JP2009281838A - 雰囲気測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の凹部2が設けられた基盤1と、基盤1に設けられ、各凹部2の上に配置された、輻射熱量は同一で雰囲気への熱伝達量が異なる構成を有する複数のヒータと、雰囲気の温度変化に応じて各ヒータの出力を変更し、各ヒータの発熱温度が一定になるように温度補償制御を行う複数の制御回路と、温度補償制御によって変化した各ヒータの出力電圧差を。記熱伝達量の差の変化量として取得する差動増幅器と、差動増幅器によって取得された熱伝達量の差の変化量からヒータ雰囲気の物理量を演算する演算手段と、を備えた。
【選択図】図2
Description
かかる装置において、ヒータの発熱温度を一定に制御する方式としては、例えばヒータ1個と固定抵抗3個により、ブリッチ回路を構成し、ブリッチの2つの中点電圧をアンプなどで監視して、ブリッチが平衡状態を維持できるように、フィードバック制御を行い、ヒータの抵抗値を一定に保つ方式がある。
ヒータは、感温材料であり、温度=抵抗値としてとらえることが出来るので、ヒータは、所定の抵抗値に設定することにより所定の温度になっている。
この状態で、雰囲気の物理量(例えば、熱伝導率、圧力、流れ)が変化すると、ヒータから雰囲気への熱伝達量が変化し、それに応じて、ヒータに加えられるエネルギーも変化することになるため、このエネルギーを計測すれば雰囲気の変化が計測できるものである。
このような計測方法によるものとして、雰囲気の熱伝導率の変化を計測する、主に湿度計・ガス濃度計測装置、または、雰囲気の圧力変化を計測する、主にピラニ真空計測装置、または、雰囲気の流れを計測する、主に流速計・加速度計測装置などがある。
熱伝導率計測は、雰囲気の種類に応じた熱伝導率を、ヒータから雰囲気へ伝達する熱エネルギー量として、電気計測するものであり、圧力計測は、雰囲気の分子密度を、ヒータから雰囲気へ伝達する熱エネルギー量として、電気計測するものであり、また、流速計測は、流体中にヒータを配置して、ヒータから流体中への熱伝達量が流速依存性があることを利用したものである。
しかしながら、上述したような雰囲気の物理量の測定方法は、ヒータと雰囲気との伝熱メカニズムを用いるので、雰囲気の温度状態の影響を受けることになる。
例えば、特許文献1は『雰囲気の温度勾配が急峻である場合や雰囲気の温度変化が急速である場合に於いては、2つのヒータが置かれている位置の違いによってヒータ支持部材の温度が異なり、端損失熱量が異なることになり、単純な出力差では、温度補償誤差が生じる』ことを解決する技術であり、特に、1つのヒータを高温度発熱の状態と低温度発熱の状態で、時分割して使い分け、高温度発熱(450℃)時の出力電圧で湿度を測定し、低温度発熱(110℃)時の出力に基づいて、温度補償するものである。
特許文献1における温度補償手段は、ヒータの高温発熱時の出力電圧VHと低温発熱時の出力電圧VLから、以下のような式を用いて成されている。
f1=VH−k1・VL(式10)、もしくは、f2=VH 2−k2・VL 2(式14)とあり、VHは、高温度発熱時のヒータ電圧、VLは低温度発熱時のヒータ電圧であり、k1とk2は、
k1=(αH・RH(TH−T0)/(αL・RL(TL−T0)))1/2(式12)
k2=αH・RH/(αL・RL)(式15)
上記(式12)と(式15)を設定することで、f1とf2の変化に含まれる要素は
2Δf1=(RH(TH−T0)/(αH・S))1/2・ΔαH(式13)
Δf2=RH・S(TH−T0)・ΔαH(式16)
ここで、αHは、ヒータを高温度発熱としたときの熱伝達係数、RHは、ヒータを高温度発熱としたときのヒータ抵抗値、TLは、ヒータを低温度発熱としたときのヒータ温度、T0は、雰囲気温度、αLは、ヒータを低温度発熱としたときの熱伝達係数、RLは、ヒータを低温度発熱としたときのヒータ抵抗値、THは、ヒータを高温度発熱としたときのヒータ温度、Sは、ヒータの面積や形状で決まる定数とある。
上記式から解るように、(式13)と(式16)では、周囲温度T0の影響を受けるが、THをT0より充分高い温度として用いることで、周囲温度T0の影響を小さくする手段が用いられている。
また、特許文献2における雰囲気の測定方法は、上記手段により、低温度発熱としたヒータ出力と高温度発熱としたヒータ出力の単純な出力差で温度補償を行う方法である。
以上、熱伝導率計測に関する温度補償の従来技術に関して説明したが、この技術は、そのまま圧力計測の場合にも適応出来るものであり、以下、圧力計測に関する従来技術についても説明する。
特許文献3は、特許文献2と似た構造で圧力計測を行なうものであり、特許文献3の構造は、被測定気体に接触するフィラメントを加熱し、このフィラメントから奪われる熱量を測定することにより前記気体の圧力を測定する真空度測定装置において、前記フィラメントは、基板にマイクロブリッチ状に形成されたことを特徴とする真空度測定装置である。
特許文献3は、主にマイクロブリッチのヒータ構造に関する発明であり、計測原理に関しては詳しくは述べられていないが、基本的にはピラニ真空計の計測原理によるものと考えられる。
ピラニ真空計の計測原理は、代表長さと平均自由行程の関係によって成されるもので、その制御方法も、ヒータを一定発熱温度に制御する方法が主である。また、ピラニ真空計の温度補償方法は、一般にダミー管と呼ばれる圧力に反応しないように一定圧力下で雰囲気を封止した測定子(白金細線のフィラメント)と雰囲気に暴露された測定子との比較によるものであり、この方法は、従来から有る湿度検出装置の温度補償方法と同じ考え方である。
また、近年、上記のようなピラニ真空計の技術から、更に改良が加えられ、圧力計測範囲を拡張し、1気圧まで計測できる発明がある。
特許文献4は半導体技術を用いて作成されたもので、その構成および2平板間の距離は、「基台(基板)から熱分離した1個の薄膜、もしくは、分割された薄膜に、少なくとも1個のヒータと1個もしくは複数個の温度センサとを備え、前記ヒータにより過熱された前記薄膜から0.1μmから10μmの範囲内の空隙を持つようにヒートシンクに突起を設けたとある。つまり、代表長さが0.1μm〜10μmの範囲で存在するので、測定可能な圧力範囲が従来のピラニ真空計より格段に広くすることが出来る。」とある。
実際のヒータからの熱移動は、ヒータから雰囲気へ移動する熱とヒータから基台へ移動する端損失熱と、ヒータ表面からの輻射熱の合計であり、特に端損失熱の熱量に関しては、ヒータと基台の温度差、及び、ヒータ支持部材の形状とその熱伝導率によって決まるものであり、ヒータ支持部材の熱伝導率が、雰囲気の熱伝導率に比べて大きい場合、ヒータから移動する総熱量の内、端損失熱が占める割合は大きく、無視できるものではない。
また、端損失熱の温度特性は、上記のように雰囲気への熱伝達とは異なる熱移動の系である為、その特性式も異なり、更に輻射熱の特性まで踏まえると、特許文献1におけるような単純な演算で温度補償が出来るとは考えにくい。
ヒータの温度依存性を決める要素は、ヒータから雰囲気へ移動する熱とヒータから基台へ移動する端損失熱とヒータ表面からの輻射熱であり、これらの要素はそれぞれ異なる温度特性を示すものであるから、精度よく温度補償を行う為には、要素毎の温度依存性に応じて、温度補償する必要がある。
また、特許文献2における方法は、特許文献1と同様に、端損失熱や輻射熱についての考慮がなく、特許文献2のように単純な出力差で雰囲気の特性を取り出す為には、検出用と温度補償用のヒータで端損失熱と輻射熱が概等しくなるヒータ構造にする必要があるが、特許文献2においてはこれらに関する記載は無く、また、検出用と温度補償用のヒータ発熱温度が異なり、且つ、ヒータで形状も全く違う条件では、端損失熱と輻射熱が等価に成っているとは考えづらい。よって、端損失熱と輻射熱の違いによる誤差で、温度補償誤差が生じるものと考えられる。
また、熱伝導率・圧力・流速・温度などの物理量を分離して測定する技術として、従来は、熱伝導率計測の用途のものは、流速による影響を受けないようにパッケージングされ、また、流速計測の用途のものは、雰囲気の種類を特定するか、雰囲気の熱伝導率に影響を受けづらい低温度発熱で計測されている。
しかしながら、特許文献3のような半導体プロセスを用いたヒータにおいては、技術の進歩に伴いヒータ構造の微細化が進み、ヒータのパターン幅が1μm以下の物も製作できるようになってきている。このため、ヒータのパターン幅を代表長さと考えると、更なる微細化によって、より高い圧力まで計測できる可能性があり、また、特許文献4などは、2平面間の熱移動を利用することで、1気圧付近の圧力まで計測することが出来ている。このため、上記のような圧力計測としても、熱伝導率計測としても、それぞれの影響が混在する状態になる。そこで、雰囲気の熱伝導率と圧力を分離して測定出来る事が望まれる。
以上説明した状況をうけて、本発明は、熱伝導率・圧力・流速・温度などの雰囲気の物理量を測定するための雰囲気測定装置において、雰囲気の温度の変化の影響を分離して、さらにヒータの端損失熱、輻射熱による誤差を少なくすることによって温度補償性能を向上させた雰囲気計測装置を提供することを目的とする。
さらに、雰囲気の物理量のうち、熱伝導率と圧力とを分離して測定できる雰囲気測定装置を提供することを目的とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の雰囲気測定装置において、前記複数のヒータは、表面積を等しくして輻射熱量を等しくし、かつ形状を異なるようにして前記雰囲気への熱伝達量に差が出るようにしたことを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の雰囲気測定装置において、各ヒータは、複数の導体パターンからなり、該複数の導体パターンはすべて、前記凹部を跨る方向で同じ長さであり、かつ幅が異なり、各ヒータを構成する導体パターンの、前記凹部を跨る方向に直交する方向の断面積の合計が等しいことを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の雰囲気測定装置において、各ヒータにおける抵抗値が等しくなるように、ひとつのヒータの前記複数の導体パターンを並列と直列の組み合わせにより構成したことを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項5に記載の雰囲気測定装置において、各ヒータにおける抵抗値が等しくなるように、前記基台上の各導体パターンの、前記凹部を跨る方向の長さ及び前記基板上の部分の面積を異ならせたことを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項5に記載の各ヒータにおいて、各導体パターンの前記凹部を跨る方向の全長を同じにし、該方向に直交する方向の幅を狭めた箇所と広くした箇所を設け、それぞれのヒータで、導体パターンの間隔を狭めた個所と広くした個所を異なる位置に配置したことを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項1に記載の雰囲気測定装置において、各ヒータにおける前記導体パターンの形状を等しくし、各ヒータから前記凹部の底部までの距離を異ならせたことを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の雰囲気測定装置において、各ヒータの出力電圧差により雰囲気の熱伝導率を測定することを特徴とする。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の雰囲気測定装置において、各ヒータを低温度発熱として、各ヒータ出力の出力差により、雰囲気の温度を測定することを特徴とする。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の載雰囲気測定装置において、前記複数のヒータは、第1、第2、第3のヒータであり、前記差動増幅器は、前記第1のヒータの出力及び前記第2のヒータの出力から第1の出力差を得、前記第2のヒータの出力と及び前記第3のヒータの出力から第2の出力差を得、前記第1の出力差と前記第2の出力差の比から雰囲気の圧力を測定することを特徴とする。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の載雰囲気測定装置において、前記複数のヒータは、第1、第2、第3のヒータであり、前記差動増幅器は、前記第1のヒータの出力及び前記第2のヒータの出力から第1の出力差を得、前記第2のヒータの出力と及び前記第3のヒータの出力から第2の出力差を得、前記第1の出力差と前記第2の出力差の比から雰囲気の熱伝導率を測定することを特徴とする。
図1は、雰囲気への熱伝達量が異なる2つのヒータを、熱伝達率が一定の雰囲気内で、概等しい一定温度で発熱させた時に生じる総熱量を示した図であり、図1(a)は、各ヒータの総熱量を示す図、図1(b)は、2つのヒータにおける雰囲気への熱伝達量の差を示す図である。
図1(a)において、横軸を周囲温度(TO)・縦軸をヒータに加えるエネルギー(ヒータワッテージ)(W)とし、雰囲気の熱伝導率と圧力は一定としたものである。
図1に示すように、ヒータの総熱量は、雰囲気への熱伝達量・端損失熱量・輻射熱量の合計であり、図1の例において、2つのヒータは、端損失熱・輻射熱は同じになっている。
従って、図1(a)に示すように、2つのヒータにおいて雰囲気への熱伝達のみが周囲温度の変化に応じて変化しており、図1(b)に示すように、各ヒータのヒータワッテージの差は一定である。
2つのヒータで端損失熱と輻射熱にしているため、(b)に示す各ヒータワッテージ(ヒータ出力)の差は、雰囲気への熱伝達量の差に対応すると考えられる。
図1(b)において、この差は一定であるが、この差が変化したときはこの値の変化が雰囲気の物理量(熱伝達率、圧力等)の変化であると考えられる。
以下に説明するように、本発明の雰囲気測定装置は、このヒータ出力差の変化を測定することで雰囲気の物理量の変化を測定するものであり、各ヒータの端損失熱と輻射熱を同一にしたことにより、これらの影響による温度補償誤差も排除することができ、より正確な測定が可能である。
[第1の構造]
図2は、本発明の雰囲気測定装置の第1の構造を示す図であり、(a)は上面図、(b)は、(a)中A−A線による断面図である。
図2におけるヒータは、図2(a)に示すように、基台1、基台に形成された凹部2、凹部上に、感温材料で形成された導体パターン3、電極パッド4から構成されている。
また、複数の導体パターン3によって、ヒータX、ヒータYが構成されている。
ここで、ヒータXとヒータYにおいて、長さの等しい導体パターン3の幅をヒータXはヒータYの1/2として、更に導体の本数をヒータXはヒータYの2倍の本数として、ヒータの表面積を同じにしている。
また、(b)の断面図において、ヒータX、ヒータYを概等しい温度で発熱させた時に生じるヒータ周囲空間の温度分布を等温線(温度分布直径xで規定される範囲の一例)として示す。
図2(b)に示すようにヒータXは、ヒータYに比べて熱源が分散されているので、ヒータYに比べて雰囲気への熱伝達量が大きくなっている。
ヒータを発熱させた時の熱伝達特性について、上記したヒータからの熱移動要素である「雰囲気への熱伝達量Qg」と「輻射熱量Qr」と「端損失熱量Qs」に分けて説明する。
まず、ヒータから雰囲気への熱伝達量Qgについて説明する。
ヒータから雰囲気への熱伝達量Qgは、
Qg=ヒータ表面の熱流束q×ヒータ表面積S
で表される。上記式のヒータ表面の熱流束qは、ヒータの導体パターンを円柱(式の単純化のため円柱とした)とすると、
q=2κ(th−tg)/dln(x/d)である。
ここで、κは雰囲気の熱伝導率、thはヒータ温度、tgは雰囲気の温度、dは円柱の直径、xは温度分布直径である。
よって、雰囲気への熱伝達量Qgは、
Qg=S2κ(th−tg)/dln(x/d)
になる。
上記式において、第1の構造における2つのヒータX、Yは、表面積Sを同じにして、円柱の直径d(導体パターン幅)を異ならす。または、温度分布直径xを異ならせることで、熱流束qを異ならし、ヒータから雰囲気への熱伝達量が異なるようにしている。
次に輻射熱について説明する。
輻射熱は、ヒータ表面から雰囲気に関係なく、直接電磁波の形で伝わる熱であり、その熱量Qsは、Qs=Sσ(th4−tg4)である。式に記したσはステファン・ボルッマン定数、thはヒータ温度、tgは雰囲気温度、Sはヒータの表面積である。
第1の構造における2つのヒータは、表面積Sが概等しく、ヒータ温度th、雰囲気温度tgも概等しいので、輻射熱量は概等しくなっている。
端損失熱は、ヒータと基台間の温度差によって、ヒータ支持部材を介して移動する熱であり、その熱量Qrは、
Qr=支持部材断面の熱流束q×支持部材断面積D
で表すことができ、支持部材断面での熱流束は、
q=λ(th−tr)/a
である。式に示したλは支持部材の熱伝導率であり、thはヒータ温度、trは基台温度、aは支持部材の長さ(ヒータと基台間の距離)である。
よって、
Qr=Dλ(th−tr)/a
となる。
本発明における2つのヒータX、Yは、f発熱温度が概等しく、基台温度も概等しいので、各々の端損失熱は、雰囲気温度が変化した場合においても、ヒータと基台間の距離aとヒータと基台を接続する部材の断面積Dによって決まる固定比になる。
また、本発明の主な実施例においては、導体パターン3を直接基台1に接続している為、上記支持部材は導体パターンに置換わる。
以上説明したように、本発明における2つのヒータは、雰囲気への熱伝達量を異ならし、輻射熱を概等しくし、更に、端損失熱もヒータと基台間の構造により定まる一定比率と成るようにしたものである。
図3中XとYは2つのヒータであり、OP1、OP2は演算増幅器、OP3は差動増幅器、R1、R2、R3、R4、R5、R6は固定抵抗器である。
ヒータX、R1、R2、R3、OP1により、ヒータXの発熱温度を一定に制御する一定発熱温度制御回路10を構成し、ヒータY、R4、R5、R6、OP2によって一定発熱温度制御回路20が構成されている。
図3の回路において、固定抵抗器の抵抗値がR1=R2=R4=R5とすると増幅演算器OP1、OP2のフィードバック制御により、X=R3、Y=R6になるように、OP1、OP2の出力電流is、irが変化する。従って、ヒータXとYの抵抗値は常に固定抵抗器R3・R6の抵抗値に等しくなるように(すなわち、一定温度になるように)自己発熱する。
このときのヒータXとヒータYのヒータ出力は、それぞれV1とV2であり、2つのヒータの出力差V1−V2は、差動増幅器OP3によって得られる。
ヒータX、ヒータYのヒータ出力V1及びV2は、
V1=(Q1/R1)1/2R1
V2=(Q2/R2)1/2R2
であり、R1はヒータXを所定の温度とした時の抵抗値、R2はヒータYを所定の温度とした時の抵抗値、Q1はヒータXの所定の温度での総熱量であり、Q2はヒータYの所定の温度での総熱量である。
Q1=Qg1+Qs1+Qr1
Q2=Qg2+Qs2+Qr2であるから、
V1とV2は、
V1=(Qg1/R1)1/2R1+(Qs1/R1)1/2R1+(Qr1/R1)1/2R1
V2=(Qg2/R2)1/2R2+(Qs2/R2)1/2R2+(Qr2/R2)1/2R2
また、ヒータXとヒータYが、輻射熱量Qs1=Qs2、端損失熱量Qr1=Qr2であり、且つ、2つのヒータで抵抗値もR1=R2=R12である場合、
V1−V2=(Qg1/R12)1/2R12−(Qg2/R12)1/2R12
=((Qg1−Qg2)R12)1/2
となり、雰囲気への熱伝達量Qgの式になる。
これによって、出力電圧の温度補償の誤差は、
errV=errVQg+errVQr+errVQsが、err(V1−V2)=errVQgとなる。
また、図3中の増幅器OP4は、ヒータXとヒータYで抵抗値や端損失熱が異なる場合を想定したもので、2つのヒータで抵抗値や端損失熱が概等しくなるように、一方のヒータ出力の大きさを調整出来るようにしたものである。
この温度補償の仕組みを、上記式を元に説明すると
2つのヒータの総熱量をQ1、Q2とすると
Q1=Qg1+Qs1+Qr1
Q2=Qg2+Qs2+Qr2
であり輻射熱量Qs1=Qs2、端損失熱量Qr1=Qr2が同じであれば、
Q1−Q2=Qg1−Qg2
また、
Qg1=S2κ(th−tg)/d1ln(x1/d1)
Qg2=S2κ(th−tg)/d2ln(x2/d2)として、
また、本発明における2つのヒータは、上記式の導体直径dもしくは、温度分布直径xがヒータ形状で定まる、ほぼ一定比であるので(温度分布直径xは、雰囲気の熱伝導率κと雰囲気温度tgによって変化するが、2つのヒータが概等しい雰囲気にあるので、2つのヒータの温度分布直径xの比は概等しい)、
その比率を1/(d1ln(x1/d1)):1/(d2ln(x2/d2))=A:Bとすると
Qg1−Qg2=AS2κ(th−tg)−BS2κ(th−tg)
また、Q1−Q2=Qg1−Qg2であるので、
Q1−Q2=(A−B)S2κ(th−tg)となる。
ここで、出力差Q1−Q2に変化を与える要素が、雰囲気の熱伝導率κと雰囲気温度tgであることがわかる。
このため、本方式においては、ヒータ温度thを雰囲気温度tgよりも充分高い温度として用いることで、雰囲気温度tgの影響を小さくする。また、雰囲気の温度tgが大きく変化する環境に於いては、後述する雰囲気温度計測手段を用いて、更に温度補償することも出来る。
この場合、一方のヒータ出力に増幅回路等を用い、端損失熱による出力分が等しくなるように調整して、端損失熱を相殺する。
上記動作を2つのヒータの熱量により説明すると2つのヒータの総熱量をQ1、Q2として、Q1とQ2では端損失熱量が1:Bで異なっているとする
Q1=Qg1+Qs1+Qr1
Q2′=Qg2+Qs2+Qr2
ここでQ1を増幅回路でB倍して、Q1−Q2を求めると
BQ1−Q2=BQg1−Qg2+BQs1−Qs2
になる。
ここで、輻射熱量Qsは、Qs=Sσ(th4−tg4)であるが、ヒータ温度thが雰囲気温度tgに比べ充分大きい条件では、tgの影響は非常に小さいので、th4−tg4を定数とみなし、BQs1−Qs2をCとしてなんら問題ないので
BQ1−Q2=BQg1−Qg2+C
となり、雰囲気への熱伝達量Qgの式になる。
これによって、出力電圧に変換される熱量Qの温度補償の誤差はerrQ(T)=errQg(T)+errQr(T)+errQs(T)が、errQ(T)=errQg(T)となり誤差は小さくなる。
以上、熱伝導率計測における、本発明の詳細を説明したが、本発明は、熱伝導率計測だけではなく、ヒータを発熱させ、ヒータから雰囲気への熱伝達量から雰囲気の物理量を計測する装置の温度補償に適応できるものであり、本発明を適用した圧力計測に関しては後述する。
このため、雰囲気への熱伝達量は、(b)に示すようにヒータXでは、熱源が分散され、より多くの空間を暖めるため、ヒータYにおける場合と比べて大きくなる。
本実施例のヒータX、Y半導体技術によって作成される2つのヒータであって、第1の構造のヒータ形状とするのに適した構造の発明である。
この例による2つのヒータは、それぞれ複数の導体パターンに分割され、ヒータXと、ヒーYで、導体パターン幅を異ならし、個々の導体パターンの長さを概等しくし、導体パターンの断面積の合計が概等しくして、ヒータの端損失熱を概等しくする。
すなわち、第1のヒータの導体パターン幅d1と第2のヒータの導体パターン幅d2を異ならすことにより、雰囲気への熱伝達量Qgを2つのヒータで異ならせ、熱伝達量Qgを求める。
Qr1=Dλ(th−tr)/a
Qr2=3(D/3)λ(th−tr)/a
=Dλ(th−tr)/a
とおなじである。
しかしながら、本発明によるヒータは、複数の導体パターン3に分割されているため、隣接する導体パターンで互いに熱干渉し、ヒータ全体に温度分布が生じ中央の導体パターン3と端の導体パターン3では導体パターン3の温度が異なることになる。
但し、本ヒータの発熱制御は、ヒータの抵抗値を一定に制御する一定発熱温度方式であり、この制御においては、雰囲気への熱伝達量Qgや輻射熱量Qrや端損失熱量Qsが、雰囲気の温度変化や熱伝導率の変化で変化したとしても、ヒータの抵抗値を一定に保つ制御であるため、複数の導体パターンの平均温度は所定の温度になっているので、この条件を上記Qr2に含めると
Qr2=(D/3)λ((th+2Δt)−tr)/a
+(D/3)λ((th−Δt)−tr)/a
+(D/3)λ((th−Δt)−tr)/a
=Dλ(th−tr)/a
と同じになる。
また、上記Δtは本ヒータの平均温度が所定の温度thになっている前提で、中央の導体パターン3の温度をth+2Δtとし、端部の導体パターンの温度をth−Δtと仮定したものであるが、実際は、導体パターン1本づつに、その中央から基台にかけて温度勾配があり、更に、パターン間隔によっても温度分布が異なるため、(th+2Δt)と(th−Δt)は、より複雑な形となり、導体パターン1本づつ書き表し証明すことは困難であるが、少なくとも本発明のヒータの平均温度は所定の温度thになっており、各導体パターンの平均温度と基台温度の差はth−trであるから、2つのヒータの発熱温度thが概等しく、導体パターンの長さaも等しく、導体パターンの断面積の合計Dが概等しく、且つ、基台温度trと熱伝導率λも等しい条件では、2つのヒータの端損失熱は概等しくなる。
図4において、A/Dコンバータ100、マイコン(演算手段)101、測定結果を出力するための表示装置103、マイコン101に通信回路で接続された外部装置102などで構成される。
図3の差動増幅器OP3から出力された計測値、すなわちヒータX、Yの出力差α(V1−V2)をA/Dコンバータ100によりデジタル値へ変換して、マイコン(演算手段)による演算を行い、圧力やガス濃度、湿度に変換する。
かかる測定装置によっては、上記に説明したように温度補償性能が良い検出値を使用しているので、熱伝導率計測装置の温度補償の向上が計れる。
さらに、温度補償性能が良い検出値を使用しているので、圧力計測装置の温度補償の向上が計れる。
以下に、本発明の雰囲気測定装置の異なる構造の例を説明する。
これらの構造は、更に温度補償性能を向上させるヒータ構造として、端損失熱による誤差が小さいヒータ構造とし、さらに検出回路などで生じる電気特性の誤差が小さいヒータ構造を実現するためのものである。
図5は、本発明の雰囲気測定装置の第2の構造を示す図である。
以下の説明において、図2と同じ要素については、同一の符号を付して詳細な説明は省略している。
この第2の構造においては、凹部2上に配置されている支持部材5に、導体パターン3が設置される構造であるため、端損失熱量が第2の構造におけるヒータよりも少なくなる。
[第3の構造]
図6は、本発明の雰囲気測定装置の第3の構造を示す図であり、(a)は上面図、(b)はB−B線における断面図である。
第3の構造において、導体パターン3の幅をヒータXにおいては、ヒータYの1/2として、導体の本数をヒータXではヒータYの2倍の本数とし、ヒータXは隣接する導体を2本ずつ並列接続として、そして、並列接続した導体を直列接続し、双方のヒータの合成抵抗を等しくしている。
このように導体の接続に、並列接続と直列接続を組み合わせて、合成抵抗を概等しくすることにより、計測回路等による電気的誤差を小さくすることが出来る。
(b)の断面図にヒータを発熱させた時に生じるヒータ周囲空間の温度分布を等温線(温度分布直径xで規定される範囲の一例)として示す。
(b)に示すようにヒータXは、ヒータYに比べて熱源が分散されているので、ヒータYに比べて雰囲気への熱伝達量が、第1の構造の場合と同様に大きい。
なる。
図7は、本発明の雰囲気測定装置の第4の構造を示す図であり、(a)は上面図、(b)は、C−C線における断面図である。
第4の構造において、ヒータXとヒータYで、導体パターン3の幅を概等しくして、導体間隔を異ならし、導体パターンの本数は同じにしているので、発熱に要する表面積は同じになる。
(b)の断面図にヒータを発熱させた時に生じるヒータ周囲空間の温度分布を等温線(温度分布直径xで規定される範囲の一例)として示す。
雰囲気への熱伝達量は、(b)に示すようにヒータYでは、隣接する導体どうしで温度分布を共有するため、ヒータXに比べ小さくなる。
また、基台1に接続される導体パターン3の断面積の合計を該等しくしているので、概等しい発熱温度とした時に生じる端損失熱を概等しくすることが出来る。
この第4の構造におけるヒータは、半導体技術によって作成される2つのヒータであって、第1の構造のヒータ形状とするのに適した構造とは異なる。
この例による2つのヒータは、複数の導体パターンに分割され、第1のヒータと第2のヒータで、導体パターン幅を同じとし、導体パターンの間隔を異ならし、個々の導体パターンの長さを概等しくし、導体パターンの断面積の合計を概等しくして、ヒータの端損失熱を概等しくする。
すなわち、この第4の構造においては、導体パターン間隔の違いによって、温度分布直径xを異ならせ、雰囲気への熱伝達量Qgを異ならしている。
図8は、本発明の雰囲気測定装置の第5の構造を示す図であり、(a)は上面図、(b)は、D−D線による断面図である。
第5の構造における導体パターン3は、上記した第4の構造の場合と概ね同じ形状であるが、基台上1の導体長さをヒータXに対して、ヒータYの長さを長くして導体パターン3の全長を概等しくしたものである。
雰囲気への熱伝達量は、(b)に示すようにヒータYでは、隣接する導体パターン同士で温度分布を共有するため、ヒータXに比べ小さくなる。
この構造においては、2つのヒータは、基台上に配置される導体パターンの長さや幅を異ならせて導体パターン幅の全長を概等し、ヒータの合成抵抗値を概等しくして、計測回路等による電気的誤差を小さくすることが出来る。
[第6の構造]
図9は、本発明の雰囲気測定装置の第6の構造を示す図であり、(a)は上面図、(b)は、E−E線による断面図である。
第6の構造における導体パターンは、ヒータXとヒータYで導体パターン幅をほぼ同じにして、ヒータXでは2本ずつ一まとめにして、導体パターンの間隔を狭めた個所と広くした個所を設け、ヒータYでは4本ずつ一まとめとして、導体パターンの間隔を狭めた個所と広くした個所を設けている。
このように、2つのヒータにおいて、導体パターン幅の全長を概等しくして、合成抵抗が概等しくなるようにしているので、計測回路等による電気的誤差を小さくすることが出来る。
この第6の構造は、第4の構造に加え、2つのヒータは、導体パターンの全長を同じにして、導体パターンの間隔を狭めた個所と広くした個所を設け、第1のヒータと第2のヒータで、その構成を異ならして、雰囲気への熱伝達量Qgを異ならし((b)に示すように、導体パターン間隔の違いによって、温度分布直径xを異ならせ、雰囲気への熱伝達量Qgを異ならしている)、且つ、ヒータの合成抵抗値も概等しくしている。
図10は、本発明の雰囲気測定装置の第7の構造を示す図であり、(a)は上面図、(b)は、F−F線による断面図である。
第7の構造における2つのヒータは、導体パターン形状を概等しくし、ヒータXとヒータYで、各ヒータから凹部2底部までの距離を異ならせている。
第7の構造において、両ヒータにおける導体パターンの形状は同じであり、ヒータXとヒータYとの違いは、ヒータから凹部2の底部までの距離だけであるので、発熱に要するヒータ表面積は同じである。
(b)の断面図にヒータを概等しい温度で発熱させた時に生じるヒータ周囲空間の温度分布を等温線(温度分布直径xで規定される範囲の一例)として示す。
雰囲気への熱伝達量は、(b)に示すようにヒータYでは、凹部2の底部が温度分布を妨げるため、ヒータXに比べ大きくなる。
このように、ヒータ形状を概等しくしているので、概等しい温度で発熱させた時に生じる端損失熱を概等しくすることが出来、計測回路等による電気的誤差も小さくすることが出来る。この第7の構造は、半導体技術によって作成される2つのヒータであって、第1の構造に記載のヒータ形状とするのに適した形状とは異なる。
この例では、ヒータと凹部の底面までの距離の違いによって、ヒータの温度分布直径xを異ならせ、雰囲気への熱伝達量Qgを2つのヒータで異ならしている。
図11は、本発明の雰囲気測定装置における第8の構造を示す図である。
図11は、第3の構造に対して、更にヒータを1つ追加した構成である。
また、図12は、この構造を備えた雰囲気測定装置における回路構成を示すブロック図である。
図12における一定発熱温度制御回路は、図3中に示すものと同じである。
さらに、ヒータXとヒータYの出力差α(V1−V2)を得るための差動増幅器OP3に加え、ヒータYとヒータZの出力差β(V2−V3)を得るための差動増幅器OP5を新たに追加している。
また、ヒータZを一定発熱温度に制御する一定発熱温度制御回路30を追加している。
図13は、図11のヒータを制御した場合の雰囲気の熱伝導率に対するヒータ出力の変化を示す図である。
雰囲気の温度と圧力を一定として、縦軸にヒータ出力電圧、横軸を雰囲気の熱伝導率と
して示している。
本グラフのヒータXYZの反応の違いは、ヒータから雰囲気への熱伝達量の違いによって生じているため、(X(V1)−Y(V2)):(Y(V2)−Z(V3))の比α:βは絶対湿度の変化に関係なく一定比になる。
雰囲気の温度と熱伝導率を一定として、縦軸にヒータ出力電圧、横軸を雰囲気の圧力として示したグラフである。
本グラフのXYZの反応の違いは、3つのヒータの代表長さと気体分子の平均自由行程の関係によって生じるものであり、(X(V1)−Y(V2)):(Y(V2)−Z(V3))の比α:βは圧力によって変化する。
また、この第8の構造は、第3の構造によるヒータ構成をもとに説明したが、第1から第7の構造のヒータ構成によるものが全て適用でき、また、複合するなどして、必要とする計測範囲に応じた代表長さを設定しても良いことは言うまでもない。
図15においては、圧力計測範囲を広くする目的で、3つのヒータX、Y、Zの代表長さの違いが大きくなるように、第6、第7の構造を組み合わせた構造である。
この構造においては、熱伝導率による特性と圧力に対する特性の違いを利用しているので、熱伝導率と圧力を分離して計測することができる。
第1〜7の構造のヒータを3つとして、発熱温度が概等しくなるように電力を印加し、第1のヒータ出力と第2のヒータ出力と第3のヒータ出力の差を得て、その出力差から雰囲気の熱伝導率を測定し、その出力差の比から圧力を計測するものである。
本発明に関する熱伝導率計測は、第1の構造について記した内容と同じだが、圧力との分離計測のため、更に一定発熱温度とする回路を加えて、第1のヒータ出力と第2のヒータ出力と第3のヒータ出力が得られる構成になっている。
第1の構造と同様に端損失熱と輻射熱の影響が相殺できるように、3つのヒータ出力それぞれの差をもって計測するものである。
(1)雰囲気の圧力pと温度tgを一定とし、雰囲気の熱伝導率κが変化する条件にて、3つのヒータによる出力をQ1、Q2、Q3とすると、それぞれの出力差は、
Q1−Q2=(A−B)S2κ(th−tg)
Q2−Q3=(B−C)S2κ(th−tg) (第1の構造の説明より)
ここで、A、B、Cはヒータの導体直径dもしくは、温度分布直径xで定まる固定比であるから、Q1−Q2とQ2−Q3の比も一定になり、その値は、熱伝導率κと雰囲気温度tgに依存する。
また、本方式に於けるヒータ発熱温度thは雰囲気温度tgより充分高い温度とすることで、雰囲気の温度tgによる影響を小さくする。
(2)次に雰囲気の熱伝導率κが一定であり、圧力pが、雰囲気の分子の平均自由行程≫代表長さ(雰囲気の分子の平均自由行程は、圧力pによって変化する変数であり、代表長さは、導体パターン幅dや温度分布の形状により異なる無次元数である。)になる条件で、雰囲気への熱伝達量Qは、Q=表面積S×熱流束qであり、熱流束qは、q=γΛp(th−tg)となる。
上記式のγは、ヒータ導体の材料と雰囲気分子の組成で決まる係数(適応係数)であり、Λは自由分子熱伝導率、thはヒータ発熱温度、tgは雰囲気温度である。
ここで、本発明に於ける3つのヒータは、表面積が同じであり、発熱温度も同じであるから、3つのヒータの出力をQ1、Q2、Q3とすると、それぞれの出力差は、熱流束qが同じに成る為、Q1−Q2=0、Q2−Q3=0であり、ヒータ出力の差は得られない。
よって、本発明による3つのヒータを上記、雰囲気の分子の平均自由行程≫代表長さの状態から加圧していくと、それぞれのヒータによって異なる代表長さ=雰囲気の分子の平均自由行程となるポイントに向けて、それぞれ異なる圧力で上記式、q=γΛp(th−tg)からはずれていき、最終的に圧力に依存しない、q=2κ(th−tg)/dln(x/d)に近似される。
つまり、本発明の圧力計測は、雰囲気の分子の平均自由行程≫代表長さが成立つ条件より高い圧力から、圧力に依存しない雰囲気の分子の平均自由行程≪代表長さの圧力範囲の中間領域にて、圧力を計測するものであり、その特徴は、各々のヒータの出力が、式q=γΛp(th−tg)から外れる圧力値が、代表長さによって異なり、3つのヒータでの出力差Q1−Q2、Q2−Q3の比が圧力変化に応じて変化することを利用したものである。
以上述べたように、本発明に於ける、3つのヒータの出力差は、雰囲気の熱伝導率に依存するが、3つのヒータの出力差の比は、圧力に依存するものであるから、それぞれの出力差を計測し、雰囲気の熱伝導率とその比から圧力を計測することが出来る。
また、この例の雰囲気測定装置における駆動検出回路は、図3の場合と同じであるが、図中のR3とR6の抵抗値を発熱温度が所定の低温度となるように設定する。
この場合、基台の熱容量やケーブルからの熱移動に影響を受ける端損失熱が相殺されるので、温度に対する反応を速くすることが出来る。
すなわち、第1から7の構造のヒータ構造で、ヒータ発熱温度を雰囲気の熱伝導率の影響が少ない低温度として計測するものである。
熱流束qの式q=2κ(th−tg)/dln(x/d)から解るように、ヒータ温度thを低くして、雰囲気の温度tgの影響をより大きくすることによって成されるものである。
よって、本方式では、端損失熱に影響を受けずに雰囲気温度を測定できる。
また、この場合、雰囲気の熱伝導率κの影響も受けるため、雰囲気の熱伝導率が大きく変化する環境に於いては、第1の構造による雰囲気の熱伝導率計測手段とあわせて用い、それぞれの値から、お互いを補整しても良い。
Claims (13)
- 複数の凹部が設けられた基盤と、
該基盤に設けられ、各凹部の上に配置された、輻射熱量は同一で雰囲気への熱伝達量が異なる構成を有する複数のヒータと、
雰囲気の温度変化に応じて各ヒータの出力を変更し、各ヒータの発熱温度が一定になるように温度補償制御を行う複数の制御回路と、
該温度補償制御によって変化した各ヒータの出力電圧差を、前記熱伝達量の差の変化量として取得する差動増幅器と、
前記差動増幅器によって取得された前記熱伝達量の差の変化量から前記ヒータ雰囲気の物理量を演算する演算手段と、を備えたことを特徴とする雰囲気測定装置。 - 請求項1記載の雰囲気測定装置において、前記複数のヒータは、表面積を等しくして輻射熱量を等しくし、かつ形状を異なるようにして前記雰囲気への熱伝達量に差が発生するようにしたことを特徴とする雰囲気測定装置。
- 請求項1又は2記載の雰囲気測定装置において、
各ヒータは、複数の導体パターンからなり、
該複数の導体パターンはすべて、前記凹部を跨る方向で同じ長さであり、かつ幅が異なり、
各ヒータを構成する導体パターンの、前記凹部を跨る方向に直交する方向の断面積の合計が等しいことを特徴とする雰囲気測定装置。 - 請求項3に記載の雰囲気測定装置において、
各ヒータにおける抵抗値が等しくなるように、一つのヒータの前記複数の導体パターンを並列と直列の組み合わせにより構成したことを特徴とする雰囲気測定装置。 - 請求項1又は2に記載の雰囲気測定装置において、
各ヒータは、複数の導体パターンからなり、各導体パターンはすべて前記凹部を跨る方向で同じ長さであり、かつ幅が等しく、
各ヒータにおける導体パターンの間隔が異なり、
各ヒータにおける導体パターンの前記凹部を跨る方向の断面積の合計が等しいことを特徴とする雰囲気測定装置。 - 請求項5に記載の雰囲気測定装置において、
各ヒータにおける抵抗値が等しくなるように、前記基台上の各導体パターンの、前記凹部を跨る方向の長さ及び前記基板上の部分の面積を異ならせたことを特徴とする雰囲気測定装置。 - 請求項5に記載の各ヒータにおいて、各導体パターンの前記凹部を跨る方向の全長を同じにし、該方向に直交する方向の幅を狭めた箇所と広くした箇所を設け、それぞれのヒータで、導体パターンの間隔を狭めた個所と広くした個所を異なる位置に配置したことを特徴とする雰囲気測定装置。
- 請求項1に記載の雰囲気測定装置において、各ヒータにおける前記導体パターンの形状を等しくし、各ヒータから前記凹部の底部までの距離を異ならせたことを特徴とする雰囲気測定装置。
- 請求項1乃至8の何れか一項に記載の雰囲気測定装置において、各ヒータの出力電圧差により雰囲気の熱伝導率を測定することを特徴とする雰囲気測定装置。
- 請求項1乃至8の何れか一項に記載の雰囲気測定装置において、各ヒータの出力電圧差により雰囲気の圧力を測定することを特徴とする雰囲気測定装置。
- 請求項1乃至8の何れか一項に記載の雰囲気測定装置において、各ヒータを低温度発熱として、各ヒータ出力の出力差により、雰囲気の温度を測定することを特徴とする雰囲気測定装置。
- 請求項1乃至8の何れか一項に記載の載雰囲気測定装置において、前記複数のヒータは、第1、第2、第3のヒータであり、
前記差動増幅器は、前記第1のヒータの出力及び前記第2のヒータの出力から第1の出力差を得、前記第2のヒータの出力と及び前記第3のヒータの出力から第2の出力差を得、前記第1の出力差と前記第2の出力差の比から雰囲気の圧力を測定することを特徴とする雰囲気測定装置。 - 請求項1乃至8の何れか一項に記載の載雰囲気測定装置において、前記複数のヒータは、第1、第2、第3のヒータであり、
前記差動増幅器は、前記第1のヒータの出力及び前記第2のヒータの出力から第1の出力差を得、前記第2のヒータの出力と及び前記第3のヒータの出力から第2の出力差を得、前記第1の出力差と前記第2の出力差の比から雰囲気の熱伝導率を測定することを特徴とする雰囲気測定装置。
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