JP2009254109A - ステータとそのステータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転機等の小型化、高出力化に適し、正弦波励磁も可能であるトロイダル巻きが容易に行える上に、透磁率の低下、即ち磁束密度の低下によるモータ出力の低下を引き起こすこともないステータとそのステータの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】ヨーク部2とティース部3を交互に設け環状としたステータコア4と、そのステータコア4のヨーク部2の外周面に巻かれたトロイダル巻線5とより構成されるステータ1であって、ステータコア4は、圧粉磁性体より成る複数の分割コア6と、それら複数の分割コア6の間に充填され、隣り合う分割コア6同士を接合する粉末成形体7より形成されており、粉末成形体7は、軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した粉末より成る。
【選択図】図1
【解決手段】ヨーク部2とティース部3を交互に設け環状としたステータコア4と、そのステータコア4のヨーク部2の外周面に巻かれたトロイダル巻線5とより構成されるステータ1であって、ステータコア4は、圧粉磁性体より成る複数の分割コア6と、それら複数の分割コア6の間に充填され、隣り合う分割コア6同士を接合する粉末成形体7より形成されており、粉末成形体7は、軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した粉末より成る。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、電気自動車等の輸送機の回転機(モータ)並びに発電機、或いはその他の産業機器用の回転機等に用いられるステータと、そのステータの製造方法に関するものである。
ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、電気自動車等の輸送機の回転機や発電機(以下、単に回転機というが、発電機も回転機と基本的に同じ構造であるため、回転機と説明するものは発電機も含む。)は、車両に搭載されるため、小型で高出力であることが求められている。
このように、回転機を小型化、高出力化するためには、巻線のコイルエンド部をステータの内部に格納できる形状とすれば良いが、そのような任意形状とするために得策であると考えられる圧粉コアを用いる技術が、特許文献1、特許文献2として提案されている。圧粉コアは鉄粉などの軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した後、その軟磁性粉末を金型に充填して圧縮成形したものであり、粉末冶金プロセスで作製されるため、三次元形状の圧粉コアでも簡単に製造できる。即ち、任意形状が比較的作製しやすく、巻線のコイルエンド部をステータの内部に格納できる形状に作製することが比較的容易である。
また、回転機のステータコアには高磁束密度や低鉄損といった高い磁気特性が要求されるが、圧粉コアの磁気特性は圧粉成形体の密度に影響され、高密度の成形体が必要となる。高密度の成形体を得るためには、圧縮成形の際に大きな荷重で圧縮することが有効であるが、ステータの寸法が大きくなるほど、大きな荷重能力を有するプレスが必要となる。しかしながら、大きな荷重能力を有するプレスは高価であると共に、成形寸法の精度を上げることが困難となるため、分割した小型の分割コアを作製した後に、分割コアを組み合わせて大きなステータコアとすることが、量産上、実用上の得策であると考えられる。このような技術が、前記した技術と同様に特許文献1、特許文献2に記載されている。
回転機は、巻線を有したステータと、回転軸に機械的に接合されたロータから成り、そのステータに巻線を巻く方法には、ステータのヨーク部に巻線をトロイダル状に巻く方法であるいわゆるトロイダル巻きと、ステータのティース部に巻く方法がある。また、ティース部に巻線を巻く方法には、巻線を巻き付けるティースを順に変えてゆきながら複数のティースにまたがり巻線を巻き付けてゆく分布巻きと、一つ一つのティースに必要巻数の巻線を施して巻線は複数のティースにはまたがらない集中巻きとがある。
回転機の高出力化には、ティース先端部での磁束密度を高くしてトルクを大きくすることが有効であり、ロータを滑らかに回転させるためには、ロータの回転周上に正弦波を作り出す励磁が有効である。即ち、ステータのティース先端部には、高磁束密度化と正弦波励磁とが求められる。
一般的に用いられている集中巻きと分布巻きを比較すると、集中巻きの方が巻線密度は高く、回転機の小型化並びに高出力化には適した巻線方法であるが、ロータの回転周上に対しては不均一に巻かれているため、正弦波励磁が難しい。一方、分布巻きは集中巻きとは異なる特徴を持ち、正弦波励磁は比較的容易であるが、逆に巻線密度を高くすることが困難であり、回転機の小型化と高出力化は構造上困難である。
これらの巻き方に対し、トロイダル巻きは集中巻きに該当する巻き方でありながら分布巻きの如く正弦波励磁が可能であるという特徴を有する。しかしながら、トロイダル巻きは環状のステータコアに放射線状に巻線を施すため、ステータコアの対向する部位が巻線作業の障害となって巻線作業が非常に難しく、専用のトロイダル巻線機を使用する必要があって、生産性が非常に悪いという欠点がある。従って、工業的に量産される回転機は、一長一短はあるものの集中巻き或いは分布巻きが採用されることが殆どである。
このようなトロイダル巻きの致命的な欠点である生産効率を向上させるために、ステータコアを分割コアとすることが、特許文献3、特許文献4、特許文献5として提案されている。これら特許文献に記載されたように、ステータコアを分割コアとすることで、専用のトロイダル巻線機を使用することなく巻線が可能になるが、巻線作業の後、複数に分割して製造された分割コアを一体化する作業が必要となる。この分割コアを一体化するために、分割コア同士の接合や、カシメ、嵌め込みを行う技術が、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10として提案されている。これらの特許文献に記載された分割コアの一体化方法によれば、分割コアを一体化してステータとして使用することは可能になるが、分割コア同士をギャップがなくつなぎ合わせることは何れの技術を用いても事実上困難であり、そのつなぎ合わせのギャップにより透磁率や磁束密度といった磁気特性が低下し、ティース表面の磁束密度の低下、即ちモータの出力の低下を引き起こすこととなる。
そこで、分割コア同士の間に生じるギャップに磁性材料を挿入するという技術の提案も特許文献11としてなされている。この技術を採用すれば分割コア同士をギャップがなくつなぎ合わせることは可能になるが、軟磁性粉末等の磁性材料を単に挿入するだけであるので、密度の低い成形体を挿入することと同じである。透磁率や磁束密度といった磁気特性の低減効果は僅かであり、透磁率の低下、即ち磁束密度の低下により、モータ出力の低下を引き起こすという問題は解消できない。また、製造上も、非常に狭い空間に軟磁性粉末等の磁性材料を充填することは困難であり、特に磁性材料を粉末とした場合、分割コア同士の間に粉末を十分に充填することはできない可能性が非常に高い。
トロイダル巻きでありながら巻線の生産性を高めるためには、ステータを分割することが有効であるが、その分割コアを一体化させたステータでは、分割コアの間に形成されるギャップにより、ティース先端部の磁束密度が低下することが問題となっているため、分割コア間にギャップを生じることなく、更に、電気的絶縁性を保ったまま複数の分割コアを一体化することが重要である。
本発明は、それら従来の問題を解消せんとしてなされたもので、回転機等の小型化、高出力化に適し、正弦波励磁も可能であるトロイダル巻きが容易に行える上に、透磁率の低下、即ち磁束密度の低下によるモータ出力の低下を引き起こすこともないステータとそのステータの製造方法を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、ヨーク部とティース部を交互に設け環状としたステータコアと、そのステータコアのヨーク部の外周面に巻かれたトロイダル巻線とより構成されるステータであって、前記ステータコアは、圧粉磁性体より成る複数の分割コアと、それら複数の分割コアの間に充填され、隣り合う分割コア同士を接合する粉末成形体より形成されており、前記粉末成形体は、軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した粉末より成ることを特徴とするステータである。
請求項2記載の発明は、前記分割コアと前記粉末成形体は、同種の軟磁性粉末を基に形成されていることを特徴とする請求項1記載のステータである。
請求項3記載の発明は、前記ステータコアを形成する複数の分割コアは、ティース部で周方向に分割されていることを特徴とする請求項1または2記載のステータである。
請求項4記載の発明は、ヨーク部とティース部を交互に設け環状としたステータコアと、そのステータコアのヨーク部の外周面に巻かれたトロイダル巻線とより構成されるステータの製造方法であって、前記ステータコアを形成する複数の分割コアのヨーク部の外周面に、前記トロイダル巻線を巻き付けた後、それら複数の分割コアの間に、軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した粉末をそれぞれ充填し、プレス成形により複数の分割コアを一体化することを特徴とするステータの製造方法である。
本発明の請求項1記載のステータによると、回転機等の小型化、高出力化に適し、正弦波励磁も可能であるトロイダル巻きが容易に行える上に、分割コア間に、軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した粉末より成る粉末成形体が充填されているため、透磁率の低下、即ち磁束密度の低下によるモータ出力の低下を引き起こすこともない。
本発明の請求項2記載のステータによると、分割コアと粉末成形体が、同種の軟磁性粉末を基に形成されているため、分割コア同士を接合する粉末成形体で形成された部位も、他の主要部位を構成する分割コアと略同じ磁気特性とすることができ、ステータコアの磁気特性を均一で良好な状態とすることができる。
本発明の請求項3記載のステータによると、分割コアはティース部で分割されているため、ヨーク部へのトロイダル巻きを問題なく行えると共に、巻線作業の際にヨーク部の両側のティース部が当たりとなるため、巻線がヨーク部から離脱することなく巻線作業を容易に行える。
本発明の請求項4記載のステータの製造方法によると、回転機等の小型化、高出力化に適し、正弦波励磁も可能であるトロイダル巻きを、ステータコアに対向する部位が巻線作業の障害となることなく容易に行える上に、製造したステータの透磁率の低下、即ち磁束密度の低下によるモータ出力の低下を引き起こすこともない。また、軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した粉末を隣り合う分割コア間に充填した状態で、プレス成形により複数の分割コアを一体化するため、分割コア間が狭まり、分割コア間にギャップを生じることなく電気的絶縁性を保ったまま複数の分割コアを一体化することができる。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
図1は分割コアを一体化して組み立てた後のステータを用いたモータを示し、図2はトロイダル巻線を巻く前の分割コアを、図3はトロイダル巻線を巻いた後の分割コアをそれぞれ示す。また、図4は分割コアをプレス成形により一体化してステータを製造する作業の途中の状態を示す。
図1に示すように、本発明のステータ1は、複数のヨーク部2とティース部3を交互に設け環状としたステータコア4と、そのステータコア4のヨーク部2の外周面に巻かれたトロイダル巻線5より成る。ステータコア4は、鉄粉や鉄基合金粉末等の軟磁性粉末を圧粉成形した圧粉磁性体より成る複数の分割コア6と、それら複数の分割コア6の間に充填され、隣り合う前記分割コア6同士を接合する鉄粉や鉄基合金粉末等の軟磁性粉末より成る粉末成形体7より形成されている。
分割コア6と粉末成形体7は、表面に絶縁被膜が形成された鉄粉や鉄基合金粉末等の軟磁性粉末から形成されているが、同種の鉄粉や鉄基合金粉末等の軟磁性粉末から形成され、同種の絶縁被膜が形成されていることが、ステータコア4の磁気特性を均一で良好な状態とすることができる点から好ましい。
絶縁被膜の素材としては、リン酸系化成被膜やクロム系化成被膜などの無機物や樹脂を用いることができる。樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレンなどのオレフィン樹脂、カーボネート樹脂、ケトン樹脂、フッ化メタクリレートやフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂、PEEKなどのエンジニアリングプラスチックまたはその変性品などを使用することができる。
こうした絶縁被膜の中でも、その絶縁被膜をリン酸系化成被膜とすれば、絶縁被膜の電気絶縁性を特に向上させることができる。リン酸系化成被膜は、オルトリン酸(H3PO4)などの化成処理によって生成するガラス状の被膜であり、電気絶縁性に優れているからである。更にそのリン酸系化成被膜の上面にシリコーン樹脂被膜を形成して二重の被膜とすれば、高度な耐熱性を有する絶縁被膜を形成することができる。
ステータコア4を形成する複数の分割コア6は、図1の破線で示すように、ティース部3の中間で周方向に分割されており、図2に示すような湾曲した形状となっている。ヨーク部2は、湾曲した角柱状や円柱状のものであり、ティース部3は、扁平な板状のものである。尚、ヨーク部2は、必ずしも一本のヨーク部2が湾曲した形状ではなく、直線状であって、一本一本のヨーク部2が順に角度を変えながら連なっていても良いし、ティース部3の平面形状は、図1に示すような長方形のほか、等脚台形、二等辺三角形、扇形等であっても良い。また、ステータコア4の直径方向の寸法や上下方向の寸法は、ティース部3の方がヨーク部2より大きく、ティース部3がヨーク部2から上下内外に突出したような構造となっている。
尚、図1〜3に示したヨーク部2やティース部3の数は便宜上説明しやすい数を示しただけであり、図示した数以上であっても構わない。また、図1に示す8はロータであり、9は回転軸となるシャフトである。
次に、本発明のステータの製造方法について説明する。
本発明のステータ1は、前記したように、複数のヨーク部2とティース部3を交互に設け環状としたステータコア4と、そのステータコア4のヨーク部2の外周面に巻かれたトロイダル巻線5とより形成されており、ステータコア4は、圧粉磁性体より成る複数の分割コア6と、隣り合う分割コア6同士を接合する粉末成形体7より形成されている。
ステータ1を製造するにあたり、まず、図2に示すような分割コア6を、鉄粉や鉄基合金粉末等の軟磁性粉末を圧粉成形し、その後に焼結して必要数だけ製造する。その軟磁性粉末は表面に絶縁被膜を形成した粉末である。尚、この分割コア6は、環状のステータコア4を製造した後、切断して形成したものであっても良い。
次に、図3に示すように、この分割コア6のヨーク部2の外周面にトロイダル巻線5を巻き付ける。このトロイダル巻線5は、環状のステータコア4のヨーク部2ではなく、湾曲した形状の分割コア6のヨーク部2に巻き付けるため、巻線作業の障害となるものはなく極めて簡単に巻き付けることができる。環状のステータコア4に直接巻き付ける場合と比較すると、非常に作業性が良い。また、ヨーク部2にトロイダル巻線5を巻き付ける際に、ヨーク部2の両側のティース部3が当たりとなるため、トロイダル巻線5がヨーク部2から離脱することなく、巻線作業を迅速且つ確実に行うことができる。
更に、巻線作業が終了しトロイダル巻線5が施された分割コア6を集め、図1及び図4に示すように、環状に組み合わせ、プレス成形する。その手順は、まず、外型10の内側に内型(割り型)11を配置し、更にその内側に、巻線作業が終了した複数個の分割コア6を環状に並べる。並べられた複数個の分割コア6の間には、隙間が形成されるので、それらの隙間に鉄粉や鉄基合金粉末等の軟磁性粉末を充填する。その軟磁性粉末は表面に絶縁被膜を形成した粉末である。尚、12は、環状に並べた複数個の分割コア6の更に内側に配置する中心型である。
最後に、上パンチ13で、内型11の上面を押すと、外型の内周面に形成された傾斜面上を、内型11の外周面に形成された逆勾配の傾斜面が滑り、内型11が縮径する。その内型11の内周面で複数個の分割コア6は内方へ押し付けられるので、複数個の分割コア6の間の隙間が縮まり、隙間に充填された軟磁性粉末は隣り合う分割コア6で押え付けられて粉末成形体7となり、隣り合う分割コア6同士を接合する。接合された複数個の分割コア6は一体化されてステータコア4となる。上パンチ13を元に戻し、一体化された成形体を取り出せばステータ1の製造は完了する。尚、14は、上パンチ13、内型11、中心型12とともに、分割コア6を押え付ける下パンチである。
実施例では、ステータの磁気特性を評価する試験を行った。試料1は、分割コアから作製したものではなく、基の環状のステータコアにトロイダル巻線を直接施したステータとした。試料2は、環状のステータコアを2分割した分割コアにトロイダル巻線を施し、分割コアの間には、その分割コアと同様に軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した粉末を充填し、プレス成形してステータとした。試料3は、環状のステータコアを2分割した分割コアにトロイダル巻線を施し、分割コアの間には、その分割コアと同様に軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した粉末を挿入し、更にエポキシ樹脂を流し込み、プレス成形してステータとした。試料2と試料3では、分割コア間に充填(挿入)した粉末の密度が異なる。
ステータコア(分割コア)の作製には、神戸製鋼所製の純鉄粉「アトメル300NH」を使用した。絶縁被膜を形成するため、まず、H2O:1リットルあたり、H2PO4:193g、MgO:31g、H3BO3:30gを含む混合液からなる絶縁処理液を準備する。この絶縁処理液を前記鉄粉:200gに対して10cc混合し、大気中にて200℃で30分間乾燥させて絶縁処理を施した。この絶縁処理した鉄粉に対し、カネボウ製のフェノール樹脂「S−899」を0.3質量%添加し、V型ミキサーで30分間混合した。
成形は、外径45mm、内径33mmの環状金型を用いて行った。室温下で型潤滑成形を行い、各試料毎に、600MPa、800MPa、1000MPaの3通りの成形圧をかけ、それぞれ3種の密度の成形体を作製した。その後、大気中にて230℃で10分間熱処理を行い、樹脂を硬化させた。
試料2、試料3については、ワイヤーカットでギャップ1箇所について1mmとなるようにして、成形体を切断した。分割コアの間には、上記した成分と同じ成分の粉末を(試料3については更にエポキシ樹脂も)充填し、それぞれ分割コア作製時と同じ成形圧をかけプレス成形により分割コアを一体化した。更に、大気中にて230℃で10分間の熱処理を行い、樹脂を硬化させた。
測定は、理研電子製の直流磁気測定装置「model−50」を用いて行い、一次巻線数:200回、二次巻線数:20回、最大励磁磁場:100Oeで、各成形体の最大透磁率を測定した。その測定結果を表1と図5に示す。
分割コアとせず、単に環状のステータコアにトロイダル巻線を施してステータを基準例とすると、その基準例に相当する試料1の最大透磁率の測定結果は、成形圧を600MPaとした場合(基準例1)で270、成形圧を800MPaとした場合(基準例2)で320、成形圧を1000MPaとした場合(基準例3)で370であった。尚、表1には、試料1についても成形圧力と成形体密度を分割コアの欄に示しているが、試料1については分割コアを作製しないので、表1に示す数値は、それぞれステータコアの成形圧力と成形体密度である。
これに対し、環状のステータコアを2分割した分割コアにトロイダル巻線を施し、分割コアの間に、その分割コアと同じ構成の粉末を充填してステータとした試料2の最大透磁率の測定結果は、成形圧を600MPaとした場合(実施例1)で260、成形圧を800MPaとした場合(実施例2)で315、成形圧を1000MPaとした場合(実施例3)で365であった。最大透磁率の測定結果を、試料1の該当する従来例と対比した場合、成形圧を600MPaとした場合で270(基準例1)に対し265(実施例1)、成形圧を800MPaとした場合で320(基準例2)に対し315(実施例2)、成形圧を1000MPaとした場合で370(基準例3)に対し365(実施例3)と、分割コアを接合したことによる最大透磁率の低下は殆どない。これは、図5の試料1と試料2のグラフが殆ど重なっていることからも明らかである。
対照的に、環状のステータコアを2分割した分割コアにトロイダル巻線を施し、分割コアの間に、その分割コアと同じ構成の粉末に加えてエポキシ樹脂を充填した試料3の最大透磁率の測定結果は、成形圧を600MPaとした場合(比較例1)で150、成形圧を800MPaとした場合(比較例2)で180、成形圧を1000MPaとした場合(比較例3)で210であった。試料1の該当する比較例と対比した場合、成形圧を600MPaとした場合で270(基準例1)に対し150(比較例1)、成形圧を800MPaとした場合で320(基準例2)に対し180(比較例2)、成形圧を1000MPaとした場合で370(基準例3)に対し365(比較例3)と、分割コアの接合にエポキシ樹脂を用いたことで最大透磁率が大幅に低下した。これは、図5の試料3のグラフが試料1と試料2のグラフと比べて下方に位置することでも明らかである。
以上の試験結果から、環状のステータコアを分割した分割コアにトロイダル巻線を施し、分割コアの間に、軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した粉末を充填して接合することで、分割コアとせずに基の環状のステータコアにトロイダル巻線を施した場合と略同等の最大透磁率を確保できることが確認できた。しかも、分割コアからステータを形成することで、トロイダル巻きは何の支障もなく容易に行うことができる。
1…ステータ
2…ヨーク部
3…ティース部
4…ステータコア
5…トロイダル巻線
6…分割コア
7…粉末成形体
2…ヨーク部
3…ティース部
4…ステータコア
5…トロイダル巻線
6…分割コア
7…粉末成形体
Claims (4)
- ヨーク部とティース部を交互に設け環状としたステータコアと、そのステータコアのヨーク部の外周面に巻かれたトロイダル巻線とより構成されるステータであって、
前記ステータコアは、圧粉磁性体より成る複数の分割コアと、それら複数の分割コアの間に充填され、隣り合う分割コア同士を接合する粉末成形体より形成されており、
前記粉末成形体は、軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した粉末より成ることを特徴とするステータ。 - 前記分割コアと前記粉末成形体は、同種の軟磁性粉末を基に形成されていることを特徴とする請求項1記載のステータ。
- 前記ステータコアを形成する複数の分割コアは、ティース部で周方向に分割されていることを特徴とする請求項1または2記載のステータ。
- ヨーク部とティース部を交互に設け環状としたステータコアと、そのステータコアのヨーク部の外周面に巻かれたトロイダル巻線とより構成されるステータの製造方法であって、
前記ステータコアを形成する複数の分割コアのヨーク部の外周面に、前記トロイダル巻線を巻き付けた後、
それら複数の分割コアの間に、軟磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成した粉末をそれぞれ充填し、プレス成形により複数の分割コアを一体化することを特徴とするステータの製造方法。
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