JP2009249207A - 炭化珪素単結晶インゴットの製造方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶インゴットの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭化珪素単結晶インゴットの安定製造を実現し、結晶性の良好な炭化珪素単結晶ウェハを取り出せる製造方法を提供する。
【解決手段】昇華再結晶法により種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程を含む炭化珪素単結晶インゴットの製造方法であって、結晶成長炉内に配置した成長用坩堝内の炭化珪素原料及び種結晶の温度が所定の温度に達するまでの昇温時には、結晶成長炉内の炉内雰囲気を、炭素及び水素を含むと共に炭化珪素単結晶に影響を及ぼさない非腐食性ガスからなる、又は、この非腐食性ガスと、アルゴン、ヘリウム及び窒素から選ばれた少なくとも1種の不活性ガスとの混合ガスからなるガス雰囲気とし、結晶成長炉内の炭化珪素原料及び種結晶が所定の温度に達した後には、前記非腐食性ガスの導入を止めて不活性ガスからなるガス雰囲気中で昇華再結晶による結晶成長を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、欠陥密度が小さく、かつ結晶性の良い炭化珪素単結晶の製造方法に関するものである。特に限定されるものではないが、本発明の製造方法で得られる炭化珪素単結晶は、各種半導体電子デバイスを構成する基板材料として特に好適に用いられる。
炭化珪素(SiC)は、半導体材料として優れた物理特性、耐熱性及び機械的強度等を有することから、電力用パワーデバイスを含む各種デバイス用の基板ウェハ向け材料として注目されている。SiC単結晶は、昇華再結晶法によって製造されることが一般的であるが、半導体デバイスとしての使用に耐え得る十分な大きさを持った、結晶欠陥の少ない高品質のSiC単結晶を得ることが困難であったために、長年、その実用化が阻まれてきた経緯がある。
近年、従来の昇華再結晶法を改善した、改良レーリー法(非特許文献1)が提案され、単結晶インゴットの高品質化及び大型化に飛躍的進捗がもたらされた。近年では、GaN系青色あるいは白色発光ダイオードや、ショットキーバリアダイオード等の各種デバイスの製品化に向けた応用開発が加速度的に進められると同時に、SiC単結晶基板開発においても、直径100mmに及ぶ大口径の単結晶ウェハが市販されるに至っている(非特許文献2)。
改良レーリー法では、主として黒鉛製の坩堝等々の耐熱容器を用い、高温におけるSiC物質の昇華・再結晶現象を応用して単結晶を製造する。即ち、主としてSiCからなる原料粉末を加熱して昇華分解させ、坩堝内の比較的低温部に予め設置しておいたSiC単結晶からなる種結晶上に昇華ガスを移動させて再結晶させることにより、SiC単結晶インゴットが得られる。このような単結晶化プロセスは、約2000℃以上に及ぶ高温環境下で行う必要がある。そして、このような超高温域で、かつ結晶欠陥等々の発生の無い良質なSiC単結晶インゴットを得るためには、坩堝内温度分布や昇華SiCガス分布、あるいは昇華ガス組成等々を制御して単結晶成長が安定化する最適成長条件を保ち、かつその条件を全成長時間に亘って維持することが必要である。
しかしながら、このような超高温域でのプロセス条件制御は、高度な技術を要する上に、坩堝内部の様子をリアルタイムでモニタリングすることが困難であることから、坩堝の外表面温度を測定して得られた情報等々から推測して行う以外に工業的に有効な方法がなく、かような制御技術に関係する制約から、現時点においても結晶成長条件に未解明な制御因子を抱えており、安定な結晶成長条件を完全に確立するには至っていないのが実情である。
このため、昇華再結晶法によるSiC単結晶の製造時に、成長結晶の一部に乱れが発生して多結晶化したり、また、異種ポリタイプが発生する等々の現象が頻発し、単結晶インゴットの製造歩留まりが低下するのみならず、マイクロパイプ等々の結晶欠陥が新たに発生して結晶品質を劣化させてしまう等の問題が残されていた。
ところで、種結晶を用いた昇華再結晶法によってSiC単結晶インゴットを製造する場合、その結晶成長時の昇温過程においては、比較的低温域で生成し易いSiCポリタイプが存在することが知られている(非特許文献3)。例えば、3Cと称されるSiCポリタイプは、成長装置にもよるが、2000℃以下の比較的低温域で、特に非平衡条件下で生成し易いと言われている。しかるに、半導体物性に関係する諸特性の観点から、デバイス応用として現在最も注目されているSiCポリタイプは、4H及び6Hである。そして、昇華再結晶法では、これらのポリタイプからなる単結晶インゴットが安定的して晶出する温度域が概ね約2000℃以上の高温域であるため、4H及び6Hポリタイプ単結晶を製造する場合には、種結晶付近の温度が前記の温度範囲に入るように、坩堝を含めた成長系全体の温度を制御しなければならない。
このため、原料純化や脱ガス処理、即ち、原料表面に吸着している不純物を低圧下で加熱処理して除去する場合等々のような、別途異なる目的で熱処理を行う場合を除き、基本的には低温域での異種SiCポリタイプの晶出を抑制する目的から、雰囲気圧力を高くした状態で昇温し、所望の成長温度近傍に到達後に圧力を低下して、成長を開始させる手法が一般的に行われている(非特許文献4、特許文献1)。所望の成長温度近傍に到達するまで昇温時の雰囲気圧力を高くすると、SiC昇華ガスの坩堝内での拡散輸送が抑制されることから、種結晶上での結晶成長を抑制することができ、これが本法の基本原理となっている。しかしながら、かような雰囲気圧力制御を行っても、依然として成長結晶が多結晶化したり、異種SiCポリタイプが混入したりする等の現象が頻発しており、必ずしも有効に結晶製造の歩留まりが向上しているとは言い難い状況にある。
そこで、発明者らは、昇華再結晶法における雰囲気圧力制御の問題点を解明するために昇温時の坩堝温度に関する詳細な調査を行った結果、例えば、黒鉛坩堝内で結晶成長を行う場合、圧力降下速度にもよるが、雰囲気圧力低下時に、坩堝の発熱部分付近でも約50〜100℃温度が上昇することを見出した。雰囲気圧力を低下させる場合、坩堝を含めた系全体の温度分布を決定している輻射や熱伝導等の熱流支配要因の中で、雰囲気ガスによる熱伝導の寄与分が寡少になり、結果として一時的に断熱性が向上するために、坩堝内の温度分布が上昇するものと推測される。
このような温度変化が発生する場合、結晶成長速度が雰囲気圧力低下時の温度変動に誘発されて安定せず、成長結晶の結晶性に乱れが発生し易くなり、場合によっては結晶方位の異なる結晶粒が生成して多結晶化してしまう。あるいは、原料昇華温度が大きく変化すると、原料から発生する昇華ガスの組成が揺らぐことになり、成長前に意図しなかった他の異種ポリタイプが生成し易い成長条件へ変移して、所望の単一ポリタイプ単結晶を得ることができなくなってしまう。これらのような状況が起こると、例えば、異種ポリタイプとの界面付近等からマイクロパイプと呼ばれる中空状微小欠陥が生じ、結果として結晶品質の劣化を引き起こすことになる(非特許文献5)。
一方、前述のような昇温時の圧力降下による結晶成長擾乱を回避する目的から、雰囲気圧力を結晶成長が起こる以前から下げておく方法が開示されている(特許文献2)。この方法によれば、圧力降下による結晶成長の擾乱は回避できるものの、必然的に低温域から結晶成長が開始することが避けられず、3Cポリタイプ等のような、目的とするポリタイプ以外のポリタイプが発生して結晶品質を劣化させる等の問題が生ずることは避けられない。
特許第3982022号公報 特表2003-504298号公報 Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, vol.52 (1981) pp.146 R. T. Leonard, et al., International Conference on Silicon Carbide and Related Materials, (2007) Technical Digest Tue, Oct.16, pp.Tu-39. Knippenberg, Phillips Res. Reports, vol.18 (1963) pp.161 N. Ohtani, et al., Electronics and Communications in Japan, Part 2, vol.81 (1998) pp.8 N. Ohtani, et al., 1st International Workshop on Ultra-Low-Loss Power Device Technology, (2000)
以上のようなことから、従来の昇華再結晶法においては、いずれにしても、高品質SiC単結晶インゴットの製造歩留まりの低下が避けられず、安定結晶成長を実現する成長プロセスを提案することが強く望まれていた。
そこで、本発明者らは、SiC物質の熱分解現象に与える雰囲気ガスの影響を詳細に調査したところ、プロパンやエチレンのような炭素及び水素からなる非腐食性ガス雰囲気中では、2000℃超の高温域で処理した後でも、SiCインゴットあるいはウェハ表面は目視レベルで全く変化せず、SiC自身の熱分解による表面炭化がほぼ生じないことを見出した。
そして、本発明者らは、上記知見に基づいて、種結晶を用いる昇華再結晶法において、その雰囲気ガスとして非腐食性ガスを用いることを鋭意検討した結果、特に、昇温過程における結晶成長の擾乱を抑制し、成長安定性を画期的に改善できる新しい単結晶製造プロセスを発明するに至った。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、結晶性の良い単結晶ウェハの安定製造を可能にするSiC単結晶インゴットの製造方法を提供するものである。
本発明は、種結晶を用いる昇華再結晶法によるSiC単結晶の製造方法であって、以下の構成を趣旨とする。
(1)昇華再結晶法により種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程を含む炭化珪素単結晶インゴットの製造方法であって、結晶成長炉内に配置した成長用坩堝内の炭化珪素原料及び種結晶の温度が所定の温度に達するまでの昇温時には、結晶成長炉内の炉内雰囲気を、炭素及び水素を含むと共に炭化珪素単結晶に影響を及ぼさない非腐食性ガスからなる、又は、この非腐食性ガスと、アルゴン、ヘリウム及び窒素から選ばれた少なくとも1種の不活性ガスとの混合ガスからなるガス雰囲気とし、結晶成長炉内の炭化珪素原料及び種結晶が所定の温度に達した後には、前記非腐食性ガスの導入を止めて不活性ガスからなるガス雰囲気中で昇華再結晶による結晶成長を行うことを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
(2)前記昇温時のガス雰囲気が、非腐食性ガスと不活性ガスとの混合ガスである(1)に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
(3)前記混合ガスが、体積比で0.5%以上の非腐食性ガスを含有する(1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
(4)前記混合ガスが、体積比で1%以上の非腐食性ガスを含有する(1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
(5)前記混合ガスが、体積比で5%以上の非腐食性ガスを含有する(1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
(6)前記非腐食性ガスが、炭素及び水素からなる炭化水素系ガスである(1)〜(5)の何れかに記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
(7)前記炭化水素系ガスが、メタン、エタン、プロパン又はエチレンの少なくとも1種である(6)に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
本発明のSiC単結晶インゴットの製造法により、圧力変動に起因する成長環境不安定性や成長初期における異種ポリタイプ結晶の生成に起因する結晶成長擾乱が皆無になる。その結果、結晶性の良いSiC単結晶インゴットの安定製造が可能になり、高品質SiC単結晶ウェハを安定に製造できるようになる。
以下に、本発明の詳細について述べる。
まず、本発明のSiC単結晶製造方法において採用される雰囲気ガスについては、炭素及び水素を含むと共に種結晶等のSiC単結晶に対して腐食やエッチング等々の影響を及ぼさない非腐食性ガスであり、望ましくは炭素及び水素からなる炭化水素系ガス、さらに望ましくはメタン、エタン、プロパン、及びエチレンから選ばれた少なくとも1種からなるガスである必要がある。
さらに、この雰囲気ガスについては、上記非腐食性ガスと、アルゴン、ヘリウム、及び窒素から選ばれた1種又は2種以上の不活性ガスとの混合ガスであってもよい。また、特に電気抵抗率等のSiC単結晶の電気的特性を制御する必要性がある場合には、上記雰囲気ガス中に窒素を適当量混合しても良い。雰囲気ガスとして混合ガス、即ち不活性ガスで希釈された炭素及び水素を含む非腐食性ガスを用いる場合には、非腐食性ガスが0.5体積%以上、好ましくは1体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上存在していることが望ましい。雰囲気ガス中の非腐食性ガス濃度が0.5体積%未満の場合には、焼鈍処理時の表面炭化抑制効果が得られないおそれがあり、また、非腐食性ガス濃度の上限については、高温での焼鈍処理時の防爆等々に対する安全性が確保されれば、特に制限されるものでは無いが、通常は50体積%程度までの混合ガスであるのがよい。
また、本発明において、結晶成長炉の圧力については、好ましくは、昇温時には所定の圧力より高く維持し、これによって昇温時における低温域での異種SiCポリタイプの晶出を可及的に抑制すると共に、所定の温度に到達した後には圧力を所定の圧力にまで低下させ、その後に所定の温度及び圧力に維持して昇華再結晶により結晶成長を行うのがよい。本発明方法により圧力変動に起因する成長環境不安定性が解消されるので、上記の昇華再結晶工程での雰囲気圧力制御による効果を可及的に引き出すことができる。
本発明において昇温過程での結晶成長擾乱の抑制や成長安定性の改善が達成されるメカニズムについては、上記ガスを構成する元素の中で、特に炭素が昇華及び再結晶化の反応速度を規定する系全体の自由エネルギーに影響を与え、この炭素の増加により昇華分解速度を低下させている可能性が高いと推察している。しかしながら、水素を始めとする雰囲気ガス中の他の元素の影響まで勘案したメカニズムの詳細については、依然不明な点が残されており、現時点では必ずしも明らかではない。
図1に、本発明者らが提案する好適な成長処理パターンの一例を示す。なお、本パターンは発明の一例を示すものであり、本発明がこれに限定されるものでは無い。
先ず、昇温前に、雰囲気ガスの組成を、本発明が提案する炭素及び水素を含む非腐食性ガス、望ましくは炭素及び水素からなる炭化水素系ガス等からなる非腐食性ガスで予め構成しておく(非腐食性ガスを混合した不活性雰囲気)。また、昇温時には、雰囲気圧力を大きくして(高圧雰囲気)、比較的低温で発生し易い異種SiCポリタイプの生成を更に抑えている。なお、昇温過程時の圧力は0.8×105Pa以上であれば十分である。
所定の成長温度、例えば、2000℃に到達した後、雰囲気圧力の減圧を開始し、所定の成長圧力、例えば1.3×104Paへ雰囲気圧力を降下させる(低圧雰囲気)。雰囲気圧力及び坩堝の表面温度から推測される坩堝内温度が十分に安定した後に、上記非腐食性ガスの導入を停止し、窒素を適当量混合したアルゴンガスのみを成長炉に導入する(アルゴン等の不活性雰囲気)。これにより、成長処理パターンの初期昇温過程時の異種SiCポリタイプ生成を完全に抑制すると同時に、雰囲気圧力減圧時に発生する温度変化や圧力変動等々による成長不安定性を回避でき、温度や雰囲気圧力が十分安定した成長条件下で、所望の単結晶成長を開始することができる。
また、本発明の製造方法を採用することで、非腐食性ガスそれ自体により、不要な異種SiCポリタイプの初期生成を抑制する効果が得られることになり、昇温時に雰囲気圧力を大きくする必要も無い。この場合、所望の結晶成長開始温度に到達し、温度が十分に安定した後に、上記の非腐食性ガスの導入を遮断し、アルゴンやヘリウム、もしくは窒素等々の不活性ガスに切り替えることで、従来問題になっていた圧力降下時の圧力変動による成長環境擾乱起因の結晶成長不安定化を回避できると共に、特に上記の結晶成長開始温度よりも低温域側で生成してしまう異種ポリタイプの結晶生成核の発生を抑え、目的とする所望のポリタイプから構成される高品質SiC単結晶を得ることができるようになる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
〔実施例1〕
図2に、本発明で用いた、種結晶を用いる昇華再結晶法の製造装置の概略図を示す。
図2において、黒鉛製坩堝中にSiC原料粉末を充填し、その上部対向面に6Hポリタイプの単結晶種結晶ウェハを据え付けた後、水冷式二重石英炉心管の内部に静置した。坩堝内径は約25.4mmである。SiC原料粉末の不純物を除去する目的から、約10-3Pa以下の高真空下で高周波加熱方式により約500℃に加熱、保持し、脱ガス処理を行った。
しかる後に、プロパンガスを1体積%混合したアルゴンガスを二重石英管内の圧力が1.0×105Paになるまで充填し、その後2200℃まで約1時間かけて昇温した。なお、坩堝温度の測温方法であるが、坩堝上部の断熱材中央部分に直径2〜4mmの光路を設け、二重石英炉心管の外に設置した二色温度計にて測定した。
引き続いて、二重石英管内圧力の減圧を開始し、圧力1.3×103Paへ約5分で到達した。その状態で約1時間保持し、温度が平衡状態に達するのを待った。1時間後、約2200℃の温度で安定になることを確認し、その後、炉内に導入する雰囲気ガスを純アルゴンガス(純度99.999%)に切り替えた。
この状態で約20時間保持して結晶成長を行った。
成長完了後に成長結晶を取り出し、透過光線照射による観察を行ったところ、この実施例1で作製した結晶は、完全な6Hポリタイプの単結晶インゴットであり、異種ポリタイプの混入は全く見られず、用いた種結晶とほぼ同等のマイクロパイプ密度を持っていることを確認した。なお、確認のために、マルチワイヤーソーを用いて、成長方向に垂直に切り出して厚さ約1mmのスライス基板を作製し、得られた全ての基板についてポリタイプを目視にて確認したが、全て6Hのシングルポリタイプであった。
〔比較例1〕
上記実施例1の比較実験として、全プロセスに亘って雰囲気ガスを純アルゴンガス(純度99.999%)とした以外は、上記実施例1とほぼ完全に同一の条件下で結晶成長実験を行った。
この比較例1の場合には、大傾角の結晶粒界は皆無であり、かつ単結晶状態は維持されているもの、成長結晶の内部、特に種結晶直上近傍に4Hポリタイプ領域及び3Cポリタイプ結晶核が混入しており、6Hポリタイプ部分との界面付近よりマイクロパイプ欠陥が多数発生して、インゴットの結晶性が著しく劣化していた。
〔実施例2〕
実施例1とほぼ同様な成長条件にて、4Hポリタイプの単結晶インゴット成長実験を実施した。但し、種結晶の口径は51mm、坩堝内径は51.5mmである。
昇温前に純エチレンガスを0.5体積%、及び窒素ガスを約7体積%混合したアルゴンガスを石英管内圧力が1.0×105Paになるまで充填し、圧力が1.3×103Paの状態で2000℃まで約1時間かけて昇温した後、その状態で約5分保持した。その後、約1時間かけて1.3×103Paまで圧力を降下し、さらに引き続いてその状態で約1時間保持した。圧力と温度が一定になったことを確認した後に、雰囲気ガスを、窒素ガスを約7体積%混合したアルゴンガスに切り替え、30時間保持して結晶成長を行った。
この実施例2で得られた結晶は、ほぼ完全な単結晶状態のインゴットであった。このインゴットを成長方向に平行に切り出して厚さ約1mmの薄板を採取し、ラマン分光法によって薄板の各部分のポリタイプを調べたところ、ほぼ全面に亘って4Hポリタイプであることを示すデータが得られ、異種ポリタイプ発生の無い、安定な結晶成長が行われたことが判明した。
〔比較例2〕
また、比較実験として、全プロセスに亘って雰囲気ガスを窒素約7体積%混合のアルゴンガスとした以外は、ほぼ完全に同一の条件下で結晶成長実験を行った。
結果は、成長結晶の、特に坩堝内壁に近い結晶周辺部分に、異種ポリタイプが発生しており、4Hポリタイプのみで構成される単一ポリタイプ状のインゴットは得られなかった。また、上記と同様な方法によって混入した異種ポリタイプを調べたところ、主として6H及び15Rポリタイプから構成されていることが判明した。
〔実施例3〕
実施例1とほぼ同様な成長条件にて、6Hポリタイプの単結晶インゴット成長実験を実施した。但し、種結晶の口径は76mm、坩堝内径は76.5mmである。
昇温前に純エチレンガスを0.5体積%、及び窒素ガスを約7体積%混合したアルゴンガスを石英管内圧力が1.0×105Paになるまで充填し、その後すぐに約1時間かけて1.3×103Paまで圧力を降下した。この状態で、2200℃まで約2時間かけて昇温した後、その状態で約1時間保持し、圧力と温度が一定になったことを確認した後に、雰囲気ガスを、窒素ガスを約7体積%混合したアルゴンガスに切り替え、35時間保持して結晶成長を行った。
純エチレンガスを混合した雰囲気ガスを用いる本発明の製造法によって得られた結晶は、目視観察では6Hポリタイプのみから構成される単結晶インゴットであった。このインゴットを成長方向に平行に切り出して厚さ約1mmの薄板を採取し、ラマン分光法によって薄板の各部分のポリタイプを調べたところ、ほぼ全面に亘って6Hポリタイプであることを示すデータが得られ、異種ポリタイプ発生の無い、安定な結晶成長が行われたことが確認できた。
〔比較例3〕
また、比較実験として、全プロセスに亘って雰囲気ガスを窒素約7体積%混合のアルゴンガスとした以外は、ほぼ完全に同一の条件下で結晶成長実験を行った。
結果は、成長結晶の種結晶直上部分、即ち、成長開始直後と思われる成長時間帯に、3Cと思われる異種ポリタイプの多結晶領域が生成しており、この結晶領域を起点として引き続く成長時に4Hポリタイプ結晶領域が生成し、成長が進行するに伴ってその領域を大きく広げていることが判明した。即ち、比較例に示すような従来法では6Hポリタイプのみから構成される単一ポリタイプ状の単結晶インゴットは得られず、その結果マイクロパイプ欠陥が多数発生して、結果として結晶品質が大きく劣化していることが判明した。
〔実施例4〕
実施例1とほぼ同様な成長条件にて、6Hポリタイプの単結晶インゴット成長実験を実施した。但し、種結晶の口径は76mm、坩堝内径は76.5mmであり、使用したプロパンガス混合アルゴンガス中のプロパン濃度は0.5体積%であること以外は、実施例1とほぼ同じ条件で成長を行っている。
この条件での結晶成長を20回繰り返して行い、得られた成長結晶について、外周刃切断機を用いて成長方向に平行に切断し、透過光線照射による観察を行ったところ、得られた結晶中の1個について、成長結晶の周辺端部の極近傍に、直径約1mm程度の微小4Hポリタイプが混入しており、この部分を起点としてマイクロパイプ欠陥が新たに発生していることを確認した。他の19個については、全てほぼ完全な6Hポリタイプの単結晶インゴットであり、異種ポリタイプの混入は全く見られなかった。
〔実施例5〕
上記実施例4の成長実験について、プロパンガス混合アルゴンガス中のプロパン濃度を5体積%とした以外は全く同様の条件にて成長実験を行い、同様な透過光線照射による観察を行った。その結果、20個全ての結晶について、完全な6Hポリタイプの単結晶インゴットであり、異種ポリタイプの混入は全く見られなかった。
上記実施例4及び5の結果から明らかなように、プロパン濃度0.5体積%及び5体積%のアルゴンガスを用いた場合は、共に高品質な単結晶が得られる有効な方法であるが、濃度5体積%の条件下で実施することにより、より大きな効果が得られることが判明した。
図1は、本発明の実施例に係る結晶成長方法の一例を説明する図である。
図2は、本発明の実施例に係る製造方法に用いられる単結晶成長装置の一例を示す構成図である。
符号の説明
1…種結晶(SiC単結晶)、2…SiC粉末原料、3…黒鉛坩堝、4…二重石英炉心管(水冷式)、5…断熱材、6…真空排気装置、7…高周波加熱コイル。

Claims (7)

  1. 昇華再結晶法により種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程を含む炭化珪素単結晶インゴットの製造方法であって、結晶成長炉内に配置した成長用坩堝内の炭化珪素原料及び種結晶の温度が所定の温度に達するまでの昇温時には、結晶成長炉内の炉内雰囲気を、炭素及び水素を含むと共に炭化珪素単結晶に影響を及ぼさない非腐食性ガスからなる、又は、この非腐食性ガスと、アルゴン、ヘリウム及び窒素から選ばれた少なくとも1種の不活性ガスとの混合ガスからなるガス雰囲気とし、結晶成長炉内の炭化珪素原料及び種結晶が所定の温度に達した後には、前記非腐食性ガスの導入を止めて不活性ガスからなるガス雰囲気中で昇華再結晶による結晶成長を行うことを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  2. 前記昇温時のガス雰囲気が、非腐食性ガスと不活性ガスとの混合ガスである請求項1に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  3. 前記混合ガスが、体積比で0.5%以上の非腐食性ガスを含有する請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  4. 前記混合ガスが、体積比で1%以上の非腐食性ガスを含有する請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  5. 前記混合ガスが、体積比で5%以上の非腐食性ガスを含有する請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  6. 前記非腐食性ガスが、炭素及び水素からなる炭化水素系ガスである請求項1〜5の何れかに記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  7. 前記炭化水素系ガスが、メタン、エタン、プロパン又はエチレンの少なくとも1種である請求項6に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
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