JP2009277271A - 光記録媒体の記録方法、光記録媒体、情報が記録された記録媒体の製造方法および光記録媒体の記録装置 - Google Patents

光記録媒体の記録方法、光記録媒体、情報が記録された記録媒体の製造方法および光記録媒体の記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】1つの記録層により多くの層の記録を行って、光記録媒体の製造工程を簡略化可能とする。
【解決手段】2光子吸収化合物を有する記録層13の一方側に隣接する第1隣接層(中間層12)と、記録層の他方側に隣接する第2隣接層(中間層12)とを備えた光記録媒体(光記録ディスク10)の記録方法であって、記録層13のうち、第1隣接層との第1の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、第1の界面の反射率の変化を利用して記録層13内における1層目に情報を記録する工程と、記録層13のうち、第2隣接層との第2の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、第2の界面の反射率の変化を利用して記録層13内における2層目に情報を記録する工程と、を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、光記録媒体の記録方法、光記録媒体、情報が記録された記録媒体の製造方法および光記録媒体の記録装置に関する。
DVD−R、Blu−ray(登録商標)ディスクなどの光記録媒体は、記録容量を増大させるため、2層に情報を記録する方式が採られている。近年では、さらに多くの層に記録をするため、2光子吸収化合物を用いた記録方法が研究されている。
2光子吸収化合物は、同時に2つの光子が入ったときに限り光を吸収して電子が励起される化合物である。そのため、2光子吸収化合物は、光の強度の2乗に比例して反応が起こり、深さ方向の位置選択性が高いという特性を有する。より具体的には、レーザ光を収束させて照射した場合、2光子吸収化合物は焦点近傍のみにおいて光を吸収し、深さ方向(光軸方向)に離れた位置では反応が起こらない。そのため、2光子吸収化合物は深さ方向の狭い領域に反応を起こすことができ、この化合物からなる記録層は多層の記録に適しているのである。
従来の2光子吸収化合物を用いた多層記録型の光記録媒体では、記録層同士の間に中間層を設けている。例えば、記録層の厚さは0.01〜0.5μm、中間層の厚さは0.1〜5μmとしていた(特許文献1)。中間層の厚さは、層間クロストークが生じない程度の十分な厚さをとっており、記録層の厚さは、記録層と中間層の間の界面の反射強度で、十分な変調が得られるような厚さとしていた。この界面の反射について詳しく説明すると、未記録の状態においては、記録層の下(記録または再生のためのレーザ光が入射してくる側を上とする)側の界面での反射光と、上側の界面での反射光との光路差を利用し、この2つの反射光が干渉して弱め合うように設定することにより反射光を弱めておく。そして、記録後は記録層の屈折率を変えることで、記録層の下側からの反射光の光路長を変え、上側の界面で反射した光と下側の界面で反射した光との干渉の結果、未記録の場合よりも強い光が帰るようにしていた。
そのため、従来は、上側界面の反射光と下側界面の反射光との干渉の程度が調整可能な程度の、ナノメートルレベルの薄い記録層が用いられていた。
特開2008−074708号公報
しかし、上記のような光記録媒体は、1つの記録層に1層しか情報を記録できないため、多層記録のために記録したい層数分の記録層が必要で、製造工数が多くなるという問題があった。
本発明は、上述の背景に鑑みなされたもので、1つの記録層内により多くの層の記録を行って、光記録媒体の製造工程を簡略化可能とすることを目的とする。
前記した課題を解決する本発明は、露光することにより屈折率の変化が可能な2光子吸収化合物を有する記録層と、前記記録層の一方側に隣接する第1隣接層と、前記記録層の他方側に隣接する第2隣接層とを備えた光記録媒体の記録方法であって、前記記録層のうち、前記第1隣接層との第1の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第1の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における1層目に情報を記録する工程と、前記記録層のうち、前記第2隣接層との第2の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第2の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における2層目に情報を記録する工程とを有することを特徴とする。
このような方法によれば、記録層と第1隣接層との間の第1の界面の反射率の変化を利用して1層目の情報の記録ができるとともに、記録層と第2隣接層との間の第2の界面の反射率の変化を利用して2層目の情報の記録ができる。すなわち、1つの記録層に2層の記録ができるので、従来の2光子吸収化合物を利用した記録媒体と比較すると、同じ情報記録層数(ここでは、隣接する層と物質的に区別された「記録層」の数ではなく、情報を記録した部分の層数の意味である。以下、この意味でいう場合の層を「情報記録層」とする。)のために、半分の数の記録層があればよい。したがって、光記録媒体の製造工程を簡略化することが可能である。
そして、上記の方法では、前記光記録媒体は、複数層の前記記録層と、各記録層を挟む中間層とを有し、当該中間層が、前記第1隣接層または前記第2隣接層であるような構成であってよい。すなわち、複数の記録層がある場合であってもよい。
このような方法で記録される光記録媒体は、露光することにより屈折率の変化が可能な2光子吸収化合物を有する複数の記録層と、前記複数の記録層のそれぞれを挟む中間層と、前記記録層および前記中間層を支持する基板とを備え、前記記録層の厚みは、2光子吸収反応が起こる範囲の大きさよりも大きく、前記記録層のうち、隣接する前記中間層との界面に隣接する領域のみの屈折率が露光により変化されることで、前記中間層と前記記録層の界面の屈折率差に起因した反射率の変化が引き起こされ、1つの記録層内で2層に情報が記録されることを特徴とする。
すなわち、従来の2光子吸収化合物を用いた多層記録の光記録媒体では、記録層が、2光子吸収反応が起こる範囲の大きさより小さい厚さの記録層が設けられていたが、本発明の記録媒体では、1層の記録層内に2層の情報を記録するため、記録層の厚さを、2光子吸収反応が起こる範囲の大きさよりも大きくしている。
このような媒体において、できるだけ多くの数の記録層を設けるため、記録層と中間層とは、ともに、層間クロストークを発生させない範囲で薄いのがよく、そのため、両層は、同等の厚みにするのがよい。例えば、前記記録層の厚みは、前記中間層の厚みの0.5〜2倍であるのが望ましい。
記録層の厚さは、層間クロストークが起こらないようにするため、1μm以上であり、深さ方向の記録密度を向上させるため、20μm以下であるのが望ましい。
前記した課題を解決する本発明は、前記した方法を用いた、情報を記録した記録媒体の製造方法を提供する。すなわち、露光することにより屈折率の変化が可能な2光子吸収化合物を有する記録層と、前記記録層の一方側に隣接する第1隣接層と、前記記録層の他方側に隣接する第2隣接層とを備え、情報が記録された光記録媒体の製造方法であって、前記記録層のうち、前記第1隣接層との第1の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第1の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における1層目に情報を記録する工程と、前記記録層のうち、前記第2隣接層との第2の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第2の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における2層目に情報を記録する工程と、を有することを特徴とする。
また、前記した課題を解決する本発明の装置は、露光することにより屈折率の変化が可能な2光子吸収化合物を有する記録層と、前記記録層の一方側に隣接する第1隣接層と、前記記録層の他方側に隣接する第2隣接層とを備えた光記録媒体の記録装置であって、レーザ光を発するレーザ光源と、前記レーザ光源が発するレーザ光を集光する光学系と、前記光学系を動かして前記レーザ光のフォーカス位置を調整するフォーカスアクチュエータと、前記レーザ光および前記光記録媒体の少なくとも一方を相対的に移動させることで、前記光記録媒体に対する前記レーザ光の照射位置を移動させる走査装置と、前記走査装置およびフォーカスアクチュエータを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記走査装置およびフォーカスアクチュエータを制御して、前記記録層のうち、前記第1隣接層との第1の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第1の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における1層目に情報を記録し、前記記録層のうち、前記第2隣接層との第2の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第2の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における2層目に情報を記録することを特徴とする。
このような製造方法および装置によれば、前記した記録方法と同様に、1つの記録層に2層の記録ができるので、従来の2光子吸収化合物を利用した記録媒体と比較すると、同じ情報記録層数のために、半分の数の記録層があればよい。したがって、光記録媒体の製造工程を簡略化することが可能である。
そして、このような装置においては、前記制御装置は、前記走査装置および前記フォーカスアクチュエータを制御して、情報が未記録の領域における前記第1の界面または前記第2の界面にレーザ光をフォーカシングし、当該界面に隣接する領域の層に情報を記録することが望ましい。
このように情報が未記録の領域でフォーカシングを行うことにより、反射光の光量が安定するので安定したフォーカシングを行うことが可能である。なお、ここでいう情報が未記録の領域というのは、記録することができるが、未だ記録していない領域と、その記録媒体の仕様としてそもそも記録する予定のない、いわば非記録領域の両方を意味する。
上述したように、本発明の光記録媒体の記録方法、光記録媒体、情報が記録された記録媒体の製造方および光記録媒体の記録装置によれば、光記録媒体の1つの記録層で2層に情報を記録できるため、従来の2光子吸収化合物を利用した光記録媒体よりも光記録媒体の層数を少なくし、製造工程を簡略化することが可能である。
次に、本発明の実施形態に係る光記録ディスクの記録装置およびこれを利用した記録方法(製造方法)について説明する。参照する図において、図1は、実施形態に係る光記録ディスクの記録装置(以下、「光記録ディスクドライブ」という)の概略構成を示す図であり、図2は、光記録ディスクの拡大断面図であり、図3は、光ピックアップの拡大図であり、図4は、制御装置のブロック図であり、図5は、光記録ディスクに記録されるピットの位置を説明する光記録ディスクの拡大断面図である。
図1に示すように、光記録ディスクドライブ1は、コンピュータ(PC)などから入力された情報(データ)を光記録ディスク10に光学的に記録する装置であり、主として、光記録ディスク10を支持するスピンドル31、スピンドル31を回転させるモータ32、光ピックアップ20、光ピックアップ20が光記録ディスク10の径方向に移動するのを案内するガイド33および制御装置100を備えてなる。
図2に示すように、光記録媒体の一例としての光記録ディスク10は、基板11の上に、複数の中間層12を有し、各中間層12の間に記録層13が挟まれるようにして設けられている。そして、一番上の中間層12の上には、カバー層14が設けられている。
基板11は、中間層12および記録層13を支持するための板であり、樹脂板、ガラス板、金属板または半導体板などからなる。
中間層12は、第1隣接層および第2隣接層の一例であり、記録層13の間隔を保持するとともに、記録層13に隣接することで、記録層13との界面を形成して、当該界面での光の反射を可能にするものである。
中間層12の厚さは、1つの中間層12の上下にある情報記録層15,16の間で層間クロストークが起こらない程度の十分な大きさを有する。この観点からは、中間層12の厚さは、例えば、1μm以上であり、望ましくは5μm以上であり、さらに望ましくは10μm以上である。また、中間層12の厚みの増大は媒体全体の厚み増加を招き、層を多くする際の制限要因であることから、この観点からは、中間層12の厚さは、20μm以下であり、より望ましくは10μm以下であり、さらに望ましくは5μm以下である。
記録層13は、2光子吸収化合物を含む層である。2光子吸収化合物とは、同時に、厳密には極めて短い時間間隔内に2つの光子が入ったときに限り電子が励起して光を吸収する化合物である。本発明のように光記録媒体として用いる場合、この電子の励起エネルギーを利用して化学反応を起こさせ、これにより光(再生光に用いる光)の屈折率および吸収率などを変調させることが可能な化合物を用いる。2光子吸収化合物としては、例えばジアリルエテンを用いることができる。
記録層13の厚さは、図5に示すように、1つの記録層13の上側の中間層12との界面(第1の界面)に隣接する領域に記録される情報記録層15と、下側の中間層12との界面(第2の界面)に隣接する領域に記録される情報記録層16との間で層間クロストークが起こらない程度の十分な大きさを有する。つまり、記録層13の厚さは、2光子吸収反応が起こる範囲の大きさよりも大きい。この観点からは、記録層13の厚さは、例えば、1μm以上であり、望ましくは5μm以上であり、さらに望ましくは10μm以上である。また、記録層13の厚みの増大は媒体全体の厚み増加を招き、層を多くする際の制限要因であることから、この観点からは、記録層13の厚さは、20μm以下であり、より望ましくは10μm以下であり、さらに望ましくは5μm以下である。
カバー層14は、中間層12および記録層13を保護する層であり、記録時および再生時のレーザ光を透過可能であれば、材質は問わない。例えば、樹脂やガラスを用いることができる。さらに、記録層13が一光子吸収反応を生じる短波光を選択的に遮断できる材質であれば、自然光による記録層13の変質を防止することができる。
光記録ディスク10は、上記の各層以外に、反射防止膜や短波光の遮断膜など他の層を別途設けてあっても構わない。
一方、図3に示すように、光ピックアップ20は、鏡筒21に、レーザ光源としてのレーザ22、ビームスプリッタ23、コリメートレンズ24、シャッタ25、対物レンズ27、第1受光器28および第2受光器29が設けられてなる。
レーザ22は、間欠的に発光するパルスレーザであり、望ましくは、2光子吸収反応を効率的に起こすために、極めて短い時間内に強いレーザ光を発するフェムト秒レーザ光源を用いるのがよい。なお、レーザ22は、連続発振のレーザでもよく、レーザ発振の媒体は、記録層13の2光子吸収反応を起こすことができる限り、特に限定されない。
ビームスプリッタ23は、ハーフミラーなどからなり、レーザ22が発するパルスレーザ光の光路の下流側に配置されている。ビームスプリッタ23は、レーザ22から発したレーザの一部を第1受光器28に分岐させ、また、光記録ディスク10から戻ってきた光の一部を第2受光器29に分岐させる。
コリメートレンズ24は、ビームスプリッタ23に対しレーザ22が発するパルスレーザ光の光路の下流側に配置され、パルスレーザ光を平行光束に変換するレンズである。
シャッタ25は、パルスレーザ光を通過(オン)または遮断(オフ)させる素子であり、偏向素子25aと、開口25cを有するシャッタ板25bとを備えてなる。シャッタ25は、コリメートレンズ24に対し、レーザ22が発するパルスレーザ光の光路の下流側に配置されている。シャッタ25は、高速動作をさせるため、メカニカルでない光スイッチを用いるとよい。偏向素子25aは、電気光学変調素子(EOM)からなり、入力された信号に応じて屈折率が変化するものである。偏向素子25aに信号を入力しないときには、パルスレーザ光は開口25cを通過し、信号を入力したときには、パルスレーザ光が曲がることで、シャッタ板25bによりパルスレーザ光が遮断される。
対物レンズ27は、シャッタ25に対し、レーザ22が発するパルスレーザ光の光路の下流側に配置されている。対物レンズ27は、パルスレーザ光を集光して、記録層13においてパルスレーザ光が焦点を結ぶように機能する。なお、対物レンズ27は、図示しないフォーカスコイル41(図4参照)で位置が移動される。これにより、パルスレーザ光のフォーカスが制御される。
第1受光器28は、ビームスプリッタ23で分岐されたパルスレーザ光が入射され、この光を受光するものである。受光した信号は、制御装置100に入力される。
第2受光器29は、光記録ディスク10から反射し、さらにビームスプリッタ23で分岐された光をシリンドリカルレンズ29aを介して受光するものである。受光した信号は制御装置100に入力される。
上述のような光ピックアップ20は、走査装置の一例としての公知のアクチュエータ35により、ガイド33に沿って、つまり、光記録ディスク10の径方向に沿って移動が可能となっている。
図4に示すように、制御装置100は、記録すべきデータが入力され、第1受光器28および第2受光器29から入力された信号に基づいて、レーザ22、シャッタ25、アクチュエータ35、モータ32、フォーカスコイル41を制御する装置であり、変調回路110、同期信号発生回路115、発光駆動手段120、シャッタ駆動手段130、光ピックアップ移動手段145、回転駆動手段150、フォーカス演算手段160、フォーカス駆動手段161および記憶部190を備える。各手段は、専用の回路により構成されるか、CPU,ROM,RAMなどを備えるコンピュータにプログラムを実行させることにより実現される。
変調回路110は、変調手段の一例であり、記録すべきデータをピットの配置を示すデジタルデータ(以下、「ピット配列データ」とする。)に変調する回路である。変調回路110としては、例えば公知のEFM変調回路などを用いることができる。
同期信号発生回路115は、第1受光器28が受光した光の強度信号が入力され、この信号と同じタイミング(周波数)で同期信号を発生する回路である。この信号は、シャッタ駆動手段130、光ピックアップ移動手段145、回転駆動手段150の動作の同期に用いられる。なお、同期信号発生回路115で発生する同期信号は、必ずしも第1受光器28からの受光の信号に基づく必要はない。
発光駆動手段120は、レーザ22を発光させる駆動信号をレーザ22に出力する公知の手段である。
シャッタ駆動手段130は、変調回路110から入力されたピット配列データにしたがって、シャッタ25を駆動する手段である。シャッタ駆動手段130は、レーザ22が発するパルス光を適宜間引くことで、一定周期で発光するパルスレーザ光をピット配列データに対応するパターンで明滅するパルス光に変換する。この間引いた後のパルス光は、複数のパルス光を一つのピットに対応させるとよい。これにより、ピットの長さを複数種類形成することができる。なお、シャッタ駆動手段130の動作は、同期信号にしたがって動作タイミングが決定される。
光ピックアップ移動手段145は、公知の光記録ディスクドライブと同様に、光記録ディスク10上に螺旋状に記録トラックを形成するように、所定速度でアクチュエータ35を駆動する。これにより、光ピックアップ20は、光記録ディスク10の内径側から外径側へ、また、外径側から内径側へ、順次移動させられる。なお、光ピックアップ移動手段145には、同期信号発生回路115から同期信号が入力され、光ピックアップ20の移動速度は、この同期信号にしたがって調整される。
回転駆動手段150は、モータ32を駆動して、光記録ディスク10を回転駆動する公知の手段である。回転駆動手段150は、同期信号発生回路115から同期信号が入力され、この同期信号にしたがって回転速度が調整される。
この回転速度は、パルスレーザ光の一定周期で続いて発光するパルス光が、光記録ディスク10の周方向に重なって照射される程度の速度に設定されるのが望ましい。これにより、前記したように連続して発光するパルス光の数によりピットの長さを調整できる。すなわち、複数種類の長さのピットを形成することができる。
フォーカス演算手段160は、第2受光器29から受光の信号が入力され、対物レンズ27のフォーカス制御量を演算する手段である。フォーカス演算手段160は、例えば、公知の非点収差法などにより、フォーカスの制御量を演算する。また、フォーカス演算手段160は、現在記録している情報記録層の位置を決定、記憶して、当該情報記録層の位置に合わせてフォーカスの制御量を決定する。演算結果は、フォーカス駆動手段161に出力される。
フォーカス駆動手段161は、フォーカス演算手段160で演算されたフォーカス制御量に従い、フォーカスコイル41に信号を出力する手段である。
なお、フォーカス演算手段160は、情報記録層15,16の間で焦点の位置を移動する場合などに、データが未記録の領域、例えば、光記録ディスク10の内径側縁部または外径側縁部に予め設定してあるデータ記録範囲外の領域に移動した位置でフォーカスの制御量を演算するように構成される。すなわち、制御装置100は、光ピックアップ移動手段145により、情報が未記録の領域に光ピックアップ20を移動させ、フォーカス演算手段160により、記録層13と中間層12との界面にレーザ光にフォーカシングする。その後、所定の記録領域に光ピックアップ20を移動させ、記録層13のうち、中間層12との界面に隣接する領域の層に情報を記録する。
記憶部190は、制御装置100で行う演算の際に、適宜データを記憶する部分である。例えば、変調回路110での変調時の演算データや、現在記録中の情報記録層15,16の位置、フォーカスしている情報記録層15,16の位置などが記憶される。
以上のように構成された光記録ディスクドライブ1の動作について説明する。
コンピュータ(PC)などから制御装置100に入力されたデータは、変調回路110により、ピット配列データに変調される。
そして、回転駆動手段150は、モータ32を所定の回転速度で回転させて、光記録ディスク10を回転させる。
制御装置100は、記録を開始する前に、記録位置へ光ピックアップ20を移動させ、光ピックアップ20でレーザ光を照射すべき(フォーカシングする)情報記録層にフォーカスを合わせる。そのため、例えば、アクチュエータ35を駆動して光ピックアップ20を内径側の未記録位置に移動させ、これから記録すべき情報記録層へのフォーカシングを行う。一例の方法としては、最上方の記録層13と中間層12の界面にフォーカスを合わせ、その後、フォーカス位置を徐々に深くしていきながら、第2受光器29で明るさの変化を検出して界面の数をカウントしていく。そして、このカウントが記録すべき層に相当したら、フォーカス駆動手段161によりフォーカスコイル41に流す電流を微調整して、記録すべき情報記録層の位置へフォーカスを調整する。次に、アクチュエータ35を駆動して光ピックアップ20を光記録ディスク10の径方向に移動させて、情報記録層内における記録位置に対応する位置へ光ピックアップ20を移動させる。
光ピックアップ20を記録位置に対応する位置へ移動させたら、発光駆動手段120は、レーザ22を駆動し、レーザ22からは、間欠的なパルスレーザ光が出射される。シャッタ駆動手段130は、変調回路110が生成したピット配列データにしたがってシャッタ25を作動させる。これにより、ピット配列データにしたがって、パルスレーザ光が記録層13の情報記録層に照射され、その照射された部分で2光子吸収反応が起こって、屈折率が変化する。
このようにして、例えば、図5におけるピットP1のように、記録層13における下側の中間層12との界面に隣接する領域(情報記録層16)のみにおいて屈折率が変化した記録領域が形成される。
この情報記録層16での記録が、光記録ディスク10の全面において完了した後は、フォーカス演算手段160およびフォーカス駆動手段161により、一つ上の情報記録層15にフォーカスを移動させ、前記した過程と同様に、ピット配列データにしたがってシャッタ25を駆動して、情報を記録する。これにより、記録層13における上側の中間層12との界面に隣接する領域(情報記録層15)のみにおいて屈折率が変化し、ピットP2が形成される。
このような記録方法により、情報の記録、再生が可能であることについて次に説明する。
物質の界面に光が垂直に入射した場合における反射率Rは、一方の物質(例えば、記録層13)の屈折率をn1、もう一方の物質(例えば、中間層12)の屈折率をn2とすると、R=(n1−n2)/(n1+n2)で与えられる。
ここで、記録層13の未記録時の屈折率を1.7、記録後の屈折率を1.8とし、中間層12の屈折率を1.47とすると、記録前においては、反射率Rは0.53%であり、記録後の反射率Rは1.1%となる。なお、この値は、情報記録層15,16のいずれでも同じである。
つまり、記録後は、反射率Rが記録前のおよそ2倍になるので、本実施形態のように、一つの界面における反射率Rの変化でも情報の記録が可能である。
以上のようにして、本実施形態の光記録ディスクドライブ1による記録方法によれば、一つの記録層13内に、上側の中間層12との界面に隣接する情報記録層15および下側の中間層12との界面に隣接する情報記録層16の2つの情報記録層に情報が記録される。すなわち、1つの記録層13に2層の情報記録が可能であるため、従来と同じ数の情報記録層を設けるのであれば、記録層13の数を少なくできるので、光記録ディスク10の製造を簡略化することが可能となる。
また、本実施形態のように、他の情報記録層へのフォーカス移動時に、情報が未記録の領域でフォーカシングを行うことにより、所定の情報記録層へフォーカスをより確実に合わせることができる。
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明を適宜変形して実施することが可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施形態では、光記録媒体の一例として光記録ディスクを例示したが、光記録媒体は、必ずしもディスク形状である必要はなく、四角いカード型の媒体であってもよい。
また、走査装置の一例として、光ピックアップ20を光記録ディスク10の径方向へ移動させるアクチュエータ35を例示したが、レーザ光と光記録媒体の少なくとも一方を相対的に移動させることによりレーザ光を光記録媒体の記録範囲の全部に照射できればよいので、例えば、レーザ光を偏向させることにより走査を行ってもよい。
前記実施形態においては、第1隣接層および第2隣接層を共に同じ材質からなる中間層12を想定していたが、第1隣接層と第2隣接層は必ずしも同じ必要はなく、異なっていてもよい。例えば、最も上側の記録層13の上の層を直接、カバー層14にしてもよい。
実施形態に係る光記録ディスクの記録装置の概略構成を示す図である。 光記録ディスクの拡大断面図である。 光ピックアップの拡大図である。 制御装置のブロック図である。 光記録ディスクに記録されるピットの位置を説明する光記録ディスクの拡大断面図である。
符号の説明
1 光記録ディスクドライブ
10 光記録ディスク
11 基板
12 中間層
13 記録層
14 カバー層
15 情報記録層
16 情報記録層
20 光ピックアップ
22 レーザ
25 シャッタ
32 モータ
35 アクチュエータ
41 フォーカスコイル
100 制御装置

Claims (8)

  1. 露光することにより屈折率の変化が可能な2光子吸収化合物を有する記録層と、前記記録層の一方側に隣接する第1隣接層と、前記記録層の他方側に隣接する第2隣接層とを備えた光記録媒体の記録方法であって、
    前記記録層のうち、前記第1隣接層との第1の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第1の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における1層目に情報を記録する工程と、
    前記記録層のうち、前記第2隣接層との第2の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第2の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における2層目に情報を記録する工程と、
    を有することを特徴とする光記録媒体の記録方法。
  2. 前記光記録媒体は、複数層の前記記録層と、各記録層を挟む中間層とを有し、当該中間層が、前記第1隣接層または前記第2隣接層であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の記録方法。
  3. 露光することにより屈折率の変化が可能な2光子吸収化合物を有する複数の記録層と、
    前記複数の記録層のそれぞれを挟む中間層と、
    前記記録層および前記中間層を支持する基板とを備え、
    前記記録層の厚みは、2光子吸収反応が起こる範囲の大きさよりも大きく、前記記録層のうち、隣接する前記中間層との界面に隣接する領域のみの屈折率が露光により変化されることで、前記中間層と前記記録層の界面の屈折率差に起因した反射率の変化が引き起こされ、1つの記録層内で2層に情報が記録されることを特徴とする光記録媒体。
  4. 前記記録層の厚みは、前記中間層の厚みの0.5〜2倍であることを特徴とする光記録媒体。
  5. 前記記録層の厚さは、1〜20μmであることを特徴とする請求項3に記載の光記録媒体。
  6. 露光することにより屈折率の変化が可能な2光子吸収化合物を有する記録層と、前記記録層の一方側に隣接する第1隣接層と、前記記録層の他方側に隣接する第2隣接層とを備え、情報が記録された光記録媒体の製造方法であって、
    前記記録層のうち、前記第1隣接層との第1の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第1の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における1層目に情報を記録する工程と、
    前記記録層のうち、前記第2隣接層との第2の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第2の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における2層目に情報を記録する工程と、
    を有することを特徴とする情報が記録された記録媒体の製造方法。
  7. 露光することにより屈折率の変化が可能な2光子吸収化合物を有する記録層と、前記記録層の一方側に隣接する第1隣接層と、前記記録層の他方側に隣接する第2隣接層とを備えた光記録媒体の記録装置であって、
    レーザ光を発するレーザ光源と、前記レーザ光源が発するレーザ光を集光する光学系と、前記光学系を動かして前記レーザ光のフォーカス位置を調整するフォーカスアクチュエータと、前記レーザ光および前記光記録媒体の少なくとも一方を相対的に移動させることで、前記光記録媒体に対する前記レーザ光の照射位置を移動させる走査装置と、前記走査装置およびフォーカスアクチュエータを制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記走査装置およびフォーカスアクチュエータを制御して、前記記録層のうち、前記第1隣接層との第1の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第1の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における1層目に情報を記録し、前記記録層のうち、前記第2隣接層との第2の界面に隣接する領域に集光したレーザ光を照射して当該隣接領域のみの屈折率を変化させ、前記第2の界面の反射率の変化を利用して前記記録層内における2層目に情報を記録することを特徴とする記録装置。
  8. 前記制御装置は、前記走査装置および前記フォーカスアクチュエータを制御して、情報が未記録の領域における前記第1の界面または前記第2の界面にレーザ光をフォーカシングし、当該界面に隣接する領域の層に情報を記録することを特徴とする請求項7に記載の光記録媒体の記録装置。
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