JP2009254401A - 軽量ゴルフクラブ用シャフト - Google Patents
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Abstract
【課題】曲げ剛性、曲げ強力、潰し強力といった従来のシャフトの特性、外径を維持したまま、ねじり強力が向上した軽量化シャフト。
【解決手段】複数の繊維強化複合材料層を積層してなるゴルフクラブ用シャフトであって、内側から第1アングル層、第1ストレート層、第2アングル層、第2ストレート層の順に繊維強化複合材料層を有し、第1アングル層の厚みが0.15〜0.40mm、第1ストレート層および第2ストレート層の厚みの和が0.2〜0.4mm、第2アングル層の厚みが0.04〜0.1mm、第2アングル層の中の補強繊維の配向角度がシャフトの長手方向に対して60〜75゜であり、シャフトのねじり強力が1800(N・m・度)以上、シャフトの全域に渡って潰し強力が110N/10mm以上、質量30〜45g、第1アングル層の形成に用いるプリプレグの厚みを0.02〜0.08mmとする。
【選択図】なし
【解決手段】複数の繊維強化複合材料層を積層してなるゴルフクラブ用シャフトであって、内側から第1アングル層、第1ストレート層、第2アングル層、第2ストレート層の順に繊維強化複合材料層を有し、第1アングル層の厚みが0.15〜0.40mm、第1ストレート層および第2ストレート層の厚みの和が0.2〜0.4mm、第2アングル層の厚みが0.04〜0.1mm、第2アングル層の中の補強繊維の配向角度がシャフトの長手方向に対して60〜75゜であり、シャフトのねじり強力が1800(N・m・度)以上、シャフトの全域に渡って潰し強力が110N/10mm以上、質量30〜45g、第1アングル層の形成に用いるプリプレグの厚みを0.02〜0.08mmとする。
【選択図】なし
Description
本発明は、ゴルフクラブ用シャフト(以下単にシャフトという。)に関する。
従来、ゴルフクラブ用シャフトとして、補強繊維を引き揃え樹脂を含浸した、いわゆる一方向プリプレグを型となるテーパー付きの芯金に巻き付けて積層硬化した繊維強化複合材料(以下、FRPという。)製シャフトが、その比剛性、比強度の高さ、その設計度の自由さから広く用いられている。
FRP製シャフトでは、多くの場合、内側からアングル層、ストレート層の2層構造となっている。アングル層とは、補強繊維がシャフトの長手方向に対して+θ、−θとなるように貼り併せたプリプレグを積層してなる層であり(但し、θは20°よりも大きい)、ストレート層とは、補強繊維がシャフトの長手方向に対して±20゜以下に配向したプリプレグを積層してなる層である。本発明においてもアングル層、ストレート層はこの定義の通りである。
近年、ヘッドスピードの向上、シャフトの長尺化、ヘッドの大型化に伴うスイートエリアの拡大を目的としてシャフトの軽量化が進められている。
従来行われてきた、単にシャフトを構成するストレート層やアングル層の層数を減らすだけでは、それに対応してシャフトの曲げ剛性、曲げ強力やねじり剛性、ねじり強力及び潰し強力が低減するので問題があった。
FRP製シャフトでは、多くの場合、内側からアングル層、ストレート層の2層構造となっている。アングル層とは、補強繊維がシャフトの長手方向に対して+θ、−θとなるように貼り併せたプリプレグを積層してなる層であり(但し、θは20°よりも大きい)、ストレート層とは、補強繊維がシャフトの長手方向に対して±20゜以下に配向したプリプレグを積層してなる層である。本発明においてもアングル層、ストレート層はこの定義の通りである。
近年、ヘッドスピードの向上、シャフトの長尺化、ヘッドの大型化に伴うスイートエリアの拡大を目的としてシャフトの軽量化が進められている。
従来行われてきた、単にシャフトを構成するストレート層やアングル層の層数を減らすだけでは、それに対応してシャフトの曲げ剛性、曲げ強力やねじり剛性、ねじり強力及び潰し強力が低減するので問題があった。
シャフトの曲げ剛性、ねじり剛性を維持したまま軽量化する方法としては、(1)ストレート層、及び/又は、アングル層の層数を減らすと同時にこれらの層を構成する補強繊維の弾性率をより高弾性な補強繊維に換える方法、(2)シャフト自体の形状、主に外径を大きくし、厚みを減らす方法がある。
しかしながら、(1)の方法では、高弾性の補強繊維は一般に低強度のため、曲げ剛性、ねじり剛性は、従来のシャフトに比して遜色のない値となるが、曲げ強度、ねじり強力は単に層数を減らしたものと変わらないか、むしろ低下する結果となる。又、(2)の方法では、曲げ剛性の維持にはグリップ近くの外径を大きくすることが効果的であるがシャフトの使用感に難がある。
しかしながら、(1)の方法では、高弾性の補強繊維は一般に低強度のため、曲げ剛性、ねじり剛性は、従来のシャフトに比して遜色のない値となるが、曲げ強度、ねじり強力は単に層数を減らしたものと変わらないか、むしろ低下する結果となる。又、(2)の方法では、曲げ剛性の維持にはグリップ近くの外径を大きくすることが効果的であるがシャフトの使用感に難がある。
又、FRP製シャフトのねじり剛性、ねじり強力を改善する方法として、特許文献1には、アングル層とストレート層からなるFRP製シャフトの最外層にさらにアングル層を設ける方法が開示されている。しかし、この方法では、FRP製シャフトの特にねじり剛性、ねじり強力の保持のため必要なアングル層が研磨等、FRP製シャフトの仕上げ加工のために失われることがあり、安定した品質のFRP製シャフトを得ることができないし、FRP製シャフトの軽量化には寄与しない。
そこで、アングル層とストレート層からなるFRP製シャフトの最外層がアングル層ではなく、ストレート層としたシャフトが考えられた(例えば、特許文献2参照。)。
実開昭62−33872号公報
特開平11−197277号公報
そこで、アングル層とストレート層からなるFRP製シャフトの最外層がアングル層ではなく、ストレート層としたシャフトが考えられた(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、特許文献2に記載のシャフトでも、必ずしもねじり強力が十分とはいえなかった。
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、曲げ剛性、曲げ強力、潰し強力といった従来のシャフトの特性、外径を維持したまま、ねじり強力が向上した軽量化シャフトを目的とする。
本発明のゴルフクラブ用シャフトは、複数の繊維強化複合材料層を積層してなるゴルフクラブ用シャフトであって、
シャフトの全長にわたって内側から第1アングル層、第1ストレート層、第2アングル層、第2ストレート層の順に繊維強化複合材料層を有し、第1アングル層の厚みが0.15〜0.40mm、第1ストレート層および第2ストレート層の厚みの和が0.2〜0.4mm、第2アングル層の厚みが0.04〜0.1mm、第2アングル層の中の補強繊維の配向角度がシャフトの長手方向に対して60〜75゜であり、
シャフトのねじり強力が1800(N・m・度)以上、シャフトの全域に渡って潰し強力が110N/10mm以上、質量30〜45gであり、
第1アングル層の形成に用いるプリプレグの厚みが0.02〜0.08mmであることを特徴とするものである。
さらに、第1アングル層のシャフトの細径端部の厚みが太径端部の第1アングル層の厚みの1.5〜2.5倍であることが望ましい。
シャフトの全長にわたって内側から第1アングル層、第1ストレート層、第2アングル層、第2ストレート層の順に繊維強化複合材料層を有し、第1アングル層の厚みが0.15〜0.40mm、第1ストレート層および第2ストレート層の厚みの和が0.2〜0.4mm、第2アングル層の厚みが0.04〜0.1mm、第2アングル層の中の補強繊維の配向角度がシャフトの長手方向に対して60〜75゜であり、
シャフトのねじり強力が1800(N・m・度)以上、シャフトの全域に渡って潰し強力が110N/10mm以上、質量30〜45gであり、
第1アングル層の形成に用いるプリプレグの厚みが0.02〜0.08mmであることを特徴とするものである。
さらに、第1アングル層のシャフトの細径端部の厚みが太径端部の第1アングル層の厚みの1.5〜2.5倍であることが望ましい。
本発明によれば、曲げ剛性、曲げ強力、ねじり剛性、ねじり強力、潰し強力といった従来のシャフトの特性、外径を維持したまま、従来シャフトの35〜50%の軽量化を図ることができる。
本発明の軽量シャフトのFRPを構成する補強繊維としては、通常FRPの補強繊維として用いられる繊維であればよく、パラ系芳香族ポリアミド、高強度ポリエチレンといった有機系補強繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維といった、無機系繊維、金属系繊維を例示できる。さらにこれらの繊維を2種以上組み合わせて用いることも可能である。本発明においては、補強繊維として、従来技術で述べたような特に高弾性な補強繊維を部分的あるいは全体に必ずしも用いる必要はない。
又、本発明の軽量シャフトのFRPを構成するマトリクス樹脂としては、通常FRPのマトリクス樹脂として知られている樹脂であればよく、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂といった熱硬化性樹脂が挙げられる。もちろん熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂として用いても本発明の本質的な部分は変わるところはない。
以下に述べるシャフトを形成する繊維強化複合材料層は、上記の強化繊維を引き揃え、上記マトリクス樹脂を含浸した、いわゆるプリプレグを用いて形成するのが一般的である。プリプレグの繊維目付、樹脂含有率等は特に限定しないが、各層の必要な厚み、巻き径から適宜選択できる。
本発明の軽量シャフトは、シャフト全長にわたって、内側から第1アングル層、第1ストレート層、第2アングル層、第2ストレート層の4層構造を主構造とし、さらに第2アングル層が0.04〜0.1mm厚であり、その中の補強繊維の配向角度がシャフトの長手方向に対して60〜75゜であることがシャフトの特性、シャフトの外径を変えずに軽量化し、さらに潰し強力とねじり強力を高い値でバランスを取るのに必要である。特に、補強繊維の配向角度がシャフトの長手方向に対して60〜75゜であることが潰し強力を110N/10mm以上に保つのに必要である。この配向角度が65〜70゜である場合は潰し強力が特に高くなり更に好ましい。
このような薄い第2アングル層は、繊維目付18〜55g/m2、さらに好ましくは18〜30g/m2の極薄プリプレグ(厚み0.05mm以下)、例えば、三菱レイヨン株式会社製プリプレグMR350K020S(プリプレグ目付23g/m2、樹脂含有率40%、厚み0.025mm)を用いることで実現される。
このような薄い第2アングル層は、繊維目付18〜55g/m2、さらに好ましくは18〜30g/m2の極薄プリプレグ(厚み0.05mm以下)、例えば、三菱レイヨン株式会社製プリプレグMR350K020S(プリプレグ目付23g/m2、樹脂含有率40%、厚み0.025mm)を用いることで実現される。
第1アングル層の厚みは、0.15〜0.40mm厚である。0.15mm未満であると、ねじり剛性及びねじり強力が不十分であり、0.40mmを超えるとシャフトの軽量化が困難になる。
もちろん、シャフトの全長にわたって同一厚みである必要はなく、本発明の目的とする曲げ剛性、曲げ強度、ねじり剛性、ねじり強力、潰し強力を犠牲にしない範囲で他の特性の向上を目的として自由に設計することが可能である。例えば、下記の実施例で見られるように、太径部の曲げ強度とねじれ強度を保ちながら細径部の曲げ強度とねじれ強度を高めて全長に渡って十分な強度の向上を目的として、シャフトの細径端部の第1アングル層の厚みを太径端部のそれの1.5〜2.5倍、望ましくは1.8〜2.2倍、より望ましくは2倍となるようにすることできる。
また、このような第1アングル層を構成するプリプレグの厚みは、0.02〜0.08mmである。0.02mm未満のプリプレグは極度に薄く、製造困難な上、アングル層として用いるときに、貼り合わせて巻き回すのが困難である。他方、0.08mm超になると、質量増を回避する為には巻数を削減することとなり、その結果、ねじり強力が低下してしまう。即ち、本発明では第1アングル層に薄いプリプレグを用いることにより、巻数を確保し、ねじり強力を効果的に発揮させている。
もちろん、シャフトの全長にわたって同一厚みである必要はなく、本発明の目的とする曲げ剛性、曲げ強度、ねじり剛性、ねじり強力、潰し強力を犠牲にしない範囲で他の特性の向上を目的として自由に設計することが可能である。例えば、下記の実施例で見られるように、太径部の曲げ強度とねじれ強度を保ちながら細径部の曲げ強度とねじれ強度を高めて全長に渡って十分な強度の向上を目的として、シャフトの細径端部の第1アングル層の厚みを太径端部のそれの1.5〜2.5倍、望ましくは1.8〜2.2倍、より望ましくは2倍となるようにすることできる。
また、このような第1アングル層を構成するプリプレグの厚みは、0.02〜0.08mmである。0.02mm未満のプリプレグは極度に薄く、製造困難な上、アングル層として用いるときに、貼り合わせて巻き回すのが困難である。他方、0.08mm超になると、質量増を回避する為には巻数を削減することとなり、その結果、ねじり強力が低下してしまう。即ち、本発明では第1アングル層に薄いプリプレグを用いることにより、巻数を確保し、ねじり強力を効果的に発揮させている。
第1ストレート層、第2ストレート層の厚みは、合計厚みで0.2〜0.4mmである。この合計厚みの第1、第2ストレート層への割り振りは、FRPシャフトの曲げ剛性、曲げ強力等を考慮して行えばよいが、両者同一厚みであっても差し支えない。
但し、第1、第2ストレート層の厚みは、それぞれ0.1mm以上はあることが、FRPシャフトに適度な曲げ剛性、曲げ強力を付与する点から好ましい。
但し、第1、第2ストレート層の厚みは、それぞれ0.1mm以上はあることが、FRPシャフトに適度な曲げ剛性、曲げ強力を付与する点から好ましい。
尚、本発明の目的を損ねない範囲で、第1、第2ストレート層、第1、第2アングル層の他に先端部の補強、径あわせ等の目的で他の層を設けてよいのは言うまでもない。
本発明のシャフトでは、シャフトのねじり強力が1800(N・m・度)以上である。シャフトのねじり強力が1800(N・m・度)以上であることから、ゴルフクラブとしたときに極端にヘッドのスウィートスポットを外して打撃してもシャフトのねじれ破壊を防ぐことができる。
また、潰し強力が110N/10mm以上である。潰し強力が110N/10mm以上であることから、シャフトをグリップに挿入してゴルフクラブを製作する際にもシャフトを圧壊等で破損することを防ぐことができる。
本発明のシャフトは、その質量30〜45gであり、十分に軽量であり、ヘッドスピードの向上、シャフトの長尺化、ヘッドの大型化に伴うスイートエリアの拡大を図ることができる。
また、潰し強力が110N/10mm以上である。潰し強力が110N/10mm以上であることから、シャフトをグリップに挿入してゴルフクラブを製作する際にもシャフトを圧壊等で破損することを防ぐことができる。
本発明のシャフトは、その質量30〜45gであり、十分に軽量であり、ヘッドスピードの向上、シャフトの長尺化、ヘッドの大型化に伴うスイートエリアの拡大を図ることができる。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
以下、単に「゜」と記載する繊維方向は常にシャフトの長手方向に対して測定した角度を表す。
以下、単に「゜」と記載する繊維方向は常にシャフトの長手方向に対して測定した角度を表す。
(プリプレグ)
表1に、実施例に用いたプリプレグA〜Hを示した。いずれのプリプレグもエポキシ樹脂(♯350)をマトリクス樹脂として用い、炭素繊維に含浸したもので、全て三菱レイヨン社製である。
表1に、実施例に用いたプリプレグA〜Hを示した。いずれのプリプレグもエポキシ樹脂(♯350)をマトリクス樹脂として用い、炭素繊維に含浸したもので、全て三菱レイヨン社製である。
(曲げ剛性)
シャフトの太径端部を固定し、細径端部から10mmの位置に1kgの荷重をかけ、たわみ量を測定した。
(曲げ強力)
シャフトのA点(細径端部から175mm)、B点(同525mm)、C点(太径端部から175mm)を中心としてスパン300mmで3点曲げ試験を行い、破壊時の荷重を曲げ強力とした。
(潰し強力)
万能圧縮試験機を用い、シャフトのa点(太径端部から10mm)、b点(同100mm)、c点(同200mm)を中心に長さ約10mmの試験片を作成し圧縮試験を行い、その強力を示した。尚、この3点において潰し強力の値が110N/10mm以上であれば、シャフトの全域に渡って110N/10mm以上であるとみなすことができる。
(ねじり強力)
製品安全協会策定のゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法(通商産業大臣承認5産第2087号・平成5年10月4日)のねじり試験に準拠して行った。
有限会社メカトロニクスエンジニアリング製の5KN ユニバーサルテスタを用いて、シャフトの細径端部を固定し、太径端部にトルクをかけていき、シャフトがねじり破壊を生じたときのトルクとねじれ角度の積をねじり強力とした。
シャフトの太径端部を固定し、細径端部から10mmの位置に1kgの荷重をかけ、たわみ量を測定した。
(曲げ強力)
シャフトのA点(細径端部から175mm)、B点(同525mm)、C点(太径端部から175mm)を中心としてスパン300mmで3点曲げ試験を行い、破壊時の荷重を曲げ強力とした。
(潰し強力)
万能圧縮試験機を用い、シャフトのa点(太径端部から10mm)、b点(同100mm)、c点(同200mm)を中心に長さ約10mmの試験片を作成し圧縮試験を行い、その強力を示した。尚、この3点において潰し強力の値が110N/10mm以上であれば、シャフトの全域に渡って110N/10mm以上であるとみなすことができる。
(ねじり強力)
製品安全協会策定のゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法(通商産業大臣承認5産第2087号・平成5年10月4日)のねじり試験に準拠して行った。
有限会社メカトロニクスエンジニアリング製の5KN ユニバーサルテスタを用いて、シャフトの細径端部を固定し、太径端部にトルクをかけていき、シャフトがねじり破壊を生じたときのトルクとねじれ角度の積をねじり強力とした。
(実施例1)
細径端部外径5.25mm、太径端部外径14.05mm、長さ1500mmの芯金(細径端(φ5.25mm)から950mm(φ14.05mm)迄はテーパー状(9.263mm/1000mm))の上に、以下の(1)〜(7)に示したようにして90°補強層、第1アングル層、第1ストレート層、第2アングル層、第2ストレート層、先端部補強層を順に形成した。
細径端部外径5.25mm、太径端部外径14.05mm、長さ1500mmの芯金(細径端(φ5.25mm)から950mm(φ14.05mm)迄はテーパー状(9.263mm/1000mm))の上に、以下の(1)〜(7)に示したようにして90°補強層、第1アングル層、第1ストレート層、第2アングル層、第2ストレート層、先端部補強層を順に形成した。
(1)プリプレグを繊維方向が90°となるように芯金に巻き付けたとき、細径端部、太径端部において1層となるようにプリプレグAを概台形に裁断し、芯金の上に巻き付け、90°補強層を形成した。
(2)プリプレグを繊維方向が+45゜となるように芯金に巻き付けたとき、細径端部においては3.35層、太径端部においては1.65層となるようにプリプレグBを裁断し、又、繊維方向が−45゜となるように巻き付けたときも同様となるようにプリプレグBを裁断し、これらのプリプレグを繊維方向が交差するように貼り併せた。従って、細径端部においては6.7層、太径端部においては3.3層となる。この貼り合わせたプリプレグを芯金の上に巻付け、第1アングル層を形成した。
(3)プリプレグを繊維方向が0゜となるように第1アングル層の上に巻き付けたとき細径端部、太径端部ともに1層となるようにプリプレグCを裁断し、これを第1アングル層の上に巻付け第1ストレート層を形成した。
(4)プリプレグを繊維方向が+70゜となるように第1ストレート層の上に巻き付けたとき、細径端部、太径端部ともに1層となるようにプリプレグAを裁断し、又、繊維方向が−70゜となるように巻き付けたときも同様となるようにプリプレグAを裁断し、これらのプリプレグを繊維方向が交差するように貼り併せた。この貼り合わせプリプレグを第1ストレート層の上に巻付け、第2アングル層を形成した。
(5)プリプレグを繊維方向が0゜となるように第2アングル層の上に巻き付けたとき細径端部、太径端部ともに1層となるようにプリプレグDを裁断し、これを第2アングル層の上に巻付け第2ストレート層を形成した。
(6)プリプレグを繊維方向が0°となるように第2ストレート層の上に巻き付けたとき細径端部ないし細径端部から300mmの位置において1層となるように概台形にプリプレグDを裁断し、これを第2ストレート層の上に巻き付け先端部補強層を形成した。
(7)プリプレグを繊維方向が0°となるように先端部補強層の上に巻き付けたとき細径端部の外径が8.5mmとなるように概三角形にプリプレグEを裁断し、これを先端部補強層の上に巻き付け細径端部径調整層を形成した。
これらの層の上から幅20mm、厚み30μmのポリプロピレンテープを1.5mmピッチで巻付け、145℃の硬化炉中に240分入れ硬化した。
その後、ポリプロピレンテープをはぎ取り、芯金を抜き取った後、細径端部、太径端部側からそれぞれ10mmを切断除去し、質量37g、長さ1145mm、外径細径側8.5mm、外径太径側15.0mmのシャフトを得た。
このようにして得られたシャフトは表3に示す特性を有するシャフトであった。
その後、ポリプロピレンテープをはぎ取り、芯金を抜き取った後、細径端部、太径端部側からそれぞれ10mmを切断除去し、質量37g、長さ1145mm、外径細径側8.5mm、外径太径側15.0mmのシャフトを得た。
このようにして得られたシャフトは表3に示す特性を有するシャフトであった。
(比較例1)
(1)実施例1の(1)と同様に90°補強層を形成した。
(2)プリプレグHを用い、細径端部においては4.0層、太径端部においては2.0層となるようにしたこと以外は実施例1の(2)と同様に第1アングル層を形成した。
(3)実施例1の(3)と同様に第1ストレート層を形成した。
(4)実施例1の(4)と同様に第2アングル層を形成した。
(5)実施例1の(5)と同様に第2ストレート層を形成した。
(6)実施例1の(6)と同様に先端部補強層を形成した。
(7)実施例1の(7)と同様に細径端部径調整層を形成した。
その後、実施例1と同様に加熱硬化して、質量37g、長さ1145mm、外径細径側8.5mm、太径側15.0mmのシャフトを得た。
このようにして得られたシャフトは表3に示す特性を有するシャフトであった。
(1)実施例1の(1)と同様に90°補強層を形成した。
(2)プリプレグHを用い、細径端部においては4.0層、太径端部においては2.0層となるようにしたこと以外は実施例1の(2)と同様に第1アングル層を形成した。
(3)実施例1の(3)と同様に第1ストレート層を形成した。
(4)実施例1の(4)と同様に第2アングル層を形成した。
(5)実施例1の(5)と同様に第2ストレート層を形成した。
(6)実施例1の(6)と同様に先端部補強層を形成した。
(7)実施例1の(7)と同様に細径端部径調整層を形成した。
その後、実施例1と同様に加熱硬化して、質量37g、長さ1145mm、外径細径側8.5mm、太径側15.0mmのシャフトを得た。
このようにして得られたシャフトは表3に示す特性を有するシャフトであった。
(比較例2)
実施例1の第2アングル層を構成するプリプレグAの繊維方向が+45゜、−45゜となるようにした他は実施例1と同様にして、質量37g、長さ1145mm、外径細径側8.5mm、外径太径側15.0mmのシャフトを得た。
このようにして得られたシャフトは表3に示す特性を有するシャフトであった。
実施例1の第2アングル層を構成するプリプレグAの繊維方向が+45゜、−45゜となるようにした他は実施例1と同様にして、質量37g、長さ1145mm、外径細径側8.5mm、外径太径側15.0mmのシャフトを得た。
このようにして得られたシャフトは表3に示す特性を有するシャフトであった。
(実施例2〜5)
第2アングル層を形成するプリプレグの繊維方向を+60°、−60°(実施例2)、第2アングル層を形成するプリプレグの繊維方向を+75°、−75°(実施例3)、第1アングル層を形成するプリプレグをプリプレグGに替え、層数を調整し(実施例4)、第1アングル層を形成するプリプレグをプリプレグFに替え、層数を調整した(実施例5)こと以外は、実施例1と同様にして、質量38g、長さ1145mm、外径細径側8.5mm、太径側15.0mmのシャフトをそれぞれ得た。尚、第1アングル層については、それぞれの第1アングル層の質量(厚さ)が同等になるように、層数を調整した。
得られたシャフトの特性値は表3に同様に示した。
第2アングル層を形成するプリプレグの繊維方向を+60°、−60°(実施例2)、第2アングル層を形成するプリプレグの繊維方向を+75°、−75°(実施例3)、第1アングル層を形成するプリプレグをプリプレグGに替え、層数を調整し(実施例4)、第1アングル層を形成するプリプレグをプリプレグFに替え、層数を調整した(実施例5)こと以外は、実施例1と同様にして、質量38g、長さ1145mm、外径細径側8.5mm、太径側15.0mmのシャフトをそれぞれ得た。尚、第1アングル層については、それぞれの第1アングル層の質量(厚さ)が同等になるように、層数を調整した。
得られたシャフトの特性値は表3に同様に示した。
表3に示されているように、実施例1〜5のシャフトは軽量でありながら、曲げ剛性、曲げ強力、ねじり強力、潰し強力に優れたものであった。
しかし、比較例1のシャフトは、第1アングル層として厚いプリプレグを用い、かつ、同等質量とする為に層数を減らすこととなり、ねじり強力が低下してしまった。
比較例2では曲げ強力の低いものであった。
しかし、比較例1のシャフトは、第1アングル層として厚いプリプレグを用い、かつ、同等質量とする為に層数を減らすこととなり、ねじり強力が低下してしまった。
比較例2では曲げ強力の低いものであった。
Claims (2)
- 複数の繊維強化複合材料層を積層してなるゴルフクラブ用シャフトであって、
シャフトの全長にわたって内側から第1アングル層、第1ストレート層、第2アングル層、第2ストレート層の順に繊維強化複合材料層を有し、第1アングル層の厚みが0.15〜0.40mm、第1ストレート層および第2ストレート層の厚みの和が0.2〜0.4mm、第2アングル層の厚みが0.04〜0.1mm、第2アングル層の中の補強繊維の配向角度がシャフトの長手方向に対して60〜75゜であり、
シャフトのねじり強力が1800(N・m・度)以上、シャフトの全域に渡って潰し強力が110N/10mm以上、質量30〜45gであり、
第1アングル層の形成に用いるプリプレグの厚みが0.02〜0.08mmであるゴルフクラブ用シャフト。
(ねじり強力)
製品安全協会策定のゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法(通商産業大臣承認5産第2087号・平成5年10月4日)のねじり試験に準拠。有限会社メカトロニクスエンジニアリング製の5KN ユニバーサルテスタを用いて、シャフトの細径端部を固定し、太径端部にトルクをかけていき、シャフトがねじり破壊を生じたときのトルクとねじれ角度の積をねじり強力とする。
(潰し強力)
万能圧縮試験機を用い、シャフトの太径端部から10mmの位置、同100mmの位置、同200mmの位置を中心に長さ10mmの試験片を作成して圧縮試験を行い、その強力を示す。 - 第1アングル層のシャフトの細径端部の厚みが太径端部の第1アングル層の厚みの1.5〜2.5倍である請求項1記載のゴルフクラブ用シャフト。
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