JP2019178977A - 建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法、情報処理システム、及び建物 - Google Patents

建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法、情報処理システム、及び建物 Download PDF

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Abstract

【課題】建物内の揮発性有機化合物の濃度予測を簡便に行うことが可能な、建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法、情報処理システム、及び建物を提供する。【解決手段】本発明に係る揮発性有機化合物の濃度を予測する方法は、建物内の所定空間における揮発性有機化合物の濃度を予測する方法であって、揮発性有機化合物の放散速度実測値データ28を準備するステップと、資材を建物内の所定空間ごとにまとめた邸別資材リスト24を準備するステップと、資材ごとの使用量と、揮発性有機化合物の放散速度の実測値とから、揮発性有機化合物の放散量合計値を算出するステップと、給気手段及び排気手段の少なくともいずれか一方から常時換気量を算出するステップと、放散量合計値と、常時換気量とから、所定空間内における揮発性有機化合物の予測濃度を算出するステップとを含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法、情報処理システム、及び建物に関する。
シックハウス対策に係る改正建築基準法の施行により、内装仕上げに使用する建築材料について、ホルムアルデヒドの放散速度を管理することが義務付けられている。これに対して、建物の施工業者は、例えばJIS規格の等級(例:F☆☆☆☆(Fフォースター))で管理された建築資材を用いて内装仕上げを行っている。
しかし、建物内の空気汚染状況は、部材の種類、汚染物質の種類や放散速度、各部材の施工面積等の他に、室内温度、湿度、換気回数等の外的要因が複雑に絡みあって決定される。このため従来は、建物を施工した後に汚染物質濃度を実測しており、汚染物質濃度を実測することなく建物内の空気汚染状況を正確に把握することは難しかった。
このような問題に対して、例えば引用文献1には、閲覧者が予測条件を入力することにより、イントラネット上で基本情報DB及び部材情報DBを用いて空気汚染物質の濃度を予測することが開示されている。
特開2003− 30567号公報
しかし、特許文献1に開示された構成では、汚染物質の濃度を予測するための条件を閲覧者が入力する必要があり、汚染物質の濃度予測を行うための操作が煩雑になるという問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、建物内の揮発性有機化合物の濃度予測を簡便に行うことが可能な、建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法、情報処理システム、及び建物を提供することにある。
本発明の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法は、
建物内の所定空間における揮発性有機化合物の濃度を予測する方法であって、
建物を構成する資材における前記揮発性有機化合物の放散速度実測値データを準備するステップと、
前記資材を建物内の前記所定空間ごとにまとめた邸別資材リストを準備するステップと、
前記邸別資材リストに基づく前記資材ごとの使用量と、前記放散速度実測値データに基づく前記資材ごとの前記揮発性有機化合物の放散速度の実測値とから、前記所定空間における前記揮発性有機化合物の放散量合計値を算出するステップと、
建物の外部から内部に空気を導入する給気手段、及び建物の内部から外部へと空気を排気する排気手段の少なくともいずれか一方から常時換気量を算出するステップと、
前記放散量合計値と、前記常時換気量とから、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の予測濃度を算出するステップと
を含むことを特徴とするものである。
また、本発明の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法は、上記構成において、前記資材の内、前記揮発性有機化合物の低減に影響を与える、換気量換算に関する建材の換気量換算値を特定するステップを更に含み、
前記揮発性有機化合物の予測濃度を算出するステップは、前記放散量合計値と、前記常時換気量と、前記換気量換算値とから、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の予測濃度を算出することが好ましい。
また、本発明の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法は、上記構成において、
前記所定空間における前記揮発性有機化合物の放散量合計値を算出する前記ステップは、
前記資材を施工部位ごとに分類するステップと、
前記揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物において、前記施工部位ごとの前記揮発性有機化合物の放散量を算出するステップと、
前記揮発性有機化合物の濃度が既知である前記複数の建物における、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の濃度実測値を取得するステップと、
前記揮発性有機化合物の濃度が未知である建物における、前記施工部位ごとの前記揮発性有機化合物の放散量に、前記揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物の濃度実測値に基づいて導出した前記施工部位ごとの補正係数を乗じて、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の前記放散量合計値を算出するステップと
を含むことが好ましい。
また、本発明の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法は、上記構成において、
前記揮発性有機化合物の濃度が既知である前記複数の建物について、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の濃度実測値を目的変数とし、前記施工部位ごとの前記揮発性有機化合物の放散量を前記常時換気量で除した値、又は前記常時換気量と前記換気量換算値の合計値で除した値を説明変数とする多変量解析によって、前記施工部位ごとの補正係数を導出するステップを更に含むことが好ましい。
また、本発明の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法は、上記構成において、前記給気手段、及び前記排気手段の少なくともいずれか一方を特定するステップを更に含むことが好ましい。
また、本発明の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法は、上記構成において、前記施工部位は、建物の気密ラインの外側に配置されている部位を含むことが好ましい。
また、本発明の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法は、上記構成において、前記換気量換算に関する建材を決定するステップを更に含むことが好ましい。
また、本発明の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法は、上記構成において、前記換気量換算に関する建材を施工する部位を決定するステップを更に含むことが好ましい。
また、本発明の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法は、上記構成において、
前記揮発性有機化合物の濃度が既知である更なる建物において、前記施工部位ごとの前記揮発性有機化合物の放散量を算出するステップと、
前記揮発性有機化合物の濃度が既知である更なる建物における、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の濃度実測値を取得するステップと、
前記揮発性有機化合物の濃度が既知である前記複数の建物及び前記更なる建物の双方のデータを用いて、多変量解析によって、前記施工部位ごとの補正係数を再導出するステップと
を更に含むことが好ましい。
本発明の建物は、上述の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法によって予測した建物内の揮発性有機化合物濃度が所定の値以下となることを特徴とするものである。
本発明の情報処理システムは、
建物の設計情報である建物記述データと、建物を構成する資材を建物内の所定空間ごとにまとめた邸別資材リストと、前記資材における揮発性有機化合物の放散速度実測値データとを記憶する記憶部と、
前記記憶部内のデータを処理する制御部と
を備える情報処理システムであって、
前記制御部は、
前記邸別資材リストに基づく前記資材ごとの使用量と、前記放散速度実測値データに基づく前記資材ごとの前記揮発性有機化合物の放散速度の実測値とから、建物の前記所定空間における前記揮発性有機化合物の放散量合計値を算出し、
前記建物記述データに含まれる、建物の外部から内部に空気を導入する給気手段の仕様、及び建物の内部から外部へと空気を排気する排気手段の仕様の少なくともいずれか一方に基づいて常時換気量を算出し、
前記放散量合計値と、前記常時換気量とから、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の予測濃度を算出する
ことを特徴とするものである。
本発明によれば、建物内の揮発性有機化合物の濃度予測を簡便に行うことが可能な、建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法、情報処理システム、及び建物を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る情報処理システムに格納される、邸別資材リストの構成の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法における各ステップの実行手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法における更なる各ステップの実行手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法による予測対象となる建物内の施工部位の分類の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法による濃度予測値と、濃度実測値との相関を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム100の構成を示す機能ブロック図である。本実施形態に係る情報処理システム100は、複数の建物の設計情報を管理可能であるほか、これらの設計情報を活用して各建物内における揮発性有機化合物の濃度を予測することができる。
情報処理システム100は、図示のように、建物の設計情報である建物記述データ22等を記憶する記憶部20と、記憶部20内のデータを処理する制御部10と、制御部10からの要求に基づいて外部とデータの送受信を行う送受信部30と、オペレータからの入力情報を入力する入力部40と、建物記述データ22の表示等を行う表示部50とを備えている。記憶部20は、建物記述データ22の他に、建物を構成する資材を建物ごとにまとめた邸別資材リスト24と、建物を構成する資材に関するデータを有する資材情報データベース25と、建物を構成する資材における揮発性有機化合物の放散速度実測値データを有する放散速度データベース28と、揮発性有機化合物の濃度が既知である建物ごとの資材の情報、当該資材ごとの揮発性有機化合物の放散量データ、及び建物ごとの揮発性有機化合物の濃度実測値のデータを有する濃度実測値データベース26とを有している。
なお、本願明細書、特許請求の範囲及び図面に記載の「揮発性有機化合物」は、後述するJIS A 1901において対象化学物質とされている建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物を含むものとする。
制御部10は、情報処理システム100を構成する記憶部20、送受信部30、入力部40及び表示部50等の制御を行う。より具体的には、制御部10は、図示しない他の設計用コンピュータからLAN200(Local Area Network)経由で送信された建物の設計情報を送受信部30経由で受信し、建物記述データ22を更新する。制御部10は、入力部40を通じたオペレータからの入力情報に基づいて、記憶部20内の建物記述データ22の更新を行ってもよい。制御部10は、建物記述データ22に含まれる、建物を構成する資材の情報から、邸別資材リスト24の生成、更新等を行う。制御部10は、邸別資材リスト24内の建物を構成する資材における揮発性有機化合物の放散速度の実測値データを放散速度データベース28内から読み出す。制御部10は、読み出した放散速度実測値データを用いて、後述するように建物内における揮発性有機化合物の放散量を算出し、建物内の揮発性有機化合物の濃度を予測する。制御部10は、後述のように、濃度実測値データベース26内の揮発性有機化合物の濃度が既知である建物ごとの資材の情報から揮発性有機化合物の放散量を算出すると共に、揮発性有機化合物の濃度実測値を読み出して、後述する多変量解析により施工部位ごとの補正係数を算出する。制御部10は、建物記述データ22に含まれる各邸の建物の外形形状、間取り、仕上げ指定等の設計情報を表示部50に表示することができる。制御部10は、邸別資材リスト24内の情報、放散速度実測値データ、揮発性有機化合物の濃度実測値等の情報を表示部50に表示することができる。制御部10は、図示しない他の設計用コンピュータからの要求に基づいて、記憶部20内の各情報を、送受信部30経由で他の設計用コンピュータに送信することができる。
本実施形態の情報処理システム100は、プログラム命令を実行可能なコンピュータシステム等により構成することができる。このようなコンピュータシステムは、例えばPC(パーソナルコンピュータ)、ワークステーション、専用コンピュータ等である。そして、制御部10は、上述のコンピュータシステムに搭載される一以上のCPU(中央演算処理ユニット)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はマイクロコントローラ等により構成することができる。
記憶部20は、図1に示すように、建物記述データ22と、邸別資材リスト24と、資材情報データベース25と、放散速度データベース28と、揮発性有機化合物の濃度実測値データベース26とを有している。本実施形態において記憶部20は、情報処理システム100内に設けられると共に制御部10によって制御されるように構成されている。しかし、この態様に限定されるものではなく、記憶部20は、制御部10を有する装置とは異なるサーバ等の外部装置内に設けられ、例えばLAN200経由で制御部10からの情報を保存し、制御部10からの要求に基づいて情報を送信するように構成してもよい。記憶部20は、半導体メモリ、磁気ディスク、又は光ディスク等によって構成することができる。
建物記述データ22は、建物の設計情報であり、記憶部20内に保存されている。建物記述データ22は、邸別の建物の外形形状、間取り、各部位に使用される資材の情報、各資材の配置、数量等の情報を含んでいる。本実施形態の情報処理システム100は、工場で生産される規格化された資材を使用して建物を建設する、プレハブ工法による建物を想定しており、資材の寸法、材質等の情報は、別途資材情報データベース25内に格納されている。しかし、顧客からの要請に応じて規格化されていない新たな部材を用いた場合、それらの新たな部材の形状、材質等の情報を、適宜建物記述データ22に含めてもよい。
制御部10は、図示しない他の設計用コンピュータから送信された建物のCAD(Computer Aided Design)データを建物記述データ22に邸別に保存する。制御部10は、建物記述データ22内の建物のCADデータを邸別に読み出し、他の設計用コンピュータに送信したり、表示部50に表示させることができる。
邸別資材リスト24は、建物を構成する資材を建物ごとに、又は建物内の所定空間ごとにまとめたリストである。制御部10は、建物記述データ22が更新されると、建物記述データ22内に含まれる建物の部位ごとの資材情報を参照し、邸別に使用される資材の情報をまとめてリストを作成する。邸別資材リスト24には、図2に示すように、例えば邸別に使用される部屋(居室)ごとの各資材の名称(型番)、使用数量等の情報を含めることができる。邸別資材リスト24は、更に、色、寸法等の情報を有していてもよい。制御部10は、邸別資材リスト24を更新する際に、資材情報データベース25等から、例えば、各資材の製造者、色、寸法、JIS規格の等級、各資材の名称(型番)など、資材ごとの必要な情報を取得することができる。
資材情報データベース25は、プレハブ工法における予め規格化された資材の情報を有している。資材情報データベース25は、例えば規格化された資材の名称(型番)、材質、寸法、製造者、色、JIS規格の等級等の情報を含むことができる。制御部10は、図示しない他のコンピュータからの要求、又はオペレータによる入力部40からの入力に基づいて、資材情報データベース25を更新することができる。資材情報データベース25は、顧客からの要請に応じて登録された、規格化されていない新たな資材に関する情報を有していてもよい。
濃度実測値データベース26は、建物ごとの資材情報と、当該資材ごとの揮発性有機化合物の放散量データと、建物ごとの揮発性有機化合物の濃度実測値データとを有している。本実施形態では、資材情報、及び揮発性有機化合物の放散量データは、施工部位別に管理され保存されている。濃度実測値データは、建物ごとの建物全体の濃度実測値データと、建物ごとの各居室の濃度実測値データとを有している。濃度実測値データベース26は、少なくとも建物ごとの建物全体の濃度実測値データ、又は建物ごとの一部の居室の濃度実測値データを有していればよい。
放散速度データベース28に格納された、揮発性有機化合物の放散速度実測値データは、資材情報データベース25内の資材ごとに、揮発性有機化合物の放散速度の実測値を記録したデータベースである。ここで、揮発性有機化合物の放散速度とは、単位時間・単位面積あたりの揮発性有機化合物の放散質量[μg/(m2・h)]もしくは単位時間・単位ユニットあたりの揮発性有機化合物の放散質量[μg/(unit/h)]である。この揮発性有機化合物の放散速度は、例えばJIS A 1901に定める小形チャンバー法およびJIS A 1911に定める大形チャンバー法によって実測値を得ることができる。すなわち、チャンバー内に試験体を設置した後に清浄な空気を一定量送り、一定期間経過後にチャンバー内の換気出口において空気を捕集し、高速液体クロマトグラフ分析装置で揮発性有機化合物を定量し、以下の数式(1)によって揮発性有機化合物の放散速度を算出する。
Figure 2019178977
ここで、EFa:単位面積当たりの揮発性有機化合物の放散速度[μg/(m2・h)]、Ct:経過時間tにおけるチャンバー内の揮発性有機化合物の濃度[μg/m3]、n:換気回数[回/h]、L:試料負荷率[m2/m3]である。なお、試料負荷率Lは、試料表面積とチャンバーの容積との比率である。ただし、大形チャンバー法の場合は、資料負荷率の単位は[unit/m3]となる。
送受信部30は、制御部10からの要求に基づいて、LAN200を通じて他の設計用コンピュータやサーバ等とデータの送受信を行う。送受信部30は、制御部10からの要求に基づいてLAN200を介してインターネットと接続し、例えば揮発性有機化合物の放散速度データベース28を、より最新のデータに更新することができる。
入力部40は、オペレータからの入力操作を検出する。入力部40は、パーソナルコンピュータ等が備えるキーボードやマウスの他、タッチパネルに表示されたGUI(Graphical User Interface)上でオペレータが指で操作を行うことで入力可能とするものであってもよい。本実施形態において、オペレータは、例えば図2等に示す建物No.を入力部40から入力することで、その建物No.に対応する建物の設計情報等を表示部50に表示させたり、その建物について揮発性有機化合物の濃度の予測指示を行うことができる。
表示部50は、制御部10からの要求に基づいて各種情報を表示させる表示装置である。表示部50は、選択された建物の設計情報をオペレータに視認させたり、後述する揮発性有機化合物の濃度の予測結果を表示させることができる。表示部50は、液晶ディスプレイ等の表示装置に限定されるものではなく、入力部40の機能を兼ね備えたタッチパネルとして構成してもよい。また、情報処理システム100は、建物の設計情報や揮発性有機化合物の濃度予測情報を処理するのに特化させ、入力部40や表示部50を備えない構成としてもよい。
次に、情報処理システム100による、建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法について、図3乃至図6を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法を実行するための各ステップを示すフローチャートである。
本実施形態に係る方法は、まず、建物を構成する資材における揮発性有機化合物の放散速度実測値データを準備し、放散速度データベース28に格納する(ステップS101)。制御部10は、建物に用いられる規格化された資材のうち、揮発性有機化合物を放散する資材に関する放散速度の実測値データを放散速度データベース28に格納する。揮発性有機化合物がホルムアルデヒドである場合、各資材についてホルムアルデヒドの放散速度の実測値データが格納される。複数の揮発性有機化合物について濃度予測を行う場合、放放散速度データベース28には、資材及び揮発性有機化合物ごとに放散速度の実測値データが格納される。
制御部10は、邸別資材リスト24を生成し、記憶部20に格納する(ステップS103)。制御部10は、建物の設計情報である建物記述データ22から、建物を構成する資材の名称(型番)及び数量に関する情報を抽出し、邸別に資材リストを作成する。なお、邸別資材リスト24は、資材名称(型番)、数量の他に、資材の材質、色、寸法等の情報を含めてもよい。
次に、制御部10は、所定空間における揮発性有機化合物の放散量合計値を算出する(ステップS105)。このステップは、制御部10が、邸別資材リスト24に基づく資材ごとの使用量と、放散速度データベース28に基づく資材ごとの揮発性有機化合物の放散速度の実測値とから、所定空間における揮発性有機化合物の放散量合計値を算出する。ここでいう所定空間とは、建物内の空間のうち、揮発性有機化合物の濃度の予測対象となる空間である。この所定空間は、出入り口などの開口部を通じて連なる建物内の全空間としてもよいし、建物内の所定の居室や所定のフロアなど、建物内の一部の空間としてもよい。
なお、揮発性有機化合物の濃度の予測対象となる所定空間は、1つの邸別資材リスト24に含まれる資材が使われる建物内の空間と完全に一致する必要はない。例えば、濃度の予測対象となる特定の居室の資材が邸別資材リスト24内において区分されていればよく、邸別資材リスト24が特定の居室の資材情報のみを有している必要はない。また、濃度の予測対象となる所定空間が建物内の特定のフロアである場合に、建物内の特定のフロアの資材が複数の邸別資材リスト24によって構成されていてもよい。
ステップS105についてより詳しく説明すると、制御部10は、所定空間内において使用されている資材について、邸別資材リスト24に基づく各資材の使用数量と、資材情報データベース25に基づく各資材の形状及び寸法情報と、建物記述データ22に基づく各資材の配置情報等から、各資材が居室内又は壁内に施工される面積もしくはユニット数を算出する。そして、制御部10は、各資材の施工面積もしくはユニット数に、各資材の揮発性有機化合物の放散速度実測値を乗じて、所定空間における各資材からの揮発性有機化合物の放散量を算出する。ここで、キッチンセットなどユニット単位での放散速度が対象となる部材において、使用部材のユニット寸法が実測した部材のユニット寸法と異なる場合は、ユニット形状や部材構成を考慮したスケールファクターで補正してもよい。制御部10は、資材ごとの揮発性有機化合物の放散量を加算して揮発性有機化合物の放散量合計値を算出する。
次に、制御部10は、建物の外部から内部に空気を導入する給気手段と、建物の内部から外部へと空気を排気する排気手段とを特定する(ステップS107)。このステップは、予め建物記述データ22が建物の設計情報として有している給気手段及び排気手段の情報を用いてもよいし、揮発性有機化合物の濃度予測に際してオペレータが入力部40を通じて特定した給気手段及び排気手段の情報を用いてもよい。また、給気手段、及び排気手段のいずれか一方のみを特定してもよい。
給気手段は、建物の外部から内部に空気を導入する手段であり、本実施形態では例えば給気扇又は給気ダクトを採用することができる。また、排気手段は、建物の内部から外部へと空気を排気する手段であり、本実施形態では例えば排気扇を採用することができる。なお、給気手段は、給気扇又は給気ダクトに代えて給気口を採用してもよいし、排気手段は、排気扇に代えて排気口を採用してもよい。
すなわち、本実施形態では、排気手段として排気扇を採用しており、これによって建物は、機械換気方式を採用することができる。給気手段に給気扇を用いた場合、給気手段及び排気手段が共に機械力を用いているため、建築基準法に定める第1種換気となる。一方、給気手段に給気口を用いた場合、排気手段のみが機械力を用いているため、建築基準法に定める第3種換気となる。換気方式として機械換気方式を採用することによって、建物内の所定空間を流れる空気の流量を定量的に把握できるため、後述するように揮発性有機化合物の放散量合計値から濃度を正確に予測することができる。なお、第1種換気及び第3種換気に代えて、給気にのみ機械換気を用いる第2種換気を採用してもよい。
次に制御部10は、ステップS107において特定した給気手段及び排気手段から、常時換気量を算出する(ステップS109)。なお、常時換気とは24時間換気であり、建築基準法では、住居の居室等については、0.5回/h以上の換気回数が求められている。ここでいう換気回数[回/h]は、居室全体の空気が1時間当たりに入れ替わる回数である。従って、常時換気量が上述の換気回数以上となるように給気手段及び排気手段の能力を選定することが望ましい。なお、給気手段及び排気手段の一方のみから常時換気量を算出してもよい。
次に制御部10は、建物の所定空間を構成する資材の内、揮発性有機化合物の低減に影響を与える、換気量換算に関する建材の換気量換算値を特定する(ステップS111)。ここでいう、換気量換算に関する建材とは、揮発性有機化合物の低減効果を有する機能性建材と、機能性建材を覆う仕上げ用建材である透湿性建材と、機能性建材に透湿性建材を接着する接着剤とを含む概念である。なお、透湿性建材及び接着剤は、通常、機能性建材が石膏ボードである場合に用いられる。また、揮発性有機化合物の低減とは、揮発性有機化合物の吸着、分解、固着を含む概念である。本実施形態に係る揮発性有機化合物の濃度を予測する方法において予測対象としている建物は、居室の少なくとも天井面に、室内の空気汚染物質である揮発性有機化合物を低減する機能性建材が使用されていることを想定している。常時換気量をQj、機能性建材を用いることによる濃度低減効果を清浄空気の導入による換気量の増大によって達成される効果で表した数値である、換気量換算値(JIS A 1905−1参照)をQkとし、機能性建材を単位面積(1m2)だけ施工した場合に、居室内の揮発性有機化合物の濃度がC0からC1に変化すると、以下の数式(2)、及び数式(3)が成立する。
Figure 2019178977
Figure 2019178977
ここで、M0は、所定空間内における揮発性有機化合物の放散量である。また、数式(2)及び(3)より、以下の関係を導くことができる。
Figure 2019178977
この換気量換算値Qkは、機能性建材に固有の値を有する。ステップS111の実行に際して、制御部10は、機能性建材の供給元が提供している換気量換算値を用いてもよいし、数式(4)を用いて試験用チャンバー等で実測した換気量換算値Qkを用いて機能性建材の換気量換算値を特定してもよい。
機能性建材の仕様としては、換気量換算値が1.0[m3/m2/h]以上であることが好ましい。これによって、十分な揮発性有機化合物の濃度低減効果を得ることができる。揮発性有機化合物の吸着は、物理吸着する建材よりも化学吸着する建材を用いることが好ましい。化学吸着による場合には、揮発性有機化合物が再放出される可能性がより低いからである。機能性建材に好適な建材としては、例えば、漆喰、エコカラット(登録商標)、又はホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物(VOC)の低減効果が高い石膏ボード等がある。
また、機能性建材に石膏ボードを用いる場合には、機能性建材の表面(居室内空間に露出する面)には、仕上げ材として、透湿性建材を配置することが好ましい。これによって、天井面等の外観を美しく仕上げつつ、機能性建材の濃度低減効果を高く維持することができる。透湿性建材は、天井面に配置された機能性建材の表面に配置することが好ましい。機能性建材及び透湿性建材を、天井面以外の例えば壁面に配置した場合には、収納家具の設置などにより室内空気と機能性建材との接触効率が悪くなる可能性がある他、透湿性建材の防汚性や引っ掻き強度に起因して壁面の外観が損なわれる可能性があるからである。なお、透湿性建材の透湿度は、4000[g/m2・24h]程度であることが好ましく、透湿性建材の透気度は、25〜55[s]であることが好ましい。これによって、機能性建材と室内空気との接触効率を高めて、揮発性有機化合物の低減効果を維持することができる。
上述の透湿性建材は、機能性建材の表面に透湿性及び透気性を有する接着剤によって接着されることが好ましい。これによって、機能性建材と室内空気との接触効率を高めて、揮発性有機化合物の低減効果を維持することができる。
機能性建材の換気量換算値は、表面に配置する透湿性建材の透湿度及び透気度、並びに透湿性建材と機能性建材との接着に用いられる接着剤の透湿性及び透気性を考慮して特定することが好ましい。
機能性建材の使用面積は、少なくとも所定空間の居室の床面積に対応した面積を有していることが好ましい。このように、床面積が大きく揮発性有機化合物の放散量が大きい居室に使用する機能性建材の使用面積を増やすことで、揮発性有機化合物を効率よく低減することができる。
次に制御部10は、ステップS105で算出した揮発性有機化合物の放散量合計値と、ステップS109で算出した常時換気量と、ステップS111で特定した換気量換算に関する建材の換気量換算値とから、所定空間内における揮発性有機化合物の予測濃度を算出する(ステップS113)。より具体的には、制御部10は、ステップS105,S107,S109により得た揮発性有機化合物の放散量合計値、常時換気量及び換気量換算値をそれぞれ数式(5)のMt,Qj及びQkに代入することによって、所定空間における揮発性有機化合物の予測濃度Ceを算出することができる。
Figure 2019178977
なお、ステップS113で算出した予測濃度が所定の値以下となるように、建物記述データ22を修正し、修正された建物記述データ22に基づいて建物を製造することができる。例えば、建物の設計者は、ステップS113で算出した予測濃度が所定の値を超えた場合に、排気扇の排気風量を高めたり、居室の天井に使用する機能性建材の面積を増やすことで予測濃度を低減し、所定の値以下になるようにすることができる。なお、上記の所定の値は、厚生労働省から出されている室内空気質ガイドライン記載の指針値よりも小さい濃度であり、好ましくはその指針値の1/2以下、さらに好ましくは1/3以下にすることができる。
出願人は、鋭意検討を重ねた結果、図3のステップS105について、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物において、揮発性有機化合物の濃度実測値を目的変数とし、施工部位別の揮発性有機化合物の放散量を説明変数とする多変量解析を行うことによって、揮発性有機化合物の濃度の予測精度を向上させることができることを見出した。以下にその方法について詳述する。
図4は、図3におけるステップS105を多変量解析により実行するための各ステップを示すフローチャートである。
制御部10は、建物を構成する資材を、施工部位ごとに分類する(ステップS201)。本実施形態において、施工部位ごとの分類は、図5に示す4つの施工部位A〜Dへの分類である。
施工部位Aは、天井面、床面、壁面等に用いられる仕上げ材である。これらの部位に用いられる資材は、表面が居室内空間に露出する。そのためにこれらの部位に用いられる資材から放散される揮発性有機化合物は、建物内の揮発性有機化合物の濃度に大きな影響を与える。
施工部位Bは、箪笥、本棚又は食器棚など、いわゆる箱物に用いられる資材である。これらの部位に用いられる資材は、居室内空間に露出する資材の一部分から居室内に揮発性有機化合物が放散される。そのためにこれらの部位に用いられる資材から放散される揮発性有機化合物は、放散速度から算出される放散量に所定の係数を乗じた値を用いて濃度計算を行うのが適切であると考えられる。
施工部位Cは、一部のみが居室内に露出する中間部材である。施工部位Cには、例えば建具枠などが含まれる。窓枠等の建具枠は、一部が居室内に露出し、他の一部が壁内に埋設される部材である。従って、施工部位Cについても、放散速度から算出される放散量に所定の係数を乗じた値を用いて濃度計算を行うのが適切であると考えられる。
施工部位Dは、壁内に埋設される壁内部材である。この施工部位Dに属する部材については、居室内に直接露出していないため、他の施工部位A〜Cと比較して揮発性有機化合物の濃度への影響は少ないと考えられるが、仕上げ材を通して居室内に放散される可能性等を考慮し、本実施形態では壁内部材についても考慮している。
制御部10は、邸別資材リスト24に記載されている邸別の資材のうち、放散速度データベース28内に実測値データが格納されている資材について、上述の施工部位A〜Dのいずれかに分類する。この分類に際しては、制御部10は、各資材の部材全体に占める居室内に露出する面積の割合、施工される部位等を考慮して上記分類を行う。
次に、制御部10は、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物において、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を算出する(ステップS203)。このステップS203は、制御部10が、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物について、濃度実測値データベース26に格納された、建物ごとの資材情報及び資材ごとの揮発性有機化合物の放散量データを取得することによって実行することができる。この場合、建物ごとの揮発性有機化合物の放散量データは、施工部位別に管理されていることが望ましい。また、ステップS203は、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物について、邸別資材リスト24に基づく資材ごとの使用量と、放散速度データベース28に基づく資材ごとの揮発性有機化合物の放散速度の実測値とから、所定空間における施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を算出してもよい。
次に、制御部10は、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物において、所定空間内における揮発性有機化合物の濃度実測値を取得する(ステップS205)。この濃度実測値の取得は、濃度実測値データベース26に格納された建物ごとの揮発性有機化合物の濃度実測値を取得することによって実行される。濃度実測値データベース26のように、複数の建物について、建物ごとの資材情報と、揮発性有機化合物の濃度実測値が一覧になったリストが存在することによって、後述する補正係数の算出及び更新をシステム的に行うことができる。なお、濃度実測値は、例えば建物記述データ22内において建物の設計情報に付随するデータとして保存してもよいし、ステップS205を実行する際にLAN200を介して濃度実測値データを取得し、記憶部20内に保存してもよい。
次に、制御部10は、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物について、所定空間内における揮発性有機化合物の濃度実測値を目的変数とし、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を常時換気量と換気量換算値の合計値で除した値を説明変数とする多変量解析によって、施工部位ごとの補正係数を導出する(ステップS207)。多変量解析は、目的変数と説明変数の関連性を明確にするための統計的手法であり、説明変数によって目的変数を予測することを目的としている。本実施形態では、以下の数式(6)の関係が成立すると仮定し、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物について、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量M1〜M4と揮発性有機化合物の濃度実測値CMとから、補正係数α、β、γ、δを回帰分析によって求める。
Figure 2019178977
数式(6)において、Qj及びQkは、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物それぞれの設計情報から算出・特定した、常時換気量及び換気量換算値である。回帰分析の結果得られた補正係数α、β、γ、δは、各施工部位における揮発性有機化合物の放散量M1〜M4が所定空間内の揮発性有機化合物の濃度にどの程度影響を与えるかを示す指標となる値でなる。
次に制御部10は、以下の数式(7)に示すように、揮発性有機化合物の濃度が未知である建物における、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量M1U〜M4Uに、ステップS207で算出した施工部位ごとの補正係数α、β、γ、δを乗じて、所定空間内における揮発性有機化合物の放散量合計値Mteを算出する(ステップS209)。
Figure 2019178977
このように、本実施形態では、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物について、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量と揮発性有機化合物の濃度実測値との関連性を多変量解析によって明らかにした。そして、多変量解析によって得られた施工部位ごとの補正係数を用いて、揮発性有機化合物の濃度が未知である建物について、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を補正して放散量合計値を算出するように構成した。これによって、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量が揮発性有機化合物の濃度に与える影響を定量化することができるので、建物内の所定空間における揮発性有機化合物の濃度をより正確に予測することができる。
なお、多変量解析によって施工部位ごとの補正係数を算出した後に、更なる揮発性有機化合物の濃度が既知である建物についてのデータを取得した場合には、当該更なる建物について、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を算出すると共に、揮発性有機化合物の濃度実測値を取得し、既に多変量解析に使用した複数の建物のデータ及び当該更なる建物のデータの双方を用いて、多変量解析によって、施工部位ごとの補正係数を再導出することが好ましい。これによって、建物内の所定空間における揮発性有機化合物の濃度の予測精度を更に向上させることができる。
なお、出願人が、換気方式として第1種換気を採用した場合と、第3種換気を採用した場合とでホルムアルデヒドの濃度実測値と濃度予測値との相関を確認したところ、図6に示す結果が得られた。すなわち、換気方式として第3種換気を採用した場合と比較して、第1種換気を採用した方が、濃度実測値と濃度予測値との相関が良好であるという結果が得られた。これは、例えば、第3種換気では、給気手段に機械を用いていないため、給気手段以外の建物の隙間等からも空気が建物内に入り込み、空気の流れが必ずしも給気手段と排気手段の能力及び配置によって定まらないことが一因であると考えられる。従って、揮発性有機化合物の濃度の予測精度を向上させるには、建物の換気方式は第1種換気とすることが好ましい。ここで、第1種換気は、給気手段及び排気手段の双方に機械力を用い、排気手段の換気量が常時換気量の100%である場合に、給気手段の換気量が常時換気量の80%以上120%以下である換気方式である。第3種換気は、排気手段の換気量が常時換気量の100%を確保し、かつ給気扇を併用する場合は、給気扇の換気風量が常時換気量の50%以下である換気方式である。出願人が鋭意検討したところ、給気手段及び排気手段の双方に機械力を用い、給気扇の換気量が常時換気量の40%以上であれば、第1種換気でなくても(すなわち第3種換気であっても)濃度実測値と濃度予測値との相関が良好であるという結果を見出した。従って、給気扇の換気量を常時換気量の40%以上確保することが好ましい。なお、常時換気方式別の濃度予測値の精度を上げるため、数式(6)において、常時換気量Qjに換気方式別の補正係数を乗じる方法をとることも可能である。また、数式(6)において、換気量換算値Qkを用いず、常時換気量Qjのみを用いて揮発性有機化合物の濃度予測を行ってもよい。この場合、数式(6)の分母は、常時換気量Qj又は、常時換気量Qjに換気方式別の補正係数を乗じたものとなる。
なお、本実施形態では、所定空間における揮発性有機化合物の放散量合計値を算出するに際し、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物の施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を算出すると共に揮発性有機化合物の濃度実測値を取得し、濃度実測値を目的変数とし、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を常時換気量と換気量換算値の合計値で除した値を説明変数とする多変量解析によって施工部位ごとの補正係数を導出して放散量合計値を算出し、揮発性有機化合物の濃度予測の精度を向上させるように構成したが、この態様には限定されない。例えば、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物の施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を常時換気量と換気量換算値の合計値で除した値を入力データ、揮発性有機化合物の濃度実測値を出力データとして機械学習を実行し、揮発性有機化合物の濃度が未知である建物の施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を常時換気量と換気量換算値の合計値で除した値を学習済みモデルに入力することで、揮発性有機化合物の濃度予測値を出力させるように構成してもよい。
また、本実施形態では、建物内の所定空間を図5に示す4つの施工部位に分類したが、施工部位の分類は、この態様に限定されない。例えば、建物の気密ラインの外側の領域を含む施工部位Dについては、気密ラインの内側の領域のみを含むように構成してもよい。また、揮発性有機化合物の濃度に与える影響を考慮して、適宜いずれかの施工部位を削除したり、新たな施工部位を追加するように構成してもよい。
また、本実施形態では、建物を構成する資材のうち、放散速度データベース28に記載されている全ての資材の情報を用いて放散量を算出するように構成したが、この態様には限定されず、建物を構成する資材のうち、揮発性有機化合物の濃度に与える影響が小さい資材については、考慮しないように構成してもよい。
以上述べたように、本実施形態は、建物内の所定空間における揮発性有機化合物の濃度を予測する方法であって、揮発性有機化合物の放散速度データベース28及び資材を建物ごとにまとめた邸別資材リスト24を準備するステップと、資材ごとの使用量と、揮発性有機化合物の放散速度の実測値とから、揮発性有機化合物の放散量合計値を算出するステップと、給気手段及び排気手段から常時換気量を算出するステップと、放散量合計値と、常時換気量とから、所定空間内における揮発性有機化合物の予測濃度を算出するステップとを含むように構成した。これによって、邸別資材リスト24及び放散速度データベース28に基づく揮発性有機化合物の放散量合計値、並びに建物内の常時換気量に基づいて揮発性有機化合物の濃度予測ができるので、建物内の所定空間における揮発性有機化合物の濃度を簡便に予測し、また予測精度を向上させることができる。
また、本実施形態に係る方法は、資材の内、揮発性有機化合物の低減に影響を与える、換気量換算に関する建材の換気量換算値を特定するステップを更に含み、放散量合計値と、常時換気量と、換気量換算値とから、所定空間内における揮発性有機化合物の予測濃度を算出するように構成した。これによって、機能性建材、透湿性建材、及びそれらを接着する接着剤による揮発性有機化合物の低減効果を考慮することができるので、揮発性有機化合物の濃度の予測精度を更に向上させることができる。
また、本実施形態に係る方法は、建物の設計情報である建物記述データ22と、建物記述データ22から生成される邸別資材リスト24と、建物記述データ22及び邸別資材リスト24を処理する制御部10とを備える情報処理システム100により実行されるように構成した。これによって、情報処理システム100内で管理される建物の設計情報である建物記述データ22から、資材を建物ごとにまとめたリストであり揮発性有機化合物の放散量の算出に用いられる邸別資材リスト24を生成することができる。従って、邸別資材リスト24内の各資材の数量情報及び放散速度データベース28から、揮発性有機化合物の放散量を簡便に算出し、濃度予測を行うことができる。
また、本実施形態は、資材を施工部位ごとに分類するステップと、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物において、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を算出するステップ、揮発性有機化合物の濃度実測値を取得するステップと、揮発性有機化合物の濃度が未知である建物における、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量に、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物の濃度実測値に基づいて導出した施工部位ごとの補正係数を乗じて、所定空間内における揮発性有機化合物の放散量合計値を算出するステップとを含むように構成した。これによって、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物のデータを用いて施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を補正することができるので、建物内の所定空間における揮発性有機化合物の濃度の予測精度を更に向上させることができる。
また、本実施形態では、揮発性有機化合物の濃度が既知である前記複数の建物について、揮発性有機化合物の濃度実測値を目的変数とし、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を常時換気量と換気量換算値の合計値で除した値を説明変数とする多変量解析によって、施工部位ごとの補正係数を導出するように構成した。これによって、施工部位ごとの補正係数の精度を高めて、建物内の所定空間における揮発性有機化合物の濃度の予測精度を更に向上させることができる。
また、本実施形態では、所定空間が、建物内の所定の居室内の空間である場合にも適用可能である。これによって、建物内の全空間の濃度予測のみでなく、建物内の所定の居室内の濃度予測が可能である。
また、本実施形態では、給気手段と排気手段とを特定するステップを更に含むように構成した。これによって、常時換気量を、上述の特定した給気手段と排気手段によって補正することができるので、揮発性有機化合物の濃度の予測精度を更に向上させることができる。そして、建物の給気手段には給気扇又は給気ダクトを用い、排気手段に排気扇を用いることが好ましい。これによって、予測対象の建物の換気方式を第1種換気又は第3種換気に限定することができるので、換気量を定量化して揮発性有機化合物の濃度の予測精度を向上させることができる。
また、本実施形態は、例えば施工部位Dに属する壁内部材等、建物の気密ラインの外側に配置されている部位を考慮して揮発性有機化合物の濃度の予測を行うように構成した。ここで、気密ラインとは、通常、壁体内の断熱層の室内側で、室内側の湿気が断熱層に移動しないようにするために処置された壁体構造の断面上の線状部位を示す。従来は室内に露出した部材を中心に濃度予測をしていたが、これによって、より広範に室内空気質に影響する部材を考慮することになり、揮発性有機化合物の濃度の予測精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、換気量換算に関する建材を決定するステップを更に含むように構成した。これによって、機能性建材、透湿性建材、及びそれらを接着する接着剤による揮発性有機化合物の低減効果を考慮することができるので、揮発性有機化合物の濃度の予測精度を更に向上させることができる。
また、本実施形態では、換気量換算に関する建材を施工する部位を決定するステップを更に含むように構成した。これによって、例えば、機能性建材を、建物内の居室の少なくとも天井面に配置するようにして、建物に入居後に収納家具の設置等により室内空気と機能性建材との接触効率が低下するのを抑制することができる。また、床面積が大きく揮発性有機化合物の放散量が大きい居室に使用する機能性建材の使用面積を増やすことで、揮発性有機化合物を効率よく低減することができる。
また、機能性建材が石膏ボードの場合、建物内の居室の少なくとも天井面に透湿性建材を配置するように構成することが好ましい。これによって、天井面に配置した機能性建材における揮発性有機化合物の低減効果を維持することができる。透湿性建材を天井面以外の例えば壁面に配置した場合には、透湿性建材の防汚性や引っ掻き強度に起因して壁面の外観が損なわれる可能性があるが、そのようなリスクを回避することができる。また、透湿性建材により、天井面の外観を美しく保つことができる。
また、機能性建材が石膏ボードであって透湿性建材を配置する場合、透湿性建材が、機能性建材の表面に透湿性及び透気性を有する接着剤によって接着されるように構成することが好ましい。これによって、機能性建材と室内空気との接触効率を高めて、揮発性有機化合物の低減効果を維持することができる。
また、本実施形態では、揮発性有機化合物の濃度が既知である更なる建物において、施工部位ごとの揮発性有機化合物の放散量を算出するステップと、所定空間内における前記揮発性有機化合物の濃度実測値を取得するステップと、揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物及び更なる建物の双方のデータを用いて、多変量解析によって、施工部位ごとの補正係数を再導出するステップとを更に含むように構成した。これによって、建物内の所定空間における揮発性有機化合物の濃度の予測精度を更に向上させることができる。
また、揮発性有機化合物としてホルムアルデヒドの濃度を予測するように構成することが好ましい。これによって、建築基準法で放散速度が規制されているホルムアルデヒドの濃度の予測精度を向上させることができる。
また、給気手段は給気扇であり、当該給気扇が常時換気量の40%以上の換気量を有するように構成することが好ましい。これによって、換気方式が第3種換気に属する場合であっても、濃度実測値と濃度予測値との相関を良好に維持することができる。
また、本実施形態では、上述の揮発性有機化合物濃度の予測方法によって予測した建物内の揮発性有機化合物濃度が所定の値以下となる建物となるように構成した。これによって、揮発性有機化合物濃度が低い建物を提供することができる。なお、所定の値は、例えば厚生労働省から出されている室内空気質ガイドライン記載の指針値よりも小さい濃度であり、好ましくはその指針値の1/2以下、さらに好ましくは1/3以下にすることができる。
また、本実施形態では、建物の設計情報である建物記述データ22と、建物を構成する資材を建物ごとにまとめた邸別資材リスト24と、資材の揮発性有機化合物の放散速度実測値データを有する放散速度データベース28とを記憶する記憶部20と、記憶部20内のデータを処理する制御部10とを備える情報処理システム100であって、制御部10は、資材ごとの使用量と、放散速度データベース28に基づく資材ごとの揮発性有機化合物の放散速度の実測値とから、建物の所定空間における揮発性有機化合物の放散量合計値を算出し、建物記述データ22に含まれる、建物の外部から内部に空気を導入する給気手段の仕様と、建物の内部から外部へと空気を排気する排気手段の仕様とに基づいて常時換気量を算出し、放散量合計値と、常時換気量とから、所定空間内における揮発性有機化合物の予測濃度を算出するように構成した。これによって、邸別資材リスト24及び放散速度データベース28に基づく揮発性有機化合物の放散量合計値、並びに建物内の常時換気量に基づいて揮発性有機化合物の濃度予測ができるので、建物内の所定空間における揮発性有機化合物の濃度の予測精度を向上させることができる。特に本実施形態では、揮発性有機化合物の濃度予測に必要な邸別資材リスト24及び放散速度データベース28を情報処理システム100内に集約したので、揮発性有機化合物の濃度予測を簡便且つ効率的に行うことができる。
また、揮発性有機化合物の濃度予測を行うに際し、給気場所、及び排気場所を特定するのが好ましい。これによって、揮発性有機化合物の濃度予測の精度を向上させることができる。
本発明を諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形または修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
10 制御部
20 記憶部
22 建物記述データ
24 邸別資材リスト
25 資材情報データベース
26 濃度実測値データベース
28 放散速度データベース
30 送受信部
40 入力部
50 表示部
100 情報処理システム
200 LAN

Claims (11)

  1. 建物内の所定空間における揮発性有機化合物の濃度を予測する方法であって、
    建物を構成する資材における前記揮発性有機化合物の放散速度実測値データを準備するステップと、
    前記資材を建物内の前記所定空間ごとにまとめた邸別資材リストを準備するステップと、
    前記邸別資材リストに基づく前記資材ごとの使用量と、前記放散速度実測値データに基づく前記資材ごとの前記揮発性有機化合物の放散速度の実測値とから、前記所定空間における前記揮発性有機化合物の放散量合計値を算出するステップと、
    建物の外部から内部に空気を導入する給気手段、及び建物の内部から外部へと空気を排気する排気手段の少なくともいずれか一方から常時換気量を算出するステップと、
    前記放散量合計値と、前記常時換気量とから、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の予測濃度を算出するステップと
    を含む、建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法。
  2. 前記資材の内、前記揮発性有機化合物の低減に影響を与える、換気量換算に関する建材の換気量換算値を特定するステップを更に含み、
    前記揮発性有機化合物の予測濃度を算出するステップは、前記放散量合計値と、前記常時換気量と、前記換気量換算値とから、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の予測濃度を算出する、請求項1に記載の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法。
  3. 前記所定空間における前記揮発性有機化合物の放散量合計値を算出する前記ステップは、
    前記資材を施工部位ごとに分類するステップと、
    前記揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物において、前記施工部位ごとの前記揮発性有機化合物の放散量を算出するステップと、
    前記揮発性有機化合物の濃度が既知である前記複数の建物における、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の濃度実測値を取得するステップと、
    前記揮発性有機化合物の濃度が未知である建物における、前記施工部位ごとの前記揮発性有機化合物の放散量に、前記揮発性有機化合物の濃度が既知である複数の建物の濃度実測値に基づいて導出した前記施工部位ごとの補正係数を乗じて、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の前記放散量合計値を算出するステップと
    を含む、請求項1又は2に記載の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法。
  4. 前記揮発性有機化合物の濃度が既知である前記複数の建物について、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の濃度実測値を目的変数とし、前記施工部位ごとの前記揮発性有機化合物の放散量を前記常時換気量で除した値、又は前記常時換気量と前記換気量換算値の合計値で除した値を説明変数とする多変量解析によって、前記施工部位ごとの補正係数を導出するステップを更に含む、請求項3に記載の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法。
  5. 前記給気手段、及び前記排気手段の少なくともいずれか一方を特定するステップを更に含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法。
  6. 前記施工部位は、建物の気密ラインの外側に配置されている部位を含む、請求項3又は4に記載の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法。
  7. 前記換気量換算に関する建材を決定するステップを更に含む、請求項2に記載の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法。
  8. 前記換気量換算に関する建材を施工する部位を決定するステップを更に含む、請求項2に記載の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法。
  9. 前記揮発性有機化合物の濃度が既知である更なる建物において、前記施工部位ごとの前記揮発性有機化合物の放散量を算出するステップと、
    前記揮発性有機化合物の濃度が既知である更なる建物における、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の濃度実測値を取得するステップと、
    前記揮発性有機化合物の濃度が既知である前記複数の建物及び前記更なる建物の双方のデータを用いて、多変量解析によって、前記施工部位ごとの補正係数を再導出するステップと
    を更に含む、請求項4に記載の建物内の揮発性有機化合物濃度の予測方法。
  10. 請求項1乃至9に記載の揮発性有機化合物濃度の予測方法によって予測した、建物内の揮発性有機化合物濃度が所定の値以下となる建物。
  11. 建物の設計情報である建物記述データと、建物を構成する資材を建物内の所定空間ごとにまとめた邸別資材リストと、前記資材における揮発性有機化合物の放散速度実測値データとを記憶する記憶部と、
    前記記憶部内のデータを処理する制御部と
    を備える情報処理システムであって、
    前記制御部は、
    前記邸別資材リストに基づく前記資材ごとの使用量と、前記放散速度実測値データに基づく前記資材ごとの前記揮発性有機化合物の放散速度の実測値とから、建物の前記所定空間における前記揮発性有機化合物の放散量合計値を算出し、
    前記建物記述データに含まれる、建物の外部から内部に空気を導入する給気手段の仕様、及び建物の内部から外部へと空気を排気する排気手段の仕様の少なくともいずれか一方に基づいて常時換気量を算出し、
    前記放散量合計値と、前記常時換気量とから、前記所定空間内における前記揮発性有機化合物の予測濃度を算出する
    ことを特徴とする情報処理システム。
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