JP2007248221A - 熱式流量計 - Google Patents

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Abstract

【課題】周囲温度の変化に拘わることなく、しかもゼロ点ドリフトを抑えて微少な流量を確実に検出することのできる熱式流量計を提供する。
【解決手段】肉薄ダイヤフラムおよびこの肉薄ダイヤフラムを空中に支持した基体部を備え、基体部に第1のヒータを設け、薄膜部に第2のヒータを設けたセンサチップを、熱絶縁して支持して雰囲気ガスの流路に位置付ける。そして第1のヒータを前記雰囲気ガスの温度よりも高い第1の一定温度で発熱駆動すると共に、第2のヒータを前記第1のヒータの発熱温度よりも高い第2の一定温度で発熱駆動し、このときの第2のヒータの駆動電気信号、例えば駆動電力、印加電圧および通電電流の少なくとも1つを前記雰囲気ガスの流量信号として求める。
【選択図】図4

Description

本発明は、気体の通流空間におけるヒータから発せられた熱の移動現象から上記気体の流量を計測する熱式流量計に関する。
気体の通流空間に設けられて、ヒータから発せられた熱の移動現象や温度分布から上記気体の流量を計測する熱式流量計として、従来より種々のタイプのものが提唱されている(例えば特許文献1,2を参照)。これらの熱式流量計の多くは、例えば温度センサを用いてその周囲温度を検出し、ヒータの発熱温度(ヒータ温度)を上記周囲温度から一定温度だけ高くなるように制御したり、或いは周囲温度に関係なくそのヒータ温度を一定化制御するようにしている。また周囲温度に応じてヒータ温度を上昇させるための温度閾値を変更することも提唱されている。
またこの種の熱式流量計において、外部環境の温度変化に起因する熱的影響を除去して計測精度を高めるべく、ピン等の熱絶縁体(台座)を介して流量センサを支持することも提唱されている(例えば特許文献3を参照)。
特開2004−85490号公報 特開2003−315128号公報 特開2002−296088号公報
しかしながら従来の熱式流量計においては、例えば計測対象とする流体(気体)の温度が、その配管系等の周囲温度によって変化した場合、流量計のゼロ点がドリフトしたり、その感度が変化する等の不具合があった。ちなみにゼロ点がドリフトするとその最低流量検出レベルに制限が加わり、例えば配管系の漏れに起因する微少な流量を検出することが困難となると言う問題が生じる。また感度変化に対しては、専ら、周囲温度センサ等を用いて温度特性を補正するようにしている。しかし温度特性自体が流体の種類によって変化するので、流体の種類に応じてその都度、補正係数等を調整しなければならないと言う問題があった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、周囲温度の変化に拘わることなく流体の流量を精度良く計測することができ、しかもゼロ点のドリフトを抑えて微少な流量を確実に検出することのできる熱式流量計を提供することにある。
上述した目的を達成するべく本発明に係る熱式流量計は、
<a> 基体部に形成された凹部を橋架して設けられて、その両面を外気に開放した薄膜部を有するセンサチップと、
<b> このセンサチップの前記基体部に設けられた第1のヒータおよび前記薄膜部に設けられた第2のヒータと、
<c> 前記センサチップをその支持体から熱絶縁して該センサチップを前記雰囲気ガスの流路に位置付ける熱絶縁性の台座と、
<d> 前記第1のヒータを前記雰囲気ガスの温度よりも高い第1の一定温度で発熱駆動する第1の電源と、
<e> 前記第2のヒータを前記第1のヒータの発熱温度よりも高い第2の一定温度で発熱駆動する第2の電源と、
<f> 前記第2のヒータの駆動電気信号、例えば駆動電力、印加電圧および通電電流の少なくとも1つを前記雰囲気ガスの流量信号として出力する出力回路と
を備えたことを特徴としている。
好ましくは前記第1および第2の電源は、それぞれその発熱駆動対象とする前記第1または第2のヒータを1つのブリッジ辺とする抵抗ブリッジ回路のブリッジ間電圧に応じて上記抵抗ブリッジ回路に加える駆動電圧をフィードバック制御して前記第1および第2のヒータの抵抗値をそれぞれ一定化するものとして構成される。また前記センサチップについては、前記基体部に熱結合され、且つ前記薄膜部に対峙させて設けられて、前記薄膜部に沿う前記雰囲気ガスの通流路を形成した流路構造体を備えることが好ましい。尚、前記センサチップおよび前記流路構造体は、それぞれ熱伝導性の高い半導体、例えばシリコン等を用いて実現され、また前記熱絶縁性の台座は、ガラスやセラミック等を用いて実現される。
また本発明に係る別の熱式流量計は、上述した構成の熱式流量計に加えて、更に前記センサチップの薄膜部上に前記第2のヒータを間にして雰囲気ガスの通流方向に並べて設けられた第1および第2の温度センサと、これらの第1および第2の温度センサによりそれぞれ検出される温度を、例えばその温度差を前記雰囲気ガスの流量信号として出力する第2の出力回路とを備えることを特徴としている。
この場合、好ましくは前記第2の出力回路としては、例えば前記第2のヒータが発熱駆動されているときの前記第1および第2の温度センサによりそれぞれ検出される温度と、前記第2のヒータの発熱駆動を停止させたときの前記第1および第2の温度センサによりそれぞれ検出される温度との差を出力するものとして構成するようにすれば良い。
また本発明の別の態様は、前記第2のヒータとして流体の通流方向に並べて設けられた2つの発熱抵抗体、具体的には上述した第1および第2の温度センサに相当する発熱抵抗体を備え、前記第2の電源としては、これらの2つの発熱抵抗体をそれぞれ独立に一定温度で発熱駆動するものとして実現される。この場合、前記出力回路は前記2つの発熱抵抗体を個別に発熱駆動する駆動電気信号の差を前記雰囲気ガスの流量信号として出力するように構成される。
上述した如く構成された熱式流量計によれば、第1のヒータによってセンサチップ全体が第1の温度に一定化制御されるので、配管系に導かれた雰囲気ガスの温度に拘わりなく、前記センサチップの周囲近傍における上記雰囲気ガスの温度を上記第1の温度に一定化することができる。その上で、第2のヒータが上記第1の温度よりも高い第2の温度に一定化制御されるので、この第2のヒータの近傍においては、雰囲気ガスとの間で常に一定の条件で熱の移動が生じることになる。この結果、配管系に導かれた雰囲気ガスの温度が変化しても、第2のヒータの近傍における熱の移動条件が一定なので熱式流量センサのゼロ点変動が生じることがなくなる。従って常に安定にその流量計測を精度良く行うことが可能となる。またゼロ点変動がないので、配管系の漏れ等に起因する微少な流量を確実に検出することが可能となる。
またセンサチップが前述した流路構造体を備えれば、この流路構造体によってセンサチップとその周囲近傍を外部環境から熱的に隔離することができるので、その流路を通流する雰囲気ガスの温度を安定的に第1の温度に一定化することが可能となる。この結果、配管系に導かれた雰囲気ガスの温度変化に拘わることなく、そのゼロ点と検出感度を一定に保って高精度な流量検出を行うことが可能となる。しかもその計測範囲を広くし、雰囲気ガスの通流方向に拘わりなく流量検出を行うことが可能となる。
更に前記第2のヒータを挟んで流体の通流方向に第1および第2の温度センサを備えた熱式流量計によれば、雰囲気ガスの温度が変化しても第2のヒータの近傍における温度分布が変化することがないので、第1および第2の温度センサの抵抗温度係数が異なる場合であっても、そのゼロ点が変化することがない。従って上述した構造の熱式流量センサと同様に微少な流量であっても、これを確実に検出することができる。また流体の振動(流速の揺らぎ)が生じても、これを平均化して検出することができるので、上述した微少な流量を確実に検出することができる。
更には第2のヒータが発熱駆動されているときの前記第1および第2の温度センサによりそれぞれ検出される温度と、第2のヒータの発熱駆動を停止させたときの前記第1および第2の温度センサによりそれぞれ検出される温度との差を雰囲気ガスの流量信号として出力するようにすれば、出力回路自体の温度に起因するドリフトを除去することが可能となる。この結果、前述した流路構造体を設けたことによる効果と相俟って、更にゼロ点のドリフトを確実に抑えることが可能となる。
更には前記第2のヒータが、流体の通流方向に並べて設けられた2つの発熱抵抗体からなるときには、これらの2つの発熱抵抗体をそれぞれ独立に一定温度で発熱駆動するように前記第2の電源を構成すれば良い。この場合、流体の流量に応じて上記2つの発熱抵抗体と流体との熱的平衡条件が変化するので、前記2つの発熱抵抗体を個別に発熱駆動する駆動電気信号の差を前記雰囲気ガスの流量信号として求めることで、上述した構成の熱式流量センサと同様にその検出感度を一定に保って高精度な流量検出を行うことが可能となる。
以下、図面を参照して本発明に係る熱式流量計について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る熱式流量計で用いられるセンサチップ1の概略構成を示している。このセンサチップ1は、例えば厚み0.5mmで縦横の寸法がそれぞれ1.5mm程度のシリコン製のものからなり、その基体1aの上面の略中央部にMEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いて舟形凹状のキャビティ(凹部)1bを形成すると共に、このキャビティ1bを架橋して薄膜ダイヤフラム(薄膜部)1cを形成した構造を有する。またこの薄膜ダイヤフラム1cには、その中央領域を除いて多数の透孔1dが設けられており、これらの透孔1dを介して上記薄膜ダイヤフラム1cの両面が外気に開放されている。そして白金等からなる微小な発熱抵抗体である第1のヒータ(Rr)2は、センサチップ1におけるキャビティ1bの周辺の基台部1a上に形成されており、また同様な発熱抵抗体である第2のヒータ3は前記ダイヤフラム1c上に形成されている。
更に上記ダイヤフラム1c上には、流体の通流方向Fに第2のヒータ(Rh)3を挟んで一対の温度センサRu,Rdが形成されている。これらの一対の温度センサRu,Rdも白金等の発熱抵抗体からなる。このような構造のセンサチップ1は、図2にその概略的な断面構造を示すように、第2のヒータ(Rh)3および一対の温度センサRu,Rdを薄膜のダイヤフラム1c上に形成することで実質的に空中に浮かした状態で支持し、ダイヤフラム1cの両面(表裏面)に沿って通流する雰囲気ガスに接するようになっている。
また上述したセンサチップ1は、例えばガラス製またはセラミック製等の熱絶縁性の台座(熱絶縁体)4を介して雰囲気ガス中に支持されている。この台座4は、例えばセンサチップ1の四隅をそれぞれ支持する4つの脚部を有して該センサチップ1を空中に浮かして保持する、いわゆる逆テーブル型のものからなる。このような台座(熱絶縁体)4を介してセンサチップ1を支持し、ガス配管内等における雰囲気ガス中に位置付けることで、センサチップ1は外部から熱的に遮断されて周囲温度等の影響が及ぶことがないようになってい。
ちなみに熱絶縁性の台座(熱絶縁体)4としては、本出願人が先に提唱した、例えば特許第3740026号公報、特許第3740027号公報、特開2002−29688号公報、特開2002−318148号公報、特開2002−318149号公報等にそれぞれ記載されている技術を適宜採用したものであれば、この発明において望む断熱効果が得られる。またセンサチップ1を保持する台座4としては、好ましくは熱伝導率が10W/(m・K)以下の部材が望ましい。このような部材としては、例えば多孔性部材などがある。熱伝導率が10W/(m・K)以上となると、センサチップ1全体を第1の温度に一定化制御するために必要となる電流が大きくなるので、容量の大きい電源を準備することが必要となり実用的ではない。従ってセンサチップ1を保持する台座4としては、上述したように熱伝導率が10W/(m・K)以下の部材が望ましい。
本発明に係る熱式流量計は、例えば上述した構造のセンサチップ1を用いて構築されるものであって、特にセンサチップ1の基台部1aに設けられた第1のヒータ2の発熱温度を雰囲気ガスの温度よりも高い第1の温度Th1に一定化制御すると共に、薄膜部1cに設けられた第2のヒータ3の発熱温度を前記第1のヒータ2の発熱温度Th1よりも更に高い第2の発熱温度Th2(>Th1)に一定化制御し、この状態において前記第2のヒータ3の駆動電気量、具体的にはその放熱係数C、駆動電力Ph、駆動電圧Vh、または通電電流Ihを前記雰囲気ガスの流量信号として出力することを特徴としている。
尚、センサチップ1が上述したように第2のヒータ3を挟んで一対の温度センサRu,Rdを備えている場合には、これらの温度センサRu,Rdによりそれぞれ検出される温度から、特にその温度差を前記雰囲気ガスの流量信号として出力することも勿論可能である。上記温度センサRu,Rdは、例えば温度に応じて電気抵抗値が変化する温度センサ、或いは温度に応じて起電力が生じる温度センサ等である。
また上記一対の温度センサRu,Rdを前述した第2のヒータと看做し、これらの温度センサRu,Rdの各発熱温度を前記第1のヒータ2の発熱温度Th1よりも更に高い第2の発熱温度Th2にそれぞれ一定化制御し、この状態において前記各温度センサRu,Rdの駆動電気量の差、具体的にはその放熱係数C、駆動電力Ph、駆動電圧Vh、または通電電流Ihの差を前記雰囲気ガスの流量信号として出力するようにしても良い。
即ち、本発明は概念的には図3(a)(b)(c)にそれぞれ示すように、センサチップ1の基体部1aに設けられた第1のヒータ2と、薄膜部1cに設けられた第2のヒータ3とをそれぞれ一定の温度Th1,Th2に発熱駆動し、そのときの第2のヒータ3の駆動電気量を求めたり[図3(a)]、または前記第1および第2のヒータ2,3の上述した発熱駆動条件下において一対の温度センサRu,Rdにより検出される温度差を求めたり[図3(b)]、或いは更に一対の温度センサRu,Rdをそれぞれ一定の温度Th2に発熱駆動し、そのときの温度センサRu,Rdの駆動電気量の差を求める[図3(c)]ことで、雰囲気ガスの流量Qを検出するように構成される。
図4は、第2のヒータ3の駆動電気量から流量を求める本発明の第1の実施形態を示す概略的なブロック構成図である。この熱式流量計は、前述した第1および第2のヒータ2,3をそれぞれ一定抵抗駆動してその発熱温度Th1,Th2に一定化制御するヒータ電源5A,5Bを備える。そして第1および第2のヒータ2,3の上記駆動条件下において第2のヒータ3の駆動電力Phを検出し(出力手段)、例えばこの駆動電力Phから第2のヒータ3の放熱係数Cを求めるように構成される(放熱係数算出手段11)。そして予め求められて流量テーブル12に登録されている放熱係数Cと流量Qとの関係(C-Q特性)に従って、上記放熱係数Cに相当する流量Qを求めるように構成される(流量算出手段13)。
尚、第2のヒータ3の駆動電力Phを検出することに代えて、第2のヒータ3に対する印加電圧Vhやその通電電流Ihを検出し、これらの印加電圧Vhや通電電流Ihに基づいて第2のヒータ3の流量Qを求めることも勿論可能である。また流量テーブル12にヒータの駆動電力Phと流量Qとの関係を直接記述しておくことも勿論可能である。更にはテーブル12に登録する上記特性は、計測対象とする雰囲気ガスの種類に応じて予め求めたものであることは言うまでもない。
ちなみに上記第1および第2の温度Th1,Th2は、例えば60℃および120℃としてそれぞれ設定される。上記第1および第2のヒータ2,3の発熱温度を上述したように一定化制御するヒータ電源5A,5Bは、例えば図5に示すように、それぞれその発熱制御対象である前記第1または第2のヒータ(発熱抵抗体)2,3を1つのブリッジ辺とし、抵抗値が既知の3つの固定抵抗R1,R2,R3を他のブリッジ辺として構築された抵抗ブリッジ回路5aと、この抵抗ブリッジ回路5aのブリッジ電圧V2に応じて上記抵抗ブリッジ回路5aに加える駆動電圧V1をフィードバック制御する電圧制御回路5bとを備えて構成される。
即ち、ヒータ駆動電源5Aは、抵抗値が既知の固定抵抗R1,R2,R3と抵抗値がRrの第1のヒータ2とを用いた抵抗ブリッジ回路5aのブリッジ電圧V2a,V2bを差動増幅器(電圧制御回路)5bに入力し、第1のヒータ2側のブリッジ電圧V2aが常に固定抵抗R2,R3側のブリッジ電圧V2bとなるように、そのブリッジ駆動電圧V1をフィードバック制御することで、前記ヒータ2の抵抗値Rrを一定化するように構成される。従って前述したヒータ2の抵抗値Rrとその発熱温度(ヒータ温度)との関係に従って予め上記固定抵抗R1,R2,R3の各抵抗値をそれぞれ選定することにより、第1のヒータ2の発熱温度(ヒータ温度)を60℃(第1の温度Th1)に一定化制御することが可能となる。
同様にヒータ駆動電源5Bは、抵抗値が既知の固定抵抗R1,R2,R3と抵抗値がRhの第2のヒータ3とを用いた抵抗ブリッジ回路5aのブリッジ電圧V2a,V2bを差動増幅器(電圧制御回路)5bに入力し、第1のヒータ2側のブリッジ電圧V2aが常に固定抵抗R2,R3側のブリッジ電圧V2bとなるように、そのブリッジ駆動電圧V1をフィードバック制御することで、前記ヒータ3の抵抗値Rhを一定化するように構成される。これによって第2のヒータ3の発熱温度(ヒータ温度)が120℃(第2の温度Th2)に一定化制御される。
尚、このとき、第2のヒータ3に流れる電流Ihは、
Ih=(V1−V2a)÷R1
となる。またヒータ3側のブリッジ電圧V2aは
V2a=V2b=V1・R3/(R2+R3)
として与えられる。そしてこのときにヒータ3に加えられる電力Phは
Ph=Ih・V2a
として求めることができる。更にはヒータ抵抗Rhは前述したように
Rh=Vh÷Ih
となる。
ここで上述した第2のヒータ3の駆動電気量(駆動電力Ph、印加電圧Vh、または通電電流Ih)に基づく流量Qの検出について説明する。
白金等の発熱抵抗体からなる第1および第2のヒータ2,3は、温度によってその抵抗値が変化する性質を有する。例えば20℃なる標準温度Tstdでの第1のヒータ2の抵抗値がRstd1である場合、1次の抵抗温度係数をα、2次の抵抗温度係数をβとしたとき、温度Th1での上記第1のヒータ2の抵抗値Rrは
Rr=Rstd1・[1+α(Th1−Tstd)+β(Th1−Tstd)
として与えられる。同様に標準温度Tstdでの第2のヒータ3の抵抗値がRstd2である場合、温度Th2での前記第2のヒータ3の抵抗値Rhは
Rh=Rstd2・[1+α(Th2−Tstd)+β(Th2−Tstd)
として与えられる。従ってヒータ2,3の各抵抗値Rr,Rhが判れば、逆にこれらの抵抗値Rr,Rhから第1および第2のヒータ2,3の各発熱温度(ヒータ温度)Th1,Th2をそれぞれ求めることが可能となる。
また第1のヒータ2の発熱温度(ヒータ温度)Th1は、第2のヒータ3の発熱と、この第2のヒータ3から雰囲気ガスへの放熱とが釣り合ったところで、つまり雰囲気ガスとの間で熱的に平衡状態となったときに安定する。特に第1のヒータ2は、熱伝導性の高いシリコンからなるセンサチップ1の基体部1aに設けられており、またセンサチップ1自体が熱絶縁性の台座3を介して外部から熱絶縁されて空中に支持されているので、第1のヒータ2の発熱に伴ってセンサチップ1全体が第1のヒータ2の発熱温度まで加熱される。そして第1のヒータ2の発熱に伴うシリコンチップ1からの放熱は、専ら、その周囲近傍のシリコンチップ1を取り巻く雰囲気ガスに対してだけとなる。この結果、シリコンチップ1の周囲近傍の雰囲気ガスは、その周囲温度に拘わることなく上記センサチップ1全体の発熱温度(第1のヒータ2の発熱温度)Th1まで加熱されて安定化する。
一方、第2のヒータ3の発熱温度(ヒータ温度)Th2は、第2のヒータ3の発熱と、この第2のヒータ3から雰囲気ガスへの放熱とが釣り合ったところで、つまり雰囲気ガスとの間で熱的に平衡状態となったときに安定する。特に第2のヒータ3は肉薄のダイヤフラム(薄膜部)3cに形成されているので、専ら、第2のヒータ3だけが局部的に発熱すると看做し得る。そしてこの熱的平衡状態における上記第2のヒータ3の駆動電力Phは、第2のヒータ3から雰囲気ガスへの放熱係数をCとしたとき、そのヒータ温度Th2と周囲温度Toとの間で
C・(Th2−To)=Ph
なる関係を有する。従って第2のヒータ3から雰囲気ガスへの放熱係数Cを、上記熱的平衡状態の条件から
C=Ph÷(Th2−To)
として求めることが可能となる。特にセンサチップ1の周囲近傍においては雰囲気ガスの温度が第1の温度Th1に一定化されているので、第2のヒータ3から雰囲気ガスへの放熱係数Cを
C=Ph÷(Th2−Th1)
として求めることが可能となる。
尚、第2のヒータ3の駆動電力Phについては、前述したように第2のヒータ2の両端間に印加される電圧Vhと、そのときにヒータ3に流れる電流Ihとから
Ph=Vh・Ih
として求めることができる。またそのときの第2のヒータ2の抵抗値Rhは、
Rh=Vh÷Ih=Ph÷Ih
として求めることができる。故に、第2のヒータ3の駆動電力Phを求め、更に第2のヒータ3の抵抗値Rhに従って第2のヒータ3の発熱温度Th2を求めれば、第2のヒータ3から雰囲気ガスへの放熱係数Cを容易に算出することが可能となる。
尚、上述した放熱係数Cは、第2のヒータ3から雰囲気ガスへの平均熱伝達係数をhとし、第2のヒータ3の放熱面積をSとしたとき、一般的には
C=2・h・S
として表すことができる。但し、上記平均熱伝達係数hは、一般的には雰囲気ガスの自然対流の状況や第2のヒータ3の表面状態によって変化し、更に雰囲気ガスの流量(流速)によっても変化する。また上記係数[2]は、第2のヒータ3から雰囲気ガスへの熱伝達が、図6にその概念を模式的に示すように第2のヒータ3の表裏の2面でそれぞれ行われることを考慮したものである。
しかし第2のヒータ3の素子面積(発熱面積)が微小であり、この第2のヒータ3の発熱によって生じる温度変化の範囲が微小であってスポット的な温度変位しか生じることがなく、また雰囲気ガスの流量(流速)が零[0]であって自然対流もないものとすると、第2のヒータ3の周囲の温度分布は、専ら図6に示すように第2のヒータ3から離れるに従って次第に低くなる。特に第2のヒータ3に接する部位での温度はそのヒータ温度Th2まで高められ、第2のヒータ3から離れるに従ってその温度は次第に周囲温度Th1まで低下する。
このような温度分布をなす雰囲気ガスの温度が、上記ヒータ温度Thから周囲温度Th1まで低下するまでの領域を温度境界層と定義し、その厚みdとすると、前述した平均熱伝達係数hは雰囲気ガスの熱伝導率λに比例し、且つ温度境界層の厚みdに反比例すると考えられる。即ち、平均熱伝達係数hは
h=λ÷d
として決定される。
また雰囲気ガスの熱伝導率λは、一般的に温度が高くなるに従って大きくなる傾向にあり、温度Tにおける雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)
λ(T)=λo(1+γ・T)
として与えられる。但し、上記λoは、基準温度(例えば0℃)における雰囲気ガスの熱伝導率であり、γは1次の温度係数である。
また前記温度境界層の厚みdは雰囲気ガスの熱伝導率λによって変化し、熱伝導率λが大きくなる程、熱伝達が早いのでその厚みdが薄くなる。逆に雰囲気ガスの熱伝導率λが小さい場合には、熱伝達が遅い分、その温度変化の勾配が緩やかとなって温度境界層の厚みdが厚くなる。つまり境界層の厚みdは雰囲気ガスの熱伝導率λによって変化し、また雰囲気ガスの熱伝導率λは温度によって変化するので、温度Tにおける上記温度境界層の厚みd(T)
(T)=f[λ(T)
として、温度Tにより変化する雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)をパラメータαとする関数f[α]を用いて表すことができる。
また第2のヒータ3の放熱面積Sは、一般的には前述した発熱抵抗体(ヒータ)1dを形成したダイヤフラム1cの全体の面積を指すことが多く、第2のヒータ3の近傍における雰囲気ガスの温度分布はダイヤフラム1c上での温度分布に依存して変化する。しかし雰囲気ガスの熱伝導率λが大きい場合には、その温度分布がシャープな形状となる。そしてその実効的な第2のヒータ3の放熱面積Sは雰囲気ガスの熱伝導率λに応じて小さくなるので、ダイヤフラム1cの面積Soよりも十分小さい面積として捉えることができる。特に第2のヒータ3自体が微小であることと相俟って、第2のヒータ3の放熱面積Sはスポット状であり、実質的に点熱源をなしていると看做すことができる。従ってその実効的な放熱面積Sを
(T)=g[λ(T)
として、温度Tにより変化する雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)をパラメータαとする関数g[α]を用いて表すことが可能となる。
従って第2のヒータ3の放熱係数Cと雰囲気ガスの熱伝導率λ(T)との関係をまとめると、前述した各式から
C=2・h・S
=2・(λ(T)÷d(T))・S(T)
=2・(λ(T)÷f[λ(T)])・g[λ(T)
なる関係を導くことができる。
しかしセンサチップ1の周囲近傍の雰囲気ガスは、前述したようにセンサチップ1全体からの放熱を受けて加熱され、センサチップ1との間で熱的に平衡状態となった状態で安定する。またセンサチップ1の周囲近傍においては、雰囲気ガスはその温度に拘わりなく上記センサチップ1の温度Th1に保たれる。そしてこの温度が一定化された前記センサチップ1の周囲近傍における雰囲気ガスが、前述したように第2のヒータ3からの放熱を受けて温度境界層を形成することになる。
従ってそのときの温度境界層の厚みdは、一定化された温度Th1における雰囲気ガスの熱伝導率をλとしたとき、
d=f[λ]
として一意に決定される。また第2のヒータ3の実効的な放熱面積Sも
S=g[λ]
として、一定化された温度Th1における雰囲気ガスの熱伝導率λに依存して一意に決定される。故に、第2のヒータ3の放熱係数Cと上記一定温度Th1における雰囲気ガスの熱伝導率λとの関係は
C=2・(λ÷f[λ])・g[λ]
となり、これらは雰囲気ガスの温度特性に依存することなく1対1に対応付けられることになる。特に雰囲気ガスの成分が既知であり、自然対流がなく、その流量が零[0]の場合における熱伝導率λが明らかである場合には、上述した第2のヒータ3の放熱係数C、ひいてはその駆動電力Phは雰囲気ガスの温度に関係なく一定となる。
また雰囲気ガスの流量が零[0]でない場合、上記雰囲気ガスの見かけ上の放熱係数Cはその流量(流速)に比例して変化する。換言すれば雰囲気ガスが流れている場合、その流量(流速)に応じた強制対流により熱の移動が行われるので、放熱係数Cはその流量(流速)に比例して増大する。従って、例えば前述したように第2のヒータ3の駆動電力Phからその放熱係数Cを求めれば上記雰囲気ガスの流量(流速)を求めることが可能となる。
ここでセンサチップ1の面に直交する方向における雰囲気ガスの温度分布について考察してみると、従来一般的に行われている、雰囲気ガスの温度Toを基準として第2のヒータ3の発熱温度を一定温度ΔTだけ高くするヒータ制御を行った場合、雰囲気ガスの温度変化に伴ってセンサチップ1の周囲の温度分布は、図7(b)に示すように変化する。即ち、雰囲気ガスの温度変化に伴って第2のヒータ3の発熱温度自体が変化するので、センサチップ1の周囲における温度分布が全体的にシフトする。従って従来のように第2のヒータ3の発熱温度を雰囲気ガスの温度よりも一定温度ΔTだけ高くして流量測定を行った場合、図8(b)に示すように雰囲気ガスの温度に依存して第2のヒータ3の駆動電力Phとその流量との比例関係が変化し、しかもその零点が変化することが否めない。
この点、本発明に係る熱式流量計においては、前述したようにセンサチップ1の周囲近傍の領域における雰囲気ガスの温度を第1の温度Th1に一定に保ち、且つ第2のヒータ3の温度を上記第1の温度Th1よりも高い第2の温度Th2に保っている。従って第2のヒータ3の直上における雰囲気ガスの温度分布は、第2のヒータ3からの距離Lが離れるに従って図8(a)に示すように変化する。
即ち、第2のヒータ3に接する距離においては雰囲気ガスは第2のヒータ3の発熱温度(第2の温度Th2)まで加熱され、前述した温度境界層の厚みdに亘ってその周囲温度である第1の温度Th1まで徐々に低下する。そして温度境界層を超えた領域においては、前述した第1のヒータ2の発熱に伴って加熱されたセンサチップ1からの熱を受ける温度層に亘ってその温度が第1の温度Th1に保たれており、この温度層を超えた領域において雰囲気ガスの温度が、それ自体の温度Toまで徐々に低下する。そして雰囲気ガス自体の温度Toが変化しても、上述したセンサチップ1からの熱を受ける温度層の温度Th1が変化することがないので、図7(a)に示すように雰囲気ガスの温度Toに拘わることなく、センサチップ1の周囲における温度分布が一定に保たれる。
故にこのようなヒータの駆動条件で流量測定を行った場合には、前述したように流量が零[0]の場合における雰囲気ガスの熱伝導率λを一定に保つことができるので、図8(a)に示すようにそのゼロ点変動を抑えることができる。但し、雰囲気ガスの温度Toによって、同じ流量(流速)であってもその放熱係数Cが若干変化するので、第2のヒータ3の駆動電力Phとその流量との比例関係(比例係数)が多少変化ことは否めない。
しかし、例えば図9に示すようにセンサチップ1の表面を、熱伝導性の高い蓋状の流路構造体6にて覆い、センサチップ1の表面近傍に周囲からの熱の影響を阻止する流路を形成するようにする。このような流路構造体6を用いてセンサチップ1の表面近傍をその周囲から熱的に隔離すれば、雰囲気ガスの温度Toに拘わりなく上記流路を通流する雰囲気ガスの温度を安定的に第1の温度Th1に設定することができるので、雰囲気ガスの温度に拘わりなくその流量(流速)を精度良く計測することが可能となる。尚、上記流路構造体6については、センサチップ1と同じ素材であるシリコン製のものとし、これらを互いに密着させて半導体接合するようにすれば良い。このようにセンサチップ1と上記流路構造体6とを熱伝導率が同じ素材で形成することにより、異種素材で形成するに比べて製造が容易になる効果があり、またセンサチップ1の温度分布が一様になるので計測精度の向上効果がある。
次に前述した一対の温度センサRu,Rdを用いて検出される温度差から流量を求める本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態に係る熱式流量計は、図10にその概略的なブロック構成図を示すように、先に説明した実施形態と同様に第1および第2のヒータ2,3をそれぞれ一定抵抗駆動してその発熱温度Th1,Th2に一定化制御する電源5A,5Bを備える。そして第1および第2のヒータ2,3の上記駆動条件下において、第1および第2の温度センサRu,Rdにより検出される温度の差を求め、この温度差を流量信号として求め(温度差検出手段20)、流量テーブル21に予め登録した温度差と流量との関係(ΔT-Q特性)を参照して、上記温度差に相当する流量を求める(流量算出手段22)ように構成される。
このように構成された熱式流量計においても、センサチップ1の周囲近傍の雰囲気ガスを該センサチップ1全体からの放熱により加熱し、センサチップ1との間で熱的に平衡状態となった状態で安定化して上記センサチップ1の温度Th1に保つことができる。そして第2のヒータ3により加熱された上記雰囲気ガスは、その通流方向に流量Qに応じた温度分布を呈するので、第2のヒータ3を挟んで設けられた一対の温度センサRu,Rdにて第2のヒータ2の雰囲気ガスの通流方向における温度差を求めることにより、その温度差から雰囲気ガスの流量Qを求めることが可能となる。
この際、予め第2のヒータ3を通電加熱する前(ヒータ・オフ時)の温度差を求めておき、第2のヒータ3を通電加熱した際(ヒータ・オン時)の温度差を検出して、その温度差変化を流量信号として出力することも有用である。このようにすれば温度検出回路の温度ドリフトを除去して流量信号を求めることが可能となるので、その計測精度を高めることが可能となる。
またダイヤフラム1cを局部的に加熱した場合、上述したようにその周囲近傍の雰囲気ガスは流量に応じた温度分布を呈するので、前述したように一対の温度センサRu,Rdを第2のヒータと看做して、これらの温度センサRu,Rdをそれぞれ一定の温度Th2に発熱駆動し、そのときの温度センサRu,Rdの駆動電気量の差から雰囲気ガスの流量Qを検出するようしても良い。
図11は、このようにして一対の温度センサRu,Rdをそれぞれ一定の温度Th2に発熱駆動して流量検出を行う本発明の第3の実施形態を示す概略的なブロック構成図である。この熱式流量計においても、前述したようにチップセンサ1の基体部1aに設けた第1のヒータ2を一定温度Th1に発熱駆動する。そして前述した図5に示したヒータ電源5A(5B)と同様に構成されるヒータ電源5C,5Dを用いて図11に示すように一対の温度センサRu,Rdをそれぞれ一定温度Th2に発熱駆動し、このときの各温度センサRu,Rdの駆動電気量、例えば駆動電圧Vu,Vdをそれぞれ検出し、その電圧差を流量信号として求める(電圧差検出手段30)。そして予め求められて流量テーブル31に登録されている電圧差Vと流量Qとの関係(V-Q特性)に従って、上記電圧差Vに相当する流量Qを求めるように構成される(流量算出手段33)。
このように構成された熱式流量計によれば、第1のヒータ2によるセンサチップ1の周囲近傍の雰囲気ガスの温度を一定温度Th1にした状態で、雰囲気ガスの通流方向に所定の距離を隔てて設けられた一対の温度センサ(ヒータ)Ru,Rdをそれぞれ一定の抵抗値(温度)で発熱駆動すると、これらの温度センサRu,Rdは雰囲気ガスとの間でそれぞれ熱的に平衡状態となって安定化する。この際、下流側の温度センサRdは、上流側の温度センサRuにて加熱された雰囲気ガスとの間で熱的な平衡状態に達し、その平衡条件は温度センサRu,Rd近傍の雰囲気ガスの温度分布、つまりその流量Qによって変化する。
従って熱的に平衡状態となった一対の温度センサ(ヒータ)Ru,Rdの駆動電気量をそれぞれ求めれば、それらの電気量の差は雰囲気ガスの流量Qに相当することになる。故に、一対の温度センサRu,Rdの駆動電圧Vu,Vdの差を求めれば、この電圧差Vから前述した各実施形態と同様に雰囲気ガスの流量Qを計測することが可能となる。そしてこの場合においてもときの各実施形態と同様な効果が奏せられる。
以上説明したように本発明によれば、雰囲気ガスの温度が変化しても、或いはその周囲環境の変化に伴って周囲温度が変化しても、第2のヒータ3の周囲近傍における雰囲気ガスの温度を一定に保って流量計測を行うので、そのゼロ点変動を抑えて精度の高い流量計測を行うことができる。しかもゼロ点変動がないので、例えば雰囲気ガスの漏れに起因する微少な流れが生じても、これを確実に検出することが可能となる。
また第2のヒータの通量方向の前後に設けられた温度センサRu,Rdを用いて流量計測を行う場合であっても、周囲温度の変化に拘わることなく高精度な測定を行うことができる。しかも上記温度センサRu,Rdの抵抗温度係数が異なる場合であっても、ゼロ点変動が生じないので、微少な流量であっても確実に検出することができる。更には流体の揺らぎにより正方向および逆方向の流れが生じても、これを平均化して流量検出することができ、例えば流体の微少な漏れを確実に検出することができる。更には前述した流路構造体を用いて第2のヒータ3の近傍に流路を形成し、その周囲から熱的に絶縁した測定環境を形成するようにすれば、ゼロ点変動のみならず、流量計測感度の変動も効果的に抑えることが可能となる等の効果が奏せられる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば前述した各演算機能については、マイクロコンピュータにおけるソフトウェアにより実現することも可能である。またマイクロヒータの構造も特に限定されるものではなく、既存の熱式流量センサに設けられたヒータ素子をそのまま流用することも可能である。また第2のヒータ3の発熱駆動手段についても上述した抵抗ブリッジ回路3aと、そのブリッジ電圧をフィードバック制御する作動増幅器3bを用いた例に限定されないことは言うまでもない。
またセンサチップ1としては、例えば図9に示すように基体部1aの上面中央部に設けたキャビティ(凹部)1bの上を跨いで橋状のマイクロブリッジ(薄膜部)1dを設け、このマイクロブリッジ1d上に第2のヒータ3等を形成したものであっても良い。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明で用いられるセンサチップの概略的な素子構造を示す図。 センサチップの概略的な断面構造を示す図。 本発明に係る熱式流量計におけるヒータ駆動形態の態様を示す図。 本発明の第1の実施形態に係る熱式流量計の概略的なブロック構成図。 ヒータの抵抗値を一定化制御するヒータ電源の構成例を示す図。 第2のヒータを発熱駆動したときの第2のヒータ近傍における雰囲気ガスの温度分布を模式的に示す図。 第1および第2のヒータをそれぞれ一定温度で発熱駆動したときのセンサチップからの距離に対する雰囲気ガスの温度の分布を、第2のヒータを雰囲気ガスの温度から一定温度高くして駆動した場合と対比して示す図。 第1および第2のヒータをそれぞれ一定温度で発熱駆動したときのヒータ駆動電力と流量との関係を、第2のヒータを雰囲気ガスの温度から一定温度高くして駆動した場合と対比して示す図。 センサチップの表面に、流路構造体を設ける場合の例を示す図。 本発明の第2の実施形態に係る熱式流量計を示す概略的なブロック構成図。 本発明の第3の実施形態に係る熱式流量計を示す概略的なブロック構成図。
符号の説明
1 センサチップ
1a 基体部
1b キャビティ(凹部)
1c ダイヤフラム(薄膜部)
2 第1のヒータ
3 第2のヒータ
4 台座(熱絶縁体)
5A,5B ヒータ電源
6 流路構造体
10 出力回路
11 放熱係数算出手段
12 流量テーブル
13 流量算出手段
20 温度差検出手段(出力回路)
21 流量テーブル
22 流量算出手段
Ru,Rd 温度センサ

Claims (7)

  1. 基体部に形成された凹部を橋架して設けられて、その両面を外気に開放した薄膜部を有するセンサチップと、
    このセンサチップの前記基体部に設けられた第1のヒータおよび前記薄膜部に設けられた第2のヒータと、
    前記センサチップをその支持体から熱絶縁して該センサチップを前記雰囲気ガスの流路に位置付ける熱絶縁性の台座と、
    前記第1のヒータを前記雰囲気ガスの温度よりも高い第1の一定温度で発熱駆動する第1の電源と、
    前記第2のヒータを前記第1のヒータの発熱温度よりも高い第2の一定温度で発熱駆動する第2の電源と、
    前記第2のヒータの駆動電気信号を前記雰囲気ガスの流量信号として出力する出力回路と
    を具備したことを特徴とする熱式流量計。
  2. 前記第1および第2の電源は、それぞれその発熱駆動対象とする前記第1または第2ヒータを1つのブリッジ辺とする抵抗ブリッジ回路のブリッジ間電圧に応じて、上記抵抗ブリッジ回路に加える駆動電圧をフィードバック制御して前記ヒータの抵抗値をそれぞれ一定化するものである請求項1に記載の熱式流量計。
  3. 前記センサチップは、前記基体部に熱結合され、且つ前記薄膜部に対峙させて設けられて、前記薄膜部に沿う前記雰囲気ガスの通流路を形成した流路構造体を備えたものである請求項1に記載の熱式流量計。
  4. 前記センサチップおよび前記流路構造体は、それぞれ半導体からなる請求項3に記載の熱式流量計。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱式流量計において、
    更に前記センサチップの薄膜部上に前記第2のヒータを間にして雰囲気ガスの通流方向に並べて設けられた第1および第2の温度センサと、これらの第1および第2の温度センサによりそれぞれ検出される温度を前記雰囲気ガスの流量信号として出力する第2の出力回路とを備えることを特徴とする熱式流量計。
  6. 前記第2の出力回路は、前記第2のヒータが発熱駆動されているときの前記第1および第2の温度センサによりそれぞれ検出される温度と、前記第2のヒータの発熱駆動を停止させたときの前記第1および第2の温度センサによりそれぞれ検出される温度との差を出力するものである請求項5に記載の熱式流量計。
  7. 前記第2のヒータは、流体の通流方向に並べて設けられた2つの発熱抵抗体からなり、
    前記第2の電源は、上記2つの発熱抵抗体をそれぞれ独立に一定温度で発熱駆動するものであって、前記出力回路は前記2つの発熱抵抗体を個別に発熱駆動する駆動電気信号の差を前記雰囲気ガスの流量信号として出力するものである請求項1に記載の熱式流量計。
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