JP2009245892A - 水素流路及び水素流路を備える燃料電池 - Google Patents

水素流路及び水素流路を備える燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池に要求される高出力化・安定化に対応するためには、電解質膜の湿潤状態をより一層均一化する。
【解決手段】燃料電池100のアノードセパレータ120に設けられる水素流路121をセパレータ120の対向する辺に沿って設けられる導入部123及び排出部25と、該導入部123と排出部25との間に設けられる分散部128とし、かつ分散部128に平行な流路126、127を形成して、隣あうその平行流路126、127において水素ガスを逆方向に流す。平行流路は導入部123及び排出部25に開口した第1の流路126と排出部25のみに開口した第2の流路127とが交互に配置されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料電池のアノードセパレータの水素流路の改良に関する。
PEM型の燃料電池本体は、燃料極と空気極との間に高分子固体電解質膜が挟持された構成である。燃料極及び空気極はともに触媒物質を含む触媒層と、前記触媒層を支持すると共に反応ガスを供給しさらに集電体としての機能を有する拡散層からなる。燃料極と空気極の更に外側には、反応ガスを外部より電極内に均一に供給するとともに、余剰ガスを外部に排出するためのガス流路を設けたセパレータ(コネクタ板)が積層される。このセパレータはガスの透過を防止するとともに発生した電流を外部へ取り出すための集電を行う。
上記燃料電池本体とセパレータとで単位構造の燃料電池(以下、「単セル」ということがある)が構成される。実際の燃料電池システムでは、かかる単セルの多数個が直列に積層されてスタックが構成される。このような構成の燃料電池の起電力は、燃料極側(アノード)に燃料ガスとして水素ガスが供給され、空気極側に酸化ガスとして空気が供給された結果、電気化学反応の進行に伴い電子が発生し、この電子を外部回路に取り出すことにより、発生される。即ち、燃料極(アノード)にて得られる水素イオンがプロトン(H+)の形態で、水分を含んだ電解質膜中を空気極(カソード)側に移動し、また燃料極(アノード)にて得られた電子が外部負荷を通って空気極(カソード)側に移動して酸化ガス(空気を含む)中の酸素とプロトンが反応して発電し、反応生成物として水を排出する。
発電効率を向上させる見地から燃料電池システムの補機を省略することが検討されている。補機の代表例として電解質膜の湿潤状態を維持するための加湿器がある。この加湿器を省略すると、反応ガス(導入空気及び水素ガス)が乾燥しているため、反応ガスの導入側で電解質膜が乾燥傾向にある。流路を流通するに従って反応ガスは発電反応に伴う生成水により加湿されるので、反応ガス流路の排出側では反応ガスは導入口側より水蒸気リッチな状態となる。そのため、電解質膜から水分が蒸発し難くなり、電解質膜は湿潤傾向となる。
そこで、空気と水素ガスを反対方向に流通させることが提案されている。
図1(A)にかかる従来例の燃料電池1の構成を示す。この燃料電池1は燃料電池本体2をアノードセパレータ20とカソードセパレータ30とで挟持した構成である。
燃料電池本体2は固体高分子電解質膜3をアノード側電極4とカソード側電極5とで挟持した構成である。各電極4、5は触媒層6,7及び拡散層8,9を備える。
このように構成された燃料電池本体2はアノードセパレータ20及びカソードセパレータ30で挟持される。図中の符号10はシール材である。
この燃料電池1のアノードセパレータ20は、図1(B)に示す水素流路21を備える。この水素流路21はアノードセパレータ20へ溝を彫ることにより形成される。水素流路21は、水素導入口22に連通した導入部23と水素排出口24に連通した排出部25とを備える。水素導入口22は図示しない水素ボンベへ管路連結されている。水素排出口24は開閉弁などを介して管路大気へ連通される。導入部23と排出部25とはアノードセパレータ20の対向する上辺及び下辺にそって形成されている。
導入部23と排出部25との間には複数の流路が平行に形成されている(平行流路26)。各平行流路26には、図中矢印で示すとおり、導入部23から排出部25方向へ水素ガスが流される。この平行流路26により水素流路の分散部27が形成される。
この燃料電池1のカソードセパレータ20は、図1(C)に示す空気流路31を備える。この空気流路31はカソードセパレータ30へ溝を彫ることにより形成される。空気流路流路31は、空気導入口32に連結した導入部33と空気排出口34に連結した排出部35とを備える。空気導入口32は図示しないブロアへ管路連結されている。空気排出口34は開閉弁などを介して管路大気へ連通される。導入部33と排出部35とはカソードセパレータ30の対向する下辺及び上辺にそって形成されている。
導入部33と排出部35との間には複数の流路が平行に形成されている(平行流36)。各平行流路36には、図中矢印で示すとおり、導入部33から排出部35方向へ空気が流される。この空気の流れ方向は、アノードセパレータ23の平行流路26における水素流れ方向と逆方向である。
このように構成された燃料電池によれば、空気と水素ガスとが反対方向に流通するので、各反応ガスの導入部(乾燥傾向にある)が他方の反応ガスの排出部(湿潤傾向にある)と対向するので、電解質膜3を介して水分の均等化が図られる。
なお、本件に関連する文献として特許文献1を参照されたい。
特開2004−335147号公報
昨今、燃料電池に要求される高出力化・安定化に対応するためには、電解質膜の湿潤状態をより一層均一化することが必要である。
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。即ち、この発明の第1の局面は次のように規定される。即ち。
燃料電池のアノードセパレータに設けられる水素流路であって、前記セパレータの対向する辺に沿って設けられる導入部及び排出部と、該導入部と排出部との間に設けられる分散部とを備える水素流路において、
前記分散部は平行な流路を備え、隣あう前記平行流路において水素ガスが逆方向に流れる、ことを特徴とする水素流路。
このように規定される第1の局面の水素流路によれば、分散部において隣り合う平行流路の水素ガスの流れ方向が逆となっているので、導入部から排出部側への流れにおいては、アノードに供給された水素ガスがそのまま流されるので、比較的乾いた水素ガスが流れる。これに対し、分散部から導入部側への流れにおいては、前提として水素ガスが一旦導入部から分散部側まで流れているのでその間に加湿され、もって比較的加湿された水素ガス流となる。これにより、一対の平行流路をみれば水分状態が平均化される。よって、電解質膜の湿潤状態がより均一化され、燃料電池の出力が安定する。
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定の水素流路において、前記平行流路は前記導入部及び前記排出部に開口した第1の流路と前記排出部のみに開口した第2の流路とが交互に配置されている。
このように規定される第2の局面の水素流路は、水素加圧デッドエンド型の燃料電池に好適に用いられる。当該水素加圧デッドエンド型では、水素排出口を閉塞状態としてかつ水素流路を加圧状態とし、水素が消費されるに応じて水素流路内を水素ガスが流れる。
第2の局面で規定するように、隣あう一方の平行流路(第1の流路)を導入部と排出部に開口し、他方の平行流路(第2の流路)は排出部のみに開口して導入部には開口させない。従って、第1の流路では導入部側から排出部側へと向かう水素ガス流れが生じ、他方第2の流路においては排出部側から導入部側へと向かう水素ガス流れが生じる。即ち、隣り合う平行流路において逆方向の水素ガス流れが生じ、その結果、一対の平行流路をみれば水分状態が平均化される。よって、電解質膜においてもその湿潤状態がより均一化され、燃料電池の出力が安定する。
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第1又は第2の局面で規定の水素流路において、前記導入部は前記アノードセパレータの一辺に沿ってU字形に形成されており、
前記燃料電池のカソード側では、前記導入部に対向する部分が空気流れの最下流である。
このように規定される水素流路によれば、水素導入部の流路が長くなるので、乾燥状態の水素ガスがより長く燃料電池本体等に触れて加湿される。ここに、水素導入部に対向するカソード側の部分は空気流れの最下流とされているため、その部分の燃料電池本体は高い湿潤状態となる。従って、長い導入部を流通する際に水素ガスが燃料電池本体の水分で加湿される。
ここに、水素ガスをより効率よく加湿するためには、この発明の第4の局面で規定するように、導入部に直接燃料電池の電解質膜を表出させ、該導入部に対向するカソード側においても空気流路に電解質膜を表出させることが好ましい。即ち、導入部に対向する部分において、燃料電池本体は電極構造を備えず、電解質膜を直接カソードセパレータ及びアノードセパレータに表出させることが好ましい。カソード側からアノード側への水分移動の抵抗が減少し、水素ガスをより効率よく加湿できるとともに、乾燥部位に電極構造を備えないことで発電効率を高めることができる。
本発明の一実施の形態の燃料電池100を図2に基づいて説明する。なお、図2において、図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
アノードセパレータ120において、その水素流路121は導入部123、排出部25及び両者の間に形成される分散部128(平行流路126、127)を備えてなる。
導入部123はアノードセパレータの一辺に沿ってU字形に形成される。即ち、水素ガス導入口22に連通した上側流路124とこの上側流路124から折り返されてかつ上側流路124と平行な下側流路125とを備えている。
図2(A)から明らかなとおり、燃料電池本体2においてこの導入部123に対向する部分には反応層及び拡散層はない。従って、導入部123とカソードセパレータ30の空気排出部35及びその他の空気流路下流部分との間には電解質膜2のみ介在している。これにより、空気流路下流部分の水分がより効率よくアノード側へ浸透し、導入部123を流れる水素ガスを加湿する。
導入部123における流路の折り返しを3段以上とすることができる。この場合においても、U字状部分が含まれている。
導入部123と排出部25との間にはそれぞれに連通するように第1の流路126が形成されている。第1の流路126の排出側端部から第2の流路127が枝分かれして導入部123側へ伸びている。この第1の流路126と第2の流路127とは平行である。第2の流路127の先端部は閉じており、導入部123に連通していない。
第1の流路126と第2の流路127とは同じ径に形成され、導入部123及び排出部25に対して垂直である。
水素ガス排出口24を閉じた状態で、即ちデッドエンド状態で加圧した水素ガスをこの水素流路へ供給すると、図2(B)に矢印で示した水素ガス流が生じる。矢印の長さは水素ガス流の流速を示している。第1の流路126と第2の流路127とは同じ径で形成されているため、水素ガス流の速さは逓減している。
このような第1の流路126において導入部123に開口する部分では、導入部123による加湿効果があるものの、水素ガスは比較的乾燥傾向にある。他方、第2の流路127において末端部分(導入部123に近い部分)は比較的湿潤状態となる。これは、第1の流路126から流入した水素ガスが第2の流路127の末端部分まで到達するのに長い時間(長い距離)に渡り燃料電池本体2に接触したためである。
これにより、第1の流路126と第2の流路127で構成される水素流路の分散部128では、当該流路に対向する燃料電池本体において水分の分布がより均一化される。
図3〜図5において、実施例で使用するアノードセパレータ120、燃料電池本体2及びカソードセパレータ30の各平面図、正面図、下面図及び断面図を示した。
図6は燃料電池(単セル)100の分解図であり、図7は当該単セル100のスタック状態を示す。図8は燃料電池装置200の斜視図である。図8に示すように、単セル100のスタックの両端には集電板130が取り付けられる。集電板130の側面から集電端子131が立設されている。集電板130には絶縁板133及び終端板135が順次積層されている。
図9は、図8に示した燃料電池装置200を組み込んだ燃料電池システム300を示す。
この燃料電池システム300は、水素ガス供給系310、空気供給系330及び冷却系350を備えてなる。
水素ガス供給系310では、水素タンク311の水素ガス圧がレギュレータ313で調圧され、水素導入弁315を介して燃料電池装置200の水素供給口140へ供給される。水素供給口140へ供給された水素ガスは単セル100の水素流路121へ供給される。パージ弁319を所定のタイミングで開閉することにより、燃料電池装置200から水素ガスが排出される。この水素排出ガスを排気空気へ混合させて強制的に水素濃度の低下を図ることが好ましい。
空気供給系330は空気導入ファン331により、常圧で空気を空気流路へ送風している。
冷却系350は冷却水ポンプ351とラジエータ353を備え、カソードセパレータ30に形成されている冷却水路38へ冷却水を循環させている。
このように構成された実施例の燃料電池100によれば、導入部123がU字形に形成されてその流路が長くされ、かつ導入部123に直接表出する電解質膜3はカソード側において湿潤傾向にあるので、導入部を流れる水素ガスが効率的に加湿される。
また、図2において燃料電池本体2の中央部分に対向する分散部128においても、第1の流路126と第2の流路127とがU字形に配置され、平行に配置された第1の流路126と第2の流路127とを流れる水素ガスの流れが逆向きとなる。このような第1の流路126において導入部123に開口する部分では、導入部123による加湿効果があるものの、水素ガスは比較的乾燥傾向にある。他方、第2の流路127において末端部分(導入部123に近い部分)は比較的湿潤状態となる。これは、第1の流路126から流入した水素ガスが第2の流路127の末端部分まで到達するのに長い時間(長い距離)に渡り燃料電池本体2に接触したためである。
これにより、第1の流路126と第2の流路127で構成される水素流路の分散部128では、当該流路に対向する燃料電池本体2において水分の分布がより均一化される。
本発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。
従来例の燃料電池の構成を説明する図である。 この発明の実施例の燃料電池の構成を説明する図である。 実施例のアノードセパレータの構成を示す。 同じく燃料電池本体の構成を示す。 同じくカソードセパレータの構成を示す。 単位構造の燃料電池(単セル)の分解図である。 単セルのスタック状態を示す。 燃料電池装置の斜視図である。 燃料電池装置を備えた燃料電池システムの概略構成図である。
符号の説明
1、100 燃料電池(単セル)、 2 燃料電池本体、 3 電解質膜、 4 アノード電極、 5 カソード電極、 20、120 アノードセパレータ、 21、121 水素流路 23、123 導入部、 25 排出部、 27、128 分散部、 30 カソードセパレータ

Claims (4)

  1. 燃料電池のアノードセパレータに設けられる水素流路であって、前記セパレータの対向する辺に沿って設けられる導入部及び排出部と、該導入部と排出部との間に設けられる分散部とを備える水素流路において、
    前記分散部は平行な流路を備え、隣あう前記平行流路において水素ガスが逆方向に流れる、ことを特徴とする水素流路。
  2. 前記平行流路は前記導入部及び前記排出部に開口した第1の流路と前記排出部のみに開口した第2の流路とが交互に配置されている、ことを特徴とする水素流路。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の水素流路の導入部は、前記アノードセパレータの一辺に沿ってU字形に形成されており、かつ膜電極接合体を挟んで積層されたカソードセパレータに設けられる酸素流路は、前記U字形の導入部と対向する部分に、空気流れの最下流が配置されている、ことを特徴とする燃料電池。
  4. 前記導入部に電解質膜が表出しており、該導入部に対向するカソード側においては空気流路に前記電解質膜が表出している、ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池。
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