JP2009253956A - 画像処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 濃度補正処理を行う際、画像データの載り量を算出することなく文字や図形の品位の劣化を避けるとともトナーの過剰使用によるトナー飛び散りといった画像の品質低下を防ぐ。
【解決手段】 濃度補正処理を行う際、色変換パラメータに対し、色変換パラメータのデータに応じて濃度補正処理結果の反映方法を切り替える。
【選択図】 図1
【解決手段】 濃度補正処理を行う際、色変換パラメータに対し、色変換パラメータのデータに応じて濃度補正処理結果の反映方法を切り替える。
【選択図】 図1
Description
画像処理装置及び画像処理方法に関し、特に色材の載り量を考慮した濃度制御を行う画像処理装置及び画像処理方法に関する。
コンピュータなどの情報処理装置で処理された情報を出力する装置の一つとして印刷機能を備えた画像処理装置が知られている。このような画像処理装置としては、例えばレーザビームプリンタなどの電子写真方式を用いたものが広く用いられており、その高品質な印刷結果、静粛性および高速性などの多くの利点を有している。さらに、ホストコンピュータやプリンタの画像形成部であるコントローラなどの高性能化によりカラー画像を容易に扱えるようになり、従来からのモノクロ画像の印刷のみならず、カラー画像を印刷可能なプリンタも増加している。
ここでカラー画像を印刷可能なプリンタでは、入力されたカラー画像データをプリンタ固有の色出力特性に合うように色変換パラメータを用いた色変換処理によって色変換をして描画する。この色変換パラメータとしては、マトリクスやルックアップテーブル(LUT)形式の情報が用いられる。
通常、電子写真方式のカラープリンタでは、RGB(赤、緑、青)による画像データを各トナーの信号レベルに対応するCMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)からなる画像データに変換する。この際、トナーの飛び散りといった定着性・転写性の問題を防ぐため、それぞれの信号レベルの合計(ここではトナーの載り量とする)をある一定の値に制限する必要がある。従って色変換処理後の信号レベルの合計が一定値以下に制限されるよう色変換パラメータは設計される。
ところでこれらのプリンタなどでは、印刷出力を長期間に渡って行なううちに出力される画像の色味や濃度等が変化する場合があることが知られている。
このような画像処理装置の特性の変化は、電子写真方式を用いているようなプリンタの場合、電子写真プロセスが環境条件・経時変化の影響を受けるために生じることが分かっている。すなわち、レーザ露光、感光体上の潜像形成、トナーによる現像、紙などの印刷媒体へのトナー像の転写、熱による定着といった過程は、装置周囲の温度や湿度といった環境条件、もしくは構成部品の経時変化などの影響を受けやすい。このため最終的に紙上に定着されるトナー量が変化することによって画像処理装置の特性の変化が生じる。ここで定着されるトナー量が変化した場合、画像の色味や濃度等が変化するのみでなく、トナーの載り量が変化することから画像処理装置の定着性や転写性にも問題がでることが分かっている。
上記のような不都合を解消するために、従来の画像処理装置においては出力の濃度特性を補正する濃度補正処理を行なうことが知られている。
電子写真方式の画像処理装置における濃度補正処理の一例として、まず装置内で複数点の所定濃度レベルの中間調処理されたパッチパターンをトナー像として中間転写体に形成し、同様に装置内に設けられたセンサーによってそれらパッチの濃度測定を行なう。次にその測定結果に基づいて、入力濃度レベルに対する中間調処理の濃度特性を算出し、印刷データにおける入力濃度レベルが所定の標準濃度値になるよう濃度補正テーブルを作成するものがある。そして、その後の印刷では、印刷データの入力濃度レベルをこの濃度補正テーブルによって補正することにより、印刷出力の濃度や色味を、常に入力濃度レベルに応じて一定範囲内のものに維持することが可能としている。
また他の濃度補正処理の方法として、スキャナなどの濃度測定装置を用いたものも知られている。すなわち、上記の中間転写体上に形成されたパッチパターンの測定結果に基づく濃度補正処理では、その測定濃度が実際の印刷用紙に印刷した濃度とは異なることがあり、結果補正の精度は比較的低いものとなることがある。このため、スキャナなどの濃度測定装置を備えた画像処理装置においては、この中間転写体を用いる代わりに用紙にパッチパターンを印刷し、これに基づいて濃度補正テーブルを作成するのである。
なお上記のような濃度補正処理の際、画像処理装置における中間の濃度レベルの補正と共に、最大濃度レベルにおける濃度特性の補正も行われている。最大濃度レベルの濃度特性の補正は、まず入力濃度レベルに対する濃度特性を算出する。次に算出した濃度特性に基づいて濃度値が目標の最大濃度値となる濃度レベルを算出し、この濃度レベルを用いることで最大濃度レベルを目標の濃度値の濃度レベルに変換する濃度補正テーブルを作成するのである。そしてその後の印刷では、入力濃度レベルに対して、作成した濃度補正テーブルを用いて補正することにより最大濃度の補正も含んだ濃度補正処理を行うことが可能となる。
上記従来例の最大濃度レベルの濃度補正において、最大濃度レベルで印刷した時の濃度値が目標の濃度値よりも高い場合、最大濃度レベルでの出力を目標の濃度値にするためにより低い濃度レベルに補正するような補正テーブルが作成される。すなわち入力濃度レベルが最大(濃度レベル100%)の場合も、濃度補正テーブルにより最大濃度レベルより低い濃度レベルに補正され、中間調処理されることにより目標の濃度に調整される。この結果トナーの載り量や画像の色味が補償されることになる。
しかしながら、上記のような補正処理が適用された場合、濃度レベル100%の色を設定した場合でも中間調処理が適用されることになる。この場合文字の輪郭にガタツキや細線の途切れが発生し画像品質が劣化してしまうという問題があった。
上記のような問題に対して、印刷の目的に応じて濃度レベルの補正方法を変えることにより文字や図形の品位を劣化させることなく、トナーやインクなどの載り量過剰を防ぐ方法が提案されている(例えば特許文献1)。本従来例では、補正処理を行うためにオブジェクトごとに色値を獲得し、載り量を計算することで補正方法を切り替えている。しかしながらレンダリング後に濃度補正処理を行うようなシステムの想定した場合、1画素ごとに載り量を算出しそれに応じた濃度補正テーブルを1画素ごとに作成することになり、計算量が膨大になってしまい現実的に実現は難しかった。
特開2005-117241号公報
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、濃度補正処理を行う際、色変換パラメータに濃度補正処理結果を反映する。これにより画像データの載り量を算出することなく文字や図形の品位の劣化を避けるとともに、トナーの過剰使用によるトナー飛び散りといった画像の品質低下を防ぐことが目的である。
上記目的を達成するために本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。
すなわち複数色の色材を備えた画像処理装置であって、
カラー画像データに対して色変換パラメータを使用することにより色変換処理を行うことで前記複数色の色成分データを得る色変換手段と、
前記色成分データに対し濃度補正パラメータを使用することにより出力時の濃度特性を補正する濃度補正手段と、
第1の濃度特性に補正する濃度補正パラメータを生成する第1の濃度補正パラメータ生成手段と、
濃度補正パラ第1の濃度特性とは異なる第2の濃度特性に補正する濃度補正パラメータを生成する第2のメータ生成手段と、
各画素における色成分データの合計量が予め指定された制限量を超えないように色変換処理を行う色変換パラメータを保持し、
前記第1の濃度補正パラメータと前記第2の濃度補正パラメータとの差分データより、前記色変換パラメータの修正を行う色変換パラメータ修正手段とを有することを特徴とする。
カラー画像データに対して色変換パラメータを使用することにより色変換処理を行うことで前記複数色の色成分データを得る色変換手段と、
前記色成分データに対し濃度補正パラメータを使用することにより出力時の濃度特性を補正する濃度補正手段と、
第1の濃度特性に補正する濃度補正パラメータを生成する第1の濃度補正パラメータ生成手段と、
濃度補正パラ第1の濃度特性とは異なる第2の濃度特性に補正する濃度補正パラメータを生成する第2のメータ生成手段と、
各画素における色成分データの合計量が予め指定された制限量を超えないように色変換処理を行う色変換パラメータを保持し、
前記第1の濃度補正パラメータと前記第2の濃度補正パラメータとの差分データより、前記色変換パラメータの修正を行う色変換パラメータ修正手段とを有することを特徴とする。
本発明によって、濃度補正処理を行う際、色変換パラメータに濃度補正処理結果を反映する。これにより画像データの載り量を算出することなく文字や図形の品位の劣化を避けるとともに、トナーの過剰使用によるトナー飛び散りといった画像の品質低下を防ぐことが可能となる。
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。
なお、本発明の実施の形態として以下にカラーレーザビームプリンタに適用する場合を説明するが、本発明はこれに限られるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で、任意の複合機、プリンタやファクシミリ装置などの画像処理装置に適用できる。
図1のブロック図に従って本発明の実施例1を説明していく。
図1は本発明の実施例1の画像処理装置のシステム構成を示すブロック図であり、本システムにおいてホストコンピュータからの描画コマンドを変換し画像データとして紙面に印刷する処理を行う。
図中102はホストコンピュータ101上で動作するアプリケーションであり、これらアプリケーションを用いることで、ページレイアウト文書やワードプロセッサ文書、グラフィック文書などが作成可能である。これらのアプリケーションで作成されたデジタル文書データはプリンタドライバ103に送信され、デジタル文書に基づいた描画コマンドが生成される。ここで生成される描画コマンドとしては、PDL(Page Description Language)と呼ばれるページ画像データを作成するためのプリンタ記述言語が一般的である。描画コマンドには、通常、文字や図形、イメージ等のオブジェクトデータの描画命令が含まれている。
上記生成された描画コマンドは、ネットワーク等で接続された画像処理装置104に送信される。画像処理装置104は、コマンド解析部105、描画オブジェクト生成部106、レンダリング処理部107、画像処理部108、画像出力部109から構成される。
ホストコンピュータから伝送された描画コマンドは、まずコマンド解析部105にて解析処理が行われる。解析されたデータを元に描画オブジェクト生成部106にて、レンダリング処理部107で処理可能な描画オブジェクトが生成される。描画オブジェクト生成部106にて生成された描画オブジェクトは、レンダリング処理部107にてレンダリング処理が行われ、ビットマップ画像110が生成される。
レンダリング処理により生成されたビットマップ画像110は、画像処理部108にて、色変換処理や濃度補正処理、中間調処理等の画像処理がなされ、画像出力部109に出力可能な画像フォーマットに変換される。画像処理部108の詳細な説明は後述する。
図中109は画像出力部であり、予め定められた画像フォーマットで生成された画像データを受信し出力処理を行うことで、ホストコンピュータからの描画コマンドを画像データとして紙面への印刷が完了する(図中111)。
図2は画像処理部108の詳細を示したブロック図である。
図中201は色変換処理部であり、ここで画像出力部への入力が、CMYKの4色のトナーに対応する画像データであり、レンダリング処理部107において生成されるビットマップ画像110がRGB色空間画像データであるとする。この場合、色変換処理部201においてビットマップ画像110をCMYK色空間画像データに変換する変換処理が行われる。この際、色変換テーブル作成部204では色変換テーブル保持部206に保持されている色変換テーブルデータ、及び後述の濃度補正テーブル作成部205にて作成された補正レベル量テーブルをもとに色変換テーブルを作成する。色変換処理部201ではこうして作成された色変換テーブルを用いて変換処理がなされる。色変換テーブル作成部204での処理の詳細は後述する。
図中202は濃度補正処理部であり、先述した濃度補正テーブル作成部205にて作成された濃度補正テーブルを用いて濃度補正処理を行う。濃度補正処理部202での処理の詳細は後述する。
画像出力部109は通常、2、4、16階調等、低階調のみ出力可能であることが多い。従って、少ない階調数しか出力できない画像出力部109においても安定した中間調表現が可能なよう中間調処理部203ではディザテーブル保持部207で保持されているディザテーブルを用いて中間調処理を行う。
以下図3〜図10を参照して、本発明の実施例1での濃度補正テーブル作成部204における処理についての説明をする。なお、本実施の形態の濃度補正テーブル作成部204での処理は、CMYKの各色についてそれぞれ行われる。
図3は本発明の実施例1での濃度補正テーブル作成処理のフローを示す図である。
まず、S301において複数の濃度レベルのパッチパターンを中間転写体上に形成し、S302においてセンサーを用いて各濃度レベルの濃度値を測定する。図4は、濃度測定処理の一例を示す図である。プリンタ内において、中間転写体402上に、濃度レベルがそれぞれ20%、40%、60%、80%の図5に示すようなパッチパターンを、C、M、Y、K各色について形成し、濃度測定センサー401で濃度を測定する。以下、測定して得られた値を「濃度値」と呼ぶ。なお、中間転写体402としては、感光体ドラムや白色紙等を用いることができ、トナーやインクを用いてパッチパターンを形成することができる。
S303では測定した濃度値よりパッチパターンの各濃度レベルに対する各色の濃度特性(即ち、濃度レベルに対する測定された濃度値の関係を示す特性)を算出する。図6は、算出された濃度特性の一例を示したものである。濃度値測定S302により測定した、20%、40%、60%、80%の濃度レベルの測定濃度値が、それぞれ、○に示す濃度値である場合、濃度値間を補間して現状の濃度特性を算出する。図6では現状の濃度特性を実線で表している。
次にS304において、算出した濃度特性により目標の最大濃度値に対応する濃度レベルを算出する。なお、目標の最大濃度値は固定値であっても、例えばユーザの好みなどに応じて変更可能な値であっても良いが、トナーやインクが過剰に用いられることによる画像品質の劣化が生じない範囲に制限しておくと良い。濃度値とトナーやインクの載り量が比例関係にあると考えた場合、濃度値がより高いということはよりトナーの載っていることとなり、現像性や定着性に問題が起こる可能性があるためである。
本実例では、目標の最大濃度値を1.4とする。図6に示す濃度特性の場合、濃度値1.4を得るための濃度レベルは80%であり、この80%が目標最大濃度レベルとなる。つまり、現状で80%の濃度レベルと認識されているトナーやインクの量で、充分な濃さ(目標最大濃度値1.4)の印刷結果が得られると考えられる。
S304で算出された目標最大濃度レベルをもとに、S305において第1の濃度補正テーブルが作成される。図6の破線は目標とする濃度特性(ここではリニア特性とする)を示したものである。濃度補正テーブルは補正後の濃度特性がこの目標の濃度特性になるよう作成される必要がある。ここで目標の濃度特性において最大濃度レベル100%に対する目標濃度値は1.4である。このような目標の濃度特性に即するよう現状の濃度特性(図6の実線)に対して補正を行うことを考えた場合、その際使用される濃度補正テーブルは図7の実線に示すようなものとなる。すなわち、入力される濃度レベル(入力濃度レベル)の最大濃度レベル(100%)が、補正後の濃度レベル(補正濃度レベル)において目標最大濃度レベル(80%)となるよう補正する一次元のテーブルとなる。
ここで図7に示された濃度補正テーブルを使用して濃度補正処理を行った場合を考える。図6で示された濃度特性を持つプリンタにおいて、図7で示された濃度補正テーブルを使用して濃度補正した際の例を図8に示す。図8には入力濃度レベルが100%の図形オブジェクト及び文字オブジェクトが示されている。ここで、もし濃度補正処理を行わなかった場合、中間濃度域も含め濃度が目標の濃度と異なっていることで、色味も目標と異なるものとなってしまう。ここでは濃度レベル100%の各オブジェクトは濃度値1.6で出力される。一方、濃度補正処理が施された結果、入力濃度レベル100%は濃度レベル80%に補正され、中間調処理を施されることで目標濃度値である1.4に補正される。しかしながらここで各オブジェクトのエッジ部に注目した場合、濃度レベル80%に補正され中間調処理が施された結果、輪郭ががたつくといったジャギーが発生することなる。これは特に文字においては画像品質の劣化として問題となる。同様な処理が適用された場合、細線等においては途切れが発生する原因にもなる。なお濃度レベル100%においては中間調処理の影響を受けないため、本問題は発生しない。上記の現象はプリンタの最大濃度が目標最大濃度より高い場合に発生する。
ここで本発明ではプリンタの最大濃度が目標最大濃度より高い場合に、上記問題を回避するような濃度補正テーブルを第2の濃度補正テーブルとして作成する。第2の濃度補正テーブルは入力濃度レベルの最大濃度レベルが、補正濃度レベルの最大濃度レベルとなるように第1の濃度補正テーブルの高濃度領域を補正することで作成される。
図9は第2の濃度補正テーブルの一例を示したもので、70%以上の入力濃度レベルに対して、第1の濃度補正テーブルの補正濃度レベルに所定の割合の補正レベルを加算したものを示している。図10は、第1の濃度補正テーブルに対して加算する濃度レベル量を示す補正レベル量テーブルの一例である。加算する濃度レベル量は、高濃度領域の特定の入力濃度レベル(図10に示す例では70%)までは0となり、最大入力濃度レベルでは、最大の濃度レベルと最大目標濃度レベルとの差分(ここでは、100%−80%=20%)となる。なお、ここでは70%以上の入力濃度レベルを有する高濃度領域を補正する場合について説明したが、補正する領域はこれに限るものではなく、低濃度領域まで補正するように、または全体に亘って補正するように構成することも可能である。
第2の濃度補正テーブルを使用して濃度補正をすることで低濃度から中濃度領域は目標の濃度特性に補正しつつ、最大濃度レベルが入力された際の文字のジャギーや細線の途切れといった問題を回避することが可能となる。
図3に戻り、S306において最大濃度が目標最大濃度より高いかどうかの判断をする。もし最大濃度が目標最大濃度と同じ、もしくは低い場合はS307において第1の濃度補正テーブルを第2の濃度補正テーブルとして処理を終了する。一方、最大濃度が目標最大濃度より高い場合、S308にて補正レベル量テーブルを算出し、それを第1の濃度補正テーブルに加算することで第2の濃度補正テーブルを作成し(S309)処理を終了する。
濃度補正処理部202では濃度補正テーブル作成部205で作成された第2の濃度補正テーブルを使用することで濃度補正処理を実施する。
しかしながら、第2の濃度補正テーブルを使用して濃度補正処理をした場合、低濃度から中濃度領域は目標の濃度特性に補正されるものの、高濃度部において目標濃度より高い特性を持っている。この結果、適正とされるトナーの載り量より多くのトナーが実際には使用されることとなり、トナーの飛び散りといった定着性・転写性の問題が発生する可能性がある。これはCMYK単色で印刷されるような1次色ではなく、特にそれぞれのトナーが混色される2次色以上で発生する可能性が高い。
本発明の実施例は上記のような問題に対し、第1の濃度補正テーブルから第2の濃度補正テーブルを作成した際に使用した補正レベル量を色変換テーブルにも反映することで解決する。
以下色変換テーブル作成部204での処理の詳細を説明する。
表1は色変換テーブルである3次元LUT(3次元ルックアップテーブル)の例を示したものであり、3次元LUTを用いる方法は代表的な色変換処理方法の1つである。このテーブルは、RGBデータをCMYKデータに変換するための対応関係を表す検索表であり、N×N×N個の格子点で構成されるため、格子間隔を十分狭くすることで原理的には精度良く色変換を行うことが可能である。ただし、実際にはメモリ容量、処理スピード等の問題から格子点数は限られており、色変換の対象となる点が格子点に当たることは極めて稀なことから、3次元補間処理により変換処理後の色値を求めている。3次元補間処理の際には、表1で示される3次元LUTは図11のように立方体で表現され補間処理が行われる。
先述したように、プリンタの特性に合わせた載り量の制御は、色変換テーブルを用いた色変換処理の際に実施されている。ここで格子点から3次元補間処理を行う際、格子点上のデータの載り量が制御されていれば、これら格子点から補間処理で得られるデータは載り量を超えることはない。従って、色変換処理時の載り量制御は格子点のデータに関しての載り量を制御すれば良いことになる。ここで格子点上の載り量は、CMYKの信号値の総量になる。すなわち、表1の例の場合、RGB=(0,0,216)の格子点はCMYK=(85,85,0,15)の総量の185%が載り量となる。
しかしながら、このような色変換テーブルを作成する際のトナーの載り量の算出には、プリンタの濃度特性が目標の濃度特性に補正されていることが前提となっている。すなわち図6の例であれば、濃度レベル100%の時、濃度値1.4となるような状態を想定して各格子点の載り量は制限される。従って、本実施例のように濃度補正処理において第2の濃度補正テーブルが適用される場合、高濃度領域では想定よりトナー量が多くなってしまう可能性があり、飛び散り等の問題が発生する原因となる。
ここで本発明の実施例1では、第1の濃度補正テーブルより第2の濃度補正テーブルを作成した際に利用した補正レベル量テーブルをもとに色変換テーブル保持部206に保持されている色変換テーブルデータを修正することで新たに色変換テーブルを作成する。
図12に上記修正を行う色変換テーブルの格子点の再演算処理のフロー図を示す。
まずS1201において色変換テーブル保持部206に保持されている色変換テーブルに関して、各格子点の載り量を算出する。ここで載り量は各格子点に関して不変であるので、色変換テーブルデータに保持する際に、色変換テーブルデータ自身が載り量を保持していても良い。その場合、格子点データはCMYK及び載り量のデータを持つことになる。
次にS1202において、S1201で求めた格子点のトナー載り量と、第2の濃度補正テーブルを作成する際に使用した補正レベル量より各格子点における減算レベル量を算出する。ここで減算レベル量は
減算レベル量=補正レベル量×減算比率
により算出される。ここで減算比率は格子点のトナー載り量に基づいて決定されるものであり、図13に減算比率を表すテーブルの例を示す。図13において、格子点のトナー載り量が100%以下の場合は、減算比率は0%となり実質減算処理はされない。従って、載り量が100%以下の格子点のデータに関しては、色変換テーブル保持部206で保持されている色変換テーブルデータと同じデータになる。一方、格子点の載り量が100%を越えた場合は減算比率を上げていくことで、減算レベル量を増やしていく。150%以上では減算比率は100%となり、第2の濃度補正テーブル作成の際に、第1の濃度補正テーブルに加算処理された領域に関しては、加算されたレベル量が色変換テーブルデータの格子点データより減算されることとなる。
減算レベル量=補正レベル量×減算比率
により算出される。ここで減算比率は格子点のトナー載り量に基づいて決定されるものであり、図13に減算比率を表すテーブルの例を示す。図13において、格子点のトナー載り量が100%以下の場合は、減算比率は0%となり実質減算処理はされない。従って、載り量が100%以下の格子点のデータに関しては、色変換テーブル保持部206で保持されている色変換テーブルデータと同じデータになる。一方、格子点の載り量が100%を越えた場合は減算比率を上げていくことで、減算レベル量を増やしていく。150%以上では減算比率は100%となり、第2の濃度補正テーブル作成の際に、第1の濃度補正テーブルに加算処理された領域に関しては、加算されたレベル量が色変換テーブルデータの格子点データより減算されることとなる。
S1203において、上記で求められた各格子点の減算レベル量を色変換テーブル保持部206で保持されている色変換テーブルデータより減算することで、第2の濃度補正テーブルで濃度補正処理されることに対応した色変換テーブルを作成することが可能となる。
図14及び表2〜表5に本発明の実施例において色変換テーブル作成部204で作成される色変換テーブルと濃度補正テーブル作成部205で作成される濃度補正テーブルの関係の一例を示す。
図中1401はシアンに関する第2の濃度補正テーブルであり、図中1402はマゼンタに関する第2の濃度補正テーブルである。ここでシアンに関しては最大濃度が目標最大濃度と同じであるので、濃度補正テーブル作成の際、加算処理がなされてないのに対し、マゼンタは最大濃度が目標最大濃度より多いため加算処理がなされているものとする。
図15は上記濃度補正テーブルが適用される際の色変換テーブルを示したものであり、図11で示された色変換テーブルを別の角度から見たものとなる。
この色変換テーブルの格子点データのうち、ホワイト(W)→マゼンタ(M)のデータを示したものが、表2になる。またホワイト(W)→シアン(C)のデータを示したものが表3であり、ホワイト(W)→青(B)のデータを示したものが表4になる。ここにおいてW→M及びW→Cのデータに関しては載り量が100%を超えていないので減算処理はなされない。一方、W→Bに関しては、RGB=(108,108,255)のレベルから載り量が100%を超えるので減算処理がなされる。ここでシアンに関しては濃度補正テーブルに作成の際、加算処理がなされていないので実質減算処理がされない一方、マゼンタに関しては70%以上の濃度レベル域で加算処理がなされるので、それに応じた減算処理が施された色変換テーブルが作成される。
これらの修正が適用され作成されたW→Bの格子点を表5に示す。シアンに関しては、色変換テーブル保持部で保持されていた色変換テーブルデータと修正後の色変換テーブルに差がないのに対し、マゼンタに関しては減算処理がなされている。上記のような処理を色変換テーブルデータすべての格子点に対して行うことで色変換テーブルを作成される。
こうして作成された色変換テーブル及び濃度補正テーブルを使用して画像処理を行うことでシアンやマゼンタといった1次色で印字される文字や細線に関してジャギーや途切れといった問題を回避するが出来る。一方より載り量の制限が厳しい混色されている2次色での載り量を適切に制御することが可能となる。
図16に本実施例の濃度補正処理のフローを示す。
まず、S1601にて濃度補正テーブルを更新するか否かを判断する。本実施例における濃度補正テーブルの更新は、電源オン時、また、所定枚数、たとえば電源オンから500枚印刷後あるいは200枚印刷する毎などのあらかじめ規定した枚数を印刷した後に行うものとする。または所定時間、たとえば30分経過毎などのあらかじめ規定した時間が経過したとき、さらには装置内温度、湿度等の環境変動が所定値になったときなどにも行われるものとする。次にS1602で実際の濃度補正テーブル作成処理を行う。S1603にて濃度補正テーブルを作成した際の最大濃度が目標最大濃度より大きいかどうかの判断を行い、大きければ(S1603でYES)、格子点の再演算処理を行う(S1604)ことで色変換テーブルを作成し色変換テーブルの更新を行う。また最大濃度が目標最大濃度以下であれば、色変換テーブルの更新は行わず、濃度補正テーブルの更新で処理は終了する。
以上のように本発明の実施例1によれば、濃度補正処理を行う際、色変換パラメータのデータに応じて濃度補正処理結果の反映方法を切り替える。これにより画像データの載り量を算出することなく文字や図形の品位の劣化を避けるとともに、トナーの過剰使用によるトナー飛び散りといった画像の品質低下を防ぐことが可能となる。
本発明の実施例1では、色変換処理時に使用される色変換パラメータの載り量をもとに、濃度補正処理の結果の反映方法を切り替え色変換テーブルを作成していた。しかしながらトナーの載り量がそれほど問題にならない、1次色においても描画するオブジェクトの種類によっては色味が問題になることがある。
本発明の実施例2では、色変換処理時に使用される色変換パラメータの載り量とともに印刷モードの設定に応じて濃度補正処理の結果の反映方法を切り替えて色変換テーブルを作成することを提案する。
図17は本発明の実施例2における印刷設定のユーザインターフェイスの例を示す図である。本ユーザインターフェイスはホストコンピュータ101の画面上に表示され、描画オブジェクト(文字、図形、イメージ)毎に「グレイ再現」の方法と「印刷モード」の設定を行うことができる。ここで「グレイ再現」とはRGB色空間画像データをCMYK色空間画像データに変換する際に、R=G=Bで表される色をどのように変換するかを選択可能としているものである。ここでは「Bk単色」で印刷するモードと「CMYK4色」で印刷するモードを想定する。また「印刷モード」では「輪郭優先」及び「色味優先」の2モードを選択可能としており、実施例1で説明をしたような、最大濃度においてジャギーの発生を防ぐモードと、色味を補償するモードのいずれかを選択可能とする。
図17のユーザインターフェイスに示した項目について、「グレイ再現」は色変換テーブル保持部で保持されている色変換テーブルデータの切り替えに対応する。すなわち、本発明の実施例2では、色変換テーブル保持部206で保持されている色変換テーブルデータは「色変換テーブルデータ1」と「色変換テーブルデータ2」の2種類となる。ここで色変換テーブルデータ1は、RGB空間画像データをCMYK空間画像データに変換する際に、R=G=Bで表される色をBk単色のレベルに変換するようなテーブルである。また色変換テーブルデータ2は、R=G=Bで表される色をCMYK4色のレベルに変換するようなテーブルとなる。
一方、「印刷モード」は色変換テーブル保持部2で保持されている色変換テーブルデータから色変換テーブルを作成する際の、減算比率のテーブルの切り替えに対応する。図18に印刷モードのそれぞれに対応する減算比率テーブルの例を示す。なお本発明の実施例2においても濃度補正処理では最大レベルにおいて、最大濃度が出力できるような第2の濃度補正テーブルを使用して濃度補正を行う。
1801は「印刷モード」において「輪郭優先」が選択された際の減算比率テーブルであり、実施例1で説明したように、100%以下の場合は、減算比率は0%となり実質減算処理はされず、格子点の載り量の増加に伴って減算比率が上がっていくものである。これにより載り量の比較的低い1次色においてはジャギーや途切れといった問題を回避する一方、より載り量の制限が厳しい、混色されている2次色での載り量を適切に制御することが可能となる。
一方「印刷モード」において「色味優先」が選択された際の減算比率テーブルは1802になる。1802の減算比率テーブルにおいては、全域で減算比率が100%となる。これにより第2の濃度補正テーブル作成の際に、加算される信号は予め色変換処理部で信号値より減算されることになる。この結果、入力濃度レベルに対する濃度は第1の濃度補正テーブルで補正されたものと同等のなることが期待でき、色味を補償することが可能となる。印刷設定の「グレイ再現」と「モード設定」のそれぞれの適用するテーブルの関係を表6に示す。
図19に本発明の実施例2における色変換テーブル作成の際の、格子点再演算処理のフロー図を示す。本処理は、文字、図形、イメージのそれぞれの色変換処理時に使用される色変換テーブル作成時に行われ、結果、文字用、図形用、イメージ用の色変換テーブルが作成されることになる。
まずS1901において印刷設定におけるグレイ再現の設定がBk単色かCMYK4色かどうか判断をする。もしBk単色であれば、色変換テーブルデータ1を選択する(S1902)一方、CMYK4色であれば、色変換テーブルデータ2を選択する(S1903)。S1904において各格子点上の載り量を算出し、次にS1905においてモード設定が輪郭優先か否かを判断する。もし「輪郭優先」であれば、減算比率テーブル1を選択する(S1906)一方、「色味優先」であれば、減算比率テーブル2を選択する(S1907)。ここで得られた減算比率をもとに、S1908において減算レベル量を算出し、S1901の判断処理で選択された色変換テーブルデータから減算処理をする(S1909)ことでそれぞれの色変換テーブルを作成することが出来る。
こうして得られた色変換テーブルを用いて色変換処理を行い、第2の濃度補正テーブルを用いて濃度補正処理を行うことで、各オブジェクトに適して選択された色変換処理、濃度補正処理を行うことができる。
なお、本発明の実施例1及び実施例2において、中間調処理は単一のものとして説明をしてきた。しかしながら色変換処理同様に、中間調処理もオブジェクトの種類に応じて変更することは可能である。その場合、濃度特性は中間調処理に依存するため、必要とする中間調処理に応じた濃度補正テーブルが必要となる。また、濃度補正テーブルを作成した場合には、中間調処理との組み合わせを考慮した色変換テーブルを作成すれば良い。
以上のように本発明の実施例2によれば、濃度補正処理を行う際、色変換パラメータのデータに応じて濃度補正処理結果の反映方法を切り替える。更に画像データの種類に応じても反映方法を切り替えることで画像データの載り量を算出することなく文字や図形の品位の劣化を避けるとともに、トナーの過剰使用によるトナー飛び散りといった画像の品質低下を防ぐことが可能となる。
Claims (5)
- 複数色の色材を備えた画像処理装置であって、
カラー画像データに対して色変換パラメータを使用することにより色変換処理を行うことで前記複数色の色成分データを得る色変換手段と、
前記色成分データに対し濃度補正パラメータを使用することにより出力時の濃度特性を補正する濃度補正手段と、
第1の濃度特性に補正する濃度補正パラメータを生成する第1の濃度補正パラメータ生成手段と、
第1の濃度特性とは異なる第2の濃度特性に補正する濃度補正パラメータを生成する第2の濃度補正パラメータ生成手段と、
各画素における色成分データの合計量が予め指定された制限量を超えないように色変換処理を行う色変換パラメータを保持し、
前記第1の濃度補正パラメータと前記第2の濃度補正パラメータとの差分データより、前記色変換パラメータの修正を行う色変換パラメータ修正手段とを有することを特徴とする画像処理装置。 - 前記色変換パラメータ修正手段は、修正前の色変換パラメータの各データに応じて、前記差分データの反映方法を変更させることで、色変換パラメータを修正することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記第1の濃度補正パラメータは、最大濃度レベルが入力された際に、最大目標濃度が出力されるよう濃度補正を行う濃度補正パラメータであり、前記第2の濃度補正パラメータは、最大濃度レベルが入力された際に、最大濃度が出力されるよう濃度補正を行う濃度補正パラメータであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記第2の濃度補正パラメータは、所定の濃度レベル以上の入力濃度レベル部分について第1の濃度補正パラメータより補正濃度レベルが高いものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
- 前記色変換パラメータ修正手段は、修正前の色変換パラメータの各データの合計が低いときには、前記差分データを反映させない一方、各データの合計が高いときには前記差分データを反映させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
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