120 気化器
130 改質器
140 熱交換器
150(150a,150b) 燃焼器
160 起動用バーナ
161 フレーム
162 燃焼プレート
Claims (9)
- 酸素イオン伝導性固体電解質体と,その両側に配置される燃料室および空気室と,を有する複数の燃料電池セルが積層され,燃料ガスと酸化剤ガス中の酸素との反応により電力を発生する発電スタックと,
起動時に,前記燃料室に水蒸気を供給してパージする気化器と,
前記発電スタックと前記気化器を加熱する加熱手段と,
前記水蒸気でのパージ後に,前記燃料室に燃料ガスを供給するガス供給手段と,
を具備することを特徴とする固体酸化物形燃料電池。 - 前記燃料ガスを改質して,前記発電スタックに改質ガスを供給する改質器をさらに具備し,
起動時に,前記気化器が前記改質器に水蒸気を供給してパージする
ことを特徴とする請求項1記載の固体酸化物形燃料電池。 - 燃焼触媒により前記発電スタックから排出される未燃焼ガスを燃焼させて,前記発電スタックを加熱する燃焼器をさらに具備し,
前記燃焼器が所定の温度に達したときに,前記ガス供給手段が前記燃料室に燃料ガスを供給する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。 - 前記気化器の少なくとも一部が前記発電スタックと前記加熱手段との間に配置される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。 - 前記気化器に所定量の水を供給する水供給手段をさらに具備する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。 - 酸素イオン伝導性固体電解質体と,その両側に配置される燃料室および空気室と,を有する複数の燃料電池セルが積層され,燃料ガスと酸化剤ガス中の酸素との反応により電力を発生する発電スタックを備える固体酸化物形燃料電池の起動方法であって,
前記燃料室に水蒸気を供給してパージするステップと,
前記水蒸気でのパージ後に,前記燃料室に燃料ガスを供給するステップと,
を具備することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の起動方法。 - 前記固体酸化物形燃料電池が,前記燃料ガスを改質して,前記発電スタックに改質ガスを供給する改質器をさらに備え,
前記改質器に水蒸気を供給してパージするステップをさらに具備する
ことを特徴とする請求項6記載の固体酸化物形燃料電池の起動方法。 - 前記固体酸化物形燃料電池が,燃焼触媒により前記発電スタックから排出される未燃焼ガスを燃焼させて,前記発電スタックを加熱する燃焼器をさらに備え,
前記燃焼器が所定の温度に達したときに,前記燃料室に燃料ガスが供給される
ことを特徴とする請求項6または7に記載の固体酸化物形燃料電池の起動方法。 - 前記固体酸化物形燃料電池が,水を気化して水蒸気を発生させる気化器をさらに備え,
前記気化器の水を投入するステップをさらに具備し,
前記燃焼室をパージするステップでの水蒸気が前記気化器から供給される
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池の起動方法。
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