JP2009266557A - 電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電を繰り返しても容量の劣化が少ないリチウムイオン二次電池と、そのようなリチウムイオン二次電池を実現できる電池用セパレータとを提供する。
【解決手段】本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウム含有活物質を含む正極15と、リチウムの吸蔵・放出が可能な負極活性物質を含む負極16と、正極15と負極16との間に配置された電池用セパレータ14と、非水系溶媒及び電解質を含む非水系電解液と、を備えている。電池用セパレータ14は、基材12,13と、基材12,13に担持された架橋ポリマー11とを含んでおり、架橋ポリマー11は、側鎖にアセトアセチル基を有しており、電池用セパレータ14の表面に露出しないように基材12,13に担持されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池用セパレータ、特にリチウムイオン二次電池に用いられる電池用セパレータと、リチウムイオン二次電池とに関する。
近年、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータ等の小型携帯電子機器のための電源として、高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が広く用いられている。
このようなリチウムイオン二次電池は、シート状の正極及び負極と、例えばポリオレフィン多孔質フィルムからなるセパレータとを積層し、又は捲回して、これを例えば金属缶からなる電池容器に仕込んだ後、当該電池容器に電解液を注入し、当該電池容器を密封して封口するという工程を経て製造される。
近年、上記のような小型携帯電子機器の一層の小型化、軽量化への要望が非常に強く、リチウムイオン二次電池についても、更なる薄型化と軽量化が求められている。そこで、従来の金属缶からなる電池容器に代えて、ラミネートフィルム型の電池容器も用いられるようになっている。また、高容量かつ高出力なリチウムイオン二次電池を提供するために、正極材料や負極材料の研究と発明も、多数なされている。
しかし、このような精力的な研究と発明によっても、リチウムイオン二次電池には、常温あるいは高温雰囲気下での充放電を繰り返すことによって、容量が低下したり、出力特性が劣化したり、安全性が低下するといった問題が依然として存在する。この原因としては、例えば以下のようなものが考えられる(例えば、非特許文献1参照)。
(1)充電時に負極にリチウムが析出すること。
(2)正極活物質から金属イオンが溶出すること。
(3)正極で酸化された有機溶媒がカチオンラジカルとなって、当該カチオンラジカルが負極表面で還元されたり、他の反応を起こしたりすること。
(4)正極活物質や集電体から溶出した金属イオンが、負極表面に析出すること。
(5)電解液が電極材料表面で分解する等してフッ化リチウム等が生成し、これによって電池容量に寄与するリチウムイオン量が減少すること。すなわち、不可逆容量が増加すること。
一方で、安全性の高いリチウムイオン二次電池を求める要望が、非常に高まっている。そこで、例えば高温での熱安定性に優れたマンガン酸リチウムやリン酸鉄リチウムを正極活物質に用いることが提案されている。しかし、マンガン酸リチウムは高温でのサイクル特性に課題があり、またリン酸鉄リチウムには高出力化に課題がある。
マンガン酸リチウムを正極活物質として用いた場合に、高温でのサイクル特性が劣化する主な原因としては、正極活物質中のマンガンが電解液にイオンとなって溶出し、溶出したマンガンイオンが負極で還元されて析出することであると考えられている。
そこで、このような問題を解決するために、例えば、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物を正極に用いた非水電解液二次電池において、ポリオレフィン系樹脂を主体とした材料に陽イオン交換樹脂を添加したものをセパレータとして使用する技術が開示されている(特許文献1参照)。しかし、本発明者らの検討によれば、このような非水電解液二次電池においては、セパレータの表面に露出する陽イオン交換能性官能基の割合が少ないので、溶出したマンガンイオン等の捕捉が十分でなく、また、セパレータの強度が低下するという問題が生じる。
また、マンガン含有複合酸化物を正極活物質として含む非水電解液二次電池において、表面を陽イオン交換基で修飾したセパレータを用いる技術が開示されている(特許文献2参照)。しかし、本発明者らの検討によれば、このような構成の場合、一般に、セパレータに用いられる多孔質膜の有する細孔の孔径が、マンガン等の溶出した金属イオン径に比べて大きいために、陽イオン交換基と金属イオンとの遭遇確率が低く、金属イオンの捕捉が十分ではなかった。このため、高温でのサイクル特性に課題が残されていた。
更には、正極と、負極と、隔離体と、電解質とを備えた非水電解液二次電池において、負極、隔離体及び電解質から選ばれる少なくとも何れか1つに、キレート化剤を含有させる技術が開示されている(特許文献3参照)。しかし、本発明者らによれば、このような構成の場合、添加したキレート化剤が正極や負極における酸化還元反応によって副反応を引き起こし、電池特性を劣化させるという問題があった。
同様に、正極と、負極と、隔離体と、電解質とを備えた非水電解液二次電池において、正極、負極及び隔離体から選ばれる少なくとも何れか1つに、キレート高分子を含有させる技術が開示されている(特許文献4参照)。しかし、本発明者らによれば、このような構成の電池においては、キレート形成性の官能基の量が少なく、金属イオンの捕捉能が十分でなかった。さらに、キレート高分子は非水電解液二次電池の充放電に直接関与しないので、これを正極や負極に含有させた場合には、非水電解液二次電池の初期容量が低下するという問題もあった。また、添加したキレート高分子が正極や負極における酸化還元反応によって副反応を引き起こし、電池特性を劣化させるという問題もあった。
Pankaj Arora, Ralph E. White, Marc Doyle, 「Capacity Fade Mechanisms and Side Reactions in Lithium-Ion Batteries.」 Journal of Electrochemical Society, Vol. 145, No. 10, pp. 3647-3667, October 1998 特開2000−21381号公報 特開2002−25527号公報 特開2004−63123号公報 特開平11−121012号公報
本発明は、上述したような従来の非水電解液二次電池における問題を解決するためになされたものであって、電解液中に溶出した金属イオンが負極表面で析出すること等を抑制して、充放電を繰り返しても容量の劣化が少ないリチウムイオン二次電池を提供することと、そのようなリチウムイオン二次電池を実現できる電池用セパレータを提供することとを目的とする。
本発明の電池用セパレータは、基材と、前記基材に担持された架橋ポリマーとを含む電池用セパレータであって、前記架橋ポリマーは、側鎖にアセトアセチル基を有しており、前記電池用セパレータの表面に露出しないように前記基材に担持されている。
本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウム含有活物質を含む正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な負極活性物質を含む負極と、前記正極と前記負極との間に配置された電池用セパレータと、非水系溶媒及び電解質を含む非水系電解液と、を備えており、前記電池用セパレータが、上記本発明の電池用セパレータである。
本発明の電池用セパレータには、分子中にキレート形成性のアセトアセチル基を有する架橋ポリマーが含まれており、かつ、当該架橋ポリマーは電池用セパレータの表面に露出しないように設けられている。すなわち、本発明の電池用セパレータは、リチウム含有活物質を含む正極及びリチウムをドープ及び脱ドープできる活物質を含む負極の何れとも前記架橋ポリマーを接触させないようにして、電池内に配置されることが可能である。
本発明の電池用セパレータは、前記架橋ポリマーが有するキレート形成性のアセトアセチル基によって、電解液中に溶出した金属イオンを補足することができる。その結果、負極表面に金属の析出物が生成することを抑制し、高温で充放電を繰り返しても容量の劣化が少ない非水系電解液二次電池を実現することができる。また、溶出した金属イオンの析出による内部短絡を防止することもできる。
また、本発明の電池用セパレータを電池内部に配置した際、正極及び負極と、前記架橋ポリマーとが隔離された状態となる。したがって、本発明の電池用セパレータは、前記架橋ポリマーが電極で酸化又は還元されて電池特性が劣化することを抑制できる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記本発明の電池用セパレータを備えており、当該電池用セパレータに担持されている前記架橋ポリマーが正極及び負極から隔離されている。したがって、電解液中に溶出した金属イオンが負極表面で析出することを抑制でき、充放電を繰り返しても容量の劣化が少ない。さらに、電池用セパレータに添加された架橋ポリマーが電極で酸化又は還元されて、容量が劣化する可能性も少ない。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の記載は本発明を限定するものではない。
本発明の電池用セパレータは、ポリマー分子鎖の側鎖にアセトアセチル基を有する架橋ポリマーを、基材に担持させることによって形成されている。本実施の形態では、基材として、例えば多孔質フィルムが用いられる。また、本発明の電池用セパレータにおいては、架橋ポリマーが電池用セパレータの表面に露出しないように、すなわち、電池用セパレータを電池内部に設置した状態において、当該架橋ポリマーが正極及び負極と接しないように、当該架橋ポリマーが基材に担持される。このような構成を実現する電池用セパレータの具体的構成例として、例えば、基材が第1の多孔質フィルム及び第2の多孔質フィルムを含み、架橋ポリマーからなる層が、第1の多孔質フィルムと第2の多孔質フィルムとの間に配置されている電池用セパレータが挙げられる。
まず、本発明の電池用セパレータにおいて基材として用いることが可能な、多孔質フィルムについて説明する。
多孔質フィルムには、平均孔径0.01〜5μmの細孔を有しており、空孔率が20〜95%の範囲であるフィルムが使用できる。好ましくは空孔率が30〜90vol%の範囲、より好ましくは空孔率が40〜85vol%の範囲のフィルムが、本発明の電池用セパレータの基材として好適に用いられる。
空孔率が低すぎる多孔質フィルムを電池用セパレータの基材に用いた場合、イオン伝導経路が少なくなり、十分な電池特性を得ることができない場合がある。また、空孔率が高すぎる多孔質フィルムを電池用セパレータの基材に用いた場合、強度が不十分となることがある。強度が不十分である場合、所要の強度を得るために厚い多孔質フィルムを用いざるを得なくなり、そうすれば電池の内部抵抗が高くなるので好ましくない。したがって、空孔率が上記の範囲を満たす多孔質フィルムを選択することが望ましい。
更に、多孔質フィルムは、1500秒/100cc以下、好ましくは1000秒/100cc以下の通気度を満たすものを用いることが望ましい。通気度が高すぎる多孔質フィルムを基材として用いた場合、電池用セパレータのイオン伝導性が低くなるため、十分な電池特性を得ることが困難となる。
また、多孔質フィルムの強度は、突き刺し強度が1N以上であることが好ましい。突刺し強度が1Nよりも小さいときは、電極間に面圧がかかった際に基材が破断し、内部短絡を引き起こすおそれがあるからである。
基材となる多孔質フィルムの厚さは、3〜100μmの範囲とすることが好ましい。多孔質フィルムの厚さが3μmよりも小さいときは、十分な強度を得ることが困難となるので、基材として用いる場合に正負の電極が相互に接触して、内部短絡を起こすおそれがある。他方、多孔質フィルムの厚さが100μmを超える場合、セパレータの膜抵抗が増大し、レート特性の低下を招くので好ましくない。なお、例えば、基材が第1の多孔質フィルム及び第2の多孔質フィルムによって形成されており、架橋ポリマーからなる層が、第1の多孔質フィルムと第2の多孔質フィルムとの間に配置される構成とする場合は、第1の多孔質フィルムと第2の多孔質フィルムの厚さの合計が3〜100μmの範囲となるようにすることが望ましい。
本発明の電池用セパレータの基材として使用可能な多孔質フィルムは、上述したような特性を有すればよいため、特に限定されるものではなく、ポリエチレやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔質フィルムや、セルロースからなる不織布等を用いることができる。しかし、耐溶剤性や耐酸化還元性を考慮すれば、ポリオレフィン樹脂からなる多孔質フィルムが好適である。なかでも、加熱されたときに、樹脂が溶融して細孔が閉塞する性質を有し、その結果、電池に所謂シャットダウン機能を有せしめることができることから、多孔質フィルムとしては、ポリエチレン樹脂の多孔質フィルムが特に好適である。ここで、ポリエチレン樹脂には、エチレンのホモポリマーのみならず、プロピレン、ブテン、ヘキセン等のα−オレフィンとエチレンとのコポリマーを含むものとする。また、ポリテトラフルオロエチレンやポリイミド等の多孔質フィルムと上記ポリオレフィン樹脂の多孔質フィルムとの積層フィルムも、耐熱性に優れることから、電池用セパレータの基材として好適に用いられる。
例えば、基材が第1の多孔質フィルム及び第2の多孔質フィルムによって形成されている場合、少なくとも一方の多孔質フィルムをポリオレフィン樹脂からなる多孔質フィルムとすることが好ましい。このような構成により、電池用セパレータにシャットダウン機能を発現させることが可能となるからである。
次に、本発明の電池用セパレータに含まれる架橋ポリマーについて説明する。
本発明の電池用セパレータにおける架橋ポリマーは、化学架橋ポリマーと物理架橋ポリマーの何れであってもよい。化学架橋ポリマーとは、化学反応によって形成された架橋構造を有するポリマーのことをいう。物理架橋ポリマーとは、ポリマー間の水素結合、静電気結合、疎水結合、ポリマーと多価金属イオンとのキレート形成等によって形成された架橋構造を有するポリマーのことをいう。
化学架橋ポリマーの代表例として、例えば、ジビニル単量体を架橋剤として、当該ジビニル単量体とモノビニル単量体とを共に共重合して得られる共重合体を挙げることができる。また、化学架橋ポリマーは、側鎖に官能基を有するポリマーに、その官能基と反応性を有する多官能性化合物を架橋剤として反応させることによっても、得ることができる。更には、線状ポリマーに過酸化物を作用させ又は放射線を照射して、架橋させることによっても、化学架橋ポリマーを得ることができる。
物理架橋ポリマーの代表例としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキシド等を挙げることができる。
特に、本発明において用いられる架橋ポリマーの好ましい一例として、イソシアネート基に対して反応しうる反応性基を分子中に有するポリマーを、架橋剤としての多官能イソシアネートと反応させ、架橋させて得られる架橋ポリマーを挙げることができる。イソシアネート基に対して反応し得る反応性基は、特に限定されるものではないが、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、ウレタン基及び尿素基等を挙げることができる。これらのなかでは、特に、ヒドロキシ基及びカルボキシル基が好ましい。このような架橋ポリマーによれば、架橋剤として用いる多官能イソシアネートが付加重合により架橋ポリマー中に取り込まれるため、基材となる多孔質フィルムに担持させてセパレータとして用いるときに、電解液中への架橋ポリマーの溶出がなく、電池特性の劣化を招かない。かくして、繰り返しの充放電による容量の劣化を抑制して、電池特性にすぐれた非水系電解液二次電池を与えることができる。
本発明において用いられる架橋ポリマーは、そのポリマー分子鎖の側鎖にアセトアセチル基を有する。アセトアセチル基は、次式(II)で表される。
Figure 2009266557
架橋ポリマーの分子鎖の側鎖に上述したようなアセトアセチル基を設けるための方法の一例として、例えば、架橋ポリマー又は架橋前のポリマー(すなわち、前駆体ポリマー)に予めヒドロキシ基を含ませておき、そのような架橋ポリマー又はその前駆体ポリマーとジケテンとを反応させる方法が挙げられる。アルコールにジケテンを反応させることによって、アセトアセチル基を有するアセト酢酸エステルを得ることができる。このようにして、アセトアセチル基を有する前駆体ポリマーを作製した場合は、その後に前駆体ポリマーを架橋させればよい。
また、別の方法として、例えば、アセトアセチル基を有するラジカル重合性モノマーと適当な他のラジカル重合性モノマーとをラジカル共重合させることによっても、分子鎖の側鎖にアセトアセチル基を有する前駆体ポリマーを得ることができる。この前駆体ポリマーを架橋させることによって、分子中にアセトアセチル基を有する架橋ポリマーを得ることができる。
アセトアセチル基を有するラジカル重合性モノマーの好ましい一例として、例えば、次の一般式(III)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2009266557
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、nは1〜12の整数を示す。)
本発明においては、上記一般式(III)に示されるようなアセトアセチル基含有アクリレート及びアセトアセチル基含有メタクリレートから選ばれる少なくとも1種が、アセトアセチル基を有するラジカル重合性モノマーとして、好ましく用いられる。上記一般式(III)で表されるこのようなアセトアセチル基含有(メタ)アクリレートのなかでも、特に、nが2〜6の整数であるモノマーが好ましく用いられる。上記一般式(III)で表されるアセトアセチル基含有(メタ)アクリレートにおいて、このようにnが2〜6の範囲にあるとき、アセトアセチル基を含む側鎖がポリマーの主鎖構造に阻害されること無く、高い分子運動性を有するので、アセトアセチル基による金属イオン捕獲能の高い架橋ポリマーを得ることができる。例えば、4−アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレートは、そのようなラジカル重合性モノマーの好ましい一例である。
本発明の電池用セパレータでは、多孔質フィルムに担持させた架橋ポリマーがイオン伝導性のゲル電解質として作用し、そのポリマー分子鎖の側鎖に、キレート形成性基であるアセトアセチル基を有する。このようなキレート形成基を含む電池用セパレータを非水系電解液二次電池に用いた場合、セパレータが電解液中に溶出した金属イオンを捕捉するので、負極の表面に金属が析出することを抑制できる。その結果、充放電を繰り返しても、容量の劣化を抑えることができる。また、電解液中に溶出した金属イオンの析出によって生じる内部短絡も、防止できる。
ここで、電解液中に溶出した金属イオンとは、これに限定されるものではないが、主に正極活物質から溶出した遷移金属イオンや、集電体から溶出した金属イオンである。また、ここで言う、正極活物質から溶出した遷移金属イオンとは、これに限定されるものではないが、主にコバルト、マンガン、ニッケル、鉄又はバナジウムのイオンである。これらの遷移金属イオンは、リチウムイオンと比べてキレート形成性基の配位子と配位しやすい。このため、本発明の電池用セパレータによれば、リチウムイオンの移動を阻害することなく、これらの溶出した遷移金属イオンを効果的に補足することができる。また前述したような、溶出した金属イオンの捕獲によるサイクル特性の改善は、正極活物質にマンガン酸リチウムを用い、高温で充放電を繰り返した場合において、顕著である。
また、多孔質フィルムに担持されているポリマーは架橋しているため、溶出したポリマーが電極で反応して電池特性が劣化するという問題も生じにくい。
本発明の電池用セパレータでは、架橋ポリマーの側鎖にキレート形成性基(アセトアセチル基)を有するので、キレート形成性基の運動の自由度が高い。このため、架橋ポリマー中のキレート形成性基は、電解液中に溶出した金属イオンに配位しやすく、金属イオンの捕捉能が高い。また、架橋ポリマーが電解液等を可塑剤として膨潤すれば、よりキレート形成能の自由度が高まり、一層高い金属イオン捕捉能を発揮できる。
上述したように、本発明の電池用セパレータは、架橋ポリマーからなる層が基材となる第1多孔質フィルムと第2多孔質フィルムとの間に配置された構造を有していてもよい。このような層構造の場合、架橋ポリマー層の膜厚は、10nm以上6000nm以下の範囲内であることが好ましい。架橋ポリマー層の膜厚が10nm未満では、電解液に溶出した金属イオンを十分に捕捉できず、高温でのサイクル特性の劣化を十分に抑制できない場合があるためである。架橋ポリマー層の膜厚が6000nmを超える場合は、架橋ポリマー層の膜抵抗が増大し、レート特性の低下を招くので、非水系リチウム二次電池の用途によっては好ましくない場合がある。
架橋ポリマー層は、無孔性のイオン伝導性層であることが望ましい。ここに、架橋ポリマー層が「無孔性である」とは、通気度が10000秒/100cc以上であって、実質的に通気度を測定することができない程度に通気性をもたないことをいう。このように架橋ポリマーが実質的に無孔性のイオン伝導性層であるとき、正極側で溶出した金属イオンが負極に析出する前に、当該架橋ポリマーの有するアセトアセチル基によって確実に捕捉される。したがって、このような電池用セパレータを用いた非水系電解液二次電池は、優れたサイクル特性を有する。
本発明において、ポリマー分子鎖の側鎖にアセトアセチル基を有する架橋ポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、前記アセトアセチル基含有(メタ)アクリレートとを、適宜の有機溶媒中でラジカル重合開始剤を用いて共重合させ、得られた共重合体に適宜の有機溶媒中にて多官能イソシアネートを反応させることによって、得ることができる。また、前述したように、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、4−アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレートとを、適宜の有機溶媒中でラジカル重合開始剤を用いて共重合させ、更に、得られた共重合体に適宜の有機溶媒中にて加熱下に過酸化物を作用させ、又は電子線等の放射線を照射することによっても、アセトアセチル基を有する架橋ポリマーを得ることができる。
次に、本発明のリチウムイオン二次電池について説明する。本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウム含有活物質を含む正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な負極活性物質を含む負極と、前記正極と前記負極との間に配置された電池用セパレータと、非水系溶媒及び電解質を含む非水系電解液と、を備えている。本発明のリチウムイオン二次電池の電池用セパレータには、架橋ポリマーが電池用セパレータの表面に露出しないように基材に担持された、上記本発明の電池用セパレータが用いられる。したがって、本発明のリチウムイオン二次電池においては、電池用セパレータに設けられている架橋ポリマーが正極及び負極から隔離されている。なお、本発明の電池用セパレータは、公知の電池用セパレータと同様に、正極と負極との間に介在させた状態で用いて、リチウムイオン二次電池を組み立てることができる。正極、負極、電池ケース、電解液等の材質やこれら構成要件の配置構造については、公知のリチウムイオン二次電池と同様とすることができる。例えば、図1に示すように、架橋ポリマーからなる層11が第1多孔質フィルム12と第2多孔質フィルム13との間に配置されて形成された電池用セパレータ14が、正極15及び負極16の間に配置されてアルミニウムラミネートパッケージ17中に収容され、その内部が非水系電解液(図示せず)で満たされた、ラミネート型リチウムイオン二次電池を実現できる。なお、図1中、18は正極集電体を示し、19は負極集電体を示している。また、図2に示すように、架橋ポリマーからなる層21が第1多孔質フィルム22と第2多孔質フィルム23との間に配置されて形成された電池用セパレータ24が、正極25及び負極26の間に配置されて電池ケース中に収容された、コイン型のリチウムイオン二次電池も実現できる。なお、図2に示す電池ケースは、正極缶27及び負極缶28によって構成されており、ガスケット29で封口されて、その内部が非水系電解液(図示せず)で満たされている。
本発明のリチウムイオン二次電池において、非水系電解液に用いられる電解質塩としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム等が好適に用いられる。
更に、本発明のリチウムイオン二次電池において、上記電解質塩のための非水系溶媒としては、上記電解質塩を溶解するものであればどのようなものでも用いることができる。前記非水系溶媒には、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート及びγ−ブチロラクトン等の環状エステル類や、テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル類や、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネート等の鎖状エステル類を単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
次に、本発明の電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池について、実施例を用いた具体的に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
まず、後述する各実施例及び比較例で作製した電池用セパレータの物性及び電池特性の測定方法について説明する。
[電池用セパレータの物性]
<基材(多孔質フィルム)の厚さ>
1/10000mmシックネスゲージにより測定した。さらに、シックネスゲージによる測定値の正確性を確認する目的で、架橋性ポリマーを担持させた状態の多孔質フィルムの断面についての10000倍走査型電子頭微鏡写真を用いた測定も行った。
<基材(多孔質フィルム)の空孔率>
基材の面積S(cm2)、平均厚みt(cm)、重量W(g)、基材を構成する樹脂の密度d(g/cm3)の各値を用いて、次式にて算出した。
空孔率(vol%)=(1−W/(S×t×d))×100
<電池用セパレータの通気度>
JIS P 8117に準拠して求めた。セパレータの通気度は、実質的に架橋ポリマー層の通気度に等しい。
<基材(多孔質フィルム)の突刺強度>
カトーテック株式会社製の圧縮試験機「KES−G5」を用いて測定した。測定によって得られた荷重変位曲線から最大荷重を読み取り、突刺強度とした。針は、直径1.0mm、先端の曲率半径0.5mmのものを用いた。突刺速度は2cm/秒とした。
<架橋ポリマーのゲル分率の測定>
あらかじめ、重量が既知の架橋ポリマーを基材に担持させたセパレータを酢酸エチルに含浸し、24時間振とうして、未架橋ポリマーを酢酸エチル中に溶出させて除去する。その後、酢酸エチルに不溶分のみが基材に担持されたセパレータを乾燥させ、秤量して、当該不溶分の重量を算出した。不溶分の重量/当初の架橋ポリマーの重量の比率からゲル分率を求めて、架橋度を評価した。
<架橋ポリマーの厚さ>
架橋性ポリマーを担持させた状態の多孔質フィルムの断面についての10000倍走査型電子頭微鏡写真を用いて、架橋ポリマーの厚さを測定した。
[電池特性]
<電池の放電特性>
後述する実施例及び比較例において得られる各ラミネートシール型リチウムイオン二次電池について、その放電特性を調べた。まず、それぞれの電池について、一定温度(25℃)下、定電流値4mA、定電圧4.2Vにて充電した。次いで、定電流値4mAにて2.75Vまで放電することを1サイクルとして、これを3サイクル繰り返し、3サイクル目の放電で得られた容量を初期の5時間率放電容量として求めた。また、3サイクル目の充電容量に対する放電容量の比率を、初期の充放電効率として求めた。ここで、5時間率放電容量とは、満充電状態から所定の放電停止電圧まで放電した場合に、5時間放電を維持できる電流値で放電したときの放電容量をいう。次に、定電流値20mA、定電圧4.2Vにて充電し、定電流値20mAにて2.75Vまで放電することを1サイクルとし、60℃の恒温槽内で100サイクル充放電を繰り返した。得られた結果から、60℃での充放電を開始した1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の百分率(%)にて100サイクル後容量維持率を評価した。
次に、実施例1〜3及び比較例1,2として作製した電池用セパレータ及びそれを用いたリチウムイオン二次電池について、詳細に説明する。
[実施例1]
<電池用セパレータ>
還流冷却管を装備した500mL容量の三つ口フラスコに、メチルメタクリレート89g、4−ヒドロキシブチルアクリレート1g、4−アセトアセトキシブチルアクリレート10g、酢酸エチル67g、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.2gを投入し、窒素ガスを導入しながら、30分間攪拌混合した後、温度64℃に加熱した。約1時間経過したとき、ラジカル重合が始まって、反応混合物の粘度が上昇し始めた。そのまま、8時間重合を続けた後、約40℃まで冷却し、再び、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.1gを加え、70℃に再度加熱して、更に、8時間後重合を行なった。この後、約40℃まで冷却し、酢酸エチル166gを加え、全体が均一になるまで攪拌混合して、固形分100重量部に対してアセトアセチル基を4.4重量部含むアクリレート共重合体の酢酸エチル溶液Aを得た。
得られたアクリレート共重合体の酢酸エチル溶液Aを20gと、架橋剤としての多官能イソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールプロパンアダクト体、酢酸エチル溶液、固形分25%、日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートHL」)0.24gとを、酢酸エチル4.0gに溶解させて塗布液を調整し、25重量%濃度のポリマー溶液Dを調整した。
このポリマー溶液Dに酢酸エチルを加え、室温で攪拌して、濃度8.3重量%の均一なポリマー溶液を得た。このポリマー溶液を基材であるポリエチレン多孔質フィルム(膜厚10μm、空孔率40%、通気度190秒/100cc、突き刺し強度1.5N)の片面にワイヤーバー(#20)にて塗工した後、60℃で加熱乾燥して、酢酸エチルを揮散させた。次いで、これを90℃の恒温機に168時間投入して、アクリレート共重合体をイソシアネート架橋した。これによって、片面に塗布厚み0.5μmの架橋ポリマーを担持させた多孔質フィルム(架橋ポリマー担持フィルム)を得た。
次いで、得られた架橋ポリマー担持フィルムに、架橋ポリマーが担持された面と対向するように、さらに別のポリエチレン多孔質フィルム(膜厚10μm、空孔率40%、通気度190秒/100cc、突き刺し強度1.5N)を積層し、100℃に設定した熱ロールに通した。これによって、架橋ポリマー層の両側にポリエチレン多孔質フィルム(第1の多孔質フィルム及び第2の多孔質フィルム)が配置された、実施例1の電池用セパレータを得た。実施例1の電池用セパレータにおいて、架橋ポリマーのゲル分率は63.5%であった。
<電極シート>
正極活物質であるマンガン酸リチウム85重量部と、導電助剤であるアセチレンブラック(電気化学工業(株)製「デンカブラック」)10重量部と、バインダーであるフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製「KFポリマーL#1120」)5重量部とを混合し、これを固形分濃度35重量%となるように、N−メチル−2−ピロリドンを用いてスラリーとした。このスラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔(集電体)上に塗布し、80℃で1時間乾燥し、130℃で5時間真空乾燥した後、ロールプレスにて加圧して、活物質層の厚みが100μmである42mm角の正極シートを調製した。
また、負極活物質であるメソカーボンマイクロビーズ(大阪ガスケミカル(株)製「MCMB6−28」)80重量部と、導電助剤であるアセチレンブラック(電気化学工業(株)製「デンカブラック」)10重量部と、バインダーであるフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製「KFポリマーL#1120」)10重量部とを混合し、これを固形分濃度25重量%となるように、N−メチル−2−ピロリドンを用いてスラリーとした。このスラリーを、厚み20μmの銅箔(集電体)上に塗布し、80℃で1時間乾燥し、130℃で5時間真空乾燥した後、ロールプレスにて加圧して、活物質層の厚みが100μmである44mm角の負極シートを調製した。
<リチウムイオン二次電池の作製>
前記電極シートの調整で得た負極シートと正極シートとの間に、架橋ポリマー層の両側にポリエチレン多孔質フィルムが配置された実施例1の電池用セパレータを配置して、積層体を作製した。得られた積層体を、アルミニウムラミネートパッケージ内に入れ、さらに、1.0モル/L濃度でヘキサフルオロリン酸リチウムをエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(重量比1/1)混合溶媒に溶解させた電解液を注液した。次いで、パッケージを封口して、実施例1のリチウムイオン二次電池を組み立てた。
[実施例2]
<電池用セパレータ>
実施例1で用いたメチルメタクリレート89g、4−ヒドロキシブチルアクリレート1g及び4−アセトアセトキシブチルアクリレート10gに代えて、メチルメタクリレート89.6g、4−ヒドロキシブチルアクリレート1g及び2−アセトアセトキシエチルメタクリレート9.4gを用いた以外は、実施例1と同様にして、固形分100重量部に対してアセトアセチル基を4.4重量部含むアクリレート共重合体の酢酸エチル溶液Bを得た。さらに、実施例1で用いた酢酸エチル溶液Aに代えて酢酸エチル溶液Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、アクリレート共重合体をイソシアネート架橋させて、架橋ポリマー層の両側にポリエチレン多孔質フィルムが積層された実施例2の電池用セパレータを得た。実施例2の電池用セパレータにおける架橋ポリマーのゲル分率は、61.8%であった。
<電極シート>
実施例1と同様にして、正極シート及び負極シートを作製した。
<リチウムイオン二次電池の作製>
実施例2の電池用セパレータを用いた以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
[実施例3]
<電池用セパレータ>
実施例1で用いたメチルメタクリレート89g、4−ヒドロキシブチルアクリレート1g及び4−アセトアセトキシブチルアクリレート10gに代えて、メチルメタクリレート87.8g、4−ヒドロキシブチルアクリレート1g及び6−アセトアセトキシヘキシルアクリレート11.2gを用いた以外は、実施例1と同様にして、固形分100重量部に対してアセトアセチル基を4.4重量部含むアクリレート共重合体の酢酸エチル溶液Cを得た。さらに、実施例1で用いた酢酸エチル溶液Aに代えて酢酸エチル溶液Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、アクリレート共重合体をイソシアネート架橋させて、架橋ポリマー層の両側にポリエチレン多孔質フィルムが積層された実施例3の電池用セパレータを得た。実施例2の電池用セパレータにおける架橋ポリマーのゲル分率は、61.9%であった。
<電極シート>
実施例1と同様にして、正極シート及び負極シートを作製した。
<リチウムイオン二次電池の作製>
実施例3の電池用セパレータを用いた以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
[比較例1]
<電池用セパレータ>
厚さ20μm、空孔率40%、通気度380秒/100cc、突き刺し強度3.0Nのポリエチレン樹脂製の多孔質フィルムを用意した。比較例1では、架橋ポリマーが担持されていない多孔質フィルムを、電池用セパレータとして用いた。
<電極シート>
実施例1と同様にして、正極シート及び負極シートを作製した。
<リチウムイオン二次電池の作製>
比較例1の電池用セパレータを用いた以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
[比較例2]
<電池用セパレータ>
実施例1で作製したポリマー溶液Dに酢酸エチルを加え、室温で攪拌して、濃度8.3重量%の均一なポリマー溶液を得た。このポリマー溶液を、基材となるポリエチレン多孔質フィルム(膜厚20μm、空孔率40%、通気度380秒/100cc、突き刺し強度3.0N)の片面に、ワイヤーバー(#20)にて塗工した後、60℃で加熱乾燥して、酢酸エチルを揮散させた。次いで、これを90℃の恒温機に168時間投入して、アクリレート共重合体をイソシアネート架橋した。これによって、片面に塗布厚み0.5μmの架橋ポリマーを担持させた多孔質フィルムを得た。すなわち、比較例2の電池用セパレータは、架橋ポリマー層が一方の面に露出した構成であった。なお、比較例2の電池用セパレータにおいて、架橋ポリマーのゲル分率は59.9%であった。
<電極シート>
実施例1と同様にして、正極シート及び負極シートを作製した。
<リチウムイオン二次電池の作製>
比較例2の電池用セパレータを用い、多孔質フィルムが負極シートに対面し、架橋ポリマー層が正極シートに対面するように配置した以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
以上のように作製した実施例1〜3及び比較例1,2について測定した、電池用セパレータの通気度及びリチウムイオン二次電池の電池特性を、表1に示す。
Figure 2009266557
表1に示すように、側鎖にアセトアセチル基を有している架橋ポリマーが設けられている電池用セパレータを用いた実施例1〜3及び比較例2のリチウムイオン二次電池は、架橋ポリマーが設けられていない電池用セパレータを用いた比較例1のリチウムイオン二次電池と比較して、初期放電容量及び初期充放電効率は同程度を維持しつつ、100サイクル後の容量維持率が向上した。さらに、架橋ポリマーが電池用セパレータの表面に露出しないように配置されている実施例1〜3の電池用セパレータを用いたリチウムイオン二次電池は、架橋ポリマー層が正極と接して配置された比較例2のリチウムイオン二次電池と比較して、100サイクル後の容量維持率がさらに良好であった。この結果から、本発明の電池用セパレータによれば、電解液中に溶出した金属イオンが架橋ポリマーに含まれるアセトアセチル基に効率よく捕捉され、かつ、電池用セパレータに設けられた架橋ポリマーが正極及び負極に接しないので架橋ポリマーが電極で酸化還元されるおそれもない。その結果、本発明によれば、初期容量及び初期の充放電効率を維持しつつ、高温で充放電を繰り返しても容量の劣化が少ない、長期信頼性に優れたリチウムイオン二次電池を得ることが可能となった。
本発明の電池用セパレータは、リチウムイオン二次電池等の非水系電解液二次電池のセパレータとして使用可能である。
本発明の電池用セパレータの構成例を示す断面図である。 本発明の電池用セパレータの他の構成例を示す断面図である。
符号の説明
11,21 架橋ポリマー層
12,13,22,23 多孔質フィルム
14,24 電池用セパレータ
15,25 正極
16,26 負極
17 アルミニウムラミネートパッケージ
18 正極集電体
19 負極集電体
27 正極缶
28 負極缶
29 ガスケット

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材に担持された架橋ポリマーとを含む電池用セパレータであって、
    前記架橋ポリマーは、側鎖にアセトアセチル基を有しており、前記電池用セパレータの表面に露出しないように前記基材に担持されている、電池用セパレータ。
  2. 前記基材が第1の多孔質フィルム及び第2の多孔質フィルムを含み、
    前記架橋ポリマーからなる層が、前記第1の多孔質フィルムと前記第2の多孔質フィルムとの間に配置されている、請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 前記架橋ポリマーからなる層は、無孔性のイオン伝導性層である、請求項2に記載の電池用セパレータ。
  4. 前記架橋ポリマーは、ポリマー鎖の構成成分単位として、アセトアセチル基を有するラジカル重合性モノマーを含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の電池用セパレータ。
  5. 前記ラジカル重合性モノマーが、一般式(I)
    Figure 2009266557
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、nは1〜12の整数を示す。)
    で表される、アセトアセチル基含有アクリレート及びアセトアセチル基含有メタクリレートから選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の電池用セパレータ。
  6. 前記架橋ポリマーは、イソシアネート基と反応し得る反応性基を分子中に有するポリマーを多官能イソシアネートと反応させ、前記ポリマーの少なくとも一部を架橋させることによって得られる、請求項1〜5の何れか1項に記載の電池用セパレータ。
  7. リチウム含有活物質を含む正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な負極活性物質を含む負極と、前記正極と前記負極との間に配置された電池用セパレータと、非水系溶媒及び電解質を含む非水系電解液と、を備えたリチウムイオン二次電池であって、
    前記電池用セパレータが、請求項1〜6の何れか1項に記載の電池用セパレータである、リチウムイオン二次電池。
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