JP2009275179A - グリース組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な基油でありながら、シリコーングリース、フッ素グリース及びポリフェニルエーテルを基油に使用したグリースと同等の耐熱性を持つグリース組成物を提供すること。
【解決手段】 基油としてポリ−α−オレフィン及び/又はエステル油、並びに酸化防止剤として下記の一般式(1)
【化1】
Figure 2009275179

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、Rは炭素数6〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、Aは酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1つ以上の原子を含んでもよい炭化水素基を表わし、m及びnはそれぞれ1〜5の数を表わす。)で表わされる化合物を含有することを特徴とするグリース組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温でも劣化が少なく、持続性に優れたグリース組成物に関する。
近年、自動車の小型化、軽量化および静粛性向上の要求に伴い、機械装置の小型化、軽量化が図られている。その一方で装置の高出力、高効率化が要求され、機械部品においては、小型化に伴って生じる出力の低下を高速回転させることで補う手法が採られている。そのため、ベアリングやギヤ等の機械部品は、従来にも増して高温化の傾向にある。更にグリースは、液状の潤滑油と違って流動性に乏しく、機械部品の高温部に接したところが部分的に加熱されるため、液状の潤滑油より高い耐熱性が要求されている。このため、耐熱性の高いグリースの要求が多くなっている。
ここで、グリースに使用される基油を選定することにより、グリースの耐熱性及び持続性を向上させることができることが知られている。こうしたグリースとしては、シリコーングリース、フッ素グリース及びポリフェニルエーテルを基油に使用したグリース(例えば、特許文献1〜3を参照)が知られており、これらのグリースは、それぞれシリコーンオイル、フッ素系オイル、ポリフェニルエーテル油を基油として使用している。しかし、これらの基油はいずれも非常に高価であり、これらの基油を使用したグリースを汎用の用途に使用することは経済的にできなかった。
また、比較的安価な基油に酸化防止剤を添加して、グリースの耐熱性を向上させることもできる。汎用の用途においてはこの方法が一般的に使用されており、使用される酸化防止剤としては、通常アミン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤が知られている(例えば、特許文献4、5を参照)。しかしながらこれらの酸化防止剤は高温状態が続くと、分解や昇華等の問題が発生するため、十分な酸化防止効果を発揮することはできず、高温状態が継続する状況において耐熱性の良好なグリースを得ることはできなかった。
一方、ヒンダードアミン系の化合物も潤滑油の酸化防止剤として使用できることが知られている(例えば、特許文献6を参照)。しかし、ヒンダードアミン系の化合物は、上記のアミン化合物やフェノール系化合物と比較して酸化防止性能にはほとんど差がないと考えられていた。
特開2002−021859号公報 特開2005−098505号公報 特開2003−27079号公報 特開平11−241087号公報 特開2001−026794号公報 特開昭60−28496号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、安価な基油でありながら、シリコーングリース、フッ素グリース及びポリフェニルエーテルを基油に使用したグリースと同等の耐熱性を持つグリース組成物を提供することにある。
そこで本発明者等は鋭意検討し、本発明に至った。即ち、本発明は、基油としてポリ−α−オレフィン及び/又はエステル油、及び酸化防止剤として下記の一般式(1)
Figure 2009275179
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、Rは炭素数6〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、Aは酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1つ以上の原子を含んでもよい炭化水素基を表わし、m及びnはそれぞれ1〜5の数を表わす。)
で表わされる化合物を含有することを特徴とするグリース組成物である。
本発明の効果は、安価な基油を使用した、耐熱性に優れたグリース組成物を提供したことにある。
本発明に利用することができる酸化防止剤は、下記の一般式(1)で表わされる。
Figure 2009275179
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、Rは炭素数6〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、Aは酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1つ以上の原子を含んでもよい炭化水素基を表わし、m及びnはそれぞれ1〜5の数を表わす。)
一般式(1)のRは、水素原子又はメチル基を表わすが、酸化防止性能が高いことから、水素原子であることが好ましい。
また、一般式(1)のRは炭素数6〜20の脂肪族炭化水素基を表わす。こうした脂肪族炭化水素基としては、例えば、直鎖及び分岐のオクチル基、2−エチルヘキシル基、2級オクチル基、直鎖及び分岐のノニル基、2級ノニル基、直鎖及び分岐のデシル基、2級デシル基、直鎖及び分岐のウンデシル基、2級ウンデシル基、直鎖及び分岐のドデシル基、2級ドデシル基、直鎖及び分岐のトリデシル基、2級トリデシル基、直鎖及び分岐のテトラデシル基、2級テトラデシル基、直鎖及び分岐のヘキサデシル基、2級ヘキサデシル基、直鎖及び分岐のステアリル基、直鎖及び分岐のエイコシル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−オクチルドデシル基、モノメチル分岐−イソステリアル基等のアルキル基;ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、へプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基等のアルケニル基が挙げられる。これらの脂肪族炭化水素基は1種又は2種以上の混合物でもよく、酸化防止性能が良好なことから、炭素数6〜20のアルキル基であることが好ましく、7〜18のアルキル基がより好ましく、7〜18で分岐のアルキル基が更に好ましい。炭素数が6未満あるいは20を超えると、良好な酸化防止性能を得ることができない。
一般式(1)のm及びnは、それぞれ1〜5の数である。mとnの和は2〜10になるが、グリースへの分散性が良好で、酸化防止性能も良好なことから、mとnの和は3〜6が好ましく、mとnの和が3〜6で且つmの値が2〜5であることがより好ましい。mとnの和が10より大きくなるとグリースへの分散性が低下し、結果として酸化防止剤としての性能を発揮できない場合や、分子量が大きくなりすぎてグリースに分散しない場合がある。また、mが0であると酸化防止剤として機能しなくなり、nが0であると、nが1以上の場合と比較して高温での酸化防止性能が劣ってしまう。
次に、一般式(1)のAについて説明する。Aは酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1つ以上の原子を含んでもよい炭化水素基であればいずれの化合物由来の基でもよいが、一般式(1)の化合物を容易に合成できることから、Aは下記の一般式(2)で表わされる有機多価カルボン酸由来の基であることが好ましい。
Figure 2009275179
(Aは酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1つ以上の原子を含んでもよい炭化水素基を表わし、qは2〜10の数を表わす。)
上記一般式(2)で表わされる多価カルボン酸は、カルボキシル基を2〜10個含有している多価カルボン酸であり、こうした多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、アセチレンジカルボン酸、ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロン酸、チオジプロピオン酸、チオグリコール酸、メチレンビスチオグリコール酸、イミノジ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、チオリンゴ酸、ジヒドロ酒石酸、エポキシコハク酸、3,4−ジオキシチオフェンジカルボン酸、1,4−ビスカルボキシエチルピペラジン、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、5−ビシクロ(2,2,1)ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、5−ビシクロ(2,2,2)ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等の2価カルボン酸;プロパントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ブテントリカルボン酸、ニトロトリ酢酸、クエン酸、トリスカルボキシエチルイソシアヌレート、トリメリット酸等の3価カルボン酸;ブタンテトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ピロメリット酸、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン−N,N,N',N'−テトラ酢酸等の4価カルボン酸;1,6,7,8,9,14−テトラデカンヘキサカルボン酸等の6価カルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸含有モノマーの重合物(カルボキシル基が2〜10個のオリゴマー)等が挙げられる。これらの多価カルボン酸の中でも、酸化防止性が優れていることから、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子を含有しないものが好ましく、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子を含有せず、カルボキシル基を3〜6個含有しているものがより好ましい。また、一般式(2)のAの炭素数としては2〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。こうした好ましい多価カルボン酸としては、例えば、プロパントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
本発明のグリース用酸化防止剤の製造方法は特に指定されるものではなく、公知の方法であればいずれの方法を用いてもよいが、好ましい合成方法としては、例えば、一般式(2)で表わされる有機多価カルボン酸と、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン及びROHで表わされるアルコールとのエステル化反応や、一般式(2)で表わされる有機多価カルボン酸のメチルエステルと、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン及びROHで表わされるアルコールとのエステル交換反応が挙げられる。これらの反応は公知の方法であればいずれの方法を使用することができ、アルコールの配合比によってmとnの比率を調整することができる。
本発明に使用できる基油は、ポリ−α−オレフィン及び/又はエステル油である。使用にあたっては、これらの1種又は2種の混合物を用いればよい。
ポリ−α−オレフィンの具体的な構造は、炭素数2〜18のα−オレフィンから選ばれる1種又は2種以上のモノマーを単独重合又は共重合したものであればよい。これらの中でも、炭素数4〜14のモノマーを使用したものが好ましく、数平均分子量が500〜20000のポリマーで、100℃における動粘度が1〜20mm/sのものがより好ましい。
エステル油としては、ジエステル油、トリエステル油、テトラエステル油、あるいはこれらの混合物を用いることができる。ジエステル油とは、二塩基酸とモノアルコールとの反応物あるいは二価のアルコールとモノ脂肪酸との反応物であり、二塩基酸としては、例えば、上記の多価カルボン酸の中で例示した2価カルボン酸を挙げることができる。
モノアルコールとしては、炭素数6〜18の1価のアルコールが好ましく、例えば、ヘキサノール、イソヘキサノール、2級ヘキサノール、ヘプタノール、イソヘプタノール、2級ヘプタノール、オクタノール、2―エチルヘキサノール、2級オクタノール、ノナノール、イソノナノール、2級ノナノール、デカノール、イソデカノール、2級デカノール、ウンデカノール、イソウンデカノール、2級ウンデカノール、ドデカノール、イソドデカノール、2級ドデカノール、トリデカノール、イソトリデカノール、2級トリデカノール、テトラデカノール、イソテトラデカノール、2級テトラデカノール、ヘキサデカノール、イソヘキサデカノール、2級ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
2価のアルコールとしては、炭素数2〜8の2価のアルコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、イソプレングリコール(3−メチル−1,3−ブタンジオール)、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。
モノ脂肪酸としては、炭素数6〜18の1価の脂肪酸が好ましく、例えば、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、イソオクタン酸、ノナン酸(ペラルゴン酸)、イソノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、イソデカン酸、ウンデカン酸、イソウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、イソドデカン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、イソステアリン酸等が挙げられる。
トリエステル油とは、三塩基酸とモノアルコールとの反応物あるいは3価のアルコールとモノ脂肪酸との反応物であり、三塩基酸としては、例えば、上記の多価カルボン酸の中で例示した3価カルボン酸を挙げることができる。また、モノアルコール及びモノ脂肪酸としては、例えば、上記のジエステル油の中で例示したモノアルコール及びモノ脂肪酸を挙げることができる。
3価のアルコールとしては、例えば、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、2,3,4−ヘキサントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、ペンタメチルグリセリン(2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール)等が挙げられる。
テトラエステル油とは、四塩基酸とモノアルコールとの反応物あるいは4価のアルコールとモノ脂肪酸との反応物であり、四塩基酸としては、例えば、上記の多価カルボン酸の中で例示した4価カルボン酸を挙げることができる。また、モノアルコール及びモノ脂肪酸としては、例えば、上記のジエステル油の中で例示したモノアルコール及びモノ脂肪酸を挙げることができる。
4価のアルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ソルビタン等が挙げられる。
これらのエステル油の中でも、耐熱性が良好なことからトリエステル油、テトラエステル油が好ましく、テトラエステル油がより好ましい。
更に、グリースに必須な成分として増ちょう剤が挙げられる。基油に増ちょう剤を添加したものを基グリースと呼ぶが、増ちょう剤としては、公知のものであればいずれを使用してもよく、例えば、アルミニウム、バリウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム等の石鹸増ちょう剤、複合リチウム、複合カルシウム、複合アルミニウム等のコンプレックス石鹸増ちょう剤、ウレア、ジウレア、トリウレア、テトラウレア、アリールウレア、テレフタラメート等の有機非石鹸増ちょう剤、ベントナイト、シリカエアロゲル等の無機非石鹸増ちょう剤等を用いることができる。これらの増ちょう剤は単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせても良い。増ちょう剤の量は特に限定されるものではないが、基グリースに対して増ちょう剤の量は、通常3〜40質量%、好ましくは5〜20質量%である。
本発明のグリース組成物に配合される酸化防止剤の量は特に限定されないが、グリース組成物全量に対して0.1〜5質量%配合するのが好ましく、0.5〜3質量%配合するのがより好ましい。配合量が0.1質量%未満の場合は酸化防止剤として機能しない場合があり、5質量%を超えると添加量に見合う効果が得られない場合やスラッジが発生する場合がある。
ここで、基油及び酸化防止剤について更に詳しく説明する。一般的に基油として利用できるものとしては、鉱物油、動植物油及び合成油があり、合成油の中には、ポリ−α−オレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、アルキル置換ジフェニルエーテル、ポリエーテル、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、ポリエステル、炭酸エステル、シリコーンオイル、フッ素系オイル、GTL等様々な種類がある。こうした油の中でも、特に耐熱性に優れたものがポリフェニルエーテル、シリコーンオイル及びフッ素系オイルの3種類である。しかし、これら耐熱性に優れた3種類のオイルは経済的に優れているとは言えず、その他のオイルと比較すると、数倍から十倍以上の価格で取引されているのが現状である。それゆえ、これら耐熱性に優れた3種類のオイルを使用したグリースは、使用量が小量な精密機器、電子機器等の限られた用途でしか使用できず、工作機械、自動車関係等のグリースを大量に使用する用途や、低コストを要求する用途には実質使用することができない。
一方、その他の基油を使用して耐熱性を向上させる方法としては、様々な酸化防止剤、例えば、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒンダードアミン、ジチオカルバミン酸塩、ジチオリン酸塩等を添加する方法が知られている。これらの酸化防止剤を単独又は2種類以上添加して様々な検討がなされているが、高温状態が長時間続く状況においては、いずれの酸化防止剤を添加した系でも満足のいく耐熱性は得ることは難しい。また、本発明では特定のヒンダードアミンを使用しているが、本発明に使用できる基油以外の基油に添加しても、耐熱性に優れたグリースにはならず、特定の基油を使用したグリースに添加したときにのみ耐熱性が向上する。
本発明のグリース組成物は、その性能を向上させるために、油性剤、固体潤滑剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属不活性剤、防錆剤、清浄剤、分散剤、消泡剤等の添加剤の1種又は2種以上を適宜配合することもできる。
油性剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド等が挙げられる。これらの油性剤は、通常、グリース組成物に対して0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜3重量%添加するのがよい。
固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、ポリテトラフロロエチレン、グラファイト、メラミンシアヌレート、窒化硼素等が挙げられる。これらの固体潤滑剤は、通常、グリース組成物に対して0.1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%添加するのがよい。
摩耗防止剤又は極圧剤としては、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、アルキルフェニルホスフェート類、トリブチルホスフェート、ジブチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリブチルホスファイト、ジブチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト等の亜リン酸エステル類及びこれらのアミン塩等のリン系、硫化油脂、硫化オレイン酸などの硫化脂肪酸、ジベンジルジスルフィド、硫化オレフィン、ジアルキルジスルフィドなどの硫黄系、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート、Zn−ジアルキルジチオカルバメート、Mo−ジアルキルジチオフォスフェート、Mo−ジアルキルジチオカルバメートなどの有機金属系化合物等が挙げられる。これらの摩耗防止剤又は極圧剤は、通常、グリース組成物に対して0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%添加するのがよい。
金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、没食子酸エステル系の化合物等が挙げられる。これらの金属不活性剤は、通常、グリース組成物に対して0.005〜0.4重量%、好ましくは0.01〜0.2重量%添加するのがよい。
防錆剤としては、ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸アミドなどのアルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコール部分エステル、Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Zn−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、ロジンアミン、N−オレイルザルコシンなどのアミン類、ジアルキルホスファイトアミン塩等が挙げられる。これらの防錆剤は、通常、グリース組成物に対して0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%添加するのがよい。
清浄剤としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのスルフォネート、フェネート、サリシレート、フォスフェート及びこれらの過塩基性塩が挙げられる。これらの中でも過塩基性塩が好ましく、過塩基性塩の中でもTBN(トータルベーシックナンバー)が30〜500mgKOH/gのものがより好ましい。更に、リン及び硫黄原子のないサリシレート系の清浄剤が好ましい。これらの清浄剤は、通常、グリース組成物に対して0.5〜10質量%、好ましくは1〜8質量%添加するのがよい。
分散剤としては、例えば、重量平均分子量約500〜3000のアルキル基またはアルケニル基が付加されたコハク酸イミド、コハク酸エステル、ベンジルアミン又はこれらのホウ素変性物等が挙げられる。これらの分散剤は、グリース組成物に対して0.5〜10質量%、好ましくは1〜8質量%添加するのがよい。
消泡剤としては、液状シリコーンが挙げられ、通常、グリース組成物に対して0.0005〜0.01重量%添加するのが良い。
本発明のグリース組成物は、転がり軸受け、すべり軸受け、滑り面、歯車等の潤滑箇所をはじめ、グリースが適用できるあらゆる潤滑箇所に使用することができる。特に本発明のグリース組成物は、耐熱性が必要とされる自動車の転がり軸受け、すべり軸受け、歯車等に使用するのが有効的である
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。下記に、試験に使用した化合物及び試験用グリースを記す。
(a−1)
攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた容量1リットルの4口フラスコに、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン34.2g(0.2モル)、イソトリデカノール31.6g(0.2モル)及びテトライソプロポキシチタン3.35g(0.0118モル)を芳香族系溶媒(出光石油化学(株)製:イプゾール)125gに溶解し、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸23.4g(0.1モル)のメタノール溶液を175℃で3時間かけて滴下し、さらに1時間反応後、4時間減圧脱水反応した。反応終了後、130℃まで冷却して、水1.27gを加え、触媒を失活して、80℃までさらに冷却して水20gで3回洗浄した。油水分離後、有機層を175℃まで加熱減圧して脱水、脱溶媒してビス(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)・ジ(イソトリデシル)―1,2,3,4―ブタンテトラカルボキシレート(a−1)を得た。なお、以下の(a−2)〜(b−3)の化合物も(a−1)と同様の方法でエステル化反応を行って合成し、(b−4)(b−5)については市販品を使用している。
(a−2):ビス(1,2,2,6,6―ペンタメチル―4―ピペリジル)・ジ(イソトリデシル)―1,2,3,4―ブタンテトラカルボキシレート
(a−3):ビス(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)・モノ(イソトリデシル)トリメリテート
(a−4):モノ(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)・モノイソトリデシル−セバケート
(a−5):ビス(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)・ジ(直鎖トリデシル)―1,2,3,4―ブタンテトラカルボキシレート
(b−1):トリス(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)―トリメリテート
(b−2):テトラ(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)―1,2,3,4―ブタンテトラカルボキシレート
(b−3):モノ(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)・モノイソトリデシレート
(b−4):p,p'−ジオクチルジフェニルアミン
(b−5):オクタデシル−3−(3,5−ジターシャリブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート
<グリース1>
炭素数6のα−オレフィンを数平均分子量8000に重合したポリ−α−オレフィン(5400g)中で、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート(295.2g)とオクチルアミン(304.8g)を反応させ、生成したジウレア化合物を均一に分散してグリース1を得た。ウレア化合物の含有量は10重量%である。
<グリース2>
ペンタエリスリトール1モルに対して、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)(炭素数8の直鎖脂肪酸)を4モルエステル化反応させたエステル油(6370g)中で、リチウム−12−ヒドロキシステアレート(630g)を溶解させた後、均一に分散してグリース2を得た。リチウム石けんの含有量は9重量%である。
<グリース3>
100℃の動粘度が約15mm/sの精製パラフィン系鉱油(5400g)中で、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート(295.2g)とオクチルアミン(304.8g)を反応させ、生成したジウレア化合物を均一に分散してグリースを得た。ウレア化合物の含有量は10重量%である。
<試験方法>
上記3種のグリースに、(a−1)〜(a−5)及び(b−1)〜(b−4)の化合物をそれぞれ1質量%になるように添加し、均一になるまで混合した。このグリース組成物50gを、30cm×30cmの大きさのアルミ板に均一になるように薄く塗布し、これを恒温槽に静置して180℃に加熱し、500時間経過後、油の蒸発によって減少した重量を測定した。油の劣化を抑制し、蒸発量を減らすことができるものが耐熱性の良いグリースだといえる。なお、ブランクは添加剤を添加していないグリースのみの結果である。結果を下記の表に示した。
Figure 2009275179
Figure 2009275179
Figure 2009275179
表1及び表2を比較すると、一般式(1)の構造に類似した化合物や既存の酸化防止剤では、本発明に使用できる基油に添加しても耐熱性はさほど向上していないことがわかる。また、表3のように、本発明に使用できない基油の場合は、いずれの添加剤でも耐熱性の向上は見られなかった。

Claims (4)

  1. 基油としてポリ−α−オレフィン及び/又はエステル油、並びに酸化防止剤として下記の一般式(1)
    Figure 2009275179
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、Rは炭素数6〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、Aは酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1つ以上の原子を含んでもよい炭化水素基を表わし、m及びnはそれぞれ1〜5の数を表わす。)
    で表わされる化合物を含有することを特徴とするグリース組成物。
  2. 一般式(1)のRが水素原子であることを特徴とする、請求項1に記載のグリース組成物。
  3. 一般式(1)のmとnの合計の数が3〜6であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のグリース組成物。
  4. グリース組成物全量に対して、酸化防止剤が0.1〜5質量%含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリース組成物。
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