JP2009274982A - アクロレインの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】グリセリンの脱水によってアクロレインを高収率で得ることができるアクロレインの製造方法の提供。
【解決手段】水と希土類金属の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物とを含有する液にリン酸イオンを含ませることで生じた固形分を焼成して得られるリン酸の希土類金属塩結晶を有する触媒と、グリセリンとを共存させて、このグリセリンを脱水させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、グリセリンの分子内脱水反応によりアクロレインを製造する方法に関するものである。
バイオディーゼルは、使用時の二酸化炭素排出量が少ない、化石燃料の代替燃料にできるなどの理由から注目されている。植物油のエステル交換反応によってバイオディーゼルが得られるが、その反応ではグリセリンが副生することが知られており、バイオディーゼルの需要および生産量が年々増加していることに伴い、グリセリンの副生量も増加している。このような時代背景下においては、グリセリンの有効利用が望まれる。
アクロレインは、グリセリンの分子内脱水反応によって得られる化合物であり、1,3−プロパンジオール、メチオニン、アクリル酸、3−メチルチオプロピオンアルデヒド、吸水性樹脂等のアクロレイン誘導体の原料として使用される有用なものである。グリセリンからアクロレインを得ることは、アクロレイン誘導体の原料用途にまでグリセリンの利用範囲を拡張するものとなるから、グリセリンの有効利用を実現し、また、バイオディーゼル製造における副生物の利用範囲を拡張するので、バイオディーゼル製造の経済的価値を高める。
グリセリンをアクロレインの原料にすることは、例えば特許文献1、2に開示されている通り、既に公知となっている。特許文献1は、グリセリンから1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールを得る過程で、グリセリンの脱水反応によりアクロレインを得ることを開示している。特許文献2は、グリセリンからアクリル酸を得る過程で、グリセリンの気相脱水反応によりアクロレインを得ることを開示している。
通常、グリセリンの分子内脱水を促進するための触媒を使用してアクロレインが製造される。本出願人の国際特許出願に係る特許文献3には、リン酸のイットリウム塩結晶、ランタン塩結晶、セリウム塩結晶、またはサマリウム塩結晶を触媒として使用することが開示されている。これら塩の結晶を使用するアクロレインの製造方法では、グリセリンガスを原料として採用した場合、触媒の失活要因の一つである触媒表面への炭素質物質の堆積が抑制される。この堆積の抑制がアクロレインの製造で望まれることと同じく、収率が高いアクロレインの製造方法も当然望まれる。
特開平6−192147号公報 特開2005−213225号公報 WO2007/119528号公報
本発明は、上記事情に鑑み、グリセリンの脱水によってアクロレインを高収率で得ることができるアクロレインの製造方法の提供を目的とする。
本発明者は、アクロレインを高収率で得るべく鋭意検討を重ねた結果、リン酸の希土類金属塩結晶を触媒として使用する場合には、特定の方法でその希土類金属塩結晶を製造すればアクロレイン収率が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、触媒の共存下においてグリセリンを脱水させるアクロレインの製造方法であって、前記触媒がリン酸の希土類金属塩結晶を有し、該結晶が、水と希土類金属の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物とを含有する液にリン酸イオンを含ませることで生じた固形分を焼成して得られるものであることを特徴とする。
グリセリンガスと触媒とを接触させる気相脱水反応によりグリセリンを脱水させる方法、液状グリセリンと触媒とを接触させる液相脱水反応によりグリセリンを脱水させる方法は、共に本発明に係るアクロレインの製造方法に該当するものであるが、アクロレインの工業的生産性に優れた気相脱水反応によりグリセリンを脱水させる方法が好適である。
水溶性希土類金属塩の水溶液にアルカリ性化合物を混合することにより、前記希土類金属の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物を生成させることが好適である。前記水溶性希土類金属塩は、硝酸塩、炭酸塩、塩化物塩、および有機酸塩から選ばれた一種または二種以上であると良い。
前記結晶における希土類金属は、Y、La、Ce、Pr、およびNdから選ばれた一種または二種以上が好適であり、アクロレインの収率が特に高いNdが特に好適である。
本発明に係る触媒は、本発明に係るアクロレインの製造方法に使用され、リン酸の希土類金属塩結晶を有し、かつ、該結晶が水と希土類金属の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物とを含有する液にリン酸イオンを含ませることで生じた固形分を焼成して得られるものであることを特徴とする。
本発明に係るアクロレイン誘導体の製造方法は、本発明に係るアクロレインの製造方法を使用する工程を有するものである。そのアクロレイン誘導体としては、1,3−プロパンジオール、メチオニン、3−メチルプロピオンアルデヒド、アクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸ナトリウム等の吸水性樹脂が挙げられる。
本発明に係るアクロレインの製造方法は、水と、希土類金属の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物と、リン酸イオンとを含ませた液中で生成した固形分を焼成し、当該焼成で得られたリン酸の希土類金属塩結晶を含む触媒を用いてグリセリンを脱水させるので、アクロレインを高収率で得ることができる。
本発明を実施形態に基づき説明する。本実施形態に係るアクロレインの製造方法は、グリセリンと触媒とを共存させ、グリセリンの分子内脱水反応を生じさせるものである。
触媒は、リン酸の希土類金属塩結晶を触媒活性成分として有していれば、当該触媒活性成分を有する限り特に限定されない。つまり、触媒の一部または全部がリン酸の希土類金属塩結晶であると良く、その結晶が一種であるか二種以上であるかは問わない。
また、触媒がリン酸の希土類金属塩結晶を担持する担体を有するものであっても良い。このときの担体としては、例えば、SiO2、Al23、TiO2、ZrO2などの無機酸化物や複合酸化物;ゼオライトなどの結晶性メタロシリケート;ステンレス、アルミニウムなどの金属;が挙げられる。
触媒の形状は、特に限定されず、例えば球形、柱状、リング状、鞍状、ハニカム状、スポンジ状である。
リン酸の希土類金属塩結晶の構成原子である希土類金属は、セリウム族(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm)、イットリウム族(Sc、Y、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)、ランタニド(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)、ランタン系列(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)のいずれであっても良い。つまり、希土類金属17種のいずれであっても良い。特に好ましい希土類金属は、Ndである。
リン酸の希土類金属塩結晶における組成は特に限定されない。その組成としては、例えば、ScPO4、YPO4、LaPO4、CePO4、PrPO4、NdPO4、SmPO4、EuPO4、GdPO4、TbPO4、HoPO4、ErPO4、TmPO4、YbPO4などのMPO4(Mは、希土類金属を表す。)が挙げられる。
リン酸の希土類金属塩結晶における希土類金属原子のモル数を[M]とし、リン原子のモル数を[P]としたとき、0.10≦[M]/[P]≦2.00が良く、0.50≦[M]/[P]≦1.50が好ましく、0.70≦[M]/[P]≦1.25がより好ましい。
リン酸の希土類金属塩結晶の構造も特に限定されず、正方晶、単斜晶、六方晶などが挙げられる。
リン酸の希土類金属塩結晶を得るためには、水と希土類金属の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物とを含有する液(以下、「前駆体含有液」と称することがある。)を調製し、この液にリン酸イオンを含ませることで生じた固形分を焼成する。理由は明らかではないが、このような製法により得られたリン酸の希土類金属塩結晶を有する触媒を使用すれば、他の製法(共沈法;希土類金属イオンとリン酸との混合液を濃縮、乾燥、焼成する方法;など)で得られる結晶を含んだ触媒を使用するよりも、高いアクロレイン収率を実現できるのである。
希土類金属の水酸化物は、希土類金属原子をMとしたとき、M(OH)2、M(OH)3、M(OH)4として表される化合物である。また、希土類金属の水酸化物の脱水縮合物は、複数の前記水酸化物が脱水縮合したものであり、例えば、水酸化物の二量体である(HO)2M−O−M(OH)2、次記水酸化物の6量体が挙げられる。
Figure 2009274982
前駆体含有液を調製するには、希土類金属の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物を、水を含む溶媒に分散させると良い。また、前駆体含有液を調製するには、水溶性希土類金属塩から選択された一種または二種以上、水を含む溶媒、およびアルカリ性化合物を混合しても良い。この場合の混合手順は、例えば、(1)溶媒と水溶性希土類金属塩を混合した後、アルカリ性化合物を添加する方法、(2)溶媒とアルカリ性化合物を混合した後、希土類金属塩を添加する方法が挙げられ、前者の方法(1)が好適である。
前駆体含有液を調製するために使用する溶媒は、水を含んでいるものであれば特に限定されず、リン酸の希土類金属塩結晶を安価に製造するためには、水のみを溶媒として使用すると良い。
溶媒に水溶性希土類金属塩を混合して前駆体含有液を調製する場合、水溶性希土類金属塩の量は、特に限定されないが、溶媒と水溶性希土類金属塩の総量を100質量%としたときに1〜30質量%が良く、2〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
水溶性希土類金属塩は、溶媒に溶解させることができる限り有機酸の希土類金属塩および無機酸の希土類金属塩のいずれであっても良く、一種または二種以上の水溶性希土類金属塩を使用する。水溶性希土類金属塩が溶解し難いときは、溶媒の加温や溶媒の酸性化を適宜に行なう。水溶性希土類金属塩に該当する無機酸塩としては、例えば、Sc(NO3)3、Y(NO3)2、Y(NO3)3、La(NO3)3、Ce(NO3)3、Ce(NO3)4、Pr(NO3)3、Nd(NO3)3、Sm(NO3)2、Sm(NO3)3、Eu(NO3)2、Eu(NO3)3、Gd(NO3)3、Tb(NO3)3、Ho(NO3)3、Er(NO3)3、Tm(NO3)3、Yb(NO3)3などの硝酸塩;Sc2(CO3)3、YCO3、Y2(CO3)3、La2(CO3)3、Ce2(CO3)3、Ce(CO3)2、Pr2(CO3)3、Nd2(CO3)3、SmCO3、Sm2(CO3)3、EuCO3、Eu2(CO3)3、Gd2(CO3)3、Tb2(CO3)3、Ho2(CO3)3、Er2(CO3)3、Tm2(CO3)3、Yb2(CO3)3などの炭酸塩;ScCl3、YCl2、YCl3、LaCl3、CeCl3、CeCl4、NdCl3、PrCl3、SmCl2、SmCl3、EuCl2、EuCl3、GdCl3、TbCl3、HoCl3、ErCl3、TmCl3、YbCl3、LuCl3などの塩化物塩;ScBr3、YBr2、YBr3、LaBr3、CeBr3、CeBr4、NdBr3、PrBr3、SmBr2、SmBr3、EuBr2、EuBr3、GdBr3、TbBr3、HoBr3、ErBr3、TmBr3、YbBr3、LuBr3などの臭化物塩;ScI3、YI2、YI3、LaI3、CeI3、CeI4、NdI3、PrI3、SmI2、SmI3、EuI2、EuI3、GdI3、TbI3、HoI3、ErI3、TmI3、YbI3、LuI3などのヨウ化物塩;(NH4)2[Ce(NO3)6];(NH4)4[Ce(SO4)4]Ce(SO4)2;が挙げられる。また、水溶性希土類金属塩に該当する有機酸塩としては、例えば、Sc(HCOO)3、Y(HCOO)2、Y(HCOO)3、La(HCOO)3、Pr(HCOO)3、Nd(HCOO)3などのギ酸塩;Sc(CH3COO)3、Y(CH3COO)2、Y(CH3COO)3、La(CH3COO)3、Ce(CH3COO)3、Ce(CH3COO)4、Pr(CH3COO)3、Nd(CH3COO)3、Sm(CH3COO)2、Sm(CH3COO)3、Eu(CH3COO)2、Eu(CH3COO)3、Gd(CH3COO)3、Tb(CH3COO)3、Dy(CH3COO)3、Ho(CH3COO)3、Er(CH3COO)3、Tm(CH3COO)3、Yb(CH3COO)3、Lu(CH3COO)3などの酢酸塩;Sc2(C24)3、Y(C24)、Y2(C24)3、La2(C24)3、Ce2(C24)3、Ce(C24)2、Pr2(C24)3、Sm(C24)、Sm2(C24)3、Eu(C24)、Eu2(C24)3、Tb2(C24)3、Dy2(C24)3、Ho2(C24)3、Er2(C24)3、Tm2(C24)3、Yb2(C24)3、Lu2(C24)3などのシュウ酸塩;Y3(C657) 2、Y(C657)などのクエン酸塩;が挙げられる。例示した水溶性希土類金属塩の中では、硝酸塩が好適である。
上記「アルカリ性化合物」とは、前駆体含有液の溶媒に溶解させたとき、その溶媒をアルカリ性にできる化合物である。アルカリ性化合物としては、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、sec−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン;シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;ピリジン;炭酸アンモニウム;尿素;等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物などを添加して希土類金属の水酸化物を生じさせても良いが、アルカリ金属が触媒に残存すると触媒性能に悪影響を与えることがあるため、前記例示した化合物はアルカリ性化合物として好ましく、アンモニアが特に好ましい。
溶媒にアルカリ性化合物を混合して前駆体含有液を調製する場合、アルカリ性化合物の量は、溶媒のpHを2〜13にする量であると良く、pHを4〜11にする量が好ましく、pHを7〜9にする量がより好ましい。アルカリ性化合物の混合においては、アルカリ性化合物を一定速度で徐々に混合しても良く、アルカリ性化合物を一括で混合しても良いが、希土類金属塩の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物の粒径を均一化させるためには前者の徐々に混合することが好適である。アルカリ性化合物を混合する際の水溶液の温度は、特に限定されないが、揮発性のアルカリ性化合物を選択した場合にその化合物の揮発によるpH調整の困難性と、希土類金属の水酸化物生成および/またはその脱水縮合物生成の再現性を考慮すれば、1〜50℃が通常であり、20〜40℃が良い。また、アルカリ性化合物の混合が終了した後には、直ちにリン酸を添加せずに、そのまま放置することが好適である。この放置の間に、希土類金属の水酸化物などの粒子が成長し、かつ、当該粒子の大きさの均一化が起こる。
前駆体含有液にリン酸イオンを含ませるには、H3PO4、H427、H5310、H6410などのリン酸;リン酸トリメチル、リン酸トリエチルなどのリン酸エステル;リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ジアンモニウムなどのリン酸アンモニウム;P46、P48、P49、P410などのリン酸化物;などから選択された一種または二種以上を前駆体含有液に添加すると良い。
上記リン酸、リン酸エステル、リン酸アンモニウム、リン酸化物などを添加するときの添加速度、添加の際の温度(通常0〜50℃)は、特に限定されない。また、その添加が終了した後には、そのまま放置することが好適である。この放置の間に、前駆体含有液にリン酸イオンを含ませることで生じる固形分の量が増加する。この固形分の生成により得られる固形分含有物は、ゾルまたはゲルである。
上記固形分を焼成すればリン酸の希土類金属塩結晶が得られるが、固形分含有物のゾルまたはゲルには硝酸アンモニウムなどが大量に含まれており、固形分含有物をそのまま焼成温度雰囲気に置けば、発生する硝酸アンモニウムなどのガスがリン酸の希土類金属塩結晶の飛散や爆発を生じさせる恐れがある。焼成の際にその発生するガスを減少させるため、固形分含有物を焼成温度よりも低い温度の雰囲気に置くことが好ましい。そのガス減少のためには、例えば、固形分含有物から水分を除去した後に、150〜230℃の空気雰囲気または150〜350℃の不活性ガス雰囲気に置くと良い。
リン酸の希土類金属塩の焼成では、焼成温度が高い程その金属塩の結晶化が進む傾向があり、また、焼成時間が長い程その金属塩の結晶化が進む傾向がある。これらの傾向を考慮して、焼成温度と焼成時間を適宜決定すれば良い。焼成条件は、例えば空気中で、500〜1500℃、3〜15時間であり、600〜1400℃、3〜10時間であると良く、700〜1200℃、3〜5時間であると好ましい。
上記焼成により、触媒の活性成分であるリン酸の希土類金属塩結晶が得られる。リン酸の希土類金属塩結晶を担体に担持させる場合には、例えば、含浸法、析出沈殿法、混練法などの一般的な触媒調製法を利用できる。ここで、含浸法には、(1)担体に前駆体含有液を含浸させた後、その含浸させた前駆体含有液にリン酸イオンを含ませ、焼成を行なう態様、(2)担体にリン酸イオン含有液を含浸させた後、担体に前駆体含有液を含浸させ、焼成を行なう態様、がある。析出沈殿法は、担体の分散液中に、希土類金属の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物を生成させた後、リン酸イオンを含ませ、その後、焼成を行なうものである。混練法は、担体と前駆体含有液にリン酸イオンを含ませることで生じた固形分とを混合し、乾燥、焼成を行なうものである。なお、混練法においては、担体と固形分を含むゾルまたはゲルとの混合を行なっても良く、担体とゾルまたはゲルから分離された固形分との混合を行なっても良い。
アクロレインの製造原料となるグリセリンは、特に限定されず、精製グリセリンおよび粗製グリセリンのいずれであっても良い。また、このグリセリンは、パーム油、パーム核油、ヤシ油、大豆油、ナタネ油、オリーブ油、ごま油などの植物油のエステル交換反応で生じるグリセリン;魚油、牛脂、豚脂、鯨油などの動物性油のエステル交換反応で生じるグリセリン;などの天然資源由来のグリセリンであってもよい。また、エチレン、プロピレンなどから化学合成されたグリセリンであっても良い。
本発明に係るアクロレインの製造方法は、グリセリンガスと触媒との接触による気相脱水反応、および液状グリセリンと触媒との接触による液相脱水反応のいずれの反応を利用するものであっても良い。以下、アクロレインの工業的生産性に優れた気相脱水反応を利用するアクロレインの製造方法を例に挙げて説明する。
グリセリンの気相脱水反応では、固定床反応器、移動床反応器、流動床反応器等から任意に選択した反応器内でグリセリン含有ガスと触媒を接触させる。
グリセリン含有ガスにおけるグリセリン濃度は特に限定されないが、グリセリン含有ガス中のグリセリン濃度を調整する必要がある場合、グリセリンからアクロレインを生成させる脱水反応に悪影響を与えない凝縮性ガスおよび非凝縮性ガスから選択された一種または二種以上のガスを、グリセリン含有ガスに希釈ガスとして含めてグリセリン濃度を調整する。希釈ガスを含むグリセリン含有ガスを調製するには、グリセリンと希釈ガス成分の溶液のガス化、または、グリセリンガスと希釈ガスとの混合を行なえば良い。
グリセリンの気相脱水反応でのアクロレインの選択率と収率をより高め、かつ、触媒表面に付着する炭素質物質の量を低減して触媒の寿命を向上させるためには、グリセリン含有ガス中のグリセリンガスの分圧を低く調整することが好適である。この収率等の向上のためには、グリセリンガスの分圧は30kPa以下が良く、25kPa以下が好ましく、20kPa以下がより好ましく、15kPa以下が更に好ましい。アクロレインの収率と触媒寿命の向上のみを考えればグリセリンの分圧は低いほど良いが、その分圧を実現するためにグリセリン含有ガスの圧力(全圧)を低下させた場合には、高気密性および耐減圧性を備えた反応器と大型減圧装置が必要となる。また、希釈ガスを大量に使用してその分圧を低下させた場合には、触媒とグリセリンガスとの接触時間を適切にするために大型の反応器と多量の触媒が必要になること、グリセリンの脱水反応後のガス中のアクロレイン濃度が低くなりすぎるためにアクロレインの捕集や精製が困難となること、および、グリセリンの脱水反応後のガス中のアクロレインを濃縮しなければ、アクロレイン濃度がアクリル酸などのアクロレイン誘導体製造用原料として適切なものとならない場合があること、などの問題が懸念される。これらのことを考慮すれば、グリセリンガスの分圧は0.01kPa以上が良く、1.0kPa以上が好ましく、2.0kPa以上がより好ましい。グリセリンガスの分圧は、反応器入口における圧力であり、グリセリン含有ガスに希釈ガスなどが含まれている場合の分圧は、反応器入口におけるグリセリン含有ガスの圧力(全圧)とグリセリンのモル濃度(モル%)とに基づいて算出される値である。
グリセリン含有ガスの圧力を任意に設定しなくとも、アクロレインが生成する。反応装置の気密性および耐圧力性能と触媒性能とのバランスからその圧力を適宜設定することが通常であり、グリセリン含有ガスの圧力は、0.01kPa〜1MPaであると良く、0.1kPa〜500kPaが好ましく、1kPa〜300kPaがより好ましく、1kPa〜200kPaが更に好ましい。
希釈ガスを使用してグリセリン含有ガスのグリセリン濃度を調整する場合、当該希釈ガスとして使用できる凝縮性ガスは、沸点がアクロレインより高く、かつ、常圧条件で200℃以下の化合物のガスであり、例えば、水蒸気;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどのアルカン化合物のガス;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼンなどの芳香族化合物のガス;が挙げられる。水蒸気を選択した場合には、触媒の寿命とアクロレインの収率が向上する。グリセリン含有ガスを昇温および/または冷却する際のエネルギー消費量を抑えると共に、アクロレインと凝縮性ガスとの分離費用を抑えるには、グリセリン含有ガスにおける凝縮性ガスの濃度を80モル%以下にすると良く、40モル%以下にするのが好ましく、10モル%以下にすることがより好ましい。また、凝縮性ガスの分圧は、当該ガスの発生と反応器から流出した凝縮性ガスの凝縮とに必要なエネルギー、廃水処理の観点から、グリセリンガスの分圧の5倍以下が好適であり、4倍以下がより好適であり、1倍以下が最適である。
グリセリン含有ガスの希釈ガスとして使用される非凝縮性ガスは、沸点が常圧条件で0℃以下の化合物や単体のガスであり、例えば、窒素ガス、二酸化炭素ガス、空気などの酸素含有ガス、ヘリウムなどの希ガスが挙げられ、酸素を選択した場合には触媒表面上への炭素質物質の付着量が軽減される。また、非凝縮性ガスに該当するものであれば、グリセリンの脱水反応後のガスからアクロレインを捕集した後に排出されるガス、アクリル酸などのアクロレイン誘導体の製造において排出されるガスなどのオフガスの一部または全部を希釈ガスとしてリサイクル使用しても良い。グリセリン含有ガスにおける非凝縮性ガスの濃度は、40モル%以下にすると良く、グリセリン含有ガスを昇温および/または冷却する際のエネルギー消費量を抑えると共に、アクロレインの液化回収時での当該アクロレインの飛散ロスを低減するには、グリセリン含有ガスにおける非凝縮性ガスの濃度を10モル%以下にすると良く、8モル%以下にするのが好ましく、5モル%以下にするのがより好ましい。また、非凝縮性ガスの分圧は、グリセリンガスの分圧の2倍以下が良く、1倍以下が好ましく、0.5倍以下がより好ましい。なお、酸素を希釈ガスとして使用する場合には、グリセリン含有ガス中の酸素の量は、燃焼反応によるアクロレイン収率の低下を避けるために、20モル%以下(より好ましくは15モル%以下)、およびグリセリンガス分圧の3.5倍以下となる量のいずれか低い値以下であると好ましい。
反応器内へのグリセリン含有ガス流量は、単位触媒容積あたりのグリセリン含有ガス流量(流量:GHSV)で表すと、10〜30000hr-1が通常であり、30〜20000hr-1が良く、50〜12000hr-1が好ましく、70〜10000hr-1がより好ましく、100〜5000hr-1が更に好ましい。経済的かつ高効率でアクロレインを生成させるためには、3000hr-1以下が良い。グリセリン含有ガスのGHSVは、反応器入口におけるグリセリン含有ガスの流量自体を基準にして決定されるものであり、次述のグリセリンガスのGHSVとはその決定方法において異なる(グリセリン含有ガス中のグリセリンが100モル%である場合には、後記のグリセリンガスのGHSVを採用する。)。
グリセリンガスのGHSVは、(グリセリン含有ガス中のグリセリンの質量比)×(触媒1Lおよび1時間あたりのグリセリン含有ガスの質量)×(理想気体の標準状態における体積)/(グリセリンの分子量)を算出した値である。例えば、グリセリン含有量が90質量%のグリセリン含有ガスを、1000g・hr-1の流量で触媒1Lを備える反応器内に供給した場合、グリセリンガスのGHSVは、0.9×1000g・hr-1・L-1×22.4L÷92.06g=219hr-1である。このグリセリンガスのGHSVは、反応器の小型化などの経済性、触媒寿命、およびアクロレインの生産効率などの工業的観点を考慮すれば、70〜3650hr-1が通常であり、80〜2400hr-1が良く、100〜1200hr-1が好ましく、125〜1200hr-1がより好ましく、125〜600hr-1が更に好ましい。
グリセリンの気相脱水反応では、その反応温度が低すぎたり高すぎたりするとアクロレインの収率が低下することになってしまうので、反応温度は、200〜500℃が良く、250〜450℃が好ましく、300〜450℃がより好ましく、350〜400℃が更に好ましい。ここで、気相脱水反応における「反応温度」とは、反応器の温度制御を行なうための熱媒等の設定温度を意味する。
反応器から流出したアクロレインガスを回収するためには、アクロレインガスを凝縮する方法、アクロレインガスを水などのアクロレイン溶解性の溶剤に吸収させる方法を使用すると良い。この回収において希釈ガスが排気される場合には、その排気された希釈ガスの一部または全部を、反応器に導入するグリセリン含有ガスの希釈ガスとして再利用しても良い。
以上の方法により、アクロレインを製造することが可能である。気相脱水反応を継続させると、アクロレインの工業的生産に適さない程度にまで触媒の活性が低下することになるが、触媒を再生すればその触媒活性を実用的なレベルにまで高めることができる。
再生用ガスと触媒とを高温で接触させれば、触媒表面に付着した炭素質物質を除去して触媒を再生することができる。「再生用ガス」とは、酸化性ガスを含むガスであり、酸化性ガスとしては、例えば酸素、酸素を含む空気である。また、窒素、二酸化炭素、水蒸気等の触媒再生反応において不活性なガスを再生用ガス中に含ませても良く、酸素と触媒との接触により急激な発熱が懸念される場合には、その急激な発熱を抑制するためにも不活性ガスを再生用ガスに含ませることが推奨される。
再生用ガスと触媒とを接触させる方法は、再生用ガスと反応器から取り出した触媒とを接触させる方法;グリセリンの脱水反応後の反応器内に再生用ガスを流通させる方法;等、特に限定されない。後者の反応器内に再生用ガスを流通させる方法は、反応器からの触媒の取り出しと、反応器内への触媒の再充填とを省略できるので好適である。
上記再生用ガスとの接触の際の温度は、炭素質物質を除去できる温度を適宜設定する。例えば反応器に再生用ガスを流通させる場合、反応器の温度制御を行なうための熱媒等の温度を330℃以上にすると良く、350℃以上にすると好ましく、その温度上限は、触媒が熱劣化しない温度である。
製造されたアクロレインは、既に公知となっている通り、アクリル酸、1,3−プロパンジオール、アリルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩等のアクロレイン誘導体の製造原料として使用可能である。従って、上記アクロレインの製造方法は、アクロレイン誘導体の製造方法中に取り入れることが当然可能である。
例えばアクリル酸は、アクロレインの酸化により製造される。
アクロレインを酸化させる前に、この酸化反応系に1−ヒドロキシアセトン、フェノールが入り込む量を減少させることが、アクリル酸の高収率化の観点から好適である。なお、本実施形態のアクロレインの製造方法では、1−ヒドロキシアセトンおよび/またはフェノールが副生する場合がある。
フェノールおよび1−ヒドロキシアセトンはアクリル酸の収率を低下させる化合物であるので、両化合物の除去量は多いほど良い。除去後のフェノール量は、アクロレインの質量(A)とフェノールの質量(Ph)との比(Ph/A)で表せば、Ph/Aが0.020以下であると良く、0.010以下であると好ましく、0.005以下であるとより好ましい。また、除去後の1−ヒドロキシアセトンの量は、アクロレインの質量(A)と1−ヒドロキシアセトンの質量(H)との比(H/A)で表せば、H/Aが0.020以下であると良く、0.010以下であると好ましく、0.005以下であると更に好ましい。
アクロレイン(沸点:53℃)、フェノール(沸点:182℃)、及び1−ヒドロキシアセトン(沸点146℃)の沸点差を利用して、アクロレインからフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去することができる。そのためには、例えば、液状のアクロレインを蒸留塔で処理して除去目的物よりも低沸点のアクロレインを分留する方法、ガス状のアクロレインを凝集塔で処理してアクロレインよりも高沸点の除去目的物を凝集する方法、蒸散塔内に導入したアクロレインにガスを吹き込んで除去目的物よりも低沸点のアクロレインを気化させる方法、を採用すると良い。なお、フェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンの除去前に、水等をアクロレインから溶剤抽出しても良い。
アクロレインの酸化によりアクリル酸を製造するには、触媒とアクロレイン含有ガスとを固定床反応器、移動床反応器、流動床反応器等から任意に選択した酸化反応器内に共存させ、200〜400℃でアクロレインを気相酸化することが好適である。
上記酸化反応で使用する触媒は、アクロレインまたはアクロレイン含有ガス、および分子状酸素又は分子状酸素を含有するガスを用いた接触気相酸化法によってアクリル酸を製造する場合に用いられる触媒であれば、特に限定されない。例えば、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、および酸化銅等の金属酸化物の混合物;金属酸化物の複合物;を例示することができる。これら例示した触媒のうち、モリブデンおよびバナジウムが構成金属の主体となっているモリブデン−バナジウム系触媒が好適である。また、触媒は、担体(例えば、ジルコニア、シリカ、アルミナ、およびこれらの複合物、並びに、炭化珪素)に前述の混合物および/または複合物を担持させたものであっても良い。
アクリル酸の製造で使用するアクロレイン含有組成物のガス中の酸素添加量は、添加量が過剰の場合には燃焼が生じて爆発の危険を伴う恐れが生じるので、その上限値を適宜設定することになる。
気相酸化反応で製造されたアクリル酸ガスを回収するためには、アクリル酸を冷却また
は水等の溶剤に吸収させることができる吸収塔が用いられる。
製造されたアクリル酸は、アクリル酸エステル、ポリアクリル酸等のアクリル酸誘導体の原料として使用可能であることは公知となっていることから、上記アクリル酸の製造方法を、アクリル酸誘導体の製造方法におけるアクリル酸製造工程にすることが可能である。
そして、得られたアクリル酸を使用してポリアクリル酸を製造する場合、水溶液重合法や逆相懸濁重合法を使用して、吸水性樹脂として使用することができるポリアクリル酸を製造することができる。ここで、水溶液重合法は、分散溶媒を使用せずにアクリル酸水溶液中のアクリル酸を重合する方法であり、米国特許公報第4625001号、4873299号、4286082号、4973632号、4985518号、5124416号、5250640号、5264495号、5145906号、および5380808号、並びに、欧州特許公報第0811636号、0955086号、および0922717号等に開示されている。また、逆相懸濁重合法は、単量体であるアクリル酸の水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させる重合法であり、米国特許公報第4093776号、4367323号、4446261号、4683274号、および5244735号に開示されている。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例および比較例における触媒組成および結晶構造の分析方法、触媒表面の炭素質物質量の測定方法、触媒の調製方法、アクロレインの製造についての詳細は、以下の通りである。
(蛍光X線(XRF)分析)
PHILIPS社製蛍光X線分析装置「PW2404」を使用し、ガラスビード法により触媒における希土類金属原子(M原子)およびリン原子を分析した。M原子およびリン原子の定量は、予め調製した標準試料を使用して作成した検量線を用いて行なった。
(X線回折(XRD)分析)
リガク社製粉末X線回折装置「RINT−TTRIII」を使用し、次の条件で触媒における結晶構造を分析した。
X線源:Cu
フィルタ:不使用
管電圧:50kV
管電流:300mA
発散スリット:1/3°
散乱スリット:1/2°
受光スリット:開放
走査範囲:5〜90°
サンプリング幅:0.02°
スキャンスピード:3.000°/sec
(炭素質物質量の測定)
熱重量−示差熱分析(TG−DTA)を使用し、空気流通下に触媒を置き、室温から900℃まで速度10℃/minで昇温させ、触媒の質量変化をアクロレインの製造において触媒に付着した炭素質物質の量として測定した。
(触媒の調製)
以下のゾルゲル法、または共沈法により触媒を調製した。なお、触媒の調製で使用した水溶性希土類金属塩の種類;水溶性希土類金属塩、リン酸、およびアンモニア水の使用量;触媒調製における焼成温度;については、後記表1の通りとした。また、調製した触媒のXRF分析結果から算出されたP/M(P:リン原子のモル数、M:希土類金属原子のモル数);XRD分析結果である触媒組成および結晶構造;についても、後記表1に示す。
ゾルゲル法による触媒の調製:
30℃の10質量%水溶性希土類金属塩水溶液に、この水溶液を攪拌しながら、高速液体クロマトグラフ用ポンプ(日立製作所社製「L7110」)を使用して28質量%アンモニア水を3時間かけて一定速度で滴下した。この滴下後の溶液を攪拌しながら15時間放置して熟成させることにより前駆体含有液(希土類金属の水酸化物および当該水酸化物の脱水縮合物を含有する液)を得た。前駆体含有液に、この液を攪拌しながら、高速液体クロマトグラフ用ポンプを使用して85質量%H3PO4水溶液を3時間かけて一定速度で滴下してリン酸イオンを前駆体含有液に含ませた。その後、前駆体含有液を攪拌しつつ15時間放置し、ゾルまたはゲルを得た。このゾルまたはゲルを0.005MPa、60℃の条件で脱水した後、空気雰囲気下、120℃、10時間の条件で乾燥した。次に、乾燥物を300℃の窒素雰囲気中に10時間置くことで、硝酸アンモニウムを乾燥物から離脱させた。その後の乾燥物を空気中で5時間かけて焼成することによりリン酸の希土類金属塩結晶を得た。この結晶を粉砕して、目開き0.75〜2.00mmの篩を通過したものを触媒とした。
共沈法による触媒の調製:
10質量%水溶性希土類金属塩、85質量%リン酸水溶液を混合して30℃の透明な混合液を調製した。この混合液に、攪拌しながら、高速液体クロマトグラフ用ポンプを使用して28質量%アンモニア水を3時間かけて一定速度で滴下した(当該滴下開始当初から沈殿物が生じた。)。この滴下後の溶液を攪拌しながら15時間放置して熟成させ、生じた沈殿物を濾過分離し、空気雰囲気下、120℃、10時間の条件で乾燥した。次に、乾燥物を300℃の窒素雰囲気中に10時間置くことで、硝酸アンモニウムを乾燥物から離脱させた。その後の乾燥物を、空気中で5時間かけて焼成してリン酸の希土類金属塩結晶を得た。この結晶を粉砕して、目開き0.75〜2.00mmの篩を通過したものを触媒とした。
Figure 2009274982
(アクロレインの製造)
触媒15mlを充填したステンレス製反応管(内径10mm、長さ500mm)を固定床反応器として準備し、この反応器を360℃の溶融塩浴に浸漬した。その後、反応器内に窒素を62ml/minの流量で30分間流通させた後、80質量%グリセリン含有ガス(グリセリン含有ガス組成:グリセリン27モル%、水34モル%、窒素39モル%)をGHSV640hr-1の流量で流通させた。反応器内にグリセリン含有ガスを流通させてから所定時間経過前から30分間、反応器から流出するガスを水に吸収させ、当該水におけるグリセリンとアクロレインとを定量分析した。ここでの分析では、検出器にFIDを備えるガスクロマトグラフィ(GC)を使用し、内部標準法を採用した。
なお、TG−DTAを使用した触媒表面上の炭素質物質の測定については、グリセリン含有ガス流通開始から7時間経過後の触媒を試料とした。
グリセリンの転化率(GLY転化率)を下記式(1)に基づいて算出し、触媒表面における炭素質物質の付着量を下記式(2)に基づいて算出した。アクロレイン(ACR)、プロピオンアルデヒド(PALD)、1−ヒドロキシアセトン(HDAC)、フェノール(PhOH)の選択率を下記式(3)に基づいて算出した。アクロレインの収率(ACR収率)については、下記式(4)に基づいて算出した。
Figure 2009274982
Figure 2009274982
Figure 2009274982
Figure 2009274982
下記表2に、グリセリンの転化率(GLY転化率)、触媒表面における炭素質物質の付着量を示す。
Figure 2009274982
表2に示す通り、ゾルゲル法で調製した触媒を使用した実施例は、共沈法で調製した触媒を使用した比較例よりも全体的にGLY転化率が高かった。
下記表3に、アクロレイン(ACR)、プロピオンアルデヒド(PALD)、1−ヒドロキシアセトン(HDAC)、フェノール(PhOH)の選択率を示す。
Figure 2009274982
下記表4に、アクロレイン(ACR)の選択率、アクロレインの収率(ACR収率)を示す。
Figure 2009274982
表4において、ゾルゲル法を採用した実施例の選択率および収率は、共沈法を採用した比較例よりも高かったことを確認できる。また、実施例同士の比較においては、Ndを希土類金属とする実施例5a、5bの選択率および収率が高かったことを確認できる。

Claims (8)

  1. 触媒の共存下においてグリセリンを脱水させるアクロレインの製造方法であって、
    前記触媒がリン酸の希土類金属塩結晶を有し、
    該結晶が、水と希土類金属の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物とを含有する液にリン酸イオンを含ませることで生じた固形分を焼成して得られるものであることを特徴とするアクロレインの製造方法。
  2. グリセリンガスと触媒とを接触させる気相脱水反応によりグリセリンを脱水させる請求項1に記載のアクロレインの製造方法。
  3. 前記希土類金属の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物を、水溶性希土類金属塩の水溶液にアルカリ性化合物を混合して生成させる請求項1または2に記載のアクロレインの製造方法。
  4. 前記水溶性希土類金属塩が、硝酸塩、炭酸塩、塩化物塩、および有機酸塩から選ばれた一種または二種以上である請求項3に記載のアクロレインの製造方法。
  5. 前記結晶における希土類金属が、Y、La、Ce、Pr、およびNdから選ばれた一種または二種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクロレインの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクロレインの製造方法に使用される触媒であって、リン酸の希土類金属塩結晶を有し、該結晶が水と希土類金属の水酸化物および/または当該水酸化物の脱水縮合物とを含有する液にリン酸イオンを含ませることで生じた固形分を焼成して得られるものであることを特徴とする触媒。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクロレインの製造方法を使用する工程を有するアクロレイン誘導体の製造方法。
  8. 前記アクロレイン誘導体が、吸水性樹脂である請求項7に記載のアクロレイン誘導体の製造方法。
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