JP2009249220A - 透明基板の成膜方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明基板に成膜を行う際、少なくとも対向する2辺のエッジ部分が面取りされている透明基板に対して、500℃以上の温度条件下、形成される膜が他方の面と接続されるエッジ部分の面取り領域の接続部分まで延在するようにCVD処理を行う。
【選択図】図1
Description
これによると、基体上に、TiO2層、SiO2層およびSnO2層が基体側からこの順に形成されており、SnO2層の厚さが、0.5〜0.9μmであり、C光源ヘイズ率が20〜60%である太陽電池用透明導電性基板が記載され、さらに、これらの膜を、常圧CVD法を用いて作製することが記載されている。
これによって、ヘイズ率が高く、基板全体として見た場合にヘイズ率のばらつきが少なく、かつ光透過性に優れたものを作製できるとされている。ヘイズ率を高くするのは、光の変換効率を高めるために、入射した光の散乱光を増加させ、光路長を長くするためである。
また、前記透明基板は、ガラス基板であり、前記膜は、TiO2、SnO2、及びZnOから少なくとも1つ選ばれて形成された導電性材料からなる膜であることが好ましい。
さらに、前記CVD成膜処理は、500℃以上の温度条件下、前記膜の原料ガスを、その両側から前記原料ガスと反応しないガスを、さらにその両側から酸化ガスを、それぞれ層流として前記透明基板に噴きつける処理であることが好ましい。
図1は、本発明の透明基板の成膜方法で得られる太陽電池用の透明導電性基板の概略の構成を示す図である。
透明導電性基板10のガラス基板12は、厚さが0.2〜6.0mmであり、導電層14の厚さは、膜の構成及び積層される膜の成分によって異なる。
すなわち、太陽電池用の透明導電性基板としての導電層14の構成は、ガラス基板12に、TiO2膜、SiO2膜およびSnO2膜がガラス基板12の側からこの順に形成されたものが挙げられる。この場合、導電性を有し、透明導電性基板のC光源ヘイズ率が20〜60%と高く、基板全体として見た場合にヘイズ率のばらつきが少なく、かつ光透過性に優れたものとして導電層14は機能する。
以下、TiO2膜、SiO2膜およびSnO2膜が積層された導電層14について具体的に説明する。
なお、TiO2膜の代わりとして酸化錫層(SnO2層)を形成することも可能である。通常、酸化錫層は、塩化物(SnCl4)または塩素含有有機錫(Sn(OC3H7)Cl3など)を原料として、常圧CVD法により成膜される。成膜中において、原料中の塩素とガラス中のNaなどのアルカリ成分とが反応しNaClなどの塩が副生成物として形成されることが多い。このような副生成物の生成により、平坦度の高いSnO2膜を直接ガラス基板12上に成膜することは困難であるため好ましくない。
SiO2膜は、膜厚が10〜50nmであることが好ましい。SiO2膜の膜厚が10〜50nmであると、太陽電池用の透明導電性基板10のC光源ヘイズ率が高く、基板全体として見た場合のC光源ヘイズ率のばらつきが少ない。SiO2膜の膜厚は、20〜40nmであることがより好ましく、20〜35nmであることがさらに好ましい。
なお、ガラス基板12がソーダライムシリケートガラスなどのナトリウムを含有するガラス製、または低アルカリ含有ガラス製の場合、SiO2膜は、ガラス基板12からSnO2膜へのアルカリ成分の拡散を最小限にするためのアルカリバリヤ層としても作用する。
SnO2膜は、膜厚が0.5〜0.9μmである。SnO2膜の膜厚は、0.6〜0.8μmであることが好ましい。SnO2膜の膜厚が0.6〜0.8μmであると、太陽電池用の透明導電性膜1のC光源ヘイズ率が特に高く、基板1全体として見た場合のC光源ヘイズ率のばらつきが特に少なく、光透過率、特に400〜1200nmの波長領域の光透過率が特に高く、かつSnO2層5の導電性が特に優れている。なお、ここでいうSnO2膜の層厚は、後述する表面の凹凸を含んだ値である。
SnO2膜の表面に凹凸が形成されていれば、光散乱により透明導電性基板10のヘイズ率が高められる。また、この凹凸がそのSnO2膜の表面全体にわたって均一に形成されていれば、基板全体として見た場合にヘイズ率のばらつきが少ない。
SnO2膜は、導電層14の導電機能を担う層であり、主としてSnO2からなり、導電性を発現するための物質がドープされている。ここで、SnO2膜は、膜中に含有されるSnO2の割合が90mol%以上であることが好ましく、より好ましくは95mol%以上である。ドープされる物質としては、フッ素またはアンチモンを使用することができ、これらの中でもフッ素が好ましい。より具体的には、SnO2膜は、SnO21molに対してフッ素が0.01〜4mol%ドープされていることが好ましい。
このように導電層14は構成され、透明導電性基板10の機能膜として機能する。
透明導電性基板10は、矩形状のガラス基板12に、対向する平面16,18のうちの平面18が導電膜14で覆われて構成された基板であり、ガラス基板12の四方を囲むエッジ部分には、面取り20が施されている。面取り20は、ガラス基板12の側面を所定の曲率を有する曲面に加工した部分であり、公知のガラス研磨機を用いて加工される。
このような四方の側面が面取りされたガラス基板12の面取り20の部分を、面取り20と成膜されない平面16とが接続する位置まで、導電膜14が延長されている。導電膜14が面取り20を覆うよう延長させて設けるのは、透明導電性基板10をハンドリングする際、ガラス基板12が容易に破損することを防止するためである。なお、本発明においては、導電層14が上述のように複数の膜で構成されている場合、いずれか1つの膜が、面取り20と平面16との接続部分22まで延在しているとよい。
このように接続位置22まで導体層14を延在させることにより、面取り20の表面に生じるキズやクラック、すなわちハンドリングの際に作用する応力によって破壊の起点となる部分を無くすことができる。
本発明では、上述したように、導体層14が成膜される平面18と対向する他方の平面16の接続位置22まで延在することにより、クラック24aの他、クラック24b,24cの凹部の一部もしくは全部を塞ぐので、クラック24a〜24cが破壊の起点となることは無い。
実際、従来のように、面取りの部分に導電層を被覆しない透明導電性基板の場合、破壊の起点は、面取り部分、特に、中立軸よりも外側に位置することが確認されている。
図3は、透明導電性基板10の成膜を行う装置30の概略構成図である。
装置30は、搬送ベルト32が図中X方向に進行することにより、ガラス基板12を搬送し、この搬送中のガラス基板12に対して、インジェクタ34を用いて原料ガス等を吹き付けることにより、ガラス基板12に成膜処理を連続的に行う装置である。
これらの供給口36a〜36cのスリット幅は、ガラス基板12の搬送方向と直交する方向の幅に対して同等あるいはそれよりも広くなっている。これにより、ガラス基板12の幅方向端にある面取り20の部分まで成膜することができる。
供給口36aは、成膜する膜の主成分となる原料ガスを供給する部分で、例えば、SnO2膜を成膜する場合、四塩化錫のガスとキャリアーガスとしての窒素ガスが供給される。
供給口36bは、原料ガスと反応しないガス、例えば窒素ガスを供給する部分である。
供給口36cは、窒素ガス等をキャリアーガスとして水蒸気ガス等の酸化ガスを供給する部分である。供給口36bから原料ガスと反応しないガスを供給するのは、供給口36aと供給口36bからそれぞれ供給される四塩化錫と水蒸気が、供給口36aと供給口36bの先端で反応し、反応性生物の膜が堆積することによって発生する目詰まりを防止するためである。
CVD反応後の余分なガスは排気口38から排気するようになっている。
供給口36a〜36cから供給される各ガスは、ガスの流速を0.1(m/秒)〜2.0(m/秒)、好ましくは0.2(m/秒)〜1.0(m/秒)、に調整することにより、層流としてガラス基板12に噴きつけることができる。これにより、原料ガスが面取り20の周りに均一に回り込み、更に酸化ガスも面取り20の周りに均一に回り込み、均一な膜が面取り20の部分を覆うように形成される。特に、搬送方向上流側、下流側に位置するガラス基板12のエッジ部分の面取り20の部分まで均一な膜を形成する点で有効である。
ガスが乱流となっている場合、原料ガスと酸化ガスがガラス基板12に到達する前に混在するので、面取り20の部分では均一な膜が形成できない。
用意したサンプルは、面取り20が施されているソーダライムシリケートガラス基板(長さ1100mm×幅360mm)と、導電層14が、平面16と面取り20との接続位置22まで形成された透明導電性基板10(長さ1100mm×幅360mm)である。透明導電性基板10は、温度535℃の雰囲気で、SnO2膜を上述の装置30を用いて成膜した。供給されるガスの流速は、略0.5(m/秒)とし、ガラス基板12の搬送速度は、1m/分とし、成膜されたSnO2膜の厚さは0.8μmであった。
図4に示すように、円柱部材40でサンプルの両側を設置して支持し、寸法L1離れて平行に配置された円柱部材42を介してサンプルに荷重Pを上方から下方に向けて均等に掛けた。図中、寸法L1は200mmであり、寸法L2は360mmであり、寸法L3は1000mmである。
こうして、ソーダライムシリケートガラス基板のサンプルA(比較例)の破壊時の荷重Pと、本発明品である透明導電性基板10のサンプルB(実施例)の破壊時の荷重Pとの数値を調べ、平均値を求めた(サンプル数N=20)。
サンプルA(比較例)の破壊時の荷重Pの平均値を基準100としたとき、サンプルB(実施例)の破壊時の荷重Pの平均値は略160に上昇した。サンプルB(実施例)は、平面16,平面18を図4中の下側に配しても略同様の値を示した。これは、導電層14の膜が接続位置22まで延長したことにより得られた効果である。実際、サンプルA(比較例)では、N=20のすべてのサンプルにおいて破壊の起点が、面取部分22の中の中立軸よりも外側の領域に位置することが確認できた。
以上より、本発明の成膜方法により得られる透明基板の成膜方法は、破壊強度を向上する点で有効である。
12 ガラス基板
14 導電層
16,18 平面
20 面取り
22 接続部分
30 装置
32 搬送ベルト
34 インジェクタ
36a,36b,36c 供給口
38 排気口
40,42 円柱部材
Claims (4)
- 少なくとも対向する2辺のエッジ部分が面取りされている透明基板の一方の面に成膜処理を行う際、
形成される膜が、前記エッジ部分の面取り領域の、前記透明基板の他方の面と接続する接続位置まで延在するように、前記透明基板に対して、500℃以上の温度条件下、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜処理を行うことを特徴とする透明基板の成膜方法。 - 前記面取りは、R面取りまたは糸面取りである請求項1に記載の透明基板の成膜方法。
- 前記透明基板は、ガラス基板であり、前記膜は、TiO2、SnO2、及びZnOから少なくとも1つ選ばれて形成された導電性材料からなる膜である請求項1または2に記載の透明基板の成膜方法。
- 前記CVD成膜処理は、500℃以上の温度条件下、前記膜の原料ガスを、その両側から前記原料ガスと反応しないガスを、さらにその両側から酸化ガスを、それぞれ層流として前記透明基板に噴きつける処理である請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明基板の成膜方法。
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