JP2009256774A - 浸炭用鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】浸炭層以外の鋼材内部の強度および靱性を確保しつつ、冷間鍛造性に優れ、かつ浸炭時における結晶粒の粗大化抑制効果に優れる浸炭用鋼を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.1〜0.4%、Si:0.5%以下、Mn:2.0%以下、Al:0.1%以下、Ti:0.1〜0.5%、Mo:0.05〜1.0%、S:0.007%以下およびN:0.006%以下を、次式(1)を満足する範囲で含有する鋼片を、1200℃以上に加熱後、鋼片圧延し、ついで900〜1050℃に加熱後、棒鋼圧延を施し、仕上げ温度:800〜950℃で圧延を終了したのち、500〜800℃の温度域を0.1〜2.0℃/sの速度で冷却する。
0.5≦([%C]/12)/〔{[%Ti]−(48[%S]/32)−(48[%N]/14)}/48+([%Mo]/96)〕≦2.0
--- (1)
但し、[%M]は、元素Mの含有量(質量%)
【選択図】なし

Description

本発明は、冷間鍛造で製造される浸炭部品の素材として好適な浸炭用鋼の製造方法に関するものである。
自動車の歯車等には、優れた疲労特性、耐摩耗性および耐ピッチング性が求められ、C量が0.2質量%前後のクロム鋼、クロム−モリブデン鋼およびニッケル−クロム−モリブデン鋼等を所望の形状に成形後、浸炭処理や浸炭窒化処理を施すことにより製造されている。
上記の浸炭処理や浸炭窒化処理において、焼入れ時に熱処理歪が生じると、歯車の場合には歯形状が狂うため、仕上げ加工、研磨工程が必要となり、また軸条部品の場合には曲がりが生じるため、これを矯正する工程が必要となり、いずれの場合も生産性が阻害され、コストが上昇する。
かような熱処理歪は、浸炭処理中にオーステナイト結晶粒が粗大化し、焼入れ性が不安定となり、マルテンサイト変態時の膨張による応力不均一に起因して生じるとされ、その解消が要望されている。
特許文献1および特許文献2にはそれぞれ、鋼の熱履歴とAl,Nb,N量を調整し、AlとNb窒化物のピン止め効果によって粗大粒の発生を抑制する技術が提案されている。しかしながら、この技術では粗大粒発生の抑制効果の安定性の点で問題があった。
また、特許文献3および特許文献4には、Al,Nb,Tiなどの窒化物、炭化物、炭窒化物形成元素の含有量と、各析出物の大きさ、分布密度、ベイナイト組織分率、フェライトバンド評点および圧延条件を制御することによって、上記した問題の解決を図っているが、種々の寸法形状のものを圧延により製造する実操業においては、これら多数のパラメータを制御することは事実上困難であった。
上記の問題を解決するものとして、特許文献5には、鋼中のC,Ti,Moの含有量を次式(I)の範囲に制御することにより、浸炭部品をフェライト単相組織とし、フェライト相中に粒径が10nm未満の微細析出物を分散析出させることによって、浸炭処理時の粗大粒の発生を防止し、熱処理歪の少なくする技術が提案されている,
0.5 ≦ (C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≦ 1.5 ---(I)
しかしながら、特許文献5に記載の技術では、浸炭層以外の内部については、その強度、靱性を十分に確保することができず、上述した歯車に適用するには改善の余地を残していた。
特開昭58−45354号公報 特開昭61−261427号公報 特開平11−50191号公報 特開平11−335777号公報 特開2OO3−321731号公報
本発明は、上記の実状に鑑み開発されたもので、浸炭層以外の鋼材内部の強度および靱性を確保しつつ、冷間鍛造性に優れ、かつ浸炭時には結晶粒の粗大化を効果的に抑制することができる浸炭用鋼の有利な製造方法を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく、浸炭層以外の内部組織について鋭意検討を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
a)浸炭処理後に浸炭層以外の内部組織の強度および強性の向上を図るには、鋼組織を、フェライトと、パーライト及び/又はベイナイトが混在する組織とすることが有利である。
b)上記のような内部組織を得るためには、C含有量を0.1〜0.4質量%程度に高める必要がある。
c)C含有量が多い場合、微細炭化物を析出させるためには、上掲式(I)からも明らかなように、炭化物となって微細析出物を形成するTiやMoの量を増加させる必要があるが、C含有量を高くして、フェライトと、パーライト及び/又はベイナイトが混在する組織にした場合、上掲式(I)を満足するように成分調整を行っても十分な微細析出物は得られない。
そこで、発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、浸炭処理時に粗大粒の発生を防止するのに有用な微細析出物を効果的に生成させるためには、鋼成分とくに不純物として混入するS,N量を極力低減し、かつ棒鋼製造過程の加熱温度を厳密に制御することが重要であることを新たに見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.1〜0.4%、Si:0.5%以下、Mn:2.0%以下、Al:0.1%以下、Ti:0.1〜0.5%、Mo:0.05〜1.0%、S:0.007%以下およびN:0.006%以下を、下記式(1)を満足する範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼片を、1200℃以上に加熱後、鋼片圧延し、ついで900〜1050℃に加熱後、棒鋼圧延を施し、仕上げ温度:800〜950℃で圧延を終了したのち、500〜800℃℃の温度域を0.1〜2.0℃/sの速度で冷却することを特徴とする浸炭用鋼の製造方法。

0.5≦([%C]/12)/〔{[%Ti]−(48[%S]/32)−(48[%N]/14)}/48+([%Mo]/96)〕≦2.0
--- (1)
但し、[%M]は、元素Mの含有量(質量%)
2.鋼片が、さらに質量%で、Cr:2.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.15%以下およびW:1.5%以下のうちから選んだ一種または二種以上を含有する組成になり、かつ前記式(1)に代えて下記式(2)を満足することを特徴とする上記1に記載の浸炭用鋼の製造方法。

0.5≦([%C]/12)/〔{[%Ti]−(48[%S]/32)−(48[%N]/14)}/48+([%Mo]/96)+
([%Cr]/52)+([%Nb]/93)+([%V]/51)+([%W]/184)〕≦2.0 --- (2)
但し、[%M]は、元素Mの含有量(質量%)
3.鋼片が、さらに質量%で、Ni:2.0%以下およびB:0.0005〜0.0030%のうちから選んだ一種または二種を含有する組成になることを特徴とする上記1または2に記載の浸炭用鋼の製造方法。
本発明によれば、浸炭層以外の鋼材内部の強度および靱性を確保しつつ、冷間鍛造性に優れ、かつ浸炭時には結晶粒の粗大化を抑制できる浸炭用鋼を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼片の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.1〜0.4%
Cは、必要な強度を得るために含有させる。しかしながら、C量が0.1%未満では必要な強度を確保することができず、一方 0.4%を超えると硬くなり、冷間加工性を確保することが難しくなるだけでなく、浸炭後の芯部靱性が劣化するので、C量は0.1〜0.4%の範囲に限定した。より好ましくは0.2〜0.4%の範囲である。
Si:0.5%以下
Siは、強度、延性を向上させるために含有させる。この効果を得るためには0.1%以上含有させることが好ましいが、含有量が0.5%を超えるとその効果が飽和するだけでなく、冷間加工時の変形抵抗が高くなって加工性を劣化させるため、Si量は0.5%以下に限定した。
Mn:2.0%以下
Mnは、焼入れ性ひいては強度を向上させるために含有させる。この効果を得るためには0.4%以上含有させることが好ましいが、含有量が2.0%を超えるとその効果は飽和するだけでなく、冷間加工時の変形抵抗が高くなって加工性が低下するので、Mn量は2.0%以下に限定した。
Al:0.1%以下
Alは、脱酸剤として有用であり、また強度及び延性を向上させる効果もあるので、0.015%以上含有させることが好ましいが、含有量が0.1%を超えると疲労強度に有害なAl2O3介在物の成長を助長するという弊害が生じるので、Al量は0.1%以下に限定した。
Ti:0.1〜0.5%
Tiは、Ti系炭化物やTi−Mo系炭化物を含む析出物を微細に析出させ、ピンニング効果を向上させる上で有用な元素である。しかしながら、含有量が0.1%未満では析出物量が少なすぎて粗大粒の抑制に必要なピンニング効果が得られず、一方0.5%を超えると析出物が粗大化し、上記したピンニング効果が低下するので、Ti量は0.1〜0.5%の範囲に限定した。より好ましくは0.1〜0.4%の範囲である。
Mo:0.05〜1.0%
Moは、Ti同様、Mo系炭化物やTi−Mo系炭化物を含む析出物を微細に析出させ、ピンニング効果を向上させる上で有用な元素である。しかしながら、含有量が0.05%未満では析出物量が少なすぎて粗大粒の抑制に必要なピンニング効果が得られず、一方1.0%を超えて含有させるとベイナイト相のみならず、マルテンサイト相を形成するようになるので、Mo量は0.05〜1.0%の範囲に限定した。より好ましくは0.05〜0.5%の範囲である。
S:0.007%以下
Sは、本発明のような高Ti鋼では粗大なTiSを形成し、ピンニング効果に寄与しないだけでなく、むしろ粗大なTiSが存在するとTiおよびMo系の炭化物の析出サイトとなって、ピンニング効果に有効な微細析出物量を減少させる弊害がある。ここに、Sが0.007%を超えて含有された場合には、上記の弊害が著しいので、S量は0.007%以下に制限するものとした。好ましくは0.005%以下である。
N:0.006%以下
Nも、本発明のような高Ti鋼では粗大なTiNを形成し、ピンニング効果に寄与しないだけでなく、むしろ粗大なTiNが存在するとTiおよびMo系の炭化物の析出サイトとなって、ピンニング効果に有効な微細析出物量を減少させる弊害がある。ここに、Nが0.006%を超えて含有された場合には、上記の弊害が著しいので、N量は0.006%以下に制限することが重要である。好ましくは0.004%以下である。
以上、本発明の基本成分および抑制成分の適正組成範囲について説明したが、本発明では、各々の元素が単に上記の範囲を満足するだけでは不十分で、C,Ti,Mo,SおよびNについては、次式(1)の関係を満足させることが重要である。
0.5≦([%C]/12)/〔{[%Ti]−(48[%S]/32)−(48[%N]/14)}/48+([%Mo]/96)〕≦2.0
--- (1)
上掲式は、析出物の大きさおよび個数に影響を与える因子で、この式を満足する範囲でそれぞれの元素が含有された場合、後述する本発明の製造方法に従って製造すれば、粒径:20nm未満の微細析出物が1×103個/μm3以上分散した所望組織を得ることができる。
さらに、本発明では、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Cr:2.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.15%以下およびW:1.5%以下のうちから選んだ一種または二種以上
Crは、強度および靱性を向上させるのに有効なだけでなく、Tiと共に微細な炭化物を形成する有用元素であるが、含有量が2.0%を超えると硬さの上昇を招き冷間鍛造性が劣化するため、2.0%以下とする。上記の効果を得るためには、0.2%以上含有させることが好ましい。特に好ましくは0.2〜1.8%の範囲である。
Nbは、Tiと共に微細析出物を形成して強度上昇に寄与する。また、組織を微細化し、結晶粒の整粒化により延性を向上させる効果もあるが、0.1%を超えて含有させると過度に微細化し、延性が低下するため、0.1%以下とする。
Vは、Tiと共に微細析出物を形成して強度上昇に寄与する。また、組織を微細化し、結晶粒の整粒化により延性を向上させる効果もあるが、0.15%を超えて含有させると過度に微細化し、延性が低下するため、0.15%以下とする。
Wは、Tiと共に微細析出物を形成して強度上昇に寄与する。また、組織を微細化し、結晶粒の整粒化により延性を向上させる効果もあるが、1.5%を超えて含有させると過度に微細化し、延性が低下するため、1.5%以下とする。
また、上記したCr,Nb,VおよびWのうちから選んだ一種または二種以上を含有させる場合には、上掲式(1)と同じ理由から、次式(2)を満足させる必要がある。
0.5≦([%C]/12)/〔{[%Ti]−(48[%S]/32)−(48[%N]/14)}/48+([%Mo]/96)+
([%Cr]/52)+([%Nb]/93)+([%V]/51)+([%W]/184)〕≦2.0 --- (2)
Ni:2.0%以下およびB:0.0005〜0.0030%のうちから選んだ一種または二種
Niは、強度および靱性の向上に有効な元素であるが、多量の添加はコスト高となるので、2.0%以下で含有させることが好ましい。
Bは、微量の添加で焼入性を向上させる有用元素である。その効果を得るには少なくとも0.0005%の添加を必要とするが、0.0030%を超えて添加しても、その効果は飽和するので、Bは0.0005〜0.0030%の範囲で含有させることが好ましい。
なお、上記した元素以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
次に、本発明の製造条件について説明する。
本発明では、上述した好適成分組成になる鋼片を、1200℃以上の温度に加熱後、鋼片圧延を実施し、ついで900〜1050℃に加熱後、棒鋼圧延を施し、仕上げ温度:800〜950℃で圧延を終了したのち、800〜500℃の温度域を0.1〜2.0℃/sの速度で冷却することが必要である。
以下、各処理条件を上記のように限定した理由について説明する。
鋼片加熱温度:1200℃以上
本発明では、熱間加工前の加熱時に炭化物を十分に固溶させ、熱間加工時およびその後の冷却過程で微細析出物を析出させる。その際、加熱温度が1200℃未満では、炭化物をマトリックス中に十分に固溶させることができないため、熱間加工後に粗大な炭化物が生成し易く、浸炭時に粗大粒の発生を抑制することができない。それ故、鋼片加熱温度は1200℃以上に限定した。
上記の鋼片加熱後、鋼片圧延を行うが、この工程については特に制限はなく、従来公知の方法で行えばよい。
棒鋼加熱温度:900〜1050℃
熱間加工前の加熱時に炭化物を十分に固溶させ、熱間加工時およびその後の冷却過程で微細析出物を析出させる。その際、一旦、鋼片加熱で炭化物を固溶させたのち鋼片圧延を実施し、その後の棒鋼加熱において加熱温度が1050℃を超えると、冷却過程で微細な炭化物が得られず、一方900℃未満の加熱温度ではフェライトや粗大な炭化物が残り、圧延後に均一な組織が得られない。
仕上げ温度:800〜950℃
棒鋼圧延における仕上げ加工温度が800℃未満では、バンド組織が形成され易く、その後の浸炭加熱の逆変態時に混粒が生じて、粗大粒発生の原因となる。一方、仕上げ温度が950℃を超えると、加工材の硬さが硬くなって冷間鍛造性が劣化する。以上の理由から、棒鋼加工時の仕上げ温度は800〜950℃の範囲に限定した。
500〜800℃の温度域の冷却速度:0.1〜2.0℃/s
熱間加工後の冷却過程において、800〜500℃の温度域における冷却速度が2.0℃/s超になると微細析出物が十分に析出しない。さらに、フェライトの組織分率が小さくなり、浸炭時に粗粒化が発生し易くなるだけでなく、圧延材の硬さが上昇し、冷間鍛造性が劣化する。そのため、冷却速度は2.0℃/s以下に制限する。好ましくは1.0℃/s以下、より好ましくは0.5℃/s以下である。一方、冷却速度が0.1℃/sを下回ると粗大なフェライトが生じ易くなり、また均一な析出物を得にくくなるという弊害が生じ、好ましくない。
なお、冷却速度を小さくする方法としては、圧延また鍛造ラインの後方に保温カバーまたは熱源付き保温カバーを設置し、これにより徐冷を行う方法が挙げられる。
また、上記の制御冷却を行うべき温度範囲を500〜800℃に限定した理由は、鋼の組織および析出物の析出状態が500〜800℃の温度域における冷却速度によりほぼ決定されるからである。
表1に示す種々の成分組成になる鋼を、100kg真空溶解炉にて溶製し、150mm角に鍛伸後、ダミービレットに溶接し、熱間圧延を種々の加熱温度、仕上げ温度および冷却速度の条件下で行い、直径:30〜50mmの棒鋼を製造した。熱延条件を表2に示す。
ついで、圧延ままの棒鋼から直径:14mm、高さ:21mmの試験片を採取し、冷間加工性の評価を行った、変形抵抗は、2940 kN(300t)プレスを用いて、70%据え込み時の圧縮荷重を測定し、日本塑性加工学会が提案している端面拘束圧縮による変形抵抗測定方法を用いた。また、限界据え込み率は、変形抵抗を測定した方法で圧縮加工を行い、端部に割れが発生したときの据え込み率を限界据え込み率とした。
次に、圧延ままの棒鋼から8mmφ×12mmの据え込み試験片を作成し、圧下率:70%の据え込み加工を行った後、浸炭シミュレーションを行った。浸炭シミュレーンョンの条件は、950〜1025℃の種々の温度に3時間加熱後、水冷する条件である。その後、試験片を軸を含む面で軸方向に切断後、切断面を研磨・エッチングし、旧オーステナイト粒径を観察して粗粒が発生する温度(粗粒化温度)を求めた。浸炭処理は、通常、900〜950℃の温度域で行われるため、粗粒化温度が950℃以下のものは結晶粒の粗大化抑制効果に劣ると判定した。なお、旧オーステナイト粒度の測定はJIS G O551に準拠し、400倍で10視野測定し、粒度番号5以下の粗粒が1つでも存在すれば粗粒発生と判定した。
また、得られた棒鋼からJIS Z 2202に規定するシャルピー衝撃試験用の2mmUノッチ3号試験片を作成し、JIS Z 2242に準拠して試験温度:20℃でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギーを測定した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2009256774
Figure 2009256774
Figure 2009256774
表3に示したとおり、本発明に従い得られた発明例はいずれも、限界据え込み率が76%以上、変形抵抗が980 MPa以下であった。また、粗粒化温度が1025℃以上であって、浸炭時における粗大化抑制効果に優れていることが分かる。さらに、発明例はいずれも、シャルピー衝撃値が75J/cm2以上であり、鋼材内部の靱性にも優れていることが分かる。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.1〜0.4%、Si:0.5%以下、Mn:2.0%以下、Al:0.1%以下、Ti:0.1〜0.5%、Mo:0.05〜1.0%、S:0.007%以下およびN:0.006%以下を、下記式(1)を満足する範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼片を、1200℃以上に加熱後、鋼片圧延し、ついで900〜1050℃に加熱後、棒鋼圧延を施し、仕上げ温度:800〜950℃で圧延を終了したのち、500〜800℃の温度域を0.1〜2.0℃/sの速度で冷却することを特徴とする浸炭用鋼の製造方法。

    0.5≦([%C]/12)/〔{[%Ti]−(48[%S]/32)−(48[%N]/14)}/48+([%Mo]/96)〕≦2.0
    --- (1)
    但し、[%M]は、元素Mの含有量(質量%)
  2. 鋼片が、さらに質量%で、Cr:2.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.15%以下およびW:1.5%以下のうちから選んだ一種または二種以上を含有する組成になり、かつ前記式(1)に代えて下記式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の浸炭用鋼の製造方法。

    0.5≦([%C]/12)/〔{[%Ti]−(48[%S]/32)−(48[%N]/14)}/48+([%Mo]/96)+
    ([%Cr]/52)+([%Nb]/93)+([%V]/51)+([%W]/184)〕≦2.0 --- (2)
    但し、[%M]は、元素Mの含有量(質量%)
  3. 鋼片が、さらに質量%で、Ni:2.0%以下およびB:0.0005〜0.0030%のうちから選んだ一種または二種を含有する組成になることを特徴とする請求項1または2に記載の浸炭用鋼の製造方法。
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