JP2007333430A - 温度補償回路および温度補償方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】物理量検出センサ15と同等の温度依存性を示し環境温度に対応した電圧を出力する第1の温度検出部11aと、この第1の温度検出部11aに一定の電流を供給する定電流供給回路12と、第1の温度検出部11aからの出力電圧を電流に変換する電圧/電流変換回路14と、電圧/電流変換回路14が変換した電流を受けて物理量検出センサ15と同等の温度依存性を示し環境温度に対応した電圧を出力する第2の温度検出部11bとを備え、この第2の温度検出部11bの出力電圧を物理量検出センサ15の出力信号に対する温度補償電圧とする。
【選択図】図1
Description
この先行技術の温度補償方法として、シリコン基板上に形成された同一組成で同一形状の5つのセンサを4つの周囲温度測定用センサと1つの雰囲気センサとする構成で用い、4つの周囲温度測定用センサは直列に接続され、雰囲気測定用センサに流す電流の1/4の電流を通電し、雰囲気センサで発生する電圧と等価な電圧を得られるようにして、且つ、電流を異ならしめたことで、雰囲気測定用センサの発熱温度は高温となり、周囲気体への熱放散量を多くして、雰囲気(湿度など)に依存した電圧を得、周囲温度測定用センサでは低温となり、周囲気体への熱放散量を少なくして周囲温度に依存した電圧を得て、これらの電圧差を求めることで温度依存成による誤差を無くした雰囲気を計測するようにしている。
更に、このように同一形状で同一組成のセンサを発熱させて熱放散量を計測し、発熱しないようにして温度を計測するなど、目的に応じて使い分けられるので、温度補償用として別の組成のセンサを用いる必要が無く効率がよい。
この先行技術の温度補償方法は、熱伝導式湿度センサでは、ジュール熱で自己発熱する発熱体により加熱された感温抵抗体からの熱放散が変化することを利用して湿度を測定している。このような熱伝導式湿度センサにおいては、発熱により抵抗値が変化する発熱抵抗体に一定時間内に2回のパルス電圧を印加することにより、感温抵抗体を一定時間(例えば、1秒間)内に300℃以上の第1の一定温度THと100℃〜150℃の第2の一定温度TLとに発熱制御する。そして、感温抵抗体の温度を第1の一定温度THに制御したときに湿度測定を行う。湿度(相対湿度、絶対湿度のどちらでも良い)Hを除く雰囲気温度や湿度感応部の形状効果等による湿度センサの出力特性変化を、感温抵抗体の温度を第2の一定温度TLに制御した状態のときの出力特性で温度補償(校正)する。
この方法によると周囲温度によらない一定の低温発熱温度から一定の高温発熱温度までに要するエネルギー量として感温抵抗体の出力を計測しているので温度依存性を無くすことが出来る。
このことから、計測する気体の温度が、20℃〜40℃の狭い範囲では誤差は少ないが、広範囲の温度でより精度良く計測する場合には、気体の温度依存性についても温度補償を行う必要があるが、気体の温度依存性は図9に示すように非線形である為、温度補償の信号も気体の温度依存性に合わせた非線形の特性を示すようにする必要があった。
しかしながら、感温抵抗体の発熱温度を切り替えて温度補償を行う方法の場合、感温抵抗体に熱容量があり、このため発熱温度が安定するのに時間を要し、計測サイクルが遅くなるという問題がある。
このような事象に対して、単純に低温発熱する感温抵抗体と高温発熱する感温抵抗体とを2つに分けて対応する方法も考えられるが、この場合、消費電力が増える、発熱部が2つになることで互いの熱によって干渉を受ける、2つの感温抵抗体のばらつきによる誤差が生じる、などの問題がある。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、複雑な温度依存性を示すセンサからの検出信号を精度良く温度補償することが出来、更にはセンサの応答性能を損なうことなく温度補償することができる温度補償回路を提供することを目的とする。
また、請求項4の発明は、請求項2または3記載の温度補償回路において、前記第1の温度検出部および第2の温度検出部に供給する電流を発熱しない程度の微弱電流にしたことを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項2、3または4記載の温度補償回路において、前記第1の温度検出部および第2の温度検出部を電気絶縁性基板上の隣接する位置に配置したことを特徴とする。
また、請求項7の発明は、環境の温度変化に対する温度依存性を有するセンサによって対象となる物理量に応じた出力を発生するセンサの出力信号に対する温度補償を行う温度補償方法であって、前記センサと同等の温度依存性を示す温度センサを有し環境温度に対応した電気量を出力する温電変換手段を複数直列に接続し、最終段の温電変換手段からの出力を前記物理量を検出するセンサの出力に加えて温度補償を行うことを特徴とする。
図1は本発明の一実施形態にかかる計測装置のブロック図である。本発明の温度補償回路は破線で囲んだ部分である。第1の温度検出部11aと第2の温度検出部11bは、物理量検出センサ15と同一環境に配置されたもので、第1および第2の温度検出部11aおよび11bに用いる感温材料(感温抵抗体)は、物理量検出センサ15の温度依存性にあわせて選択したものである。
このようにして得られた電圧を電圧/電流変換回路14にて電流に変換して、温度変化に比例して変化する電流を得ることができる。この電流を第2の温度検出部11bに供給することで、第2の温度検出部11bに生じる電圧は、環境の温度変化に対して、第1の温度検出部11aの温度特性×第2の温度検出部11bの温度特性の関数式で表せる電圧になる。本実施形態は、この電圧を第2の電圧検出回路13bにて、物理量検出センサからの検出信号(電圧)の温度依存性にあわせ調整し、温度補償電圧を得るものである。
図1の第1および第2の温度検出部11a、11bの温度特性は、温度変化に対して抵抗値が直線的に変化するものであるが、本実施形態に示した方法を用いると温度補償電圧の温度依存性は2次関数になる。
図2(b)は、第2の温度検出部11b(第1の温度検出部11aも同じ)の抵抗値温度依存性を示している。既に上で述べたように、温度検出部の抵抗値は温度と共に増加するので、この図2(b)の抵抗に図2(a)の電流を流すことで、図2(c)に示す2次関数で表せる電圧が得られる。
このように、温度センサに直線性の優れた白金抵抗素子などを用いれば、得られる2次関数は、他の成分(対数成分や高次成分など)を含まない純粋な2次関数で表せる信号として取り扱うことができる。よって、使用する温度センサの温度特性が直線であれば、ばらつきの調整なども抵抗トリミングなどで簡単に行えて再現性も非常に優れたものにすることができる。更に、2次関数で表せる温度特性をもったセンサにも2つの温度検出部を備えることで温度補償が行える。
図1に示したブロック図のように、3つの感温抵抗体のうち1つ(例えば温感素子32)を物理量検出用センサとして大電流を流して発熱させて、周囲気体への熱放散量を計測するために使用し、残り2つの感温抵抗体は、図1中の第1および第2の温度検出部11a、11bとして使用する。第1、第2の温度検出部に流す電流は、温感温度が発熱しない程度の微弱電流として、定電流回路12と電圧/電流変換回路14は、微弱電流に対応させた定数に設定する。また、第1および第2の温度検出部から得られる電圧が微小電圧となるため、第1および第2の温度検出部13a、13bも増幅率が高い回路になる。
動作は、上で述べた実施形態と同様で、定電流回路から微弱電流を温感素子31に流して、得られた電圧を第1の電圧検出回路で0点シフトと増幅を行い、電圧/電流変換回路にて周囲温度に依存した微弱電流を得て、この電流を第2の温度検出部(温感素子33)に供給することによって生じる電圧は、環境の温度変化に対して第1の温度検出部の温度特性×第2の温度検出部の温度特性の関数式で表せる電圧を得る。このように構成することで、検出用センサの温度依存性が非線形のものにも対応することが可能になる。
図5を参照して同回路の動作を説明する。同図において、抵抗R23と抵抗R24で発生する電圧は、オペアンプOP8とFETQ2による制御で同一電圧となる。よって、感温抵抗体S3に流れる電流と、抵抗R26に流れる電流の比は、R23とR24の抵抗比と同じになる。このとき感温抵抗体S3と抵抗R26で発生する電圧は、オペアンプOP10とFETQ3により同じ電圧になるように流す電流が制御される。この制御によって、R23:R24=S3:R26でバランスが保たれる。(感温抵抗体S3は正の温度特性を示すもので、電流を流すことで自己発熱して、感温抵抗体の温度が上昇し、温度が上昇することで抵抗値が大きくなり、抵抗値が大きくなる事で更に温度が上昇する。)このとき、感温抵抗体S3の抵抗値が示すものは温度であるので、S3はR23:R24=S3:R26で決定される温度に保たれることになる。
図6は、気体温度を10℃から80℃まで10℃刻みで変化させ、各々の温度において相対湿度75%程度の環境(飽和塩化ナトリュウム水溶液による環境)と、相対湿度100%近くの環境とでの温度補償前の絶対湿度と、図5に示した回路からの出力電圧との関係をプロットしたものである。なお、横軸の絶対湿度は相対湿度と温度から換算した数値を用いている。
図5の回路は、感温抵抗体を一定温度に発熱させて熱放散量を電圧として出力するものであるから、図6に示すグラフには、上に示した温度依存性と湿度変化による熱放散量の変化が現れ、その結果、温度に対する出力変化が大変大きい事が解る。
図7を参照して同回路の動作を説明する。なお、温度補償回路を構成する破線で囲んだ各ブロックには図1で付した符号と同じ符号を用いてある。
定電流回路12は、基準電源REFからの電圧を抵抗R1とR2で分圧して、オペアンプOP1とFETQ1により抵抗R1に生じる電圧=抵抗R3に生じる電圧とすることで、I=(R1の両端に生じる電圧)/(R3の抵抗値)の一定電流Iを得る回路である。定電流回路12からの電流は感温抵抗体S1に流される。感温抵抗体S1は、雰囲気の温度変化に直線的に比例した抵抗値変化をするので、感温抵抗体S1の両端には雰囲気の温度に直線的に比例した電圧が生じる。第1の電圧検出回路13aでは、感温抵抗体S1の両端に生じた電圧をオペアンプOP2、抵抗R4、R5にて増幅して、更にオペアンプOP3、抵抗R6、R7、R8、R9、可変抵抗VR1にて0点シフトを行い、更にオペアンプOP4、抵抗R10、可変抵抗VR2、抵抗R11にて増幅率の調整を行う。このようにして得られた電圧を電圧/電流変換回路14に加えて電流変換を行う。
なお、感温抵抗体S2と直列に接続される可変抵抗VR3は、最終的に得られる温度補償信号の曲率(2次関数の1次成分)を調整するために用いるもので、本実施例においては、VR3の抵抗値は感温抵抗体の1/3程度の抵抗値として使用している。そして、感温抵抗体S2+VR3で生じた電圧を第2の電圧検出回路13bにて必要な温度補償量にあわせて増幅調整を行い出力する。
この結果から、絶対湿度計測などのセンサを発熱させて、そのときの熱放散量を検出する原理により雰囲気を計測する方法において、高精度な温度補償が可能であることがわかる。
本実施例において、雰囲気センサ(感温抵抗体S3)は、一定発熱温度に保つ制御方法を用いたが、その温度依存性は図6から読み取れるように非線形を示すものであり、このような非線形の温度依存性を示すセンサ出力にも本方式によって容易に温度補償の対応ができるものであり、更にこのような複合センサを用いることで応答速度が速く高安定な雰囲気計測装置の提供も可能になる。
Claims (7)
- 対象となる物理量に応じた出力を発生するセンサの出力信号に対する温度補償を行う温度補償回路であって、
前記センサと同等の温度依存性を示す温度検出部と、該温度検出部で環境温度に対応した電気量を出力する温電変換手段と、を備え、
前記温電変換手段を複数個直列に接続し、最終段の温電変換手段からの出力を前記物理量を検出するセンサからの出力の温度補償信号に使用することを特徴とする温度補償回路。 - 発熱させた感温抵抗体からの熱放散量を検出するセンサの出力信号に対する温度補償を行う温度補償回路であって、
前記感温抵抗体が非発熱時に示す温度依存性と同等の温度依存性を示す感温抵抗体を有し、温度に対応した電圧を出力する第1の温度検出部と、該第1の温度検出部に一定の電流を供給する定電流供給手段と、前記第1の温度検出部からの出力電圧を電流に変換する電圧/電流変換部と、該電圧/電流変換部が変換した電流を受けて前記感温抵抗体と同等の温度依存性を示し環境温度に対応した電圧を出力する第2の温度検出部とを備え、
前記第2の温度検出部の出力電圧を前記熱放散量を検出する感温抵抗体の出力信号に対する温度補償電圧とすることを特徴とする温度補償回路。 - 前記第1の温度検出部と電圧/電流変換部との間に第1の温度検出部からの出力電圧の増幅と0点シフトを行う電圧検出手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の温度補償回路。
- 前記第1の温度検出部および第2の温度検出部に供給する電流を発熱しない程度の微弱電流にしたことを特徴とする請求項2または3記載の温度補償回路。
- 前記第1の温度検出部および第2の温度検出部を電気絶縁性基板上の隣接する位置に配置したことを特徴とする請求項2、3または4記載の温度補償回路。
- 前記第1の温度検出部および第2の温度検出部を配置した前記電気絶縁性基板の下部に通気のための空間を設けたことを特徴とする請求項5記載の温度補償回路。
- 環境の温度変化に対する温度依存性を有するセンサによって対象となる物理量に応じた出力を発生するセンサの出力信号に対する温度補償を行う温度補償方法であって、前記センサと同等の温度依存性を示す温度センサを有し環境温度に対応した電気量を出力する温電変換手段を複数直列に接続し、最終段の温電変換手段からの出力を前記物理量を検出するセンサの出力に加えて温度補償を行うことを特徴とする温度補償方法。
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