JP2009245739A - 電極材料の製造方法、および蓄電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】正極活物質に関わる電池特性の再現性の向上を図る。
【解決手段】本発明では、正極活物質に使用できる五酸化バナジウムの層状結晶性物質の製造に際し、硫黄含有有機導電性ポリマーを原料として用いない。そのため、層状結晶性物質への不確定な硫黄含有有機導電性ポリマーの結びつきを完全に排除した。また、硫化リチウム、水酸化リチウム等の複数のリチウム化合物を用いて、バナジウム化合物との懸濁液の液性を調整した。かかる調整により、バナジウムイオンの5価の価数を所望割合に制御した。結果、再現性のある活物質の製造が行えた。かかる活物質を用いたリチウムイオン二次電池の初回放電エネルギー密度の向上が図れた。
【選択図】図9

Description

本発明はバナジウムの層状結晶性物質の技術に関し、特に、蓄電装置としてのリチウムイオン二次電池の正極活物質等に適用して有効な技術である。
リチウムイオン二次電池では、正極に当初からリチウムイオンをインターカーレートした活物質を用いることで、電池特性の向上が試みられている。かかる活物質としては、五酸化バナジウムが有望視されている。かかる五酸化バナジウムは、例えば、特願2006−306018号に記載の如く、正極活物質としては、所定層長の結晶構造が有効であることがわかった。
かかる層状結晶構造を有する五酸化バナジウムは、上記出願に記載の如く、以下のような製造工程を経て製造される。すなわち、バナジウム源には、五酸化バナジウムを用いる。リチウム源としては、硫化リチウムを用いる。また、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を、硫黄含有有機導電性物質として用いる。かかる三つの原料を水で懸濁し、加熱還流する。その後に、ろ過して、ろ液を濃縮する。濃縮後、真空乾燥し、ボールミルで粉砕する。粉砕後、分級することで、層状結晶性物質の粉末が得られる。かかる物質は、正極材料の活物質として有効に使用できた。
上記出願に記載の製造方法では、特に、加熱温度、濃縮温度等に注意が払われた。アモルファス化の進行を調節して、微細結晶粒子の層長を所定範囲に制御していた。
また、特許文献1には、正極活物質に、リチウムイオンの出入りが行い易いγ型LiV2O5を用いることが提案されている。五酸化バナジウムとリチウム塩を焼成することで、γ型のLiV2O5が得られると記載されている。
特開平5−198300号公報
前回の出願で、所定層長の五酸化バナジウムの微細結晶粒子が、リチウムイオンをインターカーレートした正極活物質として有効なことが分かった。また、それを用いた電池での特性も、確かめられた。
かかる五酸化バナジウムの微細結晶粒子を用いて、さらなる電池特性の向上が図れないかと、本発明者は研究を行った。バナジウム金属は、多数の価数をとり得ることが知られている。そこで、リチウムイオンをドープする層状結晶性粒子の形成に有利なバナジウムイオンの価数分布があるのではないかと着想した。適切なバナジウムイオンの価数分布に制御できれば、層状結晶性粒子としての微細結晶粒子を用いた電池特性の向上が図れる筈である。
また、かかる物質のさらなる研究を行うなか、本発明者は、電池特性の再現性の問題にも突き当たった。すなわち、電池特性としては、有効であるものの、その特性の再現性を高める必要があることにも気づいた。すなわち、現状は、有効な範囲で、特性値が高い側と低い側との間で、バラツクのである。試験的に複数の電池の平均として特性を把握している間は、かかる点は顕在化しなかった。しかし、量産体制に入るに際しては、かかる問題は解決すべき極めて重要な問題であることに気がついた。
上記電池特性の再現性のバラツキの問題は、種々の要因が考えられる。その一つの要因として、活物質が上げられる。特に、活物質が層状結晶性物質の場合には、その層状結晶性物質の有り様がバラツクのである。特に、複数の価数をとり得る金属結晶の場合には、金属の価数に応じた結晶が得られ、その影響は大きい。反応等で価数が一つに揃う場合には問題は少ないが、そうでない場合には、複数の価数に応じた結晶が混在する。かかる複数の価数に応じた結晶が混在している物質を電極の活物質に用いると、その特性値はバラツクのである。複数の価数に応じた結晶の混在比率に応じて、特性値が変化するからである。
かかる複数の価数に応じた結晶の混在比率を一定に制御することは、極めて難しい。理論的にはなしうるが、しかし、実験室規模ならまだしも、実際の量産現場では、殆ど不可能に近い。従って、例えば、製造ロット毎に、混在比率が違うこととなり、当然にそれが特性値のバラツキの原因の一つとなることが考えられる。そのため、層状結晶性物質の製品毎に結晶状態のバラツキを所定範囲に収めることが求められる。
かかる結晶の混在比率は、基本的には、結晶の製造方法によるところが大きい。すなわち、製造方法により、その混在比率は異なるのである。少量の場合ならともかく、大量の生産を目指す場合には、同じ製造方法でも、ロットごとに混在比率が異なっているものと思われる。同じ製造方法でも、微妙に製造条件に幅があり、バラツクためである。特に、かかる結晶構造の作成においては、実験等でもよく経験することであるが、微妙な条件の違いが大きな結果の差となって現れるのである。かかる混在比率の違いが、それを活物質に使用した場合の蓄電装置としての特性に影響するのである。すなわち、特性のバラツキの発現につながるのである。
例えば、五酸化バナジウムは層状結晶性物質で、前述の如く、正極活物質として極めて有望である。前回出願で、五酸化バナジウムの層長が、活物質としての役割に大きな影響を与えることを確認した。しかし、その後のさらなる研究で、かかる層長の五酸化バナジウムの層状結晶性状態は、一様ではないことに問題が潜んでいることに気がついた。
最終に製造された物質での確認ではあるが、五酸化バナジウムの層状結晶性粒子の存在比率は、バラツクのである。かかる五酸化バナジウムの層状結晶性粒子が、活物質としての有効性を左右するものであるなら、当然に、かかるバラツキは、特性のバラツキにつながる筈である。
そこで、本発明者は、五酸化バナジウムの製造工程の見直しが必要と考えた。一連の製造方法は、単一操作が複数組み合わされたものからなる。特性のバラツキの解消には、その単一操作の工程において、最終の層状結晶性物質の有り様に影響を与える何らかの制御が必要と考えた。
また、バラツキという問題は、五酸化バナジウムの層状結晶性粒子へのリチウムイオンの挿脱が、時として円滑に行えなくなっても起こる問題である。挿脱が円滑に進む場合と、進まない場合とが、層状結晶性物質の一部で発生する等の場合が考えられる。かかる状態は、五酸化バナジウムの層状結晶性粒子自体の構造的な問題と、他の物質の関与とが考えられる。
得られた層状結晶性粒子を、詳細に観察した。すると、硫黄含有有機導電性ポリマーのEDOTが、一部の層状結晶性粒子に結びついていることが確認された。かかる結びつきは、層状結晶性粒子の端面で行われていることも確認された。層状結晶性粒子の端面は、リチウムイオンの挿脱に際しての出入り口となる箇所である。当然に、特性に強く影響する筈である。
また、かかる結びつきは、全てが同じ状態でないことも確認されている。すなわち、結びつき自体に、バラツキがあることが分かった。また、結びつくに際しても、全ての層状結晶性粒子ではないため、ここでもバラツキが発生するのである。
このような硫黄含有有機導電性ポリマーのEDOTの層状結晶性粒子への結びつきの制御は、基本的に難しい。元々は、EDOT等の混入は、五酸化バナジウムの層状結晶性粒子の構造制御として加えられたものである。しかし、その混在が何らかの悪影響を及ぼす可能性もなかったわけではない。ただ、特性を大づかみで把握する試験段階では、その影響は、あまり顕著ではなかった。
しかし、特性の再現性という問題になって、初めて顕在化したのである。そこで、再現性の一つの問題としては、EDOTの影響をどのようにして排除するかが一つの課題となった。
このように、層状結晶性物質と一言でいっても、微視的には、微細な層状結晶性粒子の集合体である。かかる集合体では、厳密には、一つ一つの層状結晶性粒子は、全く同じ態様とは言い難いのである。それぞれが、それぞれの態様で存在しているのである。量産体制を考慮するなか、電池の特性のバラツキに思いが至り、さらには層状結晶性物質の構成粒子のバラツキに考えが及んだのである。かかる問題は、提供する電池の品質に係わる重要な問題である。
さらに、併せて考えなければならない問題がある。すなわち、再現性の尺度である。勿論、理屈では、例えば、製造ロットごとに、最終の層状結晶性物質の状態を比較すれば、確認することができる筈である。しかし、現実には、結晶製造に関しては、少なくとも電池特性で適用し得る個々の再現性を調べる基準は、未だ提案されてはいない。すなわち、個々の微細な結晶のどこをどのようにして、その結晶製造の再現性を図るかが規格化されてはいない。かかる再現性の尺度を提案することも、重要な問題の一つである。
さらに、重要な問題は、再現性が確保されても、低い電池特性では好ましくない。高い電池特性を発揮する状態での再現性の確保が求められるのである。
本発明の目的は、正極活物質に関わる電池特性の向上を図ることにある。
本発明の目的は、正極活物質に関わる電池特性の再現性の向上を図ることにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
すなわち、本発明では、バナジウム化合物と複数のリチウム化合物とを少なくとも含む懸濁液を加熱する。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
本発明では、バナジウム化合物と複数のリチウム化合物とを少なくとも含む懸濁液では、その液性が複数のリチウム化合物により規定される。かかる液性の規定により、懸濁液中におけるバナジウムイオンの価数の分布割合が制御される。また、バナジウムイオンの価数の分布割合が制御された懸濁液を加熱することで、例えば、不活性雰囲気で加熱することで、その価数の分布割合を維持できる。これにより、最終の層状結晶性粒子状態の再現性をより向上させることができる。
すなわち、複数のリチウム化合物により懸濁液の液性を規定して、高い電池特性が得られるバナジウムの価数分布割合を図ることができる。さらに、かかる価数分布割合を維持して加熱することにより、高い電池特性が得られるバナジウムの価数分布割合に見合った層状結晶性粒子状態の再現性を確保することができる。
また、本発明では、硫黄含有有機導電性ポリマーを原料に含まないようにすることもできる。そのために、特性値のバラツキの一因である層状結晶性粒子がEDOTと結びついた状態を排除し、且つ高容量化も図ることができる。より高い特性の再現性の向上が図られるのである。
さらには、EDOT等の硫黄含有有機導電性物質を用いないので、かかる物質を用いる場合と比べて、現時点での価格見積もりでは、コストの削減が行える。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、層状結晶性物質に関する技術である。かかる層状結晶性物質は、バナジウムの層状結晶性粒子からなるものである。層状結晶性物質としては、例えば、五酸化バナジウム等を挙げることができる。かかる五酸化バナジウム等の層状結晶性物質は、リチウムイオン等を予めインターカーレットできる物質である。そのために、例えば、リチウムイオン二次電池等の正極活物質に使用できる。
特に、本発明では、硫黄含有有機導電性ポリマーを原料として用いない。例えば、EDOTを原料として用いない。そのため、例えば、EDOTに由来する五酸化バナジウムの層状結晶構造との結び付きを完全に排除することができる。これにより、五酸化バナジウムの層状結晶性粒子の重合をなくし、再現性を向上させられる。すなわち、五酸化バナジウムの層状結晶性粒子に、EDOTが結びついたり、つかなかったり等の不確定要素を排除することができる。このように、EDOTの結びつきのない層状結晶性粒子だけにして、その高容量化と、再現性を向上させることができる。
本発明では、バナジウム化合物に対して、複数のリチウム源を用いている。例えば、第一のリチウム化合物として酸化還元性リチウム塩と、第二のリチウム化合物として非酸化還元性リチウム塩とを用いている。酸化還元性リチウム塩とは、酸化還元性を有し、なおかつ自身が還元剤として働くものをいう。非酸化還元性リチウム塩とは、酸化還元性を有しないものをいう。
かかるバナジウム化合物と、酸化還元性の第一のリチウム化合物と、非酸化還元性の第二のリチウム化合物とを、水溶性溶媒に懸濁させることで、その液性が規定される筈である。液性としては、例えば、pHをあげることができる。
一方、pHはバナジウムの水溶液中の縮合形態に関与することが知られている。一般にバナジウムは水溶液中でオキソクラスターとなって、pHに応じて種々の縮合形態をとる。そこで、本発明者は、例えば、懸濁液の液性(液物性)をpHで規定することで、バナジウムイオンの価数分布の制御を行うことができるのではないかとの発想を得た。
そこで、酸化還元性リチウム塩としての第一のリチウム化合物、非酸化還元性リチウム塩としての第二のリチウム化合物のそれぞれの水を含めた水溶性溶媒に溶かした場合のpHを、予め求めておく。これにより、両者を組み合わせて、バナジウム化合物と溶解した懸濁液のpHが分かる筈である。かかるpHは、pHメータ、より簡単には、リトマス試験紙等で確認することができる。
尚、上記酸化還元性リチウム塩、非酸化還元性リチウム塩の判定は、上記とは別の手段で測定、判断した結果に基づいていても構わない。すなわち、pH測定値、あるいはリトマス試験紙の示す判断基準に置き換えることができる場合には、上記酸化還元性リチウム塩、非酸化還元性リチウム塩の判断ができる。
因みに、酸化還元性リチウムとは、水に溶解した場合、相手方元素を酸化する酸化剤あるいは還元剤として振舞う場合と定義する。非酸化還元性リチウムとは水に溶解した場合の液性に酸化・還元性能を持たない場合と定義する。かかる液の酸化還元性は一般にイオン化傾向や酸化還元電位などで判断することが出来る。イオン化傾向または酸化還元電位差が大きい場合に酸化還元反応は進行する。本発明の場合、Li2Sが水に溶解して生成した硫化水素などが還元剤として働き、5価のバナジウムを還元する役割を持つ。
本発明では、上記第一のリチウム化合物である酸化還元性リチウム塩と、第二のリチウム化合物である非酸化還元性リチウム塩とを、所定割合で混合して用いる。これにより、バナジウム化合物と複数のリチウム化合物を水溶性溶媒に懸濁した場合の液性を制御する。すなわち、バナジウム化合物が溶解している溶媒の液性を規定する。
例えば、バナジウム化合物と複数のリチウム化合物とを、水溶性溶媒に懸濁して、その液性を規定する。規定する液性は、例えば、pH等で規定することができる。すなわち、その懸濁液のバナジウムが溶解している液中のpHで確認することができる。
また、本発明の製造方法では、原料を懸濁した後に加熱している。しかし、本発明の製造方法では、加熱溶解後、さらに加熱を続けてもバナジウムの価数分布がほぼ維持されている。これは、後記するが、加熱を不活性雰囲気下で行っていることが理由と推測される。
このようにバナジウム化合物が溶解している液の液性を制御することにより、バナジウム化合物を水溶性溶媒に溶かした状態での価数制御が行える。例えば、価数が5価のバナジウムイオンを、価数4以下のバナジウムイオンより多くすることができる。
例えば、バナジウム化合物として五酸化バナジウムを、酸化還元性リチウム源として硫化リチウムを、非酸化還元性リチウム源として水酸化リチウムを、それぞれ用いた場合を考える。かかる場合には、図1に示すように、水酸化リチウムの割合がモル比で25%の場合には、液性のpHは6.37となる。価数5価のバナジウムイオンの量は、モル比で62.7%となる。
尚、図1は、水酸化リチウムと硫化リチウムの比率によるpHと5価のバナジウムイオン量の推移を示している。図1からは、明瞭に、加熱後の懸濁液のろ液のpHで、5価のバナジウムイオンの割合が変動する様子が分かる。かかる図1に示す傾向から、懸濁液のpHを適宜に調整することで、液中の5価のバナジウムイオンの割合を、4価以下のバナジウムイオンより多くできることが分かる。すなわち、価数の分布割合を、モル比(モル%)で制御することができる。
例えば、硫化リチウムに対して水酸化リチウムが、10%の割合で混合した場合には、pHは7.06、5価バナジウムイオンの量は57.5モル%であった。水酸化リチウムが50%の比率の場合には、pHは6.2であり、5価のバナジウムイオンの量は78.4モル%であった。また、水酸化リチウムが75%の場合には、pHは5.72であり、5価のバナジウムイオンの量は89.4モル%であった。
このように、懸濁液、例えば加熱後の懸濁液のろ液のpHが、所定の値になるように、複数のリチウム化合物を水溶性溶媒に溶かすことで、ろ液中のバナジウムイオンの価数制御が行えるのである。
上記バナジウム化合物とは、例えば、上記五酸化バナジウム(V2O5)の他に、VO2、VO0.9、V6O13、V4O9、V7O3、V2O3等のバナジウム酸化物が使用できる。
上記酸化還元性リチウム化合物としては、例えば、上記硫化リチウムがある。また、これら酸化還元性リチウムは、単独で使用してもいいし、混合して使用しても構わない。特に、硫黄の還元性が必要となる場合には、硫化リチウムを混合して使用すればよい。
上記非酸化還元性リチウム化合物としては、例えば、上記の水酸化リチウムの他に、酢酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、アジ化リチウム、セレン化リチウム、テルル化リチウム等がある。かかる非酸化還元性リチウム化合物も、単独で、あるいは複数組み合わせて使用しても構わない。
前記バナジウム化合物を溶かすには、水等の水溶性溶媒が使用できる。水溶性溶媒には、本明細書では、水も含めて考えることとする。使用可能であれば、水とアルコール等の混合溶媒も用いられる。さらには、アルコール等の水との親和性の良好な有機溶媒等を単独でも使用できる。しかし、非水溶媒は使用できない。
尚、本発明では、上記の如く、バナジウム化合物を混ぜた懸濁液の液性を、酸化還元性リチウム源と非酸化還元性リチウム源との混合物で調整している。しかし、酸、アルカリを単独で使用しての液性調整は、本発明者が試験した範囲では良好な結果が得られなかった。例えば、添加元素によるコンタミ等の不都合が発生する。さらには、原料の懸濁後、加熱するために、加熱時のガス発生が起きる等して好ましくない。
上記のように、バナジウム化合物と複数のリチウム化合物を水溶性溶媒に懸濁し、その溶液のpHを調整することで、バナジウムイオンの価数分布の割合の制御を行う。懸濁後、その懸濁液を加熱する。かかる加熱は、本発明では、不活性雰囲気下で行う。従来の如く、加熱時の雰囲気を空気中で行っていては、好ましくないことを本発明者は今回見いだした。空気雰囲気では、加熱する懸濁液中のバナジウムイオンの価数分布が大きく変動することを本発明者は見出した。
図2には、加熱雰囲気の影響を示した。横軸に放置時間、縦軸に5価と4価のバナジウムイオンの比率をモル比(モル%)表示で示した。図中、実線で示すものが、5価のバナジウムイオンの比率である。破線で示すものが、4価のバナジウムイオンの比率である。5価と4価とのバナジウムイオンの比率は、互いに補う関係にあり、両者合わせて約100モル%となる。例えば、一方が30モル%のときは、他方が70モル%という具合である。
図2の場合には、加熱還流させた状態を何時間放置したかで、その放置時間の影響をみている。因みに、加熱放置時の温度は室温である。図から分かるように、当初は、5価のバナジウムイオンが約70モル%弱、例えば68モル%である。4価のバナジウムイオンは、約30モル%強、例えば32モル%である。かかる5価と4価のバナジウムイオンの分布比率が、空気雰囲気では、加熱還流の放置時間につれて変化していることが分かる。例えば、50時間放置した場合には、5価のバナジウムイオンの量は、例えば78モル%に上昇している。また、4価のバナジウムイオンの量は、例えば28モル%に低減している。かかる増減、低減の傾向は、図2に示すように、ほぼ直接的に推移することが今回確認された。
本発明で採用されている加熱時間は24時間であるが、その近傍25時間では、当初68モル%のバナジウムイオンの比率が約72モル%に上昇している。4価のバナジウムイオンの分布比率も相補的に約28モル%に低減している。かかる分布比率の変化率は、5価のバナジウムイオンでは、約6%弱(≒4/68)変化している。また、4価のバナジウムイオンでは、実に約13%弱(≒4/32)も変化することが確認された。
そこで、従来の空気雰囲気下では、24時間程度の加熱還流でも、大きなバナジウムイオンの価数変動が起きている。本発明者は、何らかの対策が必要と考えた。そこで、Arガス雰囲気下で、加熱還流を同じ条件で行った。その結果は、図2の中央のほぼ並行な直線で見られる。すなわち、5価のバナジウムイオンと、4価のバナジウムイオンとの価数分布の割合が、Arガス雰囲気下では、当初割合と余り変化しないことが確認された。
例えば、25時間放置の場合には、5価のバナジウムイオンの比率は当初の約68モル%から約66モル%に、すなわち約3%弱の変化に押さえられていることが分かる。また、4価のバナジウムイオンの量も、当初の約32モル%が約34モル%に、すなわち約6%の変化率に低減していることが確認された。本発明者の実験では、かかる傾向は、例えば、他のHe等の希ガスでも同じ傾向を示すことが確認された。また、窒素雰囲気でも、同様の傾向を示すことが確認された。
尚、窒素の場合には、極微量がバナジウムと反応するとの説もある。しかし、上記のような加熱還流での少なくとも25時間程度では、少なくともその影響は見られなく、Arの場合と同様の結果が確認されている。
以上の説明の如く、本発明では、原料として、EDOT等の硫黄含有有機導電性ポリマーを使用しないことを特徴とする。また、複数のリチウムイオン源をバナジウム化合物と共に溶解することを特徴とする。さらには、かかる化合物を溶解した懸濁液を不活性雰囲気下で加熱することを特徴とする。これらの特徴を合わせることで、目的とする五酸化バナジウムの層状結晶性粒子を高容量化し、併せてこれを再現性よく作成する有利な方法を見出したものである。
すなわち、本発明は、硫黄含有有機導電性ポリマーの不使用、複数のリチウム源の使用、その後の不活性雰囲気下での加熱が合わさったものとして把握することができる。
かかる層状結晶性物質の製造に際しての再現性の向上は、確かに、手法としては上記の如く得られた。本発明者は、層状結晶性物質の再現性に関しては、初回放電エネルギーで判断できると着想した。他にも、例えば、サイクル特性等でも判断できる可能性はある。しかし、サイクル特性の場合には、例えば、層間でのリチウムイオンの挿脱を繰り返すことによる層状結晶性粒子の崩壊現象が影響する。そこで、厳密な意味での再現性の判断はできないと考えた。
初回放電エネルギーであれば、当然に当該活物質を用いて電極形成したときの初期状態でのエネルギーであるので、直接的に活物質の初期状態に関係している。すなわち、再現性に関係していると推測される。そこで、本発明では、初回放電エネルギーで、活物質に使用できる層状結晶性物質である五酸化バナジウムの再現性を評価した。また、再現性の確認を、初回放電エネルギーで評価することを初めて提案するものである。
かかる本発明に係る電極材料の製造方法を、図3、4、5のフロー図に沿って説明する。すなわち、本発明では、図3のステップS100で、バナジウム原料としてバナジウム化合物を用意する。併せて、ステップS200で、複数のリチウム原料として複数のリチウム化合物を用意する。
ステップS100で用意するバナジウム化合物は、図4のステップS110に示すように、バナジウム酸化物を用意すればよい。かかるバナジウム酸化物としては、例えば、図5のステップS120に示すように、五酸化バナジウムを用意する。
また、ステップS200で用意する複数のリチウム化合物としては、例えば、図4のステップS210、S220に示すように、酸化還元性リチウムと、非酸化還元性リチウムとを用意すればよい。かかる酸化還元性リチウムとしては、例えば、図5のステップS211に示すように、硫化リチウムを用意すればよい。非酸化還元性リチウムとしては、図5のステップS221に示すように、水酸化リチウムを用意すればよい。
ステップS300で、かかるバナジウム化合物と複数のリチウム化合物とを溶解する。溶解に際しては、例えば、図4のステップS310に示すように、水溶性溶媒に懸濁させればよい。かかる水溶性溶媒には、例えば、図5のステップS320に示すように、水を使用することができる。
このようにして、バナジウム化合物と複数のリチウム化合物を、水溶性溶媒に懸濁、溶解させた後に、ステップS400で懸濁液を加熱する。加熱に際しては、例えば、図4のステップS410に示すように、加熱還流すればよい。すなわち、例えば、図5のステップS420のように、不活性雰囲気下で加熱還流すればよい。かかる不活性雰囲気とは、加熱時のこれまでの空気雰囲気を、窒素雰囲気、あるいはAr等の希ガス雰囲気にすればよい。加熱に際しては、例えば、所定温度で所定時間放置すればよい。例えば、75℃で24時間等の例を挙げることができる。
その後、図3のステップS500に示すように、加熱して懸濁液を乾燥させる。例えば、図4に示すように、ステップS510で懸濁液をろ過し、そのろ液をステップS511で乾燥させればよい。かかる乾燥は、例えば、図5のステップS520でろ過したろ液を、ステップS521で噴霧乾燥すればよい。勿論、濃縮乾燥でも構わないが、しかし、濃縮時の熱のかけ方でその後の結晶状態が変化する。そのため、その熱履歴のかけ方が難しくなる。好ましくは、噴霧乾燥の方がよい。噴霧状態での乾燥により、濃縮に伴うバナジウムの構造変動を抑制することができる。
このようにして得られた物質を、図3、4、5のそれぞれのステップS600に示すように、粉砕して、分級すればよい。粉砕には、例えば、ボールミル等を用いる。分級は、例えば、50μm上限カット粒径に分級する。
因みに、従来の五酸化バナジウムの層状結晶性物質の製造方法を、図6に示した。すなわち、ステップS10でバナジウム化合物として五酸化バナジウムを用意する。ステップS21でリチウム化合物として、硫化リチウムを用意する。さらに、併せて、ステップS22で、硫黄含有有機導電性ポリマーとして、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を用意する。
その後、ステップS30で、これらEDOTを含めた3種の原料を、水に懸濁する。かかるステップS30では、懸濁液のpH等の液性を調整することは行わない。少なくとも、意識的に、懸濁液の液性を調整することは行われていなかった。
本発明の製造方法では、前記図3、4、5に示すように、EDOT等の硫黄含有有機導電性ポリマーは、原料として使用しない。そのため、EDOTに由来する微細結晶構造での重合による粗大結晶化を完全に防ぐことができる。
また、本発明では、従来の製造方法とは異なり、懸濁液の液性を調整することで、バナジウムイオンの価数の割合の制御を行っている。すなわち、懸濁液のろ液の価数の制御を行っている。
従来の製造方法では、ステップS40で、懸濁液を加熱還流する。例えば、75℃で、24時間加熱還流していた。かかる加熱時には、加熱雰囲気を空気雰囲気としていた。空気雰囲気で加熱することで、特段、悪影響が得られることについては、見識がなかったのである。
しかし、本発明の製造方法では、従来法とは異なり、図5のステップS420に示す如く、窒素、Ar等を用いた不活性雰囲気下で加熱還流している。かかる手法を採用することで、前記の如く、複数のリチウム化合物での液性調整に基づき制御した懸濁中のバナジウムイオンの価数割合を崩さずに加熱することができる。
前記ろ液の濃縮工程は液体中の化合物が固体化すればどの製法についても適用できる。従来の製造方法では、ろ液を加熱還流した後、その懸濁液をステップS51でろ過し、ろ液をステップS52で濃縮し、ステップS53で乾燥した。かかるステップS52の濃縮は、減圧濃縮を行っていた。減圧下で濃縮することにより、加熱を抑制し、さらに時間短縮が図れるからである。その後、ステップS60に示すように、粉砕、分級をして、五酸化バナジウムの層状結晶性物質の製造を終了としていた。
しかし、減圧濃縮では、粉砕、分級処理が必要となって工程数が多くなる。そこで本発明では、図5のステップS521に示すように、乾燥に際しては、噴霧乾燥を敢えて推奨した。ステップS600で、その後に粉砕、分級すればよい。尤も、かかる噴霧乾燥を採用することにより、その後のS600による工程の粉砕、分級工程を不要とすることもできる。粉砕、分級工程のない効率的な製造も可能となる。従来は、かかる乾燥には、噴霧乾燥は採用していなかった。これは、噴霧乾燥を積極的に採用するだけの根拠が見出せなかったためである。
噴霧乾燥は、反応溶液をノズルを通じて噴霧し、それを乾燥炉内で乾燥する手法をいう。乾燥条件は100℃以上500℃未満とすることが望ましい。100℃を下回ると乾燥が不十分となって粉体として取り出すことが出来ない。他方500℃を上回ると結晶成長が進行して特性が低下するので好ましくない。
以上のようにして、本発明の製造方法により五酸化バナジウムの層状結晶性物質を再現性よく製造することができる。
次に、上記本発明の製造方法により作成された五酸化バナジウムの層状結晶性物質を、活物質として使用した場合について説明する。すなわち、本発明の製造方法による五酸化バナジウムの層状結晶性物質を、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用した場合について説明する。
かかるリチウムイオン二次電池10は、例えば、図7に示すような構成を有している。すなわち、リチウムイオン二次電池10では、負極11と正極12とが、セパレータ13を介して交互に積層されている。複数積層された積層ユニットは、その最外層側が、負極11に構成されている。すなわち、両負極11で、正極12と負極11がセパレータ13を介して複数積層した構造が間にはさまれて、電極ユニットが構成されている。
また、最外層に配置された負極11には、相対して、リチウム極14が最外層の外側に設けられている。リチウム極14は、例えば、金属リチウム14aが、集電体14b上に所定層厚で設けられて構成されている。集電体14bには、孔が開けられ、多孔体に形成されている。リチウム極14から溶出したリチウムイオンが、負極11にプレドープされるようになっている。
電極ユニットを構成する負極11も、負極用の活物質11aが、集電体11b上に所定層厚に設けられて構成されている。集電体11bは、孔が開けられた多孔体に構成されている。正極12も、正極用の活物質12aが、集電体12b上に所定層厚に設けられている。集電体12bは、孔が開けられた多孔体に形成されている。
かかる構成の電極ユニットが、電解液に浸されて、リチウムイオン二次電池10が構成されている。
上記負極用の活物質、正極用の活物質は、それぞれ、バインダ、導電性助材等と水に混ぜて、スラリーに構成される。かかるスラリーに形成された活物質は、それぞれの集電体上に、例えば、ダイコーター等で所定層厚で塗工される。その後、乾燥されて負極11、正極12としての両電極が製造される。
負極用の活物質としては、例えば、次の様なものが使用できる。すなわち、非水系リチウムイオン二次電池では、リチウムインターカレーション炭素材料等を挙げることができる。例えば、黒鉛、炭素系材料、ポリアセン系物質等を使用することができる。炭素系材料としては、例えば、難黒鉛化炭素材料等が挙げられる。ポリアセン系物質としては、例えば、ポリアセン系骨格を有する不溶不融性基体であるPAS等が挙げられる。かかる負極活物質は、いずれもリチウムイオンを可逆的にドープ可能な物質である。
また、リチウムイオンをドープ、脱ドープ可能な炭素材料等を使用する場合には、リチウム極を別途設けることで、初期充電時にリチウムイオンを、上記リチウム極から負極にプレドープさせる。リチウムイオン供給源としては、金属リチウムあるいはリチウム−アルミニウム合金等が使用できる。すなわち、少なくともリチウム元素を含有し、リチウムイオンを供給することのできる物質であれば使用可能である。
尚、本発明において、ドーピング(ドープ)とは、吸蔵、担持、吸着、挿入等を意味しており、正極活物質や負極活物質に対してリチウムイオンやアニオン等が入る状態を意味している。また、脱ドーピング(脱ドープ)とは、放出、脱離等を意味しており、正極活物質や負極活物質からリチウムイオンやアニオン等が出る状態を意味している。
正極用の活物質としては、本発明の製造方法で製造された五酸化バナジウムの層状結晶性物質が使用されている。例えば、図7に示した非水系のリチウム二次電池の正極用の電極材料として使用される。リチウムイオンは、五酸化バナジウムの金属酸化物に対し、モル比で0.1〜6の割合でドープされることが好ましい。リチウムイオンのドープ量がモル比で0.1未満であると、ドープ効果が充分に発揮されず、他方リチウムイオンのドープ量が6を超えると、金属酸化物が金属にまで還元されてしまうおそれがあるため好ましくない。
リチウムイオン源としては、例えば、前述の如く、複数のリチウム源として挙げられたものを使用することができる。例えば、酸化還元性のリチウム源としては、硫化リチウム等が挙げられる。非酸化還元性のリチウム源としては、水酸化リチウム等を挙げることができる。本発明では、かかるリチウムイオン源としては、上記酸化還元性リチウム源と非酸化還元性リチウム源とを併せて使用することに特徴がある。
上記バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が使用できる。かかるバインダを、好ましくは以下に説明する導電性粒子と共に混合してスラリーを形成する。かかるスラリーを、下記に説明する集電体である導電性基体上に所定層厚で塗布すれば電極の形成が行える。
また、上記導電性助材としては、例えば、次のような導電性粒子を使用できる。すなわち、ケッチェンブラック等の導電性カーボン、銅、鉄、銀、ニッケル、パラジウム、金、白金、インジウム、タングステン等の金属が挙げられる。ただし、電極活物質の酸化還元反応に対して安定な材料が選定される。また、かかる導電性粒子は、例えば、上記金属酸化物の重量の1〜30%の割合で含まれていればよい。
また、リチウム極としては、上述の金属リチウムの代わりに、リチウム合金も使用できる。例えば、Li-Al合金のようなリチウム系金属材料が挙げられる。スズやケイ素のような金属とリチウム金属との金属間化合物材料、窒化リチウムのようなリチウム化合物を挙げることもできる。
また、集電体には、例えば、少なくとも正極、負極の活物質と接する表面において導電性を示す導電性基体が使用される。かかる基体としては、金属、導電性金属酸化物、導電性カーボン等の導電性材料が使用できる。特に、銅、金、アルミニウム、あるいはそれらの合金または導電性カーボンで形成すればよい。また、基体を非導電性材料で形成した場合には、その基体を導電性材料で被覆すれば使用することができる。ただし、電極活物質の酸化還元反応に対して安定な材料が選定される。
前記構成の積層ユニットを浸す電解液には、例えば、次のような非水系溶媒が使用できる。すなわち、非水系溶媒としては、鎖状カーボネート、環状カーボネート、環状エステル、ニトリル化合物、酸無水物、アミド化合物、ホスフェート化合物、アミン化合物等が挙げられる。さらに、非水系溶媒の具体例を挙げると、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、n−メチルピロリジノン、N,N’−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、あるいはプロピレンカーボネートとジメトキシエタンとの混合物、スルホランとテトラヒドロフランとの混合物等である。
また、かかる電解液に溶かす電解質としては、例えば、次のようなものが使用できる。すなわち、電解質としては、CF3SO3Li、C4F9SO8Li、(CF3SO2)2NLi、(CF3SO2)3CLi、LiBF4、LiPF6t、LiClO4等のリチウム塩を使用することができる。かかる電解質を溶解する溶媒は非水系溶媒である。さらには、正極と負極との問に介挿される電解質層としては、上記電解質の非水溶液を含むポリマーゲル(ポリマーゲル電解質)であってもよい。層状結晶性物質の五酸化バナジウム水に溶解すので、上記の如く、非水溶媒を使用することが求められる。
以上の説明では、本発明を硫黄含有有機導電性ポリマーの不使用、複数のリチウム源の使用、その後の不活性雰囲気下での加熱を一連の工程として組み合わせたものと把握している。
しかし、本発明は、別の側面からは、次のように把握することもできる。すなわち、複数のリチウム源でバナジウム化合物の溶解液の液性を制御して、目的のバナジウムイオンの価数の分布比率を制御する発明として捉えることもできる。例えば、上述の如く、5価と4価とのバナジウムイオンの価数制御がそれに当たる。
また、上記本発明は、他の視点からみると、調整された懸濁液中の価数の割合を保持した状態での加熱方法としても捉えることができる。すなわち、上述の不活性雰囲気での加熱還流が例として挙げられる。
さらには、本発明は、上記複数のリチウム源でイオンの価数制御を行うことと、不活性雰囲気での加熱を行うことを合わせた特徴を有するものとしても、捉えることができる。
このようにして捉えた場合は、本発明は、例えば、具体的には、次のように把握することができる。
すなわち、例えば、正極活物質として使用可能な層状結晶における金属の価数制御方法であって、バナジウム化合物と、バナジウム化合物を溶解した場合の液性を規定する複数のリチウム化合物とを少なくとも含む懸濁液を用いることを特徴とする価数制御方法。かかる価数制御方法において、前記液性の規定とは、バナジウム化合物を溶解した場合の懸濁液のpHであることを特徴とする価数制御方法。
上記価数制御方法において、前記複数のリチウム化合物とは、酸化還元性リチウム塩と、非酸化還元性リチウム塩との組合せあることを特徴とする。かかる酸化還元性リチウム塩とは、水に溶解した場合、相手方元素を酸化する酸化剤、あるいは相手方元素を還元する還元剤として振舞う場合と定義する。非酸化還元性リチウム塩とは水に溶解した場合の液性に酸化・還元性能を持たない場合と定義する。
かかる価数制御方法において、前記酸化還元性リチウム化合物とは、硫化リチウムであることを特徴とする価数制御方法。前述の価数制御方法において、前記非酸化還元性リチウム化合物とは、水酸化リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、アジ化リチウムから選ばれる少なくともいずれか一つであることを特徴とする価数制御方法。前述の価数制御方法において、前記酸化還元性リチウム化合物とは、硫化リチウムであり、前記非酸化還元性リチウム化合物とは、水酸化リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、アジ化リチウムから選ばれる少なくともいずれか一つであることを特徴とする価数制御方法。前述の価数制御方法において、前記酸化還元性リチウム化合物は硫化リチウムであり、非酸化還元性リチウム化合物は水酸化リチウムであることを特徴とする価数制御方法。
上記いずれかの価数制御方法において、前記液性は、5価のバナジウムイオンが少なくとも4価以下のバナジウムイオンより多く存在させる液性であることを特徴とする価数制御方法。かかる価数制御方法において、前記液性は、バナジウム原料を溶解した場合のpHが、5.7以上であること特徴とする価数制御方法。かかる価数制御方法において、5価のバナジウムイオンが少なくとも4価以下のバナジウムイオンより多く存在することが、モル比で示されることを特徴とする価数制御方法。
前記価数制御方法において、前記硫化リチウムと前記水酸化リチウムとの混合比は、前記水酸化リチウムが前記硫化リチウムに対して3モル%以上〜97モル%以下であることを特徴とする価数制御方法。
また、本発明は、例えば、正極活物質として使用可能な層状結晶中の価数制御されたバナジウムの価数維持方法であって、バナジウム化合物とリチウム化合物とを含む懸濁液中のバナジウムイオンの価数割合を制御した後に、不活性雰囲気下で加熱することを特徴とする価数維持方法として把握もできる。かかる価数維持方法において、前記バナジウムの価数の制御は、前記バナジウム化合物を溶かす水溶性溶媒に、複数のリチウム化合物を溶かすことで、液性を調整して行うことを特徴とする価数維持方法。
上記いずれかの価数制御方法において、前記不活性雰囲気下で加熱するとは、加熱還流させることであることを特徴とする価数制御方法。かかる価数制御方法において、前記不活性雰囲気には、窒素あるいはHe、Ar等の希ガスを用いることを特徴とする価数維持方法として、発明を捉えることもできる。
[正極の作製]本実施例では、バナジウム源として五酸化バナジウムを400g使用した。複数のリチウム源としては、硫化リチウムと水酸化リチウムとを使用した。本実施例では、硫化リチウムと水酸化リチウムの比率を変化させて試験を行った。例えば、水酸化リチウムの硫化リチウムに対するモル比で、0%(比較例1)、10%(実施例1)、25%(実施例2)、50%(実施例3)、75%(実施例4)、100%(比較例2)で試験を行った。尚、上記モル比も含めて、五酸化バナジウム、硫化リチウム、水酸化リチウムの量的割合は、図8に示した。
かかる五酸化バナジウムと、硫化リチウムと、水酸化リチウムとを、水溶性溶媒としての水10Lに懸濁した。かかる懸濁液を、24時間加熱攪拌還流した。加熱攪拌還流に際しては、不活性雰囲気で行った。すなわち、懸濁液に、400mL/分でAr(アルゴン)を30分間送気し、ガスバブリングを行って空気を置換した。このようにして不活性雰囲気にした後、懸濁液を75℃に加熱した。75℃の状態で加熱還流攪拌を、24時間続けた。24時間経過後、懸濁液を20℃の室温まで冷却させた。室温に冷却後、ろ過し残渣成分を除いた。ろ液を、炉への噴出し部の熱風温度が230℃の条件で噴霧乾燥して黒色の粉体を得た。得られた粉体は中心径(D50)が5μmの粒子分布となることを確認した。このようにして、正極の活物質として使用可能な、五酸化バナジウムの層状結晶性物質を得た。
かかる五酸化バナジウムの層状結晶性物質90重量%を、導電性カーボンブラック5%重量%、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)5%重量%と混合し、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)を用いてスラリーにした。かかるスラリーを、多孔性のAl箔上に、ドクターブレード法によって、片面当たりの合材密度が2g/cmとなるように塗工した。貫通孔を有する銅製集電体の両面または片面に均一に塗布したものを成型し、24×36mm四方に裁断して正極とした。
[負極の作成]グラファイトと、バインダとしてPVDFとを、重量比94:6で混合し、NMPで希釈したスラリーを調製した。このスラリーを、片面当たりの合材密度1.7mg/cmとなるように、貫通孔を有する銅製集電体両面または片面に均一に塗布したものを成型し、26×38mm四方に裁断して負極とした。
[電池の構成]このように作製した正極12枚と負極13枚(内片面塗布2枚)とを、セパレータとしてのポリオレフィン系微多孔膜を介して積層した。さらに、セパレータを介して、ステンレス多孔箔に金属リチウムを貼り付けたリチウム極を最外層に配置して、正極、負極、リチウム極およびセパレータからなる三極積層ユニットを作製した。この三極積層ユニットをアルミニウムのラミネートフィルムでパッケージングし、ホウフッ化リチウムを1モル/Lで溶解したエチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=1/3(重量比)の電解液を注入した。
[放電エネルギー密度の測定]上記のようにして作製した実施例1〜4および比較例1、2に係る各電池を、20日間放置した。その後、各1セルを分解したところ、金属リチウムはいずれも完全に消失していた。このことから、必要量のリチウムイオンが予め負極に担持吸蔵されたことを確認した。
また、残りの各1セルの電池を用いて、充放電サイクル試験を行った。充電は0.1Cで4.1Vの定電流−定電圧(CC−CV)充電方式で30時間カットとし、放電は0.05Cで1.35Vカットの定電流(CC)放電方式とした。
上記のように構成したリチウムイオン二次電池を用いて、初回放電エネルギー密度を測定した。結果を、図9に示した。
図9に示すように、水酸化リチウムの硫化リチウムに対する割合で、初回の放電エネルギー密度が変化することがわかる。特に、水酸化リチウムが硫化リチウムに対して25モル%のときに、930wh/kgの放電エネルギー密度を示すことが確認された。10モル%のときも、25モル%とほぼ同様の放電エネルギー密度であった。また、3モル%のときも、放電エネルギー密度は820wh/kgと下がりはするものの、十分な値を示している。
さらには、水酸化リチウムの比率が50モル%のときは、初回放電エネルギー密度が888.9wh/kgであった。また、水酸化リチウムの比率が75モル%のときは、初回放電エネルギー密度が851.6wh/kgであった。水酸化リチウムの比率が97モル%のときは、初回放電エネルギー密度が805wh/kgであった。
以上のごとく、2種類のリチウム源を混合することにより、求める層状結晶性粒子の構成に必要なバナジウムの価数制御が行えることで、高いエネルギー密度が得られることがわかった。また、実施例1〜4、比較例1、2は不活性雰囲気下にて行っており、10回の試作による容量のバラツキはそれぞれ±5%以内であった。一方、同様な正極の合成を通常の大気下にて10回試作した場合、2種類のリチウム源を用いた合成では高いエネルギー密度が得られたものの、容量のバラツキは±20%であった。かかる不活性雰囲気での加熱が、再現性の確保に有効であることも確認された。
なお、本実施例記載の条件を10回繰り返して実施したところ、得られた液物性は一定となった。続いてそれらを乾燥し、正極、電池化した上で放電エネルギー密度を算出したところ、±3%となり、再現性が取れていることを確認した。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明した。しかし、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、リチウムイオン二次電池の正極の分野で特に有効に使用できるものである。
本発明の製造方法での水酸化リチウムの硫化リチウムに対する比率で推移するpHと、5価バナジウムイオンの量の様子を示す説明図である。 加熱時の不活性雰囲気の影響を示す説明図である。 本発明に係る製造方法の工程を示すフロー図である。 本発明に係る製造方法の工程を示すフロー図である。 本発明に係る製造方法の工程を示すフロー図である。 本発明とは異なる従来の製造方法の工程を示すフロー図である。 電池の構成を示す説明図である。 五酸化バナジウム、硫化リチウム、水酸化リチウムの量的割合を示す説明図である。 本発明の製造方法による得られた活物質の初期の放電エネルギー密度を示す説明図である。
符号の説明
10 リチウムイオン二次電池
11 負極
11a 活物質
11b 集電体
12 正極
12a 活物質
12b 集電体
13 セパレータ
14 リチウム極
14a 金属リチウム
14b 集電体

Claims (32)

  1. 正極活物質として使用可能な層状結晶性バナジウムを用いた電極材料の製造方法であって、
    バナジウム化合物と複数のリチウム化合物を、少なくとも含む懸濁液を加熱することを特徴とする電極材料の製造方法。
  2. 請求項1記載の電極材料の製造方法において、
    前記複数のリチウム化合物には、前記バナジウム化合物が溶解している溶媒の液性を規定するリチウム化合物が用いられていることを特徴とする電極材料の製造方法。
  3. 請求項2記載の電極材料の製造方法において、
    前記溶媒の液性を規定するとは、バナジウム化合物を溶解している水溶液のpHの規定であることを特徴とする電極材料の製造方法。
  4. 請求項2または3に記載の電極材料の製造方法において、
    前記複数のリチウム化合物とは、酸化還元性を有し、なおかつ自身が還元剤として働く第一のリチウム化合物と、酸化還元性を有しない第二のリチウム化合物との組合せであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  5. 請求項4に記載の電極材料の製造方法において、
    第一のリチウム化合物と第二のリチウム化合物は、水に溶解した場合に特定の液性を示すものであり、
    前記水に溶解した場合の液性とは、pHであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の電極材料の製造方法において、
    前記第一のリチウム化合物とは、硫化リチウムであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  7. 請求項4または5に記載の電極材料の製造方法において、
    前記第二のリチウム化合物とは、水酸化リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、アジ化リチウム、セレン化リチウム、テルル化リチウムから選ばれる少なくともいずれか一つであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  8. 請求項4または5に記載の電極材料の製造方法において、
    前記第一のリチウム化合物とは、硫化リチウムであり、
    前記第二のリチウム化合物とは、水酸化リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、アジ化リチウム、セレン化リチウム、テルル化リチウムから選ばれる少なくともいずれか一つであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  9. 請求項4または5に記載の電極材料の製造方法において、
    前記第一のリチウム化合物は硫化リチウムであり、
    前記第二のリチウム化合物は水酸化リチウムであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  10. 請求項2〜9のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法において、
    前記液性の規定された前記溶媒は、5価のバナジウムイオンを4価のバナジウムイオンより多く存在させる性質であることを特徴とする電極材料の製造方法。
  11. 請求項10に記載の電極材料の製造方法において、
    前記溶媒の液性は、バナジウム化合物を溶解した場合のpHが、5.7以上であることを特徴とする電極材料の製造方法。
  12. 請求項10に記載の電極材料の製造方法において、
    5価のバナジウムイオンが少なくとも4価以下のバナジウムイオンより多く存在するとは、モル%で示されることを特徴とする電極材料の製造方法。
  13. 請求項9〜12のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法において、
    前記硫化リチウムと前記水酸化リチウムとの混合比は、前記水酸化リチウムが前記硫化リチウムに対して3モル%以上〜97モル%以下であることを特徴とする電極材料の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずかれ1項に記載の電極材料の製造方法において、
    前記加熱は、不活性雰囲気下で行われることを特徴とする電極材料の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずかれ1項に記載の電極材料の製造方法において、
    前記加熱後に、噴霧乾燥することを特徴とする電極材料の製造方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法において、
    前記バナジウム化合物と前記複数のリチウム化合物を少なくとも含む懸濁液は、硫黄含有有機導電性ポリマーを含まないことを特徴とする電極材料の製造方法。
  17. 請求項16に記載の電極材料の製造方法において、
    前記硫黄含有有機導電性ポリマーとは、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  18. 正極活物質として使用可能な層状結晶性バナジウムを用いた電極材料の製造方法であって、
    バナジウム化合物と複数のリチウム化合物を用いて、前記バナジウム化合物と前記複数のリチウム化合物との懸濁液中の5価のバナジウムイオンの価数割合の制御を行う工程と、
    価数割合の制御された前記バナジウムイオンの価数の維持を図る加熱工程を有することを特徴とする電極材料の製造方法。
  19. 請求項18記載の電極材料の製造方法において、
    前記5価のバナジウムイオンの価数割合の制御を行う工程において、五酸化バナジウムの層状結晶性物質に重合する物質を原料として用いることのないことを特徴とする電極材料の製造方法。
  20. 請求項19記載の電極材料の製造方法において、
    前記五酸化バナジウムの層状結晶性物質に重合する物質とは、硫黄含有有機導電性ポリマーであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  21. 請求項20記載の電極材料の製造方法において、
    前記硫黄含有有機導電性ポリマーとは、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  22. 請求項18〜21のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法において、
    前記価数割合の制御を行う工程とは、前記バナジウム化合物と前記複数のリチウム化合物とを一緒に溶媒に懸濁して、液性を調整することであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  23. 請求項18〜22のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法において、
    前記複数のリチウム化合物とは、酸化還元性を有し、なおかつ自身が還元剤として働く第一のリチウム化合物と、酸化還元性を有しない第二のリチウム化合物との組合せであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  24. 請求項23に記載の電極材料の製造方法において、
    前記第一のリチウム化合物とは、硫化リチウムであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  25. 請求項23または24に記載の電極材料の製造方法において、
    前記第二のリチウム化合物とは、水酸化リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、アジ化リチウム、セレン化リチウム、テルル化リチウムから選ばれる少なくともいずれか一つであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  26. 請求項25に記載の電極材料の製造方法において、
    前記第一のリチウム化合物は硫化リチウムであり、
    前記第二のリチウム化合物は水酸化リチウムであることを特徴とする電極材料の製造方法。
  27. 請求項22〜26のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法において、
    前記溶媒に前記バナジウム化合物を溶解した場合のpHが、5.7以上である特徴とする電極材料の製造方法。
  28. 請求項18〜27のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法において、
    前記5価のバナジウムイオンの価数割合が57モル%以上であることを特徴とする電極材料の製造方法。
  29. 請求項26〜28のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法において、
    前記硫化リチウムと前記水酸化リチウムとの混合比は、前記水酸化リチウムが前記硫化リチウムに対して3モル%以上〜97モル%以下であることを特徴とする電極材料の製造方法。
  30. 請求項18〜29のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法において、
    前記価数の維持を図る加熱工程とは、前記バナジウム化合物と前記複数のリチウム化合物とを溶かした懸濁液を、不活性雰囲気下で加熱することを特徴とする電極材料の製造方法。
  31. 請求項30に記載の電極材料の製造方法において、
    前記不活性雰囲気下で加熱した後に、噴霧乾燥する工程を有することを特徴とする電極材料の製造方法。
  32. 層状結晶性のバナジウム電極材料を用いた電極を有する蓄電装置であって、
    前記電極は、請求項1〜31のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法を用いて製造されていることを特徴とする蓄電装置。
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