以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る内燃機関の燃料圧制御装置について説明する。図2に示すように、この燃料圧制御装置1は、ECU2を備えており、このECU2は、後述するように、燃料圧制御などの制御処理を実行する。
図1に示すように、エンジン3は、図示しない車両に搭載されたV型8気筒タイプのものであり、右バンクの第1〜第4気筒#1,#2,#3,#4と、左バンクの第5〜第8気筒#5,#6,#7,#8を備えている。なお、図1では、理解の容易化のために、右バンクの4気筒#1〜#4が不均等な間隔で示されているが、これらの4気筒#1〜#4は、実際には、図示しないカムシャフトの軸線方向に沿って互いに等間隔で配列されており、この点は、左バンクの4つの気筒#5〜#8においても同様である。
このエンジン3は、気筒ごとに設けられた燃料噴射弁4および点火プラグ5(図2に2つのみ図示)と、8つの燃料噴射弁4に燃料を供給する燃料供給装置10などを備えている。このエンジン3は、筒内噴射式のガソリンエンジンであり、その運転中、燃料すなわちガソリンが、各燃料噴射弁4によって各気筒内に直接、噴射されるとともに、気筒内に生成された混合気が、点火プラグ5によって点火される。
燃料噴射弁4は、ECU2に電気的に接続されており、ECU2により、エンジン3の運転状態に応じて、開弁時間および開弁タイミングが制御される。すなわち、燃料噴射制御が実行される。また、点火プラグ5も、ECU2に電気的に接続されており、ECU2により、エンジン3の運転状態に応じて、放電タイミングが制御される。すなわち、点火時期制御が実行される。
また、燃料供給装置10は、第1および第2デリバリパイプ11,12と、これらのデリバリパイプ11,12にそれぞれ接続された第1および第2高圧燃料ポンプ30,40と、これらの高圧燃料ポンプ30,40に燃料供給路14を介して接続された低圧燃料ポンプ50と、2つのデリバリパイプ11,12に燃料戻し路15を介して接続された燃料タンク13などを備えている。
低圧燃料ポンプ50は、ECU2により運転が制御される電動ポンプタイプのものであり、その吐出口が燃料供給路14の一端部に接続されている。この低圧燃料ポンプ50は、エンジン運転中、常に運転されるものであり、燃料タンク13内の燃料を、燃料吸込路16を介して吸い込み、所定圧(例えば0.5MPa)まで昇圧した後、燃料供給路14に吐出するとともに、余分な燃料を燃料戻し路17を介して、燃料タンク13内に戻す。
また、燃料供給路14の高圧燃料ポンプ30,40側の部分は、2つに分岐する分岐路14a,14bになっており、これらの分岐路14a,14bの先端部は、第1および第2高圧燃料ポンプ30,40の吸込口にそれぞれ接続されている。以上の構成により、低圧燃料ポンプ50から吐出された燃料は、燃料供給路14を介して第1および第2高圧燃料ポンプ30,40にそれぞれ供給される。
一方、第1および第2高圧燃料ポンプ30,40はそれぞれ、それらの吐出口が第1および第2デリバリパイプ11,12に接続されており、エンジン運転中、低圧燃料ポンプ50からの燃料をさらに昇圧して、第1および第2デリバリパイプ11,12側に吐出する。これらの高圧燃料ポンプ30,40の詳細については後述する。なお、本実施形態では、第1高圧燃料ポンプ30が第1燃料ポンプに、第2高圧燃料ポンプ40が第2燃料ポンプにそれぞれ相当する。
また、第1デリバリパイプ11は、その内部に第1高圧燃料ポンプ30からの燃料を蓄えるものであり、その所定部位に、前述した右バンクの第1および第4気筒#1,#4の燃料噴射弁4と、前述した左バンクの第6および第7気筒#6,#7の燃料噴射弁4と、第1燃料圧センサ21とが取り付けられている。
第1デリバリパイプ11内に蓄えられた燃料は、燃料噴射弁4の開弁に伴い、対応する気筒の燃焼室内に噴射される。さらに、第1燃料圧センサ21は、図2に示すように、ECU2に電気的に接続されており、第1デリバリパイプ11内の燃料の圧力を第1燃料圧Pf1として検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。
一方、第2デリバリパイプ12は、その内部に第2高圧燃料ポンプ40からの燃料を高圧状態で蓄えるものであり、その所定部位に、前述した右バンクの第2および第3気筒#2,#3の燃料噴射弁4と、前述した左バンクの第5および第8気筒#5,#8の燃料噴射弁4と、第2燃料圧センサ22(第2燃料圧検出手段)とが取り付けられている。
第2デリバリパイプ12に蓄えられた燃料は、燃料噴射弁4の開弁に伴い、対応する気筒の燃焼室内に噴射される。さらに、第2燃料圧センサ22は、図2に示すように、ECU2に電気的に接続されており、第2デリバリパイプ12内の燃料の圧力を第2燃料圧Pf2として検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。
エンジン3の運転中、第1デリバリパイプ11に接続された4つの燃料噴射弁4は、ECU2によって、後述する気筒休止条件の成立・不成立にかかわらず、燃料噴射を実行するように制御される。それにより、右バンクの2気筒#1,#4および左バンクの2気筒#6,#7は、稼働気筒として、気筒休止条件の成立・不成立にかかわらず運転が継続される。
一方、第2デリバリパイプ12に接続された4つの燃料噴射弁4は、ECU2によって、気筒休止条件が成立したときには燃料噴射を停止するように制御され、気筒休止条件が不成立のときには燃料噴射を実行するように制御される。それにより、右バンクの2気筒#2,#3および左バンクの2気筒#5,#8は、休止気筒として、気筒休止条件が成立したときには運転が停止され、気筒休止条件が不成立のときには運転が継続される。
以上のように、本実施形態のエンジン3では、気筒休止条件が不成立のときに、8つの気筒#1〜#8がすべて運転される。すなわち、全気筒運転が実行される。一方、気筒休止条件が成立しているときには、4つの稼働気筒#1,#4,#6,#7の運転を継続するとともに、4つの休止気筒#2,#3,#5,#8の運転が休止される。すなわち、部分気筒運転が実行される。
また、前述した燃料戻し路15は、その一端部が燃料タンク13内で開口しているとともに、他端側の部分が2つに分岐する分岐路15a,15bになっており、これらの分岐路15a,15bの先端部は、第1および第2デリバリパイプ11,12にそれぞれ接続されている。
これらの分岐路15a,15bでは、2つのデリバリパイプ11,12との接続部に、リリーフ弁18,18がそれぞれ設けられている。各リリーフ弁18は、機械式のものであり、第1燃料圧Pf1または第2燃料圧Pf2が所定のリリーフ圧を超えたときに、開弁する。それにより、第1デリバリパイプ11または第2デリバリパイプ12内の燃料が燃料戻し路15を介して燃料タンク13内に戻され、第1燃料圧Pf1または第2燃料圧Pf2が所定のリリーフ圧まで低減される。なお、このリリーフ圧は、後述する上限運転圧Pf_maxよりも高い値に設定されている。
次に、図3〜5を参照しながら、前述した第1高圧燃料ポンプ30について説明する。図3〜5に示すように、第1高圧燃料ポンプ30は、ポンプ本体31と、ポンプ本体31内に収容された吸込チェック弁32および吐出チェック弁34と、吸込チェック弁32を駆動するための電磁アクチュエータ33と、エンジン3のカムシャフトのカム6によって駆動されるプランジャ35などを備えている。
ポンプ本体31の内部には、燃料を昇圧するための昇圧室31aが形成されており、この昇圧室31aは、吸込口31bを介して燃料供給路14に連通しているとともに、吐出口31cを介して第1デリバリパイプ11に連通している。また、吸込チェック弁32は、昇圧室31aの入口を開閉するものであり、昇圧室31a内に収容されているとともに、弁体32aおよびコイルばね32bを備えている。この弁体32aは、昇圧室31aの入口を開放する開弁位置(図3に示す位置)と、昇圧室31aの入口を閉鎖する閉弁位置(図5に示す位置)との間で移動自在に設けられているとともに、コイルばね32bによって、閉弁位置側に付勢されている。
一方、電磁アクチュエータ33は、吸込チェック弁32とともにスピル弁機構を構成するものであり、アクチュエータ本体33a、コイル33b、アーマチュア33cおよびコイルばね33dなどを備えている。コイル33bは、アクチュエータ本体33a内に収容され、ECU2に電気的に接続されている。それにより、コイル33bは、ECU2からの駆動信号が入力されているときに、この駆動信号によって励磁されるとともに、駆動信号が入力されていないときに、非励磁状態に保持される。
また、アーマチュア33cは、その先端部が吸込チェック弁32側に最も突出する原点位置(図3,4に示す位置)と、吸込チェック弁32側から退避する動作位置(図5に示す位置)との間で移動可能に、アクチュエータ本体33a内に収容されている。アーマチュア33cは、コイル33bが非励磁状態のときに、コイルばね33dの付勢力によって原点位置に保持されるとともに、コイル33bが駆動信号によって励磁されたときに、その電磁力によって、コイルばね33dの付勢力に抗しながら、動作位置側に吸引される。
さらに、電磁アクチュエータ33のコイルばね33dの付勢力は、吸込チェック弁32のコイルばね32bの付勢力よりも大きい値に設定されており、それにより、吸込チェック弁32は、コイル33bが非励磁状態のときに、原点位置にあるアーマチュア33cによって開弁状態に保持される(図4参照)。
一方、吐出チェック弁34は、昇圧室31aの出口を開閉するものであり、昇圧室31aと吐出口31cとの間の弁室31d内に収容されているとともに、弁体34aおよびコイルばね34bを備えている。この弁体34aは、昇圧室31aの出口を開放する開弁位置(図5に示す位置)と、昇圧室31aの出口を閉鎖する閉弁位置(図3,4に示す位置)との間で移動自在に設けられているとともに、コイルばね34bによって、閉弁位置側に付勢されている。
また、プランジャ35は、その一端部が昇圧室31a内に最も突出する突出位置(図5に示す位置)と、昇圧室31aから最も退避する退避位置(図3に示す位置)との間で摺動自在に、ポンプ本体31のプランジャバレル31e内に収容されている。一方、プランジャ35の他端部には、ばね座36が取り付けられており、プランジャ35およびばね座36は、ばねホルダ38を介してカム6に当接している。
さらに、ばね座36とポンプ本体31の間には、コイルばね37が設けられており、このコイルばね37によって、プランジャ35は退避位置側に付勢されている。以上の構成により、プランジャ35は、カム6の回転中、コイルばね37の付勢力によってばねホルダ38を介してカム6のカム面に当接するように保持され、それにより、エンジン3の運転中、カム6によって突出位置と退避位置との間で常に駆動される。
次に、以上のように構成された第1高圧燃料ポンプ30の動作について説明する。第1高圧燃料ポンプ30では、その1回の運転サイクル中、カム6の回転に伴って、吸込行程、スピル行程および吐出行程が順に1回ずつ実行される。この吸込行程は、低圧燃料ポンプ50からの燃料を昇圧室31a内に吸い込む行程であり、スピル行程は、吸込行程で昇圧室31a内に吸い込んだ燃料を低圧燃料ポンプ50側に戻す行程であり、吐出行程は、燃料を昇圧室31a内で昇圧しながら、第1デリバリパイプ11側に吐出する行程である。
また、第1高圧燃料ポンプ30の運転中、電磁アクチュエータ33は、ECU2からの駆動信号によって、スピル行程を終了すべきタイミングでオン状態(励磁状態)に駆動された後、後述する駆動時間だけオン状態に保持されるとともに、それ以外の期間は、オフ状態(非励磁状態)に保持される。なお、この電磁アクチュエータ33の駆動開始タイミングおよび駆動時間は、後述する燃料圧制御処理で算出される。
まず、吸込行程について説明する。吸込行程が開始され、カム6が図5に示す回転角度位置から図3に示す回転角度位置に向かって図中の時計回りに回転し始めると、プランジャ35が突出位置から退避位置に向かって摺動し、昇圧室31a内の燃料圧が低下し始める。その際、上述したように、電磁アクチュエータ33がオフ状態に保持されているので、燃料圧の低下に伴って、吸込チェック弁32が開弁状態になり、低圧燃料ポンプ50からの燃料が昇圧室31a内に吸い込まれる。その後、カム6が図3に示す回転角度位置まで回転すると、プランジャ35が退避位置に到達し、燃料の昇圧室31a内への吸い込みが終了する。すなわち、吸込行程が終了する。
次いで、スピル行程が開始され、カム6が図3に示す回転角度位置から図4に示す回転角度位置に向かって回転すると、プランジャ35が退避位置から突出位置に向かって摺動し、昇圧室31a内の燃料圧が上昇する。その際、電磁アクチュエータ33がオフ状態にあり、かつコイルばね33dの付勢力がコイルばね32bよりも大きいことに起因して、吸込チェック弁32が開弁状態に保持され、それによって、昇圧室31a内の燃料が低圧燃料ポンプ50側に戻される。
そして、スピル行程中、電磁アクチュエータ33が上述した駆動開始タイミングでオン状態に駆動されると、コイル33bの電磁力によって、アーマチュア33cが原点位置から動作位置まで移動する。それに伴い、吸込チェック弁32が閉弁し、スピル行程が終了する。
次いで、吸込チェック弁32が閉弁した直後、昇圧室31a内の燃料圧の上昇に起因して、吐出チェック弁34が開弁し、それにより、昇圧室31a内の燃料が第1デリバリパイプ11側に吐出され、吐出行程が開始される。この吐出行程中、電磁アクチュエータ33は、駆動開始タイミングから前述した駆動時間が経過するまでオン状態に制御され、駆動時間が経過した時点で、オフ状態に制御される。そして、カム6が図5に示す回転角度位置まで回転すると、プランジャ35が突出位置に到達し、吐出行程が終了する。この吐出行程の終了と同時に、前述したように、吸込行程が開始される。
以上のように、この第1高圧燃料ポンプ30では、スピル行程中における、電磁アクチュエータ33の駆動開始タイミングおよび駆動時間を制御することによって、昇圧室31aから低圧燃料ポンプ50側に戻される燃料量が変更され、それにより、第1デリバリパイプ11側に吐出する燃料圧が変更される。したがって、後述する燃料圧制御処理では、第1燃料圧Pf1が第1目標燃料圧Pf_cmd1に収束するように、電磁アクチュエータ33の駆動開始タイミングおよび駆動時間が算出される。
第1高圧燃料ポンプ30は、以上のように構成されており、前述した第2高圧燃料ポンプ40も、第1高圧燃料ポンプ30と同様に構成されている。したがって、第2高圧燃料ポンプ40の詳細な説明はここでは省略するが、第2高圧燃料ポンプ40は、第1高圧燃料ポンプ30の電磁アクチュエータ33と同様の、電磁アクチュエータ43を備えている。この電磁アクチュエータ43は、図2に示すように、ECU2に電気的に接続されており、後述する燃料圧制御処理では、第2燃料圧Pf2が第2目標燃料圧Pf_cmd2に収束するように、電磁アクチュエータ43の駆動開始タイミングおよび駆動時間が算出される。
以上のように構成された燃料供給装置10では、エンジン運転中、2つの燃料圧Pf1,Pf2は、2つの高圧燃料ポンプ30,40が停止されているときには、構造上の特性により、所定の下限運転圧Pf_min(図6参照)に保持されるとともに、2つの高圧燃料ポンプ30,40が運転されているときには、所定の上限運転圧Pf_max以下の値に制御される。すなわち、エンジン運転中、2つの燃料圧Pf1,Pf2は、下限運転圧Pf_minと上限運転圧Pf_maxとの間で変化するように制御される。
ここで、本実施形態の燃料噴射弁4のように、筒内噴射式エンジンに用いられる燃料噴射弁の場合、その燃料の漏れ量すなわちリーク量が燃料圧に対して極大値を示す特性を有しているのが一般的である。本実施形態の燃料噴射弁4の場合、図6に示すように、第2燃料圧Pf2(または第1燃料圧Pf1)が所定の最大リーク値Pf_Xのときに、燃料のリーク量QLが極大値QL_maxを示す特性を有している。すなわち、燃料のリーク量QLは、Pf2<Pf_Xの範囲では、第2燃料圧Pf2が低いほど、より小さくなるとともに、Pf_X<Pf2の範囲では、第2燃料圧Pf2が高いほど、より小さくなる。したがって、本実施形態の燃料圧制御装置1では、この特性を踏まえて、後述するように燃料圧制御処理が実行される。
また、ECU2には、クランク角センサ23およびアクセル開度センサ24が接続されている(図2参照)。このクランク角センサ23は、マグネットロータおよびMREピックアップで構成されており、エンジン3の図示しないクランクシャフトの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号をECU2に出力する。このCRK信号は、所定クランク角(例えば2゜)毎に1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。
また、アクセル開度センサ24は、エンジン3が搭載された車両のアクセルペダル(図示せず)の踏み込み量(以下「アクセル開度」という)APを検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。なお、本実施形態では、クランク角センサ23およびアクセル開度センサ24が運転状態パラメータ検出手段に相当し、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APが運転状態パラメータに相当する。
一方、ECU2は、CPU、RAM、ROMおよびI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されており、前述した各種のセンサ21〜24の検出信号に応じ、後述するように、燃料圧制御処理を実行する。なお、本実施形態では、ECU2が、運転状態パラメータ検出手段、演算値算出手段、判定手段、目標燃料圧設定手段、第1制御手段、第2制御手段および制御手段に相当する。
以下、図7を参照しながら、第1実施形態の燃料圧制御処理について説明する。本処理は、前述した2つの電磁アクチュエータ33,43の駆動開始タイミングおよび駆動時間を算出するものであり、ECU2によって、所定の制御周期(例えば、所定のクランク角ごとの周期)で実行される。
この処理では、まず、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)で、RAMに記憶されている第1燃料圧Pf1および第2燃料圧Pf2の値を読み込む。なお、これらの燃料圧Pf1,Pf2の値は、図示しない燃料噴射制御処理において、第1および第2燃料圧センサ21,22の検出信号値に基づき、移動平均演算によって算出される。
次いで、ステップ2に進み、気筒休止フラグF_CYLSTPが「1」であるか否かを判別する。この気筒休止フラグF_CYLSTPは、図示しない気筒休止判定処理において、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APが所定の気筒休止領域にあるとき、すなわち気筒休止条件が成立しているときに「1」に設定され、それ以外のときに「0」に設定される。
ステップ2の判別結果がYESで、気筒休止条件が成立しているときには、部分気筒運転を実行すべきであると判定して、ステップ3に進み、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて、図示しないマップを検索することにより、目標燃料圧の部分気筒運転用値(以下、単に「部分気筒運転用値」という)Pf_stpを算出する。
このマップでは、部分気筒運転用値Pf_stpは、エンジン回転数NEが高いほど、またはアクセル開度APが大きいほど、より大きな値に設定されている。これは、エンジン回転数NEが高いほど、またはアクセル開度APが大きいほど、エンジン3に対する要求出力が大きいことで、より高い燃料圧が要求されることによる。
次に、ステップ4で、第1目標燃料圧Pf_cmd1を部分気筒運転用値Pf_stpに設定する。なお、本実施形態では、部分気筒運転用値Pf_stpが目標燃料圧の演算値に相当し、第1目標燃料圧Pf_cmd1が第1燃料圧の目標燃料圧に相当する。
ステップ4に続くステップ5で、部分気筒運転用値Pf_stpが、所定の下限しきい値Pf_Lよりも大きくかつ所定の上限しきい値Pf_Hよりも小さいか否かを判別する。これらの2つのしきい値Pf_L,Pf_Hは、図6に示すように、Pf2≦Pf_LまたはPf_H≦Pf2が成立したときに、QL≦QL_refが成立する値に設定されており、この所定値QL_refは、燃料噴射弁4でのデポジットが生じにくいとともに、燃料リークに起因する空燃比のずれが比較的小さく、トルク変動を抑制できるような燃料圧に設定されている。なお、本実施形態では、下限しきい値が所定領域外の値に相当し、上限しきい値Pf_Hが所定領域外の値および所定領域の上限よりも高い値に相当する。
ステップ5の判別結果がNOで、Pf_stp≦Pf_LまたはPf_H≦Pf_stpが成立しているときには、第2目標燃料圧Pf_cmd2を部分気筒運転用値Pf_stpに設定すべきであると判定して、ステップ6に進み、第2目標燃料圧Pf_cmd2を部分気筒運転用値Pf_stpに設定する。なお、本実施形態では第2目標燃料圧Pf_cmd2が第2燃料圧の目標燃料圧に相当する。
次いで、ステップ7に進み、2つの電磁アクチュエータ33,43の駆動制御処理を実行する。具体的には、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって、第1燃料圧Pf1が第1目標燃料圧Pf_cmd1に収束するように、電磁アクチュエータ33の駆動開始タイミングおよび駆動時間が算出される。これと同時に、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって、第2燃料圧Pf2が第2目標燃料圧Pf_cmd2に収束するように、電磁アクチュエータ43の駆動開始タイミングおよび駆動時間が算出される。そして、以上のように算出した駆動開始タイミングおよび駆動時間に応じて、駆動信号が2つの電磁アクチュエータ33,43に供給される。その結果、第1燃料圧Pf1が第1目標燃料圧Pf_cmd1に収束するように、第1高圧燃料ポンプ30がフィードバック制御されるとともに、第2燃料圧Pf2が第2目標燃料圧Pf_cmd2に収束するように、第2高圧燃料ポンプ40がフィードバック制御される。
以上のように、ステップ7で、2つの電磁アクチュエータ33,43の駆動制御処理を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ5の判別結果がYESで、Pf_L<Pf_stp<Pf_Hが成立しているときには、第2目標燃料圧Pf_cmd2を部分気筒運転用値Pf_stp以外の値に設定すべきであると判定して、ステップ8に進み、部分気筒運転用値Pf_stpが所定の中間値Pf_M以上であるか否かを判別する。この所定の中間値Pf_Mは、下限しきい値Pf_Lと上限しきい値Pf_Hとの中間の値に設定されている。
ステップ8の判別結果がNOで、部分気筒運転用値Pf_stpが上限しきい値Pf_Hよりも下限しきい値Pf_Lに近いときには、ステップ9に進み、第2目標燃料圧Pf_cmd2を下限しきい値Pf_Lに設定する。次に、前述したように、ステップ7の制御処理を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ8の判別結果がYESで、部分気筒運転用値Pf_stpが中間値Pf_Mに等しいか、または下限しきい値Pf_Lよりも上限しきい値Pf_Hに近いときには、ステップ10に進み、第2目標燃料圧Pf_cmd2を上限しきい値Pf_Hに設定する。次に、前述したように、ステップ7の制御処理を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ2の判別結果がNOで、気筒休止条件が不成立であるときには、全気筒運転を実行すべきであると判定して、ステップ11に進み、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて、図示しないマップを検索することにより、目標燃料圧の全気筒運転用値(以下、単に「全気筒運転用値」という)Pf_allを算出する。このマップでは、前述した理由により、全気筒運転用値Pf_allは、エンジン回転数NEが高いほど、またはアクセル開度APが大きいほど、より大きな値に設定されている。
次いで、ステップ12に進み、第1目標燃料圧Pf_cmd1および第2目標燃料圧Pf_cmd2をいずれも、全気筒運転用値Pf_all(目標燃料圧の演算値)に設定する。次に、前述したように、ステップ7の制御処理を実行した後、本処理を終了する。
以上のように、第1実施形態の燃料圧制御装置1によれば、全気筒運転中、全気筒運転用値Pf_allが、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて算出され、第1目標燃料圧Pf_cmd1および第2目標燃料圧Pf_cmd2がいずれも、全気筒運転用値Pf_allに設定されるとともに、2つの燃料圧Pf1,Pf2がそれぞれ2つの目標燃料圧Pf_cmd1,Pf_cmd2に収束するように、2つの高圧燃料ポンプ30,40がフィードバック制御される。
一方、部分気筒運転中は、部分気筒運転用値Pf_stpが、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて算出され、第1目標燃料圧Pf_cmd1が、部分気筒運転用値Pf_stpに設定されるとともに、第1燃料圧Pf1が第1目標燃料圧Pf_cmd1に収束するように、第1高圧燃料ポンプ30がフィードバック制御される。その結果、燃料が第1高圧燃料ポンプ30から燃料噴射弁4に供給される稼動気筒#1,#4,#6,#7では、部分気筒運転中であるか否かにかかわらず、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じた適切な燃料圧で燃料が常に供給される。
また、部分気筒運転中、第2目標燃料圧Pf_cmd2は、部分気筒運転用値Pf_stpが所定領域外にあるとき(Pf_stp≦Rf_LまたはPf_H≦Pf_stpが成立しているとき)には、部分気筒運転用値Pf_stpに設定され、部分気筒運転用値Pf_stpが所定領域内にあるとき(Rf_L<Pf_stp<Pf_Hが成立しているとき)には、中間値Pf_Mとの比較結果に基づいて、上限しきい値Pf_Hまたは下限しきい値Pf_Lに設定されるとともに、第2燃料圧Pf2が第2目標燃料圧Pf_cmd2に収束するように、第2高圧燃料ポンプ40がフィードバック制御される。
その結果、燃料が第2高圧燃料ポンプ40から燃料噴射弁4に供給される休止気筒#2,#3,#5,#8では、部分気筒運転中、燃料噴射が停止されるとともに、その停止中、第1燃料圧Pf1がPf_L<Pf1<Pf_Hの領域外の値になるように制御されることで、燃料噴射弁4からの燃料のリーク量QLを、第1燃料圧Pf1がPf_L<Pf1<Pf_Hの領域内にあるときよりも低減することができる。したがって、部分気筒運転中、目標燃料圧が燃料のリーク量が多い領域にあるか否かにかかわらず、燃料圧を目標燃料圧に制御する特許文献1の燃料圧制御装置と比べて、休止気筒#2,#3,#5,#8の燃料噴射弁4からの燃料のリーク量QLを低減することができる。
また、同じ理由により、部分気筒運転中、休止気筒側の燃料圧を変更できない特許文献2の燃料圧制御装置と比べて、部分気筒運転中における、休止気筒#2,#3,#5,#8の燃料噴射弁4からの燃料のリーク量QLを低減することができる。その結果、部分気筒運転中の排ガス特性および運転性を向上させることができるとともに、部分気筒運転から全気筒運転に切り換わった際、排ガス特性および運転性を向上させることができる。
これに加えて、部分気筒運転中、Pf_M≦Pf_stp<Pf_Hが成立しているときには、第2目標燃料圧Pf_cmd2が上限しきい値Pf_Hに設定されるので、特許文献2の燃料圧制御装置と異なり、部分気筒運転から全気筒運転に切り換わった際、第2目標燃料圧Pf_cmd2が高いときでも、第2燃料圧Pf2を第2目標燃料圧Pf_cmd2に迅速に制御することができる。その結果、部分気筒運転から全気筒運転に切り換わった際、排ガス特性および運転性をさらに向上させることができる。
さらに、部分気筒運転中、第2燃料圧Pf2が第2目標燃料圧Pf_cmd2に収束するように、第2高圧燃料ポンプ40がフィードバック制御されるので、以上のような作用効果を確実に得ることができる。
なお、第1実施形態は、各燃料噴射弁4に燃料を供給する燃料ポンプとして、低圧燃料ポンプ50と高圧燃料ポンプ30,40の一方とを用いた例であるが、1つまたは3つ以上の燃料ポンプを用いて各燃料噴射弁4に燃料を供給するように構成してもよい。
また、第1実施形態は、運転状態パラメータとして、アクセル開度APおよびエンジン回転数NEを用いた例であるが、本発明の運転状態パラメータはこれに限らず、内燃機関の運転状態を表すものであればよい。例えば、運転状態パラメータとして、エンジン3の冷却水の温度や、車速、車両の加減速状態およびギア段数などを用いてもよい。
さらに、第1実施形態は、本発明の燃料圧制御装置1をV型8気筒エンジンに適用した例であるが、本発明の燃料圧制御装置はこれに限らず、直列多気筒エンジンなどの部分気筒運転可能な内燃機関に適用可能である。
一方、第1実施形態は、第1燃料圧Pf1が第1目標燃料圧Pf_cmd1に収束するように、第1高圧燃料ポンプ30をフィードバック制御するとともに、第2燃料圧Pf2が第2目標燃料圧Pf_cmd2に収束するように、第2高圧燃料ポンプ40をフィードバック制御した例であるが、2つの高圧燃料ポンプ30,40の制御手法はこれに限らず、2つの目標燃料圧Pf_cmd1,Pf_cmd2を用いて、2つの高圧燃料ポンプ30,40をそれぞれ制御するものであればよい。例えば、2つの高圧燃料ポンプ30,40を、2つの目標燃料圧Pf_cmd1,Pf_cmd2を用いて、フィードフォワード制御してもよい。その場合には、2つの目標燃料圧Pf_cmd1,Pf_cmd2に応じて、図示しないマップを検索することにより、2つの電磁アクチュエータ33,43の駆動開始タイミングおよび駆動時間を算出すればよい。
また、第1実施形態は、図7のステップ5の判別結果がYESの場合、ステップ8で、部分気筒運転用値Pf_stpを所定の中間値Pf_Mと比較するように構成した例であるが、ステップ8で部分気筒運転用値Pf_stpと比較する値はこれに限らず、上限しきい値Pf_Hと下限しきい値Pf_Lの間の値であればよい。例えば、ステップ8で部分気筒運転用値Pf_stpと比較する値として、中間値Pf_Mよりも上限しきい値Pf_H寄りの値や、中間値Pf_Mよりも下限しきい値Pf_L寄りの値を用いてもよい。さらに、この比較する値または中間値Pf_Mを、内燃機関3の運転状態を表す運転状態パラメータ(例えば、エンジン回転数NEやアクセル開度AP)に応じて、マップ検索した値を用いてもよい。
次に、図8を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る内燃機関の燃料圧制御装置1Aについて説明する。同図に示すように、第2実施形態の燃料圧制御装置1Aは、一部を除いて、前述した第1実施形態の燃料圧制御装置1と同様に構成されているので、以下、燃料圧制御装置1と同じ構成に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略するとともに、燃料圧制御装置1と異なる点を中心に説明する。
本実施形態のエンジン3は、第1実施形態のものと同様に、筒内噴射式のV型8気筒ガソリンエンジンであり、右バンクの第1〜第4気筒#1〜#4と、左バンクの第5〜第8気筒#5〜#8と、これらに燃料を供給する燃料供給装置60を備えている。この燃料供給装置60は、第1および第2デリバリパイプ61,62を備えており、これらのデリバリパイプ61,62は、第1および第2高圧燃料ポンプ30,40の吐出口側にそれぞれ接続されている。なお、本実施形態では、第1および第2高圧燃料ポンプ30,40が燃料ポンプに相当する。
また、2つのデリバリパイプ61,62は、連通路63を介して互いに連通しており、それにより、2つのデリバリパイプ61,62内の燃料圧は、互いに同じになるように構成されている。さらに、第1デリバリパイプ61には、燃料圧センサ25(燃料圧検出手段)と、右バンクの第1〜第4気筒#1〜#4の燃料噴射弁4が取り付けられている。
この燃料圧センサ25は、前述した2つの燃料圧センサ21,22と同様にECU2に電気的に接続されており、2つのデリバリパイプ61,62内の燃料の圧力を燃料圧Pfとして検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。一方、第2デリバリパイプ62には、左バンクの第5〜第8気筒#5〜#8の燃料噴射弁4が取り付けられている。
また、このエンジン3では、その運転中、右バンクの第1および第4気筒#1,#4用の燃料噴射弁4と、左バンクの第6および第7気筒#6,#7用の燃料噴射弁4は、後述する気筒休止条件の成立・不成立にかかわらず、燃料噴射を実行するように制御される。それにより、右バンクの第1および第4気筒#1,#4と、左バンクの第6および第7気筒#6,#7は、稼働気筒として、気筒休止条件の成立・不成立にかかわらず運転が継続される。
一方、右バンクの第2および第3気筒#2,#3用の燃料噴射弁4と、左バンクの第5および第8気筒#5,#8用の燃料噴射弁4は、気筒休止条件が成立したときには燃料噴射を停止するように制御され、気筒休止条件が不成立のときには燃料噴射を実行するように制御される。それにより、右バンクの第2および第3気筒#2,#3と、左バンクの第5および第8気筒#5,#8は、休止気筒として、気筒休止条件が成立したときには運転が停止され、気筒休止条件が不成立のときには運転が継続される。
以下、図9を参照しながら、第2実施形態の燃料圧制御処理について説明する。本処理は、前述した2つの電磁アクチュエータ33,43の駆動開始タイミングおよび駆動時間を算出するものであり、ECU2によって、所定の制御周期(例えば、所定クランク角ごとの周期)で実行される。
この処理では、まず、ステップ21で、RAMに記憶されている燃料圧Pfの値を読み込む。なお、この燃料圧Pfの値は、図示しない燃料噴射制御処理において、燃料圧センサ25の検出信号値に基づき、移動平均演算によって算出される。
次いで、ステップ22に進み、前述した気筒休止フラグF_CYLSTPが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、気筒休止条件が成立しているときには、部分気筒運転を実行すべきであると判定して、ステップ23に進み、前述したステップ3と同様に、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて、図示しないマップを検索することにより、部分気筒運転用値Pf_stpを算出する。
ステップ23に続くステップ24で、部分気筒運転用値Pf_stpが、前述した所定の上限しきい値Pf_Hよりも小さいか否かを判別する。この判別結果がNOで、Pf_H≦Pf_stpが成立しているときには、目標燃料圧Pf_cmdを部分気筒運転用値Pf_stpに設定すべきであると判定して、ステップ25に進み、目標燃料圧Pf_cmdを部分気筒運転用値Pf_stpに設定する。
次いで、ステップ26に進み、2つの電磁アクチュエータ33,43の駆動制御処理を実行する。具体的には、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって、燃料圧Pfが目標燃料圧Pf_cmdに収束するように、電磁アクチュエータ33,43の駆動開始タイミングおよび駆動時間が算出される。それにより、燃料圧Pfが目標燃料圧Pf_cmdに収束するように、2つの高圧燃料ポンプ30,40がフィードバック制御される。
以上のように、ステップ26で、2つの電磁アクチュエータ33,43の駆動制御処理を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ24の判別結果がYESで、Pf_stp<Pf_Hが成立しているときには、目標燃料圧Pf_cmdを部分気筒運転用値Pf_stp以外の値に設定すべきであると判定して、ステップ27に進み、目標燃料圧Pf_cmdを上限しきい値Pf_Hに設定する。次に、前述したように、ステップ26の制御処理を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ22の判別結果がNOで、気筒休止条件が不成立であるときには、全気筒運転を実行すべきであると判定して、ステップ28に進み、前述したステップ11と同様に、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて、図示しないマップを検索することにより、全気筒運転用値Pf_allを算出する。
次いで、ステップ29に進み、目標燃料圧Pf_cmdを全気筒運転用値Pf_allに設定する。次に、前述したように、ステップ26の制御処理を実行した後、本処理を終了する。
以上のように、第2実施形態の燃料圧制御装置1Aによれば、部分気筒運転中、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて、部分気筒運転用値Pf_stpが算出される。そして、Pf_H≦Pf_stpが成立しているときには、目標燃料圧Pf_cmdが部分気筒運転用値Pf_stpに設定される一方、Pf_stp<Pf_Hが成立しているときには、目標燃料圧Pf_cmdが上限しきい値Pf_Hに設定されるとともに、燃料圧Pfが目標燃料圧Pf_cmdに収束するように、第1および第2高圧燃料ポンプ30,40がフィードバック制御される。
それにより、部分気筒運転中、燃料噴射が停止される休止気筒#2,#3,#5,#8では、燃料圧PfがPf_L<Pf1<Pf_Hの領域外の値になるように制御されることで、燃料噴射弁4からの燃料のリーク量QLを、Pf_L<Pf1<Pf_Hが成立しているときよりも低減することができる。したがって、部分気筒運転中、目標燃料圧が燃料のリーク量が多い領域にあるか否かにかかわらず、燃料圧を目標燃料圧に制御する特許文献1の燃料圧制御装置と比べて、休止気筒#2,#3,#5,#8の燃料噴射弁4からの燃料のリーク量QLを低減することができる。
また、同じ理由により、部分気筒運転中、休止気筒側の燃料圧を変更できない特許文献2の燃料圧制御装置と比べて、部分気筒運転中における、休止気筒#2,#3,#5,#8の燃料噴射弁4からの燃料のリーク量QLを低減することができる。その結果、部分気筒運転中の排ガス特性および運転性を向上させることができるとともに、部分気筒運転から全気筒運転に切り換わった際、排ガス特性および運転性を向上させることができる。
これに加えて、部分気筒運転中、Pf_stp<Pf_Hが成立しているときには、目標燃料圧Pf_cmdが上限しきい値Pf_Hに設定されるので、特許文献2の燃料圧制御装置と異なり、部分気筒運転から全気筒運転に切り換わった際、目標燃料圧Pf_cmdが高いときでも、燃料圧Pfを目標燃料圧Pf_cmdに迅速に制御することができる。その結果、部分気筒運転から全気筒運転に切り換わった際、排ガス特性および運転性をさらに向上させることができる。
さらに、部分気筒運転中、燃料圧Pfが目標燃料圧Pf_cmdに収束するように、第1および第2高圧燃料ポンプ30,40がフィードバック制御されるので、以上のような作用効果を確実に得ることができる。
なお、第2実施形態は、燃料ポンプとして2つの高圧燃料ポンプ30,40を用いた例であるが、これに代えて、1つの高圧燃料ポンプを設けるとともに、この1つの高圧燃料ポンプを、燃料圧Pfが目標燃料圧Pf_cmdに収束するように、フィードバック制御してもよい。