JP2019140017A - 燃料電池システム及びその運転方法 - Google Patents

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晋輔 大八木
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Abstract

【課題】SOFCにおいて、その雰囲気制御が必要となる温度域における操作を出来るだけ簡便な操作として実現でき、例えば、SOFCの発電運転から停止への移行時に、継続的且つ信頼性の高い操作で雰囲気制御を実施できる技術を提供する。【解決手段】還元性ガスが燃料極2に、酸化性ガスが酸化剤極3に供給される第一状態で発電するSOFCを設けた燃料電池システム100に、両極2,3を電源9に接続して、両極2,3間に電位差を印加する電力供給用回路を備え、燃料極2に水蒸気vを供給するとともに、両極2,3間に電位差を印加する第二状態で、燃料電池スタック1内で水蒸気vを電気分解する電気分解運転を停止時に行う。【選択図】図2

Description

本発明は、固体電解質を挟んで燃料極と酸化剤極(酸素が供給される極であることから「酸素極」とも呼ばれる)とを有してなる燃料電池スタックを備え、還元性ガスが前記燃料極に、酸化性ガスが前記酸化剤極に供給されるとともに、電力取出用回路を介して前記両極が電力負荷に接続される第一状態で、発電する固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell;以下、SOFCとも記載する)を設けた燃料電池システムに関するとともに、その運転方法に関する。
SOFCは、固体電解質にYSZ(Yttria Stabilized Zirconia、イットリウム安定化ジルコニア)等の酸化物を、燃料極にNi、酸化剤極にLSM(La−Sr−Mn)、LSCF(La−Sr−Mn−Fe)等の酸化物を使用している。
高温の際は燃料極の酸化、酸化剤極の還元を避けるため、燃料極は還元雰囲気に、酸化剤極は酸化雰囲気に保たなければならない。
SOFCの発電運転温度は600〜800℃であるが、このような雰囲気制御は200℃以上で必要とされている。この温度域はSOFCが発電運転から停止される停止時、起動時に通過する温度域であり、この温度域の通過時に雰囲気制御を行わないと電極が劣化する。
そこで、SOFCをその発電状態から停止させる停止時に、燃料ガスの供給を停止し、燃料極へ水蒸気を供給しながら、酸化剤極側へ空気を供給し、SOFCの冷却を迅速に実行する手法が提案されている(特許文献1(図14、段落〔112〕〔113〕)、特許文献2(図14、段落〔115〕〔121〕))。これら技術では、燃料ガス供給が停止される停止制御で、改質用水の間欠的な供給が維持され(この状態で燃料極には水蒸気が供給され、この部位に残留している燃料ガスとともに圧力が維持される)、ある程度降温された段階で、燃料極には再度燃料ガスが供給される。従って、酸化剤極を酸化雰囲気に、燃料極を還元雰囲気に維持することができる。
一方、還元性ガスであるH、13A(メタンCHを主成分とする都市ガス)、13A改質ガス(H)等を、燃料極に流しながら停止制御を行う技術もある(特許文献3(図5、段落〔0069〕〜〔0073〕)。この文献に記載の技術では、還元性ガス(改質ガスを含む)により還元雰囲気に保たれる燃料極と、酸化雰囲気に保たれている酸化剤極との間のガス圧は一定に維持される。燃料極側は、還元性ガスによるパージ(図5「降温(都市ガス改質)」)を行った後、不活性ガス(具体的には窒素)で置換される(図5「降温(窒素)」)を行う。ここで、燃料極側で停止初期に使用するガスは、本来、発電に使用することができる燃料ガスを改質したガスである。
何れにしても、これらの技術では、燃料極側に、改質ガスを含む還元性ガス、水蒸気、或いは不活性ガスの一種以上を供給し、酸化剤極側に空気を適宜流して、両極間の圧力バランスを取りながら降温を行っている。
特開2013−225479号公報 特開2013−225484号公報 特開2017−152314号公報
しかし、雰囲気制御のために、このような停止操作制御を入れれば入れる程、停止制御が複雑且つ微妙となる。
上記の燃料極側へ水蒸気を、酸化剤極側へ酸化性ガスを供給する技術(特許文献1あるいは2)では、燃料極側の圧力と酸化剤極側の圧力を適切に調整する必要があり、正確なガス圧制御が必要となる。
一方、燃料極に還元性ガス或いは不活性ガスを供給する技術(特許文献3)では、これらガスを別途用意する必要がある、あるいは還元性ガスを改質ガスとして得る場合はSOFCの燃料を消費してしまう。
また、システム停止中に、燃料ガスとともに水を供給して、水蒸気改質したガス(還元性ガス)で燃料極をパージ操作するシステムでは、水の供給が停止されるとスタックにカーボンが析出する虞があり、SOFCスタック、システムの性能低下を招来する。
以上の実情に鑑み、本発明の主たる課題は、SOFCにおいて、その雰囲気制御が必要となる温度域における操作を出来るだけ簡便な操作とでき、例えば、SOFCの発電運転から停止への移行時に、継続的且つ信頼性の高い操作で雰囲気制御を行うことができる技術を提供する点にある。
本発明の第1特徴構成は、
固体電解質を挟んで燃料極と酸化剤極とを有してなる燃料電池スタックを備え、
還元性ガスが前記燃料極に、酸化性ガスが前記酸化剤極に供給されるとともに、電力取出用回路を介して前記両極が電力負荷に接続される第一状態で発電する固体酸化物型燃料電池を設けた燃料電池システムであって、
前記両極を電源に接続して、両極間に電位差を印加する電力供給用回路を備え、
前記燃料極に水蒸気を供給するとともに、前記電力取出用回路が切断され、且つ前記電力供給用回路を介して前記両極間に電位差を印加する第二状態で、前記燃料電池スタック内で水蒸気を電気分解する電気分解運転制御部を備え、
前記電気分解運転制御部が、前記固体酸化物型燃料電池の停止時に働くことにある。
ここで、両極とは燃料極及び酸化剤極を意味する(以下同じ)。
本構成によれば、燃料電池システムは、第一状態と第二状態との二つの状態を選択的に採れるように構成される。
燃料電池システムが第一状態とされる場合は、電力取出用回路が形成され、固体酸化物形燃料電池が発電することで、その電力が電力負荷に取出される。
一方、燃料電池システムが第二状態とされる場合は、電力供給用回路が形成され、固体酸化物形燃料電池の燃料極と酸化剤極との間に電位差が印加される。さらに、この状態で燃料極に水蒸気が供給されるが、この水蒸気は燃料電池スタック内を移動し、電気分解される。即ち、燃料極では電気分解により水素が発生し、酸化剤極では電気分解により酸素が発生する。結果、燃料極側は還元雰囲気下におかれ、酸化剤極側は酸化雰囲気下におかれる。
このような運転形態を発明者らは「電気分解運転」と呼ぶが、電気分解運転制御部が、この電気分解運転の制御状態を実現する。そして、両電極間への電位差の付与と、水蒸気の燃料極への供給という簡単な操作で、燃料電池スタックが雰囲気制御を必要とする温度域に於いて、良好に雰囲気制御を実行できる。
先にも示したように、燃料電池が発電を停止する時点が、この種の雰囲気制御が必要となる代表的な時点であるが、少なくとも停止時に、この電気分解運転制御を実行することで、継続的且つ信頼性の高い操作で雰囲気制御を行える。
先に従来技術の項で説明したように、燃料極側を実質的に水蒸気で満たす場合、この極が確実に還元雰囲気となっているとは言えず、燃料極の劣化を招く懸念が残る。対して、本発明のように電気分解運転制御を行うと、燃料極を確実に還元雰囲気に維持することが可能となり、電池寿命に大きく関与する極の劣化を確実に阻止することができる。
このような燃料電池システムの運転方法は、
固体電解質を挟んで燃料極と酸化剤極とを有してなる燃料電池スタックを備え、
還元性ガスが前記燃料極に、酸化性ガスが前記酸化剤極に供給されるとともに、電力取出用回路を介して前記両極が電力負荷に接続される第一状態で発電する固体酸化物型燃料電池を設けた燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池システムに、
前記両極を電源に接続して、両極間に電位差を印加する電力供給用回路を備え、
前記燃料極に水蒸気を供給するとともに、前記電力取出用回路が切断され、且つ前記電力供給用回路を介して前記両極間に電位差を印加する第二状態で、前記燃料電池スタック内で水蒸気を電気分解する電気分解運転制御ステップを、
前記固体酸化物型燃料電池の停止時に実行する燃料電池システムの運転方法となる。
本発明の第2特徴構成は、
前記燃料極に接続される燃料極接続回路及び前記酸化剤極に接続される酸化剤極接続回路を備え、
前記燃料極接続回路及び前記酸化剤極接続回路が前記電力負荷の異なる極に接続される電力取出状態と、
前記燃料極接続回路及び前記酸化剤極接続回路が前記電源の異なる極に接続される電力供給状態との間で、接続状態を切り換える切換装置を備える点にある。
本構成によれば、切換装置を備えることで、切換装置を電力取出状態として、発電時に使用する電力取出用回路を成立させ、切換装置を電力供給状態として、電気分解運転時に使用する電力供給用回路を実現できる。
このような切換装置を燃料電池本体の外部に備える構成を採用すると、本来、発電電力を外部に供給する(発電電力が外部に取出される)装置として構成されている燃料電池本体側の構成を変えることなく、電力供給用回路を成立させることができる。
本発明の第3特徴構成は、
前記電気分解運転制御部が働く電気分解運転状態において、前記還元性ガスの前記燃料極への供給、前記酸化性ガスの前記酸化剤極への供給の両方が停止される点にある。
本構成によれば、これまで説明してきた電気分解運転により燃料極、酸化剤極にそれぞれ発生するガスを利用して、雰囲気制御で必要とされるガスを十分確保した状態で燃料電池を降温させることができる。
一方、前記還元性ガスの供給を断ち、前記酸化性ガスの供給を維持あるいは増加する場合は、電気分解運転により発生する酸素(O)及び酸化剤極側に供給する酸化性ガス(例えば空気)を利用して、降温を進めることができる。
このような、酸化剤極側への酸化性ガスの供給に関しては、電池の温度域、必要とされる降温時間等の条件に従って、好適に選択できる。例えば、電池が比較的高温にある停止開始直後には酸化性ガスの供給を伴って降温を加速するものとし、比較的低温となった状態で、電気分解運転のみで、降温を行う構造としてもよい。
後述する、図4、5に示す運転形態で、前者が酸化性ガスの代表である空気まで停止する例であり、後者が空気の供給を継続する例である。
本発明の第4特徴構成は、
水蒸気及び炭化水素ガスの供給を受けて、前記炭化水素ガスから前記還元性ガスとしての水素ガスを水蒸気改質により得る改質器を備え、
前記第一状態において、前記改質器で生成される前記水素ガスが前記燃料極に供給される構成で、
前記電気分解運転制御部が働く電気分解運転状態において、前記改質器への前記炭化水素ガスの供給が切断されるとともに、前記水蒸気の供給が継続され、当該水蒸気が前記改質器を介して前記燃料極に供給される点にある。
本構成によれば、燃料電池が発電する第一状態において、炭化水素ガスが供給されて水素ガスを得る改質器への炭化水素ガスの供給を停止するだけで、燃料極への水蒸気の供給を継続することができる。
結果、燃料電池システムの停止時に、改質器へ供給する一方のガス(炭化水素ガス)の供給を停止するだけで、電気分解運転への移行を継続的且つ簡単に実現できる。
この燃料電池システムの運転方法は、
前記燃料電池システムに、水蒸気及び炭化水素ガスの供給を受けて、前記炭化水素ガスから前記還元性ガスとしての水素ガスを水蒸気改質により得る改質器を備え、
前記第一状態において、前記改質器で生成される前記水素ガスが前記燃料極に供給される構成で、
前記第一状態における、前記改質器への前記炭化水素ガスの供給を切断するとともに、前記水蒸気の供給を継続して、当該水蒸気が前記改質器を介して前記燃料極に供給される供給状態が維持されて、前記第一状態から前記第二状態への移行する形態で、
前記固体酸化物型燃料電池の停止時に、前記電気分解運転制御ステップを実行することとなる。
本発明の第5特徴構成は、
前記電気分解運転制御部による電気分解運転制御が、前記固体酸化物形燃料電池の起動制御時に実行される点にある。
本発明にいう電気分解運転は、電気分解自体が吸熱反応であることから燃料電池本体の温度低下をもたらすと理解されがちであるが、発明者らの検討によると、燃料電池本体を構成するスタックが抵抗を有することからジュール熱が発生する。結果、全体としては発熱反応となる。
そこで、起動時に電気分解運転制御を実行することで燃料電池本体の昇温を加速することができる。
さらに、後にも示すように、燃料電池システムの起動に際しては、例えば、図4〜図6に示すように、酸化剤極側への空気供給が先行され、燃料極側への燃料供給を空気供給開始に対して遅延して実行する。通常SOFCスタックに於いては、酸化剤極側の酸化性雰囲気を、燃料極側の還元性雰囲気を適切に維持できるタイミングで、両ガスの供給を開始するが、本発明のように電気分解運転を伴うと、この運転を実行しない場合に比べて、両極の雰囲気を起動時にも適切且つ確実に維持することが可能となり、両極に適する雰囲気状態が破れることを確実に回避できる。結果、空気供給、引き続く燃料供給のタイミング制御、スタックの劣化の点で、信頼性の高いシステムとなっている。
本発明の第6特徴構成は、
前記固体酸化物形燃料電池の起動時に燃焼運転されて熱を供給する起動用燃焼器と、前記固体酸化物形燃料電池から排出されるオフガスを燃焼させるオフガス燃焼器とを別個に備え、
前記固体酸化物形燃料電池の起動時であって、前記電気分解運転制御部による電気分解運転制御が実行される起動・電気分解運転制御時に、前記起動用燃焼器が燃焼して、発生する熱で生成される水蒸気が前記燃料極に供給される点にある。
本構成によれば、起動用燃焼器の燃焼により水蒸気を発生させて、電気分解運転を実現し、起動時に必要となる昇温を加速することができる。
本発明に係る燃料電池システムの構成を示す図 電気分解運転中における燃料電池スタックの状態を示す模式図 発電時と、電気分解時とにおける燃料電池スタックのセル電圧と電流との関係を示す図 燃料電池システムの運転形態の一例を示すタイムチャート 燃料電池システムの運転形態の別例を示すタイムチャート 起動時にも電気分解運転制御を実行する運転形態のタイムチャート 本発明に係る燃料電池システムの別構成例を示す図 停止時にパージ降温を行う燃料電池の一運転形態を示すタイムチャート
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に、本発明に係る燃料電池システム100の構成を示すとともに、図2に、この燃料電池システム100において、電気分解運転を行っている燃料電池スタック1に対するガス(水蒸気v、酸化性ガスg2(O))の供給状態及び当該燃料電池スタック1を構成する燃料極2、酸化剤極3間への電圧の印加状態を示した。これらの図において、燃料電池スタック1を燃料電池セル単一物として模式的に示している。実際は、燃料電池本体101は、これら燃料電池スタック1の積層体として構成される。よって、図面には101を括弧付きで示している(図7において同じ)。
以下、燃料電池システム100の構成、本発明独特の電気分解運転に係る構成、燃料電池システム100の運転形態の順に説明する。
1.燃料電池システムの構成
図1に示すように、燃料電池システム100は、燃料電池本体101(SOFC)、燃料電池本体101に還元性ガスg1(具体的には水素H)を供給する還元性ガス供給系統4、燃料電池本体101に酸化性ガスg2(具体的にはOを含む空気)を供給する酸化性ガス供給系統5、燃料電池本体101が発電する発電時に、当該燃料電池本体101から排出されるオフガスg3を燃焼処理するオフガス処理系統6を,それぞれ備えて構成されている。
さらに、燃料電池本体101は電力負荷7(例えばパワーコンディショナ)に接続され、発電電力を取出すことが可能となっている。一方、オフガス処理系統6の下手側にはオフガスg3及びこのガスg3の燃焼に発生した熱を湯hwとして回収する熱利用系統8が備えられている。
従って、この燃料電池システム100は、その発電電力が取り出されて外部に供給できるとともに、熱利用系統8で回収された熱を外部に供給することができる、所謂、熱電併供給設備となっている。
燃料電池本体101は多数の燃料電池スタック1を備えて構成されるが、図1、図2に示すように、固体酸化物形固体電解質1aの一方の面に、本発明における燃料極2となる触媒層、セパレータを備え、他方の面に、本発明における酸化剤極3となる触媒層、セパレータを備えて構成される。これら触媒層及びセパレータは、図面における表示を異ならせている。
ここで、固体酸化物形固体電解質1aの構成材料としては、先に示したYSZである、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアを挙げることができ、さらには、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、或いはSr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート等も挙げることができる。また、これらの複合材料とすることもできる。
燃料極2となる触媒層に関しては、NiとYSZとのサーメットを採用し、そのセパレータには、Crを含有する合金または酸化物であり、LaCrO3系等のペロブスカイト型酸化物、フェライト系ステンレス鋼であるFe−Cr合金、オーステナイト系ステンレス鋼であるFe−Cr−Ni合金、ニッケル基合金であるNi−Cr合金等を採用することができる。
酸化剤極3となる触媒層としては、LaMO3(例えばM=Mn,Fe,Co,Ni)中のLaの一部をアルカリ土類金属AE(AE=Sr,Ca)で置換した(La,AE)MO3のペロブスカイト型酸化物を採用でき、そのセパレータにはCrを含有する合金または酸化物であり、LaCrO3系等のペロブスカイト型酸化物、フェライト系ステンレス鋼であるFe−Cr合金、オーステナイト系ステンレス鋼であるFe−Cr−Ni合金、ニッケル基合金であるNi−Cr合金等を採用することができる。
燃料極2には、還元性ガス流路2aが設けられ、発電時には、この還元性ガス流路2aに還元性ガスg1が流される。
酸化剤極3には、酸化性ガス流路3aが設けられ、発電時には、この酸化性ガス流路3aに酸化性ガスg2が流される。
発電電力の取出しに関しては、燃料極2及び酸化剤極3が、それぞれ電力負荷7の異なった極に接続される。このように、燃料電池本体101と電力負荷7との間において、発電時に成立する回路を「電力取出用回路Pout」と呼ぶ。図1には、この電力取出用回路Poutが形成された状態を示している(図7において同じ)。
後述するように、本発明における「電気分解運転制御」を実行する電気分解運転時には、燃料電池本体101の燃料極2及び酸化剤極3が、電源9に接続され、両電極2,3間に電位差を印加することができる。この電気分解運転制御時に、燃料電池本体101と電源9との間において成立される回路を、発明者らは「電力供給用回路Pin」と呼んでいる。
以下の燃料電池システム100の説明にあっては、その主要な運転形態である発電時の運転形態(システムは第一状態となっている)で説明を進める。
還元性ガス供給系統4は、燃料ガスである炭化水素ガスg0(具体的にはCHを主成分とする都市ガス13A)と水蒸気vの供給を受けて、水蒸気改質を実行する改質器4aを中核として構成されており、この改質器4aで水蒸気改質により得られた水素ガスH(還元性ガスg1の一種)が燃料電池本体101に多数備えられる燃料電池スタック1の燃料極2に供給される。
図1に示す燃料電池システム100では、改質器4aの上手側に蒸発器4bが設けられている。
この蒸発器4bには、燃料ガスポンプP1により吸引・搬送されてくる炭化水素ガスg0が、脱硫器4cを経て流入される。
さらに、蒸発器4bには、改質水(純水)wが水タンク6aから改質水供給ポンプP2により搬送されてくる。これら水タンク6a及び改質水供給ポンプP2は、先に説明したオフガス処理系統6の一部となっているが、この系統6に関しては後述する。
前述の蒸発器4b及び改質器4aは、燃料電池本体101から排出されるオフガスg3を燃焼する燃焼器6cと熱的に接続されており、燃焼器6cで発生する熱を利用して、蒸気発生、水蒸気改質を行う。
酸化性ガス供給系統5は、酸化性ガスg2(具体的には酸素Oを含むガスであり、通常は空気)を燃料電池本体101に多数備えられる燃料電池スタック1の酸化剤極3に供給する系統である。
図示する燃料電池システム100では、外部の空気を空気ブロアBにより吸引するとともに、燃料電池本体101までに備えられる空気予熱用熱交換器5aにおいて、空気を予熱して酸化剤極3に供給する構造が採用されている。この空気予熱の熱源は、燃焼器6cから排出される排ガスgexとされている。この排ガスgexには水蒸気vが含まれている。
オフガス処理系統6は、燃料電池本体101の燃料極2側に設けられた還元性ガス流路2a及び酸化剤極3側に設けられた酸化性ガス流路3aからそれぞれ排出されるガスg3を燃焼する燃焼器6c、先に説明した空気予熱用熱交換器5a、排熱回収用熱交換器6d、水タンク6a、改質水供給ポンプP2を、備えて構成されている。
運転に際しては、改質水供給ポンプP2を経て蒸発器4bに改質水(純水)wが供給され、水蒸気vとされた後、改質器4aにおいて水蒸気改質に使われ、燃料電池本体101の燃料極2に供給される。
熱利用系統8は、循環ポンプP4を運転することにより、排熱回収用熱交換器6dと貯湯槽8aとの間で、熱回収用の水wを循環させるとともに、この貯湯槽8aから湯hwを払い出して、熱利用が可能な構造が採用されている。
以上の構造を採用することにより、空気予熱用熱交換器5aで、燃料電池スタック1に設けられる酸化剤極3に供給される酸化性ガスg2の予熱を行うととともに、排熱回収用熱交換器6dで、排熱の保有する熱を有効に湯hwとして回収することができる。
一方、排熱回収用熱交換器6aを経て燃焼器6cから排出された排ガスgexに含まれる水蒸気vは復水する。このようにして復水して得られる改質水wは別異の用途にも利用される。
以上が燃料電池システム100において燃料電池の発電に関わる機能構成である。
この構成は、これまでも燃料電池システムにおいて備えられてきた構成である。
以下、本発明独特の電気分解運転を実行する構成について説明する。
これまでも説明してきた事項であるが、図2に示すように、本発明の燃料電池システム100は、両電極2,3間に電位差が付与された状態で、還元性ガス流路2aに水蒸気vが供給され、燃料電池スタック1内でこの水蒸気vは電気分解され、燃料極2で水素(H)が発生され、酸化剤極3で酸素(O)が発生される。
よって、本発明の燃料電池システム100は、以下の独特の構成を備えている。
構成1.
燃料電池スタック1を構成する燃料極2、酸化剤極3間に電気分解運転用の電位差を付与可能(図2参照)
構成2.
燃料電池スタック1を構成する燃料極2に設けられる還元性ガス流路2aに水蒸気vを供給可能(図2参照)
構成3.
電力取出用回路Poutが切断され且つ電力供給用回路Pinを介して両極2,3間に電位差を印加する(構成1)状態で、燃料極2に水蒸気vを供給して(構成2)、燃料電池スタック1内で水蒸気vを電気分解する電気分解運転制御部C2を装備(図1参照)。
図2は、本発明にいう「電気分解運転状態」を模式的に示した図面であり、燃料極2に設けられた還元性ガス通路2aに少なくとも水蒸気vが供給されている(同図に実線で示している)。一方、この「電気分解運転状態」では、酸化剤極3に設けられた酸化性ガス通路3aに、酸化性ガスg2(例えば酸素Oを含む空気)を供給しても、供給しなくてもよい(この状態を同図に破線で示している)。
そして、燃料極2及び酸化剤極3を電源9の異なった極に接続して、両電極2,3間に電位差を印加する。このような運転形態においては、燃料電池スタック1に供給される水蒸気vがセル1内で電気分解されることにより、還元性ガス流路2aから水素Hガスが排出され、酸化性ガス流路3aから酸素Oガスが排出される(後に述べる第二状態)。
即ち、燃料電池スタック1の燃料極2側は還元性雰囲気下に置かれ、酸化剤極3側は酸化性雰囲気下に置かれる。本発明では、水蒸気vの燃料極2への供給を維持しながら、電源9より電気分解用の電力を供給する処理だけで、燃料電池システム100にとって、非常に重要な雰囲気制御を実現できる。
以下、上記の構成1、構成2、構成3について順に説明する。
構成1.電力取出・供給の切換装置
図1に示すように、燃料電池本体101、電力負荷7、電源9との間には、燃料電池の発電電力を取出すための電力取出用回路Poutを形成可能とするとともに、電源9からの電圧を燃料極2、酸化剤極3間に印加するための電力供給用回路Pinを形成可能とする切換装置10が備えられている。
燃料電池スタック1の燃料極2に接続される回路を燃料極接続回路2b、酸化剤極3に接続される回路を酸化剤極接続回路3bとして、これら燃料極接続回路2b及び酸化剤極接続回路3bが、電力負荷7の異なる極に接続される電力取出状態と、電源9の異なる極に接続される電力供給状態との間で、接続状態を切り換える切換装置10が備えられている。
図1に示すように、図面左側に位置される電力取出側スイッチS1が接続され、図面右側の位置される電力供給スイッチS2が切断された状態が、前記電力取出状態に相当する。この状態で電力取出用回路Poutが成立する。
一方、逆に、図面左側に位置される電力取出側スイッチS1が切断され、図面右側の位置される電力供給スイッチS2が接続された状態が、前記電力供給状態に相当する。この状態で電力供給用回路Pinが成立する。
電力供給用回路Pinが形成された状態で、水蒸気vが還元性ガス流路2aに供給されると、燃料電池スタック1において水蒸気vは電気分解されることから、ある程度の電力の消費が発生する。従って「電力供給」と表現している。
構成2.燃料極への水蒸気供給
先に説明したように、燃料電池システム100は還元性ガス供給系統4を備える。
この構成において、蒸発器4bで水タンク6aから供給される改質水wが水蒸気vとされて改質器4aに供給される。改質対象の炭化水素ガスg0が供給されると、還元性ガスg1の供給が可能となるが、この炭化水素ガスg0の供給は遮断可能とされており、炭化水素ガスg0の供給が遮断された状態で、蒸発器4bで水蒸気vが生成されると、改質器4aを経て燃料極2に設けられた還元性ガス流路2aに水蒸気vのみが供給される。
このような水蒸気vのみの供給状態は、例えば、発電時に還元性ガスg1を燃料極2に供給している状態から燃料ガスポンプP1を停止する操作のみで実現できる。
即ち、発電時に、還元性ガスg1及び酸化性ガスg2の両方が燃料電池スタック1に供給されている状態において、燃料ガスg0(炭化水素ガス)の蒸発器4bひいては改質器4aへの供給を遮断するだけの操作で、本発明にいう「電気分解運転」を実現する水蒸気vの燃料極2への供給が可能となり、発電から発電停止(完全停止)に至る連続的な停止運転制御時に、燃料ガスg0の供給を断つという、最も簡単な操作で、これを実現できる。
以下、上記の構成3について説明する前に、本発明に係る燃料電池システム100の制御構成について、図1を参照しながら説明する。
燃料電池システム100にはシステム制御部Cが設けられ、このシステム制御部Cには、発電に係る発電運転制御を実行する発電運転制御部C1と、本発明に係る電気分解運転制御を実行する電気分解運転制御部C2とが設けられている。
発電運転制御部C1には、燃料電池システム100においてその起動を担う起動制御部C1a、システムが定常発電状態に入り、必要とされる電力需要に見合った発電を行う定常運転時の制御を担う定常運転制御部C1b、及びその停止を担う停止制御部C1cが備えられている。
前記電気分解運転制御部C2の働きに関しては、後に、図4、図5の燃料電池システム100の運転形態を示すフローチャートを参照して述べるが、本発明の燃料電池システム100では、少なくとも停止制御部C1cがシステム100の停止制御を行う段階で、停止制御部C1cが電気分解運転制御部C2と連携する構造が採用されている(図4、図5参照)。
一方、図6は、図7に示す燃料電池システム110において、停止時のみならず、起動時にも電気分解運転制御部C2が働く形態例であり、この運転形態では、停止制御部C1cのみならず、起動制御部C1aが電気分解運転制御部C2と連携する。
構成3.電気分解運転制御
電気分解運転制御は、システム制御部Cに備えられる電気分解運転制御部C2により実行される制御状態であり、電力取出用回路Poutが切断され且つ電力供給用回路Pinを介して両極2,3間に電位差を印加する(構成1)状態で、燃料極2に水蒸気vを供給して(構成2)、燃料電池スタック1内で水蒸気vを電気分解する連携運転形態である。
図2を参照してさらに説明すると、この電気分解運転では、燃料電池スタック1の還元性ガス流路2aに水蒸気vが供給されるとともに、燃料極2、酸化剤極3間に電位差が印加される。この状態で、燃料電池スタック1内では電気分解が発生し、還元性ガス流路2aに水素ガス(H)が、酸化性ガス流路3aに酸素ガス(O)が流れる状態が実現する。電位差の印加状態は、図2にも示すように、燃料極2が負、酸化剤極3側の正とする。
因みに、図3は、発電時と、電気分解時とにおける燃料電池スタック1の電圧(セル電圧を表示;単位〔V〕)と電流密度(単位〔A/cm〕)の関係を示す図であり、電流密度からみて、これが−側に振る状態、電源9から両極2,3間に電位差が印加されている状態で、電気分解を起こせることがわかる。
また、電気分解を実用的な意味で発生させる電池電圧は、この燃料電池スタック1の場合、1.2V〜1.4V程度であることがわかる。
以上説明したように、本発明の燃料電池システム100は、両極2,3を電源9に接続して、両極2,3間に電位差を印加する電力供給用回路Pinを形成可能とされ、燃料極2に水蒸気vを供給するとともに、電力取出用回路Poutが切断され(切換装置10は電力供給状態)、且つ電力供給用回路Pinを介して両極2,3間に電位差を印加する第二状態で、前記燃料電池スタック1内で水蒸気vを電気分解する電気分解運転制御部C2を備えている。
以下、本発明に係る燃料電池システム100の様々な運転形態に関して図面に基づいて説明する。
図4、図5は、停止制御部C1cが燃料電池システム100の停止制御を実行する状況で、電気分解運転制御部C2が連携して働く運転形態のタイムチャートであり、図6は、燃料電池システム110が、停止時のみならず、起動制御部C1aが燃料電池システム110の起動制御を実行する状況においても電気分解運転制御部C2が連携して働く形態のタイムチャートである。
一方、図8に示すタイムチャートが、図4、図5に示したタイムチャートに対応させた、運転停止時にパージ降温のみを実行するタイムチャートである。このタイムチャートは、酸化剤極3側への空気の供給を比較的長く維持し、同時に、燃料極2側への水蒸気供給を、停止後しばらくの間維持している。同図に示す「パージ降温」のタイミングでは燃料ガスg0も供給するため、この状態では改質ガス(還元性ガス)が燃料極2に供給される。その後、しばらく水蒸気vの供給が維持される。
図8に示す運転形態では、当然に、本発明にいう電気分解運転制御が実行されることはない。
これらの図面において、横軸が時間であり、縦軸は、燃料電池の運転に関係する要素情報を示したものである。
図4〜6にあっては、本発明が、これまで説明してきた「電気分解運転」に関係することから、これら図面の最下段に、「電位差印加」の欄を設けている。図8に、この欄は存在しない。
横軸は、燃料電池の起動・定常運転・停止に係る運転動作で項分けして示している。
起動に関しては、「待機状態」、「空気導入」、「ガス導入着火」、「昇温」、「水蒸気導入」、「昇温完了」で項分けして示している。
ここで、「ガス導入着火」は、燃料ガスg0の導入を意味しており、昇温用の熱として燃料ガスg0の燃焼熱が利用されるとともに、還元性ガスg1の生成にも使用される。
定常運転に関しては、「発電中」と記載しており、発電中にあっては、電力負荷7に比例して、燃料ガス流量、水蒸気流量、空気流量が調整される。
停止に関しては、「停止」、「降温(図4〜6では単に「降温」、図8では「パージ降温」)、「ガス停止」、「水停止(図8のみ)」、「空気停止」、「水蒸気停止(図4〜6のみ)」で項分けしている。
横軸の項分けに関して、「停止」は、発電の停止指令が入力された時点から所定時間実行される。
「降温」は、本発明の場合(図4〜6)では、少なくとも水蒸気vの燃料極2への供給が維持されるため、所謂、パージを呼ばれる従来型の降温操作を伴うことなく、電気分解運転状態で、降温が起こされる。
「ガス停止」に関しては、本発明の場合(図4〜6)では、水蒸気vの供給は継続され、余のガス(還元性ガスg1及び酸化性ガスg2)に関して、基本的には供給を停止する(図4参照)。ただし、酸化性ガスg2はその供給を維持してもよいとなるため、()付きのガス停止としている(図5参照)。
「水停止」は図8に示しているが、この水停止は、燃料極2側における水蒸気加圧(酸化剤極3に供給される酸化性ガス(空気)の圧力より高くする)を伴った運転形態、或いは水蒸気改質を伴った運転形態において必要とされる水の供給停止を意味している。
通常、水蒸気改質で必要とされる水蒸気量は、電気分解運転において必要となる水蒸気の量より大きい。
縦軸の構成に関しては、「燃料ガス流量(図6では、「起動用燃料ガス流量」と「燃料ガス流量(これは還元性ガスを得るために必要となる発電用燃料ガス流量に対応する)」とに分けて記載)」、「水蒸気流量」、「空気流量」、「燃焼器温度」、「改質器温度」、「スタック温度」、「スタック電圧」、「電位差印加(図4,5,6のみ)」としている。
「燃料ガス流量」は、運転に必要となる燃料ガスg0の流量に対応している。
一方、図6では、起動時に、「起動用燃料ガス流量」で示すように起動用燃焼器60c(図7参照)を独立に燃焼させて、起動時にも電気分解運転するようにしている。
この実施形態に関しては、燃料電池システム110の構成も含めて、後述する。
スタック温度は燃焼電池スタック1の温度であり、スタック電圧は、発電時及び電気分解運転制御時の燃料電池スタック1の電圧である。
先にも示したように、燃料電池システム100は、起動制御部C1a、定常運転制御部C1b、停止制御部C1cを備え構成されるが、これら制御部C1a、C1b、C1cにより、その制御対象となる運転(起動・定常運転・停止)において、タイムチャートに示すガス(燃料ガスである炭化水素ガスg0、水蒸気v、酸化性ガスg2)の流量制御及び燃焼器6cにおける燃焼制御(着火、燃焼停止等)を行う。
燃料ガス流量に関しては、同タイムチャートで最も下に位置する横に伸びる線が流量0に対応しており、上に向かうに従って流量が大きくなる。
温度に関しては、同タイムチャートで最も下に位置する横に伸びる線が常温に対応しており、上に向かうに従って温度が高くなる。
電圧に関しては、同タイムチャートで最も下に位置する横に伸びる線が電圧0に対応しており、上に向かうに従って電圧(発電電圧)が高くなる。
電位差印加に関しては、電源9が燃料極2及び酸化剤極3に接続されている状態を「電気分解運転」を付記して示し、この接続が断たれた状態で何も記載していない。
電力供給用回路Pinは、図1の構成から容易に理解されるように、電気分解運転制御部C2の働きにより、切換装置10が電力取出状態から電力供給状態に切換られて実現する。
以上が、図4〜図6、図8に示すタイムチャートの概略の説明である。
以下、それぞれのタイムチャートについて、本発明に係る「電気分解運転制御」に関する箇所に関して説明する。
1.第一停止制御
図4に示すタイムチャートにおいて、この第一停止制御を実施している。
この例は、発明者らが「パージレス停止」と呼ぶ制御形態であり、燃料ガス流量、水蒸気流量、空気流量から判るように、停止操作を受付けた後、所定の待ち時間の経過後、燃料ガスg0及び酸化性ガスg2である空気の供給が共に断たれ、水蒸気vの供給を維持したままで、電位差が両電極2,3間に印加されることで、電気分解運転状態に入る。
従って、「停止」から「降温」に入る時点で、ガス供給の切換が行われ、同時に、電源9から電解用の電圧が燃料極2と酸化剤極3との間に印加される。このとき、電力取出用回路Poutは遮断され、電力供給用回路Pinが成立される。結果、燃料電池スタック1をその良好な雰囲気下に置きながら、燃料電池システム100の降温・停止を行うことができる。
2.第二停止制御
図5に示すタイムチャートにおいて、この第二停止制御を実施している。
この例も、発明者らが「パージレス停止」と呼ぶ、制御形態であり、図5に示す、燃料ガス流量、水蒸気流量、空気流量の制御形態から判るように、停止操作を受付けた後、所定の待ち時間の経過後、燃料ガスg0のみの供給を断ち、酸化性ガスg2及び水蒸気vの供給を維持したままで、電位差が両電極間に印加されることで、電気分解運転状態に入る。この例では、酸化性ガスg2として供給される空気が冷却用に働くため降温を加速することができる。
従って、「停止」から「降温」に入る時点で、ガス供給の切換が行われ、同時に、電源9から電解用の電圧が燃料極2と酸化剤極3との間に印加される。このとき、電力取出用回路Poutは遮断され、電力供給用回路Pinが成立される。結果、燃料電池スタック1をその良好な雰囲気下に置きながら、燃料電池システム100の降温・停止を加速して行うことができる。
3.第三停止制御
図6に示すタイムチャートにおいて、この第三停止制御を実施している。
この例も、発明者らが「パージレス停止」と呼ぶ、第一停止制御と同様な停止制御形態を含む例であるが、この例では、燃料電池の起動時にも「電気分解運転制御」を実施する。即ち「パージレス起動」も行っている。
この例は、燃料電池システムを図7の示すシステム110としているため、まず、そのシステム110構成から説明する。
この燃料電池システム110は、図1に示す燃料電池システム100に対して、図1の燃焼器6cが、起動用燃焼器60cとオフガス燃焼器61cとして別個に構成されている点でのみ異なる。
この燃料電池システム110は、固体酸化物形燃料電池SOFCの起動時に、燃料ガスg0の供給を受けるとともに、酸化剤極3から送られてくるオフガスg3(O2)の供給を受けて燃焼運転されて熱を供給する起動用燃焼器60cと、燃料極2から排出されるオフガスg3(H)を燃焼させるオフガス燃焼器61cとを別個に備えている。
そして、図6に示すように、これまで説明してきた、「電気分解運転制御」が起動時にも実施される。
即ち、この例では起動制御部C1aと電気分解運転制御部C2とが、燃料電池システム110の起動時に連携して働く構成が採用されており、図6に示すように、起動用燃焼器60cへの起動用燃料供給が先行して実行されるともに、この燃料の燃焼による熱を蒸発器4bでの水蒸気発生に独立して利用する。即ち、この形態で発生される水蒸気vが燃料極2に供給されるとともに、燃料極2・酸化剤極3間へ電位が付与される。先にも示したように、電気分解それ自体は吸熱反応であるが、燃料電池本体101が有するジュール熱により発熱し、燃料電池スタック1の昇温を加速することができる。
この第三停止制御は、停止時の他、起動時にも「電気分解運転制御」を実行する例であるが、停止時に「電気分解運転制御」を実行することなく、起動時のみにこの制御を実行すると、先に段落〔0025〕で説明した作用・効果を得ることができる。
以上説明してきたように、この燃料電池システム110においては、起動制御部C1aが働き、電気分解運転制御部C2による電気分解運転制御が実行される起動・電気分解運転制御時に、起動用燃焼器60cが燃焼して、発生する熱で生成される水蒸気vが燃料極2に供給される運転形態を実現できる。
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用するのみならず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態にあっては、燃料極接続回路2b、酸化剤極接続回路3bとで、電力取出用回路Poutと電力供給用回路Pinとで共用するものとしたが、別個の接続回路としてもよい。
(2)上記の実施形態にあっては、水蒸気改質を実行する改質器4aを経て燃料極2に水蒸気vを供給するものとしたが、別途、電気分解運転時に水蒸気vを燃料極2の直接供給する回路を設けてもよい。
(3)上記の実施形態にあっては、燃料極に供給される還元性ガスとして、これが水素(H)である例を示したが、水素の他、SOFCの燃料となればよく、例えば、アンモニアであってもよい。
(4)上記の実施形態にあっては、蒸発器4b、改質器4a及び燃料器6、或いは、オフガス燃料器6cが別体である構成を示したが、例えば、一の筐体(図外)内に燃料が燃焼する燃焼器6、6aを備え、その上部に水蒸気改質が起こる水蒸気改質用触媒を備えた改質器4aを備え、さらにその上部に、供給された水を水蒸気とする蒸発器を4b備える構成としてもよい。無論、3の機能機器のうち、それらの2機能機器を一体として、残余の機器を独立としておいてもよい。
さらに、燃料電池本体101を含めて一の筐体(図外)内に収納される構成とされてもよい。
1 燃料電池スタック
2 燃料極
2b 燃料極接続回路
3 酸化剤極(酸素極)
3b 酸化剤極接続回路
4a 改質器
6c 燃焼器
7 電力負荷
9 電源
60c 起動用燃焼器
61c オフガス燃焼器
g0 燃料ガス(13A)
g1 還元性ガス(H
g2 酸化性ガス(空気)
g3 オフガス
v 水蒸気
C1 発電運転制御部
C1a 起動制御部
C1b 定常運転制御部
C1c 停止制御部
C2 電気分解運転制御部
Pout 電力取出用回路
Pin 電力供給用回路

Claims (8)

  1. 固体電解質を挟んで燃料極と酸化剤極とを有してなる燃料電池スタックを備え、
    還元性ガスが前記燃料極に、酸化性ガスが前記酸化剤極に供給されるとともに、電力取出用回路を介して前記両極が電力負荷に接続される第一状態で発電する固体酸化物型燃料電池を設けた燃料電池システムであって、
    前記両極を電源に接続して、両極間に電位差を印加する電力供給用回路を備え、
    前記燃料極に水蒸気を供給するとともに、前記電力取出用回路が切断され、且つ前記電力供給用回路を介して前記両極間に電位差を印加する第二状態で、前記燃料電池スタック内で水蒸気を電気分解する電気分解運転制御部を備え、
    前記電気分解運転制御部が前記固体酸化物型燃料電池の停止時に働く燃料電池システム。
  2. 前記燃料極に接続される燃料極接続回路及び前記酸化剤極に接続される酸化剤極接続回路を備え、
    前記燃料極接続回路及び前記酸化剤極接続回路が前記電力負荷の異なる極に接続される電力取出状態と、
    前記燃料極接続回路及び前記酸化剤極接続回路が前記電源の異なる極に接続される電力供給状態との間で、接続状態を切り換える切換装置を備える請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記電気分解運転制御部が働く電気分解運転状態において、前記還元性ガスの前記燃料極への供給、前記酸化性ガスの前記酸化剤極への供給の両方が停止される請求項1又は2記載の燃料電池システム。
  4. 水蒸気及び炭化水素ガスの供給を受けて、前記炭化水素ガスから前記還元性ガスとしての水素ガスを水蒸気改質により得る改質器を備え、
    前記第一状態において、前記改質器で生成される前記水素ガスが前記燃料極に供給される構成で、
    前記電気分解運転制御部が働く電気分解運転状態において、前記改質器への前記炭化水素ガスの供給が切断されるとともに、前記水蒸気の供給が継続され、当該水蒸気が前記改質器を介して前記燃料極に供給される請求項1〜3の何れか一項記載の燃料電池システム。
  5. 前記電気分解運転制御部による電気分解運転制御が、前記固体酸化物形燃料電池の起動制御時に実行される請求項1〜4の何れか一項記載の燃料電池システム。
  6. 前記固体酸化物形燃料電池の起動時に燃焼運転されて熱を供給する起動用燃焼器と、前記固体酸化物形燃料電池から排出されるオフガスを燃焼させるオフガス燃焼器とを別個に備え、
    前記固体酸化物形燃料電池の起動時であって、前記電気分解運転制御部による電気分解運転制御が実行される起動・電気分解運転制御時に、前記起動用燃焼器が燃焼して、発生する熱で生成される水蒸気が前記燃料極に供給される請求項5記載の燃料電池システム。
  7. 固体電解質を挟んで燃料極と酸化剤極とを有してなる燃料電池スタックを備え、
    還元性ガスが前記燃料極に、酸化性ガスが前記酸化剤極に供給されるとともに、電力取出用回路を介して前記両極が電力負荷に接続される第一状態で、発電する固体酸化物型燃料電池を設けた燃料電池システムの運転方法であって、
    前記燃料電池システムに、
    前記両極を電源に接続して、両極間に電位差を印加する電力供給用回路を備え、
    前記燃料極に水蒸気を供給するとともに、前記電力取出用回路が切断され、且つ前記電力供給用回路を介して前記両極間に電位差を印加する第二状態で、前記燃料電池スタック内で水蒸気を電気分解する電気分解運転制御ステップを、
    前記固体酸化物型燃料電池の停止時に実行する燃料電池システムの運転方法。
  8. 前記燃料電池システムに、水蒸気及び炭化水素ガスの供給を受けて、前記炭化水素ガスから前記還元性ガスとしての水素ガスを水蒸気改質により得る改質器を備え、
    前記第一状態において、前記改質器で生成される前記水素ガスが前記燃料極に供給される構成で、
    前記第一状態における、前記改質器への前記炭化水素ガスの供給を切断するとともに、前記水蒸気の供給を継続して、当該水蒸気が前記改質器を介して前記燃料極に供給される供給状態が維持されて、前記第一状態から前記第二状態への移行する形態で、
    前記固体酸化物型燃料電池の停止時に、前記電気分解運転制御ステップを実行する請求項7記載の燃料電池システムの運転方法。

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