JP2009252474A - 固体電解質形燃料電池とその製造方法 - Google Patents

固体電解質形燃料電池とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】共焼結によって製作することができるとともに、焼成時の熱収縮挙動から生じる反りを防止することが可能な固体電解質形燃料電池とその製造方法を提供する。
【解決手段】固体電解質形燃料電池100は、順に積層された燃料極層11、固体電解質層12および空気極層13の積層体から構成されるセル10と、燃料極層11の表面に燃料ガスを供給するために第1の方向に延びるように配置された複数の燃料ガス流通路23aと、空気極層13の表面に空気を供給するために第1の方向と交差する第2の方向に延びるように配置された複数の空気流通路24aとを備える。セル10と、複数の燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの側壁部とが共焼結によって形成されている。燃料ガス流通路23aの第1の幅yと空気流通路24aの第2の幅xは、x≧0.5mm、y≧0.5mmおよびx+3y≦8mmの関係を有する。
【選択図】図5

Description

この発明は、固体電解質形燃料電池とその製造方法に関するものである。
一般的に、平板型の固体電解質形燃料電池(固体酸化物燃料電池(SOFC)ともいう)は、各々がアノード(負極)、固体電解質およびカソード(正極)からなる発電要素としての平板状の複数のセルと、複数のセルの間に配置されるセパレータ(インタコネクタともいう)とから構成される。セパレータは、複数のセルを相互に電気的に直列に接続し、かつ、複数のセルの各々に供給されるガスを分離するために、具体的にはアノードに供給されるアノードガスとしての燃料ガス(たとえば水素)と、カソードに供給されるカソードガスとしての酸化剤ガス(たとえば空気)とを分離するために複数のセルの間に配置される。
従来から、セパレータは、耐熱性の金属材料またはランタンクロマイト(LaCrO)などの導電性のセラミック材料から形成されている。このような導電性材料を用いてセパレータを形成すると、一種類の材料で上記の電気的接続とガスの分離という機能を果たす部材を構成することができる。
一方、セパレータは、セルを構成する三層の部材、すなわち、アノード(燃料極)、電解質およびカソード(空気極)を構成する三層の部材に接合され、かつ、燃料ガスと酸化剤ガスの漏れを防止するためにセパレータと三層の部材の周縁部が気密にシールされて配置される。
また、セパレータとセルとからなる積層体は、複数のセルの各々に燃料ガスと酸化剤ガスを供給するためにマニホールドに接続される。この場合においても、燃料ガスと酸化剤ガスの漏れを防止するためにセパレータおよび三層の部材の周縁部とマニホールドとの間、さらにマニホールド間が気密にシールされて配置される。
そこで、セパレータ間とセル‐マニホールド間にシール部材を配置する必要性をなくすことが可能な平板型の固体電解質形燃料電池の製作方法として、たとえば、特開平6−68885号公報(以下、特許文献1という)には、固体電解質、空気極、燃料極、セパレータ(インターコネクタ)およびマニホールドの各部材を一体焼結(共焼結)させて固体電解質形燃料電池を製作する方法が提案されている。この公報で提案された固体電解質形燃料電池では、固体電解質の材料としてイットリア安定化ジルコニア(YSZ)等、空気極の材料としてランタンマンガナイト、ランタンコバルタイト等、燃料極の材料としてNiO−YSZ、セパレータの材料としてランタンクロマイトが用いられている。
特開平6−68885号公報
特許文献1に開示された固体電解質形燃料電池では、インターコネクタを形成する材料がランタンクロマイトである。ランタンクロマイトと固体電解質の材料であるYSZとは、焼成時の熱収縮挙動が大きく異なる。そこで、特許文献1では、応力緩和層を挟み込むことにより、焼成時の熱収縮挙動の違いから生じる材料間の応力を、応力緩和層が積極的に割れることによって緩和し、全体の破損を防止して一体焼結された固体電解質形燃料電池が製作される。しかし、インターコネクタを除いた空気極層、固体電解質層および燃料極層の積層体を一体焼結によって製作することは比較的容易であると考えられる。
ところが、固体電解質形燃料電池の内部抵抗を小さくするために固体電解質層を薄くすると、上記の積層体に反りが生じやすくなる。特に、空気極層と燃料極層の表面に空気と燃料ガスのそれぞれを流通させるために溝や開口などからなる流通路を形成すると、材料間の焼成時の熱収縮挙動の差に起因して、空気極層側の表面が凸状になるように積層体が反ることが本願発明者の実験によってわかった。
そこで、この発明の目的は、共焼結によって製作することができるとともに、焼成時の熱収縮挙動から生じる反りを防止することが可能な固体電解質形燃料電池とその製造方法を提供することである。
この発明に従った固体電解質形燃料電池は、順に積層されたアノード層、固体電解質層およびカソード層の積層体から構成されるセルと、アノード層の表面にアノードガスを供給するために第1の方向に延びるようにほぼ平行に配置された、第1の幅を有する複数のアノードガス流通路と、カソード層の表面にカソードガスを供給するために第1の方向と交差する第2の方向に延びるようにほぼ平行に配置された、第2の幅を有する複数のカソードガス流通路とを備える。セルと、複数のアノードガス流通路とカソードガス流通路の側壁部とが共焼結によって形成されている。アノードガス流通路の第1の幅をy、カソードガス流通路の第2の幅をxとすると、xとyは、x≧0.5mm、y≧0.5mmおよびx+3y≦8mmの関係を有する。
このように構成することにより、アノードガスの流れとカソードガスの流れが直交するタイプ(直交流タイプ)の固体電解質形燃料電池において、焼成時の熱収縮挙動によって、セルを構成するアノード層、固体電解質層およびカソード層の積層体に生じる反り量を抑制することができ、その結果としてアノードガス流通路とカソードガス流通路の圧力損失をともに抑制することが可能となる。
この発明の固体電解質形燃料電池において、xとyは、x/y≧3/2の関係を有することが好ましい。
このように構成することにより、カソードガス流通路の圧力損失をさらに抑制することができる。
また、この発明の固体電解質形燃料電池において、アノード層の出発材料は、酸化ニッケルを50質量%以上含むことが好ましい。
アノード層の出発材料が酸化ニッケルを50質量%以上含む場合に、上記のアノードガス流通路とカソードガス流通路の幅の関係による作用をより効果的に発揮することができ、焼成時の熱収縮挙動によって、セルを構成するアノード層、固体電解質層およびカソード層の積層体に生じる反り量を効果的に抑制することができ、その結果としてアノードガス流通路とカソードガス流通路の圧力損失をともに抑制することが可能となる。
さらに、この発明の固体電解質形燃料電池において、カソード層は、ペロブスカイト型結晶構造の酸化物電子伝導体を含むことが好ましい。
カソード層がペロブスカイト型結晶構造の酸化物電子伝導体を含む場合に、上記のアノードガス流通路とカソードガス流通路の幅の関係による作用をより効果的に発揮することができ、焼成時の熱収縮挙動によって、セルを構成するアノード層、固体電解質層およびカソード層の積層体に生じる反り量を効果的に抑制することができ、その結果としてアノードガス流通路とカソードガス流通路の圧力損失をともに抑制することが可能となる。
この発明に従った固体電解質形燃料電池の製造方法は、上述のいずれかの特徴を有する固体電解質形燃料電池の製造方法であって、加熱によって消失する消失材料を複数のアノードガス流通路とカソードガス流通路の側壁部を形成する材料の間に充填した後、共焼結することによって複数のアノードガス流通路とカソードガス流通路の側壁部を形成する。
このように製造することにより、複数のアノードガス流通路とカソードガス流通路の側壁部を容易に形成することができる。
以上のようにこの発明によれば、共焼結によって製作することができるとともに、焼成時の熱収縮挙動から生じる反りを防止することができるので、その結果としてアノードガス流通路とカソードガス流通路の圧力損失をともに抑制することが可能となる。
以下、この発明の一つの実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の一つの実施の形態として固体電解質形燃料電池の単位モジュールの概略的な構成を示す平面図である。図2は、単位モジュールを複数備えた固体電解質形燃料電池の概略的な構成として図1のII−II線に沿った方向から見た断面を示す断面図である。図3は、この発明の一つの実施の形態として、固体電解質形燃料電池の単位モジュールの概略的な構成として図1のIII−III線に沿った方向から見た断面を示す断面図である。なお、図3では、電気導電体22の図示を省略している。
図1〜図3に示すように、固体電解質形燃料電池100では、ガス供給路構造部21cは、複数のセル10の各々の燃料極層11の一方側の側面に接触するように配置された、燃料ガスを供給するためのアノードガス供給路としての燃料ガス供給路23と、空気極層13の一方側の側面に接触するように配置された、空気を供給するためのカソードガス通路としての空気供給路24とを有する。図1において、燃料ガスは、左側に配置された燃料ガス供給路23から右に向かって流れるとともに、空気は、上側に配置された空気供給路24から下に向かって流れる。このように、この実施の形態の固体電解質形燃料電池100は、燃料ガスの流れと空気の流れが直交するタイプ(直交流タイプ)である。
図2〜図3に示すように、本発明の実施形態では、燃料ガス供給路23から燃料極層11の表面に燃料ガスを流通させるために、セル間分離部21aと燃料極層11との間で燃料極層11の表面に接触するように複数の燃料ガス流通路23aが形成されている。具体的には、この形態例では、燃料極層11の内側面に接触するように、燃料極層11の内部に複数の開口からなる燃料ガス流通路23aが形成されている。
また、図2〜図3に示すように、空気供給路24から空気極層13の表面に空気を流通させるために、セル間分離部21aと空気極層13との間で空気極層13の表面に接触するように複数の空気流通路24aが形成されている。具体的には、この形態例では、空気極層13の内側面に接触するように、空気極層13の内部に複数の開口からなる空気流通路24aが形成されている。
図1には、この発明の一つの実施の形態として、固体電解質形燃料電池の単位モジュールの概略的な構成が示されており、特に燃料極層11、固体電解質層12、空気極層13の平面的な配置が示されている。
図2と図3に示すように、固体電解質形燃料電池の単位モジュール(固体電解質形燃料電池モジュール)を複数備えた固体電解質形燃料電池100は、固体電解質形燃料電池支持構造体(以下、「支持構造体」という)20を備える。支持構造体20の内部には、複数の単位モジュールが積層されて構成されており、各単位モジュールにおいては、セル10を構成するアノード層としての厚みが100〜300μmの燃料極層11と、厚みが10〜50μmの固体電解質層12と、カソード層としての厚みが100〜300μmの空気極層13とが順に積層されて形成されている。なお、図2では、支持構造体20の内部において、上方向に空気極層13、固体電解質層12および燃料極層11が順に積層されて形成されることによって単位モジュールが構成されているが、上方向に燃料極層11、固体電解質層12および空気極層13が順に積層されて形成されることによって単位モジュールが構成されてもよい。
固体電解質形燃料電池100は、複数のセル10を有し、最上部に位置するセルには支持構造体20を介して厚みが10〜20μmの集電板30が電気的に接続するように配置され、最下部に位置するセルには支持構造体20を介して厚みが10〜20μmの集電板40が電気的に接続するように配置されている。複数のセル10の各々は、順に積層された燃料極層11と固体電解質層12と空気極層13とからなる。支持構造体20は、複数のセル10の間に配置される厚みが100μm程度のセル間分離部21aを含む隔離部21bと、ガス供給路構造部21cとから構成される。
セル間分離部21aは、複数のセル10の各々に供給されるアノードガスとしての燃料ガスとカソードガスとしての酸化剤ガスである空気とを互いに分離する電気絶縁体21と、電気絶縁体21内に形成されかつ複数のセル10を相互に電気的に接続する複数の電気導電体22とから形成される。集電板30は電気導電体22を通じて最上部のセルの燃料極層11に電気的に接続され、集電板40は電気導電体22を通じて最下部のセルの空気極層13に電気的に接続されている。
隔離部21bは、複数のセル10の各々に供給される燃料ガスと空気を外気から隔離するように電気絶縁体21から形成されている。
図2と図3に示すように、ガス供給路構造部21cの本体、すなわち、燃料ガス供給路23と空気供給路24を形成する壁部は、セル間分離部21aを形成する電気絶縁体21と同じ電気絶縁体からなり、セル間分離部21aを形成する電気絶縁体21に連続して形成されている。隔離部21bを形成する電気絶縁体も、セル間分離部21aを形成する電気絶縁体21と同じ電気絶縁体からなり、セル間分離部21aを形成する電気絶縁体21に連続して形成されている。
なお、電気絶縁体21は、たとえば、添加量3モル%のイットリア(Y)で安定化されたジルコニア(ZrO)(イットリア安定化ジルコニア:YSZ)、添加量12モル%のセリア(CeO)で安定化されたジルコニア(ZrO)(セリア安定化ジルコニア:CeSZ)等を用いて形成される。
電気導電体22は、たとえば、銀(Ag)‐白金(Pt)合金、銀(Ag)‐パラジウム(Pd)合金等、あるいはアルカリ土類金属を添加したランタンクロマイト(LaCrO)、ランタンフェレート(LaFeO)を用いて形成される。
固体電解質層12は、たとえば、添加量10モル%のスカンジア(Sc)と添加量1モル%のセリア(CeO)で安定化されたジルコニア(ZrO)(スカンジアセリア安定化ジルコニア:ScCeSZ)、添加量11モル%のスカンジア(Sc)で安定化されたジルコニア(ZrO)(スカンジア安定化ジルコニア:ScSZ)、あるいは添加量8モル%のイットリア(Y)で安定化されたジルコニア(ZrO)(イットリア安定化ジルコニア:YSZ)等を用いて形成される。
燃料極層11は、たとえば、酸化ニッケル(NiO)と、添加量10モル%のスカンジア(Sc)と添加量1モル%のセリア(CeO)で安定化されたジルコニア(ZrO)(スカンジアセリア安定化ジルコニア:ScCeSZ)または添加量8モル%のイットリア(Y)で安定化されたジルコニア(ZrO)(イットリア安定化ジルコニア:YSZ)との混合物等を用いて形成される。
空気極層13は、たとえば、La0.8Sr0.2MnOと、添加量10モル%のスカンジア(Sc)と添加量1モル%のセリア(CeO)で安定化されたジルコニア(ZrO)(スカンジアセリア安定化ジルコニア:ScCeSZ)または添加量8モル%のイットリア(Y)で安定化されたジルコニア(ZrO)(イットリア安定化ジルコニア:YSZ)との混合物等を用いて形成される。あるいはLa0.8Sr0.2MnOの代わりにLa0.8Sr0.2Co0.2Fe0.8を用いてもよい。
集電板30と40は、たとえば、銀(Ag)から形成される。
以上のように構成された本発明の固体電解質形燃料電池支持構造体20においては、マニホールドの機能を果たすガス供給路構造部21cの本体と、燃料ガスと空気を外気から隔離する隔離部21bは、セパレータの機能を果たすセル間分離部21aを形成する電気絶縁体21からなり、セル間分離部21aを形成する電気絶縁体21に連続して形成されているので、セパレータとマニホールドの二つの機能を果たす部分が連続して形成されている。このため、セパレータ間とセル‐マニホールド間のシール部材が不要となる。これにより、電池全体としてのガスに対するシール性を高めることができ、部材点数を少なくすることができ、その結果として製造工程数を削減することができる。
この発明に従った固体電解質形燃料電池モジュールは、上述の特徴を有する固体電解質形燃料電池支持構造体20と、この固体電解質形燃料電池支持構造体20のセル間分離部21aの表面の上に配置された空気極層13と、空気極層13の上に形成された固体電解質層12と、固体電解質層12の上に形成された燃料極層11とを備え、セル10が固体電解質形燃料電池支持構造体20のセル間分離部21aによって支持されるので、固体電解質層12の厚みを、たとえば、100μm以下に薄くすることができる。その結果、固体電解質層12の電気抵抗を低くすることができる。
また、この発明の固体電解質形燃料電池において、固体電解質層12と電気絶縁体21を構成する材料は、安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアを主成分として含むことにより、固体電解質形燃料電池支持構造体20の電気絶縁体21を構成する材料と、固体電解質層12を構成する材料とにおいて、熱膨張係数の差を小さくすることができるので、運転時等にヒートサイクルが与えられても、固体電解質層12に作用する熱応力が小さいため、熱応力による固体電解質層12の破壊を抑制することができる。
また、固体電解質形燃料電池支持構造体20の電気絶縁体21を構成する材料と、固体電解質層12を構成する材料とにおいて、焼結挙動を近づけることができるので、固体電解質形燃料電池支持構造体20の電気絶縁体21と固体電解質層12、ひいては、固体電解質形燃料電池支持構造体20の電気絶縁体21と固体電解質層12を含むセル10とを共焼結により製造することができる。すなわち、セル10、セル間分離部21a、隔離部21bおよびガス供給路構造部21cが共焼結によって一体的に形成されている。
上記のように、固体電解質層12と電気絶縁体21を構成する材料が安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアを主成分として含むことにより、セル間分離部21a、隔離部21bおよびガス供給路構造部21cを構成する材料と固体電解質層12との間の焼成時の熱収縮挙動の差を小さくすることができるので、クラックや破損のない固体電解質形燃料電池を共焼結によって製作することが容易になる。
ところが、固体電解質形燃料電池の内部抵抗を小さくするために固体電解質層を薄くすると、上記の燃料極層11と固体電解質層12と空気極層13の積層体に反りが生じやすくなる。特に、この実施形態のように空気極層13と燃料極層11の表面に空気と燃料ガスのそれぞれを流通させるために溝や開口などからなる空気流通路24aと燃料ガス流通路23aを形成すると、材料間の焼成時の熱収縮挙動の差に起因して、空気極層13側の表面が凸状になるように積層体が反ることが本願発明者の実験によってわかった。
そこで、この発明の実施の形態では、図1〜図3に示される実施形態において、燃料ガス流通路23aの第1の幅yと空気流通路24aの第2の幅xとの関係が規定される。
図4は、直交流タイプの固体電解質形燃料電池の単位モジュールを構成する一つのセルを示す部分断面斜視図である。図5は、ガス流通路の配置を示す平面図である。
図4〜図5に示すように、直交流タイプの固体電解質形燃料電池の単位モジュールを構成するセル10(図2)は、燃料極層11の表面に燃料ガスを供給するために第1の方向に延びるようにほぼ平行に配置された、第1の幅yを有する複数の燃料ガス流通路23aと、空気極層13の表面に空気を供給するために第1の方向と交差する第2の方向に延びるようにほぼ平行に配置された、第2の幅xを有する複数の空気流通路24aとを備える。セル10と、複数の燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの側壁部とが共焼結によって形成されている。
この場合、第1の幅yと第2の幅xを何ら考慮することなく、複数の燃料ガス流通路23aと複数の空気流通路24aを形成すると、以下のような問題が生じることが本願発明者の実験によってわかった。
複数の燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの側壁部を以下では、「リブ」という。燃料極層11側、または空気極層13側のリブに接する積層体の部分は、リブからの拘束力を受ける。しかし、燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの立体交差部では積層体の上下側面はリブに接していないため、直接リブからの拘束力は受けない。そのため、交差部の積層体部分は構造上変形しやすい部分となっている。
図4〜図5からわかるように、交差部の積層体部分は、平行四辺形の平面形状を有する。積層体の焼成時には、この平行四辺形のうち、外周部ほど周囲のリブからの伝熱により温度が上昇しやすく、焼結の進行は速いが、中心に向かうほど温度上昇は遅れ、焼結の進行は遅くなる。このような立体交差部での温度分布によって、温度の高い外周部から収縮するため、温度上昇が遅れる平行四辺形の中央部ではたわみが生じ、立体交差部の積層体部分には反りが生じる。
燃料極層11を形成する材料に含まれるニッケル(Ni)は、焼成時には酸化ニッケル(NiO)である。酸化ニッケルの熱伝導率は、空気極層13を形成する材料に含まれる(La,Sr)MnOより高い。そのため、焼成時には燃料極層11側の方が温度が上がりやすく、空気極層13側より早く焼結し、収縮し始める。その結果、変形しやすい立体交差部の積層体部分は、空気極層13側に凸形状になるように反る。また、空気極層13側の温度分布が大きいほど、この反り量はさらに大きくなる。
このような反りを解消するために、本願発明者は以下のように考察した。立体交差部の燃料極層11側に形成された燃料ガス流通路23aの幅yは狭くなるほど、焼成時において立体交差部の燃料極層11の温度分布は小さくなる。このように燃料極層11の温度分布が小さくなれば、燃料極層11側の伝熱により空気極層13側も比較的均一に加熱され、立体交差部の積層体部分に生じる反りは抑制される。ただし、空気極層13側に形成された空気流通路24aの幅xもある程度広くなると、温度分布を抑制することが困難になる。
そこで、本願発明者は、実験結果から、燃料極層11側と空気極層13側のそれぞれに形成される燃料ガス流通路23aの幅yと空気流通路24aの幅xに相当する立体交差部の対辺間の距離をある一定の長さ以下にすることによって、温度分布に起因する反りを大幅に抑制できることを見出した。
このような本願発明者の知見に基づいて、燃料ガス流通路23aの第1の幅をy、空気流通路24aの第2の幅をxとすると、xとyは、x≧0.5mm、y≧0.5mmおよびx+3y≦8mmの関係を有する。
このように構成することにより、燃料ガスの流れと空気の流れが直交するタイプ(直交流タイプ)の固体電解質形燃料電池100において、焼成時の熱収縮挙動によって、セルを構成する燃料極層11、固体電解質層12および空気極層13の積層体に生じる反り量を抑制することができ、その結果として燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの圧力損失をともに抑制することが可能となる。特に、固体電解質層12の厚みが100μm以下であるとき、上記の圧力損失の抑制において好ましい作用効果を得ることができる。
また、この発明の固体電解質形燃料電池100において、xとyは、x/y≧3/2の関係を有することが好ましい。このように構成することにより、カソードガス流通路の圧力損失をさらに抑制することができる。
この発明の固体電解質形燃料電池100において、上記の実施形態で説明したように燃料極層11の出発材料は、酸化ニッケルを50質量%以上含むことが好ましい。
燃料極層11の出発材料が酸化ニッケルを50質量%以上含む場合に、上記の燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの幅の関係による作用をより効果的に発揮することができ、焼成時の熱収縮挙動によって、セルを構成する燃料極層11、固体電解質層12および空気極層13の積層体に生じる反り量を効果的に抑制することができ、その結果として燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの圧力損失をともに抑制することが可能となる。
さらに、この発明の固体電解質形燃料電池100において、空気極層13は、上記の実施形態で説明したように、たとえば、(La,Sr)MnOなどのペロブスカイト型結晶構造の酸化物電子伝導体を含むことが好ましい。
空気極層13がペロブスカイト型結晶構造の酸化物電子伝導体を含む場合に、上記の燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの幅の関係による作用をより効果的に発揮することができ、焼成時の熱収縮挙動によって、セルを構成する燃料極層11、固体電解質層12および空気極層13の積層体に生じる反り量を効果的に抑制することができ、その結果として燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの圧力損失をともに抑制することが可能となる。
なお、上述の実施形態に従った固体電解質形燃料電池の製造方法において、加熱によって消失する消失材料を、たとえば、炭素含有材料を、複数の燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの側壁部を形成する材料の間に充填した後、共焼結することによって複数の燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの側壁部を形成する。
このように製造することにより、複数の燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの側壁部を容易に形成することができる。
ところで、上記のように材料間の焼成時の熱収縮挙動の差を小さくして共焼結によって固体電解質形燃料電池を製作することができたとしても、初期発電時にクラックが生じやすい。初期発電時に燃料極層11に供給される燃料ガスとしての水素ガスによって、燃料極層11の材料として用いられるNiO(酸化ニッケル)と、安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアとの混合物(焼成段階)を構成する材料のうち、NiO(酸化ニッケル)がNi(金属ニッケル)に還元される。この還元収縮挙動から生じる材料間の応力がクラックの原因と考えられる。
なお、この実施形態では、図3に示される燃料極層11、固体電解質層12および空気極層13の積層体の断面において、固体電解質層12の表面に接触する燃料極層11の接触端縁、いいかえれば固体電解質層12の表面に到達する燃料極層11の外側壁端面は、その燃料極層11の接触端縁の近傍を包囲しかつ固体電解質層12の表面に接触する隔離部21bの接触端縁に接しないように、一致しないように、いいかえれば固体電解質層12の表面に到達する隔離部21bの内側壁端面に接しないように、一致しないように、燃料極層11と隔離部21bが形成されている。この形態例では、上記のような構成を実現するために、上記の隔離部21bの接触端縁または内側壁端面は上記の燃料極層11の接触端縁または外側壁端面から離隔しており、隔離部21bの接触端縁または内側壁端面と燃料極層11の接触端縁または外側壁端面との間には隙間11aが存在している。この隙間11aは、隔離部21bを形成する電気絶縁体21と異なる材料で充填されていてもよい。
また、上記の燃料極層11の接触端縁または外側壁端面は、固体電解質層12の表面に接触する空気極層13の接触端縁に整合しないように、整列しないように、いいかえれば固体電解質層12の表面に到達する空気極層13の外側壁端面に整合しないように、整列しないように、燃料極層11と空気極層13が形成されている。
上記のように構成された実施形態では、固体電解質層12の表面に接触する燃料極層11の接触端縁において、初期発電時にクラックが生じるのを防止することができることが本願発明者の実験によってわかった。
この発明の固体電解質形燃料電池の実施形態においては、図3で示すように、固体電解質層12の表面に接触する燃料極層11の接触端縁が、燃料極層11の接触端縁を被覆しかつ固体電解質層12の表面に接触する隔離部21bの接触端縁に接していない。また、燃料極層11の接触端縁が、固体電解質層12の表面に接触する空気極層13の接触端縁に整合していない。これらのことから、初期発電時に燃料極層11に供給される燃料ガスとしての水素ガスによって、燃料極層11が還元収縮挙動を示し、その還元収縮挙動から応力が生じたとしても、その応力によって隔離部21bの接触端縁が燃料極層11の接触端縁を押さえつけるように働かない。したがって、初期発電時の還元収縮挙動から生じるクラックを防止することができるので、初期発電時にセルが破損しがたくなる。
以下、この発明の実施例について説明する。
(実施例1)
まず、図1〜図3に示す直交流タイプの固体電解質形燃料電池の単位モジュールを構成する各部材の材料粉末を以下のとおり準備した。
燃料極層11:酸化ニッケル(NiO)60重量%と、添加量10モル%のスカンジア(Sc)と添加量1モル%のセリア(CeO)で安定化されたジルコニア(ZrO)(スカンジアセリア安定化ジルコニア:ScCeSZ)40重量%との混合物。
固体電解質層12:添加量10モル%のスカンジア(Sc)と添加量1モル%のセリア(CeO)で安定化されたジルコニア(ZrO)(スカンジアセリア安定化ジルコニア:ScCeSZ)。
空気極層13:La0.8Sr0.2MnO60重量%と、添加量10モル%のスカンジア(Sc)と添加量1モル%のセリア(CeO)で安定化されたジルコニア(ZrO)(スカンジアセリア安定化ジルコニア:ScCeSZ)40重量%との混合物。
図2に示す固体電解質形燃料電池支持構造体20にて部分20aについては、次の材料を作製するための各種原材料粉末を準備した。
添加量12モル%のセリア(CeO)で安定化されたジルコニア(ZrO)(セリア安定化ジルコニア:CeSZ)に10重量%のジルコン(ZrSiO)を添加したもの(電気絶縁材料)。
以上のように準備された材料を用いて、まず、図2に示すように、固体電解質形燃料電池支持構造体20を構成する部分20aについてグリーンシートを以下のように作製した。
部分20aについては、各種原材料粉末と、ポリビニルブチラール系バインダーと、有機溶媒としてのエタノールとトルエンとの混合物(重量比率で混合比が1:4)とを混合した後、ドクターブレード法により固体電解質形燃料電池支持構造体20の部分20aのグリーンシートを作製した。
部分20aのグリーンシートでは、図2に示すように電気絶縁体21に複数の電気導電体22を形成するための貫通孔を形成した。
具体的には、図6の(B)に示すように、2枚のシート25aと25bに互いの貫通孔の位置が重ならないように2種類の配置の貫通孔を形成し、これらの貫通孔に50重量%の銀と50重量%のパラジウムとからなるペーストを充填することにより、2種類の位置に配置された電気導電体22aと22bを形成するための導電性ペースト充填層を作製した。電気導電体22aと22bを形成するための導電性ペースト充填層同士が接続するように、電気導電体22bを形成するための導電性ペースト充填層が配置されたシート25bの表面上に、別のシート25aに電気導電体22aを形成するために配置された導電性ペースト充填層に接続するように、上記と同じ組成のペーストを印刷した。その後、図6の(B)に示すように、2枚のシート25aと25bを積層することにより、部分20aのグリーンシートを作製した。
なお、図6の(A)に示すように、部分20aのグリーンシートとして、1枚のシート25に、1種類の配置の電気導電体22を形成するための導電性ペースト充填層を形成してもよい。
また、部分20aには、メカパンチャーにより穴あけ加工を施すことによって、図2〜図3に示すように燃料ガス供給路23と空気供給路24を形成するための細長い貫通孔を形成した。
次に、部分20a以外の固体電解質形燃料電池支持構造体20を構成する部分については、各種原材料粉末と、ポリビニルブチラール系バインダーと、有機溶媒としてのエタノールとトルエンとの混合物(重量比率で混合比が1:4)とを混合した後、ドクターブレード法により固体電解質形燃料電池支持構造体20の部分のグリーンシートを作製した。
部分20a以外の固体電解質形燃料電池支持構造体20を構成する部分のグリーンシートでは、図2と図3に示す燃料ガス供給路23と空気供給路24を形成するための隙間を存在させて燃料極層11と空気極層13のグリーンシートを嵌め合わせすることができるように、電気絶縁体21からなるグリーンシートを作製した。また、そのグリーンシートには、メカパンチャーにより穴あけ加工を施すことによって、図2と図3に示すように電気絶縁体21に燃料ガス供給路23と空気供給路24を形成するための細長い貫通孔を形成した。
次に、図1〜図3に示す空気極層13、固体電解質層12および燃料極層11のグリーンシートを以下のようにして作製した。
焼成後、ガス拡散に必要な気孔が十分に形成されるように、燃料極層11と空気極層13のそれぞれの材料粉末100重量部に対してカーボン粉末を20〜40重量部添加した。この混合粉末と、ポリビニルブチラール系バインダーと、有機溶媒としてのエタノールとトルエンとの混合物(重量比率で混合比が1:4)とを混合した後、ドクターブレード法により、燃料極層11と空気極層13のグリーンシートを作製した。
固体電解質層12の各種原材料粉末と、ポリビニルブチラール系バインダーと、有機溶媒としてのエタノールとトルエンとの混合物(重量比率で混合比が1:4)とを混合した後、ドクターブレード法により固体電解質層12のグリーンシートを作製した。
具体的には図1に示す形状で燃料極層11、固体電解質層12および空気極層13のグリーンシートを作製した。固体電解質層12のグリーンシートには、図1に示すように、燃料ガス供給路23と空気供給路24を形成するための細長い貫通孔を形成した。
また、図3に示す形状の燃料極層11を形成するために、隙間11aと燃料ガス流通路23aを形成する箇所にはカーボン粉末からなる短冊状のシートと燃料極層11を構成する短冊状のグリーンシートとを互い違いに挟んで配置した。
さらに、図2に示す形状の空気極層13を形成するために、空気流通路24aを形成する箇所にはカーボン粉末からなる短冊状のシートと空気極層13を構成する短冊状のグリーンシートとを互い違いに挟んで配置した。
なお、燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの高さを0.10mm、流路間の間隔を2mmとし、幅を種々の変えたものを作製した。隙間11aの幅を1mmとした。
以上のようにして作製された、固体電解質形燃料電池支持構造体20の部分のグリーンシートを順に積層し、さらにこの上に、空気極層13、固体電解質層12および燃料極層11のグリーンシートを順に積層することにより、図2に示す固体電解質形燃料電池支持構造体20(焼成後のセル間分離部21aの厚み:100μm)/空気極層13(焼成後の厚み:300μm)/固体電解質層12(焼成後の厚み:50μm)/燃料極層11(焼成後の厚み:300μm)からなる固体電解質形燃料電池単位モジュールを5組積層し、最上部にはガス通路を形成していない固体電解質形燃料電池支持構造体20の部分20aを積層した。この積層体を1000kgf/cmの圧力、80℃の温度にて2分間、冷間静水圧成形(CIP)することにより圧着した。この圧着体を温度400〜500℃の範囲内で脱脂処理を施した後、温度1300℃〜1400℃の範囲内で2時間保持することにより、焼成した。この焼成により、上記のカーボン粉末は消失することによって、隙間11aと燃料ガス流通路23aと空気流通路24aを形成することができた。
このようにして、燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの幅を種々変えた固体電解質形燃料電池の試料を作製した。
以上のようにして作製された固体電解質形燃料電池の各試料の上面と下面に、図2に示すように、銀からなる厚みが20μmの集電板30と40を固着した。
得られた各試料の燃料電池を900℃に昇温して、5%の水蒸気を含む水素ガスと空気とをそれぞれ、燃料ガス供給路23と空気供給路24とを通じて供給し、ガス流量が1.0L/minでの圧力損失を評価した。
空気流通路24aの圧力損失の測定結果を表1と図7に示す。
Figure 2009252474
図7から、燃料ガス流通路23aの第1の幅をy、空気流通路24aの第2の幅をxとすると、xとyが、x≧0.5mm、y≧0.5mmおよびx+3y≦8mmの関係を有する試料(図7にてy≦−1/3*x+8/3mmの領域)では、空気流通路24aの圧力損失が0.5kgf/cm以下であることがわかる。一方、xとyが、x≧0.5mm、y≧0.5mmおよびx+3y>8mmの関係を有する試料(図7にてy>−1/3*x+8/3mmの領域)では、空気流通路24aの圧力損失が0.7kgf/cm以上であることがわかる。これらの試料では、燃料ガス供給路23と空気供給路24とが交差する領域における燃料極層11、固体電解質層12および空気極層13の積層体が空気極層13側に大きく反っていることが観察された。なお、いずれの固体電解質形燃料電池の試料でも、燃料ガス流通路23aの圧力損失は0.1kgf/cm以下であった。
これらの結果から、燃料ガス流通路23aの第1の幅yと、空気流通路24aの第2の幅xが、x≧0.5mm、y≧0.5mmおよびx+3y≦8mmを満たすことにより、燃料ガス供給路23と空気供給路24とが交差する領域における燃料極層11、固体電解質層12および空気極層13の積層体の反り量を大幅に低減することができ、その結果として燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの圧力損失をともに抑制することが可能となることがわかる。
(実施例2)
燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの高さを0.15mmとした以外は、実施例1と同様にして、燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの幅を種々変えた固体電解質形燃料電池の試料を作製した。
得られた各試料の燃料電池を900℃に昇温して、5%の水蒸気を含む水素ガスと空気とをそれぞれ、燃料ガス供給路23と空気供給路24とを通じて供給し、ガス流量が1.0L/minでの圧力損失を評価した。
空気流通路24aの圧力損失の測定結果を図8に示す。
図8から、燃料ガス流通路23aの第1の幅をy、空気流通路24aの第2の幅をxとすると、xとyが、x≧0.5mm、y≧0.5mmおよびx+3y≦8mmの関係を有する試料(図8にてy≦−1/3*x+8/3mmの領域)では、空気流通路24aの圧力損失が0.1kgf/cm以下であることがわかる。一方、xとyが、x≧0.5mm、y≧0.5mmおよびx+3y>8mm(y>−1/3*x+8/3mm)の関係を有する試料では、空気流通路24aの圧力損失が0.7kgf/cm以上であることがわかる。これらの試料では、燃料ガス供給路23と空気供給路24とが交差する領域における燃料極層11、固体電解質層12および空気極層13の積層体が空気極層13側に大きく反っていることが観察された。また、実施例2に比べて燃料ガス流通路23aと空気流通路24aの高さを0.05mmだけ高くしたが、xとyが、x≧0.5mm、y≧0.5mmおよびx+3y>8mmの関係を有する試料(図8にてy>−1/3*x+8/3mmの領域)では、上記の積層体の反りを抑制することができず、空気流通路24aの圧力損失を低減することができなかった。なお、いずれの固体電解質形燃料電池の試料でも、燃料ガス流通路23aの圧力損失は0.1kgf/cm以下であった。
なお、図9は、実施例1において作製された試料のうち、xとyが、x≧0.5mm、y≧0.5mmおよびx+3y≦8mm(y≦−1/3*x+8/3mm)の関係を有する試料について、x/yの比と空気流通路24aの圧力損失との関係を示す図である。図9から、x/y≧3/2の関係を有する試料(図7にてy≦2/3*xの領域)では、空気流通路24aの圧力損失をさらに小さくすることができることがわかる。
上記の実施形態や実施例では、セルおよびセル間分離部が共焼結によって一体的に形成される材料を用いているが、セルおよびセル間分離部が共焼結によって一体的に形成され得ない材料を用いる場合でも、本発明の固体電解質形燃料電池の構成を適用することができる。少なくとも、アノード層、固体電解質層およびカソード層の積層体から構成されるセルと、アノードガス流通路とカソードガス流通路を形成する側壁部(リブ)とが共焼結によって形成されるのであれば、本発明の固体電解質形燃料電池の構成を適用することができる。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものであることが意図される。
この発明の固体電解質形燃料電池は、焼成時の熱収縮挙動から生じる反りを防止することができるから、アノードガス流通路とカソードガス流通路の圧力損失をともに抑制することが可能となるので、さらに性能の高い固体電解質形燃料電池を得ることができる。
この発明の一つの実施の形態として、固体電解質形燃料電池の単位モジュールの概略的な構成を示す平面図である。 単位モジュールを複数備えた固体電解質形燃料電池の概略的な構成として図1のII−II線に沿った方向から見た断面を示す断面図である。 この発明の一つの実施の形態として、固体電解質形燃料電池の単位モジュールの概略的な構成として図1のIII−III線に沿った方向から見た断面を示す断面図である。 直交流タイプの固体電解質形燃料電池の単位モジュールを構成する一つのセルを示す部分断面斜視図である。 図4に示された直交流タイプの固体電解質形燃料電池の単位モジュールにおけるガス流通路の配置を示す平面図である。 固体電解質形燃料電池支持構造体を構成する一部分を示す断面図である。 実施例1で測定された空気流通路の圧力損失と、燃料ガス流通路幅および空気流通路幅との関係を示す図である。 実施例2で測定された空気流通路の圧力損失と、燃料ガス流通路幅および空気流通路幅との関係を示す図である。 実施例1で測定された空気流通路の圧力損失と、空気流通路幅と燃料ガス流通路幅の比との関係を示す図である。
符号の説明
11:燃料極層、12:固体電解質層、13:空気極層、21c:ガス供給路構造部、23:燃料ガス供給路、23a:燃料ガス流通路、24:空気供給路、24a:空気流通路、100:固体電解質形燃料電池。

Claims (5)

  1. 順に積層されたアノード層、固体電解質層およびカソード層の積層体から構成されるセルと、
    前記アノード層の表面にアノードガスを供給するために第1の方向に延びるようにほぼ平行に配置された、第1の幅を有する複数のアノードガス流通路と、
    前記カソード層の表面にカソードガスを供給するために前記第1の方向と交差する第2の方向に延びるようにほぼ平行に配置された、第2の幅を有する複数のカソードガス流通路とを備え、
    前記セルと、前記複数のアノードガス流通路とカソードガス流通路の側壁部とが共焼結によって形成されており、
    前記アノードガス流通路の第1の幅をy、前記カソードガス流通路の第2の幅をxとすると、xとyは、x≧0.5mm、y≧0.5mmおよびx+3y≦8mmの関係を有する、固体電解質形燃料電池。
  2. xとyは、x/y≧3/2の関係を有する、請求項1に記載の固体電解質形燃料電池。
  3. 前記アノード層の出発材料は、酸化ニッケルを50質量%以上含む、請求項1または請求項2に記載の固体電解質形燃料電池。
  4. 前記カソード層は、ペロブスカイト型結晶構造の酸化物電子伝導体を含む、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の固体電解質形燃料電池。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の固体電解質形燃料電池の製造方法であって、
    加熱によって消失する消失材料を、前記複数のアノードガス流通路とカソードガス流通路の側壁部を形成する材料の間に充填した後、共焼結することによって前記複数のアノードガス流通路とカソードガス流通路の側壁部を形成する、固体電解質形燃料電池の製造方法。
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