JP2009264155A - 車両用暖機システム - Google Patents

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Tatsuyuki Ohashi
達之 大橋
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文夫 谷田部
Shinya Fukushima
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Abstract

【課題】蓄熱装置の構造の簡素化、小型化、軽量化を図りながらも、暖機対象機関の早期暖機や車内の即効暖房を効果的に行えるようにする。
【解決手段】過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材20と、蓄熱材20を発核させる発核装置25とを有する蓄熱装置10と、自動変速機40の作動油を循環させる作動油循環路41とを備える車両用暖機システムで、蓄熱装置10は、作動油循環路41からの作動油が流通する作動油流通室17と、作動油との熱交換が可能な蓄熱材20を収容した蓄熱材収容室16とを有し、蓄熱材収容室16は、複数の分割室16aに分割されており、複数の分割室16aを連通する連通部16bと、連通部16bを開閉する開閉手段60とを備えている。開閉手段60により複数の分割室16aを連通して蓄熱材20の放熱を行わせるので、発核装置25が1つで済み、蓄熱装置20の構造を簡素化できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関や変速機などの早期暖機あるいは車内の即効暖房を行うことができる蓄熱装置を備えた車両用暖機システムに関する。
従来、例えば特許文献1、2に示すように、蓄熱により内燃機関(以下、「エンジン」という)や自動変速機の暖機を行う蓄熱装置を備えた車両用暖機システムがある。特許文献1に記載の蓄熱装置(蓄熱タンク)は、エンジンの冷却水を蓄熱媒体として用い、該蓄熱媒体を断熱性の高い容器に収容したものである。また、特許文献2に記載の蓄熱装置は、自動変速機の作動油が流通する流路を、セラミックや酸化マグネシウムなどの高熱容量材からなる蓄熱材層で被覆した構造である。このような蓄熱装置を備えた暖機システムを利用すれば、車両の始動時におけるエンジンや自動変速機の早期暖機、あるいは車内の即効暖房を効果的に行うことが可能となる。
ところで、上記のような蓄熱装置では、暖機対象機関から流通する熱伝達媒体との熱交換による蓄熱・放熱を行う蓄熱材(蓄熱要素)として、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材(過冷却蓄熱材)を備えたものがある。このような過冷却蓄熱材は、熱伝達媒体からの熱供給により、熱を蓄熱して固相から液相へ相変化(融解)し、その後の温度低下により、液相の状態を保ったまま過冷却状態となる。一方、過冷却解除手段による過冷却状態の解除により、蓄熱を放出して液相から固相へ相変化(固化)するようになっている。ところが、このような過冷却蓄熱材では、蓄熱の際、蓄熱材中に固体(結晶)状態の箇所が残存している状態で熱供給が停止されると、その後の温度低下で固化が進行し、過冷却状態を維持できずに蓄熱を放出してしまうという問題がある。そのため、蓄熱材への蓄熱を行う際には、蓄熱材中に固体状態の箇所が無くなるように、蓄熱材の全体を完全に融解させる必要がある。
この点、特許文献3に記載の蓄熱装置では、蓄熱材を複数の容器に分割して封入しているので、各容器に封入された蓄熱材ごとに蓄熱が行われるようになる。したがって、短時間の熱供給でも、固体状態の箇所が無くなるように蓄熱材の融解を促進させることが可能となる。しかしながら、特許文献3の蓄熱装置では、蓄熱材を収容する複数の容器それぞれに蓄熱材の過冷却状態を解除する手段(発核装置)を設置しているので、蓄熱装置の部品点数が多くなり、構造の複雑化、大型化を招いていた。
特開平10−71837号公報 特開2002−39335号公報 特開平6−117787号公報
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、蓄熱装置の構造の簡素化、小型化、軽量化を図りながらも、暖機対象機関の早期暖機や車内の即効暖房を効果的に行える車両用暖機システムを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明にかかる車両用暖機システムは、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材からなる蓄熱要素(20)と、該蓄熱要素(20)の過冷却状態を解除する過冷却解除手段(25)と、を有してなる蓄熱装置(10)と、暖機対象機関(30,40)と前記蓄熱装置(10)との間で熱伝達媒体を流通させる熱伝達媒体流路(31,34,36,41)と、を備え、前記蓄熱装置(10)は、前記熱伝達媒体流路(31,34,36,41)からの熱伝達媒体が流通する熱伝達媒体流通室(14,15,17,18)と、前記熱伝達媒体との熱交換が可能な蓄熱要素(20)を収容した蓄熱要素収容室(16)とを有し、前記蓄熱要素収容室(16)は、複数の分割室(16a)に分割されており、前記複数の分割室(16a)を連通する連通部(16b)と、該連通部(16b)の開閉状態を切り替える開閉手段(60)と、を備えることを特徴とする。また、上記の過冷却解除手段(25)は、複数の分割室(16a)のうちいずれか一の分割室(16a)のみに設ければ良い。なお、ここでの括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
そして、この車両用暖機システムでは、蓄熱要素の蓄熱時には、開閉手段により連通部が開かれて複数の分割室が連通する一方、過冷却解除手段による蓄熱要素の過冷却状態の解除時には、開閉手段により連通部が閉じられて蓄熱要素収容室が複数の分割室に分割されるようにする。これにより、蓄熱要素の全容量が大きい場合でも、各分割室に分割して収容した蓄熱要素ごとに蓄熱を行うことができるので、蓄熱を効率良く完了させることが可能となる。それに加えて、蓄熱要素の放熱を行わせる際は、複数の分割室を連通し、蓄熱要素を一体化した状態で蓄熱要素の過冷却状態を解除できるので、過冷却解除手段は、複数の分割室のうちいずれか一の分割室のみに設ければ足りる。したがって、蓄熱装置の部品点数を少なく抑えることができ、蓄熱装置の構造の簡素化、小型化、軽量化を図ることができる。
これらにより、蓄熱装置の構造の簡素化を図りながらも、蓄熱要素への蓄熱および放熱を短時間で効率的に行うことができ、暖機対象機関の早期暖機や車内の即効暖房を効果的に行えるようになる。
また、上記の車両用暖機システムの実施態様として、開閉手段(60)は、連通部(16b)に対して移動可能に設置された開閉部材(61)と、該開閉部材(61)を移動させる移動機構(62)とを備え、開閉部材(61)の移動により連通部(16b)の開閉状態が切り替わるようにしてよい。また、連通部(16b)を複数箇所に設け、開閉部材(61)は、該複数箇所の連通部(16b)に渡って配置された一の部材としてもよい。これらによれば、各分割室を連通する連通部を開閉可能とするための機構を簡単な構成で実現できる。また、その場合、蓄熱要素として、過冷却状態の解除に伴う固相への相変化の後にも所定の流動性を有する蓄熱材を用いれば、蓄熱要素の過冷却状態が解除されて固相への相変化が進行した後でも、蓄熱材に接している開閉部材をスムーズに移動させることが可能となる。
また、本発明では、上記の開閉手段が備える開閉部材の移動により、蓄熱要素の過冷却状態の解除動作が行われるようにすると良い。この具体例としては、開閉部材の移動により、それまで他の部材に接触していた開閉部材の面が当該他の部材から離間し、その面が新たに蓄熱要素と接触することで、その部分の蓄熱要素の過冷却状態が解除される(発核が行われる)ようにすることが挙げられる。
また、本発明の車両用暖機システムでは、蓄熱装置(10)へ流通させる熱伝達媒体は、内燃機関(30)の冷却水、内燃機関(30)の潤滑油、内燃機関(30)から排出される排気ガス、あるいは変速機(40)の作動油とすることができる。これらにより、内燃機関や駆動系機関の早期暖機を効果的に行えるようになる。
本発明にかかる車両用暖機システムによれば、蓄熱装置の構造の簡素化を図りながらも、蓄熱要素の蓄熱および放熱を短時間で効率的に行うことができ、暖機対象機関の早期暖機や車内の即効暖房を効果的に行えるようになる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかる蓄熱装置を備えた車両用暖機システムの構成例を示す概略図である。車両用暖機システム1は、蓄熱材20を有してなる蓄熱装置10と、エンジン30の冷却水(LLC)を蓄熱装置10および車内暖房装置44のヒータコア45へ循環させる冷却水循環路31と、自動変速機(AT)40の作動油(ATF)を蓄熱装置10へ循環させる作動油循環路41とを備えている。冷却水循環路31は、エンジン30に形成された水ジャケット(図示せず)から導出され、蓄熱装置10に連通し、蓄熱装置10の下流側でヒータコア45を通り、エンジン30の水ジャケットに再度導入されている。エンジン30に導入される直前位置には、冷却水ポンプ32が介装されている。冷却水ポンプ32は、エンジン30のクランク軸(図示せず)の回転に連動して駆動するようになっている。また、作動油循環路41には、作動油を流通させる作動油ポンプ(電動ポンプ)42と、作動油の温度を検出する油温センサ43が設置されている。蓄熱装置10は、詳細な構成は後述するが、冷却水循環路31に連通する冷却水流通室15と、蓄熱材20を収容した蓄熱材収容室16と、作動油循環路41に連通する作動油流通室17とを備えている。
ヒータコア45は、詳細な図示は省略するが、車内に臨む空気導入ダクト内に設置されている。空気導入ダクト内には、ヒータコア45に風を送るための送風ファン46が組み込まれている。送風ファン46は、電子制御ユニット(以下、ECUという。)50によって作動を制御されるようになっている。ヒータコア45の送風下流側には、車内に連通する送風ダクトが設けられている。
また、車内のコントロールパネル(図示せず)には、車内暖房用の暖房スイッチ51、及びデフロスタ吹出口から温風を吹き出すためのデフロスタスイッチ55が設けられている。暖房スイッチ51およびデフロスタスイッチ55のオン/オフ信号は、ECU50に出力されるようになっている。したがって、送風ファン46は、暖房スイッチ51やデフロスタスイッチ55のオン信号に応じて作動し、空気導入ダクトを介して吸い込んだ車内の空気を、ヒータコア45を通して送風ダクトから再び車内に吹き込むようになっている。また、暖機システム1は、外気温を検出する外気温センサ54を備えている。外気温センサ54の検出信号は、ECU50に出力されるようになっている。また、イグニッションスイッチ(以下、IGスイッチという。)56の操作信号は、ECU50に送られるようになっている。
冷却水循環路31における蓄熱装置10とヒータコア45の間には、冷却水循環路31の開閉を切り替える切替バルブ(開閉弁)33が設置されている。切替バルブ33は、ECU50からの信号で開閉が制御されるようになっている。以下では、切替バルブ33がオフであるというときは、切替バルブ33が開かれて、蓄熱装置10及びヒータコア45の冷却水が流通する状態を示し、切替バルブ33がオンであるというときは、切替バルブ33が閉じられて、蓄熱装置10及びヒータコア45の冷却水が流通しない状態を示す。
また、エンジン30の冷却水をラジエター47へ循環させるラジエター用循環路35が設けられている。ラジエター用循環路35は、エンジン30の水ジャケットから出て、冷却水循環路31における冷却水ポンプ32の上流側に合流している。ラジエター用循環路35には、ラジエター47に連通する主流路35aとラジエター47をバイパスするバイパス流路35bが設けられている。ラジエター47の下流側におけるバイパス流路35bの合流部には、電子制御サーモスタット弁(三方弁)37が介装されている。電子制御サーモスタット弁37は、ECU50からの信号で開閉方向が制御されるようになっている。また、ラジエター用循環路35には、冷却水の水温を検出する水温センサ38が組み込まれている。水温センサ38の検出信号は、ECU50に出力されるようになっている。
図2は、電子制御サーモスタット弁37の構成例を示す図である。以下では、電子制御サーモスタット弁37がオフであるというときは、同図(a)に示す状態、すなわち、主流路35aを開いてバイパス流路35bを閉じた状態を指し、電子制御サーモスタット弁37がオンであるというときは、同図(b)に示す状態、すなわち、主流路35aを閉じてバイパス流路35bを開いた状態を指すものとする。
ECU50は、水温センサ38で検出した冷却水温が所定温度(例えば100℃)未満の場合、電子制御サーモスタット弁37をオンにすることで、冷却水がラジエター47へ流れないように制御する。一方、冷却水温が所定温度(例えば110℃)以上になった場合、電子制御サーモスタット弁37をオフにすることで、冷却水をラジエター47へ導くように制御する。
ECU50には、無線により外部機器と交信が可能な受信装置52が接続されている。これにより、ECU50は、エンジンスタートキー53に設けたウォームアップスイッチ53aのオン/オフ信号を遠隔受信できるようになっている。したがって、乗員が車外でエンジンスタートキー53のウォームアップスイッチ53aを操作した場合、ECU50でその信号が受信され、ECU50は暖機システム1にウォームアップ指令を発することができる。
図3は、蓄熱装置10の詳細構成を示す図で、(a)は、分解斜視図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。蓄熱装置10は、長手状の筒状体からなる筐体11と、筐体11の内部に設置された該筐体11よりも若干小径の筒状体からなる中間部材12と、中間部材12の内部に設置された仕切部材13とを備えた三重構造になっている。仕切部材13は、内部に収納空間を有する長尺形状に形成されており、対向する一対の側面には複数のフィン13aが形成されている。フィン13aは、筐体11の長手方向に沿って延びる板状で、多数が横方向(短手方向)に所定間隔で配列されている。フィン13aの間には、同図(b)に示すように、仕切部材13の外側に通じる隙間13bが設けられている。
上記の各部材で構成される蓄熱装置10では、筐体11と中間部材12の間は、エンジン30の冷却水が流通する冷却水流通室15になっている。中間部材12と仕切部材13の間は、自動変速機40の作動油が流通する作動油流通室17になっている。仕切部材13の内部は、蓄熱材20が密封状態で充填される蓄熱材収容室16になっている。
筐体11の上下端の開口には、蓋部材14a,14bが取り付けられている。下側の蓋部材14aには、作動油流通室17に作動油を導入する作動油入口17aが設けられており、上側の蓋部材14bには、作動油を導出する作動油出口17bが設けられている。また、筐体11の上端近傍と下端近傍の側面には、それぞれ冷却水流通室15に冷却水を導入する冷却水入口15aと、冷却水を導出する冷却水出口15bとが設けられている。
蓄熱材収容室16は、仕切部材13におけるフィン13aの内部に形成された複数の分割室16aを有している。分割室16aは、図3(b)に示すように、平面視の形状が細長い略矩形状の室であり、各分割室16aの平面視における長手方向の中間位置には、隣接する分割室16aを連通するスリット状の連通部16bが設けられている。隣接する連通部16bは、直線状に連続しており、これにより、仕切部材13の中央を一直線に貫通する貫通部16cが形成されている。貫通部16c内には、各連通部16bに渡って配置された一の部材からなる開閉体(開閉部材)61が設置されている。開閉体61は、その面が仕切部材の長手方向(垂直方向)に延びる略平板状の部材であり、その表面及び裏面における各連通部16bに対応する位置には、前記長手方向に延びる直線状の突起部61aが形成されている。
また、開閉体61を移動させるアクチュエータ(移動機構)62が設置されている。アクチュエータ62は、ロッド62aの進退により開閉体61をスライドさせるもので、ECU50の指令で動作するようになっている。上記の開閉体61とアクチュエータ62とで、各連通部16bの開閉状態を切り替える開閉手段60が構成されている。
図4は、開閉手段60の動作を説明するための図で、図3(a)のA−A矢視断面図である。開閉体61は、アクチュエータ62の駆動により貫通部16c内で進退移動し、各連通部16bを閉鎖する閉位置と、各連通部16bを開く開位置との間で移動可能となっている。同図(a)に示すように、開閉体61が閉位置に配置されているとき、突起部61aの先端面が連通部16bの内面に当接(面接触)し、該突起部61aにより連通部16bが塞がれる。これにより、蓄熱材収容室16の複数の分割室16aが仕切られた状態となる。一方、同図(b)に示すように、開閉体61が開位置に配置されているとき、突起部61aが連通部16bに対してずれるので、各連通部16bが開かれて各分割室16aが互いに連通した状態となる。この状態で、蓄熱材収容室16に充填されている蓄熱材20が連通部16bを介して一体化する。
蓄熱装置10では、蓄熱材収容室16と作動油流通室17とが隣接して配置され、かつ、作動油流通室17と冷却水流通室15とが隣接して配置されている。したがって、蓄熱材収容室16の蓄熱材20と作動油流通室17の作動油との間で直接的に熱交換を行え、かつ、作動油流通室17の作動油と冷却水流通室15の冷却水との間で直接的に熱交換を行える。なお、冷却水流通室15の冷却水と蓄熱材収容室16の蓄熱材20との間でも、作動油流通室17の作動油を介して間接的に熱交換が行える。
筐体11は、冷却水に対する防錆性などの耐久性があり、且つ断熱性の良好な材料、例えば、銅、アルミニウム、ステンレスなどの金属材料で構成されている。この筐体11は、図示は省略するが、断熱性を高めるため、内部に真空の断熱層を形成してもよい。また、中間部材12および仕切部材13は、冷却水、作動油、蓄熱材20に対する耐久性があり、且つ比較的熱伝導性の高い材料、例えば、ステンレスなどの金属材料で構成するとよい。
蓄熱材20は、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材であり、凝固点以下になっても液状のままで固化しない性質を有している。このような蓄熱材20として、例えば、酢酸ナトリウム水和物からなる蓄熱材が挙げられる。酢酸ナトリウム水和物は、後述する解除手段による過冷却状態の解除によって、平衡状態に戻って固化する際に発熱し、温度の低い他の媒体を加熱することができる。したがって、蓄熱材20は、作動油あるいは冷却水など熱伝達媒体からの熱供給により、熱を蓄熱して固相から液相へ相変化(融解)し、その後の温度低下により、液相の状態を保ったまま過冷却状態となる。一方、解除手段による過冷却状態の解除により、蓄熱を放出して液相から固相へ相変化(固化)する。
さらに、本実施形態では、後述するように、過冷却状態の解除により蓄熱材20が液相から固相へ相変化した状態で、蓄熱材収容室16内の開閉体61を移動させる必要がある。そのため、例えば、上記の酢酸ナトリウム水和物からなる蓄熱材20にゲル化剤や水を添加する処理などを施すことで、蓄熱材20が固相へ相変化した後も所定の流動性を有するようにしておくことが必要である。なお、ここでいう所定の流動性とは、具体的には、固相状態の蓄熱材20において、固形状の成分が液体中に混合している混濁液状態(サスペンジョン)を指し、液体中に固形物が浮遊しているような状態をいう。蓄熱材20が固相へ相変化したときにこのような状態であれば、蓄熱材20に接している開閉体61をスムーズに移動させることが可能となる。
蓄熱材収容室16の蓄熱材20中には、蓄熱材20の過冷却状態を解除する解除手段(以下、発核装置という。)25が設置されている。図5は、発核装置25を示す概略側面図である。発核装置25は、蓄熱材20中に設置された円形平板状の金属バネ部材26と、金属バネ部材26に打撃を与えるソレノイド27とを備えている。ソレノイド27は、ECU50の指令に応じて動作する。金属バネ部材26は、同図(a)に示す状態において、ソレノイド27による打撃で中央部26aが押圧されると、同図(b)に示すように、該中央部26aが反転するようになっている。これにより、蓄熱材20中に核が生成(発核)され、蓄熱材20の過冷却状態が解除されて固化が始まる。なお、解除手段としては、蓄熱材20中に核を生成可能な手段であれば、何れの手段でもよく、上記以外にも、例えば、蓄熱材20中で金属摩擦あるいは電圧印加などを施す手段であってもよい。
ここでは、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材の代表例として酢酸ナトリウム水和物を挙げたが、他にも、水和塩化合物(化学式としてMx・nH2O(n:整数)で表わされるもの)を挙げることができ、Na2SO4・10H2O,CaCl2・6H2Oを例示することができる。
図6は、上記構成の暖機システム1における運転モードのタイムチャートを示すグラフである。同図に示すように、暖機システム1の運転モードは、モード0からモード3までの4段階に切り替わる。モード0は、エンジン30が停止している間のモードである。モード1は、IGスイッチ56がオンされてエンジン30が始動してから、冷却水温度が所定温度に達するまでのモードであり、この間、自動変速機40の作動油が蓄熱材20によって加熱される。また、エンジン30は自己暖機する。モード2は、冷却水温度が前記の所定温度に達した後、作動油の油温が所定温度に達したことで自動変速機40の暖機が完了したと判断されるまでのモードであり、この間、自動変速機40の作動油がエンジン30の冷却水によって加熱される。また、エンジン30の冷却水は、電子制御サーモスタット弁37の開閉制御によって、所定の温度範囲を維持するように制御(DUTY制御)される。モード3は、自動変速機40の暖機が完了したと判断された後のモードであり、この間、自動変速機40の作動油がエンジン30の冷却水によって冷却される。また、エンジン30の冷却水は、モード2と同様、電子制御サーモスタット弁37の開閉制御によって、所定の温度範囲を維持するように制御される。
図7は、暖機システム1の制御手順を示すメインフローである。この制御手順では、まず、後述するモード切替のサブルーチンを実行する(ステップST1)。その結果に基づき、モード0であるか否かを判定する(ステップST2)。モード0であれば(Y)、モード0のサブルーチンを実行し(ステップST3)、モード0でなければ(N)、モード1か否かを判定する(ステップST4)。その結果、モード1であれば(Y)、モード1のサブルーチンを実行し(ステップST5)、モード1でなければ(N)、モード2か否かを判定する(ステップST6)。その結果、モード2であれば(Y)、モード2のサブルーチンを実行し(ステップST7)、モード2でなければ(N)、モード3のサブルーチンを実行する(ステップST8)。
図8は、モード切替手順を説明するためのフローチャートである。モード切替では、まず、IGスイッチ56がオンであるか否かを判定する(ステップST10)。その結果、IGスイッチ56がオンでなければ(N)、モード0をセットする(ステップST11)。IGスイッチ56がオンであれば(Y)、モード2以上か否かを判定し(ステップST12)、モード2以上でなければ(N)、冷却水温TWが♯TW1Lより低いか否かを判定し(ステップST13)、冷却水温TWが♯TW1Lより低ければ(Y)、モード1をセットする(ステップST14)。♯TW1Lの具体例は、100℃である。また、先のステップST12でモード2以上である場合(Y)は、続けてモード2か否かを判定し(ステップST15)、モード2である場合(Y)、あるいは先のステップST13で冷却水温TWが♯TW1L以上である場合(N)は、作動油温TATFが♯TATF1Lより低いか否かを判定する(ステップST16)。♯TATF1Lの具体例は、100℃である。その結果、作動油温TATFが♯TATF1Lより低ければ(Y)、モード2をセットし(ステップST17)、作動油温TATFが♯TATF1L以上であれば(N)、モード3をセットする(ステップST18)。また、先のステップST15でモード2でない場合(N)は、モード3をセットする(ステップST18)。
図9は、モード0の手順を説明するためのフローチャートである。モード0では、まず、ウォームアップ信号の入力の有無を判定する(ステップST0−1)。この結果、ウォームアップ信号の入力が無い場合(N)は、発核装置25をオフする(ステップST0−2)。一方、ウォームアップ信号の入力が有る場合(Y)は、冷却水温TWが♯TW3より低いか否かを判定する(ステップST0−3)。♯TW3の具体例は、60℃である。その結果、冷却水温TWが♯TW3以上であれば(N)、発核装置25をオフする(ステップST0−2)。つまり、始動時に冷却水温が十分に高い場合は、蓄熱装置10によるエンジン30や自動変速機40の暖機は不要であると判断して、蓄熱材20を発核させず、蓄熱装置10の自己暖機は行わない。一方、冷却水温TWが♯TW3より低ければ(Y)、発核装置25がオンであるか否かを判定する(ステップST0−4)。その結果、発核装置25がオフであれば(N)、発核装置25をオンする(ステップST0−5)。
ここで、蓄熱材収容室16に設置された発核装置25をオンする際には、あらかじめアクチュエータ62により開閉体61を図4(b)に示す開位置に配置し、各分割室16aを連通させておく。これにより、各分割室16a内の蓄熱材20が連通部16bを介して一体化した状態になるので、発核装置25の発核動作により、発核装置25が配置された一の分割室16a内で最初に起こる蓄熱材20の固化が、隣接する他の分割室16aの蓄熱材20に順次伝播し、やがて蓄熱材収容室16の蓄熱材20全体に拡散する。したがって、一の発核装置25による発核動作のみで、複数の分割室16aの蓄熱材20全体を固化させて蓄熱を放出させることができる。
一方、先のステップST0−4で発核装置25がオンであれば(Y)、発核装置25がオンしてから所定時間以内か否かを判定する(ステップST0−6)。その結果、所定時間以内でなければ(N)、すなわち発核装置25がオンしてから所定時間以上が経過していれば、発核装置25をオフする(ステップST0−2)。また、このモード0では、切替バルブ33はオフにしておき(ステップST0−7)、電子制御サーモスタット弁37はオフにしておく(ステップST0−8)。その後、モード0の手順を終了してメインフローに戻る。
図10は、モード1の手順を説明するためのフローチャートである。モード1では、まず、冷却水温TWが♯TW3より低いか否かを判定する(ステップST1−1)。その結果、冷却水温TWが♯TW3以上であれば(N)、発核装置25をオフする(ステップST1−2)。つまり、始動時に冷却水温が十分に高い場合は、蓄熱装置10によるエンジン30や自動変速機40の暖機は不要であると判断し、蓄熱材20を発核させず、蓄熱材20による冷却水や作動油の加熱を行わない。一方、冷却水温TWが♯TW3より低ければ(Y)、発核装置25がオンであるか否かを判定する(ステップST1−3)。その結果、発核装置25がオンで無ければ(N)、発核装置25をオンする(ステップST1−4)。この場合も、蓄熱材収容室16に設置された発核装置25をオンする際、あらかじめ開閉体61を開位置に配置し、各分割室16aを連通させておく。
一方、先のステップST1−3で発核装置25がオンであれば(Y)、発核装置25がオンしてから所定時間以内か否かを判定する(ステップST1−5)。その結果、所定時間以内でなければ(N)、すなわち発核装置25がオンしてから所定時間以上が経過していれば、発核装置25をオフする(ステップST1−2)。続けて、外気温が所定温度以上であり、かつデフロスタスイッチ55がオフであるか否かを判定する(ステップST1−6)。その結果、外気温が所定温度以下、またはデフロスタスイッチ55がオンである場合(N)は、切替バルブ33をオフすることで(ステップST1−7)、蓄熱装置10から出た冷却水をヒータコア45に流通させる。つまりこの場合は、蓄熱装置10による自動変速機40の暖機を行いながら、蓄熱装置10による車内暖房も行う。一方、外気温が所定温度以上であり、かつデフロスタスイッチ55がオフである場合(Y)は、切替バルブ33をオンすることで(ステップST1−8)、蓄熱装置10から出た冷却水をヒータコア45には流通させない。つまりこの場合は、蓄熱装置10による自動変速機40の暖機を優先的に行い、車内暖房は行わない。また、モード1では、電子制御サーモスタット弁37をオンしておき(ステップST1−9)、ラジエター47には冷却水を流通させず、冷却水が早期に温まるようにする。その後、モード1の手順を終了してメインフローに戻る。
図11は、モード2の手順を説明するためのフローチャートである。モード2では、発核装置25をオフする(ステップST2−1)。さらに、切替バルブ33をオフすることで(ステップST2−2)、蓄熱装置10からの冷却水をヒータコア45に流通させる。そして、電子制御サーモスタット弁37がオンであるか否かを判定する(ステップST2−3)。その結果、オンであれば(Y)、冷却水温TWが♯TW1Hより低いか否かを判定する(ステップST2−4)。♯TW1Hの具体例は、105℃である。その結果、冷却水温TWが♯TW1H以上である場合(N)は、電子制御サーモスタット弁37をオフすることで(ステップST2−6)、ラジエターに冷却水を流通させる。一方、冷却水温TWが♯TW1Hより低い場合(Y)は、電子制御サーモスタット弁37をオンのままとし(ステップST2−7)、ラジエター47に冷却水を流通させない。また、先のステップST2−3で電子制御サーモスタット弁37がオフである場合(N)は、冷却水温TWが♯TW1Lより高いか否かを判定する(ステップST2−5)。その結果、冷却水温TWが♯TW1Lより高ければ(Y)、電子制御サーモスタット弁37をオフのままとし(ステップST2−6)、冷却水温TWが♯TW1L以下であれば(N)、電子制御サーモスタット弁37をオンする(ステップST2−7)。その後、スタートに戻り上記の手順を反復する。つまり、モード2では、冷却水温TWが♯TW1H以上に上昇した場合は、ラジエター47による冷却を行い、冷却水温TWが♯TW1L以下に低下した場合は、ラジエター47による冷却を停止する。これにより、図6に示すように、冷却水温TWが常に♯TW1Lと♯TW1Hの間の範囲内に収まるように制御する。
図12は、モード3の手順を説明するためのフローチャートである。モード3では、まず、発核装置25はオフである(ステップST3−1)。また、切替バルブ33はオフであり(ステップST3−2)、蓄熱装置10から出た冷却水がヒータコア45に流通している。そして、作動油温TATFが♯TATF1Hよりも低いか否かを判定する(ステップST3−3)。♯TATF1Hの具体例は、110℃である。その結果、作動油温TATFが♯TATF1Hよりも低ければ(Y)、電子制御サーモスタット弁37がオンであるか否かを判定する(ステップST3−4)。オンであれば(Y)、冷却水温TWが♯TW1Hより低いか否かを判定する(ステップST3−5)。冷却水温TWが♯TW1H以上であれば(N)、電子制御サーモスタット弁37をオフし(ステップST3−7)、冷却水温TWが♯TW1Lより低ければ(Y)、電子制御サーモスタット弁37をオンする(ステップST3−8)。一方、先のステップST3−4で電子制御サーモスタット弁37がオンでない場合(N)は、冷却水温TWが♯TW1Lより高いか否かを判定する(ステップST3−6)。その結果、冷却水温TWが♯TW1Lより高ければ(Y)、電子制御サーモスタット弁37をオフし(ステップST3−7)、冷却水温TWが♯TW1L以下であれば(N)、電子制御サーモスタット弁37をオンする(ステップST3−8)。つまり、自動変速機40の作動油温が狙い範囲(TATF<♯TATF1H:110℃)にある場合は、冷却水温をそれ以上低くする必要がないため、該冷却水温を燃費優先のいわゆる燃費狙い値(♯TW1L:100℃<TW<♯TW1H:105℃)になるように制御する。
一方、先のステップST3−3において、作動油温TATFが♯TATF1H以上である場合(N)は、電子制御サーモスタット弁37が既にオンしているか否かを判定し(ステップST3−9)、オンしていれば(Y)、冷却水温TWが♯TW2Hより低いか否かを判定する(ステップST3−10)。♯TW2Hの具体例は、85℃である。冷却水温TWが♯TW2H以上である場合(N)は、電子制御サーモスタット弁37をオフし(ステップST3−12)、冷却水温TWが♯TW2Hより低い場合(Y)は、電子制御サーモスタット弁37をオンする(ステップST3−8)。一方、先のステップST3−9で電子制御サーモスタット弁37がオンでない場合(N)は、冷却水温TWが♯TW2Lより高いか否かを判定する(ステップST3−11)。♯TW2Lの具体例は、80℃である。その結果、冷却水温TWが♯TW2Lより高ければ(Y)、電子制御サーモスタット弁37をオフし(ステップST3−12)、冷却水温TWが♯TW2L以下であれば(N)、電子制御サーモスタット弁37をオンする(ステップST3−8)。つまり、自動変速機40の作動油温が狙い範囲(TATF<♯TATF1H:110℃)と比べて高すぎる場合は、エンジン30の冷却水温を低く抑える必要があるため、該冷却水温を作動油の冷却を優先する温度(♯TW2L:80℃<TW<♯TW2H:85℃)となるように制御する。
ここで、蓄熱材収容室16内の蓄熱材20が、モード1における過冷却状態の解除(発核)により固相(放熱完了)状態になっているときは、モード2あるいはモード3において、作動油流通室17を流通する作動油から熱が供給されることで、蓄熱材20への蓄熱が行われる。この場合、アクチュエータ62により開閉体61を図4(a)に示す閉位置に移動させておき、各分割室16aが仕切られた状態にしておく。こうすることで、蓄熱材収容室16内の蓄熱材20の全容量が大きい場合でも、各分割室16aに分割して収容された蓄熱材20ごとに蓄熱を行わせることができるようになり、蓄熱材20への蓄熱を効率良く完了させることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態の車両用暖機システム1によれば、発核装置25による発核(蓄熱材20の過冷却状態の解除)時には、開閉手段60により連通部16bを開いて複数の分割室16aを連通させるようにしている。これにより、複数の分割室16a内の蓄熱材20を一体化することができるので、発核装置25は、各分割室16aに設ける必要は無く、いずれか一の分割室16aにのみ設ければ足りる。したがって、発核装置25の設置数を少なくすることができるので、蓄熱装置10の部品点数を少なく抑えることができ、蓄熱装置10の構造の簡素化、小型化、軽量化を図ることができる。
また、蓄熱材20の蓄熱時には、開閉手段60により連通部16bを閉じて、蓄熱材収容室16を複数の分割室16aに分割するようにしている。これにより、蓄熱材収容室16の蓄熱材20の全容量が大きい場合でも、各分割室16aに分割して収容した蓄熱材20ごとに蓄熱を行うことができるので、蓄熱材20の蓄熱を効率良く完了させることが可能となる。
これらにより、蓄熱装置10の構造の簡素化を図りながらも、蓄熱材20の蓄熱および放熱を短時間で効率的に行うことができ、自動変速機40やエンジン30の早期暖機、あるいは車内の即効暖房を効果的に行えるようになる。
また、本実施形態の開閉手段60では、図4(a)に示すように、開閉体61が閉位置に配置されているとき、開閉体61の突起部61aの先端面が連通部16bの内面に当接(面接触)している。そして、開閉体61が閉位置から開位置へ移動する際、突起部61aが連通部16bに対してスライドし、突起部61aの先端面と連通部16bの内面とが離れる。これにより、それまで蓄熱材20に接触していなかった突起部61aの先端面及び連通部16bの内面が新たに蓄熱材20に接触するようになる。このように、部材の面が新たに蓄熱材20と接触することで、その部分の蓄熱材20中に核が生成(発核)されるという作用がある。このことを利用すれば、開閉体61を閉位置から開位置へ移動させるだけで蓄熱材20を発核させることができるので、蓄熱材20の過冷却状態の解除を簡単に行えるようになる。特に、本実施形態では、一の部材からなる開閉体61を直線方向に沿って進退移動させる簡単な構成の開閉手段60により、蓄熱材20の放熱を効率良く行わせることが可能となる。
また、このような開閉体61の移動に伴う発核動作を利用すれば、複数の連通部16bにおいて同時に蓄熱材20を発核させることができるので、各分割室16aに収容された蓄熱材20の過冷却状態の解除を一の動作で同時に行うことが可能となる。したがって、蓄熱材20の放熱時間を短縮でき、蓄熱を利用した暖機を迅速に行えるようになる。なお、上記のような開閉体61の移動による発核動作だけで各分割室16aに収容された蓄熱材20を十分に発核させることができる場合は、発核装置25の設置を省略することも可能である。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態にかかる車両用暖機システムについて説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項、及び図示する以外の事項については、第1実施形態と同じである。
図13は、第2実施形態の車両用暖機システム1−2の構成例を示す概略図である。この暖機システム1−2が備える蓄熱装置10−2は、第1実施形態の蓄熱装置10が備える作動油流通室17に代えて、エンジン30の潤滑油を流通させる潤滑油流通室14を備えている。また、それに伴い、自動変速機40と蓄熱装置10との間で作動油を循環させていた作動油循環路41に代えて、エンジン30と蓄熱装置10−2との間で潤滑油を循環させる潤滑油循環路36を設けている。なお、潤滑油循環路36には、潤滑油を流通させる潤滑油ポンプ(電動ポンプ)39が設置されている。
この蓄熱装置10−2では、蓄熱材収容室16(仕切部材13)が潤滑油流通室14内に設置されている。したがって、蓄熱材収容室16に収容された蓄熱材20は、潤滑油流通室14を流れる潤滑油からの熱供給で蓄熱される。また、発核装置25による過冷却状態の解除に伴う放熱は、主に潤滑油流通室14を流れる潤滑油に対して供給されるようになる。
〔第3実施形態〕
図14は、第3実施形態の車両用暖機システムが備える蓄熱装置10−3の詳細構成を示す図で、(a)は、分解斜視図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。本実施形態の蓄熱装置10−3は、第1実施形態の蓄熱装置10が備える中間部材12を省略し、筐体11の内部に仕切部材13を設置した二重構造となっている。この蓄熱装置10−3では、筐体11と仕切部材13の間は、エンジン30の冷却水が流通する冷却水流通室15になっており、仕切部材13の内側は、蓄熱材20が密封状態で充填される蓄熱材収容室16になっている。本実施形態でも、蓄熱材収容室16が複数の分割室16aに分割されており、各分割室16aを連通する連通部16bを開閉するための開閉体61が設置されている。なお、本実施形態では、蓄熱材収容室16に収容された蓄熱材20は、冷却水流通室15を流れる冷却水からの熱供給で蓄熱される。また、発核装置25による過冷却状態の解除に伴う放熱は、主に冷却水流通室15を流れる冷却水に対して供給されるようになる。
〔第4実施形態〕
図15は、第4実施形態の車両用暖機システムが備える蓄熱装置10−4の構成を示す概略図である。本実施形態の蓄熱装置10−4は、第1実施形態の蓄熱装置10が備える冷却水流通室15に代えて、エンジン30から排出された排気ガスを流通させる排気ガス流通室18を備えている。図15に示すように、排気ガス流通室18の入口は、エンジン30から出た排気ガスが流れる排気ガス流路34に連通している。また、排気ガス流通室18の出口は、排気ガスを車外に排出するための排気管(図示せず)に連通している。なお、排気ガス流路34には、排気ガスの温度を検出する排気ガス温度センサ34aが設置されている。排気ガス温度センサ34aで検出された排気ガス温度のデータは、ECU50に入力されるようになっている。
排気ガス流通室18は、蓄熱装置10−4の中央を貫通するように配置されており、排気ガス流通室18内における排気ガスが流れる主流路18aの周囲には、蓄熱材20が密封状態で充填される蓄熱材収容室16が配置されている。蓄熱材収容室16は、排気ガス流通室18内を流通する排気ガスの流通方向に沿って互いに隣接して配置された複数の分割室16aに分割されている。本実施形態の蓄熱装置10−4でも、各分割室16aを連通する連通部16bと、該連通部16bを開閉するための開閉体61とが設置されている。また、発核装置25は、一の分割室16aのみに設置されている。
また、主流路18aの内側には、主流路18aと平行に延びるバイパス流路18bが設けられており、蓄熱材収容室16の入口近傍には、主流路18aとバイパス流路18bの間で排気ガスの流通経路を切り替える流路切替弁18cが設置されている。流路切替弁18cは、ECU50の指令で作動するようになっている。なお、本実施形態の蓄熱装置10−4では、作動油流通室17は、蓄熱材収容室16の外側に配置されている。本実施形態では、蓄熱材収容室16に収容された蓄熱材20は、排気ガス流通室18を流通する排気ガスからの熱供給で蓄熱される。また、発核装置25による過冷却状態の解除に伴う放熱は、作動油流通室17を流れる作動油などに対して供給されるようになる。
なお、酢酸ナトリウム水和物などからなる蓄熱材20は、所定温度以上の高温になると変質して、蓄熱作用や放熱作用が衰えてしまう場合がある。しなしながら、エンジン30から排出される排気ガスは、この所定温度以上に上昇する。そのため、高温になった排気ガスの熱を蓄熱材20に伝達すると、蓄熱材20が変質する可能性がある。そこで、本実施形態の蓄熱装置10−5では、排気ガス流通室18を流通する排気ガスが所定温度以上の高温になった場合には、流路切替弁18cを作動させて、排気ガスの流通経路を主流路18aからバイパス流路18bへ切り替えるようにしている。これにより、高温の排気ガスの熱が蓄熱材20に伝達されることを防止でき、蓄熱材20が変質することを回避できる。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、蓄熱装置10(10−2〜10−4)が備える蓄熱材収容室16の具体的な数や形状や配置、すなわち、各分割室16aや連通部16bの具体的な数や形状や配置は一例であり、分割室16aや連通部16bは、上記以外の数や形状や配置とすることも可能である。また、連通部及び開閉手段は、上記各実施形態に示す構成には限定されず、例えば、上記の開閉体61に代えて、各連通部16bの流路を開閉する弁を連通部16bごとに設置するようにしてもよい。
本発明の第1実施形態にかかる車両用暖機システムの構成例を示す概略図である。 電子制御サーモスタット弁の構成例を示す図である。 蓄熱装置の構成例を示す図で、(a)は、分解斜視図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。 開閉手段の動作を説明するための図である。 発核装置の構成例を示す図である。 暖機システムの運転モードのタイムチャートを示すグラフである。 暖機システムの制御手順を示すメインフローである。 運転モード切替手順を説明するためのフローチャートである。 モード0の手順を説明するためのフローチャートである。 モード1の手順を説明するためのフローチャートである。 モード2の手順を説明するためのフローチャートである。 モード3の手順を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2実施形態にかかる車両用暖機システムの構成例を示す概略図である。 本発明の第3実施形態にかかる車両用暖機システムが備える蓄熱装置の構成例を示す図で、(a)は、分解斜視図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。 本発明の第4実施形態にかかる車両用暖機システムが備える蓄熱装置の構成例を示す概略図である。
符号の説明
1 車両用暖機システム
10 蓄熱装置
11 筐体
12 中間部材
13 仕切部材
14 潤滑油流通室(熱伝達媒体流通室)
15 冷却水流通室(熱伝達媒体流通室)
16 蓄熱材収容室(蓄熱要素収容室)
16a 分割室
16b 連通部
17 作動油流通室(熱伝達媒体流通室)
18 排気ガス流通室(熱伝達媒体流通室)
20 蓄熱材(蓄熱要素)
25 発核装置(過冷却解除手段)
30 エンジン(内燃機関)
31 冷却水循環路(熱伝達媒体流路)
34 排気ガス流路(熱伝達媒体流路)
35 ラジエター用循環路
36 潤滑油循環路(熱伝達媒体流路)
37 電子制御サーモスタット弁
38 水温センサ
40 自動変速機
41 作動油循環路(熱伝達媒体流路)
44 車内暖房装置
45 ヒータコア
46 送風ファン
47 ラジエター
51 暖房スイッチ
55 デフロスタスイッチ
56 イグニッションスイッチ(IGスイッチ)
60 開閉手段
61 開閉体(開閉部材)
62 アクチュエータ(移動機構)

Claims (12)

  1. 過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材からなる蓄熱要素と、該蓄熱要素の過冷却状態を解除する過冷却解除手段と、を有してなる蓄熱装置と、
    暖機対象機関と前記蓄熱装置との間で熱伝達媒体を流通させる熱伝達媒体流路と、を備え、
    前記蓄熱装置は、
    前記熱伝達媒体流路からの熱伝達媒体が流通する熱伝達媒体流通室と、前記熱伝達媒体との熱交換が可能な蓄熱要素を収容した蓄熱要素収容室とを有し、
    前記蓄熱要素収容室は、複数の分割室に分割されており、
    前記複数の分割室を連通する連通部と、該連通部の開閉状態を切り替える開閉手段と、を備えることを特徴とする車両用暖機システム。
  2. 前記過冷却解除手段は、前記複数の分割室のうちいずれか一の分割室のみに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用暖機システム。
  3. 前記蓄熱要素の蓄熱時には、前記開閉手段により前記連通部が開かれて前記複数の分割室が連通し、
    前記過冷却解除手段による前記蓄熱要素の過冷却状態の解除時には、前記開閉手段により前記連通部が閉じられて前記蓄熱要素収容室が複数の分割室に分割されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用暖機システム。
  4. 前記開閉手段は、前記連通部に対して移動可能に設置された開閉部材と、該開閉部材を移動させる移動機構と、を備え、
    前記開閉部材の移動により、前記連通部の開閉状態が切り替わることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用暖機システム。
  5. 前記連通部は、複数箇所に設けられており、前記開閉部材は、該複数箇所の連通部に渡って配置された一の部材であることを特徴とする請求項4に記載の車両用暖機システム。
  6. 前記複数箇所の連通部は直線状に配列されており、前記移動機構は、前記開閉部材を前記複数箇所の連通部の配列方向に沿って進退移動させることで、前記複数箇所の連通部の開閉状態を切り替えることを特徴とする請求項5に記載の車両用暖機システム。
  7. 前記開閉部材の移動により、前記蓄熱要素の過冷却状態の解除動作が行われるように構成したことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の車両用暖機システム。
  8. 前記蓄熱要素は、過冷却状態の解除に伴う固相への相変化の後にも所定の流動性を有することを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の車両用暖機システム。
  9. 前記熱伝達媒体は、内燃機関の冷却水であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車両用暖機システム。
  10. 前記熱伝達媒体は、内燃機関の潤滑油であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車両用暖機システム。
  11. 前記熱伝達媒体は、内燃機関から排出される排気ガスであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車両用暖機システム。
  12. 前記熱伝達媒体は、変速機の作動油であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車両用暖機システム。
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