JP2009255381A - 画像記録装置及び画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】記録素子の記録特性の一つとして、予めテストパターンで読み取った記録素子毎のムラ情報に基づいて画素濃度毎に演算したムラ補正係数値と、各記録素子に対して、予めテストパターンで読み取った記録素子毎のムラ情報に基づいて画素濃度毎に演算した近傍の記録素子が不吐出となった場合の不吐出補正係数値とを算出して記憶し、記録素子の不吐出情報を検出し、画素濃度と各記録素子の不吐出情報によって、記録特性の中から濃度補正係数及び不吐出補正係数を選択し、選択した記録特性に基づいて、濃度信号の画素濃度を補正し、補正した出力濃度に基づいて記録素子の駆動を制御することで上記課題を解決する。
【選択図】図6
Description
このインクジェット記録方式では、複数の吐出口からインク液滴を吐出させるため、記録する画像に吐出口を備える記録素子毎の記録特性(着弾位置誤差、滴下されるインク液量のばらつき等)に起因する濃度ムラが発生するという問題がある。この問題は、ライン型のインクジェットヘッドを固定し、記録媒体を一方向に一度搬送することで記録媒体の全面に画像を記録するシングルパスのインクジェット方式の時に特に問題となる。
吐出駆動条件を変更する方法は、インクジェットヘッドから吐出するインク液滴を変更するものであるため、実施に際してインクジェットヘッドの駆動方式や補正幅に制限がある。これに対して、濃度ムラにあわせて画像データを補正する方式は、インクジェットヘッドから実際に吐出するインク液滴は、そのまま、つまり、インクジェットヘッド自体を変更(つまり、物理的な変更)をすることなく、データの補正を行うことで実現できるため、自由度が高いという利点がある。
不吐出ノズルは、ゴミ詰まり等に起因して突然発生したり、メンテナンスや経時により不吐出状態が回復したりする。そのため、不吐出が検出される毎に、または不吐出状態が解消される毎に、吐出ノズルの近傍のノズルの吐出量を調整する不吐出補正係数値を算出する必要がある。
しかしながら、不吐出ノズルの影響をより小さくするためには、各画像濃度において不吐出補正係数値を高精度に算出する必要があるため、計算量が多くなり算出までに時間がかかるという問題がある。算出に時間がかかると、不吐出ノズルの情報を取得してから、画像記録を開始するまでに多大な時間が必要となり、画像記録の効率を高くすることができないという問題がある。
また、前記不吐出補正係数算出記憶手段は、複数のムラ補正係数を記憶したルックアップテーブルと、各記録素子とルックアップテーブルの不吐出補正係数値とを不吐出ノズルに対する位置毎に対応させるインデックステーブルと有し、前記インデックステーブルは、前記ルックアップテーブルに記憶されたムラ補正係数の一定範囲内のムラ補正係数の記録素子には、該ムラ補正係数と対応付けることが好ましい。
なお、ルックアップテーブル(LUT)とは、参照用テーブルであり、ノズル(吐出部)と画像濃度とムラ補正係数との関係が記憶されている表である。例えば、ノズル及び画像濃度、参照番号等をキーとして対応するムラ補正係数が記憶されている。
前記補正条件は、濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点における微分係数が略0となる条件であることが好ましい。
また、前記補正条件は、空間周波数の直流成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件より得られるN本の連立方程式で表されることが好ましい。
画像記録装置10は、基本的に、被記録媒体Pを供給する供給部12と、供給部12から供給された被記録媒体Pを、平面性を保持しながら、搬送する搬送部14と、搬送部14に対向して配置され、被記録媒体Pに画像を描画する記録ヘッドユニット50及び記録ヘッドユニット50に供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部52等を有する描画部16と、画像が描画された被記録媒体Pを加熱し、加圧する加熱加圧部18と、画像が描画された被記録媒体Pを外部に排出する排出部20と、描画部16により被記録媒体Pに記録された画像を読み取るスキャナ24と、これらを制御する制御部22とを有する。
マガジン30は、ロール状の被記録媒体Pが収納されている。画像描画時には、被記録媒体Pがマガジン30から加熱ドラム32に供給される。
加熱ドラム32は、被記録媒体Pの搬送経路において、マガジン30の下流側に配置され、マガジン30から送り出された被記録媒体Pを、マガジン30に収納されていた方向と逆の方向に曲げた状態で加熱する。
被記録媒体Pを加熱ドラム32により加熱することで、マガジン30に収納されている間に被記録媒体Pについた巻きクセを除去する。つまり、加熱ドラム32は、被記録媒体Pのデカール処理を行う。
このとき、被記録媒体Pが、印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御することが好ましい。
カッタ34は、加熱ドラム32を通過して供給された被記録媒体Pを所望のサイズにカットする。
ベルト38は、被記録媒体Pの幅よりも広い幅寸法を有する無端状のベルトであり、ローラ37aとローラ37bとで張架されている。また、ベルト38は、ベルト面に多数の吸引孔(不図示)が形成されている。
また、吸着ベルト搬送部36の少なくとも画像描画(印字)位置、つまり、描画部16の後述する記録ヘッドユニット50のノズル面、及び、画像検出位置、つまり、後述するスキャナ24のセンサ面に対向する部分は、ノズル面及びセンサ面に対して水平(フラット)に保持されている。
ベルト38が巻かれているローラ37a、37bの少なくとも一方は、図示しないモータに接続されており、モータの動力がローラ37a、37bの少なくとも一方を介してベルト38に伝達されることにより、ベルト38は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト38上に保持された被記録媒体Pは図1の左から右へと搬送される。
被記録媒体Pをベルトに吸着させることで、被記録媒体Pを安定して保持することができる。
ベルト清掃部42は、縁無しプリント等を行うことによりベルト38上に付着したインクを除去する。ベルト清掃部42としては、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
加熱ファン44は、描画前の被記録媒体Pに加熱空気を吹き付け、被記録媒体Pを加熱する。描画直前に被記録媒体Pを加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
記録ヘッド50K,50C,50M,50Yは、それぞれ、吐出部から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)色のインクを吐出するピエゾ型のインクジェットヘッドであり、ベルト38の被記録媒体Pが載置される面に対向して、加熱ファン44よりの被記録媒体Pの搬送方向下流側に、加熱ファン44に近い順に、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yの順で配置されている。また、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yは、インク貯蔵/装填部52及び制御部22に接続されている。
また、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yは、図2に示すように、被記録媒体Pの搬送方向に直交する方向の幅が、搬送する被記録媒体Pの最大幅を越える領域に複数の吐出部(ノズル)が列状に配置されているフルライン型のインクジェットヘッドである。ここで、インクジェットヘッドの構造は、インク貯蔵/装填部52との関係と合わせて後ほど詳細に説明する。
インク供給タンクとしては、例えば、インク残量が少なくなった場合に、補充口(図示せず)からタンク内にインクを補充する方式や、タンクごと交換するカートリッジ方式を用いることができる。
インク貯蔵/装填部52の各インク供給タンクは、図示しない管路を介して各記録ヘッド50K,50C,50M,50Yと連通されており、各記録ヘッド50K,50C,50M,50Yにインクを供給する。
また、使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式を用いることが好ましい。また、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図3(A)に示すように記録ヘッド50Kは、インク液滴を吐出する記録素子(以下「吐出部」という。)60を複数有しする。この複数の吐出部60は、一定間隔で列状に配置されている。
ノズル62は、インク液滴を吐出する開口部であり、一端が被記録媒体Pと対向する面に開口し、他端が圧力室63に接続している。
圧力室63は、インク液滴を吐出する方向に垂直な面の平面形状が概略正方形の直方体形状であり、対角線上の両隅部がノズル62と供給口64とに接続されている。
供給口64は、一端が圧力室63と接続し、他端が共通流路65と連通している。
このアクチュエータ66は、個別電極68に駆動電圧を印加することで、加圧板67が変形する。
インクは、共通流路65から共通口64を介して、圧力室63及びノズル62に供給される。
圧力室63及びノズル62にインクが満ちている状態で、個別電極68に駆動電圧が印加されると、加圧板67が変形し、圧力室63が加圧されて、ノズル62からインクが吐出される。このようにアクチュエータ66を駆動させることでノズル62からインク液滴を吐出させることができる。
また、インクが吐出されると、共通流路65から供給口64を通って新しいインクが圧力室63に供給される。
図4は、画像記録装置10におけるインク供給系及びヘッド周辺部の構成を示す模式図である。なお、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yの各記録ヘッドとインク貯蔵/装填部52との関係は、インクの種類を除いて同様の構成であるので、以下、記録ヘッド50Kとインク貯蔵/装填部52との関係のみを説明し、記録ヘッド50C,50M,50Yと、インク貯蔵/装填部52との関係の説明は省略する。
インク供給タンク70と記録ヘッド50Kとを接続する流路の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ72が設けられている。フィルタ72のフィルター・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
キャップ74は、電源OFF時や印刷待機時に図示しない昇降機構によって所定の上昇位置まで上昇され、記録ヘッド50Kに密着し、記録ヘッド50Kのノズル面をキャップ74で覆う。
このように、キャップ74により、記録ヘッド50Kのノズル面を覆い、密封状態とすることで、ノズル内のインクが乾燥し、固着すること、及び、インク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなることを防止できる。
記録ヘッド50Kは、描画中又は待機中において、特定のノズル62の使用頻度が低くなり、ある時間以上インクが吐出されない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなってしまい、ノズル62からインクを吐出できなくなってしまうことがあるが、キャップ74にインクを予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き)することで、ノズル62内の劣化インク(粘度が上昇したノズル近傍のインク)をノズル62内から排出することができる。これにより、ノズル62にインクが目詰まりすることを防止でき、また、ノズル62によって、異なるインク粘度となり、吐出特性が変化することも防止できる。これにより安定してインク液滴を吐出させることができる。
このように、吸引ポンプ77によりインクを吸引することで、例えば、記録ヘッド50K内のインク(圧力室63内)に気泡が混入し、アクチュエータ66を動作させてもノズルからインクを吐出させることができない場合でも、吸引ポンプ77によりインクを吸引することで、圧力室63内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去することができる。つまり、インク液滴を吐出できる状態にすることができる。
なお、吸引ポンプ77による吸引は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出すために行うことが好ましい。
また、吸引ポンプ77による吸引は、圧力室63内のインク全体に対して行われるので、インク消費量が大きくなる。したがって、インクの粘度上昇が小さい場合には上述したキャップ74へのインク液滴の吐出(予備吐出)を行う態様が好ましい。
なお、該ブレード機構によりインク吐出面の汚れを清掃した際に、該ブレードによってノズル62内に異物が混入することを防止するために予備吐出を行うことが好ましい。
加熱加圧部18は、後乾燥部53と、加圧ローラ対54とを有し、描画部16で画像が描画された被記録媒体Pを加熱し、加圧することで、画像部を乾燥し定着させる。
後乾燥部53は、被記録媒体Pの搬送経路において、記録ヘッドユニット50の下流側でかつ、ベルト38に対向する位置に配置されている。後乾燥部53は、加熱ファン等であり、被記録媒体Pの画像面に熱風を吹き付け、描画された画像を乾燥させる。
ここで、後乾燥部53には、加熱ファンを用い、熱風を吹き付けることが好ましい。
加熱ファンにより、被記録媒体上の画像部のインクを乾燥させることで、画像部に接触することなく乾燥させることができる。これにより、被記録媒体Pに描画された画像に画像欠陥、画像汚れが生じることを防止できる。
加圧ローラ対54は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、吸着ベルト搬送部36で搬送されてきた被記録媒体Pの画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ54で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
カッタ56は、固定刃56Aと丸刃56Bとから構成され、被記録媒体Pに通常の画像と位置ずれ検出用の画像を形成した場合に、通常の画像部分と位置ずれ検出用の画像部分とを切り離す。
ここで、本実施形態では、被記録媒体Pに記録された画像により、図示しない選別手段が被記録媒体Pを排出する排出部を切り換え、第1排出部58Aには、通常の画像が描画された被記録媒体が排出され、第2排出部58Bには、位置ずれ検出に用いた画像が描画された被記録媒体や、不要な被記録媒体が排出される。
制御部22は、通信インターフェース102、システムコントローラ104、画像メモリ106、モータドライバ108、ヒータードライバ110、プリント制御部112、画像バッファメモリ114、ヘッドドライバ116等を備え、上述したように、供給部12、搬送部14、描画部16、加熱加圧部18、排出部20、スキャナ24による被記録媒体Pの搬送、加熱、描画、位置ずれ検出等を制御する。
なお、ムラ補正係数のデータ及び不吐出補正係数のデータの形式は特に限定されず、数式として記憶されていてもLUT(ルックアップテーブル)として記憶されていてもよい。
ホストコンピュータ118から送り出された画像データは通信インターフェース102を介して画像記録装置10に取り込まれ、システムコントローラ104を通じて、画像メモリ106に記憶される。
ヒータードライバ110は、システムコントローラ104からの指示にしたがって後乾燥部746等のヒータ99を駆動するドライバである。
プリント制御部112において所要の信号処理が施された画像データに基づいてヘッドドライバ116を介して記録ヘッド750のインク液滴の吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドット配置が実現される。
画像記録装置10は、基本的に以上のような構成である。
図示の処理は画像を出力するごとに制御部22で実行されるものである。
画像を出力(プリント)する際には、まず、出力すべき画像(プリント対象となる画像)のデータを入力する(ステップS20)。入力時の画像のデータ形態は、特に限定されないが、例えば、24ビットカラーのRGBデータとする。この入力画像に対して、ルックアップテーブルによる濃度変換処理を行い(ステップS22)、プリンタの持つインク色に対応した濃度データD(i.j)に変換する。なお、(i,j)は、画素の位置を表し、各画素について濃度データが割り当てられる。ここでは、説明の便宜上、入力画像の解像度とプリンタの解像度(ノズル解像度)とは一致しているものとするが、両者が一致しない場合は、プリンタ解像度に合わせて、入力画像について画素数変換の処理が行われる。
例えば、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)の3色インクの構成の場合には、CMYの濃度データD(i,j)に変換される。或いはまた、上記3色に加えてK(黒),LC(ライトシアン),LM(ライトマゼンタ)などの他のインクを含むシステムの場合は、そのインク色を含む濃度データD(i,j)に変換される。
なお、ムラ補正係数及び不吐出補正係数の作成の方法は、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yのいずれでも同様の方法で行うため、以下、代表して記録ヘッド50Kで説明する。
図7(A)は、テストパターンの一例を示す模式図であり、図7(B)は、図7(A)の部分拡大図ある。
具体的には、上述したように列状に配置された複数の吐出部を一端から他端までを順にA1、A2、A3・・・、Anと定義したときに、吐出部を、吐出部の番号の基づいて4k−3、4k−2、4k−1、4k(k=1,2,3,・・・・)の4つのグループに分け、吐出部の番号が4k−3となる吐出部からインク液滴を連続的に吐出させ、記録媒体P上に吐出部毎の直線を形成し、その後、吐出部の番号が4k−2となる吐出部からインク液滴を連続的に吐出させ、記録媒体P上に吐出部毎の直線を形成し、その後、同様に、吐出部の番号が4k−1の吐出部、吐出部の番号が4kの吐出部についても、記録媒体P上に吐出部毎の直線を形成する。
また、一定間隔離間した吐出部をグループ化することで、隣接した吐出部からインクを吐出することなく直線を形成することができる。これにより、直線同士が重なることを防止できる。
なお、本実施形態では、搬送部14により記録媒体Pを搬送方向、つまり記録ヘッド50Kに直交する方向に搬送しつつ、記録ヘッド50Kの各吐出部からインク液滴を吐出させて記録媒体上に打滴点を形成する。
以上のようにして、図7(A)及び図7(B)に示すように、被記録媒体P上には、吐出部の4つのグループに対応して、4つ(G1,G2,G3,G4)形成され、それぞれのグループには、各吐出部に対応した直線が形成されたテストパターンを形成する。
なお、本実施形態では、各記録素子が1つの打滴点に滴下する液滴の数を変化させることで複数種類の打滴点を形成できる。そのため、それぞれの種類の打滴点についてもテストパターンを作製する。なお、テストパターンは、1枚の記録媒体に全てのテストパターンを記録しても、複数のテストパターンに記録してもよいが、1枚の記録媒体に記録することで、より高い精度で後述する記録特性を測定することができる。
まず、被記録媒体Pに形成されたテストパターンを読み取る。
具体的には、記録媒体Pは、テストパターンが形成された後、搬送部14により、さらに搬送され、スキャナ24に対向した位置を通過する。
スキャナ24は、対向する位置を通過する記録媒体Pに形成された画像を読み取ることで、テストパターンを読み取る。スキャナ24は、読み取った画像データを、制御部22の記録特性算出部130に第1濃度ムラ補正情報算出部124に送る。
具体的には、記録特性算出部130は、各吐出部毎に直線が形成されたテストパターンを読み取った画像データから、各吐出部のインク液滴の着弾位置を算出する。
ここで、着弾位置は、例えば、特開2006−264069号公報に記載されているように、各直線の濃度プロファイルを検出し、その検出結果から各直線の中心を算出することで、各吐出部から吐出されたインク液滴の着弾位置を算出することできる。
また、中心位置の算出方法は特に限定されず、インク液滴の両端を検出し、その中間点を中心としても、濃度が最も高い位置を中心としてもよい。
また、この着弾位置は、各直線の複数点で中心を算出し、その中心を結んで近似直線を算出することが好ましい。複数点の中心を結んで近似直線を算出することで、インク液滴の着弾位置をより正確に検出することができる。
また、近似直線を延長させることで、各グループ間の相対的な位置関係も正確に検出することができる。なお、相対的な位置関係は、テストパターンの作成時に基準の吐出部を設定し、その吐出部により形成する直線は4つ全てのグループで形成するようにすればよい。
このようにして算出した打滴点の着弾位置に基づいて、打滴点の理想の着弾位置(想定されている打滴点の着弾位置)との差分(着弾位置誤差)を算出する。
ここで、図8及び図9は、ムラ補正係数及び不吐出補正係数の算出例を示すフローチャートである。ここでは画素濃度に応じた補正係数(ムラ補正係数及び不吐出補正係数)を求めるため、各濃度での補正係数を算出する例を説明する。
まず、選択したノズル(ノズル番号がnzlのノズル)を不吐出と仮定し、そのノズルに対応する不吐出情報だけをONにする(ステップS104)。つまり、選択したノズルを不吐出とした仮定の不吐出情報を作成する。
すなわち、各画像濃度でのドット種の存在比率を示すドット打滴率テーブルを使用して、対象画素濃度(d)に応じたドット打滴率(dp_buf[kind])を算出する。ドット打滞率テーブル(DP_buf[d][kind])は、濃度[d]とドット種[kind]を変数とするテーブルである。
図10にドット打滴率テーブル(DP_buf[d][kind])の例を示す。図10ではドット種類が4種類(kind=[l,2.3,4])の場合を例示している。同図において横軸は画素濃度、縦軸は打滴種類(ドット種)比率を表している。例えば、画素濃度=0.8の場合における各ドット種の比率を見ると、「3drops」の比率が最も高く、約0.72、次いで「4drops」の比率が約0.24、「2drops」の比率は約0.04、「1drop」の比率は0.0である。このように、ある画素濃度値における各ドット種の比率をdp_bufの値とする。
上記のように演算対象濃度についてドット打滴率を求めた後、次に、実行打滴誤差の演算を行う(図8のステップS122)。すなわち、ステップS122では、各ノズルについて、それぞれドット種類ごとの位置誤差データ計測値(err_x[nzl][kind])を実行打滴誤差(位置:err_xx[nzl])に変換する演算を行う。
実行打滴誤差のうち「位置:err_xx[nzl]」の成分は、次式によって計算される。
また、演算に際しては、ヘッドの不吐出情報(npn[nzl])に基づき、補正ウインドウ内の不吐出ノズルの数と位置で場合分けを行う(図8参照)。本例では補正ウインドウ内に不吐出ノズルが2カ所以上存在する場合は演算を中止するものとする。具体的な演算例を図9に示す。
まず、演算対象の補正ウインドウを定め、当該補正ウインドウ内における不吐出ノズルの数と位置に応じて、次の3パターンに場合分けされる。すなわち、(a)不吐出ノズルが無い場合、(b)中央ノズルが不吐出の場合、(C)左又は右ノズルが不吐出の場合、の3パターンに場合分けされ、該当する処理に切り換えられる。
各ノズルの位置誤差に、理想位置間隔値:Lを合算して(左:−L、中央:0、右:+L)、絶対位置(a[3])に変換する。すなわち、以下の演算を行う。
なお、位置誤差情報(a[3])の示す位置誤差が所定のしきい値(例えば、0.1μm)内であれば、実質的に補正不要であるとして位置補正を行わないものとする。補正を行うか否かの判断基準となるしきい値は、誤差を許容できる許容範囲の観点から定められる。
当該補正ウインドウ内の各ノズルの補正係数は、次式によって算出される。
各ノズルの位置誤差に、理想位置間隔値:Lを合算して(左:−L、中央:0、左:+L)、絶対位置(a[3])に変換する([数2]参照)。そして、当該位置誤差情報(a)[3]を用いて補正係数(p[3])を演算する。この演算は、不吐出ノズルを除外して演算を行う。つまり、不吐の中央ノズルは「ないもの」として演算する。
当該補正ウインドウ内の各ノズルの補正係数は、次式によって算出される。
各ノズルの位置誤差に、理想位置間隔値:Lを合算して(左:−L、中央:0、右:+L)、絶対位置(a[3])に変換する([数2]参照)。そして、当該位置誤差情報(a[3])を用いて補正係数(p[3])を演算する。この演算は、不吐出ノズルを除外して演算を行う。つまり、不吐の左ノズル又は右ノズルは「ないもの」として演算する。
左ノズルが不吐出のとき、当該補正ウインドウ内の各ノズルの補正係数は、次式によって算出される。
さらに、中央ノズル(p[1])に対しては、1を減ずる。
各画素濃度について、順次同様の処理を実行した後、各画素濃度での補正係数(coef[j])を、ムラ補正係数(COEF[d][j])、不吐出左隣補正係数(L_COEF[d][j])、不吐出右隣補正係数(R_COEF[d][j])に移動させる(ステップS140)。なお、このとき全データに1を加算する。
ここで、下記式に示すように、不吐出と仮定したノズル(j=nzl)の補正係数は、移動させず、不吐出と仮定したノズルの左隣のノズル(j=nzl+1)の補正係数は、L_COEF[d][j]に移動させ、不吐出と仮定したノズルの右隣のノズル(j=nzl−1)の補正係数は、R_COEF[d][j]に移動させる。また、上記3つのいずれでもないノズル(j≠nzl、nzl−1、nzl+1)の補正係数は、COEF[d][j]に移動させる。
記録特性算出部130、補正係数算出部132は、以上のようにして、画像濃度毎に、吐出部毎に、ムラ補正係数及び、各ノズル(吐出部)が不吐出と仮定した場合の不吐出補正係数を算出する。また、算出したムラ補正係数及び不吐出補正係数は、補正係数記憶部120に記憶される。
図12は、画像データの処理の流れを示すフローチャートである。図6でも説明したように、まず、画像データの読み込みを行い(ステップS30)、当該画像テ一夕について濃度変換テーブルを使用して画像濃度値を変換する(ステップS32)。この濃度データに対してムラ補正の処理を実行し(ステップS34)、補正後の濃度データについてN値化処理(本例では誤差拡散による例を後述する)を実行する(ステップS36)。そして、得られたN値のデータ(ドットデータ)を基に打滴を行う(ステップS38)。
図13は、ムラ補正実行フローチャートである。
本処理を開始すると、まず、濃度毎ムラ補正係数テーブル(COEF[Dmax][Nnzl])、不吐出左隣補正係数テーブル(L_COEF[Dmax][Nnzl])、不吐出右隣補正係数テーブル(R_COEF[Dmax][Nnzl])を読み込む(ステップS210)。
次に、実際に測定した測定不吐出情報(NPN[Nnzl])を読み込む(ステップS212)。ここで、測定不吐出情報は、上述したように、ノズル毎に直線を形成させたテストパターン記録し、各ノズルに対応する直線が形成されているか否かを検出し、不吐出ノズルを検出することで作成することができる。また、測定不吐出情報は、不吐出ノズルがONとされ、正常ノズル(インク液滴を吐出するノズル)がOFFとされた情報である。
次に、読み出した測定不吐出情報に基づいて、各ノズルに対応するテーブルを選択させるムラ/不吐出選択情報(F_npn[])を作成する(ステップS214)。
具体的には、対象ノズル(nzl)の左右のノズルが正常ノズルの場合(NPN[nzl+1]=OFF、かつ、NPN[nzl−1]=OFF)は、F_npn[nzl]=0とし、対象ノズル(nzl)が不吐出ノズルの場合は、F_npn[nzl]=1とし、対象ノズル(nzl)の右ノズルが不吐出の場合(NPN[nzl+1]=ON)の場合は、F_npn[nzl]=2とし、対象ノズル(nzl)の右ノズルが不吐出の場合(NPN[nzl−1]=ON)の場合は、F_npn[nzl]=3とする。
すなわち、ステップS230では、演算対象に係るy値における画像幅方向(x方向)について演算対象の位置(xの値)を定め、このx位置について、x位置に応じたノズル番号(nzl番号)を求め、画素濃度d[x][y]、nzl値に応じたムラ補正係数、不吐出補正係数を濃度毎ムラ補正係数テーブル、不吐出左隣補正係数テーブル、不吐出右隣補正係数テーブルより求める(ステップS232)。
F_npn[nzl]=0の場合は、濃度毎ムラ補正係数テーブル(COEF[d][nzl])から対応するnzl、画像濃度dのムラ補正係数を読み出し、読み出したムラ補正係数を補正係数(f)とする。
F_npn[nzl]=1の場合は、補正係数(f)を定められた定数(例えば、0)とする。
F_npn[nzl]=2の場合は、不吐出左隣補正係数テーブル(L_COEF[Dmax][Nnzl])から対応するnzl、画像濃度dの不吐出補正係数を読み出し、読み出した不吐出補正係数(ムラ補正係数)を補正係数(f)とする。
F_npn[nzl]=3の場合は、不吐出右隣補正係数テーブル(R_COEF[Dmax][Nnzl])から対応するnzl、画像濃度dの不吐出補正係数を読み出し、読み出した不吐出補正係数(ムラ補正係数)を補正係数(f)とする。
そして、この補正係数(f)を用いて、次式によって補正演算を実行する(ステップS234)。
全ての画像位置[x][y]について、上記の補正演算が終了したら、本処理は終了する。
図14は、図12で説明したN値化処理(ステップS36)において実施される誤差拡散法のフローチャートである。
本処理が開始すると、まず、エラー積算バッファを0に初期化する(ステップS310)。図15にエラー積算バッファの概念図を示す。
その後、画像の高さ方向(y方向)について演算対象の位置(yの億)を順次変えながら以下の処理を全範囲について繰り返す(図14のステップS320)。
図17にしきい値テーブルの例を示す。図示のしきい値テーブルは、4種類の打滴を使用する場合(5値化)の一例であり、ドット種別に「1drop」〜「4drops」の各しきい値をT1〜T4と定めている。
「濃度値+エラー積算値」の値がT4以上である場合には、当該画素位置[x][y]の出力画像(打滴点濃度)を4dropsのドット値(例えば、8ビットで「144」とする。)に決定する。
このN値化で発生した対象点のエラー値は、「濃度値+エラー積算値」から4drops打滴点濃度を減算した値となる。
「濃度値+エラー積算値」の値がT3以上、T4未満である場合には、当該画素位置[x][y]の出力画像(打滴点濃度)を3dropsのドット値(例えば、「112」とする。)に決定する。
このN値化で発生した対象点のエラー値は、「濃度値+エラー積算値」から3drops打滴点濃度を減算した値となる。
「濃度値+エラー積算値」の値がT2以上、T3未満である場合には、当該画素位置[x][y]の出力画像(打滴点濃度)を2dropsのドット値(例えば、「80」とする。)に決定する。
このN倍化で発生した対象点のエラー値は、「濃度値+エラー積算値」から2drops打滴点濃度を減算した値となる。
「濃度億+エラー積算値」の値がT1以上、T2未満である場合には、当該画素位置[x][y]の出力画像(打滴点濃度)を1dropのドット値(例えば、「48」とする。)に決定する。このN倍化で発生した対象点のエラー値は、「濃度値+エラー積算値」から1drop打滴点濃度を減算した値となる。
「濃度値+エラー積算値」の値がT1未満である場合には、当該画素位置[x][y]について打滴無し(打滴点濃度0)とする。このN値化で発生した対象点のエラー値は、「濃度値+エラー積算値」そのものとなる。
図18は、エラー値の拡散方法の一例を示す模式図である。
図18では、対象点[x]で発生したエラー値を隣接する4つの未処理位置に対し、それぞれ同図(a)に示す比率(分配定数)で分配する。
対象ラインに属する全てのx位置について上記のN値化が終了したら、対象ライン(y)を変更する。このとき、対象ライン(y)を移動するのに備えて、エラー積算バッファを更新する。すなわち、図19に示すように、エラー積算バッファをy方向上にスクロールし、新たなラインに対する積算バッファを0に初期化する。
こうして、画像高さ(y方向)分の全ラインについて上記の処理を繰り返し、全画素について打滴種類を決定したら処理を終了する。
N値化処理では、以上のような誤差分散法を用い、画像をN値化する。
まず、供給部12のマガジン30から供給された被記録媒体Pは、加熱ドラム32でデカール処理され、平坦化される。その後、カッタ34で所定長さに切断された後、搬送部14に供給される。
搬送部14に供給された被記録媒体Pは、吸着ベルト搬送部36のベルト38上に載置され、ベルト38の回転と共に搬送される。
吸着ベルト搬送部36により搬送される被記録媒体Pは、加熱ファン44に対向する位置を通過して、所定温度に加熱され、その後、記録ヘッドユニット50に対向する位置を通過する。記録媒体Pは、記録ヘッドユニット50に対向する位置を通過する際に、各記録ヘッドから上述した吐出制御信号に基づいてインク液滴が吐出され、記録媒体上にK、C、M、Yの順で吐出されたインク液滴が着弾し、被記録媒体P上に画像が形成される。
なお、被記録媒体Pが記録ヘッドユニット50と対向する位置を通過する時は、吸着チャンバー39により吸引されており、被記録媒体Pと記録ヘッドユニット50との距離は一定となる。また、被記録媒体Pを搬送しつつ、各記録ヘッド50K,50C,50M,50Yからそれぞれ色インクを吐出することにより被記録媒体P上にカラー画像が形成される。
記録ヘッドユニット50で画像が形成された被記録媒体Pは、さらに、ベルト38により搬送され、後乾燥部53に対向する位置を通過して、インクで形成された画像部が乾燥され、加圧ローラ54で定着されたのち第1排出部58Aから排出される。
画像記録装置10は、以上のようにして、被記録媒体P上に画像を描画(記録)し、プリント、印刷物を作製する。
図20は、制御部22内での、ムラ補正係数及び不吐出補正係数と、画像濃度、ノズル位置(番号)、ムラ/不吐出選択情報との関係の一例を概念的に示す説明図である。ここで、図20に示す例では、不吐出ノズルに起因するムラを、不吐出ノズルの左右2つずつのノズルで補正する場合として説明する。
不吐出補正用LUT(−2位置)212は、ノズル(x)の2つ左側のノズル(つまり、x−2)が不吐出だと仮定した場合に算出した不吐出補正係数が記憶されており、不吐出補正用LUT214は、ノズル(x)の左側に隣接するノズル(x−1)が不吐出だと仮定した場合に算出した不吐出補正係数が記憶されており、不吐出補正用LUT216は、ノズル(x)の右側に隣接するノズル(x+1)が不吐出だと仮定した場合に算出した不吐出補正係数が記憶されており、不吐出補正用LUT218は、ノズル(x)の2つ右側のノズル(つまり、x+2)が不吐出だと仮定した場合に算出した不吐出補正係数が記憶されている。
また、ムラ補正用LUT210、不吐出補正用LUT212、214、216、218には、画素濃度とノズル番号毎に補正係数が記憶されている。
フラグテーブル222には、ノズル番号毎のムラ/不吐出選択情報(フラグデータ)が記憶されている。ここで、本実施例では、左右2つずつのノズルに不吐出ノズルがなく、ムラ補正用LUTの補正係数を使用する場合は0が、ノズルが不吐出ノズルであり、定数を使用する場合が1、2つ左側のノズルが不吐出ノズルであり不吐出補正用LUT(−2位置)212の補正係数を使用する場合は2が、左側に隣接するノズルが不吐出ノズルであり、不吐出補正用LUT(−1位置)214の補正係数を使用する場合は3が、右側に隣接するノズルが不吐出ノズルであり、不吐出補正用LUT(+1位置)216の補正係数を使用する場合は4が、2つ右側のノズルが不吐出ノズルであり不吐出補正用LUT(+2位置)218の補正係数を使用する場合は5が入力されている。なお、このフラグテーブル222は、実際に不吐出ノズルを検出した結果から作成される。
LUT切替部224は、ノズル(x)番号に基づいて、フラグテーブル222から該当するノズル(x)番号のフラグデータ(0〜5)を読み取り、読み取ったフラグデータに対応するLUTから供給される濃度補正係数、または、定数を読み出し、濃度補正係数として補正処理手段に供給する。なお、この際、各LUTには、ノズル(x)番号と入力画像の画素濃度の情報が供給されており、各LUTは、該当するセルに記憶されている補正係数を供給している。
各LUTは、ノズル(x)番号、画素濃度に対応する補正係数を抽出する。次に、選択手段220は、ノズル(x)番号に基づいて、フラグテーブル222から対応するフラグデータを読み出し、使用するLUT(または定数)を選択する。選択手段220によって選択した、補正係数または定数を用いて、画像データを補正し、出力画像とする。
これにより、不吐出ノズルの発生の検出後、不吐出ノズルを加味した補正係数を新たに算出する必要がなくなり、不吐出ノズルの検出後、短時間で、不吐出ノズルに起因する濃度ムラを補正した画像を記録することができる。
このように、補正係数が同一または一定範囲内となる、複数の条件(ノズル位置及び不吐出ノズルとの位置関係)が同一のデータを参照するようにすることで、記憶させるLUTのデータを少なくすることができる。
図21に示す制御部22’は、左右2つずつのノズルに不吐出ノズルがないノズル用のムラ補正係数が記憶されたムラ補正用LUT210と、複数の不吐出補正係数が記憶された1つの不吐出補正用LUT254と、ノズル番号に基づいて不吐出補正用LUT254から対応する不吐出補正係数(の列)を指示(決定)するインデックステーブル256とを有する。
不吐出補正用LUT254は、画素濃度と補正係数の関係が複数記録されているLUTである。また、不吐出補正用LUT254は、画素濃度と補正係数の関係(列)毎にインデックス番号が付されている。
インデックステーブル256は、ノズル(x)毎に、ノズル(x)の2つ左側のノズル(つまり、x−2)が不吐出の場合、ノズル(x)の左側に隣接するノズル(x−1)が不吐出の場合、ノズル(x)の右側に隣接するノズル(x+1)が不吐出の場合、ノズル(x)の2つ右側のノズル(つまり、x+2)が不吐出の場合に不吐出補正用LUT254のどのデータを用いるか記憶されている。つまり、インデックステーブル256は、ノズル(x)の不吐出ノズルとの位置関係毎に適応する画素濃度と補正係数の関係のインデックス番号が記憶されている。
また、選択手段220は、上述した制御部20の選択手段220と同様であるので、その説明は省略する。
ムラ補正用LUT210は、ノズル(x)番号、画素濃度に対応する補正係数を抽出する。次にインデックステーブル256は、ノズル(x)番号に基づいて、不吐出補正用LUT254の中から、不吐出ノズルとの位置関係毎に使用する不吐出補正係数の列を決定する。また、不吐出補正用LUT254は、使用する不吐出補正係数の列から、供給された画素濃度に基づいて、使用する不吐出補正係数を決定する。
次に、選択手段220は、ノズル(x)番号に基づいて、フラグテーブル222から対応するフラグデータを読み出し、使用するLUT(または定数)を選択する。選択手段220によって選択した、補正係数または定数を用いて、画像データを補正し、出力画像とする。
以上のように、インデックステーブルを設け、同一、または類似の傾向の補正係数を1つのデータとすることで、データ量を少なくすることができる。
なお、上記実施形態のように、不吐出補正用LUTを1つとすることでよりデータを少なくすることができるが、例えば、不吐出ノズルに対する位置毎にLUTを設けた場合もインデックステーブルを設け、LUT内において、同一または類似の傾向の補正係数を1つのデータとすることで、データ量を少なくすることができる。
このように、移動されたノズル毎のムラ補正係数(COEF[d][j])は、そのまま、ムラ補正用LUTとして作成される。また、移動されたノズル毎の不吐出左隣補正係数(L_COEF[d][j])、不吐出右隣補正係数(R_COEF[d][j])は、以下の処理により不吐出補正用LUTに、さらに、移動される。
以下に述べる演算がヘッドの全ノズルについて繰り返される(ステップS150)。
まず、t=0とする(ステップS152)。ここで、tは、テーブル番号(インデックス番号)である。
次に、0≦i≦Dmaxにおいて、Lim>(T_COEF[i][t]−R_COEF[i][nzl])2が成り立つかを判定する(ステップS154)。ここで、iは、画像濃度であり、また、Limは、許容誤差であり、T_COEF[i][t]は、既に不吐出補正用LUTに記憶されている不吐出補正係数列であり、テーブル番号がtの不吐出補正係数列である。
このように、R_COEF[i][nzl]とT_COEF[i][t]との各濃度における誤差が一定範囲内であるか否かを判定する。
各濃度における誤差が一定範囲内である場合は、右隣不吐出補正係数参照テーブル(R_TABLE[nzl]、インデックステーブルの該当部分)に登録する(ステップS156)。つまり、R_TABLE[nzl]=tとする。つまり、ノズル番号がnzlで右隣が不吐出ノズルの場合は、T_COEF[i][t]を不吐出補正係数として用いるように設定する。
その後、ステップS170に進む。
次に、全ての登録係数と比較したか(つまり、t>Tmaxであるか)を判定する(ステップS160)。
t≦Tmaxの場合は、ステップS154に進み、新たなtにおいて、Lim>(T_COEF[i][t]−R_COEF[i][nzl])2が成り立つかを判定する。
t>Tmaxの場合は、既に記憶されているT_COEF[i][t]のいずれの許容範囲内にないと判定してステップS162に進む。
ステップS162では、係数を不吐出補正係数テーブルに登録する。具体的には、0≦i≦Dmaxにおいて、T_COEF[i][Tmax+1]=R_COEF[i][nzl]とする。つまり、R_COEF[i][nzl]をT_COEF[i][Tmax+1]の(つまり、Tmax+1番目の)不吐出補正係数列として登録する。
次に、登録係数の総数を増加させる(S164)。つまり、Tmax=Tmax+1として、Tmaxを1つ増加させる。
次に、右隣不吐出補正係数参照テーブル(R_TABLE[nzl]、インデックステーブルの該当部分)に登録する(ステップS166)。つまり、R_TABLE[nzl]=Tmaxとする。つまり、ノズル番号がnzlで右隣が不吐出ノズルの場合は、T_COEF[i][Tmax]を不吐出補正係数として用いるように設定する。
その後、ステップS170に進む。
次に、0≦i≦Dmaxにおいて、Lim>(T_COEF[i][t]−L_COEF[i][nzl])2が成り立つかを判定する(ステップS172)。
つまり、上述した右隣不吐出補正係数と同様に、L_COEF[i][nzl]とT_COEF[i][t]との各濃度における誤差が一定範囲内であるか否かを判定する。
各濃度における誤差が一定範囲内である場合は、左隣不吐出補正係数参照テーブル(L_TABLE[nzl]、インデックステーブルの該当部分)に登録する(ステップS174)。つまり、L_TABLE[nzl]=tとする。つまり、ノズル番号がnzlで左隣が不吐出ノズルの場合は、T_COEF[i][t]を不吐出補正係数として用いるように設定する。
その後、ノズル(nzl)の数を1つ増加させて、上記処理を繰り替えすか、処理を終了する。
次に、全ての登録係数と比較したか(つまり、t>Tmaxであるか)を判定する(ステップS178)。
t≦Tmaxの場合は、ステップS172に進み、新たなtにおいて、Lim>(T_COEF[i][t]−L_COEF[i][nzl])2が成り立つかを判定する。
t>Tmaxの場合は、既に記憶されているT_COEF[i][t]のいずれの許容範囲内にないと判定してステップS180に進む。
ステップS180では、係数を不吐出補正係数テーブルに登録する。具体的には、0≦i≦Dmaxにおいて、T_COEF[i][Tmax+1]=L_COEF[i][nzl]とする。つまり、L_COEF[i][nzl]をT_COEF[i][Tmax+1]の(つまり、Tmax+1番目の)不吐出補正係数列として登録する。
次に、登録係数の総数を増加させる(S182)。つまり、Tmax=Tmax+1として、Tmaxを1つ増加させる。
次に、左隣不吐出補正係数参照テーブル(L_TABLE[nzl]、インデックステーブルの該当部分)に登録する(ステップS184)。つまり、L_TABLE[nzl]=Tmaxとする。つまり、ノズル番号がnzlで左隣が不吐出ノズルの場合は、T_COEF[i][Tmax]を不吐出補正係数として用いるように設定する。
その後、ノズル(nzl)の数を1つ増加させて、上記処理を繰り替えすか、処理を終了する。
以上の処理を繰り返すことで、登録されている不吐出補正係数列に対して所定範囲内(誤差がLimより小さい)となる不吐出補正係数列を1つにまとめることができ、データ量を少なくすることができる。
図23は、ムラ補正実行フローチャートである。
次に、実際に測定した測定不吐出情報(NPN[Nnzl])を読み込む(ステップS212)。ここで、測定不吐出情報は、上述したように、ノズル毎に直線を形成させたテストパターン記録し、各ノズルに対応する直線が形成されているか否かを検出し、不吐出ノズルを検出することで作成することができる。また、測定不吐出情報は、不吐出ノズルがONとされ、正常ノズル(インク液滴を吐出するノズル)がOFFとされた情報である。
次に、読み出した測定不吐出情報に基づいて、各ノズルに対応するテーブルを選択させるムラ/不吐出選択情報(F_npn[])を作成する(ステップS214)。
具体的には、対象ノズル(nzl)の左右のノズルが正常ノズルの場合(NPN[nzl+1]=OFF、かつ、NPN[nzl−1]=OFF)は、F_npn[nzl]=0とし、対象ノズル(nzl)が不吐出ノズルの場合は、F_npn[nzl]=1とし、対象ノズル(nzl)の右ノズルが不吐出の場合(NPN[nzl+1]=ON)の場合は、F_npn[nzl]=2とし、対象ノズル(nzl)の右ノズルが不吐出の場合(NPN[nzl−1]=ON)の場合は、F_npn[nzl]=3とする。
すなわち、ステップS230では、演算対象に係るy値における画像幅方向(x方向)について演算対象の位置(xの値)を定め、このx位置について、x位置に応じたノズル番号(nzl番号)を求め、画素濃度d[x][y]、nzl値に応じたムラ補正係数、不吐出補正係数を濃度毎ムラ補正係数テーブル、不吐出左隣補正係数テーブル、不吐出右隣補正係数テーブルより求める(ステップS233)。
F_npn[nzl]=0の場合は、濃度毎ムラ補正係数テーブル(COEF[d][nzl])から対応するnzl、画像濃度dのムラ補正係数を読み出し、読み出したムラ補正係数を補正係数(f)とする。
F_npn[nzl]=1の場合は、補正係数(f)を定められた定数(例えば、0)とする。
F_npn[nzl]=2の場合は、不吐出左隣補正係数参照テーブル(L_TABLE[Nnzl])から対応するnzlからテーブル番号(t)を読み出し、不吐出補正係数テーブル(T_COEF[Dmax][Tmax])から読み出したテーブル番号(t)、画素濃度[d]に対応するムラ補正係数(T_COEF[d][t])を読み出す。読み出した不吐出補正係数(ムラ補正係数)を補正係数(f)とする。
F_npn[nzl]=3の場合は、不吐出左隣補正係数参照テーブル(R_TABLE[Nnzl])から対応するnzlからテーブル番号(t)を読み出し、不吐出補正係数テーブル(T_COEF[Dmax][Tmax])から読み出したテーブル番号(t)、画素濃度[d]に対応するムラ補正係数(T_COEF[d][t])を読み出す。読み出した不吐出補正係数(ムラ補正係数)を補正係数(f)とする。
そして、この補正係数(f)を用いて、上述した[数16]によって補正演算を実行する(ステップS234)。
全ての画像位置[x][y]について、上記の補正演算が終了したら、本処理は終了する。
インデックステーブルと複数のノズルに共通の不吐出補正係数列を用いる場合は、以上のように処理することで、ムラ補正を行うことができる。
なお、各吐出部で形成される打滴点の径は、例えば、特開2006−264069号公報に記載されているように、各直線の濃度プロファイルを検出し、その直線の幅を検出することで算出することができる。
なお、上記実施形態では、直線としたが、1つの打滴点に基づいて、着弾位置を検出してもよい。
例えば、吐出するインク液滴の大きさを調整できる、つまり、打滴点の大きさを調整できる場合は、吐出するインク液滴を小さくして打滴点を小さくすることで、打滴点と隣接する打滴点とを接触させないようにしてもよい。
このように、打滴点と隣接する打滴点を接触させないことで、各打滴点の基準方向の両端を正確に算出することができる。
また、記録ヘッドユニットをK(黒)インクを吐出する記録ヘッドのみ、つまり、単色の記録ヘッドユニットとし、単色の画像を描画する画像描画装置として用いることもできる。
なお、以下では、濃度補正係数p[i]をdiとし、着弾位置誤差a[i]をxiとしている。
ことで近似できる。今、未知数di’はN個であるから、DC成分の保存条件も含めると、N−1次までの微分係数がゼロの条件を用いれば、全ての(N個の)未知数di’が厳密に定まる。このようにして、以下の補正条件が定まる。
微分係数をゼロにすることが可能になるため、低周波エネルギーがより小さくなり、ムラの視認性は一層低減する。
12 供給部
14 搬送部
16 描画部
18 加熱加圧部
20 排出部
22 制御部
24 スキャナ
30 マガジン
32 加熱ドラム
34、56 カッタ
34A、56A 固定刃
34B、56B 丸刃
36 吸着ベルト搬送部
38 ベルト
39 吸着チャンバー
40 ファン
42 ベルト清掃部
44 加熱ファン
46 後乾燥部
50 記録ヘッドユニット
50K、50C、50M、50Y 記録ヘッド(インクジェットヘッド)
52 インク貯蔵/装填部
54 加圧ローラ
58 排出部
60 吐出部
61 インク室ユニット
62 ノズル
63 圧力室
64 供給口
65 共通流路
66 アクチュエータ
67 加圧板
68 個別電極
70 インク供給タンク
72 フィルタ
74 キャップ
76 クリーニングブレード
77 吸引ポンプ
78 回収タンク
80 通信インターフェース
82 システムコントローラ
84 画像メモリ
86 モータドライバ
88 ヒートドライバ
90 プリント制御部
92 画像バッファメモリ
94 ヘッドドライバ
96 ホストコンピュータ
98 モータ
99 ヒータ
P 被記録媒体
Claims (7)
- インク液滴を吐出する記録素子を複数有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と、
予めテストパターンで読み取った記録素子毎のムラ情報に基づいて画素濃度毎に演算したムラ補正係数値を、前記記録素子の記録特性の一つとして記憶するムラ補正係数算出記憶手段と、
各記録素子に対して、予めテストパターンで読み取った記録素子毎のムラ情報に基づいて画素濃度毎に演算した近傍の記録素子が不吐出となった場合の不吐出補正係数値を、前記記録特性の一つとして記憶する不吐出補正係数算出記憶手段と、
前記記録素子の不吐出情報を検出する不吐出情報検出手段と、
画素濃度と各記録素子の不吐出情報によって、前記濃度補正係数算出記憶手段及び不吐出補正係数算出記憶手段から前記記録素子の記録特性を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択した記録特性に基づいて、濃度信号の画素濃度を補正する補正処理手段と、
前記補正処理手段により補正した出力濃度に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御手段とを備えることを特徴とする画像記録装置。 - 前記不吐出補正係数算出記憶手段は、不吐出ノズルに対する位置毎に不吐出補正係数値を算出し記憶する請求項1に記載の画像記録装置。
- 前記不吐出補正係数算出記憶手段は、複数のムラ補正係数を記憶したルックアップテーブルと、各記録素子とルックアップテーブルの不吐出補正係数値とを不吐出ノズルに対する位置毎に対応させるインデックステーブルと有し、
前記インデックステーブルは、前記ルックアップテーブルに記憶されたムラ補正係数の一定範囲内のムラ補正係数の記録素子には、該ムラ補正係数と対応付ける請求項1に記載の画像記録装置。 - 前記補正係数決定手段は、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて前記補正記録素子の濃度補正係数を決定する補正係数決定手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像記録装置。
- 前記補正条件は、濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点における微分係数が略0となる条件であることを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
- 前記補正条件は、空間周波数の直流成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件より得られるN本の連立方程式で表されることを特徴とする請求項5記載の画像記録装置。
- インク液滴を吐出する記録素子を複数有する記録ヘッドと、前記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と有し、前記搬送手段により前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対的に走査させつつ前記記録ヘッドにより前記記録媒体上に画像を形成する画像記録方法であって、
テストパターンで読み取った記録素子毎のムラ情報に基づいて画素濃度毎に演算したムラ補正係数値を、前記記録素子の記録特性の一つとして記憶するムラ補正係数算出記憶ステップと、
各記録素子に対して、テストパターンで読み取った記録素子毎のムラ情報に基づいて画素濃度毎に演算した近傍の記録素子が不吐出となった場合の不吐出補正係数値を、前記記録特性の一つとして記憶する不吐出補正係数算出記憶ステップと、
前記記録素子の不吐出情報を検出する不吐出情報検出ステップと、
画素濃度と各記録素子の不吐出情報によって、前記濃度補正係数算出記憶ステップ及び不吐出補正係数算出記憶ステップで記憶した記録特性から前記記録素子の記録特性を選択する選択ステップと、
前記選択手段で選択した記録特性に基づいて、濃度信号の画素濃度を補正する補正処理ステップと、
前記補正処理ステップで補正した出力濃度に基づいて前記記録素子の駆動を制御し、前記記録媒体上に画像を出力する画像出力ステップとを有することを特徴とする画像記録方法。
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