JP2009270939A - 光学式変位計 - Google Patents

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Abstract

【課題】 集光レンズの出射側端面と測定対象物との間の距離を高い精度で計測することができる光学式変位計を提供する。
【解決手段】 計測用の検出光として広帯域光を生成するSLD12と、検出光を集光し、ワークWに向けて出射する出射側端面33が平面のロッドレンズ32と、ロッドレンズ32に入射されたワークWによる反射光及び出射側端面33による反射光を分光し、波長分布の特性曲線における周波数を求めてワークW及び出射側端面33間の距離を算出する分光装置40により構成される。ロッドレンズ32は、出射側端面33から遠ざかるに従って照射スポットが広くなる光として検出光Lを出射するレンズである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光学式変位計に係り、さらに詳しくは、広帯域光を計測用の検出光として用い、検出光を測定対象物に向けて出射する集光レンズの出射側端面及び測定対象物間の距離を測定対象物による反射光と出射側端面による反射光との干渉を利用して計測する光学式変位計に関する。
様々な波長を含む広帯域光を計測用の検出光として透明膜に照射し、透明膜の表面で反射された反射光と裏面で反射された反射光との干渉光を分光することによって透明膜の厚さを測定する膜厚測定装置が従来から知られている(例えば、特許文献1)。透明膜の表面による反射光と裏面による反射光とからなる干渉光は、回折格子、プリズムなどの分散素子を用いて分光され、多数の受光素子が直線上に配置されたイメージセンサーに入射される。膜厚は、このイメージセンサーによって検出される素子ごとの受光量データに基づいて算出される。
特許文献1に記載の膜厚測定装置では、光源装置から出射された検出光がコリメータレンズに入射され、コリメータレンズの中心軸に略平行な光として出射される。このコリメータレンズから出射された検出光は、ビームスプリッタを介して測定対象物に照射される。ビームスプリッタは、測定対象物による反射光を取り出し、イメージセンサーへ出射する方向性結合器(カプラ)である。この様な従来の膜厚測定装置では、コリメータレンズによって検出光を平行光に変換してからビームスプリッタに入射しなければならないので、装置が大型化してしまうという問題があった。
特開昭62−71804号公報
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、広帯域光を計測用の検出光として用い、検出光を測定対象物に向けて出射する集光レンズの出射側端面及び測定対象物間の距離を測定対象物による反射光と出射側端面による反射光との干渉を利用して計測することができる光学式変位計を提供することを目的とする。特に、集光レンズの出射側端面と測定対象物との間の距離を高い精度で計測することができる光学式変位計を提供することを目的とする。また、広帯域光源装置から伝送された検出光を測定対象物に向けて出射するヘッド部を小型化した光学式変位計を提供することを目的とする。
第1の本発明による光学式変位計は、計測用の検出光として広帯域光を生成する広帯域光源装置と、上記検出光を集光し、測定対象物に向けて出射する出射側端面が平面の集光レンズと、上記集光レンズに入射された上記測定対象物による反射光及び上記出射側端面による反射光を分光し、波長分布の特性曲線の周波数を求めて上記測定対象物及び上記出射側端面間の距離を算出する分光装置とを備え、上記集光レンズが、上記出射側端面から遠ざかるに従って照射スポットが広くなる上記検出光を出射するレンズであるように構成される。
この光学式変位計では、集光レンズから測定対象物に向けて出射される検出光のうち、測定対象物によって反射され、その後、集光レンズに入射された反射光と、集光レンズの出射側端面によって反射された反射光との間に光路差が生じる。この光路差に起因する光の干渉により、反射光は、波長に応じてその強度が周期的に変化することとなる。従って、この様な反射光を分光して波長分布の特性曲線における周波数を求めることによって、測定対象物及び出射側端面間の距離を算出することができる。その際、集光レンズの出射側端面から遠ざかるに従って照射スポットが広くなるような検出光を出射させているので、測定対象物と出射側端面との間の距離を高い精度で計測することができる。
第2の本発明による光学式変位計は、上記構成に加え、上記検出光を伝送する光ファイバーと、上記広帯域光源装置から伝送された検出光を上記光ファイバーに入射させるとともに、上記集光レンズを介して上記光ファイバーに入射された上記測定対象物による上記反射光及び上記出力側端面による上記反射光を上記分光装置へ伝送するビームスプリッタとを備えて構成される。この光学式変位計では、広帯域光源装置から伝送された検出光が光ファイバーを介して集光レンズに伝送される。一方、集光レンズを介して光ファイバーに入射された測定対象物による反射光と集光レンズの出力側端面による反射光とがビームスプリッタによって分光装置へ伝送される。この様な構成によれば、平行光に変換してからビームスプリッタを介して測定対象物に向けて検出光を出射させる場合に比べて、広帯域光源装置から伝送された検出光を測定対象物に向けて出射するヘッド部を小型化することができる。
第3の本発明による光学式変位計は、上記構成に加え、上記集光レンズが、中心部から周縁部にかけて屈折率を変化させたロッドレンズであるように構成される。この様な構成によれば、集光レンズを一体的に形成することができるので、ヘッド部をさらに小型化することができる。
第4の本発明による光学式変位計は、上記構成に加え、上記光ファイバーが、単一モードで上記検出光を伝送するシングルモードファイバーであるように構成される。この様な構成によれば、光ファイバーを伝送中の反射光に光路差が生じるのを抑制することができるので、測定対象物及び出射側端面間の距離をさらに高い精度で計測することができる。
第5の本発明による光学式変位計は、上記構成に加え、上記広帯域光源装置が、上記広帯域光として近赤外光を生成するように構成される。この様な構成によれば、光ファイバーのコアを近赤外光の波長に応じた径とすることができるので、製造コストの増大を抑制することができる。
第6の本発明による光学式変位計は、上記構成に加え、上記検出光の照射位置を上記測定対象物上に表示するためのガイド光として、可視光を生成するガイド光源装置を備えて構成される。
第7の本発明による光学式変位計は、上記構成に加え、上記集光レンズが、上記出射側端面付近に焦点を有するように構成される。
第8の本発明による光学式変位計は、上記構成に加え、上記分光装置が、上記測定対象物における膜の表面で反射された反射光と膜の裏面で反射された反射光とを分光し、この分光結果に基づいて上記膜の厚さを算出するように構成される。
本発明による光学式変位計によれば、集光レンズから測定対象物に向けて出射される検出光のうち、測定対象物によって反射され、その後、集光レンズに入射された反射光と、集光レンズの出射側端面によって反射された反射光との間に光路差が生じる。この光路差に起因する光の干渉により、反射光は、波長に応じてその強度が周期的に変化することとなる。従って、この様な反射光を分光して波長分布の特性曲線の周波数を求めることによって、測定対象物及び出射側端面間の距離を算出することができる。特に、集光レンズの出射側端面から遠ざかるに従って照射スポットが広くなる光として検出光を出射させているので、測定対象物と出射側端面との間の距離を高い精度で計測することができる。また、平行光に変換してからビームスプリッタを介して測定対象物に向けて検出光を出射させる場合に比べて、広帯域光源装置から伝送された検出光を測定対象物に向けて出射するヘッド部を小型化することができる。
<光学式変位計>
図1は、本発明の実施の形態による光学式変位計1の概略構成の一例を示したシステム図である。この光学式変位計1は、様々な波長を含む広帯域光を計測用の検出光Lとして用いて、ワーク(測定対象物)Wの変位量を計測する計測装置であり、本体部10、伝送ケーブル20、コネクタ21及びヘッド部30からなる。
本体部10は、ワークWに検出光Lとして照射するための広帯域光を生成するとともに、ワークWによる反射光を分光させることによってワークWの変位量を計測するユニットである。この本体部10は、SLD駆動回路11、SLD12、コリメータレンズ13a,17、集光レンズ13b、コールドミラー14、LD駆動回路15、LD16、フェルール18、ファイバースプリッタ19及び分光装置40により構成される。
SLD駆動回路11は、SLD12の駆動制御を行うドライバ回路である。SLD(Super Luminescent Diode:高輝度ダイオード)12は、計測用の検出光として広帯域光を生成する広帯域光の光源装置であり、SLED(高輝度発光ダイオード)と呼ばれることもある。例えば、波長0.70〜1.0μm程度の近赤外光が広帯域光として生成される。具体的には、赤外光領域の波長0.83μmを中心波長として含む広帯域光がこのSLD12によって生成される。
コリメータレンズ13aは、SLD12から入射した検出光を集光し、中心軸に略平行な平行光として出射する集光レンズである。集光レンズ13bは、コリメータレンズ13aから入射した検出光を集光し、フェルール18の端面に向けて出射する光学素子である。コリメータレンズ13a及び集光レンズ13bは、フェルール18を介してSLD12から出射された検出光を光ファイバーに入射させるための光ファイバー結合レンズとなっている。
フェルール18は、検出光を伝送する光ファイバーの端部を保持するための接続部材である。SLD12、コリメータレンズ13a、集光レンズ13b及びフェルール18は、中心軸を互いに一致させて配置される。
LD駆動回路15は、LD16の駆動制御を行うドライバ回路である。LD(Laser Diode:レーザーダイオード)16は、検出光の照射位置をワーク上に表示するためのガイド光として、可視光を生成するガイド光の光源装置である。すなわち、LD16によるガイド光は、検出光Lによる測定スポットを可視化するのに用いられる。
例えば、波長0.65μmの赤色光がLD16によって生成される。LD16によるガイド光は、コールドミラー14よりも後段において、検出光と同じ伝送経路を伝搬してワークWに照射される。
コールドミラー14は、コリメータレンズ13aを介してSLD12から入射した検出光をそのまま集光レンズ13b側へ透過させ、コリメータレンズ17を介してLD16から入射したガイド光を集光レンズ13bに向けて反射させる光学素子である。つまり、コールドミラー14は、赤外光が入射した場合に当該赤外光をそのまま透過させるのに対して、可視光が入射した場合には、当該可視光を全反射させる。
ファイバースプリッタ19は、光ファイバーを介して、フェルール18、分光装置40及びコネクタ21に接続され、フェルール18から伝送された検出光をそのままコネクタ21側へ伝送するとともに、コネクタ21から伝送された光を主に分光装置40側へ伝送するファイバー形状のビームスプリッタである。具体的には、ファイバースプリッタ19の一方の端部にフェルール18及び分光装置40が接続され、他方の端部にコネクタ21が接続されている。
伝送ケーブル20は、検出光を本体部10からヘッド部30まで伝送する光ファイバーからなる光伝送媒体である。伝送ケーブル20は、導光体からなる芯線と、芯線を被覆する樹脂膜によって構成され、コネクタ21を介して本体部10と着脱可能に接続される。
ヘッド部30は、本体部10から伝送された検出光をワークWに向けて出射するユニットであり、例えば、ワークWを搬送するための搬送経路上に配置される。
SLD12から出射された検出光は、コリメータレンズ13aに入射し、平行光として出射される。この平行光は、コールドミラー14を介して集光レンズ13bに入射し、フェルール18端面に向けて出射される。検出光は、このフェルール18を介して光ファイバー内に入射され、ファイバースプリッタ19を介してコネクタ21に伝送される。そして、検出光は、このコネクタ21及び伝送ケーブル20を介してヘッド部30に伝送され、ワークWに向けて出射される。
一方、検出光Lの照射によって検出光Lの一部がワークWの表面で反射され、その反射光の一部は、ヘッド部30に入射される。この反射光は、伝送ケーブル20及びファイバースプリッタ19を介して分光装置40に伝送される。分光装置40は、この様な反射光を分光し、その分光結果からワークWの変位量を算出するユニットである。
<ヘッド部>
図2は、図1の光学式変位計1の要部における構成例を示した図であり、ヘッド部30内の構成が示されている。このヘッド部30は、伝送ケーブル20の端面から突出させた芯線31と、芯線31の端面に接合されたロッドレンズ32と、芯線31及びロッドレンズ32を収容する筐体34により構成される。
芯線31は、検出光を伝送するためのコア及びクラッドからなる光ファイバーであり、伝送ケーブル20の端部から延伸させて筐体34内に配置されている。伝送ケーブル20の端部は、筐体34に設けられた支持部35によって保持されている。
ロッドレンズ32は、伝送ケーブル20を介して本体部10から伝送された検出光を集光し、ワーク(測定対象物)Wに向けて出射するとともに、出射側端面33が平面の集光レンズである。このロッドレンズ32は、中心部から周縁部にかけて屈折率を変化させた円柱形状の屈折率分布レンズであり、中心軸に略平行な光であって、出射側端面33から遠ざかるに従って照射スポットが広くなる検出光Lを出射するレンズとなっている。具体的には、中心部に比べて、周縁部ほど屈折率が低くなっており、中心軸に対する検出光Lの広がり角は、1.5〜2.0度程度となっている。
また、ロッドレンズ32は、その直径を芯線31の直径A1と一致させ、出射側端面33付近に焦点が位置するように形成されている。具体的には、ロッドレンズ32の直径が125μm(A1=125μm)であり、長さがA2=1〜2mmである場合、出射側端面33の前後100μmの範囲内に焦点が位置するように形成される。
ロッドレンズ32は、出射側端面33と反対側の端面において芯線31の端面に融着されている。
検出光Lは、ロッドレンズ32の出射側端面33から中心軸に略平行な平行光として出射され、ワークWに照射される。ワークWに照射された検出光Lの一部は、ワークWの表面で反射され、その反射光の一部が出射側端面33を介してロッドレンズ32内に入射される。この光学式変位計1では、ワークWによる反射光と、出射側端面33による反射光との干渉現象を利用することによって、出射側端面33及びワークW間の距離が算出される。つまり、出射側端面33は、干渉現象を利用してワークWまでの距離を算出する際の基準面となっている。
ロッドレンズ32の中心軸に略平行な平行光を検出光Lとして用いてワークWまでの距離を計測させているので、検出光ビームの中心部と周縁部とでワークWによる反射光に光路差が生じるのを抑制することができる。これにより、ワークWと出射側端面33との間の距離を高い精度で計測することができる。
また、ロッドレンズ32の出射側端面33から遠ざかるに従って照射スポット、すなわち、ビーム断面が広がるような検出光Lを出射させることにより、出射側端面33に対してワークWが多少傾斜していても、伝播するに従ってビーム径が拡大することによってワークWの表面による反射光が出射側端面33に入射し易くなるので、検出光が完全に平行な場合に比べて、ワークWが傾斜していることの影響を抑制することができる。また、ヘッド部30の出射側端面33からワークWまでの距離は、0〜1mm程度であり、測定できる変位量は、1mm以下と短くなっている。
ここでは、ワークW及び出射側端面33間の距離の計測精度を向上させるという観点から、芯線31を構成する光ファイバーが、単一モードで検出光を伝送するシングルモードファイバーであるものとする。
シングルモードファイバーとは、コアを細くしたゼロ分散型の光ファイバーのことであり、コア内に入射された光をコア及びクラッドの界面で全反射させることによって、コアからクラッド内への光の進入を阻止するものである。これによって、光ファイバーを伝送中の反射光に光路差が生じるのが抑制されるので、伝送中の光が干渉するのを防止することができる。
一般に、光ファイバーは、コアの直径が伝送しようとする光の波長で決まる値以下であれば、シングルモードファイバーとなり、それよりも太ければマルチモードファイバーとなる。
例えば、波長0.83μmの赤外光を中心波長として含む検出光Lの場合、芯線31のモードフィールド径は、5.6μmとなっている。
<分光装置>
図3は、図1の光学式変位計1における分光装置40の構成例を示した図である。この分光装置40は、フェルール41、コリメータレンズ42、回折格子43、結像レンズ44、1次元イメージセンサー45、イメージセンサー駆動回路46、アンプ47、ADコンバータ48、バッファメモリ49、演算回路50及び表示部60により構成される。
フェルール41は、検出光を伝送する光ファイバーの端部を保持するための接続部材であり、ファイバースプリッタ19から延伸する光ファイバーの端部に設けられている。コリメータレンズ42は、フェルール41から出射された干渉光、すなわち、ワークW表面で反射された反射光とロッドレンズ32の出射側端面33で反射された反射光とが入射され、これらの光を集光して、中心軸に略平行な平行光として出射する集光レンズである。
回折格子43は、入射光を光学的に分光する分散素子であり、コリメータレンズ42から入射された干渉光を波長に応じた角度で出射させる。結像レンズ44は、回折格子43から入射された干渉光(平行光となっている)を集光し、1次元イメージセンサー45上に結像させる集光レンズである。
回折格子43によって回折された干渉光は、結像レンズ44を透過後、1次元イメージセンサー45上で波長に応じて異なる位置に結像される。その際、伝搬経路の異なる反射光間の干渉によって、その波長に応じて干渉光は強め合ったり、弱め合ったりすることとなる。
1次元イメージセンサー45は、結像レンズ44によって集光された干渉光の結像位置(1次元位置)を検出可能なイメージセンサーであり、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)、PD(Photo Diode)などの撮像素子からなる。例えば、受光量に応じた検出信号をそれぞれ出力する多数の受光素子を直線上に配列することによって構成される。イメージセンサー駆動回路46は、1次元イメージセンサー45の駆動制御を行うドライバ回路である。
1次元イメージセンサー45から出力される検出信号は、アンプ47に入力され、電力増幅される。このアンプ47による電力増幅後の検出信号は、ADコンバータ48に入力され、アナログ信号からデジタル信号に変換されバッファメモリ49内に蓄積される。
演算回路50は、バッファメモリ49内の検出データ、すなわち、受光素子ごとのピクセルデータに基づいて、ワークW及び出射側端面33間の距離を算出し、計測結果として外部機器へ出力する動作を行っている。表示部60は、計測結果を測定モニター画面上に表示するディスプレイ装置である。
図4は、図3の分光装置40における演算回路50の構成例を示したブロック図である。この演算回路50は、波長波数変換部51、FFT処理部52、ピーク検出部53及び距離算出部54からなり、ワークWによる反射光とロッドレンズ32の出射側端面33による反射光とからなる干渉光の分光結果から波長に対する強度変化の周波数を求めてワークW及び出射側端面33間の距離を算出する動作が行われる。
波長波数変換部51は、バッファメモリ49からピクセルデータを読み出し、受光素子ごとの受光量分布が示す光量Iと波長λとの関係を光量Iと波数(波長の逆数)1/λとの関係に変換してその変換結果をFFT処理部52へ出力する動作を行っている。光量Iと波長λとの関係を光量Iと波数1/λとの関係に変換することにより、受光素子ごとの受光量分布が有する周期を単一周期の分布にすることができる。
FFT処理部52は、受光素子ごとの受光量分布から得られる光量Iと波数1/λとの関係をFFT(高速フーリエ変換)し、波数に対する光量変化の周波数成分を抽出する処理を行っている。
ピーク検出部53は、FFT処理部52による処理結果から強度の大きな周波数成分を抽出し、そのピーク位置を検出する動作を行っている。ピーク位置は、例えば、強度が所定の閾値を越えている周波数成分について、強度分布の重心位置から定められる。この様にして定められるピーク位置における周波数は、空間周波数と呼ばれる。
距離算出部54は、ピーク検出部53によって検出されたピーク位置における周波数に基づいて、ワークW表面とロッドレンズ32の出射側端面33との間の距離を算出し、計測結果として出力する動作を行っている。具体的には、ピーク位置における周波数が、ワークW表面で反射された反射光と出射側端面33で反射された反射光との光路差に比例することから、ワークW表面及び出射側端面33間の距離は、ピーク位置における周波数の1/2倍として算出される。
図5は、ロッドレンズ32の出射側端面33から出射される検出光Iのうち、出射側端面33で反射された反射光Iと、ワークW表面で反射された反射光Iとが干渉光Iとして観測される様子を模式的に示した説明図である。
検出光Iをi=a×sin(ωt)、反射光Iをi=a×sin(ωt+2πx/λ)、反射光Iをi=a×sin(ωt+2πx/λ)としてそれぞれ表すと、干渉光Iの強度は、(i+iの時間平均=(a +a )+2×a×a×cos(4πd/λ)と表される。ただし、ワークWの表面とロッドレンズ32の出射側端面33との間の距離dを用いて、x−x=2dとしている。
上記関係式から、干渉光Iの強度は、4πd/λ=2nπ(nは整数)で最大値(a+aとなり、4πd/λ=(2n+1)πで最小値(a−aとなることが分かる。
光量Iと波数1/λとの関係におけるピーク位置の周波数、すなわち、空間周波数は、(1/λ−1/λ)の逆数に相当する。従って、上記関係式から得られる4πd×(1/λ−1/λ)=2πを用いることにより、距離dは、(空間周波数)×1/2から求めることができる。
<測定モニター画面>
図6(a)〜(c)は、図3の分光装置40における動作の一例を示した図であり、測定モニター画面上に表示される計測結果が示されている。図6(a)には、横軸を波長λ、縦軸を光量として、波長λが増加するに従って受光量が激しく変化している波長分布の特性曲線が示されている。
1次元イメージセンサー45で検出される受光量は、4πd/λ=2nπを満たす波長λで極大となり、4πd/λ=(2n+1)πを満たす波長λで極小となる。このため、波長λが増加するに従って、受光量は、周期的に激しく変化することとなる。
なお、光量分布における極大点を結ぶ包絡線は、検出光Lに含まれる光の強度分布がガウス分布であることに対応して、山型の曲線となっている。
図6(b)には、横軸を波数1/λ、縦軸を光量として、波数1/λが増加するに従って受光量が周期的に変化している波長分布の特性曲線の他の表示例が示されている。1次元イメージセンサー45の検出データについて、受光素子ごとの受光量分布が示す光量Iと波長λとの関係を光量Iと波数1/λとの関係に変換することにより、受光素子ごとの受光量分布が有する周期を単一周期の分布にすることができる。
この様な波長分布の特性曲線における周波数、すなわち、空間周波数を求めることにより、ワークWとロッドレンズ32の出射側端面33との間の距離dを算出することができる。
図6(c)には、横軸を距離d、縦軸を強度として、光量Iと波数1/λとの関係から得られたFFTスペクトルが示されている。光量Iと波数1/λとの関係を周波数解析することによって得られるFFTスペクトルでは、ピーク位置における周波数が、ワークW表面で反射された反射光とロッドレンズ32の出射側端面33で反射された反射光との光路差に比例することから、ワークW表面及び出射側端面33間の距離dは、ピーク位置における周波数の1/2倍として算出される。
図7は、ワークWまでの距離dを変化させた場合のFFTスペクトルの一例を示した図であり、距離dが異なる複数の周波数解析の結果が重ねて示されている。FFTスペクトルにおけるピーク点の強度は、通常、ワークW表面及び出射側端面33間の距離dが大きくなるほど単調に減少する。
図8(a)及び(b)は、測定モニター画面上に表示される計測結果の一例を示した図である。図8(a)には、図7のピーク点B1に対応して距離dが小さい場合の光量変化が示され、図8(b)には、図7のピーク点B2に対応して距離dが大きい場合の光量変化が示されている。
ワークW表面及び出射側端面33間の距離dが大きい場合と小さい場合とを比較すると、距離dが大きくなるほど分光装置40の分解能による測定ばらつきの影響が大きくなることから、距離dが大きい場合の方が、光量変化における極大値と極小値との差、すなわち、コントラストが小さくなっている。
この様に距離dが大きくなるほど光量変化における極大値及び極小値の差が小さくなることに起因して、FFTスペクトルにおけるピーク点の強度は、距離dに応じて減少することとなる。
FFTスペクトルにおけるピーク位置の周波数からワークW表面と出射側端面33との間の距離dを算出する際には、ノイズによる影響を除去するために、強度が所定の閾値を越えている周波数成分を抽出してピーク位置が決定される。
ピーク位置を決定する際の閾値は、計測対象とする距離dの大きさに応じて異ならせても良いが、距離dに関わらず一定値である方がオペレータにとって分かり易い。そこで、本実施の形態による光学式変位計1では、光量I及び波数1/λの関係から得られたFFTスペクトルを測定モニター画面上に表示する際に、ピーク点の強度が距離dに関わらず一定となるように周波数解析の結果を補正する処理が行われる。
<FFTスペクトルの補正処理>
図9は、補正後のFFTスペクトルの一例を示した図である。光量I及び波数1/λの関係を周波数解析することによって得られる補正前のFFTスペクトルに対して、距離に応じて値が異なる所定係数を乗算することにより、補正後のFFTスペクトルが求められる。
補正後のFFTスペクトルでは、ワークW表面及び出射側端面33間の距離dに関わらず、ピーク点の強度が一定となることから、共通の閾値Thを用いてピーク位置における周波数を決定することができる。
図10は、ワークWが透光性を有する膜である場合に、ロッドレンズ32の出射側端面33から出射される検出光Iのうち、出射側端面33で反射された反射光Iと、膜の表面で反射された反射光Iと、膜の裏面で反射された反射光Iとが干渉光Iとして観測される様子を模式的に示した説明図である。
ワークWが透明膜の場合、透明膜の表面で反射された反射光Iと、透明膜の裏面で反射された反射光Iとは、それぞれその一部が出射側端面33を介してロッドレンズ32に入射され、反射光I及びIの場合と同様に、干渉光として分光装置40に伝送される。
分光装置40では、光量I及び波数1/λの関係を周波数解析することによって得られるFFTスペクトルからピーク位置における周波数を検出することにより、ワークW表面及び出射側端面33間の距離dを算出する場合と同様にして、透明膜の膜厚dが算出される。具体的には、距離dを誤抽出することなく膜厚dを正しく抽出するために、FFTスペクトルについてピーク検出する際に、計測対象とする距離dの範囲を絞り込む所定のマスク処理が行われる。
<ピーク検出のマスク処理>
図11は、図3の分光装置40における動作の一例を示した図であり、FFTスペクトルなどの計測結果を表示する測定モニター画面61が示されている。この測定モニター画面61は、表示部60上に表示される入力画面であり、FFTスペクトルの表示領域62と、測定値の表示欄63と、マスク処理におけるパラメータの入力欄64,65と、閾値Thの入力欄66が配置されている。
表示領域62には、光量I及び波数1/λの関係を周波数解析することによって得られるFFTスペクトルが表示される。このFFTスペクトルは、横軸を距離d、縦軸を強度として表示され、表示領域62内には、ピーク位置を検出するための強度に対する閾値Thと、ピーク検出時に計測対象とする距離範囲を絞り込むためのマスク位置71,72とがそれぞれ破線で示されている。
FFTスペクトルからピーク位置を検出する場合、まず、強度が閾値Thを越えている周波数成分が抽出される。そして、抽出した周波数成分について重心位置を求めることにより、ピーク位置における周波数が決定される。FFTスペクトルから周波数成分を抽出する際、マスク位置71及び72で区分された距離範囲内を計測対象として抽出が行われる。
例えば、マスク位置71とマスク位置72との間を計測対象として抽出を行うことにより、透明膜の膜厚dを示すピークC1を抽出することができる。また、マスク位置72を越える範囲を計測対象として抽出を行うことにより、ワークW表面までの距離dを示すピークC2を抽出することができる。
入力欄64及び65は、この様なマスク位置71,72を指定するためのパラメータの入力欄となっている。
この例では、マスク位置71とマスク位置72との間の区間が計測対象として指定されており、表示領域62内には、計測対象であることを示すアイコン73がピークC1に対応付けて表示されている。また、表示欄63には、このピークC1から得られた距離が測定値として表示されている。
本実施の形態によれば、ワークWによる反射光と、ロッドレンズ32の出射側端面33による反射光との間の光路差に起因する光の干渉により、反射光は、波長に応じてその強度が周期的に変化することとなる。この様な反射光を分光して波長に対する強度変化の周波数を求めることによって、ワークW及び出射側端面33間の距離を算出することができる。その際、ロッドレンズ32の中心軸に略平行な光として検出光Lを出射させているので、ワークWと出射側端面33との間の距離を高い精度で計測することができる。
また、平行光に変換してからビームスプリッタを介してワークWに向けて検出光を出射させる場合に比べて、ヘッド部30を小型化することができる。特に、検出光を集光して中心軸に略平行な平行光を出射する集光レンズがロッドレンズ32として一体的に形成されているので、ヘッド部30をさらに小型化することができる。
なお、本実施の形態では、検出光を集光して中心軸に略平行な光として検出光Lを出射する集光レンズがロッドレンズ32である場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。検出光をワークWに向けて出射する出射側端面が平面であれば、検出光を集光して中心軸に略平行な光として検出光Lを出射する集光レンズは、2以上の単レンズを組み合わせた複合レンズであっても良い。
本発明の実施の形態による光学式変位計1の概略構成の一例を示したシステム図である。 図1の光学式変位計1の要部における構成例を示した図であり、ヘッド部30内の構成が示されている。 図1の光学式変位計1における分光装置40の構成例を示した図である。 図3の分光装置40における演算回路50の構成例を示したブロック図である。 出射側端面33から出射される検出光Iのうち、出射側端面33による反射光I、ワークW表面による反射光Iが観測される様子を示した説明図である。 図3の分光装置40における動作の一例を示した図であり、測定モニター画面上に表示される計測結果が示されている。 ワークWまでの距離dを変化させた場合のFFTスペクトルの一例を示した図であり、距離dが異なる複数の周波数解析の結果が重ねて示されている。 測定モニター画面上に表示される計測結果の一例を示した図である。 補正後のFFTスペクトルの一例を示した図である。 出射側端面33による反射光I、膜の表面による反射光I、膜の裏面による反射光Iが観測される様子を模式的に示した説明図である。 図3の分光装置40における動作の一例を示した図であり、FFTスペクトルなどの計測結果を表示する測定モニター画面61が示されている。
符号の説明
1 光学式変位計
10 本体部
11 SLD駆動回路
12 SLD
13a,17 コリメータレンズ
13b 集光レンズ
14 コールドミラー
15 LD駆動回路
16 LD
18 フェルール
19 ファイバースプリッタ
20 伝送ケーブル
21 コネクタ
30 ヘッド部
31 芯線
32 ロッドレンズ
33 出射側端面
34 筐体
35 支持部
40 分光装置
41 フェルール
42 コリメータレンズ
43 回折格子
44 結像レンズ
45 1次元イメージセンサー
46 イメージセンサー駆動回路
47 アンプ
48 ADコンバータ
49 バッファメモリ
50 演算回路
51 波長波数変換部
52 FFT処理部
53 ピーク検出部
54 距離算出部
60 表示部
L 検出光
W ワーク

Claims (8)

  1. 計測用の検出光として広帯域光を生成する広帯域光源装置と、
    上記検出光を集光し、測定対象物に向けて出射する出射側端面が平面の集光レンズと、
    上記集光レンズに入射された上記測定対象物による反射光及び上記出射側端面による反射光を分光し、波長分布の特性曲線の周波数を求めて上記測定対象物及び上記出射側端面間の距離を算出する分光装置とを備え、
    上記集光レンズは、上記出射側端面から遠ざかるに従って照射スポットが広くなる上記検出光を出射するレンズであることを特徴とする光学式変位計。
  2. 上記検出光を伝送する光ファイバーと、
    上記広帯域光源装置から伝送された検出光を上記光ファイバーに入射させるとともに、上記集光レンズを介して上記光ファイバーに入射された上記測定対象物による上記反射光及び上記出力側端面による上記反射光を上記分光装置へ伝送するビームスプリッタとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の光学式変位計。
  3. 上記集光レンズが、中心部から周縁部にかけて屈折率を変化させたロッドレンズであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式変位計。
  4. 上記光ファイバーが、単一モードで上記検出光を伝送するシングルモードファイバーであることを特徴とする請求項2に記載の光学式変位計。
  5. 上記広帯域光源装置が、上記広帯域光として近赤外光を生成することを特徴とする請求項4に記載の光学式変位計。
  6. 上記検出光の照射位置を上記測定対象物上に表示するためのガイド光として、可視光を生成するガイド光源装置を備えたことを特徴とする請求項5に記載の光学式変位計。
  7. 上記集光レンズが、上記出射側端面付近に焦点を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式変位計。
  8. 上記分光装置が、上記測定対象物における膜の表面で反射された反射光と膜の裏面で反射された反射光とを分光し、この分光結果に基づいて上記膜の厚さを算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式変位計。
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