JP2009254821A - 手術用電源供給装置 - Google Patents

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興 清水
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Abstract

【課題】手術用電源供給装置を提供することである。
【解決手段】処置具に電力を出力する手術用電源供給装置は、前記処置具の温度を検出する温度検出部と、前記検出された温度に基づいて、前記処置具の異常を検出する異常検出部とを具備する。前記温度検出部は、前記処置具の電気的容量を測定することによって温度を検出するか、または前記処置具の温度を温度測定デバイスを用いて直接測定する。さらに具体的には、前記異常検出部は、前記処置具の単位時間当たりの温度変化量が予め定めた閾値を超えたか否かにより異常を検出する。そして前記異常検出部が、異常を検出した場合に、前記処置具への電力の出力を停止する。上記のように異常を検出することにより、処置具の破損を未然に防止することができる。
【選択図】 図8

Description

本発明は、手術用電源供給装置に関する。
手術用電源供給装置として、超音波振動子用駆動装置が従来から知られている。例えば、特許文献1では、フェーズ・ロック・ループ(PLL)制御によって共振周波数が出力されるプローブについて記載され、また特許文献2では、超音波外科システムにおける不良ハンドピースの破損と、不良ブレードの破損とを、識別する方法について開示している。さらに特許文献3では、測定されたインピーダンスの差を評価することによって負荷をかけられたブレードと、クラックが入ったブレードとの違いを明らかする方法が開示されている。
特開2005−102811号公報 特開2003−159259号公報 米国特許出願公開第2002/0049551号明細書
しかしながら、より早期に処置具例えばプローブのクラックを発見し、プローブの破損を生じる前にプローブを交換することが要望される。
本発明の第1の側面は、処置具に電力を出力する手術用電源供給装置に関し、前記処置具の温度を検出する温度検出部と、前記検出された温度に基づいて、前記処置具の異常を検出する異常検出部と、を具備する。
また、本発明の第2の側面は、第1の側面に関しており、前記温度検出部は、前記処置具の電気的容量を測定することによって温度を検出するか、または前記処置具の温度を温度測定デバイスを用いて直接測定する。
また、本発明の第3の側面は、第1の側面に関しており、前記異常検出部は、前記処置具の単位時間当たりの温度変化量が予め定めた閾値を超えたか否かにより異常を検出する。
また、本発明の第4の側面は、第1乃至第3のいずれかの側面に関しており、前記異常検出部は、さらに前記処置具の単位時間当たりの共振周波数の変動量が、予め定められた単位時間当たりの温度変化から生じる共振周波数の変動量を超えているか否かにより異常を検出する。
また、本発明の第5の側面は、第1乃至第3のいずれかの側面に関しており、前記異常検出部が、異常を検出した場合に、前記処置具への電力の出力を停止する。
また、本発明の第6の側面は、第1乃至第3のいずれかの側面に関しており、前記処置具は、超音波振動子と、この超音波振動子の振動を先端に伝達するプローブとを具備し、前記出力される電力は、前記超音波振動子を駆動する超音波電力である。
処置具例えばプローブのクラックの早期発見により、医療従事者は、プローブの破損を生じる前にプローブを交換することができ、そしてより安全に患者の処置を継続することができる。
超音波手術システムの外観斜視図である。 超音波手術システムの概略構成を示す図である。 超音波電源ユニットで発生される駆動電流がハンドピース側に流れる様子を示す図である。 電圧の位相と電流の位相との関係を示す図である。 共振周波数frを探査(スキャン)する手順を説明するための図である。 図6の(A)は、プローブの部分を拡大して示す図である。図6の(B)および(C)は、プローブが正常な状態からクラックが入ったときのPLL制御中のインピーダンスZ、電流I,および位相差(θV−θI)の周波数依存性を示すグラフである。 第1の実施の形態を説明するための容量成分の変動の要因の大きさを示す模式図である。 超音波手術システムにおいて超音波電源ユニットの各部の機能を説明するための機能ブロック図である。 第1の実施の形態に係るプローブの異常を検出するフロー図である。 第2の実施の形態に係るプローブの異常を検出するフロー図である。 第3の実施の形態に係るプローブの異常を検出するフロー図である。 第4の実施の形態に係る超音波手術システムにおいて超音波電源ユニットの各部の機能を説明するための機能ブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。患者の腹腔内の様子を観察するためのスコープと、該腹腔内で処置を行うための処置具とを用いて患部の処置を行う内視鏡下外科手術が知られている。図1は、このような内視鏡下外科手術の一例として用いられる超音波手術システムの外観斜視図である。該超音波手術システムは、手術器具である超音波振動子を駆動するための超音波出力を発生する手術用電源供給装置としての超音波電源ユニット1と、ケーブルを介して超音波電源ユニット1から供給される超音波出力を用いて処置を行う超音波手術器具としてのハンドピース2と、ケーブルを介して超音波電源ユニット1に接続され、該超音波電源ユニット1からの超音波出力を制御するためのフットスイッチ3とから構成される。超音波振動子としては、例えばボルト締めランジュバン型振動子(Bolt−clamped Langevin Type Transducer:BLT)が知られている。
図2は、ハンドピース2は、ハンドル4を有し、図示せぬ超音波振動子が内蔵されたハンドピース本体部2aと、前記超音波振動子の振動を処置部5に伝達するプローブ2bとから構成される。超音波電源ユニット1は超音波振動子を振動させるための電気エネルギを発生する超音波発振回路1aを備えている。超音波電源ユニット1から出力された電気信号はハンドピース本体部2a内部の超音波振動子により機械振動(超音波振動)に変換されたあとプローブ2bにより処置部5に伝達される。処置部5には、プローブ2bの先端に対して開閉駆動されるジョーと呼ばれる把持部6が設けられている。ハンドル4を操作すると把持部6がプローブ2bの先端に対して開閉駆動されて、プローブ2bの先端と把持部6との間に生体組織を挟み込んで超音波振動による摩擦熱により生体組織の凝固、切開が行われる。
このプローブ2bは術中にカンシやクリップに接触した際につく傷により、クラックが発生する。術中のプローブ2bにクラックが生じた場合には、早急に超音波振動を中止し、新たなプローブへの交換が必要となる。仮にクラックが入った状態で手術を継続した場合にはプローブ部分が破損し脱落することも考えられる。従ってこのクラックの発生を早期に発見し、医療従事者にクラックの発生を告知することが必要となっている。以下では超音波手術システムについて詳述し、プローブのクラックの発生を早期に正確に発見する装置および方法について記載する。
図3〜図5は、超音波手術システムにおける超音波駆動の制御方法を説明するための図である。図3において超音波発振回路1aでは正弦波の駆動電圧VSINが発生される。これに対応する正弦波の駆動電流ISINがハンドピース本体部2a内部の超音波振動子に流れると、超音波振動子は当該電気信号を機械振動に変換してプローブ2bの先端に伝える。
このような超音波駆動において、一定の発振周波数で超音波出力すると図4の(A)に示すように電圧Vと電流Iとの間に位相差が生じるので駆動効率が低下する。そこで、超音波電源ユニット1内に制御回路を設け、この制御回路によってこれら電圧Vと電流Iの間の位相差が0になる(図4の(B))共振点を探索して超音波振動子の駆動を行なう。
例えば図5において、横軸は周波数fであり、縦軸はインピーダンスZ、電流I、位相差(θV−θI)である。(θV−θI)は位相差を示している。本実施形態では、順次周波数を変えながらインピーダンスZが最も低くなる点を探索(スキャン)して位相差(θV−θI)が0になる共振周波数frを検出する。制御回路1cは検出した共振周波数frで超音波振動子の駆動を開始する。
(第1の実施の形態)
図6の(A)〜(C)は、第1の実施形態に係るハンドピース2の異常を探査する方法を説明するための図である。図6の(A)は、ハンドピース2のプローブ2bの部分を拡大して示す図である。この図は、プローブ2bにクラック10が入った状態を模式的に示している。ここでクラックとは、必ずしも肉眼で確認できるようなクラックのみを意味するものではなく、例えば内部亀裂のような外観に現れないクラックや、金属疲労等の初期に現れるマイクロクラックのようなものも含まれる。実際のクラックの測定も、肉眼観察だけに限られず、拡大鏡、金属顕微鏡等による微視的観察、さらには電子顕微鏡によるミクロンオーダのクラック(マイクロクラック)の観察も行っている。
正常なプローブにクラックが入るまで、インピーダンスZと、位相差(θV−θI)とにどのような変動が起こるかを詳細に計測した。その結果を以下に示す。
図6の(B)および(C)は、プローブ2bが正常な状態からクラックが入ったときのPLL制御中のインピーダンスZ、電流I,および位相差(θV−θI)の周波数依存性を示すグラフである。図6の(B)では、プローブには未だ傷がなく、正常な状態のインピーダンスZ、電流I、および位相差(θV−θI)が示されている。PLL制御により位相差(θV−θI)がゼロ度となるように周波数が変動されている。この図において、インピーダンスZが一番低くなる近傍で位相差(θV−θI)もゼロ度になっている。従ってこの周波数frが、共振周波数である。
図6の(C)では、プローブ2bにクラックが入った後、PLL制御がなされているときのインピーダンスZ、電流I,および位相差(θV−θI)のグラフを示す。クラックが入った場合には位相差(θV−θI)が大きくずれ、インピーダンスも大きく変動すると考えられる。そしてインピーダンスZが最小となるようにPLL制御がなされ、新たな共振周波数fr’を探査する。図6の(C)は、探査後のインピーダンスZ、電流I,および位相差(θV−θI)であり、新たな共振周波数fr’にて位相差(θV−θI)がゼロ近傍となるように制御されていることが判る。しかしインピーダンスZの最小値は、図6の(B)に比べ上昇しており、位相差(θV−θI)の値もクラック前のゼロ値(破線)よりもΔPだけ高い値(点線)にあることが判る。図6の(B)および(C)の位相差(θV−θI)の表示はあくまでも理解しやすいように正負の大きさの度合い、および極性を模式的に矩形状で示したものである。位相差(θV−θI)の変動を示すΔPはプローブのクラック以外の他の要因でも生じ得るが、その値は数度以下であり、10度を超える変動はクラックによるものである。
PLL制御を行っても、このプローブ2bに入ったクラックによって、インピーダンスZが変動する。特にインピーダンスの電気的容量成分が上昇している。この電気的容量成分の上昇原因は、手術器具である超音波振動子の温度上昇によるものであることが判った。
超音波振動子の温度上昇はプローブ2bにクラックが入ったため完全な超音波振動子の振動伝達素子としての機能を十分に発揮することができず、クラックにより生じる意図しない他の振動モードが生じるためと考えられる。意図しない他の振動モードは正常な振動モードに重畳され、または正常な振動モードを乱す。さらに正常な振動モードと意図しない他の振動モードとが干渉し、周期的な大きな振動モードを生じる場合もある。これらの振動モードにより超音波振動子は異常な発熱を起こし、その発熱が電気的容量の増加を引き起こすと考えられる。
図7は手術器具である超音波振動子を含むハンドピース2の電気的容量成分の変動の要因の大きさをその矢印の大きさで現したものである。容量成分の変動は、製造時の製品のばらつき、使用環境温度、および使用中の温度上昇の順に大きくなっている。このことより通常の使用による温度上昇に比べ、プローブ2bのクラック10により意図しない振動モードが発生した場合には、さらに温度が上昇するため、それによる容量成分の変動が一番大きいことが理解できる。超音波振動子のタイプによって通常の使用中の温度上昇は異なり、ある超音波振動子のタイプでは使用中に最高で10℃の温度上昇が認められ、また他の超音波振動子のタイプでは最高で30℃の温度上昇が見られた。これらの超音波振動子の温度上昇によって電気的容量は約72〜180pFの変動が見られた。この超音波振動子の温度上昇と、共振器周波数の変動との相関は事前に測定することができる。また超音波振動子の温度は、その超音波振動子の電気的容量(キャパシタンス)と良好な相関があることも判っている。したがって超音波振動子の温度は例えばその超音波振動子の電気的容量を測定することにより精度良く求めることができ、その温度によって共振周波数の変動量も予測することができる。
このように超音波振動子の異常な発熱により電気的容量が変化し、この電気的容量を含むインピーダンスも変化する。これによりインピーダンスの周波数特性が変わり、電流・電圧の位相差(θV−θI)の周波数依存性も変わったものと考えられる。これらの結果より、PLL制御中の超音波振動子の温度、若しくは超音波振動子を含むハンドピース2の温度をモニターすることによりプローブ2bにクラック10が入ったことを測定することができる。
また直接ハンドピース2の超音波振動子の温度を温度測定デバイスであるサーミスタ若しくは熱電対によって測定することもできる。以下で記載する温度測定は、上記電気的容量測定によって算出された温度測定を意味する場合と、直接にサーミスタ又は熱電対を使用して測定された温度測定を意味する場合との両方が含まれる。
図8は、超音波手術システムにおいて超音波電源ユニット1の各部の機能を説明するための機能ブロック図である。ハンドピース2が超音波電源ユニット1にコネクタ1eを介して接続されている。超音波電源ユニット1内には、超音波発振回路1a、出力電圧・出力電流検出回路1f、インピーダンス検出回路1g、共振周波数検出回路lh、温度検知回路1b、フットスイッチ検知回路1d、制御回路1cが設けられている。超音波発振回路1aは、ハンドピース2内部の超音波振動子を駆動するための駆動信号を発生する部分である。フットスイッチ検出回路1dはフットスイッチ3が術者により操作されたことを検出する部分である。
術者によってフットスイッチ3が操作された場合、操作信号はフットスイッチ検出回路1dを介して制御回路1cに伝達される。制御回路1cは超音波発振回路1aから超音波電力をハンドピース2に出力するように制御する。
出力電圧・出力電流検出回路1fは、超音波発振回路1aから超音波振動子に供給される電力の出力電圧、および出力電流を検出する部分である。出力電圧・出力電流検出回路1fによって検出された出力電圧および出力電流の値は、インピーダンス検出回路1gおよび共振周波数検出回路lhに入力される。インピーダンス検出回路1gは入力された出力電圧、出力電流の値およびその位相差に基づいてハンドピース2のインピーダンス検出アルゴリズムを用いてインピーダンスを検出する。ここで計測されたインピーダンスは、電気的容量成分と電気的コンダクタンス成分とに分離することができる。後述する温度測定において電気的容量成分を用いて温度を算出することができる。
共振周波数検出回路1hは出力電圧・出力電流検出回路1fによって検出された出力電圧および出力電流から実際にプローブ2bに掃引されている周波数を検出し、同時にインピーダンス検出回路1gから送信されたインピーダンスの値の変化をモニタする。インピーダンスの値が急峻に変化する周波数を求め共振周波数として検出する。
温度検出回路1bはハンドピース2の電気的容量測定より温度を算出してもよいし、ハンドピース2に設置されたサーミスタ又は熱電対を用いて直接温度を測定してもよい。インピーダンス検出回路1gは、測定された電気的容量を温度検出回路1bに送信し、温度検出回路1bは送信された電気的容量を予め測定した温度と電気的容量との相関関係より温度を算出することができる。また直接温度を測定する方法として例えばサーミスタ又は熱電対によって検出された信号が温度検出回路1bに導入され、経時的に温度測定がなされてもよい。温度検出回路1bで測定された温度は内部の記憶部分に記憶される。具体的には単位時間当たり例えば5msec間隔で温度の値を記憶部分であるメモリに保存し、順次計測された温度の値と先に保存された温度の値とを比較する。さらに5msec間隔で計測された温度の値を5msec前、10msec前、15msec前等に計測された複数の温度の値と比較し、温度の値の変動が異常でないかどうかを判断する。
上記の流れを図8のブロック図および図9のフロー図を使用して説明する。まず超音波を用いたプローブ2bにより患者の腹腔内の手術を行う場合、制御回路1cはPLL制御を開始し、異常検出回路1kは初期の超音波振動子の温度を検出し保存する(ステップS1)。PLL制御はエネルギー効率を上げて手術を行うために超音波プローブにおいて必要な制御である。超音波発振回路1aから超音波電力をハンドピース2に出力中は、異常検出回路1kは、一定のサンプリング時間を定め温度の変動を監視する(ステップS2)。監視された温度は、先に検出された複数の温度と比較される。例えば異常検出回路1kはサンプリング時間を5msecと定め、先に検出された20サンプルの温度(5msec×20サンプル=100msec間の温度測定値)の各々と、または先に検出された20サンプルの温度の平均値と、現在検出された温度とを比較する。異常検出回路1kは温度を予め定めた閾値たとえば30℃と比較し(ステップS3)、この閾値より大きい場合にはプローブの異常と判断する(ステップS4)。閾値よりも低い場合には、異常検出回路1kはプローブ2bが正常であると判断し、ステップS2に戻って温度の変動の監視を継続する。
実際に測定された温度の値とプローブ2bのクラックの発生状況との相関を測定した。その結果、温度の変動が30℃を超える場合には目視で確認できるクラック、若しくは電子顕微鏡で確認されるマイクロクラックが発生していた。
さらに、異常と判断した場合には超音波出力を停止もしくはシャットダウンすることができ、クラック以上のプローブの破損、脱落を防止することはできる。
(効果)
本実施形態によれば、電気的容量の測定に基づき、または直接測定に基づき温度を検出し、この温度の変動値をモニタすることにより、通常の手術による組織の切除等で生じる通常の使用の温度変動値とは異なる温度変動値を異常として検出することにより、プローブのクラックの発生を瞬時に容易に把握することができる。このプローブクラックの早期発見により、医療従事者は、プローブの破損を生じる前にプローブを交換することができ、そして安全に患者の処置を継続することができる。
(第2の実施の形態)
以下に本発明の第2実施形態について図10のフロー図を使用して説明する。ここでは第1の実施の形態と異なる部分のみ説明する。図9のフロー図のステップS1およびS2は図10のフロー図のステップS11およびS12に対応するものであるので詳細な説明は省略する。
ステップS12にて監視された温度は、先に検出された複数の温度と比較される。例えば異常検出回路1kは温度の単位時間当たり(100msec)の変動を予め定めた閾値たとえば1℃/100msecと比較し(ステップS13)、この閾値より大きい場合にはプローブの異常と判断する(ステップS14)。閾値よりも低い場合には、異常検出回路1kはプローブ2bが正常であると判断し、ステップS12に戻って温度の変動の監視を継続する。
実際に測定された温度の値とプローブ2bのクラックの発生状況との相関を測定した。その結果、単位時間当たりの温度の変動が5℃/100msecを超える場合には目視で確認できるクラック、若しくは電子顕微鏡で確認されるマイクロクラックが発生していた。
さらに、異常と判断した場合には超音波出力を停止もしくはシャットダウンすることができ、クラック以上のプローブの破損、脱落を防止することはできる。
(効果)
本実施形態によれば、温度を検出し、この温度の単位時間当たりの温度変動値をモニタすることにより、通常の手術による組織の切除等で生じる通常の温度変動値とは異なる温度変動値を異常として検出することにより、プローブのクラックの発生を瞬時に容易に把握することができる。このプローブクラックの早期発見により、医療従事者は、プローブの破損を生じる前にプローブを交換することができ、そして安全に患者の処置を継続することができる。
(第3の実施の形態)
以下に、本発明の第3の実施形態について図8のブロック図および図11のフロー図を使用して説明する。まず超音波を用いたプローブ2bにより患者の腹腔内の手術を行う場合、制御回路1cはPLL制御を開始し、異常検出回路1kは初期の共振周波数および超音波振動子の温度を検出し保存する(ステップS21)。超音波発振回路1aから超音波電力をハンドピース2に出力中は、異常検出回路1kは、一定のサンプリング時間を定め共振周波数と温度の変動を監視する(ステップS22)。監視された共振周波数および温度は、先に検出された複数の共振周波数および温度と比較される。例えば異常検出回路1kはサンプリング時間を5msecと定め、先に検出された20サンプルの共振周波数および温度(5msec×20サンプル=100msec間の共振周波数値および温度測定値)の各々と、または先に検出された20サンプルの共振周波数の平均値および温度の平均値と、現在検出された共振周波数および温度とを比較する。具体的には温度を予め定めた閾値たとえば30℃と比較する。異常検出回路1kは温度の変化量を予め定めた閾値と比較すると共に、共振周波数の変動量を予め手術等の処置において予想される温度変化によって生じる共振周波数の変動量と比較し、その変動量が予め予想される変動量を上回るときに異常と判断する(ステップS23)。このように温度と並行して共振周波数の変動量も異常の判断として使用することにより、より精度の高い異常判断を行うことができる。
実際に測定された温度の値とプローブ2bのクラックの発生状況との相関を測定した。その結果、温度の変動が30℃を超え、共振周波数の変動量も予め定めた変動量を上回る場合には目視で確認できるクラック、若しくは電子顕微鏡で確認されるマイクロクラックが発生していた。
(効果)
温度の変動量と共に、単位時間当たりの共振周波数の変動量に対しても、予め定めた閾値として超音波振動子の温度による共振周波数の変動を設定することが有効である。この閾値の設定方法により、通常の手術時の温度上昇による共振器周波数の変化と、プローブ2bのクラックによる共振器周波数の変化とを正確に、かつ容易に切り分けることができる。これに従って超音波出力を停止もしくはシャットダウンすることができ、クラック以上のプローブの破損、脱落を防止することはできる。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態を図12のブロック図を参照して説明する。このブロック図は、図8のブロック図と似ており、図8のブロック図に追加して位相差検出回路1jを具備する。位相差検出回路1jで検出された出力電圧と、出力電流との位相差(θV−θI)は図6の(B)および(C)より、プローブ2bのクラックによって変動するものであることが判っている。この位相差の変動を、更に異常判定手段として使用することができる。また出力電圧・出力電流検出回路1fから異常検出回路1kに出力電圧および出力電流の信号を取り込んでいる。出力電流等も図6の(B)および(C)によりプローブ2bのクラックによって変動するものであることが判っている。従って出力電流等の変動も、更に異常判定手段として使用することができる。
(効果)
位相差(θV−θI)または出力電流等の変動量を測定することによりプローブのクラックをより正確に、かつ的確に把握することができる。
1…超音波電源ユニット、1a…超音波発振回路、1b…温度検出回路、1b…温度検知回路、1c…制御回路、1d…フットスイッチ検出回路、1d…フットスイッチ検知回路、1e…コネクタ、1f…出力電圧・出力電流検出回路、1g…インピーダンス検出回路、1h…共振周波数検出回路、1j…位相差検出回路、1k…異常検出回路、2…ハンドピース、2a…ハンドピース本体部、2b…プローブ、3…フットスイッチ、4…ハンドル、5…処置部、6…把持部、10…クラック。

Claims (6)

  1. 処置具に電力を出力する手術用電源供給装置であって、
    前記処置具の温度を検出する温度検出部と、
    前記検出された温度に基づいて、前記処置具の異常を検出する異常検出部と、
    を具備する手術用電源供給装置。
  2. 前記温度検出部は、前記処置具の電気的容量を測定することによって温度を検出するか、または前記処置具の温度を温度測定デバイスを用いて直接測定する請求項1に記載の手術用電源供給装置。
  3. 前記異常検出部は、前記処置具の単位時間当たりの温度変化量が予め定めた閾値を超えたか否かにより異常を検出する請求項1に記載の手術用電源供給装置。
  4. 前記異常検出部は、さらに前記処置具の単位時間当たりの共振周波数の変動量が、予め定められた単位時間当たりの温度変化から生じる共振周波数の変動量を超えているか否かにより異常を検出する請求項1乃至3のいずれかに記載の手術用電源供給装置。
  5. 前記異常検出部が、異常を検出した場合に、前記処置具への電力の出力を停止する請求項1乃至3のいずれかに記載の手術用電源供給装置。
  6. 前記処置具は、超音波振動子と、この超音波振動子の振動を先端に伝達するプローブとを具備し、
    前記出力される電力は、前記超音波振動子を駆動する超音波電力である請求項1乃至3のいずれかに記載の手術用電源供給装置。
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