JP2009281351A - 排気熱回収器の凍結防止装置およびプラグインハイブリッド車両 - Google Patents

排気熱回収器の凍結防止装置およびプラグインハイブリッド車両 Download PDF

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Abstract

【課題】排気熱回収器内や排気熱回収器に出入りする配管内の熱回収媒体の凍結を従来よりも抑制することを可能とした排気熱回収器の凍結防止装置およびこれを備えるプラグインハイブリッド車両を提供する。
【解決手段】エンジン1の排気ガスと媒体流入管H5,14aより流入する冷却水との間で熱交換を行い、熱交換後の冷却水を媒体排出管14b、H6より排出する排気熱回収器の凍結防止装置であって、冷却水の温度情報を検出する水温センサ97と、排気熱回収器14に冷却水を循環させるための電動ウォータポンプ93と、水温センサ97が検出する冷却水の温度情報が予め設定された冷却水温閾値以下となった場合に、電動ウォータポンプ93を駆動するHV−ECU200と、を備える。
【選択図】図2A

Description

本発明は、内燃機関用の排気熱回収器を流れる熱回収媒体の凍結を防止する排気熱回収器の凍結防止装置およびこれを備えるプラグインハイブリッド車両に関する。
従来より、特許文献1や特許文献2に開示されているように、自動車用エンジンの排気ガスの熱を回収し、この排気熱を車室内の暖房に利用することが知られている。例えば、排気管の途中に排気熱回収器を取り付け、エンジン冷却水が流れる冷却水配管を排気熱回収器に接続する構成が採用される。この排気熱回収器において排気ガスとエンジン冷却水との熱交換を行わせ、エンジン冷却水によって回収された排気熱が車室内の暖房に利用される。
また、排気熱回収器は、エンジンの暖機運転を早期に完了させるため、エンジンの冷間時(例えばエンジンの始動初期時など)に排気熱を回収して冷却水温度を急速に上昇させることにも利用されている。
実開平5−59514号公報 特開平9−76739号公報 特開2006−52718号公報
ところで、寒冷地などで、車両のエンジンを長時間停止すると、排気熱回収器内を流れる配管内や排気熱回収器に出入する配管(流入管、排出管)内の冷却水が凍結することがある。このような冷却水の凍結時にエンジンを始動すると、最初に、エンジンの排気ガスの熱によって排気熱回収器内を流れる配管内の冷却水が解凍され、少し時間をおいて、排気熱回収器に出入りする流入管内、排出管内の冷却水が解凍される。この場合、排気熱回収器内の解凍された冷却水は、排出管を通じて排気熱回収器内から排出されないため、排気熱回収器内に留まって、一時的に沸騰してしまうおそれがある。冷却水が沸騰すると、冷却水に混入されている不凍剤や防錆剤を劣化させるおそれがある。
また、上記流入管、排出管が、排気熱回収器の接続口にクランプにて接続されたゴムホース等で構成される場合、排気熱回収器内の冷却水の沸騰による内圧上昇により、ゴムホースが接続口から抜け落ち易くなるおそれがある。
特許文献3には、不凍剤(添加剤)により排気熱回収器内の冷却水の凍結の抑制を図っているが、気温が不凍剤入りの冷却水の凝固点を下回った場合は、凍結を防止することができない。
本発明はかかる問題点に鑑みて創案されたものであり、排気熱回収器内や排気熱回収器に出入りする配管内の熱回収媒体の凍結を従来よりも抑制することを可能とした排気熱回収器の凍結防止装置およびこれを備えるプラグインハイブリッド車両を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するための手段として、本発明の排気熱回収器の凍結防止装置は、以下のように構成されている。すなわち、本発明(第1の発明)の排気熱回収器の凍結防止装置は、内燃機関の排気ガスと媒体流入管より流入する熱回収媒体との間で熱交換を行い、熱交換後の熱回収媒体を媒体排出管より排出する排気熱回収器の凍結防止装置であって、前記熱回収媒体の温度情報を検出する媒体温情報検出手段と、前記排気熱回収器に熱回収媒体を循環させるための媒体循環手段と、前記媒体温情報検出手段が検出する熱回収媒体の温度情報が予め設定された媒体温閾値以下となった場合に、前記媒体循環手段を駆動する制御手段と、を備えるものである。
かかる構成を備える排気熱回収器の凍結防止装置によれば、熱回収媒体の温度情報が媒体温閾値以下となった場合に、媒体循環手段が駆動して熱回収媒体が循環される。例えば熱回収媒体の凍結温度あるいはそれより少し高い温度に相当する値を媒体温閾値として設定しておき、熱回収媒体の循環経路上に比較的温度の高い場所があれば熱回収媒体の温度は凍結温度より高くなるので、その凍結が抑制される。
本発明(第2の発明)の排気熱回収器の凍結防止装置は、上記第1の発明の構成において、前記媒体温情報検出手段が検出する熱回収媒体の温度情報は、前記媒体排出管内の熱回収媒体の温度情報であることが望ましい。
かかる構成を備える排気熱回収器の凍結防止装置によれば、媒体排出管内の熱回収媒体の凍結をより的確に抑制することができ、媒体排出管内の熱回収媒体が凍結することによって生じる既述した問題の発生がより的確に抑制される。
また、本発明の排気熱回収器の凍結防止装置は、以下のように構成されていてもよい。すなわち、本発明(第3の発明)の排気熱回収器の凍結防止装置は、第1又は第2の発明の構成において、外気の温度情報を検出する外気温情報検出手段を更に備えており、前記制御手段は、前記媒体温情報検出手段が検出する熱回収媒体の温度情報が予め設定された媒体温閾値を超えている場合であっても、前記外気温情報検出手段が検出する外気の温度情報が予め設定された外気温閾値以下となる状態が一定時間継続した場合に、前記媒体循環手段を駆動する、ものである。
かかる構成を備える排気熱回収器の凍結防止装置によれば、前記媒体温情報検出手段が検出する熱回収媒体の温度情報が予め設定された媒体温閾値を超えている場合であっても、外気の温度情報が外気温閾値以下となる状態が一定時間継続した場合に、媒体循環手段が駆動して熱回収媒体が循環される。したがって、例えば熱回収媒体の凍結温度あるいはそれより少し高い温度に相当する値を外気温閾値として設定しておくことで、熱回収媒体は、凍結温度まで低下する前に循環され、これにより、熱回収媒体の凍結がより一層確実に抑制される。
また、本発明の排気熱回収器の凍結防止装置は、以下のように構成されていてもよい。すなわち、本発明(第4の発明)の排気熱回収器の凍結防止装置は、第1又は第2の発明の構成において、前記制御手段は、前記媒体温情報検出手段が検出する熱回収媒体の温度情報が前記媒体温閾値を超えた場合に前記媒体循環手段を停止するものである。
かかる構成を備える排気熱回収器の凍結防止装置によれば、熱回収媒体の温度情報が一旦媒体温閾値以下になって媒体循環手段が駆動された後、熱回収媒体が昇温してその温度情報が媒体温閾値を超えた場合に、媒体循環手段が停止するので、無駄な駆動エネルギーの消費が回避される。
また、本発明の排気熱回収器の凍結防止装置は、以下のように構成されていてもよい。すなわち、本発明(第5の発明)の排気熱回収器の凍結防止装置は、第3の発明の構成において、前記制御手段は、前記媒体温情報検出手段が検出する熱回収媒体の温度情報が予め設定された媒体温閾値を超え、且つ、前記外気温情報検出手段が検出する外気の温度情報が外気温閾値を超えた場合に前記媒体循環手段を停止するものである。
かかる構成を備える排気熱回収器の凍結防止装置によれば、熱回収媒体の温度情報が一旦媒体温閾値以下になって媒体循環手段が駆動された後、熱回収媒体が昇温してその温度情報が媒体温閾値を超え、且つ、外気温情報検出手段が検出する外気の温度情報が外気温閾値を超えた場合に、媒体循環手段が停止するので、無駄な駆動エネルギーの消費が回避される。
本発明のプラグインハイブリッド車両は、第1〜5の発明の何れか1に係る排気熱回収器の凍結防止装置と、家庭用電源から電力供給を受けて、バッテリを充電するための充電装置と、を備え、前記媒体循環手段が、前記バッテリより駆動電力の供給を受ける電動ウォータポンプで構成されているものである。
かかる構成を備えるプラグインハイブリッド車両によれば、内燃機関を停止して車両を駐車した状態でも、電動ウォータポンプは、バッテリを介して家庭用電源から電力供給を受けながら駆動するので、バッテリ上がりの心配がない。
本発明によれば、排気熱回収器内や排気熱回収器に出入りする配管内の熱回収媒体の凍結を抑制することが可能である。
以下、本発明の実施の形態に係る排気熱回収器の凍結防止装置について説明する。本実施形態では、2つのモータ・ジェネレータを備え、且つFF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両として構成されたプラグインハイブリッド車両に搭載された、排気熱回収器の凍結防止装置を例に挙げて説明する。なお、プラグインハイブリッド車両は、後述する走行用バッテリ8を充電するための充電装置を搭載し、家庭用電源からも充電可能な機能を備えたハイブリッド車両である。以下では、プラグインハイブリッド車両を単にハイブリッド車両という。
<ハイブリッドシステムの全体構成>
まず、図1に基づいて、ハイブリッド車両に搭載されたハイブリッドシステムの概略構成について説明する。このハイブリッド車両は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジン1と、第1および第2のモータジェネレータ2,3とを備えている。
エンジン1の吸気通路11には、吸入空気の浄化を行うエアクリーナ11a、このエアクリーナ11aを通ってエンジン1に吸入される空気量を検知するエアフローメータ11b、エンジン1に吸入される空気量を調整するための電子スロットルバルブ12が設けられている。電子スロットルバルブ12には図示しないスロットルポジションセンサが設けられている。EFI−ECU(エンジンECU(Electronic Control Unit))100には、上記エアフローメータ11bにより検知された吸入空気量の信号や、スロットルポジションセンサにより検知された電子スロットルバルブ12の開度信号(スロットル開度信号)等が入力される。
運転席近傍にはアクセルペダル4が設けられ、運転者によるアクセルペダル4の踏込み量は、アクセルポジションセンサ41によって検知される。このアクセルポジションセンサ41は、検知されたアクセルペダル4の踏込み量に対応する検知信号をHV−ECU(ハイブリッドECU)200に送信する。
HV−ECU200は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品としており、各種プログラムを実行して後述する機能を遂行する。
また、エンジン1の排気通路(排気管)13には、三元触媒13a、この三元触媒13aに導入される排気における空燃比(A/F)を検知する空燃比センサ13b、三元触媒13aの温度を検知する触媒温度センサ13c、排気熱回収器14、消音器16などが設けられている。EFI−ECU100には、空燃比センサ13bにより検知された三元触媒13aに導入される排気の空燃比や、触媒温度センサ13cにより検知された三元触媒13aの温度等が入力される。また、EFI−ECU100には、エンジン1の冷却水の温度を検知するエンジン近傍用水温センサ17からエンジン内の冷却水温を示す信号が入力される。
ハイブリッド車両には、その他に、エンジン1やモータジェネレータ2,3で発生した動力を駆動輪5,5に伝達したり、駆動輪5,5の回転力をエンジン1やモータジェネレータ2,3に伝達したりする減速機6と、エンジン1が発生する動力を駆動輪5,5と第1モータジェネレータ2との2経路に分配する動力分配機構(例えば、遊星歯車機構で構成されている)7と、各モータジェネレータ2,3を駆動するための電力を蓄電する走行用バッテリ8と、この走行用バッテリ8の直流と各モータジェネレータ2,3の交流とを変換しながら電流制御を行うインバータ81と、走行用バッテリ8の充放電状態を管理制御するバッテリ制御ユニット300(以下、「バッテリECU300」という。)とが備えられている。そして、HV−ECU200は、エンジン1の動作状態を制御するEFI−ECU100や上記バッテリECU300を相互に管理制御して、ハイブリッド車両が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御する。なお、HV−ECU200には、駆動輪5,5の回転速度を検知する車輪速センサ51から駆動輪5の回転速度を示す信号が入力される。
走行用バッテリ8には、家庭用電源プラグ83を備える充電回路(充電装置)84が接続されている。この充電回路84は、家庭用電源プラグ83を介して家庭用電源から電力供給を受けて走行用バッテリ8を充電する。
なお、走行用バッテリ8とインバータ81との間には、走行用バッテリ8からモータジェネレータ2,3に電力を供給する際に、電力を昇圧するためのコンバータ82が設けられている。
動力分配機構7には、エンジン1の動力を、駆動輪5,5と第1モータジェネレータ2との両方に振り分けるために、遊星歯車機構(プラネタリギヤ)が使用される。なお、第1モータジェネレータ2の回転数を制御することにより、動力分配機構7は無段変速機としても機能する。
図1に示すようなハイブリッドシステムを搭載するハイブリッド車両においては、発進時や低速走行時等であってエンジン1の運転効率が悪い場合には、第2モータジェネレータ3のみによりハイブリッド車両の走行(以下、「EV走行」ともいう。)を行い、通常走行時には、例えば動力分配機構7によりエンジン1の動力を2経路に分け、一方で駆動輪5,5の直接駆動を行い、他方で第1モータジェネレータ2を駆動して発電を行う。この時、発生する電力で第2モータジェネレータ3を駆動して駆動輪5,5の駆動補助を行う。また、高速走行時には、さらに走行用バッテリ8からの電力を第2モータジェネレータ3に供給し、この第2モータジェネレータ3の出力を増大させて駆動輪5,5に対して駆動力の追加(駆動力アシスト)を行う。一方、減速時には、駆動輪5,5により従動する第2モータジェネレータ3がジェネレータとして機能して回生発電を行い、回収した電力を走行用バッテリ8に蓄える。
さらに、上記ハイブリッド車両においては、車両の運転状態や走行用バッテリ8の状態によって、燃費を向上させるために、エンジン1を停止させる。そして、その後も、車両の運転状態や走行用バッテリ8の状態を検知して、エンジン1を再始動させる。このように、ハイブリッド車両においては、イグニッションスイッチがON位置であってもエンジン1は間欠運転される。
<排熱回収システム>
図2Aおよび図2Bは、ハイブリッド車両のエンジン1の冷却水循環経路および制御信号の流れを模式的に示す概略図である。この図に示すように、冷却水循環経路には、ラジエータ91、サーモスタット92、電動ウォータポンプ93、ヒータコア94、排気熱回収器14、これら各機器91〜94,14を接続する配管・ホース類H1〜H6が設けられている。
ラジエータ91のロアタンク91aとサーモスタット92とは、ロアホースH1によって接続されている。電動ウォータポンプ93の吐出口は、エンジン1に形成されたウォータジャケット1aに連通している。このウォータジャケット1aでは、電動ウォータポンプ93から供給される冷却水(熱回収媒体)がシリンダブロック側のウォータジャケット1aAを経た後、シリンダヘッド側のウォータジャケット1aBに導入され、その後、取り出し管H2によってエンジン1から取り出される。
上記取り出し管H2は、下流側において分岐されている。一方の分岐先は、ヒータ用導入ホースH3によってヒータコア94に接続されている。取り出し管H2の他方の分岐先は、アッパホースH4によってラジエータ91のアッパタンク91bに接続されている。ヒータコア94と排気熱回収器14とは導入ホースH5によって接続されており、排気熱回収器14と電動ウォータポンプ93の吸入側とは排出ホースH6によって接続されている。
ラジエータ91は、ダウンフロータイプのものであり、アッパタンク91bとロアタンク91aとの間にラジエータコア91cが設けられている。エンジン1からアッパホースH4を経てアッパタンク91bに回収された冷却水は、ロアタンク91aに向けてラジエータコア91cの内部を流下する際に、外気との間で熱交換を行い、外気に放熱することで当該冷却水が冷却される。なお、アッパタンク91bにはラジエータキャップ95が着脱自在に装着されている。
サーモスタット92は、冷却水温に応じて、冷却水循環経路の水路を切り換える。すなわち、冷却水温度が比較的低いエンジン1の冷間時には、サーモスタット92のバルブが閉鎖して、ラジエータ91のロアタンク91aと電動ウォータポンプ93との間の水路を遮断し、ラジエータ91側に冷却水が流れない。これによりエンジン1の暖機運転の早期完了が図られる。一方、エンジン1の暖機完了後など、冷却水温度が比較的高い場合には、サーモスタット92のバルブが開放して、ラジエータ91のロアタンク91aと電動ウォータポンプ93との間の水路を開放し、ラジエータ91に冷却水の一部を流すことでその冷却水が回収した熱がラジエータ91によって大気に放出される。
電動ウォータポンプ93は、冷却水循環経路内の冷却水を循環させる冷却水循環手段であり、走行用バッテリ8からの駆動電流がモータ駆動回路96を介して供給されることにより駆動するようになっている。なお、モータ駆動回路96は、HV−ECU200からの制御信号に従って電動ウォータポンプ93を駆動する。
ヒータコア94は、冷却水の熱を利用して車室内を暖房するためのものであって、エアコンディショナの送風ダクトに臨んでいる。つまり、車室内の暖房時には送風ダクト内を流れる空調風をヒータコア94に通過させて温風として車室内に供給する一方、それ以外(例えば冷房時)では空調風がヒータコア94をバイパスするようになっている。
排気熱回収器14は、エンジン1の排気ガスと冷却水流入管(媒体流入管;導入ホースH5および流入接続管14a)より流入する冷却水との間で熱交換を行い、熱交換後の冷却水を冷却水排出管(媒体排出管;排出接続管14bおよび排出ホースH6)より排出する。導入ホースH5は、排気熱回収器14に設けられた流入接続管14aへ接続され、この流入接続管14aから脱抜しないようにクランプ14cにて固定されている。また、排出ホースH6は、排気熱回収器14に設けられた排出接続管14bへ接続され、この排出接続管14bから脱抜しないようにクランプ14cにて固定されている。なお、排出接続管14bには、管内の冷却水の温度情報を検出してこれをHV−ECU200へ送出する排出管用水温センサ97が設置されている。なお、この排出管用水温センサ97は、排出ホースH6など冷却水温の情報を検出できる他の場所に設けられていてもよいが、排気熱回収器14から排出された直後の冷却水温を検出できる位置、つまり、排出接続管14bに設けられていることが望ましい。
排気熱回収器14の長手方向一端側(図中左端側)は、上流側排気管13Aに接続されてエンジン1側から排気ガスが導入され、排気熱回収器14の長手方向他端側(図中右端側)に接続された下流側排気管13Bから排出されるようになっている。そして、排気熱回収器14の内部には熱交換部が収容されており、この熱交換部において排気ガスと冷却水との間で熱交換が行われるようになっている。
この熱交換部には種々の形態が適用される。例えば、一端が流入接続管14aに、他端が排出接続管14bにそれぞれ連通する螺旋配管が熱交換部として内部に収容されたものが適用される。この構成例では、エンジン1の運転に伴って排気ガスが上流側排気管13Aを経て排気熱回収器14の内部を流れる際に、この螺旋配管の外側を流れる排気ガスと、螺旋配管の内側を流れる冷却水との間で熱交換が行われる。その結果、螺旋配管の内側を流れる冷却水の温度が上昇し、排熱の回収が行われる。
なお、この熱交換によって温度が低下した排気ガスは、下流側排気管13Bを経た後、触媒コンバータやマフラを通過して大気に放出される。一方、温度が上昇した冷却水は排出ホースH6を経てエンジン1側へ循環され、昇温した冷却水の熱が車室内暖房用やエンジン暖機用として利用される。
図2Aおよび図2Bに示すように、HV−ECU200には、排出管用水温センサ97、イグニッションスイッチ98および外気温センサ99が接続されている。外気温センサ99は、外気の温度情報を検出し、これをHV−ECU200へ送出するものであり、上記ハイブリッド車両において、エンジン1、排気管13等の熱源からの影響を受けない場所に設置されている。
<冷却水循環動作および排熱回収動作>
次に、冷却水の循環動作および排気熱回収器14による排熱回収動作について簡単に説明する。
先ず、エンジン1の冷間時には、サーモスタット92が閉鎖され、電動ウォータポンプ93が駆動することにより、図2Aの矢印で示すように冷却水が循環する。すなわち、冷却水は、電動ウォータポンプ93、ウォータジャケット1aA,1aB、取り出し管H2、ヒータ用導入ホースH3、ヒータコア94、導入ホースH5、排気熱回収器14、排出ホースH6、電動ウォータポンプ93の順に循環する。これにより、比較的少量の冷却水を、ラジエータ91を回避して循環させることで、ラジエータ91における放熱を行わず、エンジンの暖機を早期に完了させる。
一方、エンジン1の暖機完了後には、サーモスタット92が開放され、図2Bの矢印で示すように、ラジエータ91、ロアホースH1、サーモスタット92、電動ウォータポンプ93、ウォータジャケット1aA,1aB、取り出し管H2の順に冷却水が流れる。更に、この取り出し管H2によりエンジン1から取り出された冷却水は、ヒータ用導入ホースH3とアッパホースH4とに分流される。ヒータ用導入ホースH3に分流された冷却水は、ヒータコア94、導入ホースH5、排気熱回収器14、排出ホースH6を経た後、電動ウォータポンプ93に吸入される。一方、アッパホースH4に分流された冷却水は、ラジエータ91に戻される。これにより、一部の冷却水の熱をラジエータ91によって大気に放出して冷却水を冷却し、エンジン1を適温に維持することになる。
<排気熱回収器の凍結防止装置>
次に、本発明の特徴的部分である排気熱回収器の凍結防止装置について詳しく説明する。
この排気熱回収器の凍結防止装置は、上記循環経路内の冷却水の温度情報を検出する冷却水温情報検出手段と、外気の温度情報を検出する外気温情報検出手段と、排気熱回収器14に冷却水を循環させるための冷却水循環手段と、前記冷却水循環手段の駆動を制御する制御手段と、を備えている。
上記各手段は、電動ウォータポンプ93、モータ駆動回路96、HV−ECU200、排出管用水温センサ97、外気温センサ99等によって構成される。すなわち、HV−ECU200が、排出管用水温センサ97、外気温センサ99等からの入力情報並びに予めROMに設定された閾値情報に基づいて後述する処理動作を実行することにより上記各手段が実現される。
以下に、排気熱回収器の凍結防止装置において実行される電動ウォータポンプ93の駆動制御について図3のフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の処理動作は、イグニッションスイッチ98からのイグニッション信号の「オン」、「オフ」状態にかかわり無く実行される。また、HV−ECU200は、外気温センサ99からの外気の温度情報が後述する外気温閾値以下となった時に、その状態の継続時間を計時する計時手段としても機能する。
ステップST1において、HV−ECU200は、排出管用水温センサ97からの冷却水の温度情報が、予め設定された冷却水温閾値(例えば冷却水が「0℃」であるときに相当する値)以下であるか否かを判定する。ここで、肯定判定をした場合は処理がステップST2に進められ、否定判定をした場合は、処理がステップST3に進められる。
ステップST2において、HV−ECU200は、モータ駆動回路96を介して電動ウォータポンプ93を駆動し又は、電動ウォータポンプ93が既に駆動している場合はその状態を継続する。このとき、HV−ECU200は、モータ駆動回路96に対して電動ウォータポンプ93を駆動させるための制御信号を送出し、これを受けたモータ駆動回路96が電動ウォータポンプ93を駆動する。この結果、図2Aの矢印に示したように、冷却水が循環する。
ステップST3において、HV−ECU200は、外気温センサ99からの外気の温度情報が、予め設定された外気温閾値(例えば外気が「0℃」であるときに相当する値)以下であって、その状態が設定時間(一定時間;例えば「20分」)以上継続しているか否かを前記計時手段により計時した継続時間に基づいて判定する。ここで、肯定判定をした場合は処理がステップST2に進められ、否定判定をした場合は、処理がステップST3に進められる。
ステップST4において、HV−ECU200は、電動ウォータポンプ93の駆動を停止し又は、電動ウォータポンプ93が既に停止している場合は、停止状態を継続する。
なお、排出管用水温センサ97からの冷却水の温度情報が予め設定された冷却水温閾値(例えば冷却水が「0℃」であるときに相当する値)以下となる場合としては、寒冷地などでハイブリッド車両を長時間(例えば一夜)駐車する場合や、寒冷地において長時間EV走行をする場合などが考えられる。
以上に説明した排気熱回収器の凍結防止装置によれば、排出管用水温センサ97からの冷却水の温度情報が、予め設定された冷却水温閾値以下である場合、電動ウォータポンプ93が駆動され、冷却水が冷却水循環経路内を循環するので、排気熱回収器14内、冷却水流入管内(流入接続管14a、導入ホースH3)および冷却水排出管内(排出接続管14b、ヒータ用導入ホースH5)の冷却水が凍結し難くなる。
また、排出管用水温センサ97からの冷却水の温度情報が予め設定された冷却水温閾値を超えている場合であっても、外気温センサ99からの外気の温度情報が外気温閾値以下となる状態が一定時間継続すれば、電動ウォータポンプ93が駆動して冷却水が循環されるので、排気熱回収器14内、冷却水流入管内および冷却水排出管内の冷却水の凍結がより一層抑制される。例えば、外気温が短時間で急激に低下するような環境下で有効である。
[他の実施形態]
既述した本発明の実施形態では、本発明の排気熱回収器の凍結防止装置をプラグインハイブリッド車両に適用した場合について説明したが、本発明の排気熱回収器の凍結防止装置の適用範囲はこれに限らず、プラグイン機能を備えないハイブリッド車両、走行駆動源としてエンジンのみを備える車両にも適用できる。また、車両以外の用途に供されるエンジンの排気熱回収器にも適用可能である。
また、電動ウォータポンプ93に駆動電力を供給するための電源は走行用バッテリ8に限らず、補機用バッテリなどその他のバッテリであってもよい。その場合は、補機用バッテリなどその他のバッテリも充電回路84によって充電されるものであることが望ましい。
また、既述した本発明の実施形態は、回収した排熱を車室内暖房用やエンジン暖機用の熱として利用するものであったが、この熱を他の用途に利用するものにも本発明は適用可能である。例えば回収した排熱エネルギーを電気エネルギーに変換して利用するものなどである。
本発明は、例えば、自動車用エンジンの排気熱回収器の凍結防止装置として適用することができる。
本発明の実施の形態に係る排気熱回収器の凍結防止装置を搭載したプラグインハイブリッド車両のハイブリッドシステムの全体概略構成を示す図である。 エンジンの冷却水循環経路および制御信号の流れを模式的に示す概略図であって、冷間時の状態を示している。 エンジンの冷却水循環経路および制御信号の流れを模式的に示す概略図であって、暖機完了後の状態を示している。 電動ウォータポンプの駆動制御ルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
H3 導入ホース(媒体流入管)
H5 ヒータ用導入ホース(媒体排出管)
1 エンジン(内燃機関)
8 走行用バッテリ
14 排気熱回収器
14a 流入接続管(媒体流入管)
14b 排出接続管(媒体排出管)
83 家庭用電源プラグ
84 充電回路
93 電動ウォータポンプ(媒体循環手段)
96 モータ駆動回路
97 排出管用水温センサ(媒体温情報検出手段)
99 外気温センサ(外気温情報検出手段)
200 HV−ECU(制御手段)

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気ガスと媒体流入管より流入する熱回収媒体との間で熱交換を行い、熱交換後の熱回収媒体を媒体排出管より排出する排気熱回収器の凍結防止装置であって、
    前記熱回収媒体の温度情報を検出する媒体温情報検出手段と、
    前記排気熱回収器に熱回収媒体を循環させるための媒体循環手段と、
    前記媒体温情報検出手段が検出する熱回収媒体の温度情報が予め設定された媒体温閾値以下となった場合に、前記媒体循環手段を駆動する制御手段と、
    を備えることを特徴とする排気熱回収器の凍結防止装置。
  2. 請求項1に記載の排気熱回収器の凍結防止装置において、
    前記媒体温情報検出手段が検出する熱回収媒体の温度情報は、前記媒体排出管内の熱回収媒体の温度情報である、ことを特徴とする排気熱回収器の凍結防止装置。
  3. 請求項1又は2に記載の排気熱回収器の凍結防止装置において、
    外気の温度情報を検出する外気温情報検出手段を更に備えており、
    前記制御手段は、前記媒体温情報検出手段が検出する熱回収媒体の温度情報が予め設定された媒体温閾値を超えている場合であっても、前記外気温情報検出手段が検出する外気の温度情報が予め設定された外気温閾値以下となる状態が一定時間継続した場合に、前記媒体循環手段を駆動する、ことを特徴とする排気熱回収器の凍結防止装置。
  4. 請求項1又は2に記載の排気熱回収器の凍結防止装置において、
    前記制御手段は、前記媒体温情報検出手段が検出する熱回収媒体の温度情報が前記媒体温閾値を超えた場合に前記媒体循環手段を停止する、ことを特徴とする排気熱回収器の凍結防止装置。
  5. 請求項3に記載の排気熱回収器の凍結防止装置において、
    前記制御手段は、前記媒体温情報検出手段が検出する熱回収媒体の温度情報が予め設定された媒体温閾値を超え、且つ、前記外気温情報検出手段が検出する外気の温度情報が外気温閾値を超えた場合に前記媒体循環手段を停止する、ことを特徴とする排気熱回収器の凍結防止装置。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の排気熱回収器の凍結防止装置と、
    家庭用電源から電力供給を受けて、バッテリを充電するための充電装置と、
    を備え、
    前記媒体循環手段が、前記バッテリより駆動電力の供給を受ける電動ウォータポンプで構成されている、ことを特徴とするプラグインハイブリッド車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015086794A (ja) * 2013-10-31 2015-05-07 富士重工業株式会社 エンジンの排気熱回収装置

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