JP2018188330A - SiC単結晶基板の製造方法 - Google Patents

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寛典 大黒
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Abstract

【課題】Crを不純物として含むSiC単結晶基板の表面から、不純物Crを良好に除去することができるSiC単結晶基板の製造方法を提供する。
【解決手段】不純物としてCrを含むSiC単結晶基板を、水素雰囲気下で1600〜1750℃で熱処理すること、及び前記Crを溶解することができる強塩基溶液に浸漬すること、を含む、SiC単結晶基板の製造方法。
【選択図】図2

Description

本開示は、SiC単結晶基板の製造方法に関する。
SiC(炭化珪素)は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有する。そのため、Si結晶やGaAs結晶などの既存の単結晶基板材料では実現できない高出力、高周波、耐電圧、耐環境性等を実現することが可能であり、大電力制御や省エネルギーを可能とするパワーデバイス材料、高速大容量情報通信用デバイス材料、車載用高温デバイス材料、耐放射線デバイス材料等、といった広い範囲における、次世代の単結晶基板材料として期待が高まっている。
SiC単結晶基板を作製するには、従来、次の製造方法が知られている。まず、昇華法や溶液法等を用いて結晶成長させたSiCインゴットを得る。このSiCインゴットからSiC成長結晶をワイヤソー等によりスライスし、その後、鏡面研磨を行う。
SiC単結晶の研磨工程において、SiC単結晶ウエハに生じる反りを低減するために、両面ラップ研磨後のSiC単結晶基板をSiCに対して非腐食性のガス雰囲気下で、1300℃以上2000℃以下の温度で焼鈍処理する方法が提案されている(特許文献1)。
また、鏡面研磨後のSiC単結晶基板を洗浄した後、SiC単結晶基板は完成となるが、このSiC単結晶基板の洗浄において最も重要なことは結晶表面の金属不純物の除去である。結晶表面に金属不純物が残留していると、SiC単結晶基板上に形成するエピタキシャル膜の品質に大きく影響し、電界効果トランジスタ等の能動素子をこの基板上に作成するときに大きな障害となり得る。特に、SiC単結晶基板が、その表面に不純物としてCrを含む場合、この結晶表面の不純物Crを十分に除去できない。これに対して、不純物としてCrを含むSiC単結晶を50℃〜80℃の塩酸に浸漬させる方法が提案されている(特許文献2)。
その他、加工変質層を気相エッチング法によって除去するSiC基板の製造方法(特許文献3)及びSiC単結晶基板表面の加工変質部を、フッ素系ガスを除く反応ガスを用いたエッチングによって除去する方法(特許文献4)が提案されている。
特開2008−103650号公報 特開2015−171962号公報 特開2004−168649号公報 特開2006−261563号公報
特許文献1のような焼鈍処理では、SiC単結晶基板の表面に含まれるCrを含む金属不純物の除去が不十分である。また、特許文献2〜4のような方法でも、SiC単結晶基板の表面に含まれるCrを含む金属不純物の除去は未だ不十分であった。
そのため、Crを不純物として含むSiC単結晶基板の表面から、不純物Crを良好に除去することができる方法が望まれている。
本開示は、不純物としてCrを含むSiC単結晶基板を、
水素雰囲気下で1600〜1750℃で熱処理すること、及び
前記Crを溶解することができる強塩基溶液に浸漬すること、
を含む、
SiC単結晶基板の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、Crを不純物として含むSiC単結晶の表面から、不純物Crを除去したSiC単結晶基板を得ることができる。
図1は、本開示の方法における水素雰囲気下での熱処理工程を説明する模式図である。 図2は、水素雰囲気下で熱処理を行い、次いで強塩基溶液に浸漬する場合の、本開示の方法における強塩基溶液に浸漬する工程を説明する模式図である。 図3は、溶液法において使用することができるSiC結晶製造装置の一例を示す断面模式図である。 図4は、昇華法において使用することができるSiC結晶製造装置の一例を示す断面模式図である。 図5は、水素雰囲気下における熱処理前後のSiC単結晶基板のX線顕微鏡写真である。 図6は、上記水素雰囲気下の熱処理後に、500℃のKOH融液に10分間浸漬した後のSiC単結晶基板のX線顕微鏡写真である。 図7は、水素雰囲気下の熱処理前後のSiC単結晶基板のX線顕微鏡写真である。 図8は、水素雰囲気下で90分間熱処理した後及び水素雰囲気下でさらに90分間、合計180分間の熱処理した後のSiC単結晶基板のX線顕微鏡写真である。
昇華法や溶液法等でSiC単結晶を成長させる際に、原料、溶媒、または結晶成長装置の部品等から生じる不純物が、インクルージョンとして成長結晶の表面領域内に混入したり、成長結晶に付着することにより、成長結晶の表面に含まれることがある。
例えば、溶液法を用いて、Siを主成分とする原料にCrを添加して溶媒を形成し、Si/Cr系の溶媒中で結晶成長を行ってSiC単結晶を成長させる場合、インクルージョンにより成長結晶に含まれ得る不純物Crの量が比較的多くなり得る。
このようなCrを不純物として表面に含むSiC単結晶基板を用いて、例えば、原料ガスにモノシラン(SiH4)とプロパン(C38)、ドーピングガスに窒素(N2)、キャリアガスに水素(H2)を用い、SiC単結晶エピタキシャル膜を成長させる場合、エピタキシャル膜の成長の為に高温(1500〜1600℃)に加熱された化学気相堆積(CVD)炉内の気相中に、不純物のCrが放出される。その結果、CVD炉内での気相中のC/Si比が低くなり、SiCエピタキシャル膜中へのドーパント窒素(N)の取り込まれ量が変わり得る等、エピタキシャル膜の品質に大きな影響を及ぼし得る。
SiC単結晶は薬品に対する溶解性が非常に低く、従来、Si基板に対して行われているRCA洗浄等では結晶表面の不純物を除去することが難しい。特に、Crが不純物としてSiC単結晶の表面に存在すると、成長結晶に対してRCA洗浄等の従来の洗浄を行っても、Crをほとんど除去できず、洗浄後に形成するエピタキシャル膜の品質が安定しない。
また、Crは、結晶成長後の後工程において、SiC単結晶基板に付着することがある。例えば、SiC単結晶基板をスライスする際に用いるワイヤソー、またはSiC単結晶基板を研磨する際に用いる研磨剤、研磨パッド、若しくは研磨装置から生じるCrが、SiC単結晶基板に付着し得る。また、SiC結晶インゴット内にインクルージョンとして取り込まれたCrやSiC結晶に付着したCrが、上記スライス及び研磨時に装置内に飛び散り、SiC結晶表面に再付着し得る。このような結晶成長後の後工程で付着し得るCrは、成長結晶の表面に付着した量が微量であれば、RCA洗浄等の最表面をわずかにエッチングする従来の洗浄方法で除去できることもあるが、成長結晶の表面に付着したCrの量が多くなると、除去が不十分になる。
このような課題に対して本発明者は鋭意研究を行い、不純物としてCrを含むSiC単結晶基板を、水素雰囲気下で熱処理すること、及びCrを溶解することができる強塩基溶液に浸漬することにより、SiC単結晶基板から不純物Crを従来よりも良好に除去する方法を見出した。
本開示は、不純物としてCrを含むSiC単結晶基板を、水素雰囲気下で1600〜1750℃で熱処理すること、及びCrを溶解することができる強塩基溶液に浸漬すること、を含む、SiC単結晶基板の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、SiC単結晶基板中に含まれるCrを含む金属不純物を除去することができる。
水素雰囲気下の熱処理は、1600〜1750℃、好ましくは1650〜1700℃で行われる。図1に示すように、水素雰囲気下且つ上記温度範囲で熱処理することにより、不純物Crと雰囲気ガスとを反応させて、不純物Crを揮発させ、SiC単結晶基板中の不純物Cr量を低減することができる。図1は、本開示の方法における水素雰囲気下での熱処理工程を説明する模式図である。
水素雰囲気は、熱処理炉内に水素ガスを流すことによって形成することができる。水素雰囲気は、好ましくは25〜50体積%のアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスと50〜75体積%の水素との混合ガス雰囲気である。
熱処理雰囲気は、水素雰囲気且つ好ましくは減圧雰囲気である。雰囲気圧力は50kPa以下が好ましい。雰囲気圧力が低いほど、不純物Crが揮発しやすくなる。雰囲気圧力の下限は特に限定されないが、例えば、1kPa程度である。
水素雰囲気下の熱処理における最高温度での保持時間は、好ましくは90〜180分である。水素雰囲気下の熱処理における最高温度までの昇温速度は、好ましくは40〜90℃/分、より好ましくは50〜80℃/分である。
Crを溶解することができる強塩基溶液への浸漬により、SiC単結晶基板をエッチングしながら不純物Crを溶解させることができる。図2に示すように、不純物Crと強塩基溶液との反応によって不純物Crが除去されることに加えて、SiC単結晶基板がエッチングされるため、不純物Crをリフトオフさせて除去することができる。図2は、水素雰囲気下で熱処理を行い、次いで強塩基溶液に浸漬する場合の、本開示の方法における強塩基溶液に浸漬する工程を説明する模式図である。
Crを溶解することができる強塩基溶液は、好ましくは、450〜600℃のKOH融液等であることができる。
強塩基溶液へのSiC単結晶基板の浸漬時間は、好ましくは5〜15分である。強塩基溶液中に長時間保持すると、不純物Crの除去性は向上するが、SiC単結晶基板のエッチングが進んで表面の荒れにつながるため、上記範囲の浸漬時間が好ましい。
水素雰囲気下の熱処理工程と強塩基溶液への浸漬工程とは、どちらを先に行ってもよいが、好ましくは、水素雰囲気下で熱処理を行い、次いで強塩基融液に浸漬する。
強塩基溶液に浸漬し、次いで水素雰囲気下で熱処理を行う場合、SiC単結晶基板に極微量の不純物Crが残留し得るが、水素雰囲気下で熱処理を行い、次いで強塩基溶液に浸漬する場合、SiC単結晶基板から不純物Crを実質的に全て除去することができる。
本開示の方法で用いられるSiC単結晶基板は、不純物としてCrを含むSiC単結晶である。Crは、SiC単結晶の成長過程で結晶表面領域にインクルージョン等により混入するもの、及び成長工程の後工程で結晶表面に付着するものが挙げられる。本願において、不純物Crとは、SiC結晶の表面領域内に取り込まれたCr、SiC結晶の表面に付着したCr、またはそれらの組み合わせを含む。
本開示の方法は、特に、不純物Crの量が多いSiC単結晶基板から不純物Crを除去するのに効果を奏するが、当然に、微量のCrを含むSiC単結晶基板に本開示の方法を適用してもよい。したがって、本開示の方法に用いられ得るSiC単結晶中に含まれる不純物Crの量は特に限定されないが、例えば、SiC結晶内の表面領域における不純物Crの量は、1×1016〜1×1019atoms/cm2であり、付着不純物を含む最表面における不純物Crの量は、1×1016〜1×1021atoms/cm2である。
また、本開示の方法で用いられるSiC単結晶基板は、ウエハ形状であることができる。SiC単結晶基板は、抵抗率が小さいn型SiC半導体であってもよく、例えば20mΩ・cm以下の抵抗率を有してもよい。また、SiC単結晶基板がn型SiC単結晶である場合、窒素密度は1×1018個/cm3以上の窒素密度を有してもよく、また、SiC単結晶中への窒素の固溶限界及びポリタイプ安定性から、n型SiC単結晶中の窒素密度の上限は1×1020個/cm3程度にすることができる。このような窒素は、任意の方法で導入することができ、例えば、成長雰囲気に窒素を所定量混入させることにより導入することができる。
本開示の方法に用いられ得るSiC単結晶を成長させる方法としては、溶液法、気相法等のSiC単結晶の成長方法に一般的に用いられる方法が挙げられ、好ましくは溶液法、昇華法、または高温CVD(化学的気相堆積)法を用いることができ、より好ましくは溶液法を用いることができる。
以下に、溶液法によるSiC単結晶の成長方法の一つの例を示すが、成長方法は記載の形態に限られるものではない。
溶液法においては、黒鉛坩堝中でSiを溶融し、所望によりCr等を加えて融液を形成し、その融液中にCを溶解させ、低温部に設置した種結晶基板上にSiC結晶層を析出させてSiC結晶を成長させることができる。溶液法は気相法に比べ熱平衡に近い状態での結晶成長が行われるため、低欠陥化が期待できる。
図3に、溶液法において使用することができるSiC結晶製造装置の一例を示す断面模式図を示す。図示したSiC結晶製造装置100は、SiまたはSi/Xの融液中にCが溶解してなるSi−C溶液24を収容した坩堝10を備え、Si−C溶液24の内部からSi−C溶液24の表面に向けて温度低下する温度勾配を形成し、昇降可能な種結晶保持軸12の先端に保持された種結晶基板14をSi−C溶液24に接触させて、種結晶基板14を基点としてSiC結晶を成長させることができる。
Si−C溶液24は、原料を坩堝に投入し、加熱融解させて調製したSiまたはSi/Xの融液にCを溶解させることによって調製される。Xは一種類以上の金属であり、SiC(固相)と熱力学的に平衡状態となる液相(溶液)を形成できれば特に制限されない。適当な金属Xの例としては、Ti、Mn、Cr、Ni、Ce、Co、V、Fe等が挙げられる。例えば、坩堝内にSiに加えて、Cr、Ni等を投入し、Si−Cr溶液、Si−Cr−Ni溶液等を形成することができる。
また、坩堝10を、黒鉛坩堝などの炭素質坩堝またはSiC坩堝とすることによって、坩堝10の溶解によりCが融液中に溶解し、Si−C溶液が形成される。こうすると、Si−C溶液24中に未溶解のCが存在せず、未溶解のCへのSiC結晶の析出によるSiCの浪費が防止できる。Cの供給は、例えば、炭化水素ガスの吹込み、または固体のC供給源を融液原料と一緒に投入するといった方法を利用してもよく、またはこれらの方法と坩堝の溶解とを組み合わせてもよい。
Si−C溶液24は、その表面温度が、Si−C溶液へのCの溶解量の変動が少ない1800〜2200℃であることが好ましい。
Si−C溶液の温度測定は、熱電対、放射温度計等を用いて行うことができる。熱電対に関しては、高温測定及び不純物混入防止の観点から、ジルコニアやマグネシア硝子を被覆したタングステン−レニウム素線を黒鉛保護管の中に入れた熱電対が好ましい。
種結晶保持軸12は、その端面に種結晶基板を保持する黒鉛の軸であり、円柱状、角柱状等の任意の形状の黒鉛軸を用いることができる。
保温のために、坩堝10の外周は、断熱材18で覆われ得る。これらを一括して石英管26内に収容してもよい。断熱材18の周囲には、加熱装置が配置されている。加熱装置は、例えば高周波コイル22であることができる。高周波コイル22は、上段コイル22A及び下段コイル22Bから構成されてもよく、上段コイル22A及び下段コイル22Bはそれぞれ独立して制御可能である。
坩堝10、断熱材18、及び高周波コイル22等の加熱装置は、高温になるので、水冷チャンバーの内部に配置され得る。水冷チャンバーは、装置内の雰囲気調整を可能にするために、ガス導入口とガス排気口とを備えることができる。
Si−C溶液24の温度は、通常、輻射等のためSi−C溶液24の内部よりも表面の温度が低くなる温度分布を形成しやすい。また、加熱装置が上段コイル22A及び下段コイル22Bを備えた高周波コイル22である場合は、上段コイル22A及び下段コイル22Bの出力をそれぞれ調整することによって、Si−C溶液24の内部から表面の領域に所定の温度低下する温度勾配を形成することができる。温度勾配は、例えば、溶液表面からの深さがおよそ1cmまでの範囲で、10〜50℃/cmにすることができる。
Si−C溶液24中に溶解したCは、拡散及び対流により分散される。種結晶基板14の下面近傍は、加熱装置の出力制御、Si−C溶液24の表面からの放熱、及び種結晶保持軸12を介した抜熱等によって、Si−C溶液24の内部よりも低温となる温度勾配が形成され得る。高温で溶解度の大きい溶液内部に溶け込んだCが、低温で溶解度の低い種結晶基板付近に到達すると過飽和状態となり、この過飽和度を駆動力として種結晶基板14上にSiC結晶を成長させることができる。
次に、昇華法による成長方法の一つの例を示すが、成長方法は記載の形態に限られるものではない。昇華法は、結晶の成長速度が大きいため、従来、SiCバルク単結晶の多くは昇華法により製造されている。
昇華法により、SiC結晶を結晶成長させる結晶成長工程について説明する。昇華法によるSiC結晶の製造においては、種結晶基板を設置した坩堝の内部に原料となるSiC粉末を充填した後、この坩堝を結晶成長用装置の内部に設置する。次に、前記結晶成長用装置の内部を不活性ガス雰囲気とした後、減圧する。その後、前記結晶成長用装置を1800〜2400℃に昇温する。これにより、坩堝内部のSiC粉末が分解・昇華して昇華化学種(ガス)が発生し、それが結晶成長温度域に保持された種結晶の結晶成長面に到達してSiC結晶をエピタキシャル成長させることができる。
図4は、昇華法において使用することができるSiC結晶製造装置の一例を示す断面模式図である。図4に示すように、結晶成長装置500は、SiC結晶の結晶成長に十分な量のSiC原料粉末64が充填された坩堝50、及び坩堝50の側面および上下に配置された断熱材58を備えており、真空排気装置により真空排気でき且つ内部雰囲気をArなどの不活性気体で圧力制御できるガス導入口及びガス排出口を有する真空容器に入れられている。
坩堝50の材料としては、たとえば、黒鉛などの炭素材料を用いることができる。真空容器は、石英またはステンレス等の高真空を保つ材料で作られ得る。断熱材58の材料としては、たとえば、炭素繊維などの炭素材料を用いることができる。
坩堝50の上部の一部が円柱状に突出しており、SiC種結晶基板54を取り付ける台部62が構成され、種結晶基板54が保持される。種結晶基板54の取り付け台62への保持は、例えば黒鉛の接着剤を用いて接着され得る。
真空容器の外部には、加熱装置が配置され、例えば真空容器の周囲に巻装した高周波コイル等により加熱を行うことができる。
坩堝温度の計測は、例えば、坩堝下部を覆う断熱材58の中央部に直径2〜4mmの光路60を設け坩堝下部の光を取り出し、放射温度計を用いて行うことができる。この温度を原料温度とみなすことができる。坩堝上部を覆う断熱材58の中央部にも同様の光路60を設け、同様に坩堝50の温度を測定して測定することができる。これを種結晶の温度とみなすことができる。
種結晶基板54を取り付け台62に保持させ、例えば下記のように結晶成長を行うことができる。
真空容器内の雰囲気を高純度アルゴンガス等の不活性ガスに置換する。次に、真空容器の周囲に配置した高周波加熱コイル等の加熱装置により、真空容器及びその中に配置された坩堝50を加熱する。なお、加熱装置は高周波加熱コイルに限られるものではなく、抵抗加熱方式の装置でもよい。
このとき、高周波加熱コイル等の加熱装置の位置等を調節して、坩堝50の上部を低温部、坩堝50の下部を高温部とするように設定する。これにより、坩堝50の下部で効率的にSiC粉末64から昇華ガスを発生させ、坩堝50の上部で前記昇華ガスを冷却して、種結晶基板54を基点としてSiC結晶を結晶成長させることができる。
原料温度は、原料を気化しやすくして、且つ良質の結晶を成長しやすくするために、2100〜2500℃、より好ましくは2200〜2400℃に設定して成長を開始するのが望ましい。種結晶温度は原料温度に比べて40〜100℃、より好ましくは50〜70℃低く、温度勾配は5〜25℃/cm、より好ましくは10〜20℃/cmとなるように設定するのが望ましい。
次に、坩堝50を上記設定温度とした状態で、不活性ガスをガス排出口より排出して、真空容器の内部を133.3〜13332.2Pa程度の減圧状態とすることにより、種結晶54上にSiC結晶の結晶成長を行う。一定時間、結晶成長を行うことにより、所定の大きさのSiC結晶を結晶成長させることができる。
高温CVD法についても、従来と同様の方法でSiC結晶を結晶成長させることができる。
(実施例1)
次のようにして、溶液法によりSiC単結晶を成長させた。
直径が50.8mm、厚みが700μmの円盤状4H−SiC単結晶であって、下面が(000−1)面を有する昇華法により作製したSiC単結晶を用意して、種結晶基板として用いた。種結晶基板の上面を、円柱形状の黒鉛軸の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。
図3に示す単結晶製造装置を用い、Si−C溶液を収容する黒鉛坩堝に、Si及びCrを、Si:Cr=60:40の原子組成比率でSi−C溶液を形成するための融液原料として仕込んだ。
単結晶製造装置の内部を1×10-3Paに真空引きした後、1気圧になるまでアルゴンガスを導入して、単結晶製造装置の内部の空気をアルゴンで置換した。高周波コイルに通電して加熱により黒鉛坩堝内の原料を融解し、Si/Cr合金の融液を形成した。そして黒鉛坩堝からSi/Cr合金の融液に、十分な量のCを溶解させて、Si−C溶液を形成した。
上段コイル及び下段コイルの出力を調節して黒鉛坩堝を加熱し、Si−C溶液の表面における温度を2000℃に昇温させ、並びに溶液表面から1cmの範囲で溶液内部から溶液表面に向けて温度低下する温度勾配の平均値が30℃/cmとなるように制御した。Si−C溶液の表面の温度測定は放射温度計により行い、Si−C溶液の温度勾配の測定は、昇降可能な熱電対を用いて行った。
黒鉛軸に接着した種結晶基板の下面をSi−C溶液面に並行にして、種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液の液面に一致する位置に配置して、Si−C溶液に種結晶基板の下面を接触させるシードタッチを行い、次いで、Si−C溶液が濡れ上がって黒鉛軸に接触しないように、黒鉛軸を1.5mm引き上げ、その位置で10時間保持して、SiC単結晶を成長させた。
結晶成長の終了後、黒鉛軸を上昇させて、種結晶基板及び種結晶基板を基点として成長したSiC単結晶を、Si−C溶液及び黒鉛軸から切り離して回収した。得られたSiC単結晶を、直径50.8mm及び厚み350umにスライスした。
スライスしたSiC単結晶基板を、11kPaの減圧アルゴンの雰囲気下で、15slmのArガスと30slmの水素ガスを流しながら、室温から1600℃まで25分で昇温し、1600℃で90分間保持して熱処理を行った。
次いで、SiC単結晶基板を、500℃のKOH融液中に10分間浸漬した。浸漬後にSiC単結晶基板を取り出し、純水で洗浄した。
X線顕微鏡を用いて、SiC単結晶基板中のCrを観察した。図5に、水素雰囲気下における熱処理前後のSiC単結晶基板のX線顕微鏡(堀場製作所製、XGT−7200V/WMSIC)による観察写真を示す。水素雰囲気下の熱処理によって50%の不純物Crを除去することができた。破線で囲んだ部分が残存箇所である。
図6に、上記水素雰囲気下の熱処理後に、さらに、500℃のKOH融液に10分間浸漬した後のSiC単結晶基板のX線顕微鏡写真を示す。500℃のKOH融液に浸漬することによって、全ての不純物Crを除去することができた。
(実施例2)
500℃のKOH融液に浸漬した後、水素雰囲気で熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件で、SiC単結晶基板のX線顕微鏡観察を行った。不純物Crの除去率は99.9%であった。
(参考例1)
室温から1750℃まで25分で昇温し、1750℃で90分間保持して熱処理を行い、強塩基溶液への浸漬処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同じ条件で、SiC単結晶基板のX線顕微鏡観察を行った。図7に、水素雰囲気下の熱処理前後のSiC単結晶基板のX線顕微鏡写真を示す。水素雰囲気下の熱処理による不純物Crの除去率は70%であった。
(参考例2)
保持時間が180分になるように参考例1と同じ条件で2回熱処理して、SiC単結晶基板のX線顕微鏡観察を行った。図8に、水素雰囲気下で90分間熱処理した後及び水素雰囲気下でさらに90分間、合計180分間の熱処理した後のSiC単結晶基板のX線顕微鏡写真を示す。水素雰囲気下で180分間熱処理した後の不純物Crの除去率は70%であった。
(参考例3)
強塩基溶液への浸漬処理のみを行い、水素雰囲気で熱処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同じ条件で、SiC単結晶基板のX線顕微鏡観察を行った。不純物Crの除去率は70%であった。
100 溶液法に用いられる結晶製造装置
10 坩堝
12 種結晶保持軸
14 種結晶基板
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管
500 昇華法に用いられる結晶製造装置
50 坩堝
54 種結晶
58 断熱材
60 光路
62 種結晶取り付け台
64 SiC原料粉末

Claims (1)

  1. 不純物としてCrを含むSiC単結晶基板を、
    水素雰囲気下で1600〜1750℃で熱処理すること、及び
    前記Crを溶解することができる強塩基溶液に浸漬すること、
    を含む、
    SiC単結晶基板の製造方法。
JP2017091705A 2017-05-02 2017-05-02 SiC単結晶基板の製造方法 Pending JP2018188330A (ja)

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