JP2009270397A - 通気構造を備える建築構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の通気断熱構造を備えた建築構造と比較して、より簡易な構成により室内の住環境を改善することができる通気構造を備えた建築構造を提供する。
【解決手段】室内の水蒸気あるいは揮発性有機化合物を壁構造材10を透過して外部に排出する通気構造を備える建築構造であって、前記壁構造材10は、断熱性および透湿性を備え、外装材20が、前記壁構造材10の外面に、壁構造材10との間に通気層30を設けて設置されている。前記外装材20は、前記壁構造材10の下部近傍から壁構造材10の外面に沿って設置され、上端縁を軒先22に連結して、前記通気層30と小屋裏25とが連通する。
【選択図】図1

Description

本発明は通気構造を備える建築構造に関し、より詳細には、壁構造材等の透湿性と、外装材と壁構造材との間に設けた通気層を利用した通気構造を備える建築構造に関する。
本発明者は、建築物の壁面に通気層を設け、通気層に外気をとり入れることにより、木材からなる構造材の蒸れを防止して建築物の耐久性を高め、住環境を好適に維持することを可能にした通気断熱構造を備える建築物について提案した(特許文献1、2参照)。この通気断熱構造は、壁構造材の外側と内側に沿ってそれぞれ外部通気装置と内部通気層を設け、外部の自然環境に応じて外部通気層と内部通気層の通気を制御することにより、壁構造材の透湿作用(換気作用)を利用して室内の住環境を好適に維持するものである。
通気断熱構造は、夏期のように外気温が高い場合には、外部通気層と内部通気層にともに通気させ、床下空間と内部通気層とを連通させて床下側から内部通気層に気流を流通させることによって、室内の熱気と湿気を内部通気層を介して排出し、冬期のように外気温が低くなる場合には、外部通気層と内部通気層の通気を停止させ、外部通気層と内部通気層を保温層として作用させることによって室内を暖かく保持するように作用する。
特開平11−181901号公報 特開2006−207126号公報
従来の通気断熱構造を備えた建築物においては、外部通気層と内部通気層を設けて、外部通気層と内部通気層における通気を制御する機構を設けている。外部通気層と内部通気層における通気を制御する機構としては、形状記憶合金を利用した通気制御ユニットが用いられる。この通気制御ユニットは、床下と内部通気層との境界部分や、外部通気層の開口部といった適宜位置に設置する。
したがって、通気断熱構造を備えた建物を構築するには、外部通気層や内部通気層を設けたり、通気制御機構を設けたりする必要がある。
本発明は、従来の通気断熱構造を備えた建築構造と比較して、より簡易な構成によって同様の通気構造を得ることができ、住環境を改善させることができる通気構造を備えた建築構造を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、室内の水蒸気あるいは揮発性有機化合物を壁構造材を透過して外部に排出する通気構造を備える建築構造であって、前記壁構造材は、断熱性および透湿性を備え、外装材が、前記壁構造材の外面に、壁構造材との間に通気層を設けて設置されていることを特徴とする。
また、前記外装材は、前記壁構造材の下部近傍から壁構造材の外面に沿って設置され、上端縁を軒先に連結して、前記通気層と小屋裏とを連通させていることを特徴とする。通気層と小屋裏とを連通させることにより、壁構造材を透過して室内の水蒸気あるいは揮発性有機化合物を効果的に排出させることができる。
また、前記外装材は、前記壁構造材の下部近傍から壁構造材の外面に沿って、軒先の近傍まで上端縁を延出させて設置された構造とすることによって、壁構造材を透過して室内の水蒸気あるいは揮発性有機化合物を効果的に排出させることができる。
また、前記壁構造材は、前記通気層が配置された側から室内側に向けて、透湿性の防水シート、透湿性のボード、透湿性の断熱材、透湿性のボードを備えることを特徴とする。また、前記通気層側に配置された透湿性のボードの透湿抵抗が、室内側に配置された透湿性のボードの透湿抵抗よりも低く設定されていることによって、室内で生じた水蒸気等を効率的に室外に排出することができる。
また、前記透湿性のボードとして、石膏ボードを用いることができる。また、前記断熱材として、木質繊維素材からなる断熱材が好適に使用できる。
また、前記壁構造材に加えて、天井を構築する天井構造材が、断熱性および透湿性を備えることにより、室内から水蒸気あるいは揮発性有機化合物をさらに効率的に排出することができる。
前記天井構造材には、透湿性の断熱材が好適に使用できる。
また、前記通気層に、通気層への外気の流入・遮断を制御する通気制御機構が設けられていることにより、季節に応じて室内環境を好適に保持することが可能となる。
本発明に係る通気構造を備えた建築構造によれば、通気層の作用により、室内において発生した水蒸気や揮発性有機化合物を壁構造体を透過させて室外に排出され、室内を良好な環境に維持することが可能となる。また、従来の通気断熱構造を備えた建築構造と比較して、より簡易な構造によって建築物を構築することができる。
以下、本発明に係る通気構造を備えた建築構造について、添付図面にしたがって詳細に説明する。
図1に示す建築物は、断熱および調湿機能を備えた壁構造材10と、壁構造材10との間に通気層30を設けて、壁構造材10の外側に壁構造材10に沿って設置した外装材20とを備える。外装材20は、下端縁を基礎5の立ちあがり部5aの近傍に設置するとともに、上端縁を軒先22に連結させ、壁構造材10の下端から上端位置にまで通気層30が連通するように設けられる。軒先22に連通する通気層30はそのまま小屋裏空間に連通する。
外装材20の下端部(通気層30)については、単に開放した状態としておいてもよいし、通気層20の下部位置に通気制御機構40を設けて、通気層30における通気を制御するようにしてもよい。
通気制御機構40は、通気層30を外装材20の下部位置において閉止するとともに、この閉止部分に部分的に開口部を設け、この開口部を開閉するように構成される。具体的には、形状記憶合金からなるバネ材と通常のスプリングを組み合わせたモジュールを利用し、遮蔽板を開口位置と閉止位置に回動させることによって通気層30における通気を制御する。形状記憶合金は外部温度によって弾性を発現したり、塑性となったりする。したがって、この形状記憶合金の特性を利用することにより、夏期のように外気温が高いときには開口部を開放し、冬期のように外気温が低いときには開口部を遮蔽するように設定して、通気層30への外気の通気を制御することができる。もちろん、通気制御機構40の構成はこのような構成に限定されるものではない。
軒先22には、小屋裏25に外気を導入する通気口22aが設けられている。この通気口22aも、常時、開放しておいてもよいし、通気制御機構41を設けて通気口22aを開閉し、軒先22から小屋裏25への通気を制御するようにしてもよい。
通気制御機構41も前述した形状記憶合金からなるバネ材と通常のスプリングを用いたモジュールを用いて形成することができる。たとえば、通気口22aを開口する位置と遮蔽する位置との間を進退動するスライド板を設け、前記モジュールによりスライド板を移動させて通気口22aを開閉するように構成すればよい。
小屋裏25の頂部には、屋根26と小屋裏25とを連通する開口部25aが設けられ、屋根26の棟位置に、ハット部材27が設けられている。ハット部材27は開口部25aに雨風が進入しないように閉止するためのものであるが、通気制御機構42を設置して、開口部25aと戸外との通気の連通を制御するように設けることができる。通気制御機構42も前述したモジュールを利用して、外気温が高い場合には、開口部25aと戸外とを連通させ、外気温が低い場合には開口部25aと戸外との連通を閉止するように制御する。なお、通気制御機構42を設けずに、開口部25aと戸外とが常時連通するように設定することも可能である。
本実施形態においては、基礎5を、建物の床下空間の全体を囲む形状に設けている。基礎5の立ちあがり部5aには通気口6が設けられ、通気口6を開閉する通気制御機構43が設けられている。この通気制御機構43も、前述したモジュールを用いて、外気温に応じて通気口6を開閉するように設けられる。もちろん、通気制御機構43を設けずに、通気口6を常時、開放しておいてもよい。
土台7には床面を構成する床板12が取り付けられ、床板12の下面の全面に、断熱材13が敷設される。断熱材13を敷設したことにより、床下空間と室内とを断熱して、室内を保温することができる。
本実施形態の建築構造において最も特徴とする構造は、室内の壁面を構成する壁構造材10を断熱性と調湿性を備えた部材によって形成したことにある。壁構造材10に断熱性をもたせることにより、外気温が変動した際であっても室内温度が変動することを防止し、室内空間を効率的に冷房あるいは暖房することを可能にする。
なお、本実施形態においては、室内の天井面を構成する天井構造材11についても、断熱性と調湿性を備えた部材を使用している。
これによって、室内空間を構成する床面、壁面、天井面が、いずれも断熱材によって覆われ、室内空間の断熱性が高められる。
壁構造材10および天井構造材11に調湿機能を備えた部材を使用するとは、壁構造材10および天井構造材11を透湿性(通気性)を備えた材料を用いて形成し、保湿機能を備えた構造材として形成するという意味である。
図2に、壁構造材10の構成例を示す。図は、外装材20と通気層30と壁構造材10を示す。壁構造材10は、通気層30の側から、透湿性の防水シート101、透湿性の石膏ボード102、透湿性の断熱材103、透湿性の石膏ボード104、透湿性の内装材105によって形成される。石膏ボード102は壁構造材10を構成するボードとして用いている。
透湿性の防水シート101は、石膏ボード102の外装材20に対向する面を被覆するように設ける。石膏ボード102の外装材20に対向する面を防水シートによって被覆するのは、通気層30には雨などが吹き込むおそれがあり、石膏ボード102を雨水から保護するためである。建築資材として、極細長繊維を用いた不織布からなる透湿・防水シートが提供されている。防水シート101には、このような透湿性を備えた防水シートを使用すればよい。
石膏ボード102、104ともに、透湿性を備えた製品を使用する。石膏ボードには一定の透湿性を備えた商品が提供されている。壁構造材10を構成する石膏ボード102、104としては、できるだけ透湿性の高い製品を使用するのがよい。透湿性の高い石膏ボードとしては、0.7(g/m2・mmHg・hr)程度の透湿性を有する製品が提供されている。この製品は、石膏ボードを隔壁として、一方と他方の空間のガス圧力差(たとえば、水蒸気分圧差)が1mmHgのときに、石膏ボード1平方メートルあたりに透過する水分量が、1時間あたり0.7gであることを意味する。
透湿性を備えた断熱材103としては、セルロースファイバー等の木質繊維素材あるいはグラスウール等の無機質繊維素材からなる断熱材が好適に用いられる。これらの繊維素材からなる断熱材は、透湿性の点ではまったく問題なく使用できる。無機質繊維素材からなる断熱材は、断熱性の点においては木質繊維素材よりも優れ、一方、木質繊維素材は保湿性の点で無機質繊維素材よりも優れるという特徴がある。壁構造材10に用いる断熱材103としては、木質繊維素材からなる断熱材であっても、無機質繊維素材からなる断熱材であっても使用可能である。
ただし、本実施形態の通気構造においては、壁構造材10に十分な保湿性が求められる場合がある。たとえば、梅雨の時期など、気象条件によっては一時的に外気の水蒸気分圧が室内の水蒸気分圧よりも高くなる場合がある。このような場合には、断熱材103によってできるだけ保湿(保水)して室内環境が悪化することを防ぐ必要がある。木質繊維素材からなる断熱材は、きわめて優れた保湿性を有し、室内の水蒸気分圧が高くなっても結露を防止するという優れた機能を備えている。このように、断熱材103として高度の保湿性が求められる場合には、木質繊維素材が好適に使用される。
内装材105は、石膏ボード104の室内面側を覆う化粧材である。この内装材105にも透湿性の材料を使用する。透湿性の内装材105としては、透湿性クロス、珪藻土等の種々の素材がある。
なお、天井構造材11の構造も、壁構造材10の構造と基本的に同じである。ただし、天井構造材11においては、防水シート101は不要である。天井構造材11の内装材105には、透湿性を有する適宜素材を使用すればよい。
本実施形態の通気構造において、壁構造材10と天井構造材11を透湿性の素材を用いて形成するのは、外装材20と壁構造材10との間に形成された通気層30、および天井構造材11に隣接する小屋裏25の空間を利用して、室内で発生した水蒸気や、ホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物(VOC)を室外へ排出させるためである。
図1に示すように、外装材20と壁構造材10との間に形成された通気層30には、通気層30の下方から上方に向けて気流の流れが生じる。これは通気層30内で暖められた空気が上昇する作用によって生じる。通気層30内を上昇した空気は小屋裏25に進入し、開口部25aから戸外へ排出される。同様に、軒先22の通気口22aから小屋裏に進入した外気は、小屋裏25内を上昇して開口部25aから戸外に排出される。
なお、通気層30の下部位置に通気制御機構40が設けられた場合で、冬期等において通気制御機構40により通気層30の開口部が遮断されている場合には、通気層30の下方から上方に向けての気流は、開口部が開いている場合と比較して弱くなる。実際の通気制御機構40は、冬期等において開口部を閉止させる場合であっても完全には閉止されない構成となっており、これによって通気層30に気流が生じる。
この通気層30において、下方から上方に向けて流れる気流は、壁構造材10を透過した、室内の水蒸気あるいは揮発性有機化合物(VOC)を小屋裏25へ流し、小屋裏25から開口部25aを経由して戸外へ排出させるように作用する。通気層30を利用して、室内から水蒸気やVOCを排出させる作用は、従来の通気断熱構造において通気層を利用して室内の水蒸気やVOCを排出させる作用と同様である。
室内の水蒸気やVOCが、壁構造材10を透過する作用は、通気層30と室内との水蒸気分圧差、揮発性有機化合物の濃度差による。
室内での生活によって発散される水蒸気は、一人あたり1.5〜2.0(リットル/24h)程度であり、ほとんどの気象条件下においては、室内の水蒸気分圧は外気(通気層30)の水蒸気分圧よりも高くなる。このように室内の水蒸気分圧が外気よりも高くなると、室内の水蒸気は、壁構造材10を透過して水蒸気分圧の低い通気層30に移動する。通気層30においては、温度差や風圧による気流が生じているから、通気層30に透過した水蒸気は気流とともに小屋裏25に運ばれ、戸外に排出される。
気象条件によっては、室内の水蒸気分圧が、外気の水蒸気分圧と等しいか外気の水蒸気分圧よりも低くなることが生じ得る。この場合には、壁構造材10による保湿作用を利用して、室内で生じた水蒸気を壁構造材10に吸湿させる。外気の水蒸気分圧が室内の水蒸気分圧よりも高くなるのは一時的である。したがって、外気の水蒸気分圧が室内の水蒸気分圧よりも低くなった時点で、壁構造材10に吸湿された水分が徐々に拡散、放出される。
室内で生じたホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物についても、外気(通気層30)と室内との揮発性有機化合物の濃度差により、壁構造材10を透過して通気層30に排出される。
図4は、壁構造材による揮発性有機化合物の透過性を確かめるために、壁構造材のサンプル50として石膏ボードを使用し、チャンバー法によりホルムアルデヒドの低減性能試験を行った試験装置の概略構成を示す。サンプルとして使用した石膏ボードは、前述した0.7(g/m2・mmHg・hr)の透湿性能を有するものである。
チャンバー60を、サンプル50を隔壁として、室内空間に相当するA室と、通気層に相当するB室に仕切り、A室にはホルムアルデヒドの発生装置61と空気流動用のポンプ62を接続し、B室には通気層の空気流動用としてポンプ63を接続した。A室の空気流入側に流量計64とホルムアルデヒドの濃度測定器65を設置し、流出側にも濃度測定器66を設置した。B室にも同様に流量計67、濃度測定器68、69を設置した。
この実験は、室内空間としてのA室のホルムアルデヒド濃度を建築基準において規定されている100μg/m3以下となるように、ホルムアルデヒドの供給とA室、B室の空気流動量を調節し、そのときにサンプル50を透過するホルムアルデヒドの量を測定したものである。実験は、A室のホルムアルデヒド濃度を100μg/m3以下とするため、B室のホルムアルデヒド濃度が27μg/m3となるように空気流動量を制御して行った。
測定によると、ホルムアルデヒドが54μg/(m2・h)の速度でサンプル50の石膏ボードを透過すること、その際の透過面における換気量換算値は0.93m3/(m2・h)であることが確認できた。
この測定結果は、平均天井高2.4mの居室においては、床面積の1.3倍の透過面積を確保し、かつ通気層内におけるホルムアルデヒド濃度を27μg/m3以下に制御することによって、通気層によるホルムアルデヒドの排出作用が、居室に対して行う0.5(回/時)の換気と同等の効果が得られることを示す。
すなわち、上述した測定結果は、ホルムアルデヒドの濃度差により、室内から通気層へホルムアルデヒドが透過すること、その際に通気層が重要な作用をなすことを示している。本発明に係る通気構造においては、通気層に相当するB室は、外気にそのまま連通しているから、通気層におけるホルムアルデヒド濃度は0μg/m3に近いと考えてよい。したがって、本実施形態の通気構造の場合においても、上述した測定と同様に室内と通気層30と揮発性有機化合物の濃度差により、室内から通気層30へVOCを透過させ、これによって室内におけるVOC濃度を下げ、室内環境を好適に維持することが可能となる。近年は、シックハウス症候群等の健康問題が発生している。通気層30を用いてVOCを排出する作用は有効であり、これによって健康被害を抑えることが可能である。
なお、天井構造材11についても、透湿性の素材によって形成することにより、壁構造材10と同様に、室内の水蒸気や揮発性有機化合物を小屋裏25に透過させることができ、天井面からも水蒸気やVOCを排出させることによって、室内の環境をさらに好適に維持することが可能となる。通気層30による水蒸気やVOCの排出作用は、通気・透湿として利用できる面積が広いほど有効だからである。
このように、壁構造材10や天井構造材11は、室内の水蒸気や揮発性有機化合物をできるだけ効率的に外部に排出できるようにする必要があるから、たとえば壁構造材10においては、室内側のボードである石膏ボード104の透湿抵抗にくらべて通気層30側のボードである石膏ボード102の透湿抵抗を低くする(透湿しやすくなる)のがよい。これによって室内側から壁構造材10に透過した水蒸気あるいはVOCが、断熱材103中に滞留せず、石膏ボード102から排出されやすくなる。
通気層30側のボードの透湿抵抗を室内側のボードよりも低くするには、通気層30側のボードの厚さを室内側のボードの厚さよりも薄くする、あるいは通気層30側のボード材料として室内側のボードより透湿性(通気性)のよい材料を使用するといった方法によることができる。たとえば、ケナフを利用したボードは、薄厚で所要の強度を備えるから、透湿性(通気性)に優れ、通気層30側に使用するボードとして好適に利用することができる。
図3は、本発明に係る通気構造を備えた建築構造についての他の構成例を示す。
前述した実施形態においては、外装材20を軒先22に連結し、通気層30が軒先22を経由して小屋裏25にそのまま連通するように設けたが、図3に示すように、外装材20を軒先22に連結させず、外装材20の上端を軒先22から離間させるようにすることもできる。
このような構成とした場合には、通気層30の下側に流入した空気は通気層30の上側から外部に流出する。この場合であっても、壁構造材10を透過した水蒸気およびVOCは通気層30を通流する気流とともに排出され、室内環境を良好にすることができる。
ただし、前述した実施形態のように、通気層30を小屋裏25に連通させた構造とすると、通気層30と小屋裏25が連通空間となることから、煙突作用によって通気層30から小屋裏25側に空気が吸い上げられ、通気層30に強制的に上昇気流が生じる。これによって、通気層30から水蒸気やVOCを吸引する作用がより強く作用し、壁構造材10を透過して室内の水蒸気やVOCを排出させ、室内環境をより好適に維持することが可能になる。
図3に示す通気構造においては、小屋裏25には軒先22に設けた通気口22aから外気が流入する。小屋裏25には常時、上昇気流が生じているから、天井構造材11を透過した水蒸気やVOCは、開口部25aから排出され、天井構造材11に対しては、室内の水蒸気やVOCを引き込む作用が生じる。
図3においては、基礎5の通気口6、通気層30の下部、軒先22の通気口22aに通気制御機構を設けない構造としている。このように通気制御機構を設けない構成とした場合は、通気構造を備える建築構造は簡素となり、施工が容易になる。
通気構造を備える建築構造の断面図である。 外装材と壁構造材の構造を拡大して示す断面図である。 通気構造を備える建築構造の他の構成例を示す断面図である。 ホルムアルデヒドの透過特性の測定に使用した測定装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
5 基礎
6 通気口
10 壁構造材
11 天井構造材
12 床板
13 断熱材
20 外装材
22 軒先
25 小屋裏
25a 開口部
27 ハット部材
30 通気層
40、41、42、43 通気制御機構

Claims (10)

  1. 室内の水蒸気あるいは揮発性有機化合物を壁構造材を透過して外部に排出する通気構造を備える建築構造であって、
    前記壁構造材は、断熱性および透湿性を備え、
    外装材が、前記壁構造材の外面に、壁構造材との間に通気層を設けて設置されていることを特徴とする通気構造を備える建築構造。
  2. 前記外装材は、前記壁構造材の下部近傍から壁構造材の外面に沿って設置され、
    上端縁を軒先に連結して、前記通気層と小屋裏とを連通させていることを特徴とする請求項1記載の通気構造を備える建築構造。
  3. 前記外装材は、前記壁構造材の下部近傍から壁構造材の外面に沿って、軒先の近傍まで上端縁を延出させて設置されていることを特徴とする請求項1記載の通気構造を備える建築構造。
  4. 前記壁構造材は、前記通気層が配置された側から室内側に向けて、透湿性の防水シート、透湿性のボード、透湿性の断熱材、透湿性のボードを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の通気構造を備える建築構造。
  5. 前記通気層側に配置された透湿性のボードの透湿抵抗が、室内側に配置された透湿性のボードの透湿抵抗よりも低く設定されていることを特徴とする請求項4記載の通気構造を備える建築構造。
  6. 前記透湿性のボードは、石膏ボードであることを特徴とする請求項4または5記載の通気構造を備える建築構造。
  7. 前記断熱材は、木質繊維素材からなることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項記載の通気構造を備える建築構造。
  8. 前記壁構造材に加えて、天井を構築する天井構造材が、断熱性および透湿性を備えることを特徴とする請求項1〜87いずれか一項記載の通気構造を備える建築構造。
  9. 前記天井構造材は、透湿性の断熱材を備えることを特徴とする請求項8記載の通気構造を備える建築構造。
  10. 前記通気層に、通気層への外気の流入・遮断を制御する通気制御機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の通気構造を備える建築構造。
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