JP2009273392A - 電子レンジ加熱用容器入り食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】施蓋した容器3内の底部3b側には含水率54〜71%の早炊米4を、開口部3a側には澱粉を1〜4%含有し10℃以下で固化させた加熱流動性の調味液5を前記早炊米4の上面に載置して収容してある電子レンジ加熱用容器入り食品1とする。
【選択図】 図2
Description
例えば、外蓋付の容器内に加熱調理用食品として、加工米又は生米を主原料とし、これに種々の具材を加えて電子レンジで加熱調理する技術が、特許文献1に記載されている。この技術は、加熱調理する際に調理中の煮沸等による吹きこぼれや飛散を抑止できるようにしたものであり、容器を中蓋で容器本体の開口面より下側で開口部を被冠すると共に、この中蓋の表面を貫通孔付の窪み部を設けて形成し、煮沸によって噴き上げる煮汁等を貫通孔から容器本体に戻すようにして調理するものである。
しかしながら、上記特許文献のいずれにおいても、リゾットやパエリア等の米飯調理食品を電子レンジで美味しく調理することができる技術については開示されていない。
また、保管時には、調味液を固化させてあるので、調味液が保管中に米粒の内部まで染み込むことにより本発明の食品全体が単調な食味になってしまうという問題が生じないものである。さらに、調味液中の澱粉が加熱により糊化されて米粒の表面に適度な粘りと光沢を付与するので、生米を丁寧に煮込んで作った本格的なリゾットのように滑らかな食感と美しい外観を呈するのでよい。
このように製造した早炊米は、一般に澱粉のα化度が70%以上に高められているため、その炊飯にあたっては、電子レンジ加熱による短時間の炊飯であっても、美味しい炊きたての食感を呈するものとすることができる。
また、含水率が71%を超えると、電子レンジ加熱によって早炊米が完全にふやけて歯応えのない食感になる傾向があるので、特に米の芯が程良く残り、少し歯応えのある食感が最良とされるリゾットやパエリア等の洋風の米飯調理食品においては、早炊米の含水率は54〜71%に調整しておくのがよい。
ここで早炊米の含水率の測定は、一般に市販されている水分計を用いて測定することができる。
このように、調味液を1〜4%の澱粉を含有するものとすることにより、短時間の電子レンジ加熱であっても、調味液に適度な粘性が生じ、早炊米に程良くからみ付き滑らかな舌触りと光沢を付与することができる。したがって、本発明の食品を、生米を丁寧に煮込んで製される本格的なリゾット等の米飯調理食品と同等の美味しい食感と美しい外観を呈するものとすることができる。すなわち、一般に本格的なリゾット等を製する際には、生米を丁寧に煮込むため、米粒の表面が少し崩れて澱粉が流出して糊化し、滑らかな食感とつややかな光沢が付与されるが、本発明においては、電子レンジにより短時間加熱するものであるにもかかわらず、調味液中の澱粉が糊化して適度に粘度が上昇した調味液が早炊米の米粒表面を覆うため、あたかも生米から製した本格的なリゾットと同様の滑らかな食感とつややかな外観を呈するものとなし得るのである。
尚、調味液が固化されているとは、調味液が10℃以下に冷却されて、固体状または半固体状(ペースト状、ゼリー状等)となり流動性をほとんど呈しない状態となっていることをいう。
また、生野菜以外の食品素材も米飯調理食品のメニューに応じて任意に使用できる。例えば、ジャガイモ、サツマイモ、里芋等の芋類やカボチャ等は、事前に蒸煮したものを使用することが望ましい。また、加熱調理済みの食肉類や、ハム、ベーコン等の食肉加工品、竹輪、カマボコ、はんぺん等の魚肉加工品、さらに卵焼、茹で卵等の卵加工品等を使用することができる。
なお、この際、加熱による容器内圧力の増加を防ぐために、容器又は蓋には容器内に通ずる通気孔を穿ってある形状のものを使用することが好ましい。
下記の方法にて、本発明にかかるトマトリゾットを製造した。
(1)早炊米の製造
精米済みのうるち米を、清水に約2時間浸漬した後水切りし、次いで連続式スチーマーに供給し、約120℃の水蒸気を吹き込んで約7分間加熱した。連続式スチーマーから排出された早炊米を真空冷却機で急速冷却し、品温を30℃以下にした後、ポリエチレン製の袋に1kgずつ充填密封し、加圧加熱殺菌機を用いて102℃で30分間の殺菌を行った。得られた包装済み早炊米は、室温(約20℃)での長期間保存が可能なものであり、含水率は40%、澱粉のα化度は約93%であった。
上記包装済み早炊米は、そのまま本実施例に係る電子レンジ加熱用容器入り食品に使用するには含水率が低く適当でない。そこで、上記包装済み早炊米を包装袋から取り出し、約90℃の熱水に約15分間浸漬した後ザルに上げて水切りし、品温が10℃以下になるまで真空冷却機を用いて冷却した。得られた早炊米は、含水率は66%まで上昇しており、澱粉のα化度は約95%であった。
尚、早炊米の含水率の測定は、株式会社ケツト科学研究所製赤外線水分計を用い、熱源400℃、測定時間30分の条件で測定した。また、早炊米の澱粉のα化度の測定は、日本薬局方アミラーゼを用いた酵素法によった。
下記配合の原料(合計108kg)を、蒸気加熱式の二重釜に投入し、撹拌しながら約90℃で加熱し、水分の蒸発によって全体の質量が100kgになるまで煮込んでトマトソースを製造した。次いで、得られたトマトソースを冷蔵庫に収容し品温が約5℃になるまで冷却し、半固体状に固化され流動性をほとんど呈しないゼリー状トマトソースとした。
尚、得られたゼリー状トマトソースの澱粉含有量は2%である。
<配合> (単位:kg)
カットトマト 52
刻みタマネギ(ソテー済み) 10
ブイヨン 5
食用油 3
刻みニンニク 1
砂糖 2
ゼラチン(宮城化学工業株式会社製) 3
加工澱粉(アセチル化アジピン酸架橋澱粉, 2
NATIONAL STARCHI & CHEMICAL社製)
清水 30
―――――――――――――――――――――――――
合計 108
生野菜の食品素材(具材)として、へたおよび種を取り除いた後に一辺約10mmのダイス状にカットしたパプリカ、約5mm幅にスライスカットしたタマネギ、短冊状にカットしたニンジン、一口大にカットしたブロッコリーを用意した。
また、加熱処理済みの食品素材として、一口大にカットし約40分間蒸煮したジャガイモを用意した。
図1および図2に示す蓋付き容器3に、上記(1)〜(3)で得られた早炊米、ゼリー状トマトソースおよび食品素材を収容した。すなわち、図2に示す通り、上記(1)で得られた早炊米4(110g)を容器3に充填し、その上面に載置するように上記(2)で得られたゼリー状トマトソース5(120g)を充填し、さらに、ゼリー状トマトソース5の上側に、上記(3)で用意した各食品素材6を適量ずつ見た目良く配し、最後に蓋2で容器の開口部3aを密閉し、本実施例の電子レンジ加熱用容器入りトマトリゾット1を完成した。
尚、図2に示す通気孔7は、容器3の内側面の一部を穿って設けられた溝であり、これにより、電子レンジ加熱中に発生する多量の水蒸気を容器外に効率良く排出することができる。
上記(4)で得られた電子レンジ加熱用容器入りトマトリゾットを、約10℃の冷蔵庫内で24時間保管した後、出力500Wの電子レンジを用いて5分間加熱した。
加熱後、蓋2を取り除いたところ、図3に示すようにトマトソース8は完全に流動化して早炊米4と混ざり合い、米粒に光沢が付与され見た目の美しいトマトリゾットとなっていた。次いで試食したところ、米粒の芯が程よく残っているとともに滑らかな食感であり、生米から丁寧に調理した本格的なリゾットに遜色ない出来栄えであった。
また、食品素材の生野菜については、十分に加熱されているものの、新鮮な風味と適度な歯応えが感じられ、トマトリゾットの優れた食味と外観を効果的に引き立て得るものであった。
下記の方法にて本発明にかかるカレーリゾットを製造した。
(1)早炊米の製造
上記の実施例1と同じ方法にて早炊米を製造した。
下記配合の原料(合計107kg)を、蒸気加熱式の二重釜に投入し、撹拌しながら約90℃で加熱し、水分の蒸発によって全体の質量が100kgになるまで煮込んでカレーソースを製造した。次いで、得られたカレーソースを冷蔵庫に収容し品温が約5℃になるまで冷却し、半固体状に固化され流動性をほとんど呈しないゼリー状カレーソースとした。
尚、得られたゼリー状カレーソースの澱粉含有量は3%である。
<配合> (単位:kg)
しょうゆ 8
食用油 5
おろしニンニク 2
ブイヨン 2
カレー粉 2
砂糖 2
食塩 1
ゼラチン(宮城化学工業株式会社製) 2
加工澱粉(アセチル化アジピン酸架橋澱粉, 3
NATIONAL STARCHI & CHEMICAL社製)
清水 80
―――――――――――――――――――――――――
合計 107
生野菜の食品素材(具材)として、約5mm幅にスライスカットしたタマネギ、短冊状にカットしたニンジン及びキャベツ、一口大にカットしたブロッコリーを用意した。
また、加熱処理済みの食品素材として、一口大にカットし約40分間蒸煮したジャガイモ、一口大にカットし中心部まで火が通る程度に蒸煮した鶏肉を用意した。
実施例1と同じ蓋付き容器に、上記(1)〜(3)で得られた早炊米、ゼリー状カレーソースおよび食品素材を収容した。すなわち、実施例1と同様に、上記(1)で得られた早炊米(100g)を容器に充填し、その上面に載置するように上記(2)で得られたゼリー状カレーソース(100g)を充填し、さらに、ゼリー状カレーソースの上側に、上記(3)で用意した各食品素材を適量ずつ見た目良く配し、最後に蓋で容器の開口部を密閉し、本実施例の電子レンジ加熱用容器入りカレーリゾットを完成した。
上記(4)で得られた電子レンジ加熱用容器入りカレーリゾットを、約10℃の冷蔵庫内で24時間保管した後、出力500Wの電子レンジを用いて5分間加熱した。
加熱後、蓋を取り除いたところ、カレーソースは完全に流動化して早炊米と混ざり合い、米粒に光沢が付与され見た目の美しいカレーリゾットとなっていた。次いで試食したところ、米粒の芯が程よく残っているとともに滑らかな食感であり、生米から丁寧に調理した本格的なリゾットに遜色ない出来栄えであった。
また、食品素材の生野菜については、十分に加熱されているものの、新鮮な風味と適度な歯応えが感じられ、カレーリゾットの優れた食味と外観を効果的に引き立て得るものであった。
本発明において、調味液に含有させる澱粉量の変更が電子レンジ加熱用容器入り食品の食感に与える影響について試験した。
まず、試験用のサンプルを製造した。すなわち、上記実施例1の(2)に示す配合において、加工澱粉(アセチル化アジピン酸架橋澱粉)の配合量(質量%)を下記表1の「澱粉量」欄の通りに変更し、清水をバランスとして、6種類のゼリー状トマトソースを製造した。
得られたゼリー状トマトソースを使用し、また早炊米の製造、食品素材の用意、蓋付き容器への収容の各方法については上記実施例1の方法に準じ、表1に示すa〜fの6種類の電子レンジ加熱用容器入りトマトリゾットのサンプルを製造した。尚、サンプルcは実施例1と同配合品である。
本発明において、早炊米の含水率の変更が電子レンジ加熱用容器入り食品の食感に与える影響について試験した。
まず、試験用のサンプルを製造した。すなわち、上記実施例1の(1)に示す早炊米の製造方法において、包装済み早炊米を包装袋から取り出し約90℃の熱水に浸漬する工程の浸漬時間を変更することにより、下記表2の「含水率」欄に示す通り含水率の異なる5種類の早炊米を製造した。
得られた早炊米を使用し、また調味液の製造、食品素材の用意、蓋付き容器への収容の各方法については上記実施例1の方法に準じ、表2に示すg〜kの5種類の電子レンジ加熱用容器入りトマトリゾットのサンプルを製造した。
尚、サンプルgに使用した早炊米は、上記実施例1の(1)に示す包装済み早炊米と同等品であり、熱水浸漬処理を行っていないものである。また、サンプルiは実施例1と同配合品である。
2 蓋
3 容器
3a 容器の開口部
3b 容器の底部
4 早炊米
5 半固体状の調味液(ゼリー状トマトソース)
6 食品素材(具材)
7 通気孔
8 流動性を呈する調味液(流動性を呈するトマトソース)
9 水蒸気
Claims (2)
- 施蓋した容器内の底部側には含水率54〜71%の早炊米を、開口部側には澱粉を1〜4%含有し10℃以下で固化させた加熱流動性の調味液を前記早炊米の上面に載置して収容してあることを特徴とする電子レンジ加熱用容器入り食品。
- 前記調味液の上側又は下側に、少なくとも生野菜を含む食品素材を配してある請求項1記載の電子レンジ加熱用容器入り食品。
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