JP2009262601A - 動力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 駆動効率を高められるとともに、小型化および製造コストの削減を図ることができる動力装置を提供する。
【解決手段】 被駆動部DW,DWを駆動するための動力装置1は、動力を出力するための出力軸3aを有し、出力軸3aが、変速装置を用いることなく、被駆動部DW,DWに連結された熱機関3と、トルクを出力するための回転体23を有し、回転体23の回転数を変更可能な回転機21と、互いの間で動力を伝達可能で、かつ、動力の伝達中、回転数に関する共線関係を保ちながら回転するように構成された第1要素S1、第2要素C1、および第3要素R1を有し、第1要素S1が熱機関3の出力軸3aに、第2要素C1が被駆動部DW,DWに、第3要素R1が回転機の回転体23に、それぞれ連結された差動装置PS1と、熱機関3の出力軸3aと被駆動部DW,DWの間を接続・遮断する第1クラッチCL1と、を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被駆動部を駆動するための動力装置に関する。
従来、この種の動力装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この動力装置は、車両用のものであり、駆動源としての内燃機関および回転機と、これらの駆動源からの動力を駆動輪に伝達するための無段変速装置および遊星歯車装置を備えている。この無段変速装置は、プーリを有するベルト式のものであり、内燃機関と駆動輪に連結されており、内燃機関の動力を無段階に変速して駆動輪に伝達する。上記の遊星歯車装置は、サンギヤおよびリングギヤと、両者に噛み合うプラネタリギヤを回転自在に支持するキャリアを有しており、無段変速装置と並列に設けられている。これらのサンギヤ、リングギヤおよびキャリアは、回転機、内燃機関および駆動輪にそれぞれ連結されている。
以上の構成の従来の動力装置では、内燃機関の動力は、無段変速装置および遊星歯車装置の双方を介して、駆動輪に伝達され、その伝達の際、無段変速装置で変速される。この場合、無段変速装置による動力の伝達効率が、そのプーリの有効径の条件などに応じて低いと推定されるときには、回転機からサンギヤに伝達されるトルクを制御することにより、内燃機関から駆動輪に、リングギヤおよびキャリアを介して伝達されるトルクを増大させる。これにより、無段変速装置を介して伝達されるトルクを低減することによって、駆動輪への内燃機関の動力の伝達効率を高めるようにしている。
しかし、この従来の動力装置では、内燃機関から無段変速装置を介して駆動輪に伝達されるトルクを低減するにすぎず、内燃機関のトルクの一部が、伝達効率の低い無段変速装置を介して伝達されるので、動力装置全体として、十分に高い駆動効率を得ることができない。また、無段変速装置は、内燃機関の動力を変速して駆動輪に伝達する上で必要な構成要素であり、この無段変速装置の分、動力装置の大型化や製造コストの増大を招いてしまう。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、駆動効率を高められるとともに、小型化および製造コストの削減を図ることができる動力装置を提供することを目的とする。
特開2006−327570号公報
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、被駆動部(実施形態における(以下、本項において同じ)駆動輪DW,DW)を駆動するための動力装置1、1Aであって、動力を出力するための出力軸(クランク軸3a)を有し、出力軸が、変速装置を用いることなく、被駆動部に連結された熱機関(エンジン3)と、トルクを出力するための回転体(ロータ23)を有し、回転体の回転数を変更可能な回転機21と、互いの間で動力を伝達可能で、かつ、動力の伝達中、回転数に関する共線関係を保ちながら回転するように構成された第1要素(第1サンギヤS1、第1キャリアC1)、第2要素(第1キャリアC1、第1サンギヤS1)および第3要素(第1リングギヤR1)を有し、第1要素が熱機関の出力軸に連結され、第2要素が被駆動部に連結され、第3要素が回転機の回転体に連結された差動装置(第1遊星歯車装置PS1)と、熱機関の出力軸と被駆動部の間を接続・遮断する第1クラッチCL1と、を備えることを特徴とする。
この動力装置によれば、熱機関の出力軸が、変速装置を用いることなく、被駆動部に連結されており、差動装置の第1要素が熱機関の出力軸に、第2要素が被駆動部に、第3要素が回転機の回転体に連結されている。なお、本明細書において、変速装置とは、入力された動力を互いに異なる複数の変速比の1つで変速可能なものをいう。また、第2要素が被駆動部に連結された状態で、第1クラッチによって、熱機関の出力軸と被駆動部の間が接続・遮断される。このように熱機関の出力軸が変速装置を用いることなく被駆動部に連結されているので、熱機関から被駆動部への動力の伝達を、変速装置における動力の伝達ロスを発生させずに行うことができ、熱機関による被駆動部の駆動効率を高めることができる。
また、本発明によれば、例えば、熱機関から被駆動部に伝達される動力を、無段変速装置を用いることなく、無段階に変速することができる。具体的には、第1クラッチにより熱機関の出力軸と被駆動部の間を遮断するとともに、回転機の回転体にトルクを出力する。これにより、熱機関の動力が、第3要素に作用する回転機のトルクを反力として、第1および第2の要素を介して被駆動部に伝達される。この場合、第1〜第3の要素が回転数に関する共線関係を保ちながら回転するため、回転体の回転数の制御により、第3要素の回転数を制御することによって、熱機関の出力軸が連結された第1要素の回転数に対し、被駆動部が連結された第2要素の回転数を無段階に任意に制御でき、それにより、熱機関から被駆動部に伝達される動力を、無段階に変速することができる。
したがって、熱機関の動力を変速し、被駆動部に伝達するために通常用いられているような無段変速装置や有段変速装置は不要であり、この変速装置の分、動力装置の小型化や製造コストの削減を図ることができる。また、同じ理由により、第2要素を、変速装置を用いることなく、被駆動部に連結することが可能である。これにより、上記のように第1および第2の要素を介して熱機関の動力を被駆動部に伝達する場合にも、変速装置における動力の伝達ロスが発生することがなく、熱機関による被駆動部の駆動効率を高めることができる。
また、第3要素に作用する回転機のトルクを制御することによって、熱機関から第1および第2の要素を介して被駆動部に伝達されるトルクを漸増させられるので、熱機関が内燃機関であり、かつ、被駆動部のフリクションが極めて大きい場合でも、エンジンストールを発生させることなく、停止中の被駆動部を駆動できるため、熱機関の出力軸と被駆動部の間の連結を、摩擦式の発進クラッチを用いずに行うことが可能になる。このような摩擦式の発進クラッチは、その作動に必要なエネルギが非常に大きく、その駆動源として熱機関を用いた場合には、熱機関の燃費が悪化する。したがって、本発明によれば、そのような場合と比較して、熱機関の燃費を向上させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の動力装置1において、差動装置は、第1および第3の要素の一方を構成する第1サンギヤS1と、第1および第3の要素の他方を構成する第1リングギヤR1と、第2要素を構成し、第1サンギヤS1および第1リングギヤR1に噛み合う第1プラネタリギヤP1を回転自在に支持する第1キャリアC1とを有する第1遊星歯車装置PS1であることを特徴とする。
この構成によれば、熱機関の出力軸に連結された第1要素および回転機の回転体に連結された第3要素の一方が第1サンギヤで、他方が第1リングギヤで、被駆動部に連結された第2要素が第1キャリアで、それぞれ構成されている。したがって、請求項1の作用で述べたように、第1クラッチにより熱機関の出力軸と被駆動部の間を遮断するとともに、熱機関の動力を、第1および第2の要素を介して被駆動部に伝達する場合に、第1サンギヤおよび第1リングギヤの一方に伝達された熱機関のトルクと、他方に伝達された回転機のトルクとをいずれも、第1キャリアにおいて正のトルクとして合成し、被駆動部に伝達することができる。したがって、より大きなトルクを被駆動部に伝達することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の動力装置1、1Aにおいて、熱機関の出力軸の逆転を阻止または制限するためのブレーキ機構(ワンウェイクラッチOWC、ケースCA)をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、ブレーキ機構により、熱機関の出力軸の逆転が阻止または制限される。このため、第1クラッチにより熱機関の出力軸と被駆動部の間を遮断するとともに、熱機関の出力軸に連結された第1要素の一方向への回転を、ブレーキ機構で阻止または制限することによって、回転機から第3要素に伝達されたトルクを、第1要素を支点として第2要素に伝達し、さらに被駆動部に伝達することができる。したがって、熱機関の出力軸の逆転を制限または阻止しながら、被駆動部を回転機の動力で適切に駆動することができる。また、このような回転機の動力を用いた被駆動部の駆動中、第1クラッチによる熱機関の出力軸と被駆動部の間の遮断によって、熱機関を引きずることがないので、その高い駆動効率を得ることができる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の動力装置1、1Aにおいて、第2要素を回転不能に保持するためのロック機構(第2クラッチCL2、電磁ブレーキBL)をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、被駆動部に連結された第2要素をロック機構で回転不能に保持し、第1クラッチにより熱機関の出力軸と被駆動部の間を遮断するとともに、回転機から第3要素に動力を伝達することによって、被駆動部を駆動することなく、第3要素に伝達された動力を、第2要素を支点とし、第1要素を介して熱機関の出力軸に伝達することができる。また、この場合、回転機の回転体の回転方向を制御することによって、熱機関の出力軸を正転させることができる。以上のように、被駆動部を駆動することなく、熱機関の出力軸を正転させることができ、ひいては、熱機関が内燃機関である場合に、内燃機関を始動することができる。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の動力装置1、1Aにおいて、第2要素から伝達された動力によって回転する被駆動部の回転方向を、正転方向および逆転方向の一方に選択的に切り換える正逆転切換機構13をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、第1クラッチにより熱機関の出力軸と被駆動部の間を遮断した状態で、熱機関や回転機の動力を、第2要素を介して被駆動部に伝達する際に、正逆転切換機構により被駆動部の回転方向を切り換えることによって、被駆動部の正転および逆転を選択的に行うことができる。この場合、請求項1の作用から明らかなように、熱機関が内燃機関であり、かつ、被駆動部のフリクションが極めて大きい場合でも、摩擦式の発進クラッチを用いることなく、熱機関の動力を第1および第2の要素を介して被駆動部に伝達し、エンジンストールを発生させずに、停止状態の被駆動部を正転・逆転させることができる。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の動力装置1、1Aにおいて、第2要素は、正逆転切換機構13を介して被駆動部に連結されており、正逆転切換機構13は、第2サンギヤS2、第2リングギヤR2、ならびに第2サンギヤS2および第2リングギヤR2に噛み合う第2プラネタリギヤP2を回転自在に支持する第2キャリアC2を有し、第2サンギヤS2および第2リングギヤR2の一方が、第2要素に連結され、第2サンギヤS2および第2リングギヤR2の他方が、被駆動部に連結された第2遊星歯車装置PS2と、第2サンギヤS2および第2リングギヤR2の一方と第2キャリアC2の間を接続・遮断する第2クラッチCL2と、第2キャリアC2を回転不能に保持するためのキャリアロック機構(電磁ブレーキBL)とを有することを特徴とする。
この構成によれば、第2要素が正逆転切換機構を介して被駆動部に連結されており、正逆転切換機構は第2遊星歯車装置を有している。また、この第2遊星歯車装置の第2サンギヤおよび第2リングギヤの一方(以下「一方のギヤ」という)が第2要素に連結され、第2サンギヤおよび第2リングギヤの他方(以下「他方のギヤ」という)が被駆動部に連結されている。さらに、一方のギヤと第2キャリアの間が、第2クラッチによって接続・遮断され、第2キャリアが、キャリアロック機構によって回転不能に保持される。このため、第2要素からの動力を、正逆転切換機構を介して被駆動部に伝達する場合に、一方のギヤと第2キャリアの間を第2クラッチにより接続するとともに、キャリアロック機構により第2キャリアの回転を許容することによって、一方のギヤ、第2キャリアおよび他方のギヤが、同じ回転方向に一体に回転する。したがって、この場合において被駆動部が正転または逆転するように各要素を連結することによって、被駆動部を正転または逆転させることができる。また、上記のように一方のギヤ、第2キャリアおよび他方のギヤが一体に回転するので、第2遊星歯車装置において、ギヤの噛み合いによる動力の伝達ロスを発生させることなく、第2要素からの動力を被駆動部に伝達することができる。
また、一方のギヤと第2キャリアの間を第2クラッチにより遮断するとともに、キャリアロック機構により第2キャリアを回転不能に保持することによって、第2要素からの動力は、一方のギヤ、第2プラネタリギヤ、および他方のギヤを介して、被駆動部に伝達される。その際、上記のように第2キャリアが回転不能に保持されるため、他方のギヤは、一方のギヤに対して逆方向に回転する。したがって、前述したように、一方のギヤ、第2キャリアおよび他方のギヤが同方向に一体に回転する場合において、被駆動部が正転または逆転するように各要素を連結したときには、上記のように他方のギヤが一方のギヤに対して逆方向に回転するので、被駆動部を逆転または正転させることができる。以上のように、正逆転切換機構を、第2遊星歯車装置、第2クラッチおよびキャリアロック機構の組み合わせによって、比較的単純に構成することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、実施形態を説明するための図面では、断面を示す部分のハッチングを適宜、省略している。図1は、本発明の第1実施形態による動力装置1を概略的に示している。この動力装置1は、車両(図示せず)の左右の駆動輪DW,DW(被駆動部)を駆動するためのものであり、駆動源としての内燃機関3(熱機関)および回転機21と、駆動輪DW,DWに駆動力を伝達するための第1遊星歯車装置PS1(差動装置)、第1伝達経路PT1、第2伝達経路PT2、差動ギヤ機構8、および駆動軸9,9とを備えている。
内燃機関(以下「エンジン」という)3は、例えばガソリンエンジンであり、その吸気管には、スロットル弁(いずれも図示せず)が設けられている。このスロットル弁の開度(以下「スロットル弁開度」という)は、後述するECU2によって制御され、それにより、エンジン3に吸入される吸入空気量が制御される。
上記の第1遊星歯車装置PS1は、第1サンギヤS1と、第1サンギヤS1の外周に設けられた第1リングギヤR1と、両ギヤS1,R1に噛み合う複数(例えば3つ)の第1プラネタリギヤP1(2つのみ図示)と、これらの第1プラネタリギヤP1を回転自在に支持する第1キャリアC1を有している。周知のように、これらの第1サンギヤS1、第1リングギヤR1および第1キャリアC1は、互いの間で動力を伝達可能で、当該動力の伝達中、回転数に関する共線関係を保ちながら回転する。以下、第1サンギヤS1、第1リングギヤR1および第1キャリアC1を総称して、「第1遊星歯車装置PS1の三要素」という。
上記の第1伝達経路PT1は、互いに平行に配置された第1回転軸4および第1アイドラ軸6を有している。この第1回転軸4は、その一端部が、フライホイール5を介してエンジン3のクランク軸3a(出力軸)に連結されており、軸受け4aにより回転自在に支持されている。また、第1回転軸4には、上述した第1サンギヤS1とギヤ4bが一体に設けられている。このように、第1サンギヤS1は、第1回転軸4およびフライホイール5を介して、クランク軸3aに常に一体に連結されている。
上記の第1アイドラ軸6は、軸受け6aに回転自在に支持されるとともに、第1クラッチCL1を介して、第2アイドラ軸7に連結されている。この第2アイドラ軸7は、軸受け7aに回転自在に支持されている。また、第1アイドラ軸6には、ギヤ6bが一体に設けられており、このギヤ6bは、上述した第1回転軸4のギヤ4bに噛み合っている。これらのギヤ4b,6bのギヤ比は、例えば1:1に設定されている。上記の第1クラッチCL1は、エンジン3を駆動源とするドグ歯式のものであり、入力部および出力部を有しており、これらの入力部および出力部が、第1アイドラ軸6および第2アイドラ軸7にそれぞれ連結されている。また、第1クラッチCL1は、ECU2により制御されることによって、第1アイドラ軸6と第2アイドラ軸7の間を接続・遮断する。さらに、第2アイドラ軸7には、第1ギヤ7bおよび第2ギヤ7cが一体に設けられており、この第1ギヤ7bは、差動ギヤ機構8のギヤ8aに噛み合っている。差動ギヤ機構8は、駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに連結されている。
以上の構成により、第1クラッチCL1によって第1アイドラ軸6と第2アイドラ軸7の間が接続されると、エンジン3のクランク軸3aは、第1伝達経路PT1(第1回転軸4、第1アイドラ軸6)、第1クラッチCL1、第2アイドラ軸7、第1ギヤ7b、ギヤ8a、差動ギヤ機構8、および駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに連結される。このように、クランク軸3aは、変速装置を用いることなく、駆動輪DW,DWに連結される。また、第1クラッチCL1が遮断されると、第1伝達経路PT1を介した、クランク軸3aおよびこれと一体の第1サンギヤS1と駆動輪DW,DWとの連結が解かれる。
また、上記の第1回転軸4には、ワンウェイクラッチOWC(ブレーキ機構)が設けられている。ワンウェイクラッチOWCは、第1回転軸4が連結されたクランク軸3aに逆転させるような動力が作用したときには、第1回転軸4と回転不能に構成されたケースCA(ブレーキ機構)との間を接続するとともに、クランク軸3aに正転させるような動力が作用したときには、第1回転軸4とケースCAの間を遮断するように構成されている。すなわち、ワンウェイクラッチOWCおよびケースCAによって、クランク軸3aが正転する場合にのみ、クランク軸3aおよび第1回転軸4の回転が許容され、クランク軸3aが第1回転軸4とともに逆転するのが、阻止される。
前記第2伝達経路PT2は、上述した第1伝達経路PT1と並列に設けられており、第2回転軸11、第3回転軸12、および、両者11,12に連結された正逆転切換機構13を有している。この第2回転軸11は、中空に形成され、軸受け11aに回転自在に支持されている。また、第2回転軸11には、前述した第1遊星歯車装置PS1の第1キャリアC1が一体に設けられており、第2回転軸11の内側には、第1回転軸4が回転自在に嵌合している。
上記の第3回転軸12は、中空に形成され、軸受け12aに回転自在に支持されるとともに、第2回転軸11と同心状に配置されており、第3回転軸12の内側には、第1回転軸4が回転自在に嵌合している。また、第3回転軸12には、ギヤ12bが一体に設けられており、このギヤ12bは、前述した第2アイドラ軸7の第2ギヤ7cに噛み合っている。これらのギヤ12bおよび第2ギヤ7cのギヤ比は、前述したギヤ4b,6bのギヤ比と異なり、例えば1:1.5に設定されている。
以上のように、第1キャリアC1は、第2回転軸11、正逆転切換機構13、第3回転軸12、ギヤ12b、第2ギヤ7c、第2アイドラ軸7、第1ギヤ7b、ギヤ8a、差動ギヤ機構8、および駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに連結されている。すなわち、第1キャリアC1と駆動輪DW,DWの間には、変速装置は設けられておらず、第1キャリアC1は、変速装置を用いることなく、駆動輪DW,DWに連結されている。
上記の正逆転切換機構13は、第1キャリアC1から第2伝達経路PT2を介して動力が伝達されることにより回転する駆動輪DW,DWの回転方向を、正転方向または逆転方向に選択的に切り換えるものであり、第2遊星歯車装置PS2、第2クラッチCL2および電磁ブレーキBLなどで構成されている。この第2遊星歯車装置PS2は、第1遊星歯車装置PS1と同様に構成されており、第2サンギヤS2と、この第2サンギヤS2の外周に設けられた第2リングギヤR2と、両ギヤS2,R2に噛み合う複数(例えば3つ)の第2プラネタリギヤP2(2つのみ図示)と、これらの第2プラネタリギヤP2を回転自在に支持する第2キャリアC2を有している。これらの第2サンギヤS2および第2リングギヤR2は、第2および第3の回転軸11,12にそれぞれ連結されている。
上記の第2クラッチCL2は、例えば電磁クラッチであり、その締結度合がECU2により制御されることによって、第2キャリアC2と第2回転軸11の間、すなわち、第2キャリアC2と第2サンギヤS2の間を接続・遮断する。電磁ブレーキBLは、ECU2によりONまたはOFFされ、ON状態のときに、第2キャリアC2を回転不能に保持するとともに、OFF状態のときに、第2キャリアC2の回転を許容する。
以上の構成により、正逆転切換機構13では、第2クラッチCL2の接続により第2キャリアC2と第2サンギヤS2の間を接続するとともに、電磁ブレーキBLをOFF状態に制御することにより第2キャリアC2の回転を許容することによって、第2サンギヤS2に伝達された動力は、第2プラネタリギヤP2を介して、第2リングギヤR2に伝達され、第2サンギヤS2、第2キャリアC2および第2リングギヤR2が一体に同方向に回転する。すなわち、この場合(第2クラッチCL2:接続、電磁ブレーキBL:OFF)には、第1キャリアC1から第2サンギヤS2に伝達された動力は、その回転方向が変更されずに、第2リングギヤR2を介して第3回転軸12に伝達され、さらに、第2アイドラ軸8や差動ギヤ機構8を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。これにより、駆動輪DW,DWは、第1キャリアC1がクランク軸3aの正転方向と同方向に回転しているときには正転し、車両が前進する。
以下、上記のように、第2クラッチCL2の接続と電磁ブレーキBLのOFF制御によって、第1キャリアC1からの動力を、その回転方向を変更せずに動輪DW,DWに伝達する正逆転切換機構13の動作モードを、「正転モード」という。
また、正逆転切換機構13では、第2クラッチCL2で第2キャリアC2と第2サンギヤS2の間を遮断するとともに、電磁ブレーキBLで第2キャリアC2を回転不能に保持することによって、第2サンギヤS2に伝達された動力は、第2プラネタリギヤP2を介して、第2リングギヤR2に伝達され、第2キャリアC2が回転不能に保持されているため、第2リングギヤR2は、第2サンギヤS2の回転方向と逆方向に回転する。すなわち、この場合(第2クラッチCL2:遮断、電磁ブレーキBL:ON)には、第1キャリアC1から第2サンギヤS2に伝達された動力は、その回転方向が逆方向に変更された状態で、第2リングギヤR2や第3回転軸12を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。これにより、駆動輪DW,DWは、第1キャリアC1がクランク軸3aの正転方向と同方向に回転しているときには逆転し、車両が後進する。この場合、第2遊星歯車装置PS2の特性から明らかなように、第2リングギヤR2には、第2サンギヤS2に伝達されたトルクが増大した状態で伝達される。
以下、上記のように、第2クラッチCL2の遮断と電磁ブレーキBLのON制御によって、第1キャリアC1からの動力を、その回転方向を逆方向に変更した状態で駆動輪DW,DWに伝達する正逆転切換機構13の動作モードを、「逆転モード」という。
さらに、第2クラッチCL2および電磁ブレーキBLは、第1キャリアC1を回転不能に保持するためのロック機構としても機能する。具体的には、第2クラッチCL2を接続するとともに、電磁ブレーキBLをON状態に制御する。第1キャリアC1は、この第2クラッチCL2の接続によって、第2サンギヤS2を介して第2キャリアC2に連結されるとともに、この電磁ブレーキBLのON制御によって、第2キャリアC2とともに回転不能に保持される。
前記回転機21は、ブラシレスDCモータであり、第1遊星歯車装置PS1に一体に設けられている。回転機21は、回転磁界を発生させるためのステータ22と、このステータ22に対向するように配置されたロータ23(回転体)とを有している。ステータ22は、鉄芯やコイルなどで構成されており、ケースCAに固定されている。また、ステータ22には、パワードライブユニット(以下「PDU」という)31を介して、バッテリ32が接続されている。このPDU31は、インバータなどの電気回路で構成されており、ECU2に接続されている(図2参照)。上記のロータ23は、複数の永久磁石などで構成されており、第1遊星歯車装置PS1の第1リングギヤR1の外周面に取り付けられている。これにより、ロータ23は、第1リングギヤR1と一体に回転自在になっている。
以上の構成の回転機21では、ECU2によるPDU31の制御により、バッテリ32の電力がステータ22に供給されると、ステータ22で回転磁界が発生し、それに伴い、供給された電力が動力に変換され、ロータ23に出力される。ECU2は、ステータ22に供給される電流の大きさおよび周波数を制御することによって、ロータ23のトルクおよび回転数(以下、それぞれ「力行トルク」「回転機回転数NM」という)をそれぞれ制御する。以下、バッテリ32からステータ22への電力供給によりロータ23から動力を出力することを、「力行運転」という。また、ステータ22への電力供給を停止した状態で、外力によりロータ23が回転している場合に、ECU2によりPDU31を制御することによって、ステータ22において、誘導起電圧が発生し、発電が行われる。それに伴い、ロータ23には、発電した電力量に応じた制動トルク(以下「発電制動トルク」という)が出力される。
また、図2に示すように、ECU2には、クランク角センサ41、回転角センサ42および電流電圧センサ43が接続されている。このクランク角センサ41は、クランク軸3aのクランク角度位置を検出し、その検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このクランク角度位置に基づいて、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、上記の回転角センサ42は、回転機21のステータ22に対するロータ23の回転角度位置を検出し、その検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この検出信号に基づいて、上述した回転機回転数NMを算出する。さらに、上記の電流電圧センサ43は、バッテリ32に入出力される電流・電圧値を検出し、その検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この検出信号に基づいて、バッテリ32の充電状態を算出する。
さらに、ECU2には、アクセル開度センサ44から車両のアクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度APを表す検出信号が、回転数センサ45から駆動輪DW,DWの回転数(以下「駆動輪回転数」という)NDWを表す検出信号が、それぞれ出力される。
ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどからなるマイクロコンピュータで構成されており、上述した各種のセンサ41〜45からの検出信号に応じ、エンジン3や回転機21の動作を制御する。
なお、本実施形態では、第1サンギヤS1が本発明における第1要素に、第1キャリアC1が本発明における第2要素に、第1リングギヤR1が本発明における第3要素に、それぞれ相当する。また、第2クラッチCL2および電磁ブレーキBLが、本発明におけるロック機構に、電磁ブレーキBLが本発明におけるキャリアロック機構に、それぞれ相当する。
次に、ECU2による制御によって行われる動力装置1の動作について説明する。この動力装置1の動作モードには、EV発進、EV走行中ENG始動、停車中ENG始動、ENG発進、ENG走行、および減速回生が含まれる。以下、これらの動作について、EV発進から順に説明する。以下、動力装置1のすべての回転要素について、エンジン3のクランク軸3aの正転方向と同方向に回転することを「正転」といい、逆転方向と同方向に回転することを「逆転」という。
・EV発進
このEV発進は、エンジン3を停止した状態で、回転機21のみを駆動源として用いて、車両を発進させる動作モードであり、EV発進には、車両を前方に発進させる場合と後方に発進させる場合が含まれる。まず、前方に発進させる場合について説明する。この場合、第1クラッチCL1を遮断することによって、前述した第1伝達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWとの連結を解く。また、正逆転切換機構13の動作モードを正転モードに設定する。すなわち、第2クラッチCL2を接続するとともに、電磁ブレーキBLをOFF状態に制御する。さらに、回転機21において力行運転を行うとともに、ロータ23を第1リングギヤR1とともに正転させる。
この場合、前述したワンウェイクラッチOWCによって、第1サンギヤS1がクランク軸3aとともに逆転するのが阻止されているため、ロータ23から第1リングギヤR1に伝達された動力は、第1サンギヤS1を支点として、第1プラネタリギヤP1を介して第1キャリアC1に伝達され、それにより、第1キャリアC1が正転する。また、第1キャリアC1から第2回転軸11に伝達された動力は、正逆転切換機構13が正転モードに設定されていることによって、その回転方向が正逆転切換機構13において変更されずに、第3回転軸12や差動ギヤ機構8を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが正転し、ひいては、車両が前方に発進する。この場合、正逆転切換機構13では、前述したように、第2サンギヤS2、第2キャリアC2および第2リングギヤR2が一体に正転する。
一方、EV発進において、車両を後方に発進させる場合には、前方に発進させる場合と同様に第1クラッチCL1を遮断し、前方に発進させる場合と異なり、正逆転切換機構13の動作モードを逆転モードに設定する。すなわち、第2クラッチCL2を遮断するとともに、電磁ブレーキBLをON状態に制御する。また、回転機21において力行運転を行うとともに、ロータ23を正転させる。これにより、上述したように回転機21から第1キャリアC1を介して第2回転軸11に伝達された動力は、正逆転切換機構13が逆転モードに設定されていることによって、その回転方向が正逆転切換機構13において逆方向に変更された後、第3回転軸12や差動ギヤ機構8を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが逆転し、ひいては、車両が後方に発進する。
・EV走行中ENG始動
このEV走行中ENG始動は、上述したEV発進による車両の走行中に、エンジン3を始動する動作モードであり、次のようにして行われる。すなわち、ステータ22への電力供給を停止し、車両を惰性で走行させる。その状態で、スタータ(図示せず)によってクランク軸3aを正転させるとともに、燃料噴射弁などを制御することによって、エンジン3を始動する。
・停車中ENG始動
この停車中ENG始動は、車両の停止中に、回転機21を用いて、エンジン3を始動する動作モードであり、次のようにして行われる。すなわち、第1クラッチCL1を遮断することによって、第1伝達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWとの連結を解く。また、第2クラッチCL2を接続するとともに、電磁ブレーキBLをON状態に制御することによって、第1キャリアC1を回転不能に保持する。さらに、回転機21において力行運転を行うとともに、ロータ23を第1リングギヤR1とともに逆転させる。
以上により、ロータ23から第1リングギヤR1に伝達された動力は、第1プラネタリギヤP1を介して、第1サンギヤS1に伝達される。この場合、上述したように、ロータ23および第1リングギヤR1を逆転させることと、第1キャリアC1が回転不能に保持されていることから、第1サンギヤS1は、クランク軸3aとともに正転する。その状態で、エンジン3の燃料噴射弁や点火プラグの点火動作を制御することによって、エンジン3が始動される。この停車中ENG始動時、回転機回転数NMは、算出されたエンジン回転数NEがその始動に適した所定の始動時用回転数になるように制御される。
・ENG発進
このENG発進は、エンジン3の動力を用いて、車両を発進させる動作モードであり、ENG発進には、EV発進と同様、車両を前方に発進させる場合と後方に発進させる場合が含まれる。まず、前方に発進させる場合について説明する。
この場合、前述したEV発進と同様、第1クラッチCL1を遮断することにより、第1伝達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWとの連結を解くとともに、正逆転切換機構13の動作モードを正転モードに設定する(第2クラッチCL2:接続、電磁ブレーキBL:OFF)。この場合、エンジン3の動力が伝達されることによって、第1サンギヤS1がクランク軸3aとともに正転するのに対し、車両のフリクションが回転機21のそれよりも非常に大きいため、第1キャリアC1および駆動輪DW,DWは停止状態になるとともに、第1リングギヤR1は、エンジン3の動力が第1サンギヤS1および第1プラネタリギヤP1を介して伝達されることにより、ロータ23とともに逆転する。このため、この状態における第1遊星歯車装置PS1の三要素の回転数、エンジン回転数NE、駆動輪回転数NDW、および回転機回転数NMの関係は、例えば図3(a)のように示される。
なお、同図は、いわゆる速度共線図であり、この速度共線図および後述する他の速度共線図では、値0を示す横線に交わる縦線は、各パラメータの回転数を表すためのものであり、この縦線上に表される白丸と横線との隔たりが、各パラメータの回転数に相当する。また、図3(a)では、第1ギヤ7bやギヤ8aによる変速はないものとして、駆動輪回転数NDWが第1キャリアC1の回転数と等しいとみなされる状態を描いている。以上のことは、後述する他の速度共線図についても同様である。
図3(a)に示すように第1リングギヤR1がロータ23とともに逆転している状態から、ロータ23に伝達されるエンジン3の動力を用いて、回転機21で発電を行い、発電した電力をバッテリ32に充電するとともに、回転機回転数NMを値0になるように制御する。この発電に伴い、ロータ23から第1リングギヤR1に、発電した電力量に応じた発電制動トルクが作用する。この発電制動トルクを反力として、エンジン3のトルク(以下「エンジントルク」という)が、第1サンギヤS1および第1プラネタリギヤP1を介して、第1キャリアC1に伝達され、第1キャリアC1が正転する。第1キャリアC1に伝達されたトルクは、動作モードが上述したように正転モードに設定された正逆転切換機構13や、差動ギヤ機構8を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。以上のように、第1遊星歯車装置PS1において、発電制動トルクとエンジントルクがいずれも正のトルクとして合成された後、駆動輪DW,DWに伝達される。
以上の結果、図3(b)に示すように、駆動輪回転数NDWが値0から上昇し、すなわち、駆動輪DW,DWが正転し、車両が前方に発進する。この場合における発電制動トルクとエンジントルクのトルク合成比は、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1のギヤ比で定まる。また、ENG発進時、回転機21で発電する電力量は、漸増するように制御される。これにより、上述したように第1リングギヤR1に作用する発電制動トルクが漸増することによって、第1サンギヤS1や第1キャリアC1を介して駆動輪DW,DWに伝達されるエンジントルクが漸増する。したがって、エンジンストールを発生させることなく、車両を前方に発進させることができる。
さらに、上述した回転機21の制御により回転機回転数NMが値0になった後には、第1クラッチCL1および正逆転切換機構13の制御はそのまま(第1クラッチCL1:遮断、正逆転切換機構13の動作モード:正転モード)で、回転機21において力行運転を行うとともに、ロータ23を正転させる。これにより、第1遊星歯車装置PS1において、エンジントルクとロータ23からの力行トルクとがいずれも正のトルクとして合成された後、第2伝達経路PT2などを介して、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが正転し、車両が引き続き前進する。この場合、回転機回転数NMは、そのときのエンジン回転数NEと、算出された駆動輪回転数NDWに応じて制御され、力行トルクは、エンジントルクと釣り合うように制御される。
一方、ENG発進において、車両を後方に発進させる場合の制御は、前方に発進させる場合と比較して、正逆転切換機構13の動作モードを逆転モードに設定する点のみが異なっている。これにより、上述したように第1キャリアC1に伝達された発電制動トルクとエンジントルクとの合成トルク(動力)は、動作モードが逆転モードに設定された正逆転切換機構13などを介して、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが逆転し、ひいては、車両が後方に発進する。
また、この場合にも、回転機21で発電する電力量は、漸増するように制御される。これにより、第1サンギヤS1や第1キャリアC1を介して駆動輪DW,DWに伝達されるエンジントルクが漸増する。したがって、エンジンストールを発生させることなく、車両を後方に発進させることができる。
・ENG走行
このENG走行は、前述したEV走行中ENG始動後やENG発進後における車両の前進走行中に、エンジン3の動力を用いて車両を引き続き前進させる動作モードである。また、ENG走行には、エンジン3の動力を駆動輪DW,DWに伝達するための伝達モードとして、第1伝達モードおよび第2伝達モードが含まれる。まず、第1伝達モードについて説明する。
この第1伝達モードは、後述する駆動輪回転数NDWに関する所定の条件が成立していないときに選択され、第2伝達モードは、この所定の条件が成立しているときに選択される。また、第1伝達モード中には、上述したENG発進時と同様、第1クラッチCL1を遮断し、正逆転切換機構13の動作モードを正転モードに設定するとともに、回転機21の動作を制御することによって、エンジントルク(動力)を、第1遊星歯車装置PS1や第2伝達経路PT2を介して駆動輪DW,DWに伝達する。この場合、エンジン回転数NE、駆動輪回転数NDW、および第1サンギヤS1と第1リングギヤR1のギヤ比の関係によって定まるロータ23の回転方向が逆転方向であるときには、回転機21において発電が行われ、正転方向であるときには、力行運転が行われる。これにより、ENG発進の場合と同様、発電時にはエンジントルクと発電制動トルクが、力行運転時にはエンジントルクと力行トルクが、いずれも正のトルクとして合成された後、第2伝達経路PT2などを介して、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが正転し、車両が引き続き前進する。
また、第1伝達モード中、エンジン3から駆動輪DW,DWに伝達される動力が、回転機回転数NMを制御することによって無段階に変速される。すなわち、第1遊星歯車装置PS1および回転機21が無段変速装置として機能する。以下、この点について説明する。
第1伝達モード中、第1遊星歯車装置PS1の三要素、エンジン回転数NE、駆動輪回転数NDW、および回転機回転数NMの関係は、例えば図4や図5のように示される。図4に示すように、ロータ23が正転しているときには、駆動輪DW,DWに伝達される動力は、同図に示す中抜きの矢印から明らかなように、回転機回転数NMを上昇させることによって増速側に、低下させることによって減速側に、それぞれ無段階に変速される。
また、図5に示すように、ロータ23が逆転しているときには、駆動輪DW,DWに伝達される動力は、同図に示す中抜きの矢印から明らかなように、回転機回転数NMを上昇させることによって減速側に、低下させることによって増速側に、それぞれ無段階に変速される。この場合、基本的には、回転機回転数NMは値0近傍に制御され、それにより、変速をある程度行いながら、バッテリ32における電力の入出力が抑制される。
さらに、第1伝達モード中、要求トルクが極めて大きくなり、車両を急加速させる場合には、スロットル弁開度などの制御により、エンジン回転数NEを急上昇させ、エンジントルクを急増させる。また、エンジン回転数NEおよび駆動輪回転数NDWの関係によって定まるロータ23の回転方向が、正転方向であるとき(図4参照)には、回転機21において力行運転を行い、逆転方向であるとき(図5参照)には、回転機21において発電を行う。これにより、第1遊星歯車装置PS1において、エンジントルクと力行トルク(または発電制動トルク)がいずれも、正のトルクとして合成された後、駆動輪DW,DWに伝達され、車両が急加速する。
上記のように、車両の急加速時、第1伝達モードを選択し、第1クラッチCL1により、第1伝達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWとの連結を解くことによって、エンジン回転数NEをそのときの駆動輪回転数NDWとは無関係に上昇させることができ、エンジントルクを急増させることができる。また、そのようなエンジントルクと力行トルク(または発電制動トルク)とがいずれも、正のトルクとして合成され、駆動輪DW,DWに伝達されるので、より大きなトルクを駆動輪DW,DWに伝達できる。したがって、車両を速やかに加速させることができ、その商品性を高めることができる。
さらに、第1伝達モード中における車両の登坂走行時には、算出されたバッテリ32の充電状態に応じて、エンジン回転数NEおよび回転機21の動作を制御する。具体的には、充電状態が第1所定値よりも大きく、バッテリ32の電力が十分に残っているときには、エンジン回転数NEを、駆動輪回転数NDWに応じ、ロータ23が正転するように制御し、回転機21において力行運転を行うとともに、ロータ23を正転させる。これにより、エンジントルクと力行トルクの合成トルクが駆動輪DW,DWに伝達され、その結果、駆動輪DW,DWが正転し、車両が引き続き前進する。
一方、車両の登坂走行中、充電状態が第1所定値を下回ったときには、エンジン回転数NEを、駆動輪回転数NDWに応じ、ロータ23が逆転するように制御するとともに、回転機21において発電を行い、発電した電力をバッテリ32に充電する。これにより、エンジントルクと発電制動トルクの合成トルクが駆動輪DW,DWに伝達され、その結果、駆動輪DW,DWが正転し、車両が引き続き前進する。なお、このバッテリ32の充電は、充電状態が第1所定値よりも大きな第2所定値に達するまで行われる。以上により、バッテリ32の過放電および過充電を防止しながら、登坂走行を継続して行うことができる。
また、第1伝達モード中、車両が定速走行状態になり、かつ、駆動輪回転数NDWが所定回転数以上になったときには、第1伝達モードに代えて、第2伝達モードが選択される。第2伝達モード中、第1伝達モードの場合と同様に正逆転切換機構13の動作モードを正転モードに設定するとともに、第1伝達モード中に遮断されていた第1クラッチCL1を接続することによって、クランク軸3aを、第1および第2の伝達経路の双方を介して駆動輪DW,DWに連結する。この第1クラッチCL1の接続は、スロットル弁開度の制御などによるエンジン回転数NEの制御によって、第1クラッチCL1の入力部および出力部を互いに等しい回転数に制御した状態で行われる。上記の所定回転数は、第1クラッチCL1の接続により、クランク軸3aを、第1伝達経路PT1を介して駆動輪DW,DWに連結した場合に、エンジンストールを発生させずに車両を走行させることが可能な最低の回転数に設定されており、エンジン3の最大発生トルクが大きいほど、より小さな値に設定されている。
さらに、第1クラッチCL1が接続された第2伝達モード中、スロットル弁開度は、駆動輪回転数NDWによって一義的に定まるエンジン回転数NEにおいて、エンジン3の最良の燃費が得られるように制御される。第1クラッチCL1が接続されているときには、クランク軸3aが駆動輪DW,DWにほぼ直接的に連結された状態になるため、極めて高い駆動効率を得ることができる。また、動力装置1における各ギヤのギヤ比は、第2伝達モード中において、エンジン回転数NEおよび駆動輪回転数NDWによって定まるロータ23の回転方向が正転方向になるように設定されている。
また、第2伝達モードにおいて、上述したスロットル弁開度の制御(以下「最良燃費制御」という)の実行中、エンジン3から駆動輪DW,DWに伝達されるトルクが、動力装置1に要求される要求トルクに対して不足するときには、その不足分を補うように、回転機21に電力を供給し、ロータ23を正転させることによって、回転機21によるアシストを行う。このアシスト中、エンジントルクの一部は、第1遊星歯車装置PS1において力行トルクと合成された後、第2伝達経路PT2などを介して、駆動輪DW,DWに伝達され、エンジントルクの残りは、第1伝達径路を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが正転し、車両が引き続き前進する。このアシスト中、駆動輪DW,DWに伝達されるトルクは、各ギヤによる変速などを無視すれば、エンジントルクと力行トルクの和に等しくなる。
一方、上記の最良燃費制御の実行中、エンジン3から駆動輪DW,DWに伝達されるトルクが要求トルクに対して余るときには、その余剰分を用いて、回転機21において発電が行われるとともに、発電した電力がバッテリ32に充電される。この発電は、第1伝達経路PT1、第2伝達経路PT2および第1遊星歯車装置PS1を介してロータ23に伝達されるエンジン3の動力を用いて行われる。この発電中、エンジントルクの一部は、第1伝達経路PT1などを介して駆動輪DW,DWに伝達され、エンジントルクの残りは、第1伝達経路PT1および第2伝達経路PT2を介して、第1キャリアC1に伝達される。第1キャリアC1に伝達されたトルクの一部は、第1リングギヤR1を介してロータ23に伝達され、残りは、第1サンギヤS1や第1伝達経路PT1を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが正転し、車両が引き続き前進する。この発電中、駆動輪DW,DWに伝達されるトルクは、各ギヤによる変速などを無視すれば、エンジントルクからロータ32に伝達されるトルクを差し引いた大きさになる。
上述したような回転機21によるアシスト・充電によって、最良燃費制御による運転領域を拡大することができる。なお、上記の要求トルクは、駆動輪回転数NDWと、検出されたアクセル開度APに応じ、マップ(図示せず)を検索することによって算出される。また、上記の回転機21によるアシストや充電は、バッテリ32の充電状態に応じて行われる。
・減速回生
この減速回生は、車両の前方への減速走行中、すなわち車両が惰性で前方に走行しているときに、駆動輪DW,DWの慣性エネルギを用いて、回転機21において発電を行うとともに、発電した電力をバッテリ32に充電する動作モードである。また、減速回生には、第1回生モードと第2回生モードが含まれる。まず、第1回生モードについて説明する。
この第1回生モード中には、第1クラッチCL1を接続し、正逆転切換機構13の動作モードを正転モードに設定するとともに、ロータ23に伝達される駆動輪DW,DWの慣性による動力を用いて、回転機21において発電を行い、発電した電力をバッテリ32に充電する。この場合、駆動輪DW,DWの動力の一部は、クランク軸3aに伝達される一方、残りは、ロータ23に伝達され、電力に変換される。また、第1キャリアC1の回転数は、駆動輪回転数NDWと第2伝達経路PT2における減速比に基づいて定まり、第1サンギヤS1の回転数は、駆動輪回転数NDWと第1伝達経路PT1における減速比に基づいて定まる。前述したように第2伝達経路PT2におけるギヤ12bと第2ギヤ7cのギヤ比が1:1.5に、第1伝達経路PT1におけるギヤ4b,6bのギヤ比が1:1に、それぞれ設定されているため、第1キャリアC1の回転数は、第1サンギヤS1の回転数よりも高くなる。その結果、第1リングギヤR1に連結されたロータ23の回転数である回転機回転数NMは、第1サンギヤS1に連結されたクランク軸3aの回転数であるエンジン回転数NEよりも高くなる。この場合におけるエンジン回転数NEと回転機回転数NMの回転数比は、上記の第1および第2の伝達経路PT1,PT2の減速比や、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1のギヤ比によって定まる。
第1クラッチCL1が接続される第1回生モード中には、駆動輪DW,DWが第1伝達経路PT1を介してほぼ直接的にクランク軸3aに連結されているため、バッテリ32に充電する電力は、エンジン3のフリクションが小さく、それにより、駆動輪DW,DWからクランク軸3aに伝達される動力が小さいほど、より大きな値に制御することができる。このため、第1回生モードは、エンジン回転数NEが低いためにエンジン3のフリクションが小さいときに行われる。
第2回生モード中の制御は、第1回生モード中の制御と比較して、第1クラッチCL1を遮断する点のみが異なっている。この場合、駆動輪DW,DWのトルクは、第2伝達経路PT2を介して、第1キャリアC1に伝達され、第1キャリアC1に伝達されたトルクは、第1リングギヤR1および第1サンギヤS1に分配される。第1リングギヤR1に伝達されたトルクは、ロータ23に伝達され、第1サンギヤS1に伝達されたトルクは、第1回生モードの場合と異なり、クランク軸3aにすべて伝達される。
第1クラッチCL1が遮断される第2回生モード中には、上述した動作から明らかなように、第1サンギヤS1に作用するエンジン3のフリクションが大きいほど、駆動輪DW,DWからのより大きなトルクを、第1リングギヤR1を介してロータ23に伝達でき、それにより、より大きな電力を発電することができる。このため、第2回生モードは、エンジン回転数NEが高いためにエンジン3のフリクションが大きいときに行われる。
また、減速回生を次のようにして行ってもよい。すなわち、第1クラッチCL1を遮断するとともに、例えば電磁ブレーキやバンドブレーキなどで構成されたロック機構(図示せず)により、第1サンギヤS1を回転不能に保持し、その状態で駆動輪DW,DWの動力を用いて回転機21で発電を行ってもよい。これにより、駆動輪DW,DWの動力を、クランク軸3aに伝達せずに、ロータ23に伝達するとともに、電力に変換し、発電することができる。
以上のように、本実施形態によれば、第1クラッチCL1の接続中、クランク軸3aが、第1伝達経路PT1などを介して、変速装置を用いることなく、駆動輪DW,DWに連結される。これにより、エンジン3から駆動輪DW,DWへの動力の伝達を、変速装置における動力の伝達ロスを発生させずに行うことができ、エンジン3による駆動輪DW,DWの駆動効率を高めることができる。また、図4や図5を用いて説明したように、第1遊星歯車装置PS1および回転機21により、エンジン3から駆動輪DW,DWに伝達される動力を、無段変速装置を用いることなく、無段階に変速することができる。したがって、無段変速装置や有段変速装置は不要であり、この変速装置の分、動力装置1の小型化や製造コストの削減を図ることができる。さらに、第1キャリアC1が、第2伝達経路PT2などを介して、変速装置を用いることなく駆動輪DW,DWに連結されているので、ENG発進や、第1伝達モード、EV発進の場合のように第1キャリアC1を介して駆動輪DW,DWに動力を伝達する場合に、変速装置における動力の伝達ロスが発生することがなく、エンジン3および回転機21による駆動輪DW,DWの駆動効率を高めることができる。
また、ENG発進時、第1クラッチCL1を遮断するとともに、回転機21の動作を制御することによって、エンジン3から駆動輪DW,DWに伝達されるトルクを漸増させるので、エンジンストールを発生させることなく、停止中の駆動輪DW,DWを駆動することができる。このため、クランク軸3aと駆動輪DW,DWの間を連結する第1クラッチCL1として、作動に必要なエネルギが非常に大きな摩擦式のクラッチではなく、作動に必要なエネルギが非常に小さなドグ歯式のクラッチを用いている。したがって、エンジン3の燃費を向上させることができる。
さらに、クランク軸3aに第1サンギヤS1が、ロータ23に第1リングギヤR1が、駆動輪DW,DWに第1キャリアC1が、それぞれ連結されている。したがって、第1伝達モード中やENG発進時、エンジントルクおよび力行トルクをいずれも、第1キャリアC1において正のトルクとして合成し、駆動輪DW,DWに伝達することができる。したがって、より大きなトルクを駆動輪DW,DWに伝達することができる。
また、EV発進時、ワンウェイクラッチOWCおよびケースCAにより、クランク軸3aの逆転が阻止されるとともに、第1クラッチCL1により、第1伝達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWの間の連結が解かれる。これにより、クランク軸3aの逆転を阻止しながら、駆動輪DW,DWを回転機21の動力で適切に駆動することができる。さらに、この場合、第1クラッチCL1により、第1伝達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWの間の連結を解くことによって、エンジン3を引きずることがないので、その高い駆動効率を得ることができる。
また、停車中ENG始動時、第2クラッチCL2および電磁ブレーキBLにより第1キャリアC1を回転不能に保持し、第1クラッチCL1により第1伝達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWの間の連結を解くとともに、ロータ23を逆転させる。これにより、駆動輪DW,DWを駆動することなく、クランク軸3aを正転させることができ、ひいては、エンジン3を始動することができる。
さらに、ENG発進やEV発進で述べたように、第1クラッチCL1を遮断した状態で、エンジン3や回転機21の動力を、第1キャリアC1や第2伝達経路PT2を介して駆動輪DW,DWに伝達する場合に、第2遊星歯車装置PS2、第2クラッチCL2および電磁ブレーキBLで構成された単純な構成の正逆転切換機構13によって、駆動輪DW,DWの正転および逆転を選択的に行うことができる。また、この場合、回転機21の制御により、摩擦式の発進クラッチを用いることなく、駆動輪DW,DWに伝達されるエンジントルクを漸増させられるので、エンジンストールを発生させずに、停止中の駆動輪DW,DWを正転または逆転させることができる。さらに、正逆転切換機構13における正転モードへの動作モードの設定により、駆動輪DW,DWを正転させる場合には、第2サンギヤS2、第2キャリアC2および第2リングギヤR2が一体に回転するため、第2遊星歯車装置PS2において、ギヤの噛み合いによる動力の伝達ロスを発生させることなく、駆動輪DW,DWに動力を伝達することができる。なお、正転モード中に、駆動輪DW,DWが逆転するように、第2遊星歯車装置PS2と駆動輪DW,DWを連結してもよい。
また、正逆転切換機構13の第2クラッチCL2および電磁ブレーキBLを、第1キャリアC1を回転不能に保持するロック機構として併用することができるので、これらを併用せずに別個に設ける場合と比較して、動力装置1の部品点数を削減でき、ひいては、動力装置1の小型化およびコストの削減を達成することができる。
なお、上述した第1実施形態では、第1サンギヤS1を第1伝達経路PT1を介して駆動輪DW,DWに連結しているが、第1サンギヤS1は、クランク軸3aに連結されていれば、駆動輪DW,DWに連結されていなくてもよい。また、第1実施形態では、ロータ23を、第1リングギヤR1に直接、取り付けているが、ギヤや変速装置などを介して、第1リングギヤR2に連結してもよい。さらに、第1実施形態において、クランク軸3aおよびロータ23に対する第1サンギヤS1および第1リングギヤR1の連結関係を逆に、すなわち、第1サンギヤS1をロータ23に、第1リングギヤR1をクランク軸3aに、それぞれ連結してもよい。また、第1実施形態において、クランク軸3aおよび第1キャリアC1を、変速装置を介して駆動輪DW,DWに連結してもよい。
次に、図6を参照しながら、本発明の第2実施形態による動力装置1Aについて説明する。この動力装置1Aは、第1実施形態による動力装置1と比較して、クランク軸3aに対する第1サンギヤS1および第1キャリアC1の連結関係が逆になっている点のみが異なっている。具体的には、図6に示すように、第1キャリアC1は、第2回転軸11ではなく、第1回転軸4に一体に設けられており、第1サンギヤS1は、第1回転軸4ではなく、第2回転軸11に一体に設けられている。このように、第1キャリアC1は、クランク軸3aに連結されており、第1サンギヤS1は、前述した正逆転切換機構13を含む第2伝達経路PT2を介して、駆動輪DW,DWに連結されている。なお、図6において、第1実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を用いて示している。
また、本実施形態では、第1キャリアC1が本発明における第1要素に、第1サンギヤS1が本発明における第2要素に、第1リングギヤR1が本発明における第3要素に、それぞれ相当する。
また、この動力装置1Aは、第1実施形態で述べたEV発進などの各種の動作モードを有しており、上記のような連結関係から、これらの動作モードにおける制御の一部が、第1実施形態の場合と異なっている。以下、これらの動作モードについて、EV発進から順に説明する。
・EV発進
EV発進時、車両を前方に発進させる場合には、第1クラッチCL1および正逆転切換機構13を、第1実施形態と同様にして制御する(第1クラッチCL1:遮断、正逆転切換機構13の動作モード:正転モード)。また、回転機21において力行運転を行うとともに、第1実施形態と異なり、ロータ23を第1リングギヤR1とともに逆転させる。
この場合、ワンウェイクラッチOWCによって、第1キャリアC1がクランク軸3aとともに逆転するのが阻止されていることと、上記のようにロータ23を逆転させることから、ロータ23から第1リングギヤR1に伝達された動力は、第1キャリアC1を支点として、第1サンギヤS1に伝達され、それにより、第1サンギヤS1が正転する。また、第1サンギヤS1から第2回転軸11に伝達された動力は、第1実施形態と同様、正逆転切換機構13が正転モードに設定されていることにより、その回転方向が正逆転切換機構13において変更されずに、第3回転軸12や差動ギヤ機構8を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが正転し、ひいては、車両が前方に発進する。
一方、EV発進時、車両を後方に発進させる場合には、第1クラッチCL1および正逆転切換機構13を、第1実施形態と同様にして制御する(第1クラッチCL1:遮断、正逆転切換機構13の動作モード:逆転モード)。また、回転機21において力行運転を行うとともに、第1実施形態と異なり、ロータ23を第1リングギヤR1とともに逆転させる。以上により、上述したように回転機21から第1サンギヤS1を介して第2回転軸11に伝達された動力は、正逆転切換機構13が逆転モードに設定されていることにより、その回転方向が逆方向に変更された後、第3回転軸12や差動ギヤ機構8を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが逆転し、ひいては、車両が後方に発進する。
なお、EV走行中ENG始動は、第1実施形態と同様にして行われる。
・停車中ENG始動
停車中ENG始動時、第1および第2のクラッチCL1,CL2と電磁ブレーキBLを、第1実施形態と同様にして制御する(第1クラッチCL1:遮断、第2クラッチCL2:接続、電磁ブレーキBL:ON)。これにより、第1伝達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWの間の連結を解くとともに、第1サンギヤS1を回転不能に保持する。また、回転機21において力行運転を行うとともに、第1実施形態と異なり、ロータ23を第1リングギヤR1とともに正転させる。
以上により、ロータ23から第1リングギヤR1に伝達された動力は、第1サンギヤS1を支点として、第1プラネタリギヤP1を介して、第1キャリアC1に伝達される。この場合、上述したようにロータ23および第1リングギヤR1を正転させることと、第1サンギヤS1が回転不能に保持されていることから、第1キャリアC1は、クランク軸3aとともに正転する。その状態で、エンジン3の燃料噴射弁や点火プラグの点火動作を制御することによって、エンジン3が始動される。また、第1実施形態と同様、回転機回転数NMは、エンジン回転数NEが前述した始動時用回転数になるように制御される。
・ENG発進
ENG発進において、車両を前方に発進させる場合には、第1クラッチCL1および正逆転切換機構13を、第1実施形態と同様にして制御する(第1クラッチCL1:遮断、正逆転切換機構13の動作モード:正転モード)。この場合、エンジン3の動力が伝達されることによって、第1キャリアC1がクランク軸3aとともに正転するのに対し、車両のフリクションが回転機21のそれよりも非常に大きいため、互いに連結された第1サンギヤS1および駆動輪DW,DWは停止状態になるとともに、第1リングギヤR1は、エンジン3の動力が第1キャリアC1および第1プラネタリギヤP1を介して伝達されることにより、ロータ23とともに正転する。このため、この状態における第1遊星歯車装置PS1の三要素の回転数、エンジン回転数NE、駆動輪回転数NDW、および回転機回転数NMの関係は、第1実施形態と異なり、例えば図7(a)のように示される。
図7(a)に示すように第1リングギヤR1がロータ23とともに正転している状態から、ロータ23に伝達されるエンジン3の動力を用いて、回転機21で発電を行い、発電した電力をバッテリ32に充電するとともに、回転機回転数NMを値0になるように制御する。この発電に伴い、ロータ23から第1リングギヤR1に、前述した発電制動トルクが作用する。また、この発電制動トルクを反力として、エンジントルクが、第1キャリアC1および第1プラネタリギヤP1を介して、第1サンギヤS1に伝達され、第1サンギヤS1が正転する。第1サンギヤS1に伝達されたトルクは、動作モードが上述したように正転モードに設定されている正逆転切換機構13などを介して、駆動輪DW,DWに伝達される。以上の結果、図3(b)に示すように、駆動輪回転数NDWが値0から上昇し、すなわち、駆動輪DW,DWが正転し、車両が前方に発進する。
以上のように、ENG発進時、第2実施形態では、第1実施形態と異なり、エンジントルクの一部が第1リングギヤR1を介して回転機21に伝達され、残りが第1サンギヤS1を介して駆動輪DW,DWに伝達される。この場合における回転機21および駆動輪DW,DWへのエンジントルクの分配比は、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1のギヤ比で定まる。また、ENG発進時、回転機21で発電する電力量は、漸増するように制御される。これにより、上述したように第1リングギヤR1に作用する発電制動トルクが漸増することによって、第1キャリアC1や第1サンギヤS1を介して駆動輪DW,DWに伝達されるエンジントルクが漸増する。したがって、第1実施形態と同様、エンジンストールを発生させることなく、車両を前方に発進させることができる。
一方、ENG発進において、車両を後方に発進させる場合の制御は、上述した前方に発進させる場合と比較して、正逆転切換機構13の動作モードを逆転モードに設定する点のみが異なっている。これにより、上述したようにエンジン3から第1サンギヤS1に伝達されたトルク(動力)は、動作モードが逆転モードに設定された正逆転切換機構13などを介して、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが逆転し、ひいては、車両が後方に発進する。この場合にも、エンジンストールを発生させることなく、車両を後方に発進させることができる。
・ENG走行
このENG走行には、第1実施形態と同様、エンジン3の動力を伝達するための伝達モードとして、第1および第2の伝達モードが含まれる。これらの第1および第2の伝達モードにおける第1クラッチCL1および正逆転切換機構13の制御は、第1実施形態と同じである。以下、これらの第1および第2の伝達モード中の制御について、第1伝達モードから順に、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1伝達モード中、エンジン回転数NE、駆動輪回転数NDW、および第1サンギヤS1と第1リングギヤR1のギヤ比の関係によって定まるロータ23の回転方向が逆転方向であるときには、第1実施形態と異なり、回転機21において力行運転が行われ、正転方向であるときには、発電が行われる。これにより、回転機21の発電中には、ENG発進の場合と同様、エンジントルクが、第1リングギヤR1に作用する発電制動トルクを反力として、第1キャリアC1および第1プラネタリギヤP1を介して第1サンギヤS1に伝達され、さらに、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが正転し、車両が引き続き前進する。また、回転機21の力行運転中には、エンジントルクが、第1リングギヤR1に作用する力行トルクを反力として、第1キャリアC1および第1プラネタリギヤP1を介して第1サンギヤS1に伝達され、さらに、駆動輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWが正転し、車両が引き続き前進する。
また、第1実施形態と同様、第1伝達モード中、エンジン3から駆動輪DW,DWに伝達される動力が、回転機回転数NMを制御することによって無段階に変速される。すなわち、第1遊星歯車装置PS1および回転機21が無段変速装置として機能する。以下、この点について説明する。
第1伝達モードによる動力の伝達中、第1遊星歯車装置PS1の三要素、エンジン回転数NE、駆動輪回転数NDW、および回転機回転数NMの関係は、例えば図8や図9のように示される。図8に示すように、ロータ23が正転しているときには、駆動輪DW,DWに伝達される動力は、同図に示す中抜きの矢印から明らかなように、回転機回転数NMを上昇させることによって減速側に、低下させることによって増速側に、それぞれ無段階に変速される。
また、図9に示すように、ロータ23が逆転しているときには、駆動輪DW,DWに伝達される動力は、同図に示す中抜きの矢印から明らかなように、回転機回転数NMを上昇させることによって増速側に、低下させることによって減速側に、それぞれ無段階に変速される。この場合、基本的には、回転機回転数NMは値0近傍に制御され、それにより、変速をある程度行いながら、バッテリ32における電力の入出力が抑制される。
さらに、第1伝達モード中、要求トルクが極めて大きくなり、車両を急加速させる場合には、第1実施形態と同様、スロットル弁開度などの制御により、エンジン回転数NEを急上昇させ、エンジントルクを急増させる。また、第1サンギヤS1および第1キャリアC1の回転数の関係によって定まるロータ23の回転方向が、正転方向であるとき(図8参照)には、第1実施形態と異なり、回転機21において発電を行い、逆転方向であるとき(図9参照)には、回転機21において力行運転を行う。これにより、前述したように、エンジントルクが、発電制動トルクまたは力行トルクを反力として、第1遊星歯車装置PS1を介して駆動輪DW,DWに伝達される。
上記のように、車両の急加速時、第1実施形態と同様、第1伝達モードを選択し、第1クラッチCL1により、第1伝達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWとの連結を解くことによって、エンジン回転数NEをそのときの駆動輪回転数NDWとは無関係に上昇させることができ、エンジントルクを急増させることができる。これにより、より大きなトルクを駆動輪DW,DWに伝達し、車両を速やかに加速させられるので、その商品性を高めることができる。
また、第2伝達モード中には、第1実施形態と同様、前述したスロットル弁開度の制御による最良燃費制御が行われる。さらに、第2伝達モード中、第1クラッチCL1が接続状態に保持されるため、極めて高い駆動効率を得ることができる。
また、第2伝達モードにおいて、最良燃費制御の実行中、エンジン3から駆動輪DW,DWに伝達されるトルクが前述した要求トルクに対して不足するときには、第1実施形態と同様、その不足分を補うように、回転機21に電力を供給し、ロータ23を正転させることによって、回転機21によるアシストを行う。このアシスト中、第1実施形態と異なり、第1リングギヤR1に伝達された力行トルクと、第1サンギヤS1に後述するように伝達されるトルクが合成され、第1キャリアC1に伝達される。この第1キャリアC1に伝達されたトルクと、エンジントルクは合成された後、前述した第1伝達経路PT1を介して、第2アイドラ軸7に伝達される。この第2アイドラ軸7に伝達されたトルクの一部は、第3回転軸12などを介して第1サンギヤS1に伝達され、残りは、差動ギヤ機構8などを介して駆動輪DW,DWに伝達される。以上の結果、駆動輪DW,DWに伝達されるトルクは、各ギヤによる変速などを無視すれば、エンジントルクと力行トルクとの和に等しくなる。
一方、上記の最良燃費制御の実行中、エンジン3から駆動輪DW,DWに伝達されるトルクが要求トルクに対して余るときには、第1実施形態と同様、その余剰分を用いて、回転機21において発電が行われるとともに、発電した電力がバッテリ32に充電される。この発電は、第1回転軸4および第1遊星歯車装置PS1を介してロータ23に伝達されるエンジン3の動力を用いて行われる。この発電中、第1実施形態と異なり、エンジントルクの一部が、第1キャリアC1に伝達され、第1サンギヤS1および第1リングギヤR1に分配され、第1リングギヤR1に分配されたトルクは、ロータ23に伝達される。エンジントルクの残りは、第1伝達経路PT1を介して駆動輪DW,DWに伝達され、第1サンギヤS1に上記のように伝達されたトルクは、第2伝達経路PT2を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。以上の結果、駆動輪DW,DWに伝達されるトルクは、各ギヤによる変速などを無視すれば、エンジントルクからロータ23に伝達されるトルクを差し引いた大きさになる。
上述したような回転機21によるアシスト・充電によって、第1実施形態と同様、最良燃費制御による運転領域を、拡大することができる。また、上記の回転機21によるアシストや充電は、バッテリ32の充電状態に応じて行われる。
・減速回生
減速回生には、第1実施形態と同様、第1および第2の回生モードが含まれる。以下、これらの第1および第2の回生モード中の制御について、第1回生モードから順に、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1回生モード中には、第1クラッチCL1および正逆転切換機構13を第1実施形態と同様にして制御する(第1クラッチCL1:接続、正逆転切換機構13の動作モード:正転モード)とともに、ロータ23に伝達される駆動輪DW,DWの動力を用いて、回転機21において発電を行い、発電した電力をバッテリ32に充電する。この場合にも、第1実施形態と同様、駆動輪DW,DWの動力の一部は、クランク軸3aに伝達される一方、残りは、ロータ23に伝達され、電力に変換される。また、第1実施形態と異なり、第1サンギヤS1の回転数は、駆動輪回転数NDWと第2伝達経路PT2における減速比に基づいて定まり、第1キャリアC1の回転数は、駆動輪回転数NDWと第1伝達経路PT1における減速比に基づいて定まるため、第1サンギヤS1の回転数は、第1キャリアC1の回転数よりも高くなる。その結果、回転機回転数NMはエンジン回転数NEよりも低くなり、この場合における両者NM,NEの回転数比は、上記の第1および第2の伝達経路PT1,PT2の減速比や、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1のギヤ比によって定まる。
第1クラッチCL1が接続される第1回生モード中には、第1実施形態と同様、駆動輪DW,DWがクランク軸3aに第1伝達経路PT1を介してほぼ直接的に連結されているため、バッテリ32に充電する電力は、エンジン3のフリクションが小さく、それにより、駆動輪DW,DWからクランク軸3aに伝達される動力が小さいほど、より大きな値に制御することができる。このため、第1回生モードは、第1実施形態と同様、エンジン回転数NEが低いためにエンジン3のフリクションが小さいときに行われる。
また、第2回生モードは、エンジン3のフリクションが大きいという条件に加え、第1クラッチCL1を遮断したと仮定した場合に、そのときのエンジン回転数NEおよび駆動輪回転数NDWの関係によって定まるロータ23の回転方向が、逆転方向であるとき(図9参照)に行われる。この場合、ロータ23が逆転するため、駆動輪DW,DWから第2伝達経路PT2を介して第1サンギヤS1に伝達されたトルクと、発電制動トルクは、第1キャリアC1において合成され、クランク軸3aに伝達される。すなわち、この場合、エンジン3から第1キャリアC1に伝達されるフリクションを利用して、第1サンギヤS1に伝達された駆動輪DW,DWの動力(エネルギ)が、ロータ23に伝達され、電力に変換される。このため、上記のようにエンジン3のフリクションが大きいときに第2回生モードによる発電を行うことによって、より大きな電力を発電し、バッテリ32に充電することができる。
なお、減速回生を次のようにして行ってもよい。すなわち、第1クラッチCL1を遮断するとともに、例えば電磁ブレーキやバンドブレーキなどで構成されたロック機構により、第1キャリアC1を回転不能に保持し、その状態で駆動輪DW,DWの動力を用いて回転機21で発電を行ってもよい。これにより、駆動輪DW,DWの動力を、クランク軸3aに伝達せずに、ロータ23に伝達するとともに、電力に変換し、発電することができる。
以上のように、本実施形態によれば、第1クラッチCL1の接続中、第1実施形態と同様、クランク軸3aが、第1伝達経路PT1などを介して、変速装置を用いることなく、駆動輪DW,DWに連結される。これにより、エンジン3による駆動輪DW,DWの駆動効率を高めることができる。また、図8や図9を用いて説明したように、第1遊星歯車装置PS1および回転機21により、エンジン3から駆動輪DW,DWに伝達される動力を、無段変速装置を用いることなく、無段階に変速することができる。したがって、無段変速装置や有段変速装置は不要であり、この変速装置の分、動力装置1Aの小型化や製造コストの削減を図ることができる。さらに、第1サンギヤS1が、第2伝達経路PT2などを介して、変速装置を用いることなく駆動輪DW,DWに連結されているので、ENG発進や、第1伝達モード、EV発進の場合のように第1サンギヤS1を介して駆動輪DW,DWに動力を伝達する場合に、変速装置における動力の伝達ロスが発生することがなく、エンジン3および回転機21による駆動輪DW,DWの駆動効率を高めることができる。
また、ENG発進時、第1クラッチCL1を遮断するとともに、回転機21の動作を制御することによって、エンジン3から駆動輪DW,DWに伝達されるトルクを漸増させるので、エンジンストールを発生させることなく、停止中の駆動輪DW,DWを駆動することができる。このため、クランク軸3aと駆動輪DW,DWの間を連結する第1クラッチCL1として、作動に必要なエネルギが非常に大きな摩擦式のクラッチではなく、作動に必要なエネルギが非常に小さなドグ歯式のクラッチを用いている。したがって、エンジン3の燃費を向上させることができる。
さらに、EV発進時、第1実施形態と同様、ワンウェイクラッチOWCおよびケースCAにより、クランク軸3aの逆転が阻止されるとともに、第1クラッチCL1により、第1伝達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWの間の連結が解かれる。これにより、クランク軸3aの逆転を阻止しながら、駆動輪DW,DWを回転機21の動力で適切に駆動することができる。この場合、第1クラッチCL1によるクランク軸3aと駆動輪DW,DWの間の遮断によって、エンジン3を引きずることがないので、その高い駆動効率を得ることができる。
また、停車中ENG始動時、第2クラッチCL2および電磁ブレーキBLにより第1サンギヤS1を回転不能に保持し、第1クラッチCL1により第1伝達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWの間の連結を解くとともに、ロータ23を正転させる。これにより、駆動輪DW,DWを駆動することなく、クランク軸3aを正転させることができ、ひいては、エンジン3を始動することができる。その他、正逆転切換機構13による効果を、第1実施形態の場合と同様に得ることができる。
なお、上述した第2実施形態では、第1キャリアC1を第1伝達経路PT1を介して駆動輪DW,DWに連結しているが、第1キャリアC1は、クランク軸3aに連結されていれば、駆動輪DW,DWに連結されていなくてもよい。また、第2実施形態では、ロータ23を、第1リングギヤR1に直接、取り付けているが、ギヤや変速装置などを介して、第1リングギヤR2に連結してもよい。さらに、第2実施形態において、クランク軸3aおよびロータ23に対する第1サンギヤS1および第1リングギヤR1の連結関係を逆に、すなわち、第1サンギヤS1をロータ23に、第1リングギヤR1をクランク軸3aに、それぞれ連結してもよい。また、第2実施形態において、クランク軸3aおよび第1サンギヤS1を、変速装置を介して駆動輪DW,DWに連結してもよい。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、回転機21は、DCモータであるが、トルクを出力するための回転体を有し、回転体の回転数を変更可能なものであればよく、例えばACモータでもよい。また、実施形態では、差動装置として、第1遊星歯車装置PS1を用いているが、互いの間で動力を伝達可能で、かつ、当該動力の伝達中、回転数に関する共線関係を保ちながら回転するように構成された第1要素、第2要素および第3要素を有するものであれば、他の適当な装置を用いてもよい。例えば、遊星歯車装置のギヤに代えて、表面間の摩擦によって動力を伝達する複数のローラを有し、遊星歯車装置と同等の機能を有するような装置を用いてもよい。さらに、詳細な説明は省略するが、特願2006−213905に開示されるような複数の磁石や軟磁性体の組み合わせで構成された装置を用いてもよい。また、差動装置として、ダブルプラネタリタイプの遊星歯車装置を用いてもよい。
さらに、実施形態では、第1クラッチCL1は、ドグ歯式のものであるが、例えば電磁式のものや摩擦式のものでもよい。このように第1クラッチCL1として摩擦式のクラッチを用いる場合、前述したEV走行中ENG始動において、スタータを用いることなく、エンジン3を始動することができ、それにより、このスタータを省略することが可能である。具体的には、EV発進による車両の走行中、第1クラッチCL1を滑らせながら、徐々に接続することによって、回転機21の動力の一部を、第1伝達経路PT1を介して、クランク軸3aに伝達でき、クランク軸3aを正転させられ、ひいては、エンジン3を始動することができる。
また、実施形態では、第2クラッチCL2は、電磁式のものであるが、摩擦式のものでもよい。さらに、実施形態では、本発明におけるブレーキ機構は、ワンウェイクラッチOWCおよびケースCAであるが、クランク軸3aの逆転を制限する、例えばバンドブレーキなどでもよい。また、実施形態では、本発明におけるロック機構およびキャリアロック機構として、電磁ブレーキBLを用いているが、例えばバンドブレーキなどを用いてもよい。
さらに、実施形態において、ワンウェイクラッチOWCおよびケースCAに代えて、例えば電磁ブレーキやバンドブレーキなどで構成されたロック機構を用いて、クランク軸3aを回転不能に保持してもよい。この場合、第1実施形態の動力装置1において、前述したEV発進時、正逆転切換機構13の動作モードを正転モードに設定するとともに、ロータ23を逆転させることによって、駆動輪DW,DWを逆転させ、車両を後進させることができる。また、第2実施形態の動力装置1Aにおいて、前述したEV発進時、正逆転切換機構13の動作モードを正転モードに設定するとともに、ロータ23を正転させることによって、駆動輪DW,DWを逆転させ、車両を後進させることができる。
また、実施形態では、正逆転切換機構13として、第2遊星歯車装置PS2や第2クラッチCL2を組み合わせたものを用いているが、駆動輪DW,DWの回転方向を正転方向および逆転方向の一方に選択的に切換可能なものであれば、他のタイプのものを用いてもよいことはもちろんである。さらに、実施形態では、正逆転切換機構13の第2サンギヤS2および第2リングギヤR2を、第2回転軸11および第3回転軸12にそれぞれ連結しているが、これらの連結関係を逆にしてもよく、すなわち、第3回転軸12および第2回転軸11にそれぞれ連結してもよいことは、もちろんである。また、必要性に応じて、正逆転切換機構13を省略してもよいことはもちろんである。
さらに、実施形態では、本発明における熱機関としてのエンジン3は、ガソリンエンジンであるが、この熱機関は、ディーゼルエンジンや、外燃機関でもよい。また、実施形態では、エンジン3や回転機21を制御するための制御装置を、ECU2やPDU31で構成しているが、マイクロコンピュータを搭載した電気回路で構成してもよい。さらに、実施形態は、本発明を車両に適用した例であるが、本発明は、これに限らず、例えば船舶や航空機に適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
本発明の第1実施形態による動力装置を概略的に示す図である。 図1の動力装置のECUなどを示すブロック図である。 図1の動力装置におけるENG発進時の動作を説明するための図である。 図1の動力装置におけるロータが正転する場合の変速動作を説明するための図である。 図1の動力装置におけるロータが逆転する場合の変速動作を説明するための図である。 本発明の第2実施形態による動力装置を概略的に示す図である。 図6の動力装置におけるENG発進時の動作を説明するための図である。 図6の動力装置におけるロータが正転する場合の変速動作を説明するための図である。 図6の動力装置におけるロータが逆転する場合の変速動作を説明するための図である。
符号の説明
1 動力装置
1A 動力装置
3 内燃機関(熱機関)
3a クランク軸(出力軸)
13 正逆転切換機構
PS1 第1遊星歯車装置(差動装置)
S1 第1サンギヤ(第1要素、第2要素)
R1 第1リングギヤ(第3要素)
P1 第1プラネタリギヤ
C1 第1キャリア(第2要素、第1要素)
PS2 第2遊星歯車装置
S2 第2サンギヤ
R2 第2リングギヤ
P2 第2プラネタリギヤ
C2 第2キャリア
21 回転機
23 ロータ(回転体)
OWC ワンウェイクラッチ(ブレーキ機構)
CA ケース(ブレーキ機構)
CL1 第1クラッチ
CL2 第2クラッチ(ロック機構)
BL 電磁ブレーキ(ロック機構、キャリアロック機構)
DW,DW 駆動輪(被駆動部)

Claims (6)

  1. 被駆動部を駆動するための動力装置であって、
    動力を出力するための出力軸を有し、当該出力軸が、変速装置を用いることなく、前記被駆動部に連結された熱機関と、
    トルクを出力するための回転体を有し、当該回転体の回転数を変更可能な回転機と、
    互いの間で動力を伝達可能で、かつ、当該動力の伝達中、回転数に関する共線関係を保ちながら回転するように構成された第1要素、第2要素および第3要素を有し、前記第1要素が前記熱機関の前記出力軸に連結され、前記第2要素が前記被駆動部に連結され、前記第3要素が前記回転機の前記回転体に連結された差動装置と、
    前記熱機関の前記出力軸と前記被駆動部の間を接続・遮断する第1クラッチと、
    を備えることを特徴とする動力装置。
  2. 前記差動装置は、
    前記第1および第3の要素の一方を構成する第1サンギヤと、前記第1および第3の要素の他方を構成する第1リングギヤと、前記第2要素を構成し、前記第1サンギヤおよび前記第1リングギヤに噛み合う第1プラネタリギヤを回転自在に支持する第1キャリアとを有する第1遊星歯車装置であることを特徴とする、請求項1に記載の動力装置。
  3. 前記熱機関の前記出力軸の逆転を阻止または制限するためのブレーキ機構をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の動力装置。
  4. 前記第2要素を回転不能に保持するためのロック機構をさらに備えることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の動力装置。
  5. 前記第2要素から伝達された動力によって回転する前記被駆動部の回転方向を、正転方向および逆転方向の一方に選択的に切り換える正逆転切換機構をさらに備えることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の動力装置。
  6. 前記第2要素は、前記正逆転切換機構を介して前記被駆動部に連結されており、
    前記正逆転切換機構は、
    第2サンギヤ、第2リングギヤ、ならびに前記第2サンギヤおよび前記第2リングギヤに噛み合う第2プラネタリギヤを回転自在に支持する第2キャリアを有し、前記第2サンギヤおよび前記第2リングギヤの一方が、前記第2要素に連結され、前記第2サンギヤおよび前記第2リングギヤの他方が、前記被駆動部に連結された第2遊星歯車装置と、
    前記第2サンギヤおよび前記第2リングギヤの前記一方と前記第2キャリアの間を接続・遮断する第2クラッチと、
    前記第2キャリアを回転不能に保持するためのキャリアロック機構とを有することを特徴とする、請求項5に記載の動力装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011179668A (ja) * 2010-03-03 2011-09-15 Honda Motor Co Ltd 動力伝達装置及びハイブリッド駆動装置
JP2017171258A (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 ハイブリッド駆動装置

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