JP2009267281A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微結晶半導体膜下部に微結晶を形成可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る半導体装置は、(a)ガラス基板10上にゲート電極20を形成する工程と、(b)ガラス基板10上およびゲート電極20上にゲート絶縁膜30を形成する工程と、(c)ゲート絶縁膜30上に非晶質シリコン膜40を成膜する工程とを備える。そして、(d)非晶質シリコン膜40にパルスレーザ光50を照射し、当該非晶質シリコン膜40を結晶化した微結晶シリコン膜41を形成する工程と、(e)ゲート電極20上側の微結晶半導体膜41以外の微結晶半導体膜41を除去する工程とを備える。そして、(f)工程(e)の後、ゲート電極20上側の微結晶半導体膜41と電気的に接続するソース電極71,ドレイン電極72を形成する工程を備える。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る半導体装置は、(a)ガラス基板10上にゲート電極20を形成する工程と、(b)ガラス基板10上およびゲート電極20上にゲート絶縁膜30を形成する工程と、(c)ゲート絶縁膜30上に非晶質シリコン膜40を成膜する工程とを備える。そして、(d)非晶質シリコン膜40にパルスレーザ光50を照射し、当該非晶質シリコン膜40を結晶化した微結晶シリコン膜41を形成する工程と、(e)ゲート電極20上側の微結晶半導体膜41以外の微結晶半導体膜41を除去する工程とを備える。そして、(f)工程(e)の後、ゲート電極20上側の微結晶半導体膜41と電気的に接続するソース電極71,ドレイン電極72を形成する工程を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体装置に関し、特に、微結晶半導体薄膜を用いた半導体装置およびその製造方法に関する発明である。
従来の一般的な薄型パネルの一つである液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)は、低消費電力や小型軽量といったメリットを生かしてパーソナルコンピュータのモニタや、携帯情報端末機器のモニタなどに広く用いられている。また、近年では、TV用途としても広く用いられ、従来のブラウン管にとって代わろうとしている。さらに、EL(Electro-Luminescence)素子のような発光体を画素表示部に用いた電界発光型EL表示装置も、次世代の薄型パネル用デバイスとして用いられるようになってきている。この電界発光型EL表示装置では、LCDにはない特徴(自発光型、広視野角、高コントラスト、高速応答等)があり、LCDで問題となる視野角、コントラストの制限や、動画への高速応答の困難性といった問題点をクリアしている。
これら表示装置には薄膜トランジスタ(以下、TFT(Thin Film Transistor)と記すこともある)が用いられており、そのTFTの構造としては、半導体膜を用いたMOS構造が多用される。TFTには、逆スタガ型(ボトムゲート型)や、トップゲート型といった構造があり、TFTの半導体膜には、非晶質半導体膜や、多結晶半導体膜が用いられる。特許文献1には、非晶質半導体膜を用いたTFTが記載されている。この特許文献1には、その非晶質半導体膜の上にゲート絶縁膜、ゲート電極が形成されたトップゲート型TFTが示されている。
非晶質半導体膜、多結晶半導体膜のうち、小型の表示パネルにおいては、表示領域の開口率を上げる、解像度を上げる、ゲートドライバなどの周辺駆動回路もTFTで作成する必要があるという点で、多結晶半導体膜を使用することが多い。多結晶半導体膜の作成方法としては、特許文献2に記載のトップゲート型TFTのように、下地膜として形成された酸化珪素膜等の上層に非晶質半導体膜を形成した後、レーザ光を照射することにより、非晶質半導体膜を多結晶化し、ゲート絶縁膜、ゲート電極を形成する方法が知られている。
非晶質半導体膜にレーザ光を照射して形成される多結晶半導体膜では、約0.2〜1.0μm程度のランダムな大きさを有する結晶が配列した構造をとり、チャネル内に存在する結晶粒のサイズや数により、トランジスタ特性が左右される。そのため、多結晶半導体膜を用いたTFTを複数形成した場合、ランダムな結晶粒サイズが、トランジスタ特性のばらつきの要因となる。このようなばらつきを有するトランジスタを、画素内や周辺駆動回路に使用した場合、各画素に書き込む電圧や電流にばらつきが発生し、これが表示ムラとなって視認され、表示特性が低下する。
そこで、結晶粒サイズがランダムとなる多結晶半導体膜に代わって、結晶粒サイズが均一であり、トランジスタ特性ばらつきを低減可能な微結晶半導体膜を使用する研究がなされ、近年、実用されるようになってきている。微結晶半導体膜を用いてTFTを作成した場合には、チャネル内に存在する結晶粒のサイズや数を均一にすることが可能となる。そのため、ドレイン電流(オン電流)は、多結晶シリコンなどの多結晶半導体膜を使用したTFTより小さくなるものの、トランジスタ特性のばらつきを低減することができると考えられる。
微結晶半導体膜の作成方法としては、特許文献3に記載の発明のように、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により堆積する方法が知られている。CVD法により微結晶半導体膜を作成した後、微結晶半導体膜上に、例えば、酸化珪素等からなるゲート絶縁膜を形成し、ゲート電極を形成する。その後、ゲート絶縁膜を介して微結晶半導体膜に不純物、例えば、リンやボロンを導入することにより、ソースドレイン領域を形成する。それから、ゲート電極とゲート絶縁膜とを覆うように層間絶縁膜を形成した後、ソースドレイン領域に到達し、層間絶縁膜とゲート絶縁膜とを開口してなるコンタクト孔を形成する。ソースドレイン領域上および層間絶縁膜上に金属膜を形成し、パターニングして、ソースドレイン電極を形成することによりトップゲート型TFTを形成する。その後、ドレイン電極に、画素電極や自発光素子を接続するように形成する。
しかしながら、上述のようなトップゲート型TFTは、ボトムゲート型TFTより製造工程が多く、製造コストが高いという欠点がある。そこで、微結晶半導体膜を使用したボトムゲート型TFTが開発されている。特許文献4には、微結晶半導体膜を有するボトムゲート型TFTを製造する方法が記載されている。具体的には、基板上にゲート電極を形成した後、例えば、窒化珪素からなるゲート絶縁膜の上に、微結晶半導体膜をCVD法により形成する。そして、微結晶半導体膜、n型非晶質半導体膜、ソースドレイン電極をパターニングすることでTFTを形成する。この微結晶ボトムゲート型TFTは、従来のボトムゲート型TFTのうち、非晶質半導体膜を微結晶半導体膜に置き換えただけの構造である。そのため、微結晶ボトムゲート型TFTの製造工程は、非晶質ボトムゲート型TFTの製造工程とほぼ同じであり、非晶質ボトムゲート型TFTの既存の製造工場を改造無しに使用できる利点がある。
しかしながら、プラズマCVD法により形成した従来の微結晶半導体膜では、微結晶半導体膜上部では、微結晶、もしくは、微結晶と非晶質との混在状態であるが、微結晶半導体膜下部では、微結晶ではなく、非晶質しか存在しない。そのため、従来の微結晶ボトムゲート型TFTでは、ゲート絶縁膜近傍においてチャネルが形成される微結晶半導体膜下部に微結晶が存在しないため、トランジスタ特性が向上せず、ゲートドライバなどの周辺駆動回路が正常に動作しないという問題があった。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、微結晶半導体膜下部に微結晶を形成可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る半導体装置の製造方法は、(a)基板上にゲート電極を形成する工程と、(b)前記基板上および前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する工程と、(c)前記ゲート絶縁膜上に非晶質半導体膜を成膜する工程とを備える。そして、(d)前記非晶質半導体膜にパルスレーザ光を照射し、当該非晶質半導体膜を結晶化した微結晶半導体膜を形成する工程と、(e)前記ゲート電極上側の前記微結晶半導体膜以外の前記微結晶半導体膜を除去する工程とを備える。そして、(f)前記工程(e)の後、前記ゲート電極上側の前記微結晶半導体膜と電気的に接続する第1,第2の電極を形成する工程を備える。
本発明の半導体装置の製造方法によれば、非晶質半導体膜にYAGレーザ光の第2高調波のパルスレーザ光を照射することにより、非晶質半導体膜を結晶化し、微結晶半導体膜を形成する。これにより、微結晶半導体膜下部に微結晶を形成することができるため、半導体装置のトランジスタ特性を向上させるとともに、ばらつきを小さくすることができる。
<実施の形態1>
本実施の形態に係る半導体装置は、例えば、基板上に形成される薄膜トランジスタ(以下、TFTと記すこともある)であるものとする。図1は、本実施の形態に係るTFTの構成を示す断面図であり、図2〜図8は、本実施の形態に係るTFTの製造方法を示す工程別の断面図である。図1に示すように、TFTは、ガラス基板10と、ゲート電極20と、ゲート絶縁膜30と、微結晶シリコン膜41と、アモルファスシリコン(以下、a−Siと記すこともある)膜60と、ソース電極71と、ドレイン電極72と、絶縁膜80と、層間絶縁膜90と、画素ドレインコンタクト導電部110とを備える。
本実施の形態に係る半導体装置は、例えば、基板上に形成される薄膜トランジスタ(以下、TFTと記すこともある)であるものとする。図1は、本実施の形態に係るTFTの構成を示す断面図であり、図2〜図8は、本実施の形態に係るTFTの製造方法を示す工程別の断面図である。図1に示すように、TFTは、ガラス基板10と、ゲート電極20と、ゲート絶縁膜30と、微結晶シリコン膜41と、アモルファスシリコン(以下、a−Siと記すこともある)膜60と、ソース電極71と、ドレイン電極72と、絶縁膜80と、層間絶縁膜90と、画素ドレインコンタクト導電部110とを備える。
ゲート電極20は、基板であるガラス基板10上に形成される。ゲート絶縁膜30は、ゲート電極20上およびガラス基板10上に形成される。微結晶半導体膜である微結晶シリコン膜41は、ゲート電極20上側のゲート絶縁膜30上にのみ形成される。この微結晶シリコン膜41下部は、結晶化されており、微結晶シリコン膜41の微結晶粒径は、20nm以上300nm以下である。第1,第2の電極であるソース電極71,ドレイン電極72は、微結晶シリコン膜41と電気的に接続され、ゲート電極20を挟んで形成される。このようなボトムゲート型TFTでは、ゲート絶縁膜30近傍においてチャネルが形成される微結晶シリコン膜41下部に微結晶が存在するため、トランジスタ特性のばらつきが小さくなる。
以下、図2〜図8を用いて、本実施の形態に係るTFTの製造方法について説明する。まず、図2に示すように、最初の工程として、光透過性を有する絶縁性の基板上に、スパッタ法を用いて、後にゲート電極20となる第1の金属膜を形成する。光透過性を有する絶縁性の基板には、例えば、ガラス基板、石英基板が該当し、本実施の形態では、無アルカリガラスからなるガラス基板10であるものとする。第1の金属膜の材質には、Al,Mo,Crが適しており、本実施の形態では、膜厚200nmのAl膜を成膜して、第1の金属膜を形成する。図2に示すように、1回目の写真製版工程およびウェットエッチング工程により、第1の金属膜を所定の形状にパターニングしてゲート電極20を形成する。こうして、本実施の形態では、基板であるガラス基板10にゲート電極20を形成する。なお、ゲート電極20の端面は、テーパ形状とすることが望ましく、本実施の形態では、ガラス基板10とのテーパ形状の角度を45°とする。
次に、ガラス基板10上およびゲート電極20上にゲート絶縁膜30を形成する。本実施の形態に係るゲート絶縁膜は、プラズマCVD法により、窒化シリコン(SiN)膜を膜厚400nmで成膜して形成される。なお、このゲート絶縁膜30は、SiN膜に限るものではなく、酸化シリコン(SiO2)膜でもよいし、SiN膜と、SiO2膜との積層構造、例えば、2層構造からなる膜であってもよい。ゲート絶縁膜30の膜厚は、上記の膜厚に限るものではないが、仮に200nm以下にした場合には、後工程のレーザ光照射の際に、非晶質シリコン膜を溶融するのに大きなパワーが必要になる。その結果、レーザ光照射時の電力が増大する、もしくは、大きなパワー密度を得るためにレーザ光の照射面積を減らすとスループットが低下するなどの問題点が生じる。そのため、ゲート絶縁膜30の膜厚は、200nm以上であることが好ましい。
その後、本実施の形態では、ゲート絶縁膜30上に、例えば、プラズマCVD法により、非晶質半導体膜である非晶質シリコン膜40を成膜する。非晶質シリコン膜40の膜厚は、本実施の形態では、60〜150nmであるものとする。この膜厚は、60〜80nmがより好ましく、本実施の形態では、非晶質シリコン膜40の膜厚は70nmであるものとする。プラズマCVD法で成膜した非晶質シリコン膜40の膜中には、水素が多量に含有されているため、この水素を低減するための処理として、成膜後に高温中でアニールしておくことが好ましい。本実施の形態では、窒素雰囲気の低真空状態で保持したチャンバ内を400℃に加熱し、上述の工程により非晶質シリコン膜40を成膜したガラス基板10を45分間保持する。このような処理を行っておくことにより、後工程において、非晶質シリコン膜40にレーザ光を照射しても、その温度上昇に伴う水素の急激な脱離を防ぐことができ、その結果、非晶質シリコン膜40の表面の荒れを抑制することが可能となる。
次に、非晶質シリコン膜40表面に形成された自然酸化膜を、例えば、フッ酸などでエッチング除去した後、非晶質シリコン膜40に対して不活性ガス、例えば、窒素ガスを吹き付けて、非晶質シリコン膜40の表面から酸素を排除する。それから、図3に示すように、非晶質シリコン膜40にパルスレーザ光50を照射する。本実施の形態に係るパルスレーザ光50は、所定の光学系を通してビーム形状が線状に変換された後に、非晶質シリコン膜40に照射される。そして、非晶質シリコン膜40に対して一回の走査を行う。これにより、非晶質シリコン膜40は溶融し、図4に示すように、非晶質シリコン膜40下部を結晶化した微結晶シリコン膜41が形成される。こうして、非晶質シリコン膜40にパルスレーザ光50を照射し、当該非晶質シリコン膜40下部を結晶化した微結晶シリコン膜41を形成する。
なお、一般に、非晶質シリコン膜40に照射するレーザ光の波長が短くなると、非晶質シリコン膜40への侵入長が短くなる。例えば、波長308nmのエキシマレーザ光を非晶質シリコン膜40に照射した場合、侵入長(光強度が1/e(e:自然対数)になる深さ)は1nmである。このように、非晶質シリコン膜40に照射するレーザ光のパワー密度が低いと、非晶質シリコン膜40の表面しか溶融されない。そのため、パルスレーザ光50にエキシマレーザ光を用いると、非晶質シリコン膜40下部には、微結晶が形成されるが、同箇所には非晶質も残存することになる。その結果、非晶質シリコン膜40下部に微結晶を形成可能なパワー密度のマージンは、非常に狭いものとなり、事実上、量産化できない。
そこで、本実施の形態に係るパルスレーザ光50は、YAGレーザ光の第2高調波(YAG−2ω:発振波長532nm)であるものとする。本実施の形態では、パルスレーザ光50のビーム形状は、例えば、ほぼ40μm×100nmの線状ビーム形状とし、その照射エネルギーを、例えば、200mJ/cm2、走査の送りピッチを、例えば、2μmとする。
ここで、パルスレーザ光50がYAG−2ωである場合に、微結晶シリコン膜41が形成される原理について説明する。波長532nmのレーザ光の非晶質シリコン膜40への侵入長は、約1μm、つまり、約1000nmである。上述したように、非晶質シリコン膜40の膜厚は60〜150nmであるため、上述のパルスレーザ光50は、非晶質シリコン膜40の下部、つまり、ゲート絶縁膜30との境界にも透過して到達する。そして、境界に到達したパルスレーザ光50は、ゲート電極20で反射された後、再度、非晶質シリコン膜40に照射される。
このため、ゲート電極20によって反射するYAG−2ωは、ゲート電極20によって反射しないエキシマレーザよりも、ゲート電極20上側の非晶質シリコン膜40下部を容易に溶融する。上述したように、本実施の形態では、パルスレーザ光50がYAG−2ωであるため、大きなパワー密度のマージンを持って、ゲート電極20上側に微結晶のみが存在する微結晶シリコン膜41を形成することができる。また、ゲート電極20上側の非晶質シリコン膜40は、それ以外の非晶質シリコン膜40よりも低いパワー密度のパルスレーザ光50で溶融することができる。なお、ゲート電極20上側の非晶質シリコン膜40は、後工程で除去されるため、全て微結晶シリコン膜41を形成する必要はない。
さらに、以上のようなYAG−2ωのパルスレーザ光50を使用して、微結晶シリコン膜41を作成した場合に、以下のような重要な課題があることを発明者は見出した。ゲート電極20(ボトムゲート)の上側に形成した非晶質シリコン膜40に、パルスレーザ光50を照射すると、図4に示すように、ゲート電極20の端部において、微結晶シリコン膜41の膜厚が一定でなくなる。つまり、ゲート電極20端部上側の微結晶シリコン膜41aの膜厚は薄くなり、ゲート電極20周囲上側の微結晶シリコン膜41bの膜厚は厚くなる。これら膜厚が異なる微結晶シリコン膜41a,41bを残したまま製造工程を進めると、これらの段差によって、後述する配線の断線や、パターン欠陥の原因になり、製品の歩留を落とすことになる。発明者は、この微結晶シリコン膜41a,41bによる歩留低下という課題を解決するために、以下のような製造方法の発明をした。
まず、図5に示すように、微結晶シリコン膜41,41a,41b上に、オーミックコンタクトのためのn+型のa−Si膜60(以下、n+a−Si膜60、と記すこともある)を、例えば、プラズマCVD法により厚さ50nmで堆積する。図示しないが、微結晶シリコン膜41,41a,41bと、n+a−Si膜60との間に、電気的活性不純物が含まれていないイントリンシックa−Si(以下、a−Si(i)と記すこともある)膜を、例えば、プラズマCVD法により厚さ30〜150nmで堆積してもよい。このa−Si(i)膜を設けると、TFTのリーク電流(OFF電流)を抑えることができる。適宜、a−Si(i)膜の有無、および、その膜厚は、製品に要求される仕様に応じて決定すればよい。
次に、2回目の写真製版工程を行い、その後、エッチング工程を行う。エッチング工程では、例えば、フッ素系ガスを用いて、図6に示すように、n+a−Si膜60と、微結晶シリコン膜41,41a,41bとをエッチングし、n+a−Si膜60と微結晶シリコン膜41とをパターニングする。本実施の形態では、ゲート電極20上側の微結晶シリコン膜41以外の微結晶シリコン膜41を除去する。仮に、ゲート電極20上側の微結晶シリコン膜41以外の微結晶シリコン膜41内に、非晶質シリコン膜40が存在する場合には、その非晶質シリコン膜40も同時に除去する。これにより、膜厚が変化している微結晶シリコン膜41a,41bを全て除去することができるため、後工程において、配線に断線が発生するのを防ぐことができる。
図7に示すように、ゲート絶縁膜30上、および、n+a−Si膜60上に、第2の金属膜70を成膜する。第2の金属膜70は、例えば、Moに2.5〜20重量%のNbを添加したMoNb合金を、スパッタリング法により、200nmの膜厚で成膜して形成する。そして、図8に示すように、3回目の写真製版工程により、ソース電極71,ドレイン電極72を形成する。ソース電極71,ドレイン電極72は、例えば、リン酸と硝酸と酢酸とを含む溶液を用いて第2の金属膜70をエッチングし、パターニングして形成する。こうして、本実施の形態では、ゲート電極20上側の微結晶シリコン膜41と電気的に接続する第1,第2の電極であるソース電極71,ドレイン電極72を形成する。上述の工程において、膜厚が変化している微結晶シリコン膜41a,41bは全て除去されるので、ゲート電極20上のソース電極71,ドレイン電極72に断線が発生するのを防ぐことができる。
ソース電極71,ドレイン電極72を形成した後、図1に示すように、絶縁膜80を形成し、その後、感光性有機樹脂膜からなる層間絶縁膜90を塗布形成する。本実施の形態では、絶縁膜80を、例えば、SiNを300nmの膜厚で成膜したのちに、スピンコートを用いて、感光性有機樹脂膜を3.2〜3.9μmの膜厚で塗布することにより、層間絶縁膜90を形成する。そして、4回目の写真製版工程により、層間絶縁膜90に、ドレイン電極72の表面まで貫通するコンタクトホール100、ゲート電極20の表面まで貫通する図示しないコンタクトホール、ソース電極71の表面まで貫通する図示しないコンタクトホールを形成する。
次に、コンタクトホール内、および、層間絶縁膜90上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透明導電性膜を成膜する。この透明導電性膜は、例えば、In2SO3(酸化インジウム)と、SnO2(酸化スズ)とをそれぞれ重量比で9:1で混合したITOターゲットに、ArガスにH2Oガスを導入したスパッタリング法により、膜厚を100nmにして形成される。透明導電性膜を形成後、5回目の写真製版工程でレジストのパターニングを行った後、例えば、シュウ酸を含有する溶液を用いて、透明導電性膜のエッチング工程を行い、当該膜をパターニングする。
これにより、図示しない画素電極と、画素ドレインコンタクト導電部110と、図示しないゲート端子パッドと、図示しないソース端子パッドとを形成する。画素ドレインコンタクト導電部110は、図示されていないが、コンタクトホール100を介してドレイン電極72に接続される。図示しないゲート端子パッドは、上述のコンタクトホールを介してゲート端子部に接続される。図示しないソース端子パッドは、上述のコンタクトホールを介して端子部に接続される。
以上の工程により、本実施の形態に係るTFTを形成することができる。これらTFTが形成された液晶表示用TFTアレイ基板に、液晶を配向させるための配向制御膜、カラー表示を行うためのカラーフィルタ、ブラックマトリックスを形成する。そして、対向基板に、対向電極、配向制御膜を形成し、上述のTFTアレイ基板と対向基板とを貼り合わせる。それから、当該TFTアレイ基板と対向基板との間に液晶を注入することにより、液晶表示装置を形成することができる。
以上のような本実施の形態に係るTFT、および、その製造方法によれば、パルスレーザ光50を照射することにより、非晶質シリコン膜40を溶融し、結晶化させて微結晶シリコン膜41を形成する。これにより、微結晶シリコン膜41下部に微結晶を形成することができるため、トランジスタ特性を向上させるとともに、その特性のばらつきが小さいTFTを得ることができる。また、TFTの構造として、ボトムゲート構造を採用しているため、低コストのTFTを得ることができる。また、微結晶シリコン膜41を、ゲート電極20上側のゲート絶縁膜30上にのみ形成したため、ソース電極71、ドレイン電極72における断線が発生するのを抑えることができ、その結果、高歩留で耐久性のあるTFTを得ることができる。
また、本実施の形態では、パルスレーザ光50は、YAG−2ωであるため、パワー密度を小さくしても、非晶質シリコン膜40、特に、ゲート電極20上側の非晶質シリコン膜40を上部から下部に亘って溶融させることができる。これにより、非常に大きなパワー密度のマージンを持って、ゲート電極20上側に、微結晶のみが上部から下部に亘って存在する微結晶シリコン膜41を形成することができる。
<実施の形態2>
図9は、本実施の形態に係るTFTを示す平面図である。以下の実施の形態に係るTFTの構造、製造工程のうち、新たに説明しないものについては、実施の形態1と同じであるものとする。図9に係るTFTは、絶縁性のガラス基板10上に形成されたゲート配線21と、微結晶シリコン膜41と、ソース電極71と、ドレイン電極72と、ソース配線73と、透明導電成膜からなる画素ドレインコンタクト導電部110とを備える。ソース電極71は、ソース配線73と接続し、ドレイン電極72は、コンタクトホール100を介して、画素ドレインコンタクト導電部110と接続している。ゲート配線21、および、補助容量電極22は、実施の形態1で説明したゲート電極20の工程と同じ工程で形成される。この図には示されないが、n+a−Si膜60の下には、微結晶シリコン膜41が形成されている。
図9は、本実施の形態に係るTFTを示す平面図である。以下の実施の形態に係るTFTの構造、製造工程のうち、新たに説明しないものについては、実施の形態1と同じであるものとする。図9に係るTFTは、絶縁性のガラス基板10上に形成されたゲート配線21と、微結晶シリコン膜41と、ソース電極71と、ドレイン電極72と、ソース配線73と、透明導電成膜からなる画素ドレインコンタクト導電部110とを備える。ソース電極71は、ソース配線73と接続し、ドレイン電極72は、コンタクトホール100を介して、画素ドレインコンタクト導電部110と接続している。ゲート配線21、および、補助容量電極22は、実施の形態1で説明したゲート電極20の工程と同じ工程で形成される。この図には示されないが、n+a−Si膜60の下には、微結晶シリコン膜41が形成されている。
図9の一点鎖線A−A’の断面図は、図1の断面図と同じであるため、図1を用いてこの部分の構造を説明する。実施の形態1の製造工程により、ゲート電極20に相当するゲート配線21上に、ゲート絶縁膜30を介して微結晶シリコン膜41が形成される。その微結晶シリコン膜41上には、n+a−Si膜60が形成される。微結晶シリコン膜41は、上下に亘って微結晶が存在し、非晶質は存在しない。本実施の形態では、上述の結晶化工程において結晶化される微結晶シリコン膜41の結晶粒径は、20nm以上300nm以下である。また、微結晶シリコン膜41の膜厚は、例えば、70nmとなるように形成する。n+a−Si膜60の膜厚は、例えば、50nmとなるように形成する。n+a−Si膜60上、および、ゲート絶縁膜30上には、ソース電極71、ドレイン電極72が形成される。ゲート絶縁膜30上に、ソース電極71と接続するソース配線73が形成される。ソース配線73と、その下側に設けられたゲート配線21、および、補助容量電極22とが交差する部分には、微結晶シリコン膜41は形成されていない。ソース電極71上、ドレイン電極72上、ソース配線73上には、絶縁膜80と、感光性有機樹脂膜からなる層間絶縁膜90が設けられる。
図9に示すように、微結晶シリコン膜41、および、n+a−Si膜60は、ゲート配線21上側にのみ形成する。絶縁膜80、および、層間絶縁膜90には、その一部を除去したコンタクトホールが形成されている。画素ドレインコンタクト導電部110は、平面視において、ドレイン電極72のコンタクトホール100が形成された領域から、補助容量電極22と重なる領域に亘って設けられる。
以上のような本実施の形態に係るTFT、および、その製造方法によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、上述の結晶化工程において結晶化される微結晶シリコン膜41の結晶粒径は、20nm以上300nm以下にした。そのため、トランジスタ特性のばらつきをさらに小さくすることができる。
<実施の形態3>
実施の形態1では、非晶質シリコン膜40を結晶化するパルスレーザ光50の照射エネルギー、つまり、パワー密度は、200mJ/cm2であった。しかし、パルスレーザ光50の照射エネルギーはこれに限ったものではない。非晶質シリコン膜40の結晶化工程において、パルスレーザ光50のパワー密度は、188mJ/cm2以上216mJ/cm2以下であればよい。その理由について、以下説明する。本実施の形態では、上述のパルスレーザ光50のパワー密度を、233、216、202、188mJ/cm2に変えて微結晶シリコン膜41を形成した。図10〜図13は、それぞれの微結晶シリコン膜41の結晶状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したときの図である。ここで、図10〜図13では、SEMの倍率を揃えている。SEM観察前には、微結晶シリコン膜41にセコエッチ法を行った。セコエッチ法は、重クロム酸カリウム(K2Cr2O7)の水溶液とフッ酸の混合液にサンプルを浸潤して、結晶粒界を選択的にエッチングすることにより、結晶粒界を顕在化させる方法である。そして、セコエッチ法を行った微結晶シリコン膜41をSEMで観察し、結晶粒の大きさを判定した。
実施の形態1では、非晶質シリコン膜40を結晶化するパルスレーザ光50の照射エネルギー、つまり、パワー密度は、200mJ/cm2であった。しかし、パルスレーザ光50の照射エネルギーはこれに限ったものではない。非晶質シリコン膜40の結晶化工程において、パルスレーザ光50のパワー密度は、188mJ/cm2以上216mJ/cm2以下であればよい。その理由について、以下説明する。本実施の形態では、上述のパルスレーザ光50のパワー密度を、233、216、202、188mJ/cm2に変えて微結晶シリコン膜41を形成した。図10〜図13は、それぞれの微結晶シリコン膜41の結晶状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したときの図である。ここで、図10〜図13では、SEMの倍率を揃えている。SEM観察前には、微結晶シリコン膜41にセコエッチ法を行った。セコエッチ法は、重クロム酸カリウム(K2Cr2O7)の水溶液とフッ酸の混合液にサンプルを浸潤して、結晶粒界を選択的にエッチングすることにより、結晶粒界を顕在化させる方法である。そして、セコエッチ法を行った微結晶シリコン膜41をSEMで観察し、結晶粒の大きさを判定した。
パワー密度が233mJ/cm2でパルスレーザ光50を照射したとき微結晶シリコン膜41(図10)の結晶粒サイズは、最大で500nmとなっており、サイズのばらつきが大きい。これに対し、パワー密度が216mJ/cm2(図11)、202mJ/cm2(図12)、188mJ/cm2(図13)でパルスレーザ光50を照射したときの微結晶シリコン膜41の結晶粒サイズは、いずれも、20nm以上300nm以下の範囲に収まった。なお、パワー密度が188mJ/cm2未満の場合、微結晶シリコン膜41は、膜全体が溶融せず、溶融しても、結晶粒サイズは、図10〜図13と同じSEMの倍率では、判別が不可能なサイズ(10nm以下)であった。
以上のような本実施の形態に係るTFT、および、その製造方法によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、パルスレーザ光50のパワー密度は、188mJ/cm2以上216mJ/cm2以下にすることにより、微結晶シリコン膜41の結晶粒径を、容易に、20nm以上300nm以下にすることができる。そのため、トランジスタ特性のばらつきの小さいTFTを容易に量産することが可能となる。
10 ガラス基板、20 ゲート電極、21 ゲート配線、22 補助容量電極、30 ゲート絶縁膜、40 非晶質シリコン膜、41,41a,41b 微結晶シリコン膜、50 パルスレーザ光、60 a−Si膜、70 金属膜、71 ソース電極、72 ドレイン電極、73 ソース配線、80 絶縁膜、90 層間絶縁膜、100 コンタクトホール、110 画素ドレインコンタクト導電部。
Claims (5)
- (a)基板上にゲート電極を形成する工程と、
(b)前記基板上および前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
(c)前記ゲート絶縁膜上に非晶質半導体膜を成膜する工程と、
(d)前記非晶質半導体膜にパルスレーザ光を照射し、当該非晶質半導体膜を結晶化した微結晶半導体膜を形成する工程と、
(e)前記ゲート電極上側の前記微結晶半導体膜以外の前記微結晶半導体膜を除去する工程と、
(f)前記工程(e)の後、前記ゲート電極上側の前記微結晶半導体膜と電気的に接続する第1,第2の電極を形成する工程とを備える、
半導体装置の製造方法。 - 前記工程(d)における前記パルスレーザ光は、YAGレーザ光の第2高調波である、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。 - 前記工程(d)における前記パルスレーザ光のパワー密度は、188mJ/cm2以上216mJ/cm2以下である、
請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。 - 前記工程(d)で結晶化される前記微結晶半導体膜の結晶粒径は、20nm以上300nm以下である、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。 - 基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極上および前記基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート電極上側の前記ゲート絶縁膜上にのみ形成された微結晶半導体膜と、
前記微結晶半導体膜と電気的に接続された第1,第2の電極とを備え、
前記微結晶半導体膜下部は、結晶化されており、
前記微結晶半導体膜の結晶粒径は、20nm以上300nm以下である、
半導体装置。
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