JP7131204B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
液滴塗布率が15%未満である場合、「粒状性」が視認されやすい(視認感度“○”)。「欠の白スジ、補完不足の白スジ」は、この階調においては目立ちにくいが、視認はされる(視認感度“△”)。「過剰補完の黒スジ」は、この階調においては視認され易い(視認感度“○”)。したがって、液滴塗布率が15%未満の場合には、粒状性を損なわず、かつ、黒スジを発生させる原因となる過剰補完を行うことなく、白スジを目立たなくするような補完を行うことが望ましい。
液滴塗布率が15%以上40%未満である場合、「粒状性」は視認されにくい(視認感度“△”)が、「欠の白スジ、補完不足の白スジ」は、視認されやすい(視認感度“○”)。一方、「過剰補完の黒スジ」は、この階調では視認されにくくなる(視認感度“×”)。印刷媒体Pが布である場合、布は紙と比べて光沢がなく、表面に落ちたインクの反射も少ない。また、布を構成する糸の吸湿性は紙を構成する繊維のそれと比較して高く、布を構成する糸と糸との間には隙間が存在するため、布に着弾したインクは、紙に着弾したインクと比べて周囲に広がりにくい。これらの理由により、印刷媒体Pが布である場合、液滴塗布率が15%以上であれば黒スジは目立たなくなる。したがって、この階調においては、粒状性を損なうことなく、白スジを目立たなくするような補完を行うことが望ましい。
液滴塗布率が40%以上である場合、「粒状性」及び「過剰補完の黒スジ」は視認されにくい(視認感度“×”)が、「欠の白スジ、補完不足の白スジ」は視認されやすい(視認感度“○”)。したがって、この階調においては、過剰にインクを補完したとしても黒スジは目立たないため、視認され易い白スジをより重点的に補完する目的で、より大きな液滴で補完を行うことが望ましい。
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の構成例について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置1の全体構成図である。なお、図2には、本発明の説明に必要と考える要素又はその関連要素を記載しており、本発明の画像形成システムは図2に示す例に限定されない。
次に、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の制御系の構成について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の制御系の構成を示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、制御部60と、入出力インターフェース70と、記録部4と、搬送駆動部71と、操作表示部72と、画像読取部11と、ハーフトーン処理部41と、ノズル特定部42と、記録制御部43とを備える。
次に、図5及び図6を参照して、ハーフトーン処理部41による液滴のサイズ及びドット率の制御例について説明する。図5は、ハーフトーン処理部41によるドット率の制御例を示すグラフである。図5において、小液滴は実線で示され、中液滴は破線で示され、大液滴は一点鎖線で示される。図6は、ハーフトーン処理部41による液滴のサイズの制御例を示すグラフである。図6の縦軸はドット率を示し、横軸は液滴塗布率(%)を示す。
(液滴のサイズ)
液滴塗布率が最大インク量の15%以下の場合、ハーフトーン処理部41は、図6に示すように、画素値“1”(小液滴)のみで印画を行う。この階調においては、粒状性(画像の粗さ)が問題になりやすいため、本実施形態では、大粒な液滴を使わず最小な液滴(小液滴)を用いる。
液滴塗布率が最大インク量の15%以下の場合、ハーフトーン処理部41は、図5に示すように、ドット率を最大で40%までに抑える制御を行う。液滴塗布率が最大インク量の15%以下の場合、上述のように、画素値“1”(小液滴)のみで印画が行われる。小液滴は液滴の径が小さいため、印刷媒体Pに着弾したインクも、隣接するノズルがインクを吐出できなかったことにより欠になった液滴を補完できる程度にまで広がることはない。したがって、印刷媒体Pに着弾した液滴間の隙間がある程度空くようなドット率(上限40%)に制御することにより、白スジが発生した場合にもそれを目立ちにくくすることができる。ドット率が50%を超えると、ノズル列方向に連続したドット配置が多くなり、隣接するドットも印画されやすくなるため、ハーフトーン処理部41は、ドット率を40%までに抑える制御を行う。
(液滴のサイズ)
液滴塗布率が最大インク量の15%以上40%未満の場合、ハーフトーン処理部41は、図6に示すように、画素値“1”(小液滴)及び“2”(中液滴)を用いて印画を行う。インクの濃度は、小液滴のドットを中液滴に置き換えることにより高くする。
(ドット率)
液滴塗布率が最大インク量の15%以上40%未満の場合、ハーフトーン処理部41は、図5に示すように、ドット率を最大で40%までに抑える制御を行う。図1に示したように、この階調においても黒スジよりも白スジが目立つため、印刷媒体Pに着弾した液滴間の隙間をある程度空けて白スジを目立たなくすることを可能とする制御(ドット率を最大で40%までに抑える制御)を行う。
(液滴のサイズ)
(1)液滴塗布率が最大インク量の40%以上60%(第3の閾値の一例)未満の場合
液滴塗布率が最大インク量の40%以上60%未満の場合、ハーフトーン処理部41は、図6に示すように、画素値“2”(中液滴)のみを用いて印画を行う。
(2)(1)液滴塗布率が最大インク量の60%以上の場合
液滴塗布率が最大インク量の60%以上の場合、ハーフトーン処理部41は、図6に示すように、画素値“2”(中液滴)及び画素値“3”(大液滴)を用いて印画を行う。
液滴塗布率が最大インク量の40%以上となる場合、ハーフトーン処理部41は、図6に示すように、ドット率は最大で60%までに抑える制御を行う。液滴塗布率が最大インク量の40%以上の階調においては、図1に示したように、白スジが視認され易いのに対して黒スジは視認され難い。このため、できる限り大きな液滴で補完を行うことによって、より効率的に白スジを目立たなくすることができる。しかしながら、本実施形態に係るインクジェット記録装置1はワンパス方式を採用しているため、印画時にノズルが吐出可能な最大量のインクを吐出してしまうと、補完ができなくなってしまう。
次に、図7~図11を参照して、記録制御部43による補完値設定処理の例について説明する。図7は、液滴塗布率が15%以下である場合において効果的な補完の例を示す図であり、図8は、液滴塗布率が20%付近である場合において効果的な補完の例を示す図である。図9は、液滴塗布率が30%付近である場合において効果的な補完の例を示す図であり、図10は、液滴塗布率が60%付近である場合において効果的な補完の例を示す図である。図11は、液滴塗布率が100%である場合において効果的な補完の例を示す図である。
次に、図13を参照して、記録制御部43による補完ノズルへの補完値の振り分け(加算)処理の例について説明する。図13は、記録制御部43による補完ノズルへの補完値の振り分け処理の例を示す図である。
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得る。
上述の実施形態に係るインクジェット記録装置1では、記録制御部43が、一つの画素行毎に補完値を第1の補完ノズルと第2の補完ノズルとに振り分ける(加算する)例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、記録制御部43は、第1の補完ノズル及び第2の補完ノズルのうち、吐出する予定であった液滴量に対応する画素値が小さい方の補完ノズルに対して、補完値を振り分けてもよい。
また、上述の実施形態では、記録制御部43は、第1の補完ノズル又は第2の補完ノズルにインクを振り分けられなかった場合には、振り分けられなかった分のインクを破棄するしかないが、振り分けられなかった分のインクを一時的に保持する機能を設けてもよい。ここで、図15を参照して、記録制御部43が未振り分け部のインクを一時的に保持する機能を有する場合(変形例2)における、記録制御部43による補完ノズルへの補完値の振り分け処理の例について説明する。図15は、変形例2に係る記録制御部43による補完ノズルへの補完値の振り分け処理の例を示す図である。
また、上述の実施形態及び変形例2では、記録制御部43が、画素行毎に補完値を第1の補完ノズル又は第2の補完ノズルに振り分ける例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、記録制御部43は、記録部4のインクジェットヘッド242の傾き、又は、ノズル243から吐出されるインクの印刷媒体への着弾位置のずれを生む各種外乱の内容に応じて、第1の補完ノズル及び第2の補完ノズルのいずれかを選択してもよい。
Claims (10)
- 第1の方向に配置された、画像データにハーフトーン処理を施すことにより得られる記録データにおける各画素値の大きさに対応した液滴量のインクを吐出可能な複数のノズルを有する記録部と、
前記第1の方向と直交する第2の方向に、前記記録部と印刷媒体とを相対移動させる搬送部と、
前記記録データに基づいて前記複数のノズルを選択的に動作させることにより、前記印刷媒体に画像を形成させる制御部と、
前記複数のノズルのうちの、前記インクが正常に吐出されないノズルを不良ノズルとして特定するとともに、前記第1の方向における前記不良ノズルの配置位置である第1の位置に隣接する第2の位置に配置されている前記ノズルを、前記不良ノズルが吐出する予定であったインクを補う補完ノズルに設定するノズル特定部と、
前記不良ノズルから前記インクが吐出されないように前記記録データを編集するとともに、前記不良ノズルが吐出する予定であったインクの液滴量に対応する第1の画素値の大きさに基づいて補完値を設定し、該補完値を、前記補完ノズルが吐出する予定であったインクの液滴量に対応する第3の画素値に加算し、該加算により得られた加算後画素値に対応する液滴量のインクを、前記補完ノズルから吐出させる記録制御部と、を備え、
前記記録データにおける画素値は、“0”と、小液滴での描画に対応付けられた第1の所定値と、前記第1の所定値よりも大きく、小液滴又は中液滴での描画に対応付けられた第2の所定値と、前記第2の所定値よりも大きく、大液滴での描画に対応付けられた第3の所定値と、を含み、
前記記録制御部は、前記第1の画素値が“0”の場合、前記補完値を“0”に設定し、前記第1の画素値が前記第1の所定値である場合、前記第1の所定値と同じ画素値を前記補完値に設定し、前記第1の画素値が前記第2の所定値である場合、前記第2の所定値より大きい画素値であり、かつ、前記第3の所定値以下である画素値を前記補完値に設定し、前記第1の画素値が前記第3の所定値である場合、前記第3の所定値と同じ画素値を前記補完値に設定する
インクジェット記録装置。 - 前記印刷媒体は、糸状に加工された繊維で構成される布である
請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録データにおける画素値は、“0”、“1”、“2”及び“3”の4階調よりなり、
前記記録制御部は、前記第1の画素値が“0”の場合、前記補完値を“0”に設定し、前記第1の画素値が“1”の場合、“1”の画素値を前記補完値に設定し、前記第1の画素値が“2”の場合、“3”の画素値を前記補完値に設定し、前記第1の画素値が“3”の場合、“3”の画素値を前記補完値に設定する
請求項2に記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録制御部は、前記第3の画素値に前記補完値を加算して得られる加算後画素値に対応する液滴量が、前記補完ノズルから吐出可能な最大液滴量を上回る場合、前記最大液滴量まで画素値を加算し、前記加算後画素値と、前記最大液滴量に対応する最大画素値との差分を、前記第1の位置に隣接するノズルのうちの、前記補完ノズル以外のノズルが吐出する液滴量に対応する第4の画素値に加算する
請求項3に記載のインクジェット記録装置。 - 前記ノズル特定部は、前記第1の位置に隣接する第2の位置に配置されている前記ノズルを第1の補完ノズルに設定し、前記第1の位置に隣接する、前記第2の位置以外の第3の位置に配置されている前記ノズルを第2の補完ノズルに設定する
請求項4に記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録制御部は、前記補完値を加算する対象とする前記第1の補完ノズル又は前記第2の補完ノズルを、前記記録部が1画素行分の走査を行う毎に交互に切り替える
請求項5に記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録制御部は、前記第1の補完ノズルが吐出する予定であった液滴量に対応する画素値と、前記第2の補完ノズルが吐出する予定であった液滴量に対応する画素値とを比較し、前記画素値が小さい方の補完ノズルを対象として、前記補完値の加算処理を行う
請求項5に記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録制御部は、前記記録部の傾き又は前記ノズルから吐出されるインクの前記印刷媒体への着弾位置のずれを含む各種外乱の内容に応じて、前記第3の画素値又は前記第4の画素値に応じた補完値の加算処理を行う
請求項7に記載のインクジェット記録装置。 - 入力された前記画像データに前記ハーフトーン処理を施すことにより前記記録データを生成するハーフトーン処理部をさらに備え、
前記ハーフトーン処理部は、前記画像データの画素値が第1の閾値未満の場合、“不吐出”及び“小液滴”で表される記録データを生成し、前記画像データの画素値が前記第1の閾値以上であり、かつ、前記第1の閾値より大きい第2の閾値未満である場合、“不吐出”、“小液滴”及び“中液滴”で表される記録データを生成し、前記画像データの画素値が前記第2の閾値以上であり、かつ、前記第2の閾値より大きい第3の閾値未満である場合、“不吐出”及び“中液滴”で表される記録データを生成し、前記画像データの画素値が前記第3の閾値以上である場合、“不吐出”、“中液滴”及び“大液滴”で表される記録データを生成し、かつ、前記画像データの画素値が最大値である場合にも、“不吐出”が割り当てられる画素の発生率が略33%を下回らない記録データを生成する
請求項1~8のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記第3の閾値は、前記画像データの画素値の最大値である
請求項9に記載のインクジェット記録装置。
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